JP2858807B2 - アキュムレータおよびこのアキュムレータの製造方法 - Google Patents

アキュムレータおよびこのアキュムレータの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、例えば気液圧式のサスペンション装置や脈
動吸収装置等に利用されるアキュムレータと、このアキ
ュムレータの製造方法に関する。
[従来の技術] 密閉されたハウジングの内部に作動液と圧搾ガスが収
容されるアキュムレータにおいて、上記作動液とガスを
仕切るために、金属製ベローズが内蔵されることがあ
る。
本発明者らが開発してきたアキュムレータ用金属ベロ
ーズは、板厚が0.1〜0.25mm位の金属製ベローズ要素を
軸線方向に溶接によって接続することにより、所定長さ
のベローズボディを得るようにしている。
従来の溶接技術によってベローズ要素を互いに接続す
るには、例えば第8図に示されるように、ベローズ要素
101,102の端にそれぞれ短円筒状の部分103,104を設け、
これら部分103,104の端縁105を全周にわたって溶接する
ようにしている。
あるいは第9図に示された他の従来方法では、ベロー
ズ要素101,102の間に円筒状の接続部品110を設け、一方
のベローズ要素101の端に設けられた短円筒状の部分103
を接続部品110の一端側に嵌合させて端縁105を溶接する
とともに、他方のベローズ要素102の端に設けられた短
円筒状の部分104を接続部品110の他端側に嵌合させて端
縁106を溶接するようにしている。
また、第10図に例示される従来例は、ベローズ要素10
1,102の端に拡径部111,112を設け、これら拡径部111,11
2の端部113を溶接するようにしている。
第11図に示される従来方法では、ベローズ要素101,10
2の拡径部111,112の内側に接続部品115を収容するとと
もに、拡径部111,112の端縁113を溶接するようにしてい
る。
[発明が解決しようとする課題] 上述した従来例は、いずれの場合もベローズ要素101,
102の端縁105,106,113が精密に加工されていなければな
らない。また、これらの端縁105,106,113に「ばり」が
できないように、かつ正確な形状にカットしなければな
らない。しかもベローズ要素101,102の板厚は0.1ないし
0.25mmと薄い。これらの理由から、従来の溶接技術では
一定以上の品質の溶接部を確保するのに困難を伴なう。
溶接部の品質が悪いということは、ベローズに充分な気
密性と耐久性をもたせることができないことを意味す
る。
しかもいずれの従来例も、ベローズのひだの1ピッチ
分よりも大きなデットスペースlが不可避的に存在す
る。このため、このベローズをアキュムレータに内蔵し
た場合にアキュムレータの軸方向長さが大になり、コン
パクト化の要求に反する。
従って本発明の目的は、複数のベローズ要素を軸線方
向に接続することよってベローズボディを得るようにし
た場合に、これらベローズ要素を溶接するに当たって、
一定の品質以上の安定した接続部が得られ、しかも接続
部に生じるデッドスペースが短くてすむようなアキュム
レータの製造方法と、金属ベローズを内蔵したアキュム
レータを提供することにある。
[課題を解決するための手段] 上記目的を果たすために開発されたアキュムレータの
ベローズのボディは、塑性加工によってひだが成形され
かつ端縁がベローズ中心側を向いている複数の金属製ベ
ローズ要素を溶接によって軸線方向に互いに接続したも
のであり、しかも上記ベローズ要素の接続部は、ベロー
ズ要素の端から1ひだ分ないし複数ひだ分を軸線方向に
潰し加工して重合することによりこの端末重合部の厚み
をベローズ要素の板厚以上にし、かつ、上記ベローズ要
素の端末重合部において、ベローズ要素の内周端縁が外
周縁よりも軸線方向内側に引っ込むようにオーバーハン
グした角度αをつけてあり、互いに隣接する双方の端末
重合部の外周縁同志を全周にわたって溶接したことを特
徴とする。またこの発明は、上記端末重合部の外周縁側
の部位にベローズ要素のひだと平行な平坦部を設け、互
いに隣接する平坦部の外周縁同志を溶接することも特徴
とする。
また本発明のアキュムレータの製造方法は、塑性加工
によってひだが成形されかつ端縁がベローズ中心側を向
いている複数の金属製ベローズ要素を互いに溶接によっ
て軸線方向に接続する場合に、ベローズ要素の端から1
ひだ分ないし複数ひだ分だけ軸線方向に潰し加工して重
合することにより、この端末重合部の厚みをベローズ要
素の板厚以上にし、かつ、上記ベローズ要素の端末重合
部の内周端縁を外周縁よりも軸線方向内側に引っ込むよ
うにオーバーハングした角度αをつけ、互いに隣接する
双方の端末重合部の外周縁同志を全周にわたって溶接す
ることにより複数のベローズ要素を軸線方向に接続する
ことを特徴とする。
[作用] ベローズ要素の上記端末重合部は、少なくともベロー
ズ要素の板厚の2枚分の厚みがあるから、安定した溶接
を行うのに必要な厚みが確保される。
そして上記ベローズ要素の端末重合部の内周端縁を外
周縁よりも軸線方向内側に引っ込むようにオーバーハン
グした角度αをつけ、互いに隣接する双方の端末重合部
の外周端同志を全周にわたって溶接することにより複数
のベローズ要素を軸線方向に接続する。
[実施例] 第4図に示されたアキュムレータ10は、密閉された円
筒状のハウジング11と、このハウジング11の内部に収容
されたベローズ12およびインナシリンダ13を備えて構成
されている。ハウジング11とベローズ12とインナシリン
ダ13は互いに同心状に配置されている。
ハウジング11の内面およびベローズ12の外面によって
規定される気室16の内部に、圧縮された不活性ガスが封
入される。不活性ガスの一例は窒素である。ベローズ12
の内面によって規定される液室17に、作動液の一例とし
てオイルが満たされる。
ハウジング11は、両端を有する直円筒状のハウジング
本体20と、このハウジング本体20の一端を塞ぐ第1端部
材21と、ハウジング本体20の他端を塞ぐ第2端部材22と
からなる。第1端部材21に液流通用ポート23が設けられ
ている。このポート23は液室17に連通している。第2端
部材22には、気室16に上記ガスを供給するために使われ
るポート24が設けられている。このポート24は、気室16
の内部にガスが封入されたのちに、栓25によって塞がれ
る。
ベローズ12は、両端30a,30bを有する金属製のベロー
ズボディ30と、このベローズボディ30と一端30aが溶接
される金属製のベローズベース31と、ベローズボディ30
の他端30bに溶接された金属製のベローズキャップ32
と、このベローズキャップ32の近傍に取着された第1の
合成樹脂製ガイドリング33と、ベローズボディ30の軸方
向中間部位に取着された第2の合成樹脂製ガイドリング
34を備えて構成されている。これらガイドリング33,34
は、ハウジング11の内周面に摺動自在に接する。ベロー
ズボディ30はハウジング11の軸線方向に伸縮自在であ
る。ベローズベース31は、適宜の固定手段によってハウ
ジング11の第1端部材21に固定される。
第1図に示されたベローズボディ30は、複数のベロー
ズ要素38,39を軸線方向に接続したものである。各要素3
8,39の板厚t0は、それぞれ0.1〜0.25mmである。ベロー
ズ要素38,39は、いずれも液圧成形またはロール成形等
の塑性加工によって、軸線方向に複数のひだ40を成形し
たものである。第1図中のTはひだ40の軸方向寸法、P
はひだ40のピッチを示している。ベローズ要素38,39の
端縁38a,39aはベローズ中心側を向いている。
第1図に示されるように、ベローズ要素38,39の接続
部に、端末重合部41,42が設けられている。これら端末
重合部41,42は、第2図に一方を代表して示したよう
に、ベローズ要素38,39の端部のひだ38cを1ひだ分だけ
プレス加工によって軸線方向に潰すことによってつくら
れる。従って端末重合部41,42の厚みt1は、ベローズ要
素38,39の板厚t0のほぼ2倍になる。しかも端末重合部4
1,42における折曲げ外周端43,44は、それぞれ軸線方向
に沿う断面がほぼ半円形、すなわち「ばり」の出ない滑
らかに湾曲した形状となる。なお、端末重合部41,42は
それぞれ複数のひだを軸線方向に潰したものであっても
よい。
第3図に概念的に示されるように、ベローズ要素38,3
9を溶接する際に、治具50,51によってベローズ要素38,3
9を軸線方向に押える。この時の治具50,51の加圧力は、
ベローズ要素38,39が互いに密着する大きさである。治
具50,51とベローズ要素38,39を一体に回転させながら、
端末重合部41,42の外周縁43,44を互いに全周にわたって
アルゴンガス雰囲気中でTIG溶接する。溶接時にフィラ
は使用せず、なめ付けで溶接する。
上記接続構造によれば、ベローズ要素38,39の接続部
に生じるデッドスペースl1(第1図参照)がひだ40のピ
ッチPの半分程度ですみ、従来のデッドスペースに比べ
て短くてすむ。また、端末重合部41,42の厚みt1がそれ
ぞれベローズ要素38,39の板厚t0の2倍以上になるた
め、板厚の薄いベローズ要素38,39であっても溶接不良
を生じることなく安定した品質の溶接部が得られる。
第5図は金属製の接続部品60を用いてベローズ要素3
8,39を互いに隣接する例を示している。接続部品60の外
周部に、断面がV状の凹部61が設けられている。この凹
部61は、接続部品60の全周にわたって連続している。凹
部61の斜面62のなす角度θは45゜である。凹部61の深
さL1は、1.50±0.20mmである。凹部61の縁63から端縁64
までの距離L2は0.35±0.05mmである。
ベローズ要素38,39の端部は、前述した実施例と同様
に、それぞれ1ひだ分をプレス加工によって軸線方向に
潰し、端末重合部41,42を設けている。接続部品60の外
径D1は、ベローズ要素38,39の外径D0よりも0.5mm程度大
きくしてある。そして本実施例の場合、アルゴンガス雰
囲気中でのTIG溶接によって接続部品60の端末外周部66,
67の一部を溶かして折曲げ外周端43,44にかぶせる。こ
の場合も、前述した治具50,51(第3図参照)を用いて
軸線方向に加圧しながら溶接を行う。なお、D1とD0の差
は0.5mmが適当であるが、溶接条件との関係により、こ
の値以外がよいこともある。
本実施例の溶接部品60は、V状凹部61(開先部)を設
けることによって端末外周部66,67の厚さL2をベローズ
要素38,39の端末重合部41,42の厚さt1に近付けてある。
このため、溶接時に折曲げ外周縁43,44と端末外周部66,
67の熱容量が互いにバランスすることにより、溶接を良
好に行うことができる。そしてこのような接続部品60を
用いることで、板厚の薄いベローズ要素38,39同志も溶
接不良を生じることなく溶接することができる。なお、
接続部品60はベローズ要素38,39と同じ金属が望ましい
が、場合によっては、接続部品60とベローズ要素38,39
が互いに異種の金属であってもよい。
第6図は本発明に係るベローズ要素38,39の端末重合
部41,42を示すものである。この場合、端末重合部41,42
の内周端縁38a,39aが外周縁43,44よりも軸線方向内側に
引っ込むようにそれぞれオーバーハングした角度αをつ
けている。こうすることによって、溶接時における外周
縁43,44の密着性が向上する。αの好ましい値は3゜〜1
0゜である。そして互いに隣接する端末重合部41,42の外
周縁43,44の全周を前記第1実施例と同様に溶接する。
第7図は端末重合部41,42の更に別の変形例を示して
いる。この変形例の場合、端末重合部41,42の内周端縁3
8a,39a側に上記と同様の角度αをつけるとともに、外周
縁43,44側に、ひだ40と平行な平坦部70,71を設けてい
る。そしてこれら平坦部70,71の折曲げ外周縁43、44の
全周にわたって溶接が行われる。平坦部70,71の長さは
1ないし3mm程度である。
なお、上記実施例のベローズボディ30は2つのベロー
ズ要素38,39からなるが、ベローズボディ30は3つ以上
のベローズ要素から構成されてもよい。
[発明の効果] 本発明によれば、各ベローズ要素の上記端末重合部は
少なくともベローズ要素の板厚の2枚分の厚みがあるか
ら、安定した溶接を行うのに必要な厚みが確保されると
ともに剛性が増し、かつ、各ベローズ要素の上記端末重
合部はその内周端縁側が互いに離れる方向にオーバーハ
ングした形状となっているから上記端末重合部の外周縁
どうしが互いに良好に密接し、しかも上記端末重合部の
外周縁はこれら端末重合部を折曲げたことにより軸線方
向に沿う断面がおおむね半円形となるような滑らかに湾
曲した形状となっているため溶接しようとする箇所の外
側に“ばり”が出るようなことがない。これらの理由か
ら、複数のベローズ要素を溶接によって接続する場合
に、溶接部の品質が向上し、気密性および耐久性に優れ
たアキュムレータが得られるとともに、各々2枚に折り
重ねた各端末重合部の剛性が高いため圧力差が加わった
ときの耐圧差も向上する。また、ベローズ要素の接続部
に生じるデッドスペースが短くてすむため、このベロー
ズを収容するアキュムレータをコンパクト化する上で有
利である。
【図面の簡単な説明】
第1図はベローズ要素の接続部を示す断面図、第2図は
ベローズ要素の端部を示す断面図、第3図は溶接時に用
いる押圧用治具を示す側面図、第4図はベローズを内蔵
したアキュムレータの縦断面図、第5図は接続部品を用
いた場合の断面図、第6図と第7図はそれぞれ本発明の
実施例を示すベローズ要素の端部の断面図、第8図ない
し第11図はそれぞれ従来のベローズの接続部を示すそれ
ぞれ縦断面図である。 10……アキュムレータ、11……ハウジング、12……ベロ
ーズ、16……気室、30……ベローズボディ、38,39……
ベローズ要素、40……ひだ、41,42……端末重合部、43,
44……折曲げ外周縁、60……接続部品、66,67……端末
外周部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−166168(JP,A) 実開 昭62−121424(JP,U) 実開 昭63−109033(JP,U) 実開 昭63−195102(JP,U) 実開 昭49−71826(JP,U) 実開 昭56−106259(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16J 3/00 - 3/06 F15B 1/00 - 7/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円筒状の金属製のハウジングと、上記ハウ
    ジングの内部に収容されかつ一端が固定され他端側がハ
    ウジングの軸線方向に伸縮自在なベローズとを備えたア
    キュムレータにおいて、 上記ベローズのボディは、塑性加工によってひだが成形
    されかつ端縁がベローズ中心側を向いている複数の金属
    製ベローズ要素を溶接によって軸線方向に互いに接続し
    たものであり、 しかも上記ベローズ要素の接続部は、ベローズ要素の端
    から1ひだ分ないし複数ひだ分を軸線方向に潰し加工し
    て重合することによりこの端末重合部の厚みをベローズ
    要素の板厚以上にし、かつ、上記ベローズ要素の端末重
    合部において、ベローズ要素の内周端縁が外周縁よりも
    軸線方向内側に引っ込むようにオーバーハングした角度
    αをつけてあり、互いに隣接する双方の端末重合部の外
    周縁同志を全周にわたって溶接したことを特徴とするア
    キュムレータ。
  2. 【請求項2】円筒状の金属製のハウジングと、上記ハウ
    ジングの内部に収容されかつ一端が固定され他端側がハ
    ウジングの軸線方向に伸縮自在なベローズとを備えたア
    キュムレータにおいて、 上記ベローズのボディは、塑性加工によってひだが成形
    されかつ端部がベローズ中心側を向いている複数の金属
    製ベローズ要素を溶接によって軸線方向に互いに接続し
    たものであり、 しかも上記ベローズ要素の接続部は、ベローズ要素の端
    から1ひだ分ないし複数ひだ分を軸線方向に潰し加工し
    て重合することによりこの端末重合部の厚みをベローズ
    要素の板厚以上にし、かつ、上記ベローズ要素の端末重
    合部において、ベローズ要素の内周端縁側の部位が外周
    縁よりも軸線方向内側に引っ込むようにオーバーハング
    した角度αをつけてあり、しかもこの端末重合部の外周
    縁側の部位にはベローズ要素のひだと平行な平坦部を設
    け、互いに隣接する平坦部の外周縁同志を溶接したこと
    を特徴とするアキュムレータ。
  3. 【請求項3】塑性加工によってひだが成形されかつ端縁
    がベローズ中心側を向いている複数の金属製ベローズ要
    素を互いに溶接によって軸線方向に接続する場合に、 ベローズ要素の端から1ひだ分ないし複数ひだ分だけ軸
    線方向に潰し加工して重合することにより、この端末重
    合部の厚みをベローズ要素の板厚以上にし、かつ、上記
    ベローズ要素の端末重合部の内周端縁を外周縁よりも軸
    線方向内側に引っ込むようにオーバーハングした角度α
    をつけ、互いに隣接する双方の端末重合部の外周縁同志
    を全周にわたって溶接することにより複数のベローズ要
    素を軸線方向に接続することを特徴とするアキュムレー
    タの製造方法。
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