JP2856768B2 - 接着性及び硬度向上処理をしたp―キシリレン重合膜を有する物品 - Google Patents

接着性及び硬度向上処理をしたp―キシリレン重合膜を有する物品

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は腐食し易い稀土類鉄磁石等の材料の表面にp
−キシリレン重合膜又は塩素化p−キシリレン重合膜を
形成してなる耐食性物品に関し、特に表面にp−キシリ
レン重合膜又は塩素化p−キシリレン重合膜を有する高
耐食物品の接着剤に対する濡れを改善し、また擦傷等の
発生を抑制した高耐食性物品に関する。
(従来の技術) 従来高エネルギー積磁石としては、Sm-Co系磁石が用
いられてきたが、コスト、機械加工性、より高いエネル
ギー積といった点で有利な稀土類鉄系磁石が最近注目さ
れ、特に原子比で8〜30%の稀土類元素、2〜28%の
B、および残部Feおよび不可避不純物からなる組成が効
果的であることが見出されている。
ところが、稀土類鉄系磁石はSm-Co系に比べ、耐食性
という面では劣り、種々の表面保護処理が検討されてい
る状況にある。
稀土類鉄系磁石は焼結法および急冷法で作製されてい
る。この系の磁石は酸化し易いNd、Feを多く含むので、
耐薬品性、特に酸、アルカリに弱く、湿式めっき等の表
面処理では、酸、アルカリ等による前処理或いはめっき
工程中に表面が侵されたり、たとえめっきが出来ても、
内部に侵入した薬品の影響により、内部腐食が発生した
り、結晶粒間が侵食されることで磁気特性が低下する。
急冷法で製造された材料は、焼結法で製造された材料
と比較して、外力による歪や熱による磁気特性の低下が
少ない。しかし、急冷粉末はプラスチック等でボンドし
て使われることが多く、磁石表面の磁石材料およびボン
ド材料の両方に対し、高い密着強度を有する被膜材料が
要求されている。
また、この系の磁石、特にこの系の焼結磁石にプラズ
マ重合被膜を設けることは知られているが(特開昭63-6
811)、従来の多元素系被膜では充分な重合度が得難か
った。
たとえばアクリル酸などではプラズマ重合中に活性な
酸素が存在し、プラズマ重合と同時にプラズマエッチン
グが起こる。このため保護重合膜の硬度、ち密性が十分
でなく又重合度も低い。そのため十分なガスバリヤー性
が得られないなど、耐食性保護膜として充分に機能でき
ない。
また、保護被覆として稀土類焼結金属磁石の表面に高
分子樹脂膜を形成することも行なわれているが(特開昭
56-81908号公報、同60-63901号等)、高分子樹脂膜は透
湿性、酸素透過性が大きく、また稀土類焼結金属磁石と
の親和性が低いので、充分な接着を確保することでな
い。また弗素樹脂のように高温焼付けを要するために磁
石の酸化を招くもの、エポキシ樹脂などのように耐食性
で劣るものなど、接着性と耐食性の両者を兼ね備えた膜
は提供されていない。更にキシリレン樹脂を真空蒸着で
成膜することも提案されているが、重合度は低く、耐食
性に問題がある(特開昭55-103714)。
こうした高分子樹脂膜のうち、水分及び酸素に対して
極めと良好なバリヤー性を有し、そのため極めて優れた
耐食性を有する材料としてp−キシリレン重合膜及び塩
素化p−キシリレン重合膜が知られている(気相重合法
によるものは米国ユニオン・カーバイド社より商品名パ
リレンとして市販されている)。
(解決すべき問題点) しかしながらp−キシリレン重合膜及び塩素化p−キ
シリレン重合膜の被覆を有する高耐食性磁石をエポキシ
樹脂その他の接着剤により電気又は電子装置の一部に固
定使用とするとこの重合膜の接触角が90度と高く撥水性
のため接着剤とのなじみが悪く充分な接着力が得られず
実用化の障害となった。そのため強いて使用するには例
えば止めバンド、螺子、鋲等の機械的な手段を必要と
し、作業性やスペース等に問題があった。またp−キシ
リレン重合膜及び塩素化p−キシリレン重合膜の被覆は
耐食性が非常に優れてはいても擦傷を受け易く他の物に
機械的に接触したり摩擦したりする部分には好適に使用
できない問題がある。
(発明の目的) 従って本発明の目的は接着剤に対する濡れが良くしか
も外力による擦傷の発生の少ないp−キシリレン重合膜
又は塩素化p−キシリレン重合膜被覆物品、特に稀土類
鉄系磁石を提供することにある。
(問題点を解決する手段) 本発明者は上記欠点を解決するために種々の検討を加
えたところ、稀土類鉄系磁石とうの被保護材料の表面に
p−キシリレン重合膜又は塩素化p−キシリレン重合膜
を被覆し次いで合成樹脂塗膜、特にエポキシ樹脂、アク
リル樹脂、およびメラミン樹脂等の樹脂塗料を薄く被覆
することにより表面硬度が高くしかも接着剤に対する濡
れが大きく向上することを見出した。なお、より好まし
くは被保護材料の表面をプラズマ処理にかけるか又はプ
ラズマ重合膜で被覆するかにより、p−キシリレン重合
膜又は塩素化p−キシリレン重合膜と合成樹脂塗膜との
結合力を向上し得ることができる。
(発明の具体的な説明) 耐食性物品 本発明で耐食性物品とは被保護材料にp−キシリレン
重合膜及び塩素化p−キシリレン重合膜を被覆したもの
を指す。ここに被保護材料は任意のもので良く例えば湿
度や酸素の影響により特性が劣化する電子部品、例えば
合金磁石等があるが、特に周囲の湿気と空気の作用によ
り錆を生じ易い上記の稀土類鉄系磁石である。例えば、
Nd-Fe系磁石を始めとする稀土類鉄系磁石の表面を先ず
表面粗度Raが約1μm以下となるように研磨する。この
ような稀土類鉄系磁石は耐食性に劣るもので、一般にR
−T−B又はR−T−B−M(ただしRは稀土類元素、
TはFe又はFe、Coを主体とする遷移金属、MはZr、Nb、
Mo、Hf、Ta、Wの少なくとも1種)の組成を有するも
の、例えばNd-Fe-B、Nd-Fe-B-Zr、ミッシュメタル任意
の希土類鉄系磁石を挙げることができる。このような磁
石は粉末を成形し焼結した焼結型磁石、あるいはこれら
の磁石を機械的に粉砕し10重量%以下の有機バインダー
で結合したボンド磁石の形で使用することができる。
p−キシリレン重合膜及び塩素化p−キシリレン重合
膜被覆を有する磁石等の電子部品はそれ自体公知であ
る。このような被覆には例えば米国ユニオン・カーバイ
ド社よりパリレンN(ポリp−キシリレン)、パリレン
C(ポリモノクロクロロp−キシリレン)、パリレンD
(ポリジクロロp−キシリレン)等があるがガス透過性
が低いので特にパリレンCが好ましい。ポリp−キシリ
レン等の膜は2量体のガスを減圧下に熱分解することに
より得られる。膜厚としては0.5μm以上、好ましくは
1〜20μmである。しかしp−キシリレン重合膜又は塩
素化p−キシリレン重合膜は接着性が悪いために被保護
材料の表面から剥れ易く、このため耐食性が充分ではな
い。この対策としては本発明者は最近被保護材料の表面
の接着性を改善し、結果的に耐食性を改善することを提
案した。その一つは被保護材料の表面をプラズマ処理す
ることによりエッチング、各種ラジカルの形成、OH等の
官能基等を行なって接着性ないし密着性を改善する(特
願平1-67521号)。他の方法は被保護材料の表面に実質
的に炭素と水素からなるプラズマ重合膜を形成してp−
キシリレン重合膜及び塩素化p−キシリレン重合膜に対
する接着性を改善し、結果的に耐食性を改善する(特願
昭63-109063号)。更に他の方法は被保護材料の表面平
滑度を上げ、あるいはこれを上記の方法に組合せるとか
の方法を採用する(特願平1-69289号)。本発明の対象
となる耐食性物品は一般に被保護材料にp−キシリレン
重合膜及び塩素化p−キシリレン重合膜を被覆したもの
であるが、好ましくは上記の改良された物品である。ま
た、本発明で必須の硬度および接着性改善のための合成
樹脂塗膜はp−キシリレン重合膜及び塩素化p−キシリ
レン重合膜の表面に直接塗布しても良いが、好ましくは
合成樹脂塗膜の塗布に先立ってp−キシリレン重合膜及
び塩素化p−キシリレン重合膜の表面に上記のプラズマ
処理又はプラズマ重合膜を施すと良い。なおこれらの処
理については後で述べる。
なお上記の表面平滑化は被保護材料、稀土類鉄磁石の
表面を研磨してJIS規格による表面粗度Raを約1μm以
下にすることにより耐食性が飛躍的に向上する。その原
因は明らかでないがp−キシリレン重合膜及び塩素化p
−キシリレン重合膜のステップカバレージ特性と表面粗
度のマッチングがとれる事により保護膜が被保護材料を
うまくカバーすることと、被保護材料の表面粗度を小さ
くすることは最初に存在する穴、ホール等の欠陥を減少
させるためと考えられる。通常稀土類鉄系磁石の表面粗
度はかなり大きく、JIS規格によるRaで表わして2μm
以上である。プラズマ処理、炭化水素系のプラズマ重合
膜、p−キシリレン重合膜、あるいはこれら両者の形成
に先立って、被保護材料、特に稀土類鉄系磁石の表面を
研磨して表面粗度Raを約1μm以下まで研磨し、その表
面に上記の保護膜を形成すると良い。
プラズマ処理 上に簡単に述べたように、稀土類鉄系磁石の表面およ
び/又はp−キシリレン重合膜及び塩素化p−キシリレ
ン重合膜表面はプラズマ処理を施こしても良い。プラズ
マ処理はAr、He、Ne等の希ガスH2、N2、O2、CO、CO2、H
2O、NOX、NO2、NH3のガス等を真空室に導入し、プラズ
マ化しこれを稀土類鉄系磁石に接触させることにより行
なわれる。プラズマ処理の条件としては通常次ぎのもの
を使用する。ガス圧力0.01〜10Torrにて電源は直流、交
流が使用でき、交流の周波数は50Hzから5GHzまで使用で
きる。サンプルの形状及び量により処理条件は異なるが
使用電力10W〜10KW処理時間0.5秒〜10分に設定すること
ができる。処理後の表面の接触角は30°以下が望まし
い。
プラズマ処理は磁石および/又はp−キシリレン重合
膜及び塩素化p−キシリレン重合膜の表面を活性化し、
使用するガスの種類により各種の活性なラジカル、OH基
等の官能基が生じその後に形成されるプラズマ重合膜又
は合成樹脂膜に対する反応性、濡れ性が改善され、接着
剤が基体に充分入り込む結果(アンカー効果)接着性を
大幅に改善し、更に表面硬度を大幅に向上させる。
プラズマ重合膜 上に簡単に述べたように、稀土類鉄系磁石の表面およ
び/又はp−キシリレン重合膜及び塩素化p−キシリレ
ン重合膜表面はプラズマ重合膜を形成しても良い。プラ
ス重合膜は、従来知られている任意のモノマーガスを使
用し得る。例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、
ペンタン、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエ
ン、アセチレン、メチルアセチレン等の炭化水素モノマ
ーの他、テトラメトキシシラン等のケイ素系モノマー、
テトラフルオロエチレン等のフッ化水素系モノマー、メ
チルメタアクリレート等を挙げることができる。特に実
質的に炭素と水素のみからなるプラズマ重合膜は被膜を
形成したもので、表面にち密でピンホールの無い硬質の
膜を形成し、耐食性が良好で、長期安定性にすぐれた磁
気特性を保つことができるという利点を有するので好ま
しく、中でも原子数の比(原子組成比)で表わして好ま
しくはH/C=1.5以下であると三次元的に充分架橋した特
性の良いプラズマ重合膜が形成できる。この場合、膜厚
が0.2μm以下で充分な耐食性が得られる。このような
プラズマ重合保護膜は炭化水素モノマーガスの量を少な
くし、反応圧力を低くし、且つ印加電力を大きくするこ
とにより生成し得る。すなわち、反応圧力を低く印加電
力を大きくすることにより、モノマー単位量あたりの分
解エネルギーが大きく成って分解が進み、架橋したプラ
ズマ重合保護膜が形成できる。本発明の実施に適当なエ
ネルギー密度W/(FM)は108J/kg以上である(Wはプラ
ズマ投入電力J/秒、Fは原料ガス流量kg/秒、Mは原料
ガス分子量)。その他キャリアガスとして水素、不活性
ガス等のガスが使用できる。ただし不可避不純物として
入ってくる微量以上の酸素は用いてはならない。このよ
うに不可避的な不純物ガスを除いて実質的に炭素と水素
のみから成る時高い耐食性と良好な接着性を示すことに
なる。更に、プラズマ重合膜を形成するとき、磁石の温
度を上げておくことにより更に効果を上げることができ
る。
合成樹脂膜 本発明では稀土類鉄系合金磁石等の被保護材料の表面
にp−キシリレン重合膜又は塩素化p−キシリレン重合
膜を形成して成る高耐食物品の接着剤に対する濡れおよ
び擦傷の発生を防止するために、硬度4H以上でしかも濡
れ性の良い合成樹脂膜をp−キシリレン重合膜又は塩素
化p−キシリレン重合膜の表面に被覆する。
このような合成樹脂の材料にはエポキシ樹脂、アクリ
ル樹脂、およびメラミン樹脂がある。
これらの樹脂は上記の濡れおよび硬度の条件を満足す
る。合成樹脂塗料の塗布方法はデイップ法、スプレイ法
等任意の塗布方法が使用できる。塗布厚さは乾燥後に2
〜30μ、より好ましくは5〜15μである。余り薄いと硬
度が小さく傷を受け易い。余り厚いと寸法むらが生じ精
度が出しにくい。
(実施例の説明) (耐食性ボンド磁石の調製) 原料を秤量し、溶融し、鋳造して、合金組成がNd9 Fe
79.5 Zr4 B7.5(合金1)及びNd8.5Fe80Zr3.5B8(合金
2)の2種類の合金インゴットを製造した。これらをそ
れぞれ高周波溶解し、Ar雰囲気中Cu単ロール(周速20m/
秒)の表面に射出して高速急冷して合金薄帯を得た。こ
れをAr雰囲気中、700℃で30分間熱処理した後、スタン
プミルで50〜200μmの平均粒子径となるように粉砕し
て磁石粉末を得た。
上記、磁石粉末に対して、2.5wt%のエポキシ樹脂を
混合し、5ton/cm2で加圧成形し、次いで180℃の温度で
樹脂硬化を行なった。得られた成形体の磁気特性は表1
に示す通りである。
又これらの成形体の表面粗度Raはそれぞれ2.1μmで
あった。これらの成形体の表面を研磨して0.3μmにし
た。
次いでこれら試料の表面に下記の条件によりプラズマ
処理を施した。
O2ガスを用いガス圧0.1Torrで13.56MHzのRF電源にて
電力100Wの条件で表面をプラズマ処理した。表面の接触
角は10°であった。
次いで、これらすべての成形体をプラズマ重合装置に
装入し、圧力0.02Torr、RF電力800W、CH45SCCMの条件で
成形体の表面に炭化水素重合膜を成膜した。成膜処理は
エリプソメーターを用いて測定して約0.15μmの膜厚に
成るまで行なった。二次電子質量分析器SIMSで測定した
ところ、H/C比は1.21であった。
次いで、得られた成形体にモノクロルパラキシレン二
量体の25℃、0.05Torrの条件下に熱分解及び重合により
パリレンCを10μmの厚さに成膜した。
(耐食性焼結磁石) Nd15 Fe77 B8からなる組成の合金(合金3)を作製
し、粗粉砕した後、ジェットミルを用いて平均粒径3.5
μmの磁性粉末に微粉砕した。本磁性粉末を10kOeの磁
場中で1.5ton/cm2の圧力で成形した。その後真空中で11
00℃、2hrの焼結を行ない、続いて600℃、1hrの時効処
理を行なった。
得られた磁石の磁気特性は表2に示す通りである。表
面粗度は2.3μmであった。
本成形体に対して上記の耐食性ボンド磁石の調製と同
じ処理を施し、H/C比が1.21の表面被覆膜を有する焼結
磁石を得た。次いでパリレンCを10μmの厚さに被覆し
た。合金1、2、3に対するこれらの処理を行なったも
のはいずれも耐食性が良好である。
実施例1(ボンド磁石) 上記の耐食処理した合金1、2にプラズマガスとして
H2を用い、ガス圧0.2Torr、100kHzの電源を用い200Wの
電力でプラズマ処理を施した。合金1の表面にスプレイ
法によりエポキシ樹脂を乾燥厚さ0〜40μmとなるよう
に塗布した。合金1について表面硬度(鉛筆硬度)およ
び寸法精度を表3に示す。寸法の測定は20箇所で行ない
その平均値とばらつきを示す。更に、上記試料のうちエ
ポキシ樹脂が乾燥厚さ10μmのもの(合金1、2に対し
てそれぞれ試料1、2、又エポキシ樹脂を施さないもの
をそれぞれ比較試料1、2)の接着試験として、底が1c
m×1cmで長さ10cmの鉄製の四角柱の表面にエポキシ接着
剤で接着した。テンシロンを使用して剥離試験をした。
結果を表4に示す。表中Cはパリレンと接着剤との境界
面を示し、Eは鉄と接着剤の境界面を示す。結果を表4
に示す。
実施例2(焼結磁石) 合金3に対して上記の耐食処理をした。この試料に実
施例1と同一の条件でプラズマ処理を施した。その表面
にアクリル樹脂を乾燥厚さ0〜40μmに施した。表面硬
度および寸法精度を表3に示す。またアクリル樹脂を乾
燥厚さ10μmに塗布したもの(試料3、又は樹脂膜のな
いものを比較試料3)につき接着試験の結果を表4に示
す。
実施例3(ボンド磁石) 上記耐食処理した合金1、2をプラズマ重合装置に装
入し、圧力0.02Torr、RF電力800W、CH45SCCMの条件で成
形体の表面に炭化水素重合膜を成膜した。成膜処理はエ
リプソメーターを用いて測定して約0.15μmの膜厚に成
るまで行なった。得られた膜を二次電子質量分析器SIMS
で測定したところ、H/C比は1.21であった。得られた合
金1にメラミン樹脂を乾燥厚さ0〜40μmに塗布した。
硬度試験の結果を表3に示す。メラミン樹脂を乾燥厚さ
10μmに塗布したもの(合金1、2に対しそれぞれ試料
1′,2′)についてエポキシ接着剤によりこれらの試料
を鉄棒の表面に接着した。接着試験の結果を表4に示
す。
実施例4(焼結磁石) 上記の耐食処理した合金3に実施例3と同一の条件で
プラズマ重合膜を形成した。エポキシ樹脂を乾燥厚さ10
μに塗布したもの(試料3′)についてエポキシ接着剤
を施した。接着試験の結果を表4に示す。
(作用効果のまとめ) 以上の実施例から分かるように、被保護材料にp−キ
シリレン重合膜又は塩素化p−キシリレン重合膜を被覆
し、次いでその外表面をプラズマ処理し又はプラズマ重
合膜をついで硬度4H以上の合成樹脂塗膜を設けたので、
高耐食物品は、接着剤に対する濡れないし接着力が改善
されるだけでなく、硬度も改善されることが分かる。従
って先に述べた各種用途においてこの物品を接着剤を使
用して所定の位置に容易に固定することが出来るし、摩
擦作用を受ける場所に使用することも出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上田 国博 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (72)発明者 矢島 弘一 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (72)発明者 柴原 正典 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−34156(JP,A) 特開 昭55−103714(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B32B 1/00 - 35/00 H01F 7/02 C08J 7/04 - 7/06

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被保護材料の表面に、p−キシリレン重合
    膜又は塩素化p−キシリレン重合膜、および硬度4H以上
    の合成樹脂塗膜をこの順に有する高耐食性物品。
  2. 【請求項2】合成樹脂塗膜はエポキシ樹脂、アクリル樹
    脂、およびメラミン樹脂より成る群から選択されている
    前記第1項記載の高耐食性物品。
  3. 【請求項3】合成樹脂塗膜は2〜30μmの厚さを有する
    前記第1項記載の高耐食性物品。
  4. 【請求項4】p−キシリレン重合膜又は塩素化p−キシ
    リレン重合膜の厚さは0.5μm以上である前記第1項又
    は第3項記載の高耐食性物品。
  5. 【請求項5】被保護材料は稀土類鉄系合金磁石である前
    記第1項ないし第4項のいずれかに記載の高耐食性物
    品。
  6. 【請求項6】被保護材料の表面に気相熱重合によりp−
    キシリレン重合膜又は塩素化p−キシリレン重合膜を形
    成し、その表面にエポキシ樹脂、アクリル樹脂、および
    メラミン樹脂より成る群から選択された樹脂の塗料を塗
    布し、乾燥又は硬化することにより、硬度4H以上の合成
    樹脂塗膜を形成する高耐食性物品の製造方法。
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