JP2856385B2 - 新規ピペコリン酸誘導体及びその製造法 - Google Patents
新規ピペコリン酸誘導体及びその製造法Info
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- JP2856385B2 JP2856385B2 JP7005507A JP550795A JP2856385B2 JP 2856385 B2 JP2856385 B2 JP 2856385B2 JP 7005507 A JP7005507 A JP 7005507A JP 550795 A JP550795 A JP 550795A JP 2856385 B2 JP2856385 B2 JP 2856385B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、海洋生物の増養殖促進
剤として有用な新しいピペコリン酸誘導体に関するもの
である。
剤として有用な新しいピペコリン酸誘導体に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来より、海洋生物の生態系において、
これら生物の行動を制御している化学物質に関して大き
な関心が寄せられている。即ち、個々の生物に関して
は、生殖、発生等生命の存続に関する現象をコントロー
ルしている物質の構造及び機能に関する研究が行われて
いる。一方、同種の生物間の行動(集合、警報)、ある
いは、異種の生物間の行動(防御)において機能してい
ると考えられる化学物質にも多大な興味がもたれてい
る。更に、前記の機能に加えて、抗腫瘍活性、各種酵素
阻害等の生物活性を有する化学物質の探索は、医薬品及
び研究用試薬の開発のためのリード化合物として供され
ている。従って、海洋生物から得られる生物活性物質に
関する研究は、海洋生物の生態系を解明するための基礎
的な研究にとどまらず、ひろく海洋生物資源の有効利用
の観点において産業的にも注目されている。
これら生物の行動を制御している化学物質に関して大き
な関心が寄せられている。即ち、個々の生物に関して
は、生殖、発生等生命の存続に関する現象をコントロー
ルしている物質の構造及び機能に関する研究が行われて
いる。一方、同種の生物間の行動(集合、警報)、ある
いは、異種の生物間の行動(防御)において機能してい
ると考えられる化学物質にも多大な興味がもたれてい
る。更に、前記の機能に加えて、抗腫瘍活性、各種酵素
阻害等の生物活性を有する化学物質の探索は、医薬品及
び研究用試薬の開発のためのリード化合物として供され
ている。従って、海洋生物から得られる生物活性物質に
関する研究は、海洋生物の生態系を解明するための基礎
的な研究にとどまらず、ひろく海洋生物資源の有効利用
の観点において産業的にも注目されている。
【0003】このような状況において、本発明者らは、
海洋生物の幼生の付着・変態機構について研究を進めて
きた。この領域は、遊泳している幼生が固着生活をする
成体へと変態する過程を制御している化学物質、あるい
は、変態に伴う各種器官の変化等、依然として未解明の
領域が多数残されている。とりわけ、海洋生物の幼生の
付着・変態については、これを誘起する活性物質につい
て十分に把握されていないのが現状である。
海洋生物の幼生の付着・変態機構について研究を進めて
きた。この領域は、遊泳している幼生が固着生活をする
成体へと変態する過程を制御している化学物質、あるい
は、変態に伴う各種器官の変化等、依然として未解明の
領域が多数残されている。とりわけ、海洋生物の幼生の
付着・変態については、これを誘起する活性物質につい
て十分に把握されていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、前述し
た状況に鑑みて、海洋生物、特にマボヤの幼生の付着・
変態を誘起する活性物質の検索を海洋生物を対象に行っ
たところ、海綿動物から、マボヤの幼生の付着・変態を
誘起する活性物質を単離し、構造を決定することに成功
し、本発明を完成するに至った。
た状況に鑑みて、海洋生物、特にマボヤの幼生の付着・
変態を誘起する活性物質の検索を海洋生物を対象に行っ
たところ、海綿動物から、マボヤの幼生の付着・変態を
誘起する活性物質を単離し、構造を決定することに成功
し、本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のピペコリン酸誘
導体は、次式(Ia)又は(Ib):
導体は、次式(Ia)又は(Ib):
【0006】
【化3】
【0007】(式中、Rは水素原子又は低級アルキル基
を表す。)で示される化合物又はその塩である。前記式
(Ia)及び(Ib)においてRで表される低級アルキ
ル基とは、炭素数1〜6のアルキル基をいい、例えばメ
チル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、
n−ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t−ブチ
ル基、n−ペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。本発
明のピペコリン酸誘導体のうち、前記式(Ia)及び
(Ib)におけるRが水素原子又はメチル基である化合
物、即ち、次式(Ia’)又は(Ib’):
を表す。)で示される化合物又はその塩である。前記式
(Ia)及び(Ib)においてRで表される低級アルキ
ル基とは、炭素数1〜6のアルキル基をいい、例えばメ
チル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、
n−ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t−ブチ
ル基、n−ペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。本発
明のピペコリン酸誘導体のうち、前記式(Ia)及び
(Ib)におけるRが水素原子又はメチル基である化合
物、即ち、次式(Ia’)又は(Ib’):
【0008】
【化4】
【0009】(式中、R’は水素原子又はメチル基を表
す。)で示される化合物は海綿動物より抽出・精製する
ことにより得ることができる。ここで用いる原料動物と
しては、海綿動物であれば特に制限はなく、例えば尋常
海綿綱の海綿動物、例えば、Anthosigmella aff. rarom
icrosclera等の Clionidae科;アバタカイメン、オウパ
ンカイメン等のパンカイメン科;ジュシコルクカイメ
ン、ツミイレカイメン、ハノウラカイメン、ヤマトトメ
バリカイメン等のコルクカイメン科;トウナスモドキ等
のテチス科などの硬海綿目に属するものが挙げられる。
す。)で示される化合物は海綿動物より抽出・精製する
ことにより得ることができる。ここで用いる原料動物と
しては、海綿動物であれば特に制限はなく、例えば尋常
海綿綱の海綿動物、例えば、Anthosigmella aff. rarom
icrosclera等の Clionidae科;アバタカイメン、オウパ
ンカイメン等のパンカイメン科;ジュシコルクカイメ
ン、ツミイレカイメン、ハノウラカイメン、ヤマトトメ
バリカイメン等のコルクカイメン科;トウナスモドキ等
のテチス科などの硬海綿目に属するものが挙げられる。
【0010】抽出溶媒としては、一般には有機溶媒、好
ましくはメタノール、エタノール、アセトン、プロパノ
ール等の水混和性溶媒が挙げられる。得られた抽出液は
濃縮後、好ましくは、水とエーテル等のエーテル系溶媒
で分配し、次いで、得られる水層をn−ブタノール等の
水と一部しか混和しない高極性有機溶媒で抽出した後、
有機層を精製することにより目的とするピペコリン酸誘
導体を効率よく得ることができる。
ましくはメタノール、エタノール、アセトン、プロパノ
ール等の水混和性溶媒が挙げられる。得られた抽出液は
濃縮後、好ましくは、水とエーテル等のエーテル系溶媒
で分配し、次いで、得られる水層をn−ブタノール等の
水と一部しか混和しない高極性有機溶媒で抽出した後、
有機層を精製することにより目的とするピペコリン酸誘
導体を効率よく得ることができる。
【0011】精製は、シリカゲルクロマトグラフィー、
逆相シリカゲルクロマトグラフィー、高速液体クロマト
グラフィー等を適宜組み合わせることにより行うことが
できる。また、本発明のピペコリン酸誘導体のうち、前
記式(Ia)及び(Ib)におけるRがメチル基以外の
低級アルキル基である化合物は、前記式(Ia)及び
(Ib)におけるRが水素原子である化合物を、金属塩
とした後ハロゲン化アルキルで処理するか、あるいは、
銅、ビスマス等からなるアルキル化金属試薬で処理して
N−アルキル化することにより得ることができる。
逆相シリカゲルクロマトグラフィー、高速液体クロマト
グラフィー等を適宜組み合わせることにより行うことが
できる。また、本発明のピペコリン酸誘導体のうち、前
記式(Ia)及び(Ib)におけるRがメチル基以外の
低級アルキル基である化合物は、前記式(Ia)及び
(Ib)におけるRが水素原子である化合物を、金属塩
とした後ハロゲン化アルキルで処理するか、あるいは、
銅、ビスマス等からなるアルキル化金属試薬で処理して
N−アルキル化することにより得ることができる。
【0012】本発明のピペコリン酸誘導体は、塩酸塩、
硫酸塩等の種々の塩に変換することができる。以上のよ
うにして得られる本発明のピペコリン酸誘導体又はその
塩は、マボヤ等の海洋生物の幼生の変態を促進する活性
を有し、海洋生物の増養殖促進剤として有用である。
硫酸塩等の種々の塩に変換することができる。以上のよ
うにして得られる本発明のピペコリン酸誘導体又はその
塩は、マボヤ等の海洋生物の幼生の変態を促進する活性
を有し、海洋生物の増養殖促進剤として有用である。
【0013】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明の範囲は、かかる実施例に限定される
ものではない。 (実施例1) (1)単離操作 四国佐田岬で採取した海綿(Anthosigmella aff. raromi
crosclera) 2.0kg(湿重量)をメタノール2Lで3回抽
出し、濃縮後、水 0.7Lとエーテル1Lで3回分配して
得られた水層をn−ブタノール1Lで3回抽出し、抽出
物11gを得た。
明するが、本発明の範囲は、かかる実施例に限定される
ものではない。 (実施例1) (1)単離操作 四国佐田岬で採取した海綿(Anthosigmella aff. raromi
crosclera) 2.0kg(湿重量)をメタノール2Lで3回抽
出し、濃縮後、水 0.7Lとエーテル1Lで3回分配して
得られた水層をn−ブタノール1Lで3回抽出し、抽出
物11gを得た。
【0014】マボヤの幼生に対する変態誘起活性を指標
として、n−ブタノール抽出物の精製を行った。まず、
1)逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(30, 6
0, 80%メタノール−水、メタノール)、2)逆相高速
液体クロマトグラフィー(トリフルオロ酢酸を含むアセ
トニトリル−水;A,15%アセトニトリル−水(0.01%
トリフルオロ酢酸)、B,50%アセトニトリル−水(0.
01%トリフルオロ酢酸);A 100%(0→10分),A 1
00→B 100%(10→40分);流速:3.0ml/min )による
精製の結果、前記活性を有する画分1(保持時間:56
分)69.5mg及び画分2(保持時間:60分)38.3mgを得
た。画分1は、ゲルろ過(90%メタノール−水(0.01%
トリフルオロ酢酸);流速:2.0ml/min )により、次式
(A):
として、n−ブタノール抽出物の精製を行った。まず、
1)逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(30, 6
0, 80%メタノール−水、メタノール)、2)逆相高速
液体クロマトグラフィー(トリフルオロ酢酸を含むアセ
トニトリル−水;A,15%アセトニトリル−水(0.01%
トリフルオロ酢酸)、B,50%アセトニトリル−水(0.
01%トリフルオロ酢酸);A 100%(0→10分),A 1
00→B 100%(10→40分);流速:3.0ml/min )による
精製の結果、前記活性を有する画分1(保持時間:56
分)69.5mg及び画分2(保持時間:60分)38.3mgを得
た。画分1は、ゲルろ過(90%メタノール−水(0.01%
トリフルオロ酢酸);流速:2.0ml/min )により、次式
(A):
【0015】
【化5】
【0016】で示されるアミノ酸誘導体40.7mg(海綿の
湿重量に対して2.0 ×10-3%)及び画分3(6.76mg)を与
えた。画分3は、逆相高速液体クロマトグラフィー(12
%アセトニトリル−水(0.01%トリフルオロ酢酸);流
速:2.0ml/min )による精製の結果、次式(B)又は
(B’):
湿重量に対して2.0 ×10-3%)及び画分3(6.76mg)を与
えた。画分3は、逆相高速液体クロマトグラフィー(12
%アセトニトリル−水(0.01%トリフルオロ酢酸);流
速:2.0ml/min )による精製の結果、次式(B)又は
(B’):
【0017】
【化6】
【0018】で示されるピペコリン酸誘導体1.53mg(海
綿の湿重量に対して7.7 ×10-5%)を与えた。画分2
は、逆相高速液体クロマトグラフィー(15%アセトニト
リル−水(0.01%トリフルオロ酢酸);流速:2.0ml/mi
n )による精製の結果、次式(C)又は(C’):
綿の湿重量に対して7.7 ×10-5%)を与えた。画分2
は、逆相高速液体クロマトグラフィー(15%アセトニト
リル−水(0.01%トリフルオロ酢酸);流速:2.0ml/mi
n )による精製の結果、次式(C)又は(C’):
【0019】
【化7】
【0020】で示されるピペコリン酸誘導体4.16mg(海
綿の湿重量に対して2.1 ×10-4%)を与えた。 (2)構造決定 アミノ酸誘導体(A)は、FAB(Fast Atom Bombardm
ent)マススペクトル(正イオンモード)ではm/z 318 に
イオンピーク[(M+H)+ ]が観測され、対応する分子式
は高分解能FABマススペクトルによりC15H19N5 O
3 であった。2次元NMRスペクトル等各種スペクトル
の解析により、アミノ酸誘導体(A)の構造を前記式
(A)に示す通りに決定した。デヒドロチロシン部分の
構造は、2次元NOEスペクトル(NOESY)の解析
の結果、9.76ppm のNHと7.34ppmのH-5' が立体的に
近いことから決定した。アルギニン部分は、アミノ酸誘
導体(A)を加水分解し、加水分解物を光学分割用高速
液体クロマトグラフィーカラムで分析した結果、L−型
であると決定した。アミノ酸誘導体(A)の物理化学定
数は、以下の通りである。
綿の湿重量に対して2.1 ×10-4%)を与えた。 (2)構造決定 アミノ酸誘導体(A)は、FAB(Fast Atom Bombardm
ent)マススペクトル(正イオンモード)ではm/z 318 に
イオンピーク[(M+H)+ ]が観測され、対応する分子式
は高分解能FABマススペクトルによりC15H19N5 O
3 であった。2次元NMRスペクトル等各種スペクトル
の解析により、アミノ酸誘導体(A)の構造を前記式
(A)に示す通りに決定した。デヒドロチロシン部分の
構造は、2次元NOEスペクトル(NOESY)の解析
の結果、9.76ppm のNHと7.34ppmのH-5' が立体的に
近いことから決定した。アルギニン部分は、アミノ酸誘
導体(A)を加水分解し、加水分解物を光学分割用高速
液体クロマトグラフィーカラムで分析した結果、L−型
であると決定した。アミノ酸誘導体(A)の物理化学定
数は、以下の通りである。
【0021】IR νmax (KBr) 3340, 3185, 1675, 142
5, 1205, 1175, 1135cm-1 UV λmax (MeOH) 223.5 (ε4700), 318nm(6000)1 H及び13C NMR (DMSO-d6) (表1参照)
5, 1205, 1175, 1135cm-1 UV λmax (MeOH) 223.5 (ε4700), 318nm(6000)1 H及び13C NMR (DMSO-d6) (表1参照)
【0022】
【表1】 ───────────────────────────── atom 13C mult 1H mult J (Hz) ───────────────────────────── Arg 1 166.7 s 2 54.5 d 3.99 (1H) m 3 31.1 t 1.72 (2H) m 4 23.9 t 1.53 (2H) m 5 40.3 t 3.10 (2H) m 6 156.6 s 2-NH 8.39 (1H) s 5-NH 7.56 (1H) br.s 6-NH, NH2 7.10 (3H) br.s ΔTyr 1' 160.8 s 2' 124.0 s 3' 115.1 d 6.61 (1H) s 4' 124.2 s 5', 9' 130.9 d 7.34 (2H) d 8.5 6', 8' 115.5 d 6.78 (2H) d 8.5 7' 157.5 s NH 9.76 (1H) br.s OH 9.76 (1H) br.s ───────────────────────────── FABMS (正イオンモード、マトリックス:チオグリセリ
ン)m/z 318 (M+H)+ HRFABMS (正イオンモード、マトリックス:ポリエチレ
ングリコール)実測値m/z 318.1562 (calcd for C15H20
N5O3,Δ-0.4mmu)
ン)m/z 318 (M+H)+ HRFABMS (正イオンモード、マトリックス:ポリエチレ
ングリコール)実測値m/z 318.1562 (calcd for C15H20
N5O3,Δ-0.4mmu)
【0023】画分2から得られたピペコリン酸誘導体
((C)又は(C’))は、FAB(Fast Atom Bombar
dment)マススペクトル(正イオンモード)ではm/z 232
にイオンピーク[(M+H)+ ]が観測され、対応するイオ
ン組成式は高分解能FABマススペクトルによりC13H
14NO3 であり、従って分子式はC13H13NO3 であっ
た。DMSO-d6 中の2次元NMRスペクトル等各種ス
ペクトルの解析により、該化合物の構造を前記式(C)
であると決定した。ところで、該化合物は、メタノール
中では、前記式(C)とは異なった構造をとることがM
eOH-d4 中のNMRスペクトルより明らかとなった。
解析の結果、前記式(C)と前記式(C’)が 1:2 の
平衡にあると考えられた。前記式(C’)は、ラクトン
部分が開環し双性イオン構造となり、共役系がのびて黄
色の安定構造をとっている。該ピペコリン酸誘導体
((C)又は(C’))の物理化学定数は、以下の通り
である。
((C)又は(C’))は、FAB(Fast Atom Bombar
dment)マススペクトル(正イオンモード)ではm/z 232
にイオンピーク[(M+H)+ ]が観測され、対応するイオ
ン組成式は高分解能FABマススペクトルによりC13H
14NO3 であり、従って分子式はC13H13NO3 であっ
た。DMSO-d6 中の2次元NMRスペクトル等各種ス
ペクトルの解析により、該化合物の構造を前記式(C)
であると決定した。ところで、該化合物は、メタノール
中では、前記式(C)とは異なった構造をとることがM
eOH-d4 中のNMRスペクトルより明らかとなった。
解析の結果、前記式(C)と前記式(C’)が 1:2 の
平衡にあると考えられた。前記式(C’)は、ラクトン
部分が開環し双性イオン構造となり、共役系がのびて黄
色の安定構造をとっている。該ピペコリン酸誘導体
((C)又は(C’))の物理化学定数は、以下の通り
である。
【0024】IR νmax (KBr) 3300, 1680, 1640, 1570
cm-1 UV λmax (MeOH) 229 (ε7300), 249(6400), 283(420
0), 368nm(14500) UV λmax (DMSO) 287nm (ε700)1 H及び13C NMR (DMSO-d6) (表2参照)
cm-1 UV λmax (MeOH) 229 (ε7300), 249(6400), 283(420
0), 368nm(14500) UV λmax (DMSO) 287nm (ε700)1 H及び13C NMR (DMSO-d6) (表2参照)
【0025】
【表2】 FABMS (正イオンモード、マトリックス:m−ニトロベ
ンジルアルコール)m/z 232 (M+H)+, 214 (M+H-H2O)+ HRFABMS (正イオンモード、マトリックス:ポリエチレ
ングリコール+m−ニトロベンジルアルコール)実測値
m/z 232.0953 (calcd for C13H14NO3, Δ0.0mmu)
ンジルアルコール)m/z 232 (M+H)+, 214 (M+H-H2O)+ HRFABMS (正イオンモード、マトリックス:ポリエチレ
ングリコール+m−ニトロベンジルアルコール)実測値
m/z 232.0953 (calcd for C13H14NO3, Δ0.0mmu)
【0026】画分3から得られたピペコリン酸誘導体
((B)又は(B’))は、FAB(Fast Atom Bombar
dment)マススペクトル(正イオンモード)ではm/z 246
[(M+H)+ ]と268 [(M+Na)+]にイオンピークが観測
されたが、強度が弱かったため高分解能FABマススペ
クトルを測定して分子式を得ることができなかった。D
MSO-d6 中の2次元NMRスペクトル等各種スペクト
ルの解析により、該化合物の構造を前記式(B)である
と決定した。前記式(B)は、前記式(C)のNHがN
Meになったものに相当するが、メタノール中では、前
記式(B)と前記式(B’)が 1:10の平衡にあること
が分かった。該ピペコリン酸誘導体((B)又は
(B’))の物理化学定数は、以下の通りである。
((B)又は(B’))は、FAB(Fast Atom Bombar
dment)マススペクトル(正イオンモード)ではm/z 246
[(M+H)+ ]と268 [(M+Na)+]にイオンピークが観測
されたが、強度が弱かったため高分解能FABマススペ
クトルを測定して分子式を得ることができなかった。D
MSO-d6 中の2次元NMRスペクトル等各種スペクト
ルの解析により、該化合物の構造を前記式(B)である
と決定した。前記式(B)は、前記式(C)のNHがN
Meになったものに相当するが、メタノール中では、前
記式(B)と前記式(B’)が 1:10の平衡にあること
が分かった。該ピペコリン酸誘導体((B)又は
(B’))の物理化学定数は、以下の通りである。
【0027】 IR νmax (KBr) 3200, 1680, 1650, 1570cm-1 UV λmax (MeOH) 249 (ε7100), 369(18400), 453nm(1
900) UV λmax (DMSO) 285 (ε6000), 357(2400), 486nm(36
00)1 H及び13C NMR (DMSO-d6) (表3参照)
900) UV λmax (DMSO) 285 (ε6000), 357(2400), 486nm(36
00)1 H及び13C NMR (DMSO-d6) (表3参照)
【0028】
【表3】 FABMS (正イオンモード、マトリックス:m−ニトロベ
ンジルアルコール)m/z 268 (M+Na)+, 246 (M+H)+
ンジルアルコール)m/z 268 (M+Na)+, 246 (M+H)+
【0029】(3)活性 アミノ酸誘導体(A)並びにピペコリン酸誘導体
((B)又は(B’))及び((C)又は(C’))を
それぞれマボヤの幼生に50μMの濃度で添加すると、全
ての幼生の変態が促進された。一方、無添加の幼生は全
く変態しなかった。
((B)又は(B’))及び((C)又は(C’))を
それぞれマボヤの幼生に50μMの濃度で添加すると、全
ての幼生の変態が促進された。一方、無添加の幼生は全
く変態しなかった。
【0030】
【発明の効果】本発明により海洋生物の増養殖促進剤と
して有用なピペコリン酸誘導体が提供される。
して有用なピペコリン酸誘導体が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07D 491/048 C07D 491/048 (56)参考文献 特開 平8−198859(JP,A) Terahedron,51(24), 6687−94(1995) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07D 211/90 C07D 491/048 CA(STN) REGISTRY(STN)
Claims (2)
- 【請求項1】 次式(Ia)又は(Ib): 【化1】 (式中、Rは水素原子又は低級アルキル基を表す。)で
示される化合物又はその塩。 - 【請求項2】 海綿動物より抽出・精製することを特徴
とする次式(Ia’)又は(Ib’): 【化2】 (式中、R’は水素原子又はメチル基を表す。)で示さ
れる化合物の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7005507A JP2856385B2 (ja) | 1995-01-18 | 1995-01-18 | 新規ピペコリン酸誘導体及びその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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1995
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