JP2855286B2 - 真核細胞生育促進剤およびこれを利用する真核細胞の培養方法 - Google Patents

真核細胞生育促進剤およびこれを利用する真核細胞の培養方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、真核細胞の生育促進剤およびこれを利用す
る真核微生物の培養方法に関する。
[従来の技術] 各種の微生物や培養細胞を培地上で生育せしめるにあ
たっては、培地中に種々の栄養成分、例えば、各種糖
類、有機酸、デンプン等の炭素源、各種アンモニウム
塩、硝酸塩、各種アミノ酸、ペプチド等の窒素源、各種
ビタミン類等、りん酸、マグネシウム、カルシウム、ナ
トリウム、カリウム等のミネラル類が含まれていること
が必要であり、このような成分を配合した培地で培養が
行なわれている。
また、このような個別の成分でなく、必要成分の大部
分を含むものとして、酵母エクストラクト、牛胎児血清
を利用することもまた知られている。
[発明が解決しようとする課題] しかし、遺伝子工学の進歩にともない、微生物や培養
細胞をより速やかに生育せしめる方法の開発が求められ
ており、迅速に微生物や培養細胞を増殖せしめる物質の
提供が求められている。
特に、最近の遺伝子操作による物質生産においては、
抗原性等の問題から利用細胞が大腸菌のような原核微生
物から、酵母等の真核微生物や動物、植物の培養細胞へ
と変わりつつあり、選択的に真核細胞を増殖せしめる方
法があれば便利であると考えられていた。
[課題を解決するための手段] 本発明者は、天然に存在する種々の物質についてその
抗菌活性を検討していたところ、抗菌作用を有するとい
われているプロポリスの水やアルコール等の親水性溶媒
の抽出物は意外にも抗菌活性がなく、逆に、真核微生物
に対する著しい生育促進作用を有することを見出した。
そして、このプロポリスの親水性溶媒抽出物を培地中
に添加すれば、真核細胞および真核微生物を選択的に生
育促進することを見出し本発明を完成した。
すなわち本発明の目的は、プロポリスの親水性溶媒抽
出物を有効成分として含有する真核細胞生育促進剤を提
供することである。
また、本発明の他の目的は、上記生育促進剤を添加し
た培地中に真核細胞を接種し、これを培養することを特
徴とする真核細胞の培養方法を提供することである。
本発明の真核細胞生育促進剤の有効成分であるプロポ
リスの親水性溶媒抽出物は、常法によりプロポリスを水
若しくはアルコール等の親水性溶媒で抽出することによ
り得られる。
原料であるプロポリスは、ミツバチが植物より採取し
てきた樹脂状物質であり、古くからヨーロッパを中心に
民間薬として用いられている物質である。
プロポリスは、生産地等によりその成分が若干変化す
ることが知られているが、本発明で用いるプロポリスの
好ましいものとしては、ブラジル産のものが挙げられ
る。
上記プロポリスの親水性溶媒による抽出は、必要に応
じてプロポリスをクロロホルム等の有機溶媒によって抽
出した後、親水性溶媒を加えることによって実施され
る。
抽出に用いられる親水性溶媒としては、水、メタノー
ル、エタノール、 等のアルコールおよびこれらの混合溶媒が挙げられる。
抽出処理は、プロポリス1kgに対し1,000〜2,000ml程
度の親水性溶媒を用い、20〜30℃程度の温度で、24〜48
時間程度実施することが好ましい。抽出操作が終了した
後は、濾過、遠心分離等の手段により、プロポリス残渣
を分離し、親水性溶媒抽出物を得ることができる。
なお、抽出操作に先立って、例えばn−ヘキサン等の
有機溶媒で予備抽出することもできる。
かくして得られるプロポリスの親水性溶媒抽出物は、
公知の微生物や細胞培養用培地に、真核細胞生育促進剤
として添加することができる。
本発明の真核細胞生育促進剤によって生育が促進され
る真核細胞としては、サッカロミセス属、カンジタ属等
の酵母類、アスペルギルス属、ペニシリウム属等の糸状
菌類等の真核微生物およびカイコ、ヨトゥムシ、クワゴ
マダラヒトリ、マウス白血病細胞等の動物細胞、ワサ
ビ、オタネニンジン、サフラン等の植物細胞等の真核細
胞から導かれた真核培養細胞等を挙げることができる。
これらの真核細胞培養用培地中へのプロポリスの親水
性溶媒抽出物の添加量は、真核性の微生物や細胞の生育
程度や要求する増殖速度を検討、勘案しつつ添加すれば
良く、特に制限されるものではないが、一般には、培地
1l当り0.1〜30g程度、好ましくは25〜30g程度添加すれ
ば良い。
本発明の真核細胞生育促進剤を添加した培地を利用す
る真核微生物および細胞の培養は、常法により行なえば
良く、特に制限等はない。
[作用] 従来から、プロポリスには主成分としてフラボノイド
が含まれており、この作用により抗菌活性を示すとされ
ている。
しかしながら、従来、プロポリスにもフラボノイドに
も真核微生物等の生育を促進することは知られておら
ず、また、後記の実施例からも明らかなようにフラボノ
イドを多く含むプロポリスの有機溶剤抽出画分ではほと
んど真核細胞の生育促進作用は認められないので、これ
らの作用ではなく、従来知られていない新規な機序によ
る作用であると判断される。
[発明の効果] 本発明のプロポリスの親水性溶媒抽出物は、従来の微
生物および細胞の生育促進物質と比べ、その生育促進作
用が著しく大きいものである。しかもその生育促進作用
は、真核性の微生物や細胞に対して選択的なものであ
る。したがって、本発明の真核細胞生育促進剤は、真核
微生物や細胞を利用して有用物質を生産せしめる場合に
極めて有用なものである。
[実 施 例] 次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明する。
実施例 1 プロポリスの親水性抽出物の製造: プロポリス(ブラジル産)10gを秤取し、100ml程度の
ビーカーに入れ、薬さじ等でなるべく細かく粉砕する。
そこに20mlのクロロホルムを添加し、マグネティックス
ターラーを用いて30分〜60分程度撹拌しながら抽出す
る。その後、濾紙で濾過して抽出液と残渣を分ける。残
渣に対してクロロホルム20mlで同様に抽出を繰り返す。
得られた抽出液を合わせ、エバポレータで濃縮し、完
全に溶媒をとばして質量を測定(7.14g)する。
次にクロロホルム抽出液の残渣をメタノール20mlで抽
出する。抽出操作はクロロホルムの場合と同様である。
メタノールで2回抽出後、10〜100倍に濃縮し、本発明
抽出物1 1.74g得た。
最後に、メタノール抽出の残渣を蒸留水20mlで抽出す
る。濾紙で濾過して得られた水抽出液を凍結乾燥するこ
とにより本発明抽出物2の粉末0.27gを得た。
実施例 2 実施例1で得た本発明抽出物1および2と、同実施例
中のクロロホルム抽出で得られた抽出物について、その
各種微生物に対する作用を以下のペーパーディスク法に
より調べた。
ペーパーディスク法: (使用培地) 真菌用培地として、サブロー寒天培地(Sabouraud de
xtrose agar)を、細菌用培地として感受性測定用寒天
培地(変法ミュラー・ヒントン培地;「日水製薬」)を
それぞれ使用した。
(接種菌液の調整) 酵母菌類はサブロー寒天培地上で27℃、48〜72時間培
養したものを滅菌生理食塩水に懸濁し、血球計算板にて
108/mlに調整した。糸状菌類は、ポテトグルコース寒天
斜面培地上で27℃で最大発育に達するまで培養し、十分
胞子着成した菌株を使用した。0.05%(v/v)ツイーン
(Tween)80を添加した滅菌生理食塩水に胞子を採取し
これをガラスフィルターにて濾過し、これを108/mlに調
整した。
また、細菌は、トリプトソーヤブイヨン(tripticase
soy broth;「日水製薬」)で37℃、18〜20時間培養し
たものを滅菌生理食塩水にて希釈、106/mlに調製し、使
用した。
(寒天平板の調製) 三角フラスコ(500ml)に各培地を300ml調製し、オー
トクレーブ(121℃、15分)で滅菌する。滅菌終了後、
水浴を用いて培地を50℃に保温し、調整した接種菌液
(108/ml)3mlを添加する。
フラスコごと振って菌液を培地に均一に混合する。寒
天が固まる前に、メスピペットを用いてすばやく10mlず
つ滅菌シャーレに分注する。以上の操作で最終濃度106/
mlの菌が添加された寒天平板が完成する。
(試料の調製) プロポリスより抽出した、クロロホルム抽出物、本発
明抽出物1及び2の各0.25gを、それぞれクロロホル
ム、メタノール、水10mlに溶解して試料液とした。
(ペーパーディスクへの試料の添加) 市販のペーパーディスク(Advantec Toyo,Thin)を調
整した試料液に浸して十分吸収させ、濾紙上に置いて溶
媒を蒸発させる。
(寒天平板へのディスクの設置) 試料を含んだディスクをピンセットを用いて寒天平板
上に置き、ピンセットで上から軽く押さえて密着させ
る。
(培 養) 真菌類については、ディスクを設置した寒天平板を27
℃で3〜5日間培養した。
細菌類については、ディスクを設置した寒天平板を37
℃で24時間培養した。
(結果) ペーパーディスクの結果を第1表にしめす。
また、生育が促進された酵母(Saccharomyces cerevi
siae)および糸状菌(Aspergillus niger、Penicillium
expansum)については、その生育状況をそれぞれ第1
〜3図に示した。
この結果から明らかなように、原核微生物であるぶど
う球菌(Staphylococcus aureus)および枯草菌(Bacil
lus subtilis)に対しては本発明抽出物1およびクロロ
ホルム抽出物が生育阻止作用を示したが、真核微生物で
あるカンジダ(Candida albicans)、酵母(Saccharomy
ces cerevisiae)、糸状菌(Aspergillus niger、Penic
illium expansum)に対しては本発明抽出物1および2
が生育促進作用を示した。
そして、上記生育促進作用は、第1〜3図に示すとお
り、著しいものであった。
なお、一般に微生物や細胞の生育促進物質としては、
各種ビタミン類、アミノ酸等の窒素源など多くの物が知
られている。
そこで、プロポリスの親水性溶媒抽出物の対照区とし
て、ビタミンB1、B2、B6、C、ニコチンアミド、パント
テン酸、葉酸、酵母エキス、硫酸アンモニウム等の各溶
液を調製し、同条件下にてペーパーディスク法を実施し
たが真核細胞の増殖促進作用は全く認められなかった。
【図面の簡単な説明】 第1図は、生育中の酵母、サッカロミセスセレビシェの
生物形態を示す図面に代わる写真である。 第2図は、生育中の糸状菌、アスペルギルス・ニガーの
生物形態を示す図面に代わる写真である。 第3図は、生育中の糸状菌、ペニシリウム・エクスパン
サムの生物形態を示す図面に代わる写真である。 尚各写真において、上部にある円はクロロホルム抽出物
の添加部を、右下円は本発明抽出物1の添加部を、左下
円は本発明抽出物2の添加部をそれぞれ示す。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プロポリスの親水性溶媒抽出物を有効成分
    として含有する真核細胞生育促進剤。
  2. 【請求項2】プロポリスの親水性溶媒抽出物を有効成分
    として含有する真核細胞生育促進剤を添加した培地中に
    真核細胞を接種し、これを培養することを特徴とする真
    核細胞の培養方法。
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