JP2853276B2 - 液晶光学素子及びその製造方法 - Google Patents

液晶光学素子及びその製造方法

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JP2853276B2 JP14734790A JP14734790A JP2853276B2 JP 2853276 B2 JP2853276 B2 JP 2853276B2 JP 14734790 A JP14734790 A JP 14734790A JP 14734790 A JP14734790 A JP 14734790A JP 2853276 B2 JP2853276 B2 JP 2853276B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は透過散乱型の液晶光学素子及びその製造方法
に関するものである。
[従来の技術] 近年、光散乱を動作原理とする液晶光学素子が再び注
目を集めてきている。
英国特許1442360号には液晶ガラス球を用いて屈折率
の一致不一致により透過−散乱を制御する液晶光学素子
が示されており、特表昭58−501631にはポリビニルアル
コールを使ってマイクロカプセル化したネマチック液晶
を用いて屈折率の一致不一致により透過−散乱を制御す
る液晶光学素子が示されている。このほか、同様の素子
は、特開昭60−252687号に種々のラテックス取り込み液
晶により、特表昭61−502128号にエポキシ樹脂中に液晶
を分散固化させる方法により作成されている。
これらの素子では、表示に必要な電極をパターニング
しなくてはならなかった。
この表示としては、電極が対向している部分と対向し
ていない部分との透過−非透過(透過率の値が2値)の
2値表示しかできなかった。
また、丸や四角の枠の中に図形や文字を表示すること
はできなかった。
また、電圧を印加した時のみ表示を行うものであっ
た。
[発明の解決しようとする課題] 本発明者らは、特開昭63−301922号で、マスクを用い
て、固化性化合物として光硬化性化合物を用い、これを
光露光により固化させて液晶物質と固化物との相分離を
固定化することにより、特定のパターンで特定の配向を
生じせしめて、その部分を常透過部分や常散乱部分にす
ることを提案している。
この固定表示を形成する方法は、マスクを取り替える
ことにより、自由な固定表示パターンを得ることができ
る反面、位置合わせミスによる露光時にパターンずれを
生じたり、マスクが基板の外側に配置されるため基板の
厚みの視差を生じパターンの周辺部にぼけた部分が形成
されたりする傾向があり、さらに2回露光が必要になる
という問題点を有しており、かかる点の改善が望まれて
いた。
[課題を解決するための手段] 本発明は、前述の課題を解決すべくなされたものであ
り、得られる固化物の屈折率が、使用する液晶物質の電
圧印加時または電圧非印加時のいずれかでの屈折率と一
致するように選ばれた固化性化合物及び液晶物質の混合
物を一対の電極付基板間に保持し、固化性化合物を固化
させて液晶物質と固化物との相分離を固定化した液晶光
学素子の製造方法において、表示用パターンを形成した
電極と固定表示用パターンを形成した電極を絶縁層を介
して積層した2層電極付基板を前記一対の電極付基板の
少なくとも一方として配置し、固化性化合物を固化させ
る際に、固定表示用パターンを形成した電極とそれに対
向する電極との間に電圧を印加し、固定表示用パターン
部分に特定の配向を生じせしめることを特徴とする液晶
光学素子の製造方法、及び、その得られる固化物の屈折
率が液晶の常光屈折率(n0)と一致するように選択さ
れ、電圧の印加の有無によらずに常に光が透過する液晶
光学素子の製造方法、及び、その固化性化合物が、光硬
化性化合物であり、光露光により固化せしめられる液晶
光学素子の製造方法、及び、それらの製造方法により製
造された液晶光学素子を提供するものである。
本発明の素子は、液晶と固化性化合物を用いて、固化
過程を経ることにより、液晶と固化物とを相分離により
固定化させ、固化物のマトリクッス中に液晶物質が散在
した構造となり、液晶と固化物の分布が一様となり、外
観品位、生産性に優れている。
本発明では、電圧を印加していない状態又は印加して
いる状態のいずれか一方での液晶物質の屈折率が、固化
させられた固化物の屈折率と一致するようにされる。こ
れにより、得られた固化物の屈折率と液晶物質の屈折率
とが一致した時に光が透過し、一致しない時に光が散乱
(白濁)することになる。
好ましい1つの態様としては、液晶物質を常光屈折率
(no)が固化させられた固化物の屈折率と一致するよう
にされるものがあり、電圧非印加において散乱状態、電
圧印加状態において透過状態となる。
この特性を生かして、本発明の液晶光学素子は調光体
に使用するとその効果が大きい。
本発明では、この固化工程の際に特定の部分のみに電
圧を印加した状態で固化させることにより、特定の配向
が形成される。通常、しきい値電圧以上の電圧を印加し
た状態で固化させることにより、その部分が常に光透過
状態または光散乱状態となる。即ち、電圧印加時に透過
状態になる液晶光学素子の場合には、電圧を印加した状
態で固化することにより、常透過状態となる。逆に、電
圧印加時に散乱状態になる液晶光学素子の場合には、電
圧を印加した状態で固化することにより、常散乱状態と
なる。
もっとも、使用する固化性化合物と液晶物質との系に
より、この印加電圧に対する配向形成に差があるため、
しきい値電圧以上の電圧を印加しても、常に光透過状態
にならないこともあり、しきい値電圧よりも充分高い電
圧を印加したり、系の配合を適切に選択するようにす
る。
この部分は、固化後には電圧の印加に無関係に光がほ
ぼ透過または散乱する。これにより、電極のパターニン
グをすることなしに、特定の文字や図形を表示可能、即
ち、固定表示可能となる。また、文字、図形、グラフ等
を連続した枠で囲むことも容易に可能となり、表示の自
由度、表示パターンの設計の容易性が向上するという利
点も有する。
その際に、低めの電圧を印加した状態で固化させた部
分や、電圧は印加したが短時間であった部分は、ある程
度光が透過して、かつ電圧の印加により光の透過率が変
化するようになる。これにより、中間調の部分を形成す
ることができる。
第1図は、本発明の液晶光学素子の断面図を示してい
る。
第1図において、1A、1Bは基板、2Aは固定表示形成用
のパターンを形成した電極、2Bは表示用のパターンを形
成した電極、2Cはそれらの対向電極、3は電極2Aと電極
2Bとの間に積層されている絶縁層、2は液晶物質が分散
した固化物による液晶分散層を示している。
この場合、電極2Aと電極2Cとの対向しているパターン
が固定表示パターンとなる。電極2Cが全面ベタ電極であ
れば、電極2Aのパターン自体が固定表示パターンとな
り、電極2Cが全面ベタ電極でなければ、そのパターンと
電極2Aのパターンの対向している部分のパターンが固定
表示パターンとなる。
この基板1A、1Bは、ガラス、プラスチック等の基板で
あり、少なくとも一方の基板は透明とされる。電極2A、
2B、2Cは通常ITO(In2O3−SnO2)、SnO2等の透明電極と
される。なお、裏側の基板が不透明である場合には、裏
側の電極は不透明な電極であってもよい。
また、絶縁層はSiO2、TiO2、ZrO2等の無機物の層であ
っても、ポリイミド、ポリアミド、シリコン等の有機物
の層であってもよい。
この絶縁層を介して積層された電極2Aと2Bとは、いず
れが基板側であってもよいし、3層構造にすることもで
きる。もっとも、表示用の電極2Aを基板側にする方が、
駆動時の電圧を低下させる点で有利である。
第2図は、本発明の液晶光学素子の他の例の断面図を
示している。
第2図において、11A、11Bは基盤、12Aは固定表示形
成用のパターンを形成した電極、12Bは表示用のパター
ンを形成した電極、12Cはその表示用の対向電極、12Dは
固定表示形成用の対向電極、13A、13Bは電極12Aと電極1
2Bとの間及び電極12Cと電極12Dとの間に積層されている
絶縁層、14は液晶物質が分散した固化物による液晶分散
層を示している。
この例は、夫々の基板に固定表示形成用のパターンを
形成した電極が形成されている。第1図の例よりも構成
は複雑となるが、電極12Aのパターンと電極12Dのパター
ンとの対向部分が固定表示パターンとなるので、複雑な
固定表示パターンを形成することを希望する場合には有
効である。
この場合も、電極12A、12B及び電極12C、12Dは夫々上
下逆であってもよい。
本発明においては、固化性化合物と液晶物質との系に
より、印加電圧に対する配向形成に差があるため、形成
したい配向状態により、印加電圧は実験的に定めること
が好ましい。
なお、本発明ではこの固化物の屈折率と、使用する液
晶物質の屈折率とを一致させるものであり、この一致と
は完全に一致させることが好ましいものである。もっと
も、固化物として有機物を用いる場合には、透過状態に
悪影響を与えない程度に、ほぼ一致するようにしておけ
ば良い。これは、液晶物質により有機物の固化物が膨潤
して、固化物が本来持っていた屈折率よりも液晶物質の
屈折率に近ずくため、この程度の差があっても、光をほ
ぼ透過するようになる。
本発明では、光、熱等により固化する化合物や混合に
より固化性の化合物が使用される。この固化時には、所
望の部分に特定の配向を形成させて、固定表示部分を形
成することが容易にできる。
即ち、基板の電極の固定表示用のパターンとその対向
電極間に電圧を印加しつつ固化することにより、容易に
特定の部分のみを固化させて、特定の配向を形成させ
て、常に光が透過してくるか散乱している固定表示部分
を形成することができる。しかもこの場合には、同時に
他の正常な部分(電圧の印加状態により透過−散乱を制
御できる部分)も固化することができ、固化の固定が1
工程ですむ。
これにより、2工程でも固化できる光硬化性化合物は
もちろんのこと、1工程で全体が固化してしまう熱硬化
性化合物や、2液混合硬化型の化合物を用いることもで
きるし、加熱して溶融状態にしておいてこれを冷却して
固化させるような化合物を用いることもできる。本発明
では固化時間とか取り扱い易さの点からみて、光硬化性
化合物の使用が最適である。
この光硬化性とは、赤外線、可視光線、紫外線、電子
線によって固化する化合物であればよい。その光の作用
も、固化を促進するものであれば何でもよく、光子、電
子、熱のいずれによってでもよい。
また、重合の系は、均一、不均一系を問わない。例え
ば、光硬化性化合物と液晶との混合物であってもよい
し、光硬化性化合物と液晶をポリビニルアルコール等と
混合しマイクロカプセル化したものでもよい。
本発明で使用される、光硬化性化合物は、硬化速度を
速めたいなら、光硬化開始剤を加えるなどしてよく、ラ
ジカル種により光硬化可能なものであれば、外観品位、
信頼性にすぐれた素子を作成することができる。
本発明では、これら光硬化性ビニル系化合物の使用が
好ましい。中でも、アクリロイル系化合物を使用するこ
とが、光露光後の液晶と固化物の相分離状態及びその均
一性にすぐれていること、また光露光による固化速度を
速く固化物が安定であることから好ましい。尚ここでい
うアクリロイル系化合物のアクリロイル基は、α位、β
位の水素がフェニル基、アルキル基、ハロゲン原子、シ
アノ基等で置換されていてもよい。
本発明では、これらの光硬化性ビニル系化合物の内、
光照射によって重合固化するもの、特に重合高分子化す
るオリゴマーを含有するものが好ましい。
具体的には、光硬化性ビニル系化合物としてビニル基
を2個以上含有するアクリルアリゴマーを15〜70wt%含
有することが好ましく、光硬化後に固化に伴う収縮が少
なく、液晶光学素子に微小なクラックが発生しにくく、
成形性が良好となる。この場合、残りの部分は、ビニル
系のモノマーが使用できる。特に、アクリル系のモノマ
ーがアクリルオリゴマーと相性が良く好ましい。
また、固化性化合物は、単独もしくは複数混合で用い
てもよく、素子作成に必要な改質剤、作成した素子の改
質剤などを含んでいてもよい。具体的には、架橋剤、界
面活性剤、希釈剤、増粘剤、消泡剤、接着性付与剤、安
定剤、吸収剤、色素、重合促進剤、連鎖移動剤、重合禁
止剤などを含んでいてもよい。
本発明で使用される液晶物質は、ネマチック液晶物
質、スメクチック液晶物質等があり、単独で用いても組
成物を用いても良いが、動作温度範囲、動作電圧など種
々の要求性能を満たすには組成物を用いた方が有利とい
える。特に、ネマチック液晶の使用が好ましい。
また、使用される液晶物質は、固化性化合物に均一に
溶解することが好ましく、固化後の固化物とは、溶解し
ない、もしくは困難なものが必要であり、組成物を用い
る場合は、個々の液晶物質の溶解度ができるだけ近いも
のが望ましい。
本発明の素子を製造する際、固化性化合物と液晶物質
とは5:95〜45:55程度の混合物とすればよく、液状ない
しは粘稠物として使用されればよい。
本発明の素子を製造する際、調製する固化性化合物と
液晶物質との混合物は、透明電極付のガラス基板が、相
対向するように配して周辺をシールしたセルには、液状
で注入した方が一般に便利であり、透明電極付のプラス
チック、ガラス等の基板に塗布し、対向する基板を重ね
合わせようとする場合には、一般に粘稠状態の方が便利
である。
基板間ギャップは、5〜100μmにて動作することが
できるが、印加電圧、オン・オフ時のコントラストを配
慮すれば、7〜40μmに設定することが適当である。こ
のようにして、基板に保持した混合物を、光露光等によ
り、液晶物質と固化物との相分離状態で固定化する。
電圧印加時の液晶物質の屈折率と固化物の屈折率とが
一致するように選ばれた場合には、固化後は、固化物の
屈折率と液晶物質の屈折率が一致していなく、液晶物質
と固化物による屈折率散乱のため白濁状態となる。この
素子は、電圧を印加することにより、液晶物質の分子長
軸が電界方向に平行に配列し、固化物の屈折率と液晶物
質の屈折率が一致するため透過状態となる。
本発明では、この際に固定表示用パターンを形成した
電極を設けておいて、それにより固化時に部分的に電圧
を印加しつつ固化させて、固定表示のための特定の配向
を生じせしめる。
本発明では、固定表示を形成する電極を、表示用の電
極と区分けして2層に形成したので、パターンの自由度
が大きく、固定表示部分も通常の表示部分も同時に固化
することができ、固化工程が1工程ですむので、極めて
生産性が良いものである。
これにより、例えばドットマトリクス表示、セグメン
ト表示、バーグラフ表示に固定表示の文字や図形を組み
合わせたり、連続した枠を形成したりすることもでき
る。
さらに、前述のごとく、固化させる際の電圧をしきい
値電圧付近で段階的に変化させたり、電圧印加時間を調
整することにより、白濁度が低いが電圧により透過率が
変化する中間調の透過部分を形成してもよい。
このようにして作成した本発明の素子は、電圧印加時
に透過状態となる素子の場合には、特定の配向により常
に光が透過してくる部分と、通常は白濁しているが、電
圧を印加することにより、液晶が電界方向に平行に配列
し、固化物の屈折率と液晶の屈折率とが一致して透過状
態になるため透過率が変化する部分を有する。
また、電圧非印加時に透過状態となる素子の場合に
は、特定の配向により常に光が散乱している部分と、通
常は透過状態であるが、電圧を印加することにより、液
晶が電界方向に平行に配列し、固化物の屈折率と液晶の
屈折率とが一致しなくなり散乱状態になるため透過率が
変化する部分を有する。
もちろん、これらのいずれの場合においても、中間調
部分を形成することもできる。
本発明では、この液晶物質中に2色性色素や単なる色
素、顔料を添加したり、固化性化合物として着色したも
のを使用したり、基板に着色基板を使用したり、カラー
フィルターを積層したりして特定の色を付けることもで
きる。
特に、固化時に副生物を生じたり、溶媒を除去する必
要のない系を用いることが好ましく、中でも、液晶物質
を溶媒として使用し、固化性化合物として光硬化性化合
物を用い、光露光により光硬化性化合物を硬化させるこ
とが、信頼性が高く、生産性からみて好ましい。
本発明では、液晶物質と固化性化合物との混合物を、
一方の電極付基板上に流し込みもしくは塗布した後、他
方の電極付基板を積層し、固化性化合物を固化させても
よいし、予め2枚の電極付基板を相対向させて周辺をシ
ールし、セルを形成し、このセルに注入し、固化性化合
物を固化させるようにしてもよい。
このような液晶物質と固化性化合物のマトリクスによ
る液晶層を使用することにより、大面積にしても、上下
の透明電極が短絡する危険性が低く、かつ、通常のツイ
ストネマチック型の表示素子のように配向や基板間隙を
厳密に制御する必要もなく、液晶光学素子を極めて生産
性良く製造できる。特に、大面積を有する液晶光学素子
であっても、極めて生産性良く製造できる。
なお、光の透過状態のムラを少なくするためには、基
板間隙はある程度一定である方がよいので、ガラス粒
子、プラスチック粒子、セラミック粒子等の間隙制御用
のスペーサーを基板間隙に配置する方が好ましい。
このような液晶光学素子は、通常の液晶表示素子のよ
うな小型の表示素子や光シャッター素子としても、スコ
アボード、交通標識、広告体等の大面積の表示素子や、
窓、鏡、ショーウインドウ、ショウケース、家具、電気
製品用等の調光体としても好適である。
基板が薄いガラスやプラスチックの場合にさらに保護
のためにプラスチックやガラス等の保護板を積層した
り、基板を強化ガラス、合せガラス、線入ガラス等にし
てもよい等種々の応用が可能である。
この液晶光学素子を駆動するための駆動手段として
は、通常数〜100Vで10〜1000Hz程度の交流電圧を印加す
ることができるものが使用される。固化させる際に印加
する電圧は、ほぼ完全に透過または散乱状態にしたい場
合には、それよりもやや高い電圧を印加しつつ固化すれ
ばよい。もっとも、中間調を形成したい場合には中間程
度の電圧を印加すればよい。
また、電圧を印加しない時には、電極間をオープンに
するか短絡すればよい。
また、カラーフィルターを併用したり、液晶中に二色
性色素を混入したりしてカラー化したり、他のディスプ
レーであるTN液晶表示素子、エレクトロクロミック表示
素子、エレクトロルミネッセンス表示素子等と積層して
使用してもよく、種々の応用が可能である。
[実施例] 以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。
実施例1 n−ブチルアクリレート1部、2−ヒドロキシエチル
アクリレート1部及びアクリルオリゴマー(東亜合成化
学(株)製「M−1200」)4部、光硬化開始剤としてメ
ルク社製「ダロキュアー1116」を0.6部に液晶(BDH社製
「E−8」)を12部を均一に溶解し、25μmのセルギャ
ップをもったITO付ガラス基板セルに注入した。このITO
付ガラス基板セルは第1図のように片側の基板のみが2
層のITO電極とされており、基板側が固定表示したい文
字パターンにパターニングされ、液晶層側が表示用にパ
ターニングされた電極とした。電極間の絶縁層はSiO2
とした。
注入孔を封止した後、固定表示したい文字パターンに
パターニングされた電極と、他方の基板の対向電極との
間に50Hz、40Vの交流電圧を印加しつつ、紫外線照射装
置により、約60秒光照射した。
これにより、固定表示したい文字パターン型に透明な
部分があり、他の部分は白濁した素子が得られた。
この素子の表示用の電極と対向電極との間にAC50V(5
0Hz)が交流電圧を印加したところ、表示すべき部分が
透過状態となった。
なお、第2図のように両方の基板に電極を2層に形成
した基板を用いた場合にも、同様な効果が得られた。
実施例2 実施例1と同じセルを用いて、固化時の電圧を種々変
化させて、実施例1と同様にして固化させた。
このようにして製造した液晶光学素子は、固化時に印
加した電圧によって、常透過表示部分(固定表示部分)
の電圧を印加しない時の透過率が変化し、印加電圧が低
い程透過率が低いものであった。このやや白濁している
固定表示部分であっても、表示用の電極を有する部分
は、電圧印加によって完全に透過状態とすることができ
た。
実施例3 実施例1の混合物7部、ポリビニルアルコール3部を
水に分散後、2層のITO付きポリエチレンテレフタレー
トフィルム上に流延し、水を揮発させたあと、ITO付き
ポリエチレンテレフタレートフィルムを重ね合せた。そ
のセルギャップは20μmであった。
実施例1と同様にして作成した素子に交流電圧(AC50
V、50Hz)を印加したところ、同様の表示が得られた。
実施例4 着色硬化物として、ベストキュア161(東華色素化学
工業(株))を1.5部加えて分散させた以外は、実施例
1と同様にして素子を作製した。
実施例1の白濁部分が着色白濁した状態となった点を
除き、実施例1と同様の効果が得られた。
実施例5 実施例1の電極付基板を両方とも2層の電極付基板と
し、周辺部に枠状のパターンに常透過部分を形成し、そ
の内部にバーグラフを表示可能にしたセルを形成した。
このセルに実施例1と同様の液晶物質と光硬化性化合物
との混合物を注入し、実施例1と同様にして液晶光学素
子を形成した。
この素子は、電圧を印加しない状態で素子の周辺部に
枠状常透過部分があり、表示に応じてその中心部にバー
グラフが表示された。
実施例6 実施例5と同様の構成で、道路標識で、道路に相当す
るパターンを2本の線で示し、混雑している部分のみを
表示するようにパターニングした液晶光学素子を作成し
た。
この液晶光学素子は、常に道路が2本の線により固定
表示パターンで表示されており、混雑した路線のみがそ
の道路全体が透過状態となって表示された。
実施例7 実施例1の2層の電極を、表示用パターンを形成した
電極と、表示用パターン以外の部分を背景部分としてパ
ターニングした電極とを絶縁層を介して積層した基板を
用い、実施例1と同様にしてセルを形成した。
この背景部分をパターニングした電極と、他方の基板
の対向電極との間に50Hz、40Vの交流電圧を印加しつ
つ、紫外線照射装置により、約60秒光照射した。
これにより、表示用パターン部分以外の背景部分が透
過状態であり、表示用パターン部分は白濁した素子が得
られた。
この素子の表示用の電極と対向電極との間ににAC50V
(50Hz)の交流電圧を印加したところ、表示すべき部分
が透過状態となった。
[発明の効果] 以上の如く、本発明は、新規な液晶光学素子及びその
製造方法を提供するものであり、固定表示を形成する電
極を、表示用の電極と区分けして2層に形成したので、
固定表示部分も通常の表示部分も同時に固化することが
でき、固化工程が1工程ですむので、極めて生産性が良
いものである。
また、固定表示を形成する電極を、表示用の電極と区
分けして2層に形成しているので、固定表示のパターン
の自由度が大きく、種々の固定表示が可能であり、さら
に中間調の固定表示も容易に形成できる。
特に、固化性化合物として光硬化性化合物を用いるこ
とにより、短時間で固化ができ、生産性が高い。
本発明は、この外、本発明の効果を損しない範囲内で
種々の応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の液晶光学素子の断面図を示してい
る。 第2図は、本発明の液晶光学素子の他の例の断面図を示
している。 基板:1A、1B、11A、11B 電極:2A、2B、2C、12A、12B、12C、12D 絶縁層:3、13A、13B 液晶分散層:4、14
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02F 1/1333

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】得られる固化物の屈折率が、使用する液晶
    物質の電圧印加時または電圧非印加時のいずれかでの屈
    折率と一致するように選ばれた固化性化合物及び液晶物
    質の混合物を一対の電極付基板間に保持し、固化性化合
    物を固化させて液晶物質と固化物との相分離を固定化し
    た液晶光学素子の製造方法において、表示用パターンを
    形成した電極と固定表示用パターンを形成した電極を絶
    縁層を介して積層した2層電極付基板を前記一対の電極
    付基板の少なくとも一方として配置し、固化性化合物を
    固化させる際に、固定表示用パターンを形成した電極と
    それに対向する電極との間に電圧を印加し、固定表示用
    パターン部分に特定の配向を生じせしめることを特徴と
    する液晶光学素子の製造方法。
  2. 【請求項2】得られる固化物の屈折率が液晶の常光屈折
    率(no)と一致するように選択され、電圧の印加の有無
    によらずに常に光が透過する請求項1記載の液晶光学素
    子の製造方法。
  3. 【請求項3】固化性化合物が、光硬化性化合物であり、
    光露光により固化せしめられる請求項1または2記載の
    液晶光学素子の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1、2または3記載の製造方法によ
    り製造された液晶光学素子。
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