JP2852734B2 - コンクリート成型物自動成型機及び同成型方法 - Google Patents

コンクリート成型物自動成型機及び同成型方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、コンクリート成
型物を現場で自動的に連続機械施工するコンクリート成
型物自動成型機及び同成型方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、道路の中央分離帯、U字溝等の施
工を現場で機械施工することが行なわれている。この機
械施工は生コンクリートを機体に備えた型枠内に投入し
ながら走行し、型枠によりコンクリート成型物を連続的
に自動成型するもので、本出願人が開発したものであ
る。
【0003】ところで、従来の機械施工は脱型後の出来
形を目視によって確認し、これにより悪いところがあれ
ば経験上の観点からオペレーターが生コンクリートの圧
力を種々調整するものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記調整は非
常にファジーなものであり、しかも数値管理がし難いと
いう欠点があった。また生コンクリートの圧力調整は出
来形を見てから行なうため、常に事後的となり、不良成
型物が必ず存在してしまうことになる。
【0005】コンクリート成型物自動成型機における自
動成型においては、生コンクリートの圧力調整が重要な
課題となる。生コンクリートの圧力は、生コンクリート
の高さに比例するので、型枠の下面で最大圧となる。よ
って、その応力により走行路盤との摩擦が最も大きく、
また型枠の下部付近の側面と生コンクリートによる摩擦
も大きなものとなっている。したがって、生コンクリー
トの圧力調整が適正になされないと、生コンクリートは
その場に溜まる力が大きくなり型枠本体内で閉塞状態
(つまり現象)となる。型枠本体内における生コンクリ
ートと路盤又は/及び側面板との摩擦が大き過ぎ閉塞状
態(つまり現象)となると自動成型することができない
ので、生コンクリートの圧力は型枠本体では「0」より
大のプラス圧となるよう調整されている。ところが、こ
の値が大き過ぎ出口での生コンクリートの圧力がプラス
圧であるときは、脱型した瞬間にコンクリート成型物は
変形してしまい不良成型物となってしまう。このように
型枠に投入される生コンクリートの圧力は大き過ぎても
小さ過ぎてもならずその調整は難しく、出来形より判断
するオペレーターの勘に頼っているのが実情である。
【0006】本願発明は上記背景に鑑み、機械施工にお
ける生コンクリートの圧力を事前にかつ正確に調整し、
不良成型物を製作しないことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、本
発明によるコンクリート成型物自動成型機は、生コンク
リートを機体に備えた型枠内に投入しながら走行し、型
枠によりコンクリート成型物を自動成型する機械におい
て、型枠の適所に圧力測定用センサを設置し、該圧力測
定用センサを設置した部位の型枠に小孔を設け、生コン
クリートと上記圧力測定用センサとの間にグリス又は同
効物質を注入し、グリス又は同効物質を介して上記各所
での生コンクリートの圧力を測定し、この実測値に基づ
いて生コンクリートの圧力を調整することを特徴とす
る。その際、上記圧力測定用センサは型枠の流動化部、
半流動化部及び固化部に各々上中下3ケ所ずつ設置する
ことが考えられる。また、グリス又は同効物質を生コン
クリートの圧力より大きな圧力で注入することが考えら
れる。また、本発明は、生コンクリートを機体に備えた
型枠内に投入しながら走行し、型枠によりコンクリート
成型物を自動成型する方法において、型枠の適所に圧力
測定用センサを設置し、該圧力測定用センサの設置部位
の型枠に小孔を設け、生コンクリートと上記圧力測定用
センサとの間にグリス又は同効物質を注入し、グリス又
は同効物質を介して上記各所での生コンクリートの圧力
を測定し、この実測値をあらかじめ決められた理想圧力
分布と比較し、理想圧力分布でないときは理想圧力分布
になるよう生コンクリートの圧力を調整することを特徴
とするコンクリート成型物自動成型方法をも供する。そ
の際、上記圧力測定用センサは型枠の流動化部、半流動
化部及び固化部に各々上中下3ケ所ずつ設置することが
考えられる。また、グリス又は同効物質を生コンクリー
トの圧力より大きな圧力で注入することが考えられる。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、図1乃至図5に基づいてコ
ンクリート成型物自動成型機及び同成型方法を説明す
る。1はコンクリート成型物自動成型機であり、その機
体下部に型枠3を設置してある。
【0009】該型枠3は上面板5及び左右の側面板7、
7からなり、下面9及び前面11は開放されている。ま
た後面は開放され出口13となっている。上面板5の一
部は開口され、ここにホッパ15が型枠3と一体に連接
される。型枠3の後部は型枠本体4となっている。図1
中、14は型枠本体4の入口、16は路盤、17は該ホ
ッパ15より投入される生コンクリート、18は車輪で
ある。コンクリート成型物自動成型機1は矢印方向に走
行する。
【0010】投入された生コンクリート17が出口13
から脱型されるまでの間型枠本体4内を通過することに
なるが、この間の生コンクリート17の状態に応じて、
型枠本体4を流動化部4a、半流動化部4b、固化部4
cと区分する。この流動化部4a、半流動化部4b、固
化部4cの適所、例えば各々等間隔の上中下の部位
(a、b、c)(d、e、f)(g、h、i)に、セン
サ設置部19が3ケ所ずつ設けられ、ここに圧力測定用
センサ20を設置する。
【0011】図2に示す各所(a、b、c)(d、e、
f)(g、h、i)の各センサ設置部19に対応する型
枠本体4の側面板7には、直径6mm程度の小孔21を
設けてある。各センサ設置部19には油溜室22が形成
され、この油溜室22にグリス23を供給するグリスニ
ップル24を設ける。圧力測定用センサ20の圧力測定
板25は、該油溜室22に注入されたグリス23を介し
て、生コンクリート17に接している。圧力測定用セン
サ20は、増幅器27を介してメータリレー29又は/
及びコンピュータ・グラフィック部31に接続され、オ
ペレータが測定値を読み取る。この実測値に基づいてオ
ペレータが投入される生コンクリート17の圧力を調整
する。
【0012】かかる調整作業の結果蓄積されたデータが
分析され、型枠本体4の入口14の圧力管理をすれば足
りるようになった場合には、入口14の設置部a(図
2)のみに図4に示すような簡易型の圧力測定用センサ
33を取り付け、その余のセンサ設置部(図2のb乃至
i)の作動をOFFとする。圧力測定用センサ33は、
例えばステンレス製の平板からなる圧力測定板35を小
孔21まで延長し、この圧力測定板35により生コンク
リート17の圧力を直接測定する。37は圧力測定用セ
ンサ33を取付けるためのマグネットである。なお、こ
の圧力測定用センサ33は負圧の測定をすることができ
ないので流動化部4aにのみ用いる。
【0013】本願発明においては上記のように構成され
ているから、グリスを介して上記各所での生コンクリー
ト17の圧力を測定し、この実測値をあらかじめ決めら
れた理想圧力分布と比較し、理想圧力分布でないときは
理想圧力分布になるよう生コンクリート17の圧力を調
整することができる。
【0014】即ち、コンクリート成型物自動成型機によ
りコンクリート成型物を連続成型する場合、その出来形
に影響する要素は、主として、せん断、粘り抵抗等に起
因する生コンクリート17の性質(要素1)、振動によ
って流動化した生コンクリート17の自重による圧力
(要素2)及びコンクリート成型物の外周に加わる摩擦
抵抗力(要素3)である。このうち、要素3は生コンク
リート17の圧力と成型速度に起因し、この摩擦抵抗力
によって方向性をもたされたコンクリート成型物が一時
的に安定した状態となり出来形となる。成型の理想状態
は、図1に右方向の矢印で示すように、型枠3の入口1
4においてかかる生コンクリート17の自重による初期
圧力(要素2)がコンクリート成型物自動成型機1の進
行により摩擦抵抗力(要素3)となり、次第に圧力が減
少して出口13で圧力0となることである。けだし、出
口13での圧力を「0」より大(プラス圧)とすると、
型枠本体4より脱型した瞬間にコンクリート成型物は変
形してしまい不良成型物となってしまうからである。
【0015】実際には出口13より手前の点に圧力0の
点(ゼロ圧点13ghi)を求める。これは予期しない
外的要素の変化があっても出口13でプラス圧とならな
いようにするためである。ゼロ圧点13ghiは生コン
クリート17の構成によっても異なるが、概ね出口13
より20cm乃至45cm位の間に求めるのが望まし
い。上記ゼロ圧点13ghiと出口13との距離Lが大
きい生コンクリート17程安定した成型を行うことがで
きる。なお、このゼロ圧点13ghiから型枠本体4の
出口13の所々に負圧が発生したとしても、生コンクリ
ート17の性質(要素1)によりせん断されず成型され
る。したがって、型枠本体4の出口13(少なくとも出
口13手前のゼロ圧点13ghi)の圧力を「0」以下
とするよう入口14の圧力を初期設定することが必要で
あり、これにより型枠本体4の出口13の圧力分布が一
義的に決定される。この圧力分布を理想圧力分布と呼ぶ
ことにする。
【0016】理想圧力分布は管路の流体が図5のような
曲線となって移動するため、型枠本体4内においては生
コンクリート17が図5の曲線に類似した2次曲線とし
て動く。したがって、この生コンクリート17の移動曲
線に従った部位に圧力測定用センサ20を設置しておけ
ば、生コンクリート17の圧力を事前にかつ正確に把握
することができる訳である。こうして把握した実測値を
あらかじめ決められた理想圧力分布と比較し、理想圧力
分布でないときは理想圧力分布になるよう生コンクリー
ト17の圧力を調整すればコンクリート成型物の出来形
は良となる訳である。
【0017】ところで各所のセンサ設置部19において
は、グリス23を介して生コンクリート17の圧力を測
定する。図3に示すように、投入される生コンクリート
17は入口14より型枠本体4内に流入するときに一部
がグリス23を押して入り小孔21を塞ぐ形になる。こ
のまま生コンクリート17とグリス23との圧力関係が
変化しない場合、入口14の生コンクリート17が固化
しコンクリート化する。コンクリート化すれば圧力測定
板25はひずみの検知ができず圧力測定が不可能とな
る。そこで、グリスニップル24により新しいグリス2
3を生コンクリート17の圧力より大きな圧力で注入す
る。このようにすれば、入口14付近の小孔21(具体
的にはa、b、cに位置する小孔21)を塞いでいる生
コンクリート17を本流内に押し出すことができる。つ
まり、グリス23は生コンクリート17と圧力測定用セ
ンサ20の間に介在して、圧力の伝達をするとともに、
目詰まりした生コンクリート17を除去するための保護
膜として機能するのである。またグリス23は、圧力測
定用センサ20の圧力測定板25を保護する働きもあ
る。
【0018】この点を図6乃至図8を用いて説明する。
生コンクリート17の圧力は最大でも1kg/cm2
非常に小さいため、これを計測する圧力測定用センサ2
0の圧力測定板25の板厚も1/10mm程度と非常に
薄いものとなっている。したがって、このような圧力測
定板25を図6に示すように生コンクリート17に直接
接触させると、生コンクリート17の摩擦力によってす
ぐに破壊されてしまうのである。また図7に示すよう
に、生コンクリート17が充填された型枠本体4そのも
のにひずみ計39を設置した場合は、型枠本体4の全般
的な圧力の測定をすることはできるが、1kg/cm2
以下のひずみの測定は小さ過ぎて不可能である。また図
8に示すように、型枠本体4の側面板7に仕切板41を
設け、この仕切板41により小孔21を被覆し、仕切板
41と圧力測定板25との間にグリス23を介在させた
場合は、仕切板41が圧力測定板25より厚いと測定値
に大きな誤差が生じ、圧力測定板25より薄いと仕切板
41が生コンクリート17の摩擦力により破壊されてし
まう。したがって、本実施の形態のように圧力測定板2
5をグリス23を介して生コンクリート17に接触する
のがよいのである。
【0019】本願発明は上記した実施の形態に限定され
ない。例えば、型枠の設置箇所は任意であり、上記のよ
うに機体の下部に設置するタイプでも下部の側面に設置
するタイプでもよい。
【0020】また、小孔21の直径は適宜に変更するこ
とが可能である。
【0021】また、グリスの同効物質としては、生コン
クリート17と同等以上の粘性のあるもので、それ自体
1日〜2日で固まる特質のないもの、例えばパテ、コー
キング剤等を用いることもできる。
【0022】さらに、センサ設置部は流動化部4a、半
流動化部4b、固化部4cに4ヶ所以上設けてもよい。
【0023】
【発明の効果】このように、本発明にかかるコンクリー
ト成型物自動成型機及び同成型方法によれば、機械施工
における生コンクリートの圧力を事前にかつ正確に調整
することができ、良好なコンクリート成型物を安定して
製作することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるコンクリート成型物自動成型機
の実施の形態を示した概略側面図。
【図2】型枠への圧力測定用センサの設置位置を示す
図。
【図3】圧力測定用センサの一実施の形態を示す図で、
圧力測定用センサの一設置部をA矢視方向からみた拡大
図。
【図4】圧力測定用センサの他の実施の形態を示す図
で、圧力測定用センサの一設置部をA矢視方向からみた
拡大図。
【図5】管路内の流体の流動曲線を示す図。
【図6】型枠への圧力測定用センサの設置の試作例を示
す図。
【図7】型枠への圧力測定用センサの設置の試作例を示
す図。
【図8】型枠への圧力測定用センサの設置の試作例を示
す図。
【符号の説明】
1 コンクリート成型物自動成型機 3 型枠 4 型枠本体 4a 流動化部 4b 半流動化部 4c 固化部 5 上面板 7 側面板 9 下面 11 前面 13 出口 14 入口 15 ホッパ 16 路盤 17 生コンクリート 18 車輪 19 センサ設置部 20 圧力測定用センサ 21 小孔 22 油溜室 23 グリス 24 グリスニップル 25 圧力測定板 27 増幅器 29 メーターリレー 31 コンピュータ・グラフィック部 33 圧力測定用センサ 35 圧力測定板 37 マグネット 39 ひずみ計 41 仕切板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04G 21/02 103

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生コンクリートを機体に備えた型枠内に
    投入しながら走行し、型枠によりコンクリート成型物を
    自動成型する機械において、型枠の適所に圧力測定用セ
    ンサを設置し、該圧力測定用センサを設置した部位の型
    枠に小孔を設け、生コンクリートと上記圧力測定用セン
    サとの間にグリス又は同効物質を注入し、グリス又は同
    効物質を介して上記各所での生コンクリートの圧力を測
    定し、この実測値に基づいて生コンクリートの圧力を調
    整することを特徴とするコンクリート成型物自動成型
    機。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のコンクリート成型物自動
    成型機において、上記圧力測定用センサは型枠の流動化
    部、半流動化部及び固化部に各々上中下3ケ所ずつ設置
    することを特徴とするコンクリート成型物自動成型機。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載のコンクリー
    ト成型物自動成型機において、グリス又は同効物質を生
    コンクリートの圧力より大きな圧力で注入することを特
    徴とするコンクリート成型物自動成型機。
  4. 【請求項4】 生コンクリートを機体に備えた型枠内に
    投入しながら走行し、型枠によりコンクリート成型物を
    自動成型する方法において、型枠の適所に圧力測定用セ
    ンサを設置し、該圧力測定用センサの設置部位の型枠に
    小孔を設け、生コンクリートと上記圧力測定用センサと
    の間にグリス又は同効物質を注入し、グリス又は同効物
    質を介して上記各所での生コンクリートの圧力を測定
    し、この実測値をあらかじめ決められた理想圧力分布と
    比較し、理想圧力分布でないときは理想圧力分布になる
    よう生コンクリートの圧力を調整することを特徴とする
    コンクリート成型物自動成型方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のコンクリート成型物自動
    成型方法において、上記圧力測定用センサは型枠の流動
    化部、半流動化部及び固化部に各々上中下3ケ所ずつ設
    置することを特徴とするコンクリート成型物自動成型方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項4又は請求項5記載のコンクリー
    ト成型物自動成型方法において、グリス又は同効物質を
    生コンクリートの圧力より大きな圧力で注入することを
    特徴とするコンクリート成型物自動成型方法。
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