JP2850131B2 - 電圧制御発振回路 - Google Patents

電圧制御発振回路

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はコルピッツ型電圧制御発振回路に関し、特に
周波数限定素子として弾性表面波共振子あるいは水晶振
動子を使用する電圧制御発振回路に関する。
(従来技術) 電圧制御発振回路(以下VCOと称す)は電圧可変容量
素子を用い、該素子に印加する電圧を変化することによ
ってその容量を変化し、発振周波数を制御するものであ
る。第4図は従来のコルピッツ型VCOの例であり、発振
トランジスタTrのベースBとエミッタE間及び該エミッ
タとアース間各々に帰還コンデンサC1、C2を、又、ベー
スBとアース間には誘導素子L1と電圧可変容量素子Cvと
を直列接続したもので、その他、制御電圧印加用抵抗R
1、トランジスタバイアス用抵抗R2、R3、チョークコイ
ルL2、結合コンデンサC3、側路コンデンサC4より構成す
る。
この構成における発振動作については既によく知られ
ているので詳細な説明は省略するが、発振周波数はL1、
Cv、C1、C2によってほぼ決定される。ここで特にCvの容
量はその両端に印加する電圧によって変化するため、結
局、発振周波数はCvに印加する電圧によって決定する。
発振素子の一部である誘導素子は使用周波数によって
異なるが、ソレノイドコイル、ストリップライン、その
他種々のものが使用される。しかしこれらの誘導素子は
寸法的にも大きく、又、電気的、機械的にも外乱の影響
により発振周波数に影響を受けやすいものである。この
ような周波数の変化は直ちに機器の雑音となり得るもの
であるから、これを防止するためVCO全体を遮蔽する等
種々の対策が必要となる。
上記問題を解決するために、従来から前記誘導素子の
替わりに弾性表面波共振子(以下SAW共振子と称す)を
使用することが行われている。SAW共振子はコイルに比
べ物理的寸法が小さく、又、磁気誘導の影響も小さい。
更に基板状の平面的な薄膜電極で構成されるので、機械
的にも安定なものである。従って電気的、機械的にも外
乱に対して安定であり、VCO全体として小型にまとめる
ことができる利点を持つ。
しかしながら上述したような従来のVCOでは次のよう
な欠点があった。
即ち、SAW共振子の直列共振点から周波数の高い方に
離調した点で急激にSAW共振子の等価直列抵抗が増大す
る。このため前記離調した周波数における抵抗の増大に
よってっ発振レベルの低下を生じ、更には発振が停止す
る。従ってSAW共振子を用いたVCOは周波数の可変幅に制
限を受けることになり、発振周波数の可変幅が小さい。
この点を詳述すると次の通りである。即ち、第4図a
の従来のコルピッツ型VCOを等価的に書き換えれば第4
図bのように増幅回路側は負性抵抗−Rと負荷容量C1に
直列にSAW共振子Xの並列容量C0と直列抵抗R0及び周波
数調整用の電圧可変容量素子Cvとが接続されたものとな
る。
一方、一般的なコルピッツ発振回路におけるSAW共振
子Xの等価直列抵抗Rsは周知のように Rs=R0(1+C0/C1′) (1) と表わされるが、発振条件として回路側負性抵抗−Rの
絶対値を(1)式にて示す抵抗Rsより大きく設定しなけ
ればならない。即ち、 Rs<|−R| (2) しかるに、前記第4図bに示したようにSAW共振子X
と増幅回路との間に直列に電圧可変容量素子が存在する
と前記(1)式における負荷容量C1′は増幅回路が本来
有する負荷容量C1と電圧可変容量素子Cvとの直列合成容
量であり C1′=C1*Cv/(Cv+C1) (3) となる。
従って、(1)式におけるSAW共振子Xの等価直列抵
抗Rsは発振周波数を高くするためにCvを小さくしていく
につれて大きくなる。このため発振レベルが低下し、つ
いには(2)式の発振条件を見たさず発振停止するた
め、発振周波数の変化幅が小さくなる。
この対策としては発振素子であるSAW共振子のab端か
ら見た発振回路側のリアクタンス変化を大きくすること
が必要である。このためには同一の電圧可変容量素子を
使う場合、bc端から発振回路側を見た容量性リアクタン
スは極力小さいことが望ましく、C1、C2を大きくすれば
よいことになる。
一方、誘導素子L1の両端から見た負性抵抗−RはC1、
C2及びトランジスタの定数によって決まり、次式で示さ
れる。
−R=−gm/(ω(Cbe+C1)C2) (4) 但し、ω :角周波数 gm :コンダクタンス Cbe :トランジスタベースエミッタ間容量 この負性抵抗の絶対値を大きくするにはC1、C2を小さく
すればよいことになる。
即ち、第4図においてL1の替わりにSAW共振子を入れ
換えただけでは周波数可変幅を得るということと、発振
回路の負性抵抗を増加するということは、相反する。こ
の両者を適当な範囲で満足するようにC1、C2を決定する
ことになるので、周波数の可変範囲におのずと限界があ
った。
これと同じようなことは一般のコルピッツ発振回路に
もいえることであり、この問題を解決するため本願出願
人は特開昭63−272207に開示されるような案を提案済み
である。即ち、帰還コンデンサの少なくとも一方を可変
コンデンサとするものである。
前記発明の明細書中、VCOにも適用可能との記述があ
るが、これは端に帰還コンデンサC1又はC2のいずれかを
可変にすることを示唆するにすぎない。
(発明の目的) 本発明は上述したような従来のVCOの欠点を除去する
ためになされたものであり、本願出願人が既に提案済み
のコルピッツ発振回路を更にVCOに応用したものであっ
て、周波数安定度が高く、かつ周波数可変幅が広いVCO
を提供することを目的とする。
(発明の概要) 上記目的を達成するため、本発明は次のように構成す
る。
即ち、トランジスタのベースとアースの間に第1の帰
還コンデンサ及び第2の帰還コンデンサが直列に接続さ
れており、第1の帰還コンデンサと第2の帰還コンデン
サの接続点が前記トランジスタのエミッタに接続するよ
う構成したコルピッツ型電圧制御発振回路において、前
記第2の帰還コンデンサは電圧可変容量素子Cvであっ
て、前記第1及び第2の帰還コンデンサの接続点と前記
トランジスタのエミッタ間には、結合コンデンサC5を挿
入するよう構成し、前記第1及び第2帰還コンデンサの
接続点とアースとの間に直流電圧を印加することによっ
て発振周波数を制御するようにした。
(実施例) 以下図示した実施例に基づいて本発明を詳細に説明す
る。
第1図は本発明の一実施例を示す回路図であり、発振
トランジスタTrのベースBとエミッタE間に帰還コンデ
ンサC1を、又、該エミッタEとアース間に電圧可変容量
ダイオードCvを、ベースBとアース間にはSAW共振子X
を接続したもので、その他制御電圧印加用抵抗R1、トラ
ンジスタバイアス用抵抗R2、R3、チョークコイルL2、係
合コンデンサC3、C5及び側路コンデンサC4より構成す
る。
同図が前記第4図と異なるところは、第4図のC2を電
圧可変容量素子Cvで置き換えると共に、SAW共振子Xに
直列に接続していた電圧可変容量素子を除去したもので
ある。C1は発振回路の必要最小の負性抵抗値を得るよう
な、極力大きな容量とする。
このように構成すれば、発振周波数を増加させるため
にCvを小さくするにつれ発振回路の負性抵抗は増大する
方向に働くので、これによってSAW共振子の等価直列抵
抗の増加を補償することができる。従って第4図におけ
るような可変幅と負性抵抗の増加に相反する条件がな
く、設計は容易となる。
この方式の具体例を以下に述べる。本例はラブ波を用
いることにより、従来に比し、共振回路の容量比を小さ
くしたSAW共振子を用いたVCOについての実施例である。
第2はこの実施例についての発振回路側の負性抵抗と
共振子の正抵抗を可変容量値の変化に対する特性として
計算したものである。本例の場合、負性抵抗は常に等価
直列抵抗に対し数倍の大きさを示し、類似の変化特性を
示す。よって広い周波数範囲に渡って(2)式に示す発
振条件を満たすため、発振レベルの低下を起こさずに発
振する。
なお、この計算値に用いた各要素の定数は、第1図a
においてC1=100pF、Cv=1〜30pF、トランジスタのエ
ミッタ直流電流Ie=1mA、直流電流増幅率β=120、同図
bにおいてR0=3.1Ω、C0=24.5pF、又発振周波数を50M
Hzとした場合である。
本発明は以下のように変形してもよい。即ち、発振周
波数の変化幅を更に拡大するために第3図に示すように
共振素子に直列に誘導素子L3を挿入しても前述の効果は
同様である。但しその場合は外乱による影響を避けるた
め、誘導素子L3の値をあまり大きくすることはできず、
全体の2割程度までとする。
又、電圧可変容量素子への印加電圧を温度によって変
化することにより、本発明を温度補償型にも適用可能で
あることはいうまでもない。
(発明の効果) 本発明は以上説明したように発振回路の負性抵抗はCv
の値を小さくした場合に即ち発振周波数を高い方に制御
した場合でも共振子の等価的な直列抵抗の増加に対応し
て増加するので、発振レベルの減少を最小限にとどめる
ことができる。従ってSAW共振子あるいは水晶振動子を
用いたVCOを構成する場合に本方式によれば、可及的に
広い周波数可変幅を発振レベルの変動を最小限で実現す
る上で著しい効果がある。
又、電圧可変容量素子を帰還コンデンサをとしても働
かせるため、部品点数を削減でき、費用低減する効果も
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図aは本発明の一実施例を示す回路図、同図bはSA
W共振子あるいは水晶振動子の等価回路図、第2図は第
1図におけるab端から見た発振回路側の負性抵抗及び共
振子の等価直列抵抗をCvの変化に対する特性として示し
た図、第3図は共振子に伸張コイルを付加した場合の回
路図、第4図aは従来のコルピッツ型VCOの回路図、同
図bはその等価回路図である。 C1……帰還コンデンサ、Cv……電圧可変容量素子、X…
…SAW共振子あるいは水晶振動子、Tr……発振トランジ
スタ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トランジスタのベースとアースの間に第1
    の帰還コンデンサ及び第2の帰還コンデンサが直列に接
    続されており、第1の帰還コンデンサと第2の帰還コン
    デンサの接続点が前記トランジスタのエミッタに接続す
    るよう構成したコルピッツ型電圧制御発振回路におい
    て、 前記第2の帰還コンデンサは電圧可変容量素子であっ
    て、前記第1及び第2の帰還コンデンサの接続点と前記
    トランジスタのエミッタ間には、結合コンデンサを挿入
    するよう構成し、前記第1及び第2帰還コンデンサの接
    続点とアースとの間に直流電圧を印加することによって
    発振周波数を制御することを特徴とした電圧制御発振回
    路。
  2. 【請求項2】周波数限定素子として圧電振動子あるいは
    共振子を用いたことを特徴とする特許請求の範囲1項記
    載の電圧制御発振回路。
  3. 【請求項3】圧電振動子が弾性表面波共振子であること
    を特徴とした特許請求の範囲2項記載の電圧制御発振回
    路。
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