JP2849790B2 - コンクリート製品の表出面に人造石を表出する面パレットおよびこの面パレットを用いて製造したコンクリート製品 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【産業上の利用分野】本発明は、土木用の護岸、擁壁等
を構築するコンクリート製品の表出面に人造石を表出す
るために用いる面パレットの構造、およびこの面パレッ
トを用いて製造したコンクリート製品に関する。

【従来の技術】近年盛んにこの種のコンクリート製品の
表出面に自然石を表出する製品が開発されている。しか
し、この製品の表出面に表出する自然石材は年々採集が
困難となり、この自然石の採集によって環境が破壊され
る等の悪影響を及ぼしている。したがって自然石を用い
ることにも限度があり、またコンクリート製品の表出面
に自然石を現出する成形においても、例えば出願人が先
に発明した特公平４−６３７６１号あるいは特公平４−
２２４０２号に示すように、面パレット内に自然石を配
置して表出する自然石の一部を残してコンクリート中に
一体として埋入する際に、成形時の振動と圧縮で面パレ
ット上に配置した自然石が移動して片寄って表出され見
苦しい状態の自然石面が現出する等の欠点を有してい
た。また成形においても、特に型枠を反転、正転して成
形する反転式の場合には面パレット内の自然石が落下飛
散するため自然石を下向きにして面パレットを覆せるこ
とは不可能であった。

【発明が解決しようとする課題】従来このように採集に
限度がある自然石にかえて、自然石と同様の形状や色彩
で意匠的にも優れ、強度が強く、しかも吸水率の少い人
造疑石を大、中、小の塊状体としてコンクリート製品の
表出面に現出することが考えられ、出願人もこの人造疑
石について種々試作を重ねてコンクリート製品に適した
人造石塊を得ている。ここでいう人造疑石（以下単に疑
石という）とは廃棄物を対象としたものであって、ゴミ
として出される合成樹脂材やアスファルト廃材を溶解
し、不燃物として分割回収される硝子や陶器等を細かく
割砕してそれぞれを適量に混合し、溶解樹脂と混練して
任意の形状、色彩にし、大、中、小の塊石状に成形固化
した疑石を指すもので、この疑石は面パレット内に配置
しても疑石自体が自然石よりも軽いためコンクリートの
締固め時の振動圧縮で面パレット内を移動して片寄るこ
とが自然石よりも著しい。

【課題を解決するための手段】出願人は、この廃棄物利
用の疑石を使用する点の欠点を解決するため鋭意研究を
重ねて本発明の面パレットに到達したもので、本発明の
面パレットの構成は、底面に多数の排水用の細孔を設
け、面パレットの内表面に疑石を一旦固定するための針
状突出物を設けることを要旨とし、この上に疑石を配置
して上方から押えるかあるいは打込み疑石を安定させ
る。ここでいう面パレット内面に設ける針状突出物と
は、針状突出物が疑石との接触点に押し当るか軽く刺さ
る程度が必要のため長さ３ｍｍ程度の釘状のもの、ある
いはごく針の短い画鋲のような形状の針状体を植設す
る。そして成形に際しては、面パレット上に配置した前
記疑石相互の間隙に天然砂粒あるいは人造砂粒を目地を
形成する厚みに充填積層してこの上方から適量の水を噴
霧して砂粒層を締固める。この噴霧した水の余剰水は面
パレット底面の水抜き用の細孔より排水されるため目地
部分の砂粒は一層締固められる。

【作用】このように本発明の面パレットは配置した疑石
を固定するための針状突出物を設けるほかに、底面に多
数の水抜き用の細孔を設けるものであるから、前記針状
突出物によって疑石を固定した後この疑石相互間の間隙
に、製品表面に表出する疑石面にセメントペーストが浸
透しないため天然の砂粒あるいは人造砂粒を目地部を形
成する厚みに充填積層して、この上方から疑石および砂
粒層上に適量の水を噴霧して砂粒層を締固める。この噴
霧した水の余剰水は砂粒層を透水して面パレット底面に
設けた水抜き用の細孔から排水されることで砂粒層はさ
らに締固められ、疑石の下面は砂粒層で密封される。こ
のように形成された面パレットを常法通り型枠（図示し
ていない）内に納め上方からコンクリートを投入して振
動圧縮によってコンクリート製品を成形するものである
が、前記のように疑石相互間の砂粒層によって疑石は密
封状に固定されているため疑石の表出面には投入するコ
ンクリートが硬練りの場合はもとより、軟練りのコンク
リートの場合であってもセメントペーストが疑石の表出
面に浸透することはなく表出面は石姿のまま顕現され
る。したがって、成形型枠が反転、正転して成形する型
枠装置であって、この上面に面パレットを下向きに覆せ
ても従来のように落下飛散することなく安定して覆せる
ことができ、従来不可能とされてきた成形手段を可能と
するものである。

【実施例】添付図面により本発明を説明すると、図１は
本発明の面パレット（１）の断面図であって、この面パ
レット（１）は底面に多数の水抜き用の細孔（２）が穿
設されている。そして面パレット（１）の内表面には針
状突出物（３）が多数設けられている。この針状突出物
はコンクリート製品となって表面に現出する疑石の移動
を防止して固定させるものであって、面パレット上に配
置する疑石との接触点に押し当るか軽く刺さる程度が必
要のため、長さ３ｍｍ程度の釘状のもの、あるいはごく
針の短い画鋲のような形状の針状体である。図２以下は
本発明の面パレットを使用した各種の実施例であって、
成形されるコンクリート製品の形状によって種々考えら
れる。図２以下において符号（４）は疑石を示す。この
疑石はゴミとして出される合成樹脂材やアスファルト廃
材を溶解し、これに不燃物として分別回収される硝子や
陶器等を細かく割砕してそれぞれを適量混合して溶解樹
脂と混練して任意の形状、色彩にし、大、中、小の塊石
状に成形固化した疑石を指すものである。図２は図１に
示す面パレット（１）に疑石（４）の大、中、小の石塊
を配置して上方から軽く押圧することによって疑石
（４）は針状突出物（３）によって止められる。この上
から砂粒（５）を疑石（４）の相互間の間隙内に疑石
（４）が半分程埋まる位に充填積層する。そして後疑石
（４）および充填した砂粒（５）の上に適量の水を噴霧
する。符号（６）は噴霧用のノズルである。この噴霧す
る水の量は砂粒層（５）を浸透して面パレット底面の排
水用の細孔（２）から流れ出る程度の量が好ましい。砂
粒層（５）はこの水の散布によって締固まり疑石（４）
は砂粒層の締固まりによって下半分が密封され、また針
状突出物（３）によって固定される。このように構成さ
れた面パレットを型枠内に納め通常通りコンクリートを
打設して振動と圧縮によって成形する。図７はこの図２
によって構成された面パレットによって成形された擁壁
用のブロックＢであって、養生硬化後面パレット（１）
を剥離することによって疑石（４）は砂粒層に埋入して
いる部分がブロックＢの表出面に現れ、また目地部分に
は砂粒層（５）の上面のみがコンクリート面に付着して
疑石および目地によって表出面が形成されたブロックＢ
が得られる。この現出されている疑石（４）の表面はそ
の下半分が前述の通り、面パレット上で砂粒層（５）に
よって密封されているためコンクリートを打設した際で
もセメントモルタルの浸透がなく表出面が汚れることが
ない。また面パレット（１）上に配置された疑石（４）
は面パレット底面の針状突出物（３）によって固定され
ているため少しの移動もなく面パレット上に配置された
ままの形態を示している。疑石（４）の成形に当ってア
スファルト廃材を溶解材として使用した場合には疑石自
体が黒色を帯びるが、このようなときは砂粒層（５）に
炭素系の砂粒を混合することによって目地部分が黒色に
形成され疑石の色調と合致して落ちついた雰囲気が出
る。図３はず１に示す面パレット（１）に比較して少し
高さのある面パレット（１−１）の中央に平板状の疑石
（４−１）を配置して上方から軽く押圧することによっ
て平板状の疑石（４−１）は面パレット底面の針状突出
物（３）によって止められる。この平板状の疑石（４−
１）は側面に脱出防止用の溝（４−３）が設けられてい
てその表出面は図示にあっては凹凸形状（４−４）を形
成しているが、この形状は任意であって単なる平面状で
もよい。そしてこの平板状の疑石（４−１）の周囲の空
隙内にこの疑石（４−１）が半分程埋まる位の量の砂粒
（５）を充填する。その後平板状の疑石（４−１）およ
び周囲の砂粒層（５）上に適量の水を噴霧する。図中の
符号（６）は噴霧用のノズルを示す。周囲の砂粒層
（５）はこの散布によって締固まり平板状の疑石（４−
１）は砂粒層（５）によって下半分が密封される。この
ように構成された面パレット（４−１）を型枠（図示し
ていない）内に納め通常通りコンクリートを打設して振
動と押圧によって成形する。図８はこの図３によって構
成された面パレット（１−１）によって成形された擁壁
用のブロックＢであって養生固化後面パレット（１−
１）を剥離することによって平板状の疑石（４−１）は
砂粒層（５）に埋入している部分が表出面として現れ
る。また周囲の目地部分には砂粒層（５）の上面のみが
打設したコンクリート面に付着して平板状の疑石（４−
１）によって表出面が形成されたブロックＢが得られ
る。この疑石（４−１）の表面は前述の通り面パレット
上で周囲の砂粒層によって密封されているためコンクリ
ートを打設した際にもセメントモルタルの浸透がなく疑
石（４−１）の表面が汚れることがない。また疑石は面
パレット底面の針状突出物によって固定されているため
少しのずれもなく砂粒層によって形成される目地部が正
しく現れる。そしてこの疑石（４−１）は平板状の形状
であっても側面の溝（４−３）によって打設コンクリー
トとの接合がよく抜出すことはないが、さらに抜出しを
防止するならば平板状疑石（４−１）の上面に蟻溝等を
設けることもできる。図４は大形のコンクリート製品を
成形する場合の面パレットを示す断面図で形状としては
図１に示す面パレット（１）と同様であり、配置する疑
石（４）および砂粒層（５）も同様であるが、これによ
って構成された面パレットは型枠に納めてコンクリート
を投入する場合には流し込み成形のため軟練りのコンク
リートを投入するが、これによって成形された大形コン
クリート製品は、図９に示されるように軟練りのコンク
リートを使用するにも拘らず疑石（４）の下面が目地部
の砂粒層（５）によって密封されているためセメントモ
ルタルの浸透がなく疑石の表面が汚れることがない。図
中の符号（７）は鉄筋挿通用の透孔である。図５は疑石
として長方形のナマコ型の疑石（４−２）を用いた面パ
レットの構成図で側面を示す。面パレット（１）は図１
に示す面パレットと同様である。また図６は図５の正面
図を示している。図５、図６共面パレットの構成におい
ては他の実施例図と同様であって、疑石（４−２）がナ
マコ型の形状であって疑石の断面が逆台形になるように
面パレット上に配置することによって図１０、図１１の
製品ブロックＢとした場合に疑石の脱落を防ぐ、また図
にあっては疑石（４−２）の表面を粗面として示してい
るがこの面は平面であってもよい。

【効果】本発明は、自然石材に換えて廃棄物として利用
されなかった、合成樹脂廃材やアスファルトの廃材を溶
解し、これにガラス、陶器等の廃材を割砕したものを混
練して成形固化した塊状体を表出疑石材として用いるた
め廃棄物の処理に貢献し、しかもこの疑石を使用する面
パレットに底面に排水用の細孔および針状突出物を設け
ることによって疑石の移動を防ぎ、疑石塊間に砂粒を充
填して上方から水を噴霧するため砂粒が締って目地部を
明瞭に成形することができ、表出材が疑石であるから配
合によって形状や色彩が自由になり構築する周囲の環境
に調和させることができる。そして、本発明の面パレッ
トを用いて製造したコンクリート製品は従来の自然石を
表出した製品に比べて極めて重量を軽く製造することが
でき、取扱いが容易で衝撃に強く、吸水率が零のため寒
冷地方での凍害に大きな効果を発揮し、快適な環境を創
造するもので環境に応じた審美性の高い製品を得ること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の面パレットの断面図。

【図２】 面パレットの構成を示す実施例。

【図３】 面パレットの構成を示す別の実施例。

【図４】 面パレットの構成を示す別の実施例。

【図５】 面パレットの構成を示す別の実施例の側面
図。

【図６】 図５の面パレットの正面図。

【図７】 図２の面パレットを使用して成形したブロッ
クの側面図。

【図８】 図３の面パレットを使用して成形したブロッ
クの側面図。

【図９】 図４の面パレットを使用して成形した製品の
断面図。

【図１０】 図５の面パレットを使用して成形したブロ
ックの断面図。

【図１１】 図６の面パレットを使用して成形したブロ
ックの断面図。

【符号の説明】 （１）…面パレット （２）…排水用の細孔 （３）…針状突出物 （４）…疑石

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】面パレット（１）の底面に水抜き用の細孔
   （２）を設け、該面パレット（１）の内表面に多数の針
   状突出物（３）を設けたことを特徴としたコンクリート
   製品の表面に人造石を表出する面パレット。
2. 【請求項２】面パレット（１）の底面に水抜き用の細孔
   （２）を設け、該面パレット（１）の内表面に多数の針
   状突出物（３）を設けた面パレットを用い、人造石とし
   て合成樹脂やアスファルト廃材を溶解した溶液に硝子や
   陶器の割砕物を混合して任意形状の塊状体に成形した疑
   石を面パレット上に配置し、該疑石間に砂粒を充填し、
   その上から適量の水を噴霧して構成した面パレットを用
   いて成形することを特徴としたコンクリート製品。