JP2837690B2 - 酸素センサの異常検出装置 - Google Patents

酸素センサの異常検出装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、内燃機関等の排ガスの酸素濃度を測定する
酸素センサの異常検出装置に関する。
[従来の技術] 従来より、内燃機関の排ガス中のエミッションを低下
させるために、内燃機関の排気系に取り付けた酸素セン
サの出力信号に基づいて、内燃機関に供給する燃料混合
気の空燃比が制御されている。即ち第4図に示すよう
に、空燃比を排ガスの浄化率の高い理論空燃比点に制御
するために、酸素センサの出力信号に基づいて空燃比フ
ィードバック制御が行われている。
この空燃比フィードバック制御に使用される酸素セン
サが正常に機能しないときには、排ガスのエミッション
が悪化することがあるので、従来より酸素センサの異常
を診断する各種の技術が提案されている(特開昭62−15
1770号公報,特開昭53−95421号公報参照)。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、酸素センサが各種の物質によって被毒
された場合には、第5図に示すように、センサ出力がリ
ーン或はリッチにシフトして特性が変化してしまうこと
があり、その結果、酸素センサの出力信号に基づいた空
燃比フィードバック制御が良好に行われなくなって、エ
ミッションが悪化してしまうという問題があった。
例えばシリコン等によって被毒された酸素センサを用
いて空燃比フィードバック制御を行うと、排ガス中のNO
xが増加し、また鉛等によって被毒された酸素センサを
用いて空燃比フィードバック制御を行うと、排ガス中の
COが増加してしまうという問題があった。
本発明は、前記問題点を解決するためになされたもの
で、酸素センサの異常を的確に検出する異常検出装置を
提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 前記問題点を解決するためになされた本発明の酸素セ
ンサの異常検出装置は、 内燃機関の排ガス中の酸素濃度に応じて信号を出力す
る酸素センサの異常を検出する装置において、 前記内燃機関に供給する燃料混合気の空燃比をオープ
ンループ制御によってリーン及びリッチの状態に設定す
る空燃比設定手段と、 該空燃比設定手段によって、空燃比がリーン及びリッ
チに設定されたときの酸素センサの出力信号の極小値及
び極大値を検出する極値検出手段と、 該極値検出手段によって検出された極小値或は極大値
の少なくとも一方が所定の出力値の範囲内である場合に
は、前記酸素センサに異常があると判定する異常判定手
段と、 を備えたことを要旨とする。
ここで、前記極小値及び極大値については、各々複数
回の平均値から求めたものでもよい。
また、前記オープンループ制御とは、酸素センサの出
力信号に基づいて燃料混合気の空燃比フィードバック制
御するものではなく、単に空燃比をリーン又はリッチの
状態に切り換えて設定する制御を示している。
[作用] 本発明の酸素センサの異常検出装置は、空燃比設定手
段によって、内燃機関に供給する燃料混合気の空燃比を
オープンループ制御して、空燃比をリーン及びリッチの
状態に切り換えて設定する。そして、極値検出手段によ
って、空燃比がリーン及びリッチに設定されたときの酸
素センサの出力信号の極小値及び極大値を検出する。こ
こで、極小値或は極大値の少なくとも一方が所定の出力
値の範囲内である場合には、異常判定手段によって、酸
素センサに異常があると判定する。
次に、本発明の酸素センサの異常検出装置の原理につ
いて、一例を挙げて説明する。
第1図に示すように、酸素センサが良好な場合には、
オープンループ制御にて空燃比をリーン及びリッチに周
期的に変化させると、酸素センサの出力信号の振幅は大
きなものとなり、出力信号の極小値は第1の閾値V1を下
回るとともに、極大値は第2の閾値V2を上回る。
ところが、前記NOxの排出量が増加する酸素センサの
出力信号は、その電圧レベルが高く、第2の閾値V2付近
で小さな振幅で振動する。一方、COの排出量が増加する
酸素センサの出力信号は、その電圧レベルが低く、第1
の閾値V1付近で小さな振幅で振動する。
従って、酸素センサの出力信号の極小値或は極大値の
どちらか一方でも、例えば第1の閾値V1と第2の閾値V2
とに挟まれた所定の範囲内にある場合に、酸素センサに
異常があると判定することにより、酸素センサの異常を
検出することが可能となる。
[実施例] 以下本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
a)第2図は本実施例の酸素センサの異常検出装置のシ
ステム構成図である。
同図に示すように、酸素センサの異常検出装置1は、
エンジン2の状態を検出して空燃比等の各種の制御や異
常診断等の処理を行う電子制御装置(以下単にECUと呼
ぶ)3を備えている。
エンジン2は、シリンダ4,ピストン5及びシリンダヘ
ッド6から構成される燃焼室7を備え、燃焼室7には点
火プラグ8が配置されている。
エンジン2の吸気系は、吸気バルブ9,吸気ポート10,
吸気管11,吸入空気の脈動を吸収するサージタンク12,吸
入空気量を調節するスロットルバルブ14及びエアクリー
ナ15から構成されている。
エンジン2の排気系は、排気バルブ16,排気ポート17,
排気マニホールド18,三元触媒を充填した触媒コンバー
タ19及び排気管20から構成されている。
エンジン2の点火系は、点火に必要な高電圧を出力す
るイグナイタ21及び図示しないクランク軸に連動してイ
グナイタ21で発生した高電圧を点火プラグ8に分配供給
するディストリビュータ22から構成されている。
エンジン2の燃料系統は、フューエルタンク(図示せ
ず)からの燃料を吸気ポート10近傍に噴射する電磁式の
燃料噴射弁25から構成されている。
また、エンジン2の運転状態を検出するセンサとし
て、吸入空気の圧力を検出する吸気圧センサ31,吸入空
気の温度を検出する吸気温センサ32,スロットルバルブ1
4の開度を検出するスロットルポジションセンサ33,冷却
水温度を検出する水温センサ35,触媒コンバータ19に流
入する前の排ガス中の酸素濃度を検出する上流側酸素セ
ンサ(以下単に酸素センサと称す)36,触媒コンバータ1
9から流出した排ガス中の酸素濃度を検出する下流側酸
素センサ(以下サブ酸素センサと称すがこのセンサは必
要に応じて取り付ける)37,ディストリビュータ22のカ
ムシャフトの1回転毎に基準信号を出力する気筒判別セ
ンサ38,ディストリビュータ22のカムシャフトの1/24回
転毎に回転角信号を出力する回転数センサ39等を備えて
いる。
前記各センサの検出信号はECU3に入力され、その信号
に基づいてエンジン2の回転数や空燃比等の制御が行わ
れる。ECU3は、周知のCPU3a,ROM3b,RAM3c,バックアップ
RAM3d,タイマ3eを中心に論理演算回路として構成され、
コモンバス3fを介して入出力ポート3gに接続されて外部
との入出力を行う。CPU3aは、吸気圧センサ31,吸気温セ
ンサ32,スロットルポジションセンサ33,水温センサ35,
酸素センサ36,サブ酸素センサ37の検出信号を、A/D変換
器3h及び入出力ポート3gを介して入力する。また気筒判
別センサ38,回転数センサ39の検出信号を波形整形回路3
i及び入出力ポート3gを介して入力する。一方、CPU3a
は、入出力ポート3g及び駆動回路3mを介して、前記イグ
ナイタ21及び燃料噴射弁25,酸素センサ36の異常を知ら
せるチェックランプ40等を駆動制御する。
尚、前記ECU3のバックアップRAM3dは、イグニッショ
ンスイッチ(図示せず)を介することのない経路より電
力が供給され、各種のデータ等がイグニッションスイッ
チの状態にかかわらず保持される様に構成されている。
b)次に、前記ECU3の実行する酸素センサ36の異常を検
出する処理について、順次説明する。
ここでは、第3図のフローチャートに基づいて、酸素
センサ36の出力信号の極小値及び極大値から、酸素セン
サ36がシリコンや鉛等に被毒されて劣化したものである
か否かを判定する処理について説明する。
まず、空燃比のフィードバック制御を停止する処理を
行う(ステップ300)。そして、オープンループ制御に
よって、燃料噴射弁25を駆動制御して空燃比をリッチ及
びリーンの状態に周期的に切り換える処理を行う(ステ
ップ310)。つまり、燃料噴射弁25の開弁時間を調節し
て、空燃比を例えば2Hzの周期でλ=0.97のリッチの状
態やλ=1.03のリーンの状態に周期的に切り換える。
そして、この時の酸素センサ36の出力信号を検出して
(ステップ320)、その出力信号の極小値及び極大値を
求める処理を行う(ステップ330)。
次に、酸素センサ36の出力信号の極小値或は極大値の
どちらか一方でも所定の出力値の範囲内であるか否かを
判定する。
即ち、前記第1図に示すように、極小値が第1の閾値
V1以上(ステップ340)、或は極大値が第2の閾値V2
下の場合には(ステップ350)、この酸素センサ36が被
毒によって劣化していると判定してチェックランプ40を
点灯し(ステップ360)、一旦本処理を終了する。
この様な処理を行うことによって、被毒によって劣化
したセンサを容易に検出することができる。
尚、前記実施例の酸素センサ36の異常検出の処理は、
例えばこの酸素センサ36を備えた車両が信号等が停車し
たときに行ってもよく、或は工場等での点検などのチェ
ック時に行ってもよい。
c)次に、上述した各処理を行って、実際に酸素センサ
36の異常を検出した実験例について説明する。
以下の実験においては、車両の排気系に良好な酸素セ
ンサ36或は劣化した酸素センサ36を取り付け、エンジン
回転数や空燃比等の条件を変更して、そのときの出力信
号を検出した。
(実験例) 本実験例では、空燃比をリーン及びリッチの状態に周
期的に切り換えて実験を行った。つまり、良好センサや
NOx或はCOの排出量の多い酸素センサ36を使用して、酸
素センサ36の出力信号の電圧の極小値及び極大値を測定
した。
その実験条件及び結果を、第1表(NOxの測定結果)
及び第2表(COの測定結果)に示す。
これらの表において、、A,Bは酸素センサ36を取り付
けた異なる車種を示し、C,Dは異なる実験条件を示して
いる。即ち、Cの実験条件は排ガスの流速の大きな、エ
ンジン回転数1500rpm,空気過剰率λ=1.04を示し、Dは
流速の緩やかな、エンジン回転数800rpm,λ=1.03を示
している。
更に、両表における空気過剰率(λ)及び切り換え周
期(Hz)は同一である。また、両表において試料No.1〜
2が良好センサであり、試料No.3〜5が劣化センサであ
る。尚、実験結果は各々3回の測定の平均値を示してい
る。
この第1表及び第2表から明らかなように、試料No.1
〜2の良好センサでは、空燃比がリーン及びリッチの状
態におけるセンサ出力の幅が大きいが、試料No.3〜5の
劣化センサではセンサ出力の幅が小さくなっている。従
って、所定の上下2つの閾値(例えば低い方で300mV,高
い方で700mV)で判定を行うことによって、容易にNOxや
COの排出量が多い劣化センサをともに検出することがで
きる。
尚、この実験の条件としては、例えば下記の第3表に
示す様な条件の範囲内が好適である。
尚、本発明は前記実施例に限定されることなく、本発
明の範囲内で種々なる態様で実施できることは勿論であ
る。
例えば前記実施例では酸素センサ36の劣化を検出した
が、サブ酸素センサ37の劣化の検出にも適用できる。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明の酸素センサの異常検出
装置は、オープンループ制御によって、空燃比がリーン
及びリッチに設定されたときの酸素センサの出力信号の
極小値及び極大値を検出し、極小値或は極大値の少なく
とも一方が所定の出力値の範囲内である場合には、酸素
センサに異常があると判定するので、前記と同様に劣化
した酸素センサを容易にかつ確実に検出できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の基本的構成の例示図、第2図は本実施
例のシステム構成図、第3図は本実施例の処理を示すフ
ローチャート、第4図は空燃比とエミッションとの関係
を示すグラフ、第5図は空燃比とセンサ出力との関係を
示すグラフである。 2……内燃機関 3……電子制御装置(ECU) 25……燃料噴射弁 36……酸素センサ 37……サブ酸素センサ 40……チェックランプ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−250351(JP,A) 特開 昭62−258146(JP,A) 特開 昭64−3550(JP,A) 実開 昭58−51262(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 27/409 G01N 27/04 G01N 27/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の排ガス中の酸素濃度に応じて信
    号を出力する酸素センサの異常を検出する装置におい
    て、 前記内燃機関に供給する燃料混合気の空燃比をオープン
    ループ制御によってリーン及びリッチの状態に設定する
    空燃比設定手段と、 該空燃比設定手段によって、空燃比がリーン及びリッチ
    に設定されたときの酸素センサの出力信号の極小値及び
    極大値を検出する極値検出手段と、 該極値検出手段によって検出された極小値或は極大値の
    少なくとも一方が所定の出力値の範囲内である場合に
    は、前記酸素センサに異常があると判定する異常判定手
    段と、 を備えたことを特徴とする酸素センサの異常検出装置。
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