JP2837516B2 - 誘電体磁器コンデンサ - Google Patents

誘電体磁器コンデンサ

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JP2837516B2
JP2837516B2 JP2170552A JP17055290A JP2837516B2 JP 2837516 B2 JP2837516 B2 JP 2837516B2 JP 2170552 A JP2170552 A JP 2170552A JP 17055290 A JP17055290 A JP 17055290A JP 2837516 B2 JP2837516 B2 JP 2837516B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は高い誘電率を有し、誘電率の温度変化が小さ
くかつこれらの経時変化が小さい上、誘電体損失の小さ
い磁器コンデンサに関する。
〔従来の技術〕
従来、誘電率の温度変化の小さい組成物として、チタ
ン酸バリウムにビスマス化合物、例えばスズ酸ビスマス
等を添加したもの、またはNb2O5、Ta2O5及び希土類酸化
物を添加したものを用いた磁器コンデンサが実用化され
てきた。
ところで、このような磁器コンデンサでは、従来、電
極として、銀電極が用いられていたが、銀は高価であ
る。
このため最近では磁器コンデンサの電極材にも従来か
ら多用されている銀に代わり、安価な銅やニッケルが使
用されるようになってきた。
その中でも銅は銀電極の欠点とされるエレクトロマイ
グレーションもなく、信頼性も高く比較的安価に電極形
成が可能なことから、有望な電極材料と考えられてい
る。
ところが銅電極の形成にはその酸化防止のために中性
または還元性雰囲気中での焼付けが必要であるため、前
記の如き誘電体組成物は、焼付中、還元性雰囲気によっ
て還元され易く、所望の特性を得ることが出来ないとい
う問題点があり、還元防止剤としてMnOやその化合物を
添加する方法が知られている。
チタン酸バリウム、酸化タンタル、酸化サマリウムを
主成分とする誘電体組成物は公知であるが(特開昭51−
143895号公報)、これは前記の如き理由から、電極とし
て銀を使用しており、高価なものである。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、組成物に還元防止剤としてMnO等を添加す
ると、誘電率の温度特性変化率及びその経時変化が大き
く、望ましくないという問題点がある。
従って、本発明の目的は、耐還元性に優れた誘電体磁
器の対向表面に銅電極を有し、高誘電率で、誘電率の温
度変化率や経時変化の小さい信頼性の高い磁器コンデン
サを提供するものである。
〔課題を解決するための手段〕
前記目的を達成するため、本発明者等は鋭意研究の結
果、 BaTiO3を 94.0〜99.5モル%、 Ta2O5を 0.2〜 3.0モル%、 Sm2O3を 0.2〜 3.0モル%、 の配合組成100部に対して、 添加物として、 (1) CoO、ZnO、NiOの少なくとも1種を0.05〜0.7重
量%、 (2) SiO2、Al2O3の少なくとも1種を0.05〜0.5重量
%、 をそれぞれ添加することにより、銅電極が形成でき所望
の特性を有する磁器コンデンサが得られることを見出し
た。
〔実施例〕
本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
原料として炭酸バリウムBaCO3、酸化タンタルTa2O5
酸化サマリウムSm2O3及び各添加物を、焼結後の組成が
後述の第1表の組成比になるように秤量配合し、ポット
ミル中で湿式混合する。
その後、脱水し、1150〜1250℃で仮焼成する。
次いでこれを粉砕し、有機バインダーを加え、造粒し
た後直径16mm、厚み0.6mmに加圧成形する。
この成形物を1300〜1400℃の範囲で2時間空気雰囲気
中で焼成する。
このようにして得られた磁器焼成体の両面に銅電極を
焼付けて誘電体磁器コンデンサを作成し、測定用試料と
し、それぞれの電気的諸特性を測定する。
測定結果を第1表に示す。
なお、第1表における測定値の測定条件は次に示す通
りである。
誘電率(ε)は常温で1KHzにおける値、誘電率温度
特性変化率(ΔC/C)は20℃における誘電率を基準に
し、−25℃と+85℃における誘電率との変化率(%)を
求めたもの、静電容量経時変化率は、1000時間経過後の
静電容量変化率(%)を示す。
なお、第1表中、試料No.5、6、12、14、15、17、1
8、19、22、23、24、25、26、27、28、30、31は本発明
の範囲外のものである。
第1表から明らかな如く、本発明の組成範囲の試料は
誘電率が高く、誘電率温度特性変化率が小さい上に静電
容量の経時変化率も小さいという良好な特性を有する。
次に、本発明における組成範囲の限定理由を説明す
る。
BaTiO3が99.5モル%を越えると誘電率が低く誘電損失
も大きくなってしまう(例えば第1表試料No.19参
照)。
またBaTiO3が94.0モル%未満であると、誘電率温度特
性変化率が大きくなり、静電容量の経時変化率も大きく
なる(例えば第1表試料No.18参照)。
Ta2O5が3.0モル%を越えると、誘電率が小さく、誘電
率温度特性変化率が大きくなり、静電容量の経時変化率
も大きくなる(例えば第1表試料No14、18参照)。
Ta2O5が0.2モル%未満であると、やはり誘電率が小さ
い上、誘電率温度特性変化率が大きくなり、静電容量経
時変化率も大きくなる(例えば第1表試料No.12参
照)。
Sm2O3が3.0モル%を越えると、誘電率温度特性変化率
が大きくなる(例えば第1表試料No.17参照)。
Sm2O3が0.2モル%未満であると、誘電率が小さく、誘
電率温度特性変化率が大きくなる(例えば第1表試料N
o.15参照)。
また、CoO、ZnO、NiOの少なくとも1種が0.7重量%を
越えると、誘電率が低くなったり(例えば第1表試料N
o.5、22、23参照)、誘電損失が大きくなったりする
(例えば第1表試料No.27参照)。
CoO、ZnO、NiOの少なくとも1種が0.05重量%未満で
あると誘電率温度特性変化率、静電容量経時変化率とも
に大きくなってしまう(例えば第1表試料No.30、31参
照)。
更に、SiO2、Al2O3の少なくとも1種が0.5重量%を越
えると、誘電率が小さい(例えば第1表試料No.26、28
参照)。
また、SiO2、Al2O3の少なくとも1種が0.05重量%未
満では誘電損失が大きくなってしまう(例えば第1表試
料No.6、24、25、27参照)。
なお、第1表の従来例(試料No.最下欄)にはBaTi
O3、Ta2O5、Sm2O3から成る組成物に還元防止剤としてMn
Oを添加した例を示しており、MnOを添加すると、誘電率
やその温度特性変化率の経時変化が大きくなり、実用的
でない。
〔発明の効果〕
本発明の如き組成の組成物を用いて、対向表面に銅電
極を有する磁器コンデンサを形成することにより、耐還
元性に優れた誘電体磁器コンデンサを得ることが出来
る。このコンデンサは高誘電率であるばかりでなく、そ
の温度特性変化率が小さく、それらの経時変化も小さく
高信頼性の磁器コンデンサを得ることができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チタン酸バリウム (BaTiO3)を 94.0〜99.5モル% 酸化タンタル(Ta2O5)を 0.2〜 3.0モル% 酸化サマリウム(Sm2O3)を 0.2〜 3.0モル% の配合組成100部に対して、 添加物 (1) 酸化コバルト(CoO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化
    ニッケル(NiO)の少なくとも1種を0.05〜0.7重量%、 (2) 酸化シリコン(SiO2)、酸化アルミニウム(Al
    2O3)の少なくとも1種を0.05〜0.5重量%、 添加混合した磁器誘電体組成物に、銅(Cu)を主体とす
    る焼付電極を形成することを特徴とする誘電体磁器コン
    デンサ。
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