JP2832647B2 - 磁気記録媒体、及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体、及びその製造方法

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JP2832647B2
JP2832647B2 JP2417540A JP41754090A JP2832647B2 JP 2832647 B2 JP2832647 B2 JP 2832647B2 JP 2417540 A JP2417540 A JP 2417540A JP 41754090 A JP41754090 A JP 41754090A JP 2832647 B2 JP2832647 B2 JP 2832647B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気ディスク、磁気テー
プ、磁気シート等の磁気記録媒体、及びその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来技術】近来、磁気記録媒体、例えば磁気ディスク
は小型化が進み、更に線記録密度およびトラック密度の
増大による高密度化の傾向に伴って、微粒子化、高磁力
化された磁性体粒子が使用されることが多くなってきて
いる。
【0003】表面電気抵抗を下げるために、メタル磁性
粉を含有する磁性層中に、導電性粉末(カーボンブラッ
ク、グラファイト、銀粉、ニツケル粉等)や界面活性剤
(天然、ノニオン、アニオン、カチオン、両性)を添加
する技術が、特公昭46−22726 号、同47−24881 号、同
47−26882 号、同48−15440 号、同48−26761 号、米国
特許第2271623 号、同2240472 号、同2288226 号、同26
76122 号、同2676924 号、同2676975 号、同2691566
号、同2727860 号、同2730498 号、同2742379 号、同27
39891 号、同3068101 号、同3158484 号、同3201253
号、同3210191 号、同3294540 号、同3415649 号、同34
41413 号、同3442654 号、同3475174 号、同3545974 号
等に開示されている。
【0004】他方、上層(第2層)に磁性層を形成し、
下層(第1層)をカーボンブラック含有の導電性層と
し、第2層からカーボンブラックを除去することによ
り、磁性粉の塗料中における体積比率を高くすれば、出
力を高めることができる。このように導電性層を別層に
して機能分離することにより出力を高めることは公知の
技術であり、Co含有γ−Fe2 3 やメタル磁性粉使
用の媒体では検討されている。
【0005】しかしながら、上記の単層又は重層タイプ
の媒体においては、層中に添加する潤滑剤である脂肪酸
エステルの添加量について適切な条件設定がなされてい
るとはいえず、このために媒体の耐久性や再生出力等が
不十分となることがあった。
【0006】
【発明の目的】本発明の目的は、脂肪酸エステル量を適
切に規定することによって媒体の耐久性や再生出力等を
向上させることにある。
【0007】
【発明の構成及びその作用効果】本発明は、非磁性支持
体上に磁性層を有する磁気記録媒体において、室温でシ
クロヘキサンに5分間浸漬したときに抽出される脂肪酸
エステル量が40〜280mg/m であり、かつ、前
記抽出後に更にシクロヘキサンで還流処理して抽出され
る脂肪酸エステル量が200mg/m 以下であること
を特徴とする磁気記録媒体に係るものである。又、非磁
性支持体上に、カーボンブラックを含有する導電性層
と、強磁性金属粉末を含有する磁性層とを有し、室温で
シクロヘキサンに5分間浸漬したときに抽出される脂肪
酸エステル量が40〜280mg/m であり、かつ、
前記抽出後に更にシクロヘキサンで還流処理して抽出さ
れる脂肪酸エステル量が200mg/m 以下である磁
気記録媒体の製造方法であって、 前記導電性層と前記磁
性層とを、この順に、ウェット・オン・ウェット方式で
重層塗布することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法
に係るものである。
【0008】本発明によれば、媒体を室温のシクロヘキ
サンに5分間浸漬して抽出される脂肪酸エステル量(こ
れは磁性層表面の脂肪酸エステル抽出量に相当する。)
を40〜280mg / m2 と抽出量で規定しているので、磁性
層の表面域に存在する脂肪酸エステル量が十分なものと
なり、媒体の耐久性にとって極めて有利である。
【0009】即ち、脂肪酸エステルの抽出量が40mg/ m
2 未満では脂肪酸エステルが少なすぎ、耐久性が非常に
低下してしまい、また280mg /m2を超えると脂肪酸エス
テル量が多すぎて表面での析出(粉吹き)が生じ、再生
特性が劣化したり、耐久性及び再生出力共に劣化してし
まう。この脂肪酸エステル抽出量は40〜280mg /m2とす
べきであり、更に 100〜 200mg/ m2 がよく、150 〜 1
90 mg /m2が一層好ましい。
【0010】また、本発明においては、上記したように
シクロヘキサンに浸漬して抽出を行った後、さらにシク
ロヘキサンで還流処理して抽出される脂肪酸エステル量
が200mg/m以下である。即ち、この還流による
抽出量が200mg/mを越えると、脂肪酸エステル
量が多く、このために耐久性が低下し、表面での粉吹き
が生じ易くなる。200mg/m以下では、磁性層の
内部からも脂肪酸エステルが供給され媒体の耐久性を
低下させない。
【0011】上記脂肪酸エステル抽出量をコントロール
する方法としては、脂肪酸抽出量を左右する因子である
カーボンブラックの種類(特に吸油量)、バインダの種
類、脂肪酸エステルの種類(例えば分子量、飽和か不飽
和か)及び添加量、潤滑剤の添加時期、層の空隙率等に
よってコントロールすることができる。
【0012】上記の脂肪酸エステルの抽出は次のように
して行うことができる。 (1) 即ち、磁気記録媒体、例えば磁気ディスク1枚をシ
クロヘキサン50ml中に5分間浸漬し、ディスクを引き上
げ、その後にシクロヘキサンをロータリーエバポレータ
ーにて除去し、残った潤滑剤(脂肪酸エステル)をガス
クロマトグラフにて定量する。 (2) 次に、(1) の抽出後に、ディスクをシクロヘキサン
50ml中で1時間還流処理し、次にディスクを取り除き、
残ったシクロヘキサンをロータリーエバポレーターで除
去し、残った潤滑剤(脂肪酸エステル)をガスクロマト
グラフで定量する。
【0013】本発明において、非磁性支持体上に、カー
ボンブラックを含有する導電性層と、強磁性金属粉末を
含有する磁性層とを形成し、重層構成とすれば、磁性層
からカーボンブラックを除去したり、カーボンブラック
を減少させることにより、磁性粉の塗料中における体積
比率を高くし、出力を高めることができる。
【0014】この場合、上記した抽出量の脂肪酸エステ
ルを磁性層又は導電性層のみに添加してよいし、両層に
添加することもできる。
【0015】また、本発明において、導電性層と、磁性
層とがこの順にウェット・オン・ウェット方式で重層塗
布されたものであるのがよい。ウエット・オン・ウエッ
ト方式による重層塗布においては、下層の導電性層が湿
潤状態で上層の磁性層を塗布するために、下層の表面
(すなわち、上層との境界面)が滑らかであって上層の
表面性が良好となり、かつ、上下層間の接着性も十分と
なる。
【0016】また、ウエット・オン・ウエット方式によ
れば、特に高密度記録のために高出力、低ノイズの要求
される磁気ディスク等として、要求性能をみたしたもの
となり、かつ、高耐久性の性能が要求されることに対し
ても、膜剥離をなくし、膜強度が向上し、耐久性が十分
となる。またウエット・オン・ウエット重層塗布方式に
より、ドロップアウトも低減でき、信頼性も向上する。
【0017】上記のウエット・オン・ウエット方式の重
層塗布によって形成される上下層間には、明確な境界が
実質的に存在する場合以外に、一定の厚みで両層の成分
が混在してなる境界領域が存在する場合があるが、こう
した境界領域を除いた上または下側の層を上記の磁性
層、導電性層とする。
【0018】本発明の磁気記録媒体、例えば磁気ディス
クは、図1に示すように、非磁性支持体1の両面に、カ
ーボンブラックを含有する導電性層2と、磁性層(特に
金属磁性粉を含有する磁性層)4と、必要があれば更に
オーバーコート層(図示せず)とがこの順序にそれぞれ
積層して設けられている。なお、図1の磁気記録媒体
は、導電性層2と支持体1との間に下引き層(図示せ
ず)を設けたものであってよく、あるいは下引き層を設
けなくてもよい(以下同様)。また支持体にコロナ放電
処理を施してもよい。
【0019】次に、上記した媒体を製造する方法の一例
を図2で説明する。この製造装置においては、図1の媒
体を製造するに当たり、まず供給ロール32から繰り出
されたフィルム状支持体1はエクストルージョン方式の
押し出しコーター10、11により上記した導電性層
2、磁性層4用の各塗料(図示せず)をウエット・オン
・ウエット方式で重層塗布した後、無配向化用磁石また
は垂直配向用磁石33を通過し、乾燥器34に導入さ
れ、ここで上下に配したノズルから熱風を吹き付けて乾
燥する。
【0020】次に、乾燥された各塗布層付きの支持体1
はカレンダーロール38の組み合わせからなるスーパー
カレンダー装置37に導かれ、ここでカレンダー処理さ
れた後に、巻き取りロール39に巻き取られる。しかる
後、支持体1の他の面にも、上記したと同様にして導電
性層2、磁性層4を塗布、乾燥し、カレンダー処理を行
う(図示せず)。
【0021】このようにして得られた磁性フィルムを円
盤状に打ち抜き、カセット内に収容して例えば86mmのフ
ロッピーディスクを製造する。上記の方法において、各
塗料は、図示しないインラインミキサーを通して押し出
しコーター10、11へと供給してもよい。なお、図
中、矢印Dは非磁性ベースフィルムの搬送方向を示す。
押し出しコーター10、11にはそれぞれ、液溜り部1
3、14が設けられ、各コーターからの塗料をウエット
・オン・ウエット方式で重ねる。すなわち、導電性層用
塗料の塗布直後(未乾燥状態のとき)に磁性層用塗料を
重層塗布する。
【0022】ウエット・オン・ウエット重層塗布方法
は、導電性層塗布用の押し出しコーターと磁性層塗布用
の押し出しコーターとを並列に使用する方法(図2又は
図3)の他、図4、図5のように2層を同時に塗布する
ために塗料吐出口を一体化した押し出しコーターも使用
することができる。なお、図中の2′は導電性層用塗
料、4′は磁性層用塗料である。
【0023】上記した押し出しコーターの他に、リバー
スロールと押し出しコーター、グラビヤロールと押し出
しコーターの併用も可能である。更にはエアドクターコ
ーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、スク
ィズコート含浸コーター、トランスファロールコータ
ー、キスコーター、キャストコーター、スプレイコータ
ー等を組み合わせることもできる。
【0024】ウエット・オン・ドライ方式によるとき
は、上記した各種コーターを適宜組み合わせて用いるこ
とができる。
【0025】上記した塗料に用いる溶媒は、アセトン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロ
ヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、プ
ロパノール、ブタノール等のアルコール類;酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチレング
リコールセノアセテート等のエステル類;ジエチルエー
テル、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエ
チルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエ
ーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素;メチレンクロライド、エチレンクロライド、四
塩化炭素、クロロホルム、ジクロルベンゼン等のハロゲ
ン化炭化水素等の1種、又は2種以上の混合物が使用で
きる。
【0026】本発明において、磁性層の乾燥膜厚は0.1
〜4.0 μmであってよく、0.5 〜3.0 μmであるのがよ
く、0.6〜2.0 μmが更によい。また、上記の導電性層
の乾燥膜厚も0.1 〜4.0 μmがよく、0.3 〜2.0 μmが
更によい。
【0027】本発明の磁気記録媒体において、磁性層に
使用可能な磁性粉としては、Fe、Ni、Co等の金
属、Fe−Al系、Fe−Al−Ni系、Fe−Al−
Co系、Fe−Al−Zn系、Fe−Al−Ca系、F
e−Ni−Co系、Fe−Mn−Zn系、Fe−Ni
系、Fe−Ni−Al系、Fe−Ni−Zn系、Fe−
Co−Ni−Cr系、Fe−Co−Ni−P系、Co−
Ni系、Fe、Ni、Co等を主成分とするメタル磁性
粉等の強磁性粉が好ましい。また、窒化鉄も使用可能で
ある。更にまた、γ−Fe2 3 、Co含有γ−Fe2
3 、Co被着γ−Fe2 3 、Fe3 4 、Co含有
Fe3 4 、Co被着Fe3 4 、バリウムフェライト
等の六方晶系フェライト、CrO2 等の酸化物磁性粉も
使用できる。
【0028】金属磁性粉を使用する場合、Feが80atm
%以上のFe系金属磁性粉が電気特性的に優れ、耐食性
及び分散性の点で特にFe−Al、Fe−Al−Ni、
Fe−Al−Zn、Fe−Al−Co、Fe−Ni、F
e−Ni−Al、Fe−Ni−Znの系の金属磁性粉が
好ましい。これらの金属磁性体に対する添加物としては
Si、Cu、Zn、Al、P、Mn、Cr等の元素又は
これらの化合物が含まれていても良い。
【0029】本発明においては、磁性層には、カーボン
ブラック等の帯電防止剤を添加する必要がない。すなわ
ち、磁性層と非磁性支持体との間には、カーボンブラッ
クを含有する導電性層を設けているので、この導電性層
によって磁性層の表面電気抵抗を十分に低下できるから
である。また、磁性層は帯電防止剤を含有しないこと
で、磁性層中の磁性粉等の充填密度や分散性が向上する
利点もある。
【0030】このような導電性層に用いるカーボンブラ
ックとしては、たとえばコロンビアカーボン日本社のコ
ンダクテックス(Conductex )975 (比表面積250m2/g
、粒径24mμ)、コンダクテックス900 (比表面積125
m2/g 、粒径27mμ)、コンダクテックス40−220 (粒
径20mμ)、コンダクテックスSC(粒径20mμ)、カ
ボット社製のカボット・バルカン(Cabot Vulcan)XC
−72(比表面積254m2/g 、粒径30mμ)、バルカンP
(粒径20mμ)、ラーベン1040、420 、ブラックパール
ズ1000(粒径16mμ)、ブラックパールズL、三菱化成
(株)の#44、リーガル660 等の導電性カーボンブラッ
クがある。このカーボンブラックの吸油量(DBP)は
50〜 250ml/ 100g が更に好ましい。
【0031】この導電性層は、上記のカーボンブラック
を後記のバインダ樹脂で固着したものであってよく、更
に後記の潤滑剤等を添加してよい。この層のカーボンブ
ラックは平均粒径10〜50mμ(さらには20〜40mμ)添
加量はバインダ樹脂100 重量部に対して10〜300 重量部
(更には50〜150 重量部)が好ましい。ここで平均粒径
とは、カーボンブラック粒子1000個当たりの平均した粒
径である。
【0032】本発明において、導電性層及び磁性層に用
いられるバインダには従来常用されるバインダを使用す
ることができるが、磁性体粒子、その他のフィラー類の
分散の点から、官能基、あるいは分子内塩を形成する官
能基を導入して変性した樹脂、特に変性塩化ビニル系樹
脂、変性ポリウレタン系樹脂あるいは変性ポリエステル
樹脂が好ましい。
【0033】前記樹脂類における官能基としては、たと
えば、−SO3 M、−OSO2 M、 ム、ナトリウムのいずれかであり、M1 およびM2 はそ
れぞれ水素原子、リチウム、カリウム、ナトリウムおよ
びアルキル基のいずれかである。またM1 およびM
2 は、互いに異なっていても良いし、同じであっても良
い。)などが挙げられる。
【0034】これらの官能基は、塩化ビニル系樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリウレタン系樹脂などの樹脂と、た
とえば、Cl-CH2CH2SO3M 、Cl-CH2CH2OSO2M、Cl-CH2CH2C
OOM 味である。)などのように分子中に陰性官能基および塩
素を含有する化合物とを脱塩酸反応により縮合させるこ
とにより、導入することができる。このようにして得ら
れる前記樹脂の中でも、好ましいのは塩化ビニル系樹
脂、ポリウレタン系樹脂に陰性官能基を導入してなる樹
脂である。
【0035】バインダは塩化ビニル系樹脂、ポリウレタ
ン系樹脂それぞれ単独でもよいが、塩化ビニル系樹脂に
よる高分散性、機械的強度とポリウレタン樹脂による耐
摩耗性とを考慮すると、これらの樹脂は併用した方がよ
い。併用する場合には、好ましくは、塩ビ系樹脂/ポリ
ウレタン系樹脂比が磁性層においては30/70〜90/10、
導電性層においては0/100 〜70/30であり、更に好ま
しくは磁性層においては50/50〜70/30、導電性層にお
いては、50/50〜60/40である。磁性層においては、磁
性粉の分散性向上のために塩化ビニル系樹脂はある程度
以上含有されているのが好ましく、また導電性層におい
ては磁性層よりは塩化ビニル系樹脂の量が少なめであっ
ても差支えないが、要は夫々の層の要求性能によって両
樹脂の配合比を決めることができる。
【0036】塩化ビニル系樹脂としては、たとえば塩化
ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化
ビニル−プロピオン酸ビニル−ビニルアルコール共重合
体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸ビニル−ビニ
ルアルコール共重合体、塩化ビニル−プロピオン酸ビニ
ル−マレイン酸ビニル−ビニルアルコール共重合体など
が挙げられる。
【0037】本発明においては前記バインダと併用し、
或いはその代わりに、必要に応じて、従来用いられてい
る非変性の塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂あるい
はポリエステル樹脂を使用することができるし、更に繊
維素系樹脂、フェノキシ樹脂あるいは特定の使用方法を
有する熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂、電子
線照射硬化型樹脂等を使用してもよい。
【0038】前記した樹脂は、磁性層、導電性層の結合
剤として種類、量の最適点を選んで使用することができ
る。
【0039】磁性層および導電性層の耐久性を向上させ
るために、各層用の塗料に各種硬化剤、たとえばイソシ
アネート類を夫々含有させることができる。
【0040】硬化剤として用いることのできるイソシア
ネートとしては、たとえば芳香族イソシアネートとし
て、トリレンジイソシアネート(TDI)等、およびこ
れらイソシアネートと活性水素化合物との付加体などが
あり、平均分子量としては100 〜3000の範囲のものが好
ましく、1000〜3000が更に好ましい。
【0041】また脂肪族イソシアネートとしては、ヘキ
サメチレンジイソシアネート(HMDI)等およびこれ
らイソシアネート活性水素化合物との付加体などがあ
り、平均分子量としては100 〜3000の範囲のものが好適
であるが、1000〜3000の範囲のものが更に好ましい。脂
肪酸イソシアネートの中でも非脂環式のイソシアネー
ト、およびこれらの化合物と活性水素化合物との付加体
が好ましい。
【0042】上記磁性層又は導電性層を形成するのに使
用される塗料には必要に応じて分散剤が添加され、また
脂肪酸エステル等の潤滑剤、更には必要に応じて研磨剤
等の添加剤を含有させてもよい。
【0043】使用可能な分散剤としては、リン酸エステ
ル、アミン化合物、アルキルサルフェート、脂肪酸アミ
ド、高級アルコール、ポリエチレンオキサイド、スルホ
琥珀酸、スルホ琥珀酸エステル、公知の界面活性剤等お
よびこれらの塩があり、また、陰性官能基(たとえば−
COOH)を有する重合体分散剤の塩を使用することも
できる。また、官能基(SO3 H、COOH、NH2
を有する色素(アゾ系、フタロシアニン系)の塩を使用
することもできる。これら分散剤は1種類のみで用いて
も、或いは2種以上を併用してもよい。
【0044】磁性層等には、上記した磁性粉、バイン
ダ、分散剤以外に、潤滑剤として、脂肪酸エステルを含
有せしめる。脂肪酸エステルの例としては、オレイルオ
レート、イソセチルステアレート、ジオレイルマレー
ト、ブチルステアレート、ブチルパルミテート、ブチル
ミリステート、オクチルミリステート、オクチルパルミ
テート、ペンチルステアレート、ペンチルパルミテー
ト、イソブチルオレエート、ステアリルステアレート、
ラウリルオレエート、オクチルオレエート、イソブチル
オレエート、エチルオレエート、イソトリデシルオレエ
ート、2−エチルヘキシルステアレート、エチルステア
レート、2−エチルヘキシルパルミテート、イソプロピ
ルパルミテート、イソプロピルミリステート、ブチルラ
ウレート、セチル−2−エチルヘキサレート、ジオレイ
ルアジペート、ジエチルアジペート、ジイソブチルアジ
ペート、ジイソデシルアジペート、オレイルステアレー
ト、2−エチルヘキシルミリステート、イソペンチルパ
ルミテート、イソペンチルステアレート、ジエチレング
リコール−モノ−ブチルエーテルパルミテート、ジエチ
レングリコール−モノ−ブチルエーテルステアレート等
が挙げられる。
【0045】なお、脂肪酸エステルと共に、脂肪酸も添
加すると、両者の各特長を発揮させながら、単独使用の
場合に生ずる欠陥を相殺し、潤滑効果を向上させ、静止
画像耐久性、走行安定性、S/N比等を高めることがで
きる。この場合、脂肪酸の添加量は、磁性粉100 重量部
に対して0.2 〜10重量部がよく、0.5 〜8.0 重量部が更
によい。この範囲を外れて脂肪酸が少なくなると磁性粉
の分散性が低下し、媒体の走行性も低下し易く、また多
くなると脂肪酸がしみ出したり、出力低下が生じ易くな
る。また、脂肪酸エステルの添加量は、磁性粉100 重量
部に対して0.1 〜10重量部がよく0.2 〜8.5 重量部が更
によい。この範囲を外れてエステルが少なくなると走行
性改善の効果が乏しく、また多くなるとエステルがしみ
出したり、出力低下が生じ易くなる。
【0046】また、上記の効果をより良好に奏するうえ
で、脂肪酸と脂肪酸エステルの重量比率は脂肪酸/脂肪
酸エステル=10/90〜90/10が好ましい。なお脂肪酸に
は分散作用的効果もあり、脂肪酸の使用によって別の低
分子量の分散剤の使用量を低減させ、その分だけ磁気記
録媒体のヤング率を向上せしめることもできると考えら
れる。
【0047】脂肪酸は一塩基性であっても二塩基性であ
ってもよい。炭素原子数6〜30、更には12〜22の脂肪酸
が好ましい。脂肪酸の例としては、カプロン酸、カプリ
ル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミ
チン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノレイン
酸、リノール酸、オレイン酸、エライジン酸、ベヘン
酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、ア
ジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、
1,12−ドデカンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸
等が挙げられる。
【0048】また、上記脂肪酸、脂肪エステル以外にも
他の潤滑剤、例えばシリコーンオイル、グラファイト、
フッ化カーボン、二硫化モリブデン、二硫化タングステ
ン、脂肪酸アミド、α−オレフィンオキサイド等を併用
してもよい。
【0049】研磨剤としては、一般に使用される材料で
あるアルミナ、炭化珪素、酸化クロム、コランダム、人
造コランダム、人造ダイアモンド、ざくろ石、エメリ
(主成分:コランダムと磁鉄鉱)等が使用される。これ
らの研磨剤は平均粒径0.05〜5μmの大きさのものが使
用されてよく、特に好ましくは0.1 〜2μmである。こ
れらの研磨剤はバインダ100 重量部に対して1〜20重量
部の範囲で添加されるのがよい。
【0050】また、非磁性支持体としては、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレー
ト等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフ
ィン類,セルローストリアセテート、セルロースダイア
セテート等のセルロース誘導体、ポリアミド、ポリカー
ボネート等のプラスチックが挙げられるが、Cu、A
l、Zn等の金属、ガラス、窒化ホウ素、炭化珪素等の
セラミックス等も使用できる。
【0051】これらの支持体の厚みはフィルム、シート
状の場合は約3〜100 μm程度、好ましくは5〜50μm
であり、ディスク、カード状の場合は30μm〜10mm程度
であり、ドラム状の場合は円筒状で用いられ、使用する
レコーダに応じてその型は決められる。
【0052】なお、本発明は上記した重層構成の媒体以
外にも、勿論適用することができる。例えは磁性層を複
数層とする構成にも好適である。
【0053】上記支持体と磁性層の中間に、即ち磁性層
−支持体間、磁性層−導電性層間又は導電性層−支持体
間には、接着性を向上させる中間層を設けてもよい。
【0054】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例とともに説明
する。成分、割合、操作順序等は、本発明の精神から逸
脱しない範囲において種々変更しうる。
【0055】実施例1〜5、比較例1〜4 以下に示す成分をディスパーニーダおよびボールミルを
用いて充分に混練・分散し、次いで、塗布直前にポリイ
ソシアネート化合物(コロネートL、日本ポリウレタン
(株)製)5重量部を添加し混合して磁性塗料[I]及
びカーボンブラック塗料[II]を調製した。
【0056】 磁性塗料[I] 鉄−アルミニウム系強磁性合金粉末 100重量部 (アルミニウム含有率;4重量%、 比表面積:47m2/g、 抗磁力(Hc):1250Oe) ポリウレタン樹脂 5重量部 (ニッポラン2304:日本ポリウレタン社製) 塩化ビニル系共重合体 8重量部 (日本ゼオン社製のMR110 ) 酸化アルミナ Al2 3 10重量部 オレイン酸 1重量部 脂肪酸エステル 5重量部 (下記表−1のもの) シクロヘキサノン 100重量部 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 100重量部
【0057】 カーボンブラック塗料[II] カーボンブラック 100重量部 (下記表−2のもの) ポリウレタン樹脂 40重量部 (ニッポラン2304:日本ポリウレタン社製) 塩化ビニル系共重合体 60重量部 (日本ゼオン社製のMR110 ) 脂肪酸エステル (下記表−1のもの) シクロヘキサノン 600重量部 メチルエチルケトン 200重量部 トルエン 200重量部
【0058】次に、厚さ75μmのポリエチレンテレフタ
レートベース上に、上記のカーボンブラック塗料[I
I]、磁性塗料[I]を順次図2に示すようにエクスト
ルージョン方式の押し出しコーターでウエット・オン・
ウエット方式により各種塗布し、乾燥後にカレンダー処
理を行った。しかる後、上記ポリエチレンテレフタレー
トベースフィルムの逆の面にも、同様に各塗料[II]、
[I]を順次塗布し、乾燥後にカレンダー処理を行なっ
た。
【0059】このようにして得られた磁性フィルムを直
径86mmの円盤状に打ち抜き、カセット内に収容し
た。なお、この円盤状媒体に対し、次の条件下で脂肪酸
エステルの抽出を行った。 抽出条件: (1)ディスク1枚を室温でシクロヘキサ
ン50ml中に5分間浸 漬し、ディスクを引き上げ、そ
の後にシクロヘキサンをロータリーエバポレーターで除
去し、残った潤滑剤(脂肪酸エス テル)をガスクロマト
グラフにて定量した。 (2)上記抽出を行ったディスクをシクロヘキサン50
mlで1時間還流処理し、次にディスクを取り除き、
残ったシクロヘ キサンをロータリーエバポレーターで除
去し、残った潤滑剤 (脂肪酸エステル)をガスクロマト
グラフにて定量した。上記の各磁気ディスクについて、
以下の性能評価を行い、結果を下記表−3、表−4に示
した。
【0060】(1)再生出力 500 KHzの正弦波信号で記録し、再生RF出力を測定し
た(ドライブ:東芝社製 PD−211 )。測定した再生
RF出力を、実施例1におけるディスクを100 %とした
ときの相対値として示す。RF出力が大きい程、良好な
磁気ディスクである。
【0061】(2)耐久性 記録再生装置に装填して、磁気ヘッドを挾圧20g /cm2
で摺接し、ディスク回転速度300rpmで回転させながら、
再生出力が初期出力の70%になるまでの走行時間を耐久
性時間として評価した。
【0062】
【0063】
【0064】 上記において、エステル抽出量の(1)は上述(1)の
抽出操作、(2)は上述(2)の抽出操作によるものを
示す。また、実施例5では、酸添加量を2重量部に増や
している。
【0065】
【0066】上記の結果から、本発明に基いて磁気ディ
スクを構成することによって、高出力、高耐久性の磁気
ディスクを提供できる。即ち、脂肪酸エステル抽出量を
表面で40〜280mg /m2(更には内部からは200mg /m2
下)にコントロールすること(特にカーボンブラック種
とエステル種及びその添加量、バインダー比の制御)に
よって、結果に顕著な差が生じることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気ディスクの一例の断面図である。
【図2】磁気ディスクの製造装置の概略図である。
【図3】ウェット・オン・ウェット重層塗布方法の例を
示す断面図である。
【図4】ウェット・オン・ウェット重層塗布方法の他の
例を示す断面図である。
【図5】ウェット・オン・ウェット重層塗布方法の更に
他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 非磁性支持体 2 導電性層 2′ 導電性層用塗料 4 磁性層 4′ 磁性層用塗料 10、11 押し出しコーター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 5/70 G11B 5/842 G11B 5/71

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に磁性層を有する磁気記
    録媒体において、室温でシクロヘキサンに5分間浸漬したときに抽出され
    る脂肪酸エステル量が40〜280mg/m であり、
    かつ、前記抽出後に更にシクロヘキサンで還流処理して
    抽出される脂肪酸エステル量が200mg/m 以下で
    ある ことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 非磁性支持体上に、カーボンブラックを
    含有する導電性層と、強磁性金属粉末を含有する磁性層
    とを有することを特徴とする請求項1の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 非磁性支持体上に、カーボンブラックを
    含有する導電性層と、強磁性金属粉末を含有する磁性層
    とを有し、室温でシクロヘキサンに5分間浸漬したとき
    に抽出される脂肪酸エステル量が40〜280mg/m
    であり、かつ、前記抽出後に更にシクロヘキサンで還
    流処理して抽出される脂肪酸エステル量が200mg/
    以下である磁気記録媒体の製造方法であって、 前記 導電性層と前記磁性層とを、この順にウェット・
    オン・ウェット方式で重層塗布することを特徴とする
    気記録媒体の製造方法
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