JP2831830B2 - 鋳物砂用粘結剤組成物 - Google Patents

鋳物砂用粘結剤組成物

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、自硬性鋳型及びガス硬化性鋳型造型法に用
いられる鋳物砂用粘結剤組成物に関するものである。
更に詳しくは、水溶性フェノール樹脂を粘結剤として
用い、これを有機エステルにより硬化させる鋳型造型法
に用いられる改良された有機エステル硬化型鋳物砂用粘
結剤組成物に関するものである。
〔従来の技術〕
有機粘結剤を用いて主型や中子のような鋳型を製造す
る造型法として、自硬性鋳型法、コールドボックス鋳型
法、クローニング法(シェル法)は公知である。特に有
機自硬性鋳型造型法は機械鋳物分野を中心に生産性、鋳
物品質、安全衛生上の観点から無機系に代わって既に汎
用的な造型法となっている。
一方、従来、中、高速で鋳型を製造するにはフェノー
ル樹脂を粒状耐火物に被覆した、いわゆるコーテッドサ
ンドを加熱硬化して鋳型を製造するクローニング法が幅
広く使用されている。
しかし、鋳型製造時の省エネルギー、鋳型生産速度、
更に鋳型、鋳物の品質を改善するために、ガス状又はエ
ロゾル状物質で常温硬化させるコールドボックス鋳型法
がクローニング法を代替する鋳型の製造法として鋳物業
界で真剣に導入が試みられてきている。
〔発明が解決しようとする課題〕
有機自硬性鋳型造型法及びガス硬化性鋳型造型法に用
いられる粘結剤組成物として、水溶性フェノール−ホル
ムアルデヒド樹脂水溶液を粘結剤とし、これを有機エス
テルで硬化せしめる鋳物砂用粘結剤組成物が、特開昭50
-130627号公報、特開昭58-154433号公報や特開昭58-154
434号公報により公知である。
この粘結剤を用いた鋳型造型法は粘結剤中に硫黄原子
を含まないため酸硬化性樹脂を用いた鋳型造型法に比較
して浸硫の傾向が小さい等の長所を有するが、反面酸硬
化性鋳型造型法に比較して、鋳型強度が低い、可使時間
が短い、砂再生性が劣るなどの欠点を有しており、更に
その改良が望まれている。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは上記問題点を解決すべく鋭意研究の結
果、水溶性フェノール樹脂を粘結剤とし、これを有機エ
ステルにより硬化させる鋳型造型法に用いられる鋳物砂
用粘結剤組成物において、水溶性フェノール樹脂に特定
の割合のノボラック型フェノール樹脂の1種又は2種以
上を併用してなる鋳物砂用粘結剤組成物を使用すること
により、鋳型強度を大幅に向上させることを見出し、本
発明を完成するに到った。
即ち本発明は、水溶性フェノール樹脂水溶液とその固
形分量に対し5〜40重量%のノボラック型フェノール樹
脂の1種又は2種以上とを必須成分とすることを特徴と
する有機エステル硬化型鋳物砂用粘結剤組成物に関する
ものである。
本発明において用いられるノボラック型フェノーフ樹
脂として好ましいものは、フェノール類モノマーとし
て、例えばフェノール、クレゾール、レゾルシノール、
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノール
C、クミルフェノール、ノニルフェノール、ブチルフェ
ノール、フェニルフェノール、エチルフェノール、オク
チルフェノール、アミルフェノール、ナフトール、カテ
コール、ハイドロキノン、ピロガロール、フロログリシ
ン、クロロフェノール、ジクロロフェノール及びその他
の置換フェノールを含めたフェノール類があげられ、ア
ルデヒド類のモノマーとしては、ホルムアルデヒド、フ
ルフラール、グリオキザール、ベンズアルデヒド、アセ
トアルデヒド、トリオキサン及びアクロレイン等があげ
られる。本発明品は、これらフェノール類及びアルデヒ
ド類のそれぞれ1種又は2種以上からなるノボラック型
フェノール樹脂と水溶性フェノール樹脂水溶液から組成
されている。フェノール類とアルデヒド類を酸性下で縮
合させる触媒としては、シュウ酸、塩酸、硫酸などの酸
性物質及び有機酸金属塩などである。
水溶性フェノール樹脂と上記の如きノボラック型フェ
ノール樹脂を併用する形態としては、水溶性フェノール
樹脂水溶液中に溶解させても良いし、また水溶性フェノ
ール樹脂水溶液中へ溶解させると著しく増粘するか或い
は溶解しないものは、周知の溶媒を用い溶解させた後、
水溶性フェノール樹脂とは別途に耐火性粒状材料に添加
してもよい。この際、添加順序は特に限定されない。
ノボラック型フェノール樹脂の組成割合は、水溶性フ
ェノール樹脂水溶液の固形分量に対し5〜40重量%であ
る。
本発明の有機エステル硬化型鋳物砂用粘結剤組成物を
用いて鋳物用砂型を自硬性鋳型造型法によって製造する
には、耐火性粒状材料100重量部に、硬化剤である有機
エステル0.05〜9重量部、好ましくは1.5〜5重量部、
水溶性フェノール樹脂水溶液を固形分として0.4〜15重
量部、好ましくは0.6〜5重量部及びノボラック型フェ
ノール樹脂の1種又は2種以上の混合物を水溶性フェノ
ール樹脂水溶液の固形分量に対し5〜40重量%、好まし
くは7〜30重量%になるように含有させたものを周知の
方法で混練し、従来の自硬性鋳型製造プロセスをそのま
ま利用して鋳型を製造することができる。
また、本発明において、鋳物用砂型をガス硬化性鋳型
造型法によって製造するには、まず耐火性粒状材料100
重量部に、水溶性フェノール樹脂水溶液を固形分として
0.4〜15重量部、好ましくは0.6〜5重量部及びノボラッ
ク型フェノール樹脂の1種又は2種以上の混合物を水溶
性フェノール樹脂水溶液の固形分量に対し5〜40重量
%、好ましくは7〜30重量%になるように含有させたも
のからなる混練砂を手込め、もしくは加圧空気でのブロ
ーイングにより模型中に充填し、次いでガス状もしくは
エロゾル状の有機エステル0.08〜9重量部を吹き込んで
フェノール樹脂混合物を硬化させることにより、鋳型を
製造する。
本発明に用いられる有機エステルとしては、ラクトン
類或いは炭素数1〜10の一価又は多価アルコールと炭素
数1〜10の有機カルボン酸より誘導される有機エステル
の単独もしくは混合物が用いられるが、自硬性鋳型造型
法ではγ−ブチロラクトン、プロピオンラクトン、ε−
カプロラクトン、ギ酸エチル、エチレングリコールジア
セテート、エチレングリコールモノアセテート、トリア
セチン等を用いるのが好ましく、ガス硬化性鋳型造型法
ではギ酸メチルを用いるのが好ましい。
本発明に用いられる水溶性フェノール樹脂とは有機エ
ステルで硬化可能な樹脂であり、例えばフェノール、ク
レゾール、レゾルシノール、キシレノール、ビスフェノ
ールA、クミルフェノール、ノニルフェノール、ブチル
フェノール、フェニルフェノール、エチルフェノール、
オクチルフェノール、アミルフェノール、ナフトール、
ビスフェノールF、ビスフェノールC、カテコール、ハ
イドロキノン、ピロガロール、フロログリシン、リグニ
ン、ビスフェノールA残渣、クレゾール残渣、クロロフ
ェノール、ジクロロフェノール、その他の置換フェノー
ルを含めたフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセト
アルデヒド、フルフラールアルデヒド及びアルデヒドの
混合物等との反応によって得られるフェノール樹脂が挙
げられる。これらのフェノール樹脂の縮合に用いられる
適当なアルカリ性物質は水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、水酸化リチウム及びこれらの混合物であるが、水
酸化カリウムが最も好ましい。
耐火性粒状材料としては、石英質を主成分とする珪砂
の他、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、アルミ
ナサンド等の無機耐火性粒状材料が使用されるが、特に
限定されるものではない。
また、更に鋳型強度を向上させる目的でシランカップ
リング剤を加えても差し支えない。好ましいシランカッ
プリング剤としては、γ−アミノプロピルトリエトキシ
シランやγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリ
メトキシシラン等が挙げられる。
本発明における水溶性フェノール樹脂水溶液の固形分
量は、空気循環式炉内で秤量した試料(2.0±0.1g)を
3時間100℃に加熱することによって測定した。
〔実施例〕
以下、実施例をもって本発明を詳細に説明するが、本
発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[水溶性フェノール樹脂の製造]−(A) 50%KOH水溶液中にKOHと当モル比のフェノールを加
え、攪拌溶解した。この溶液を80℃に保ちながらフェノ
ールに対し2倍モルの50%ホルムアルデヒド水溶液を徐
々に加えた。そして反応溶液中のフェノールホルムアル
デヒド樹脂が所定の重量平均分子量になるまで80℃で反
応させ、水溶性フェノール樹脂を得た。
[ノボラック樹脂の製造]−(B) フェノールに対し0.8倍モルのパラホルムアルデヒド
及び0.01倍モルのシュウ酸を加え、還流温度で所定の重
量平均分子量になるまで反応させた。次に冷水を多量に
加えて反応を停止させた後、常圧で脱水を行い、脱水終
了後ただちに冷却されているバットに反応物を流し込
み、ノボラック樹脂を得た。
また、o−クレゾールなどのフェノール類は、固体な
らば水などの溶媒にて溶解したうえ、同様の合成方法で
所望の樹脂を得た。
また、ハイオルソノボラックを得る場合は、触媒に有
機酸の金属塩を用いた。
実施例1〜5、比較例1〜3 自硬性鋳型造型法における鋳型強度を評価した。
即ち、珪砂100重量部に対して、トリアセチンを0.25
重量部、上記(A)で得た水溶性フェノール樹脂(重量
平均分子量3000)及び表−1に示し且つ上記(B)で得
た各種ノボラック型フェノール樹脂の50%メタノール溶
液を0.3重量部添加混練してなる混合物を、50mmφ×50m
mhのテストピース用模型に充填し、混練から24時間後の
圧縮強度測定した。
結果を表−1に示す。
実施例6〜10及び比較例4〜6 ガス硬化性鋳型造型法における鋳型強度を評価した。
即ち、珪砂100重量部に対し、上記(A)で得た水溶
性フェノール樹脂を2.0重量部及び表−2に示し且つ上
記(B)で得た各種ノボラック型フェノール樹脂50%メ
タノール溶液を0.4重量部添加混練してなる混合物を、5
0mmφ×50mmhのガス硬化用テストピース用模型に充填し
た。この模型中に3.0重量部のガス状のギ酸メチルを注
入し、注入後から24時間後の圧縮強度を測定した。
結果を表−2に示す。
〔発明の効果〕 上記の実施例で明白なように、本発明の製造方法によ
れば、従来の製造方法によって得られる鋳型に比べて高
強度の鋳型が得られる。
その結果、粘結剤の使用量の低減が可能となるため、
鋳物砂の回収が容易となり、また、鋳込時の鋳型から発
生するガス量を減少し得るので、ガス欠陥の発生を抑制
し健全な鋳物が製造でき、実用上有益なものとなる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水溶性フェノール樹脂水溶液とその固形分
    量に対し5〜40重量%のノボラック型フェノール樹脂の
    1種又は2種以上とを必須成分とすることを特徴とする
    有機エステル硬化型鋳物砂用粘結剤組成物。
  2. 【請求項2】有機エステルがガス状であることを特徴と
    する請求項1記載の鋳物砂用粘結剤組成物。
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