JP2830151B2 - 光学活性なアルカノール類の製造法 - Google Patents

光学活性なアルカノール類の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は医薬、農薬、有機電子材料等の中間体として
有用な光学活性なアルカノール類の製造法に関する。
<従来の技術> 特開昭63−190842号公報には、下記一般式(I−a) 〔式中、R1は炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル
基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルカノイルオキ
シ基またはアルコキシカルボニル基、R2は炭素数2〜15
の直鎖または分岐のアルキル基をあらわし、 (Yはシアノ基、ハロゲン原子、メチル基またはメトキ
シ基を示す)をあらわし、*は不斉炭素原子であること
を示す〕 で示される2−置換アルキルエーテル類の製造法として
以下の反応式が記載されている。
しかしながら、該製造法は、出発原料として光学活性
2級アルコールの水酸基をメトキシメチル基、2−テト
ラヒドロピラニル基、ベンジル基等の保護基で保護した
化合物とアルコールまたはフェノール類とを反応させて
いる為、生成した化合物(2)を脱保護基する工程が余
分に必要となるなどの問題点があり、必ずしも工業的有
利なものではなかった。
<発明が解決しようとする課題> 本発明は光学活性なエポキシドとフェノール性化合物
とから光学活性なアルカノール類を1工程で製造する法
を提供する。
<課題を解決するための手段> 本発明は、一般式(II) AQnOH (II) (式中、Qは を、nは0または1をそれぞれ表わす。Aはnが0であ
るとき を、nが1でQが であるとき をそれぞれ表わし、nが1でQが であるとき をそれぞれ表わす。X1,X2は 各々独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキ
ル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルオキシ
基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基またはア
ルキルカルボニル基を、R′はアルキル基、アルケニル
基、アルキニル基、アルキルオキシ基、アルケニルオキ
シ基またはアルキニルオキシ基をそれぞれ表わす。) で示されるフェノール性化合物と、一般式 (式中、Rは炭素数1〜16のアルキル基またはハロゲン
原子、低級アルキル基、低級アルケニル基もしくは低級
アルキニル基で置換されていてもよいフェニル基を、*
印は不斉炭素原子をそれぞれ表わす。) で示される光学活性なエポキシドとを、 前記フェノール性化合物に対して0.1〜10モル%の塩基
の存在下に反応させることを特徴とする一般式 (式中、A、Q、R、nおよび*印は前記と同じ意味で
ある。) で示される光学活性なアルカノール類の製造法である。
フェノール性化合物としては、フェノール、クロロフ
ェノール、ブロモフェノール、クレゾール、ベンジルオ
キシフェノール、ヒドロキシアセトフェノン、4−ヒド
ロキシビフェニル、クロロ−4−ヒドロキシビフェニ
ル、ブロモ−4−ヒドロキシビフェニル、ベンジルオキ
シ−4−ヒドロキシビフェニル、アセチル−4−ヒドロ
キシビフェニル、4′−アルキル−4−ヒドロキシビフ
ェニル、4′−アルコキシ−4−ヒドロキシビフェニ
ル、5−アルキル−2−(4−ヒドロキシフェニル)ピ
リミジン、5−アルコキシ−2−(4−ヒドロキシフェ
ニル)ピリミジン、2−(4−アルキルフェニル)−5
−ヒドロキシピリミジン、2−(4−アルコキシフェニ
ル)−5−ヒドロキシピリミジン、シアノフェノール、
4−ヒドロキシ−4′−シアノビフェニル、2−アルキ
ル−5−(4−ヒドロキシフェニル)ピラジン、2−ア
ルコキシ−5−(4−ヒドロキシフェニル)ピラジン、
6−アルキル−3−(4−ヒドロキシフェニル)ピリダ
ジン、6−アルコキシ−3−(4−ヒドロキシフェニ
ル)ピリダジン、5−アルキル−2−(4−ヒドロキシ
フェニル)ピリジン、5−アルコキシ−2−(4−ヒド
ロキシフェニル)ピリジン等があげられる。
また、上記例示中、アルキルをアルケニル、アルキニ
ルに置き換えた化合物またはアルコキシをアルケニルオ
キシ、アルキニルオキシにそれぞれ置き換えた化合物も
例示される。
これらのアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキ
ルオキシ、アルケニルオキシまたはアルキニルオキシ基
は、炭素数20以下の直鎖または分岐状基である。
一般式(II)で示されるフェノール性化合物の使用量
は、通常一般式(III)で示される光学活性なエポキシ
ドが高価である為、該エポキシドに対して過剰にするの
が好ましく、より好ましくは1.1〜1.2倍モルである。
一般式(III)で示される光学活性なエポキシドとし
ては1,2−エポキシプロパン、1,2−エポキシブタン、1,
2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−
エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポ
キシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシウン
デカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシトリデ
カン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシペン
タデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、スチレンオキ
シド等が挙げられる。
塩基としては、一般式(III)で示されるフェノール
性化合物と塩を形成する無機もしくは有機化合物または
該無機もしくは有機化合物と一般式(II)で示されるフ
ェノール性化合物との塩が挙げられる。
一般式(II)で示されるフェノール性化合物と塩を形
成する無機もしくは有機化合物としては、水酸化リチウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシ
ウム等の水酸化アルカリ金属もしくは水酸化アルカリ土
類金属あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カ
リウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属もしくは
アルカリ土類金属の炭酸塩あるいは水素化ナトリウム、
水素化カルシウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土
類金属の水素化物あるいはメチルリチウム、ブチルリチ
ウム等の有機金属などが挙げられる。
塩基の使用量は、一般式(II)で示されるフェノール
性化合物に対して通常0.1〜10モル%、好ましくは0.1〜
5モル%である。
一般式(II)で示されるフェノール性化合物と一般式
(III)で示される光学活性なエポキシドとの反応は、
通常溶媒の存在下に行う。
溶媒としてはヘキサン、ヘプタン、トルエン、ベンゼ
ン等の芳香族炭化水素、エチルエーテル、テトラヒドロ
フラン等のエーテル、クロルベンゼン、クロロホルム、
ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン等のハロゲン化
炭化水素もしくはジメチルホルムアミド、N−メチルピ
ロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の
非プロトン性極性溶媒などの反応に不活性な溶媒の単独
または混合物が挙げられる。溶媒の使用量は特に制限さ
れないが、一般式(III)で示される光学活性なエポキ
シドに対して10重量倍以下であることがより好ましい。
反応温度は通常0〜150℃、好ましくは50〜150℃であ
る。
反応時間については、例えば一般式(III)で示され
る光学活性なエポキシドが反応系から消失した時点をも
って反応終点とすることができる。
反応混合物からの一般式(I)で示される光学活性な
アルカノール類の取出しは、通常の抽出、分液、濃縮、
蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の後処理操
作を加えることにより行われる。
<発明の効果> 本発明によれば、医薬、農薬、有機電子材料等の中間
体として有用な一般式(I)で示される光学活性なアル
カノール類を工業的有利に製造することができる。
<実施例> 以下、実施例により本発明を説明する。
実施例1 4−ベンジルオキシフェノール24.0g(0.12モル)を
N−メチルピロリドン200mlにとかし、次いで60%水素
化ナトリウム0.24gを加えて、30分間室温で撹拌した。
(R)−1,2−エポキシオクタン12.8g(0.1モル)を加
えた後、60℃で6時間撹拌した。
反応混合物を減圧下に濃縮したのち、水500mlを加
え、次にトルエン300mlで抽出した。得られた有機層を
水洗後、無水炭酸カリウムで乾燥した。
低沸点成分を減圧下に留去し、得られた残渣をトルエ
ン−酢酸エチル系でカラムクロマトグラフィーで分離
し、精製して(−)−1−(2−ヒドロキシオクチルオ
キシ)−4−ベンジルオキシベンゼンを31.5g(収率96
%)を得た。
実施例2〜5 表−1に示すフェノール性化合物、溶媒、塩基、光学
活性なエポキシドを用い、かつ反応条件を表−1に示す
ようにする以外は実施例1と同様に反応および後処理し
て表−1に示す結果を得た。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C07M 7:00 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 43/20 - 43/23 C07C 41/03

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 AQnOH (式中、Qは を、nは0または1をそれぞれ表わす。Aはnが0であ
    るとき を、nが1でQが であるとき をそれぞれ表わし、nが1でQが であるとき をそれぞれ表わす。X1,X2は 各々独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキ
    ル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルオキシ
    基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基またはア
    ルキルカルボニル基を、R′はアルキル基、アルケニル
    基、アルキニル基、アルキルオキシ基、アルケニルオキ
    シ基またはアルキニルオキシ基をそれぞれ表わす。) で示されるフェノール性化合物と、一般式 (式中、Rは炭素数1〜16のアルキル基またはハロゲン
    原子、低級アルキル基、低級アルケニル基もしくは低級
    アルキニル基で置換されていてもよいフェニル基を、*
    印は不斉炭素原子をそれぞれ表わす。) で示される光学活性なエポキシドとを、 前記フェノール性化合物に対して0.1〜10モル%の塩基
    の存在下に反応させることを特徴とする一般式 (式中、A、Q、R、nおよび*印は前記と同じ意味で
    ある。) で示される光学活性なアルカノール類の製造法。
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