JPH09143139A - シアノフルオロフェノ−ルの製造方法 - Google Patents
シアノフルオロフェノ−ルの製造方法Info
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Abstract
純度のシアノフルオロフェノールを安全に効率良く得る
方法を提供する。 【構成】 2,4−ジフルオロベンゾニトリルを金属ア
ルコキシドと反応させてフルオロアルコキシベンゾニト
リル混合物とし、この混合物にエーテル開裂・加水分解
処理を施すことによりシアノフルオロフェノール混合物
とし、この混合物から各異性体を分離精製して4−シア
ノ−3−フルオロフェノ−ルまたは2−シアノ−5−フ
ルオロフェノ−ルを得ることを特徴とするシアノフルオ
ロフェノ−ルの製造方法。
Description
および液晶等の中間体として有用なシアノフルオロフェ
ノール、特に4−シアノ−3−フルオロフェノ−ルおよ
び2−シアノ−5−フルオロフェノ−ルの新規な製造方
法に関する。
農薬、染料および液晶等の中間体として重要な化合物で
ある。特に4−シアノ−3−フルオロフェノ−ルは、特
開昭60−197651号、特開昭60−224666
号あるいは特開平4−164058号公報等に見られる
ように、非常に優れた特性を有する液晶化合物の製造原
料(中間体)となる。しかし、ベンゼン環上にOH、C
NおよびFを有するシアノフルオロフェノールには多数
の位置異性体が存在し、これらの異性体は各種の溶媒へ
の溶解性が類似した固体(常温下)であるため、シアノ
フルオロフェノールの合成においては異性体の生成比の
制御ならびに生成した異性体の分離が大きな課題となっ
ている。
−ルの製造方法として、以下の経路Bを辿る方法が提案
されている (Helv. Chim. Acta., vol. 67 (1984), 157
2-1578) 。
V)の臭素化を行なって3−フルオロ−4−ブロモアニ
ソール(式Va)とする。次いでジメチルホルムアミド
(DMF)の溶媒中で上記ブロモアニソールにシアン化銅を
作用させて臭素原子をシアノ基に置換してニトリル(式
VI)に転じた後に塩化アルミニウムによりエーテル結合
を開裂させて目的の4−シアノ−3−フルオロフェノ−
ル(式 VII)を得る。
−フルオロ−4−ブロモアニソール(式Va)の他に以下
の式Vbおよび式Vcで表わされる位置異性体やジブロモ体
が生じる。
いるため、その分離が困難である。そこで、この分離方
法を改良した製法が欧州特許EP 0 601 977 A1号に提案
されている。この方法では、シアノフルオロアニソール
(VI)の段階でカラムクロマトグラフィ法により異性体の
分離を行ない、次いでピリジン塩酸塩を用いて脱メチル
化を行なっている。しかし、これらの方法では、分離精
製のために複雑な手順が必要であり合成プロセス全体と
しての収率も低い。また、第2段の反応(V →VI)に用
いるシアン化銅は毒性が高いため、反応を実施する上で
安全面にも問題が生じる。
するため、以下に示す経路Cの方法(Liuid Crystals, v
ol.11, No.3, 373-384 (1992))も提案されている。
し、これを順次、カルボキシル基、カルバモイル基、シ
アノ基に転化して4−シアノ−3−フルオロフェノ−ル
を得る方法である。アシル化の際の反応性(置換基の配
向性および立体障害)から異性体の生成が最小限に抑え
られる。
738号)の方法も知られており、この方法では、β−
シクロデキストリン(シクロヘプタアミロース)を用い
て反応を位置選択的に進める。
めに全体を通しての収率が10%台にとどまる。経路D
では試薬として比較的高価なシクロデキストリンを用い
る必要があり工業的な規模での実施にはコスト面での問
題が残る。さらに、シアン化銅を用いるため安全面でも
問題がある。
上記問題を解決した製造方法を提供するものであって、
式III で示されるシアノフルオロフェノールについて、
その異性体の生成比率を制御して目的のシアノフルオロ
フェノールを高純度で安全・簡便に得る方法を提供する
ことを目的とする。
もモノフルオロアニソールないしモノフルオロフェノー
ルを出発物質として用い、フッ素以外の置換基に水酸基
とシアノ基を導入する製法であるが、本発明の製造方法
は、(イ) ジフルオロベンゾニトリルを出発物質とし、フ
ッ素の1つを最終的にOH基に置換すること、および
(ロ) その生成過程で生じるフルオロアルコキシシアノベ
ンセンを異性体混合物のまま処理し、好適な実施態様に
おいては、これら異性体の生成比率を制御して目的のシ
アノフルオロフェノールを得ることを特徴とする。さら
に、好ましくは(ハ) シアノフルオロフェノールの異性体
混合物から各異性体を効率的に分離する工程を有するこ
とを特徴とする。
なるシアノフルオロフェノ−ルの製造方法が提供され
る。 (1) 式Iの2,4−ジフルオロベンゾニトリル:
基、Mは金属原子、nはMの価数)またはアルカリ共存
下にアルコールROH(式中、Rは上記と同じ)と反応
させて式II:
Rは上記に同じ)とし、この混合物にエーテル開裂・加
水分解処理を施すことにより式III :
から各異性体を分離精製して4−シアノ−3−フルオロ
フェノ−ルまたは2−シアノ−5−フルオロフェノ−ル
を得ることを特徴とするシアノフルオロフェノ−ルの製
造方法。
造方法が提供される。 (2) 式Iの2,4−ジフルオロベンゾニトリルを有
機溶媒中でアルコキシ化して式IIのエーテル混合物を生
成する際に、有機溶媒の種類に応じて4−シアノ−3−
フルオロフェノ−ルまたは2−シアノ−5−フルオロフ
ェノ−ルの生成比率を制御する上記(1) に記載の製造方
法。 (3) 式Iの2,4−ジフルオロベンゾニトリルをア
ルコール系の有機溶媒中でアルコキシ化することにより
2−フルオロ−4−アルコキシベンゾニトリルの生成比
率を高めて4−シアノ−3−フルオロフェノ−ルを得る
上記(2) に記載の製造方法。 (4) 式Iの2,4−ジフルオロベンゾニトリルをエ
ーテル類ないしベンゼン中でアルコキシ化することによ
り4−フルオロ−2−アルコキシベンゾニトリルの生成
比率を高めて2−シアノ−5−フルオロフェノ−ルを得
る上記(2) に記載の製造方法。 (5) 上記式III のシアノフルオロフェノール混合物
を加熱し蒸留または昇華によって異性体を分離する上記
(1) 〜(4) のいずれかに記載の製造方法。 (6) 上記式III のシアノフルオロフェノール混合物
に水または有機溶媒および金属陽イオン源を添加するこ
とにより異性体のうち一方を金属塩として分離する上記
(1) 〜(4) のいずれかに記載の製造方法。
路Aにより表わされる。
ンゾニトリル(式I)を出発物質とし、これにRO- ま
たはROH/アルカリを作用させてフルオロアルコキシ
ベンゾニトリルの異性体混合物(式II)を得た後、上記
反応で生じたエーテル結合を開裂させ加水分解して目的
化合物(式III)を得る。
I)は、種々の方法により合成することができるが、例
えば、以下のようにして得ることができる。
(式 X)のアルキル側鎖を塩素化してα,α,α−トリ
クロロメチル−2,4−ジクロロトルエン(式XI)とし
これを加水分解するか、あるいは原料のトルエンを酸化
することにより2,4−ジクロロ安息香酸(式XII )を
得る。次いで、これにアンモニアを反応させて酸アミド
(式XIII)とし、これをP2 O5 あるいはPCl3 、塩
化ホスホリル等と混合・加熱して脱水することにより
2,4−ジクロロベンゾニトリル(式 XIV)とする。最
後に、ジクロロベンゾニトリル(式 XIV)にフッ化カリ
ウム等のフッ素化剤を作用させてハロゲン交換を行なえ
ば2,4−ジフルオロベンゾニトリル(式I)が得られ
る。この製法によれば、従来のシアン化銅を用いて得た
シアノフルオロアニソールを原料とする製造方法と異な
り、有毒なシアン化銅を用いる必要がないため、安全に
2,4−ジフルオロベンゾニトリルを得ることができ
る。
2,4−ジフルオロベンゾニトリルを金属アルコキシド
(RO)n M(式中、Rは炭化水素基、Mは金属原子、
nはMの価数)と反応させて、またはアルカリ存在下に
アルコールROH(式中、Rは上記と同じ)と反応させ
ることにより行なう。金属アルコキシドは無溶媒で粉末
状のまま、あるいはアルコール溶液として用いる。
例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ
金属を用いることができる。具体例としては、ナトリウ
ムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−
ブトキシド等が挙げられ、工業的にはナトリウムメトキ
シドやナトリウムエトキシドが好ましい。その使用量は
2,4−ジフルオロベンゾニトリル1モルに対し、0.
5〜2.0モル、好ましくは0.8〜1.2モルであ
る。
化する場合に用いる好適なアルカリとしては水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の水酸化
アルカリおよび炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セ
シウム等の炭酸アルカリが挙げられる。工業的には、水
酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムまたは炭酸ナト
リウムもしくは炭酸カリウムが有利である。水酸化アル
カリまたは炭酸アルカリの使用量は、2,4−ジフルオ
ロベンゾニトリル1モルに対して0.5〜2.0モル、
好ましくは0.8〜1.2モルである。アルコールとし
て工業的にはメタノール、エタノール、プロパノール、
ブタノール等を用いることができる。特にメタノールや
エタノールが好ましい。アルコールと他の溶媒を混合し
て用いても良い。
リルおよび金属アルコキシドと容易には反応しないもの
が用いられる。具体的には、メタノール、エタノール、
プロパノール、ブタノール等のアルコール類、ヘキサン
やベンゼン等の飽和、不飽和の炭化水素類、アセトン等
のケトン類、イソプロピルエーテルのようなエーテル
類、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素、ピリジ
ンやDMSO、DMFのような非プロトン性極性溶媒を
用いることができる。
先的に置換(アルコキシドで攻撃)するためには金属ア
ルコキシドと対応した低級アルコール類、特にナトリウ
ムメトキシド−メタノール、ナトリウムエトキシド−エ
タノールの組み合わせが好ましく、シアノ基に対してオ
ルト位のFを優先的に置換するためには、イソプロピル
エーテルやベンゼン等が好ましい。
4−ジフルオロベンゾニトリル溶液に14%NaOC2 H 5 な
いし28% NaOCH3 溶液を滴下してフルオロアルコキシベ
ンゾニトリルを生成させる際、エチルアルコールまたは
メチルアルコールを溶媒として用いた場合には、2−フ
ルオロ−4−アルコキシベンゾニトリル(2-F-4-OR-BzN
と略記する場合がある)が優位に生成し、イソプロピル
エーテルないしベンゼンを溶媒として用いた場合には、
4−フルオロ−2−アルコキシベンゾニトリル(4-F-2-
OR-BzNと略記する場合がある)が優位に生成する。
ロピルエーテルないしベンゼンを溶媒として用いた場合
の上記異性体の生成比率は、4-F-2-OR-BzNが70%以上
であるのにに対して2-F-4-OR-BzNは30%以下であり、
4-F-2-OR-BzNの選択性が格段に高い。従って、2−シア
ノ−5−フルオロフェノールの生成に有利である。一
方、アルコール類を溶媒として用いた場合には、2-F-4-
OR-BzNの生成比率が高く、従って、4−シアノ−3−フ
ルオロフェノールの生成に有利である。
は、適宜、最適条件を選定すればよいが、概ね−20〜
200℃の温度、30分〜48時間が適当である。な
お、シアノ基に対してパラ位のFを優先的に置換するた
めには還流条件下にアルコキシドを滴下するのが好まし
く、基質濃度が低く、また長時間かけてアルコキシドを
滴下したほうが、2-F-4-OR-BzNの生成比率が高くなる傾
向がある。一方、アルコール系溶媒中でオルト位のFを
優先的に置換するには比較的低温、例えば10℃〜室温
程度で、比較的短い時間内にアルコキシドの全量を添加
するのが好ましい。
過等により除いた後、溶媒を留去することにより2−フ
ルオロ−4−アルコキシベンゾニトリルと4−フルオロ
−2−アルコキシベンゾニトリルの混合物が得られる。
この2つの異性体は融点、沸点ともに近接しており、通
常の方法では収率よく分離するのが難しいが、本発明の
製造方法では敢えて両者を分離することなく、第2段の
エーテル開裂・加水分解反応に移行する。
きる。好ましくは、トルエンまたはキシレン等の溶媒中
または無溶媒で塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、
塩化アルミニウム−塩化ナトリウム(1:1錯体)等の
ルイス酸触媒を用いて行なうことができる。工業的には
特に塩化アルミニウムが好ましい。その使用量はフルオ
ロアルコキシベンゾニトリル1モルに対して1〜3モ
ル、好ましくは1.01〜1.5モルである。反応温度
は80〜200℃、好ましくは100〜140℃であ
り、反応時間は3〜24時間である。
加水分解することにより4−シアノ−3−フルオロフェ
ノール(式 VII)と、2−シアノ−5−フルオロフェノ
−ル(式VIII)の混合物が得られる。
く分離するのは難しいが、以下の方法により効率的に分
離精製することができる。 (イ) 蒸留昇華法:シアノフルオロフェノールの上記異性
体混合物を加熱し蒸留または昇華によって異性体を分離
する。具体的には混合物を加熱蒸留し、2−シアノ−5
−フルオロフェノ−ルを蒸留物として得、釜残渣として
4−シアノ−3−フルオロフェノールを得ることができ
る。加熱温度は70〜300℃、好ましくは150〜1
90℃が適当である。また、2−シアノ−5−フルオロ
フェノ−ルは常圧下で浴温80℃付近から昇華し、減圧
下では更に低い温度で昇華させることができ、これらの
圧力温度下で上記異性体を昇華分離することができる。 (ロ) アルカリ金属塩法:シアノフルオロフェノールの上
記異性体混合物に、水または有機溶媒中でアルカリ金属
イオン源を添加して一方を金属塩として溶解あるいは析
出させ分離する。
一方を水中に金属塩として溶解させる場合は、まず両異
性体の混合物を所要量の熱水に添加して水溶液またはス
ラリーとし、その後、苛性アルカリを添加するとフェノ
ール水酸基の酸性度の違いから、2−シアノ−5−フル
オロフェノ−ルが優先的にフェノール塩を形成する。フ
ェノール塩は水溶性のため、適宜冷却し濾過することに
より、そのほぼ全量が濾液から回収される。一方、4−
シアノ−3−フルオロフェノ−ルは冷却時に水難溶性で
あるから、上記濾過の際に結晶として分離できる。苛性
アルカリとしては水酸化アルカリまたは炭酸アルカリ、
例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを用いるこ
とができる。苛性アルカリの添加量は2−シアノ−5−
フルオロフェノ−ル含量の0.7〜1.5倍モル相当が
適当であり、好ましくは0.9〜1.2倍モル相当が良
い。
異性体の一方を有機溶媒から金属塩として析出させる場
合にも、両異性体の有機溶媒溶液に金属アルコキシド等
のアルカリ金属イオン源を添加すると、2−シアノ−5
−フルオロフェノ−ルが優先的にフェノール塩を形成し
析出し、濾液には4−シアノ−3−フルオロフェノ−ル
が残る。ここで、有機溶媒としては、両異性体と反応せ
ず金属アルコキシドと容易に反応しないものであればよ
い。例えば、エタノール、メタノールなどのアルコール
を用いることができる。アルカリ金属イオン源としては
苛性アルカリ/有機溶媒も利用できるが、水の生成によ
り2−シアノ−5−フルオロフェノ−ル金属塩の溶解度
が高くなってしまうので、金属アルコキシドを用いるこ
とが好ましい。その種類は特に限定されないが、例え
ば、ナトリウムメトキシドやナトリウムエトキシド等を
用いることができる。金属アルコキシドは粉末のまま添
加してもよいが、一般的には対応するアルコールの溶液
として加えるのが好ましい。
は、いずれも酸を添加することにより2−シアノ−5−
フルオロフェノ−ルに戻すことができる。また、分離さ
れた4−シアノ−3−フルオロフェノ−ルは再結晶によ
りさらに純度を高めることができる。また、この場合、
フェノール塩の形成の後、ハロゲン化アルキルやアルキ
ル硫酸等のアルキル化剤またはシリル化剤を用いて、フ
ェノール塩をアルコキシまたはシリル化合物に転化し、
通常の方法により他の異性体(遊離のフェノールとして
存在)から分離してもよい。
オロベンゾニトリルを出発物質として2段階でシアノフ
ルオロフェノールを得ることができる。得られたシアノ
フルオロフェノールは2−シアノ−5−フルオロフェノ
ールと4−シアノ−3−フルオロフェノールとの混合物
であるが、本発明によれば、生成過程で生じる異性体の
生成比率を制御して目的化合物の中間体を優位に生成で
きるので、効率良く、高純度でそれぞれの化合物を得る
ことができる。特にアルコキシ化の反応条件によっては
4−フルオロ−2−アルコキシベンゾニトリルを大幅に
優先的に生成することができるので、4−シアノ−3−
フルオロフェノールを効率良く得ることができる。ま
た、従来の製造方法と異なり、2,4−ジクロロベンゾ
ニトリルを出発原料とし、有毒なシアン化物を用いる必
要がないため、工業的に安全にかつ簡便に製造すること
が可能である。
フラスコ中に、2,4−ジフルオロベンゾニトリル9
7.3g(0.7 モル)とメタノール194.6gを仕込
み還流撹拌させた。これに28%ナトリウムメトキシド
メタノール溶液を滴下して、1時間反応させた。反応
後、メタノールを留去し、冷却後、ジクロロメタン約2
00mlを加え、アルコキシ化に際して副生したフッ化ナ
トリウムを濾別した。濾液を濃縮してフルオロメトキシ
ベンゾニトリル混合物105.7gを得た。この混合物
をガスクロマトグラフィにより分析したところ、2−フ
ルオロ−4−メトキシベンゾニトリルが56.4%、4
−フルオロ−2−メトキシベンゾニトリルが37.6%
含まれていることが確認された。
温度を代えた他は実施例1と同様にしてフルオロアルコ
キシベンゾニトリル混合物を製造した。条件および結果
を表1に示す。なお、異性体生成比は実施例1と同様に
ガスクロマトグラフィによる面百値より求めた。
を用いることにより、2−フルオロ−4−アルコキシベ
ンゾニトリルの生成比を高めることができる。一方、ベ
ンゼンやイソプロピルエーテル(IPE) を溶媒として用い
ることにより、4−フルオロ−2−アルコキシベンゾニ
トリルの生成比を高めることができ、この場合、4−フ
ルオロ−2−アルコキシベンゾニトリルの生成比は2−
フルオロ−4−アルコキシベンゾニトリルの約2倍以上
である。なお、アルカリ金属をNaからLiに変えても
ほぼ同じ結果が得られる。さらに、K塩のアルコキシド
を用いても、2−フルオロ−4−メトキシベンゾニトリ
ルの選択性は低下するが、全体の傾向は変わらない。本
実施例ではエチル基およびメチル基を有する金属アルコ
キシについての結果を示したが、他のアルキル基を始め
とする炭化水素基を有する金属アルコキシを用いても同
様の傾向が認められる。
フラスコ中に、実施例1で得た2−フルオロ−4−メト
キシベンゾニトリル(56.4%)と4−フルオロ−2−メ
トキシベンゾニトリル(37.6%)の混合物105.7g
を仕込み、これにトルエン528.5gおよび無水塩化
アルミニウム102.8gを加えて110〜120℃に
加熱し、15時間撹拌還流した。反応後、水を加えて錯
体を加水分解した後、有機層を水洗して中性とし、減圧
下に溶媒を留去した。この濃縮物を159℃に加熱して
真空蒸留(20torr)した。留出液として2−シアノ−5−
フルオロフェノール31.9gを得、釜残渣として4−
シアノ−3−フルオロフェノール49.2gを得た。こ
れら異性体のIRによる測定結果を表2に示した。ま
た、これらをガスクロマトグラフィにより分析したとこ
ろ、前者の純度は99%以上であり、後者の純度は99
%以上であった。
体の濃縮混合物91.1gを撹拌機、還流冷却機、温度
計および滴下ロートを備えたフラスコに入れ、水36
4.4gを加えて加熱溶解し、約80℃で10%水酸化
ナトリウム水溶液106.4gを添加した後、5℃まで
に冷却して析出した結晶を濾過分取、水洗し、これを6
0℃で24時間乾燥し白色結晶の4−シアノ−3−フル
オロフェノール46.5gを得た。これをガスクロマト
グラフィにより分析したところ純度98%以上であっ
た。
体の濃縮混合物91.1gを撹拌機、還流冷却機、温度
計および滴下ロートを備えたフラスコに入れ、メタノー
ル91.1gを加えて溶解し約5℃に冷却した。これ
に、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液54.
0gを約30分要して滴下する。このスラリーに塩化メ
チレン455gを加えさらに5℃で1時間冷却した後、
吸引濾過して2−シアノ−5−フルオロフェノールのナ
トリウム塩を得た。このナトリウム塩を約150mlの
水に溶解し、濃塩酸44gを加えて酸性化して析出した
結晶を吸引濾過、水洗した後、60℃で24時間乾燥し
て純度99%以上の2−シアノ−5−フルオロフェノー
ル32.8gを得た。また、初めのメタノール−塩化メ
チレン濾液を減圧濃縮して得られた濃縮残渣を、濃塩酸
2.8gを含む水638mlから再結晶して純度99%
以上の4−シアノ−3−フルオロフェノール49.2g
を得た。
Claims (6)
- 【請求項1】 式Iの2,4−ジフルオロベンゾニトリ
ル: 【化1】 を金属アルコキシド(RO)n M(式中、Rは炭化水素
基、Mは金属原子、nはMの価数)またはアルカリ共存
下にアルコールROH(式中、Rは前記と同じ)と反応
させて式II: 【化2】 のフルオロアルコキシベンゾニトリルの混合物(式中、
Rは前記に同じ)とし、この混合物にエーテル開裂・加
水分解処理を施すことにより式III : 【化3】 のシアノフルオロフェノールの混合物とし、この混合物
から各異性体を分離精製して4−シアノ−3−フルオロ
フェノ−ルまたは2−シアノ−5−フルオロフェノ−ル
を得ることを特徴とするシアノフルオロフェノ−ルの製
造方法。 - 【請求項2】 式Iの2,4−ジフルオロベンゾニトリ
ルを有機溶媒中でアルコキシ化して式IIのエーテル混合
物を生成する際に、有機溶媒の種類に応じて4−シアノ
−3−フルオロフェノ−ルまたは2−シアノ−5−フル
オロフェノ−ルの生成比率を制御する請求項1に記載の
製造方法。 - 【請求項3】 式Iの2,4−ジフルオロベンゾニトリ
ルをアルコール系の有機溶媒中でアルコキシ化すること
により2−フルオロ−4−アルコキシベンゾニトリルの
生成比率を高めて4−シアノ−3−フルオロフェノ−ル
を得る請求項2に記載の製造方法。 - 【請求項4】 式Iの2,4−ジフルオロベンゾニトリ
ルをエーテル類ないしベンゼン中でアルコキシ化するこ
とにより4−フルオロ−2−アルコキシベンゾニトリル
の生成比率を高めて2−シアノ−5−フルオロフェノ−
ルを得る請求項2に記載の製造方法。 - 【請求項5】 上記式III のシアノフルオロフェノール
混合物を加熱し、蒸留または昇華によって異性体を分離
する請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。 - 【請求項6】 上記式III のシアノフルオロフェノール
混合物に水または有機溶媒および金属陽イオン源を添加
することにより異性体のうち一方を金属塩として分離す
る請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
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---|---|---|---|
JP33283395A JP3663427B2 (ja) | 1995-11-28 | 1995-11-28 | シアノフルオロフェノ−ルの製造方法 |
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1995
- 1995-11-28 JP JP33283395A patent/JP3663427B2/ja not_active Expired - Fee Related
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