JP2829336B2 - パルプとく溶性カリ肥料の併産方法 - Google Patents

パルプとく溶性カリ肥料の併産方法

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JP2829336B2 JP9463590A JP9463590A JP2829336B2 JP 2829336 B2 JP2829336 B2 JP 2829336B2 JP 9463590 A JP9463590 A JP 9463590A JP 9463590 A JP9463590 A JP 9463590A JP 2829336 B2 JP2829336 B2 JP 2829336B2
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【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は、イネ科植物由来のセルロース材料からパル
プとカリ肥料を経済性よく併産する方法に関するもので
ある。
〔従来技術及びその問題点〕
イネ科植物由来のセルロース材料を原料とするパルプ
の製法は種々あるが、得られるパルプの品質及び収率は
木材パルプのそれに比べて劣っている。そればかりでな
く、パルプ廃液からの薬品回収や環境対策等のトータル
システム化の点でも著しく立ち遅れている。
従来、イネ科植物由来のセルロース材料を原料とする
パルプ化法のうち、水酸化ナトリウム溶液を蒸解薬液に
用いるパルプ化法が、良質のパルプを得るのに最も適し
ていることは広く知られている。しかし、この方法で
は、パルプ製造の際副生する廃液にはリグニン及び炭水
化物等の有機物が大量に含まれるため、廃液のCOD及びB
OD値は極めて大きい。しかも、この廃液には植物の生育
を阻害する大量のナトリウムが含まれている。従って、
前記方法で副生するパルプ廃液はそのままでは放流する
ことができない。またこのようなパルプ廃液の処理や利
用技術に関する技術も未だ確立されていない。
通常のパルプ(木材パルプ)廃液の処理及び利用に関
する方法のなかで最も有効な方法として、パルプ廃液を
濃縮燃焼し、生成する灰の水浸出液を生石灰で力性化
し、得られる水酸化ナトリウム溶液を蒸解薬剤として再
生利用する方法が知られている。しかし、この方法は木
材パルプ廃液の処理法としては有効であっても、イネ科
植物由来のセルロース材料を蒸解する際に副生するパル
プ廃液の処理方法としては有効ではない。イネ科植物の
茎やわら類には相当量のシリカが含まれ、その含有量は
0.7〜15%と木材(0.05〜0.2%)に比べ著しく大きい。
従って、イネ科植物由来のセルロース材料を水酸化ナト
リウム溶液を用いて蒸解する際に、その植物中のシリカ
がケイ酸塩となって溶け出し、パルプ廃液の粘度を上
げ、廃液の濃縮を困難にするとともに、濃縮装置のスケ
ールトラブルの原因にもなる。
一方、パルプ廃液中に溶け込み、薬品回収系に蓄積す
るケイ素分を系外に除去する方法として、パルプ廃液を
濃縮する前に炭酸ガスを廃液に吸収させて、ケイ素分を
不溶化し、得られる沈殿を除去する方法が提案されてい
るが、その効果は十分でなく、また系外に除去される大
量のケイ素分の処理や利用に関する技術が確立していな
い。さらに、ケイ素分と共に持出されるナトリウム、炭
水化物及リグニン等の回収法や処理、利用法も十分でな
かった。
ケイ素分を含む廃液は、これをそのまま濃縮燃焼し、
得られる灰の水浸出液を生石灰で力性化することによっ
て、ケイ素分の大部分をけい酸カルシウムとして廃液か
ら除去することができる。しかし、この場合には、炭酸
カルシウムとの混合物として除去され、この混合物の適
切な分離法や、利用法がなく、その上生石灰の消費量が
大きいという問題がある。
イネ科植物由来のセルロース材料のパルプ化法に関し
ては、パルプ廃液中の水酸化ナトリウムの大部分を回収
可能とし、その消費量を節約するため、原料セルロース
材料中のシリカを少量の水酸化ナトリウム溶液で予め抽
出してシリカと共に捨て、抽出残渣をパルプ蒸解し、副
生したパルプ廃液を木材パルプ廃液処理と同様に濃縮燃
焼してナトリウムを回収しようとする試みも提案されて
いる。しかし、この場合、抽出処理後の抽出残液には植
物原料中のシリカの他、炭水化物やリグニン等の有機物
が相当量溶け込んでいるため、その処理が著しく困難で
ある。また、この抽出液を放流することは環境対策上大
きな問題となる。これらのことから、前記方法は、結
局、実用性あるものではなかった。
ところで、稲わわ、麦わら、とうもろこしの茎、バガ
ス(砂糖きびの搾り粕)等のイネ科植物の茎やわら類の
副生量は、地球上の全木材の生長量に匹敵する程で、そ
の殆どは利用されることなく捨てられ、腐敗して炭酸ガ
スと水の発生源となるばかりである。もしこれらを原料
として良質のパルプを高収率で収得するとともに、副生
物の有効な処理や利用に関する技術が確立されれば、非
常に有意義なパルプ化法が得られることは明らかであ
る。
〔発明の課題〕
本発明は、イネ科植物由来のセルロース材料を原料と
し、これから高収率でパルプを収得するとともに、副生
物を有効に利用し、全体として公害性がなく、しかも経
済性にすぐれた新しいパルプ化法を提供することをその
課題とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ね
た結果、カリウムベースのアルカリ性水溶液を用いてイ
ネ科植物由来のセルロース材料を抽出処理し、次いで抽
出残渣をカリウムベースアルカリ性蒸解液を用いて蒸解
するとともに、前記抽出処理で副生するケイ素含有抽出
残渣を原料の一部として用い、高温焼成工程を含むプロ
セスで他の成分と反応させてく溶性カリ肥料を製造し、
さらに、前記蒸解に際しての副生するパルプ廃液から水
酸化カリウムを回収して再使用することによって、前記
課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至
った。
即ち、本発明によれば、イネ科植物由来のセルロース
材料をカリウムベースアルカリ性水溶液を抽出剤として
用いて抽出処理し、該セルロース材料に含まれるケイ素
分を抽出剤へ移行させる工程と、該抽出処理工程から得
られたケイ素を含む抽出残液又はその濃縮物あるいはそ
の燃焼灰にアルカリ土類金属含有物からなる添加剤を混
合し、焼成してカリウム、アルカリ土類金属及びシリカ
を主要成分とするガラス様溶融物からなるく溶性カリ肥
料を得る工程と、該抽出処理工程から得られたセルロー
ス材料をカリウムベースアルカリ性蒸解液で蒸解してパ
ルプを得る蒸解工程と、該蒸解工程で得られたパルプ廃
液から水酸化カリウムを回収する水酸化カリウム回収工
程とからなるパルプとく溶性カリ肥料の併産方法が提供
される。
本発明で用いるパルプ原料は、イネ科植物由来のセル
ロース材料であり、稲わら、麦わら、とうもろこしやソ
ルガムの茎、バカス、葦、竹等が包含される。
本発明においては、前記の如きイネ科植物由来のセル
ロース材料(以下、単にセルロース材料とも言う)に対
し、先ず、カリウムベースアルカリ水溶液を抽出剤とし
て用いて抽出処理を施し、セルロース材料に含まれるシ
リカを抽出液に移行させる。抽出剤中のカリウム濃度
は、K2O換算で、0.03〜0.7モル/、好ましくは0.1〜
0.4モル/である。この抽出剤は、場合によっては、
水酸化ナトリウム等の水溶性ナトリウム化合物を少量含
有することもできる。抽出剤原料としてのカリウム化合
物としては、各種のカリウム化合物が使用可能である
が、抽出処理後のケイ素を含む抽出残液を用いてく溶性
カリ肥料を得る点からは、酸素、水素及び炭素以外の元
素(例えばイオウや塩素等)を含まないものが好まし
い。このようなものとしては、例えば、水酸化カリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムの他、廃糖蜜やカ
リウムベースのパルプ廃液を燃焼して得られる炭酸カリ
ウムを主成分とする灰の水浸出液や、カリウムベースの
アルカリ水溶液を用いるパルプの漂白及び精製排水等が
挙げられる。抽出処理温度は0〜120℃、好ましくは20
〜50℃である。抽出処理時間は、セルロース原料の種類
や形態、抽出処理温度等で異なるが、一般的には0.2〜1
0時間、好ましくは0.5〜3時間程度である。この抽出処
理は、向流で多段階的に行うのが好ましく、この場合に
は、抽出剤は少量ですむという利点がある他、抽出処理
後に得られる抽出残液も少量で、そのシリカ含量は高濃
度で、非常に処理しやすいという利点がある。従って、
抽出処理装置としては、多段向流抽出装置が好適であ
る。抽出処理においては、セルロース材料中のケイ素分
はSiO2換算で、1.5重量%以下、好ましくは0.5〜0.05重
量%まで低減させるのがよい。
本発明によりセルロース原料の抽出処理を行う場合、
セルロース原料は、あらかじめ、破砕処理や、磨砕処理
等の機械的処理を施すのが好ましく、これにより抽出剤
が浸透しやすくなり、また抽出剤との接触効率もよくな
る。また、セルロース原料は、これをあらかじめ酸性水
溶液を用いて酸処理して重金属(Fe,Cu,Mn等)を溶出除
去するのが好ましい。この重金属の除去により、白色度
の向上したパルプを得ることができる上、蒸解液中に過
酸化水素が含まれている場合にはその過酸化水素を安定
化させる。この酸処理に用いる酸性溶液としては、酢酸
や、シュウ酸、乳酸等の有機酸を含むものが好適であ
り、その酸濃度は、0.03〜1モル/、好ましくは0.1
〜0.3モル/である。この酸処理を行う場合、その装
置としては、多段向流処理装置が好適である。
前記抽出処理後セルロース材料は蒸解工程へ送られ、
またケイ素分を含む抽出残液はく溶性カリ肥料製造工程
へ送られる。
ケイ素分を含む抽出残液を用いてく溶性カリ肥料を製
造するには、その抽出残液にアルカリ土類金属含有物を
混合し、焼成し、ガラス様溶融物を得る。この場合、ア
ルカリ土類金属としては、カルシウムやマグネシウムが
好適である。アルカリ土類金属含有物としては、炭酸カ
ルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マ
グネシウム、石灰石、白雲石、蛇紋岩、焼成リン肥、リ
ン酸アンモニウム・マグネシウム、リン酸カルシウム、
リン酸鉱石等が使用できるが、本発明では、アルカリ土
類金属含有廃棄物の使用が有利である。このようなもの
としては、例えば、製糖工場や、製紙工場で排出される
石灰スラッジや、マグネシウムスラッジ等が挙げられ
る。石灰スラッジは、大量の水と有機物と石灰を含有す
るものである。マグネシウムスラッジは、パルプ排水を
海水と生石灰で処理する工程(シーライム法)において
副生し、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、有機
物の他、大量の水を含むものである。また、カリ肥料を
製造する際のケイ素分を補給するために、抽出残液に
は、ケイ素含有物、例えば、ケイ砂や、ガラス屑、フラ
イアッシュ、高炉水滓、カリ石英粗面岩等を必要に応じ
添加することができる。さらに、必要に応じ、リン含有
物を添加することもでき、これにより、リンを含むく溶
性の複合カリ肥料を得ることができる。リン含有物とし
ては、リン鉱石や、焼成リン肥、リン酸カルシウム、リ
ン酸アンモニウム・マグネシウム等を用いることができ
る。これらのリン含有物はカルシウム含有物として用い
ることもできる。
本発明において、前記したアルカリ土類金属含有物、
リン含有物及びケイ素含物は、それぞれ別個のものであ
る必要はなく、当然のことながら、それの2成分を同時
に含むものや、それら3成分を同時に含むものを用いる
ことができる。
本発明において、抽出処理後のケイ素含有抽出残液に
ふっ素を含むリン鉱石を加える場合、その抽出液中には
カリウムが存在するため、リン鉱石のアパタイト構造が
破壊されて不溶性のリン酸がく溶性化されるとともに、
その際に発生するふっ素はふっ化カリウムとなってその
飛散が防止されるという利点がある。また、前記アルカ
リ土類金属含有物や、ケイ素含有物、リン含有物では、
鉄や、ナトリウム、ホウ素等の夾雑物を含有することが
でき、これらの夾雑物は、植物に対する微量肥料要素と
して作用する他、後続の焼成工程において、融点降下剤
としても作用する。
本発明において、ケイ素含有抽出残液は、これにアル
カリ土類金属含有物を加える前に、あらかじめ濃縮処理
を施し、その水分含量を、30〜70重量%、好ましくは40
〜60重量%に調節するのがよい。この濃縮処理において
は、チャンネルスイッチング機構を有する多重効用缶
や、サイクロンエバポレータ、液中燃焼式エバポレー
タ、ディスクエバポレータ、ロータリーキルン等の装置
を単独又は組合せて用いることができる。また、ケイ素
含有抽出残液は、これを濃縮乾固し、焼成して、カリウ
ム及びシリカを含む固体物質(アッシュ)としてカリ肥
料原料として用いることもできる。
前記ケイ素、カリウム及びアルカリ土類金属を含有す
る混合物の高温焼成条件としては、その混合物の成分割
合によって大きく異なるが、一般的には、500〜1400℃
の焼成温度及び0.2〜5時間の焼成時間が用いられる。
カリウム及びアルカリ土類金属の含有量が多ければ生成
するガラス様溶融物の融点が著しく降下するので、この
場合には500〜1100℃の焼成温度が採用される。また、
ケイ素の含有量が多い場合には、800〜1400℃という高
い焼成温度が採用される。高温焼成装置としては、反射
炉、電気炉、ロータリーキルン、スメルターボイラー等
が用いられる。焼成に得られる溶融物が融点の低いもの
である場合には、スメルターボイラーの使用が好まし
い。この場合には、連続的に溶融物を取出し、これを連
続的に水槽に落下させて、溶融物を急冷させ、細かいひ
びの入った破片状で溶融物を収得することができる。ま
た、このスメルターボイラーでは、廃熱スチームとして
回収することができるという利点がある。
本発明により得られるガラス様溶融物は、K2O・xMO・
ySiO2の組成を主体とするもので、その他、鉄や、アル
ミニウム等の成分を少量含むものである。前記式中、M
はCaやMg等のアルカリ土類金属を示す。xは、0.3〜4.
0、好ましくは0.5〜2.0の数を示す。yは1.0〜3.5、好
ましくは1.5〜3.0の数を示す。本発明の溶融物におい
て、その好ましい成分組成例を重量%で示すと、K2O:4
〜40%、好ましくは8〜25%、CaO:3〜30%、好ましく
は6〜18%、MgO:0〜30%、好ましくは6〜18%、SiO2:
10〜85%、好ましくは20〜60%である。その他、Fe2O3
は0〜15%、好ましくは1〜5%である。Al2O3は少な
い程好ましく、30%以下、好ましくは10%以下に規定す
るのがよい。また、所望成分であるリン成分は、P2O5
して、4〜40%、好ましくは8〜25%である。
本発明において、抽出処理工程から得られるセルロー
ス材料は、カリウムベースアルカリ性蒸解液によって蒸
解処理されるが、本発明の場合、このセルロース材料
は、カリウムベースアルカリ性水溶液による抽出処理を
受けていることから、非常に穏和な条件で蒸解処理を行
うことができるという利点がある。本発明におけるカリ
ウムベースアルカリ性蒸解液を用いる蒸解法としては、
カリウムベースのAP蒸解法や、過酸化水素−カリウムベ
ースのPA蒸解法を用いることができる。カリウムベース
のAP蒸解法では、蒸解液としては、セルロース材料(絶
乾物)に対する重量比で水酸化カリウムをK2Oとして10
〜60%、好ましくは15〜40%を含み、場合によって、ア
ントラキノン類を0.01〜1%、好ましくは0.03〜0.3%
を含むものが用いられる。また、PA蒸解法では、蒸解液
としては、水酸化カリウムをK2Oとして10〜60%、好ま
しくは15〜40%、過酸化水素を0.5〜10%、好ましくは
1〜3%を含み、必要に応じ、アントラキノン類を0.01
〜1%、好ましくは0.03〜3%及びキレート化剤を0.03
〜1.5%、好ましくは0.1〜0.5%を含むものが用いられ
る。蒸解液とセルロース材料との比率は、気相蒸解で
は、1〜4/kg、好ましくは1.5〜3/kg、液相蒸解
では、4〜20/kg、好ましくは6〜10/kgである。蒸
解温度は、90〜200℃、好ましくは130〜170℃であり、
蒸解時間は、0.2〜5時間、好ましくは0.5〜2時間であ
る。蒸解装置としては、回転式蒸解装置(地球釜)、撹
拌機付き連続蒸解装置等が使用される。
前記の蒸解処理においては、製品としてパルプが得ら
れ、副生物としてパルプ廃液が得られる。この副生パル
プ廃液からは、カリウム分を水酸化カリウムとして回収
し、再び蒸解液原料として使用する。パルプ廃液から水
酸化カリウムを回収する方法としては、パルプ廃液を濃
縮燃焼して得られる灰を水に加え、得られた水浸出液を
生石灰(CaO)で力性化する方法や、鉄酸ソーダ法を応
用して前記水浸出液から水酸化カリウムを直接回収する
方法がある。いずれの方法を採用するにせよ、カリウム
ベースパルプ廃液は、燃焼する前に多重効用缶で濃縮す
るのがエネルギー節約の上で好ましい。本発明の蒸解処
理工程で得られる副生パルプ廃液には、ケイ素分は非常
に少ないので、パルプ廃液の粘度は低く、その濃縮に格
別の困難は生じず、また濃縮装置にスケールトラブルは
生じない。
〔発明の効果〕
本発明によれば、イネ科植物由来のセルロース材料か
らパルプを収率く得ることができる上、副生物としてく
溶性のカリ肥料を得ることができ、本発明の方法は、全
体として、公害性のないかつ経済性にすぐれたパルプと
カリ肥料の併産プロセスと言うことができる。特に、本
発明で副生物としてケイ素含有抽出残液は、高温焼成し
て肥料化されることから、その抽出残液中に含まれる有
機物は分解除去され、抽出残液から有機物を分離除去す
るための特別の処理は必要とされない。
さらに、本発明では、副生物としてく溶性のカリ肥料
を得る場合に、アルカリ土類金属や、ケイ素を含有する
各種の産業廃棄物を使用し得るので、本発明法はそれら
廃棄物の有効利用法としても極めて有効な方法であり、
その産業的意義は多大である。
〔実施例〕 次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1 大麦わら(シリカ含有量4.3%)を圧扁し、その500g
(絶乾量)を濃度20g/の水酸化カリウム水溶液10を
用い、50℃で5時間抽出処理したのち十分水洗し、シリ
カの85%以上を抽出除去した。次に、抽出残渣(大麦わ
らの抽出処理物)を水酸化カリウム水溶液(K2Oとして
のカリウム濃度=51g/)を用い、液比6/kg、温度1
60℃の条件で1時間蒸解処理し、未晒パルプ(ハンター
白色度35.4%、カッパー価7.6)を44.1%の収率で得
た。
副生したパルプ廃液は常法により濃縮及び燃焼し、得
られた灰を水で浸出し、炭酸カリウムを主成分とする浸
出液を得た。この浸出液に生石灰を投じ、加熱してカ性
化を行い、蒸解薬液用の水酸化カリウム水溶液を回収し
た。
実施例2 水稲わら(シリカ含有量15.1%)を実施例1と同様に
圧扁し、その500g(絶乾量)について抽出処理を行っ
た。抽出処理用のアルカリ性溶液として、未晒パルプの
K−ベースによるPa段の漂白(過酸化水素のアルカリ溶
液による漂白)廃液に水酸化カリウムを添加し、全K2O
として25.0g/濃度としたものを用いた。抽出は多段
(10段、各段は12容)向流抽出装置を用い、液比6
/kgになるよう、かつ連続向流式に30℃のアルカリ溶液
を注加し、シリカの95%以上を抽出除去した。抽出液は
く溶性肥料の製造に供した。
次に、抽出残渣(水稲わらの抽出処理物)を、水酸化
ナトリウムとテトラヒドロアントラキノンを含有するア
ルカリ水溶液(K2Oとしてのカリウム濃度=38.2g/
%、テトラヒドロアントラキノン濃度=0.14g/)を用
い、液比7/kg、温度165℃の条件で1時間蒸解処理
し、未晒パルプ(ハンター白色度30.5%、カッパー価6.
5)を42.2%の収率で得た。副生したパルプ廃液は実施
例1と同様に処理し、蒸解薬液用の水酸カリウムを回収
した。
実施例3 バガス(シリカ含有量0.9%)500g(絶乾量)を、濃
度10g/の乳酸溶液で酸処理(30℃、12時間)後水洗し
た。次に、この酸処理物を、水酸化カリウムの水溶液
(K2Oとして20.4g/)10を用い、30℃で3時間抽出
処理した後、水洗し、シリカの80%以上を抽出除去し
た。
次に、抽出残渣を、抽出残渣(乾燥物基準)に対し、
KOHをK2Oとして27.3%、H2Oを3%、t−ブチル−アン
トラキノン0.1%、キレート剤として1−ヒドロキシエ
タン−1,1′−ジホスフォン酸を0.3%を含有する蒸解液
を用い、65℃で1時間蒸解処理し、未晒パルプ(ハンタ
ー白色度62.1%、カッパー価4.9)を51.2%の収率で得
た。
副生するパルプ廃液は鉄酸ソーダ法に従って処理し、
蒸解用薬液として水酸化カリウムを直接回収した。
実施例4 実施例2で得た水稲わらの抽出残液(固形分:89.2g/
、K2O:24.8g/、SiO2:22.3g/)100mlに、パルプ廃
液から薬液回収(カ性化)工程において発生するスラッ
ジのモデルとして炭酸カルシウムとシリカの混合物(Ca
CO3・CaOとして47.6%、SiO2:15.0%)5.0g、パルプ工
場の排水のシーライム法処理で発生するマグネシウムス
ラッジ(水分:77.8%、Na2O:1.2%、CaO:1.3%、MgO:1.
3%)10g、石灰火力発電所で発生する灰(SiO2:54.1
%、CaO:3.2%、Al2O3:18.5%)5gを混合し、一旦450℃
で完全に灰化後1,200℃で2時間強熱し溶融した。得ら
れたガラス様溶融物を急冷粉砕し、く溶性のカリ肥料
(全K2O:19.4%、CaO:19.8%、MgO:1.4%、SiO2:42.1
%、Al2O3:6.9%、Fe2O3:1.2%)を13.5g得た。
実施例5 実施例3の水稲抽出残液(固形分:89.6g/、K2O:24.
8g/、SiO2:22.3g/)100mlに、りん鉱石粉末(CaO:4
8.2%、P2O5:36.1%、F:3.1%)を10.0g、ガラス屑粉末
(Na2O:16.2%、CaO:9.0%、SiO2:72.5%)を5.0g加え
て混合乾燥後、1,050℃で1時間強熱し、炭素を含む黒
色のガラス様溶融物を得、これを水で急冷破砕後さらに
粉砕し、く溶性のリン酸及び加里の複合肥料(全K2O:1
8.5%、全K2O:12.7%、Na2O:4.1%、CaO:27.0%、SiO2:
32.6%、F:1.5%)を19.5g得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C05D 3:00 5:00 9:00)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イネ科植物由来のセルロース材料をカリウ
    ムベースアルカリ性水溶液を抽出剤として用いて抽出処
    理し、該セルロース材料に含まれるケイ素分を抽出剤へ
    移行させる工程と、該抽出処理工程から得られたケイ素
    を含む抽出残液又はその濃縮物あるいはその燃焼灰にア
    リカリ土類金属含有物からなる添加剤を混合し、焼成し
    てカリウム、アルカリ土類金属及びシリカを主要成分と
    するガラス様溶融物からなるく溶性カリ肥料を得る工程
    と、該抽出処理工程から得られたセルロース材料をカリ
    ウムベースアルカリ性蒸解液で蒸解してパルプを得る蒸
    解工程と、該蒸解工程で得られたパルプ廃液から水酸化
    カリウムを回収する水酸化カリウム回収工程とからなる
    パルプとく溶性カリ肥料の併産方法。
  2. 【請求項2】該く溶性カリ肥料を得る工程で用いる添加
    剤が、アルカリ土類金属のリン酸塩を含有する請求項1
    の方法。
  3. 【請求項3】該アルカリ土類金属のリン酸塩がリン鉱石
    である請求項2の方法。
  4. 【請求項4】該く溶性カリ肥料を得る工程で用いる添加
    剤が、リン含有物を含む請求項1の方法。
  5. 【請求項5】該リン含有物がリン酸塩である請求項1の
    方法。
  6. 【請求項6】該く溶性カリ肥料を得る工程で用いる添加
    剤が、さらにケイ素含有物を含む請求項1〜5のいずれ
    かの方法。
  7. 【請求項7】該蒸解液がアントラキノン類を含有する請
    求項1〜6のいずれかの方法。
  8. 【請求項8】該蒸解液が、過酸化水素、アントラキノン
    類及びキレート剤を含有する請求項1〜6のいずれかの
    方法。
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