JP2829042B2 - 管路の内張り方法 - Google Patents

管路の内張り方法

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JP2829042B2
JP2829042B2 JP1204355A JP20435589A JP2829042B2 JP 2829042 B2 JP2829042 B2 JP 2829042B2 JP 1204355 A JP1204355 A JP 1204355A JP 20435589 A JP20435589 A JP 20435589A JP 2829042 B2 JP2829042 B2 JP 2829042B2
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正勝 兵藤
隆善 井本
弘行 桜木
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ガス導管、水道管、下水道管、電力線や通
信線などの敷設管路などの、主として地中に埋設された
管路に対し、その管路の内側にFRP製の強固な管を形成
して補強するための内張り方法に関するものである。
従来の技術 従来この種の管路に内張りするための素材としては、
織布や不織布、これらを適宜の構造で組合わせてなる筒
状の繊維層の、内張り状態において内面となる面に、気
密性の皮膜層を形成したものが使用されている。そして
この内張り材における前記繊維層に反応硬化型樹脂液を
含浸し、それを管路内に挿入して管路内面に圧接し、こ
れを加熱して前記反応硬化型樹脂液を硬化させ、管路内
面に接着すると共に、その管路の内面に沿って繊維で補
強された反応硬化型樹脂よりなる管を形成するのであ
る。
発明が解決しようとする問題点 しかしながらこの種の内張り材においては、繊維層と
して織布や不織布が使用されており、ここに反応硬化型
樹脂液が含浸されるのであるが、その反応硬化型樹脂液
を個々の繊維の間隙にまで深く浸透させることは困難で
あり、繊維による補強の効果は弱い。
従って繊維補強樹脂管としての曲げ弾性率が小さく、
外力に対する抵抗が不十分である。そのため例えば管路
の傷などから地下水が侵入し、繊維補強樹脂管に外水圧
が加わったような場合には、繊維補強樹脂管がその水圧
に耐えることができず、水圧により潰れて内側の流体の
流路が狭まることがある。
内張り材における繊維層の厚みを充分に大きいものと
することにより繊維補強樹脂管の曲げ剛性を大きくする
ことは可能である。しかしながら内張り材自体が厚く取
扱いにくいものとなり、またその厚い繊維層に多量の反
応硬化型樹脂液を深く浸透せしめるのは、さらに困難と
なる。しかも繊維補強樹脂管の厚みが大きくなるため管
路の実効内径が小さくなり、流路が狭くなるので、好ま
しくない。
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであって、ガ
ラス繊維などの高剛性繊維で高度に補強されたFRPによ
って管路を内張りし、管路の内面に薄く且つ曲げ弾性率
の大きいFRP管を形成するための方法を提供することを
目的とするものである。
問題点を解決する手段 而して本発明は、少くとも管路の内周長を超える幅を
有するシートモールディングコンパンウンドを、前記管
路の内径より小径となるように巻いて管路内に挿通し、
このシートモールディングコンパウンドを展開して管路
内面に圧接せしめると共に、当該シートモールディング
コンパウンドの両側縁をオーバーラップせしめ、次いで
このシートモールディングコンパウンドを加熱して硬化
せしめることを特徴とするものである。
この方法において、シートモールディングコンパウン
ドの片面に気密性の皮膜を添設し、そのシートモールデ
ィングコンパウンドを前記皮膜が外側となるように巻い
て管路に挿通することができる。
また前記方法において、シートモールディングコンパ
ウンドの片面に気密性の皮膜を添設すると共に、該皮膜
の側縁部を、シートモールディングコンパウンドの側縁
を包んで反対面側に折返し、そのシートモールディング
コンパウンドを前記皮膜が内側となるように巻いて、こ
れを管路に挿通してもよい。
さらにこれらの方法において、シートモールディング
コンパウンドの幅が、管路の内周長のほゞ2倍以上であ
るものとし、シートモールディングコンパウンドが管路
内面において、一周以上の範囲に亙ってオーバーラップ
するものとすることもできる。
また本発明の方法において、管路の内径より小径に巻
かれたシートモールディングコンパウンドの内側に、柔
軟な筒状の拡開部材を挿通し、当該拡開部材内に圧力流
体を送入してシートモールディングコンパウンドを展張
するのが好ましい。この場合、シートモールディングコ
ンパウンドを展張した後拡開部材を抜去してもよく、ま
たシートモールディングコンパウンドを展張した後、拡
開部材をシートモールディングコンパウンド内面に一体
に接着することもできる。
また本発明の他の方法は、管路の内径にほゞ等しい径
の柔軟な筒状の拡開部材の外周に、帯状のシートモール
ディングコンパウンドをその縁部がオーバーラップする
ように螺旋状に巻回し、これを管路内に挿通し、前記拡
開部材内に圧力流体を送入してこれを拡開して、シート
モールディングコンパウンドを管路内面に圧接させ、当
該シートモールディングコンパウンドを加熱して硬化せ
しめることを特徴とするものである。
本発明に言うシートモールディングコンパウンド(以
下“SMC"と略す)とは、一般に、不飽和ポリエステル樹
脂に、他の配合剤と共にガラス繊維などの強化剤を配合
し、両面をフィルムで覆ってシート状となし、これを所
定の条件で加熱して増粘させ、非粘着性としたシート状
の成形材料である。
SMCの原材料としては、一般に、不飽和ポリエステ
ル、架橋剤、増粘剤、強化剤及びその他の配合剤が使用
されている。前記不飽和ポリエステルは、不飽和二塩酸
及び飽和二塩基酸と、グリコール類とを、常法により反
応させて得られるものであって、不飽和二塩基酸として
は、マレイン酸、フマル酸などが使用され、飽和二塩基
酸としては無水フマル酸、イソフタル酸などが使用され
る。またグリコール類の例としては、エチレングリコー
ル、プロピレグリコールなどが挙げられる。
架橋剤としては、スチレン、ジアリルフタレートなど
が使用され、不飽和ポリエステル100重量部に対して、2
0〜60重量部の割合で配合される。
増粘剤としては、通常アルカリ土類金属の酸化物又は
水酸化物が使用され、例えば酸化マグネシウム、水酸化
マグネシウムなどが挙げられる。そしてその配合量は、
不飽和ポリエステルと架橋剤との合計100重量部に対し
て、0.3〜3重量部配合される。
強化剤としては、一般にEガラスのロービングのチョ
ップドストランドが使用される。ロービングは、フィラ
メント径9〜15μ、集束本数100〜400本のものが好まし
い。またチョップドストランドの繊維長は、25mm程度と
するのが適当である。
またEガラスに代えてSガラスを使用することにより
強度及び弾性率が向上し、また酸化ジルコニウム入りガ
ラス繊維を使用することにより、耐アルカリ性が向上す
る。さらにガラス繊維に代えて炭素繊維を使用すること
により軽量化を計ることができる。
これらの強化剤は、SMC原材料全体に対して10〜70重
量%を占める割合で配合するのが適当である。
その他の配合剤としては、低収縮剤、離型剤、充填
剤、硬化剤などが配合される。
低収縮剤は、硬化の際の体積の収縮を抑制するもので
あって、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレンなどが使用され
る。
離型剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カ
ルシウムなどが用いられる。
充填剤はSMC成分の分離を抑制し、成形時に成分を均
一に流動させる働きを有するものであって、重質炭酸カ
ルシウム、水酸化アルミニウムなどが使用される。
また硬化剤は不飽和ポリエステルと架橋剤との反応を
促進する触媒として働くものであって、ベンゾイルパー
オキサイド、t−ブチルパーオキサイドなどが使用され
る。
また機械的特性、耐久性などの物性をさらに向上させ
る必要があれば、不飽和ポリエステルに代えてビニルエ
ステル樹脂又はエポキシ樹脂を使用し、増粘剤としてイ
ソシアネート化合物を使用したSMCを使用することもで
きる。
SMCを製造するには、上記原材料をニーダーに投入し
て充分に混練し、これを、ガラスロービングをカッター
で切断してチョップドストランドとしたものに含浸させ
る。そしてこれをポリエステルなどのフィルムに挾み、
そのシート状物を所定の温度及び時間で加熱して増粘さ
せ、粘着のない状態とする。
実施例 以下本発明の実施例を図面に従って説明する。第1図
は本発明により管路に内張りした状態を示すものであ
る。1は管路であって、2は当該管路1の内面に内張り
されたSMCである。このSMC2は、管路1の内周長よりや
ゝ大きい幅を有しており、その片面に気密性を有する皮
膜3が添設されている。そしてそのSMC2を前記皮膜3が
外側となるように巻いて、これを管路1内に挿通する。
而してそのSMC2を展開して管路1の内面に圧接する。
このときSMC2は管路1の内周長より大きい幅を有してい
るので、SMC2の両縁部はオーバーラップする。この状態
でSMC2を加熱すると、SMC2は硬化すると共に皮膜3に接
着し、且つオーバーラップ部においてはオーバーラップ
したSMC2が接合して、剛直なFRP管を形成する。
なお前記皮膜3は、SMCを製造する際にその両面を挾
んで添設されるフィルムを、SMC表面から剥がすことな
く、そのまま使用することができる。
またこの実施例においては、皮膜3をSMC2に添着する
ことなく、SMC2をそのまま巻いて管路1に挿通すること
もできる。この方法によれば、SMC2を直接管路1の内面
に接着することができ、内張りの強度は大きいものとな
るが、その半面、SMC2に気泡が入っているような場合に
は、管路1の損傷部から侵入した地下水などがその気泡
を通じて内部にまで侵入する恐れがあり、一長一短であ
る。
第2図は本発明の他の実施例を示すものである。この
実施例においては先の実施例と同様にSMC2の片面に皮膜
3が添着されており、該皮膜3の側縁部がSMC2の側縁を
包んで反対側に折返されている。そしてその皮膜3が内
側となるようにSMC2を巻き、以下先の実施例と同様にこ
れを管路1に挿通し、拡開して管路1内面に圧接し、SM
C2を加熱硬化せしめる。
第3図はさらに他の実施例を示すものである。SMC2は
管路1の内周長のほゞ二倍の幅を有しており、これを展
張した状態においては、SMC2は管路1の内周のほゞ一周
の範囲に亙ってオーバーラップしている。
第4図は前記第1図の実施例におけるSMC2を拡開する
方法を示すものである。4は筒状の気密性を有する柔軟
な拡開部材であって、巻かれたSMC2の内側に挿通されて
いる。そしてその拡開部材4内に圧縮空気などの圧力流
体を挿入することによりこの拡開部材4を膨ませ、当該
拡開部材4によってSMC2を拡開して管路1内面に圧接す
るのである。
前記拡開部材4は、ゴムチューブや、筒状織布の内面
に合成樹脂皮膜層を形成したものを使用することができ
る。
またこの拡開部材4は、SMC2を拡開して管路に圧接し
た後、又はSMC2を硬化させた後、SMC2内から抜去するこ
とができる。またこれを抜去することなく、SMC2を硬化
させると同時にSMC2に接着し、SMC2と一体として内張り
とすることもできる。
また第5図は本発明のさらに他の実施例を示すもので
あって、SMC2を管路1に挿通する前の状態を示すもので
ある。この実施例においては、管路1の内径にほゞ等し
い径を有する筒状の拡開部材4の外周に、帯状に裁断し
たSMC2を、その縁部がオーバーラップするように螺旋状
に巻回したものである。そしてこれを折畳んで管路1内
に挿通し、拡開部材4内に圧力流体を挿入して膨ませて
SMC2を管路1内面に圧接し、加熱硬化せしめるのであ
る。
作用 本発明においては、SMC2を巻いて管路1に挿通し、こ
れを拡開して管路1内面に圧接するのであるが、SMC2は
粘着性を有しないため、巻いた状態で互いに接触した部
分が粘着したり、拡開が困難となったりすることがな
く、適切に拡開可能である。そして拡開して管路1内面
に圧接した状態で加熱すると、SMC2は硬化して管路1内
面に沿って剛直なFRP管を形成する。このときSMC2の両
側縁部のオーバーラップ部は硬化と同時に接着して一体
となり、継目の無い一体の管を形成する。
そしてSMC2により成形されるFRP管は、不飽和ポリエ
ステル樹脂内にガラス繊維のチョップドストランドが均
一に混入されており、不飽和ポリエステル樹脂はチョッ
プドストランドに均等に含浸されている。従って極めて
曲げ弾性率の大きい剛直なものとなる。
発明の効果 従って本発明によれば、管路1の内面に曲げ弾性率の
大きい剛直なFRP管が形成されることとなり、管路1は
強固に補強される。従ってそのFRP管は外力に対する抵
抗性が大きく、例えば管路1の損傷部から地下水が侵入
したような場合においても、外水圧に耐えることがで
き、潰れるようなことがない。
請求項1の発明により口径300mmの管路に厚さ2.2mmの
内張りを施し、その管路から内張りを抜出してその内張
りの特性を調べたところ、曲げ弾性率が68,700kg/cm2
耐外水圧力が0.53kg/cm2であった。
これに対し従来の内張り材として、筒状織布の外面に
ガラス繊維糸を長く浮かして織込んで厚さ4.2mmの繊維
層を形成し、当該繊維層の内面に柔軟な皮膜層を形成し
たものを使用し、その内張り材の繊維層にエポキシ樹脂
を含浸させて管路内面に内張りした。そしてその内張り
を管路から剥がして抜出し、その特性を調べたところ、
曲げ弾性率が38,000kg/cm2、耐外水圧力が0.30kg/cm2
あった。
本発明は前記従来例の内張り材に較べて厚みが半分程
度であるにも拘らず、曲げ弾性率は大巾に高くなり、そ
のため耐外水圧力も極めて大きいものであった。
しかも本発明によれば曲げ弾性率が大きいので、内張
りの厚みを薄くすることができ、管路の流路が狭くなる
程度が小さく、流量を充分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図乃至第4図は、それぞれ本発明の実施例により内
張りされた管路の横断面図である。第5図は本発明の別
の実施例に使用するSMCの分解斜視図である。 1……管路、2……SMC 3……皮膜、4……拡開部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29C 63/00 - 63/48 F16L 55/16 - 55/18

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少くとも管路(1)の内周長を超える幅を
    有するシートモールディングコンパウンド(2)を、前
    記管路(1)の内径より小径となるように巻いて管路
    (1)内に挿通し、このシートモールディングコンパウ
    ンド(2)を展開して管路(1)内面に圧接せしめると
    共に、当該シートモールディングコンパウンド(2)の
    両側縁をオーバーラップせしめ、次いでこのシートモー
    ルディングコンパウンド(2)を加熱して硬化せしめる
    ことを特徴とする、管路の内張り方法
  2. 【請求項2】請求項1に記載の方法において、シートモ
    ールディングコンパウンド(2)の片面に気密性の皮膜
    (3)を添設し、そのシートモールディングコンパウン
    ド(2)を、前記皮膜(3)が外側となるように巻くこ
    とを特徴とする、管路の内張り方法
  3. 【請求項3】請求項1に記載の方法において、シートモ
    ールディングコンパウンド(2)の片面に気密性の皮膜
    (3)を添設すると共に、該皮膜(3)の側縁部を、シ
    ートモールディングコンパウンド(2)の側縁を包んで
    反対面側に折返し、そのシートモールディングコンパウ
    ンド(2)を前記皮膜(3)が内側となるように巻くこ
    とを特徴とする、管路の内張り方法
  4. 【請求項4】請求項1,2又は3に記載の方法において、
    シートモールディングコンパウンド(2)の幅が、管路
    (1)の内周長のほゞ二倍以上であることを特徴とす
    る、管路の内張り方法
  5. 【請求項5】請求項1,2,3又は4に記載の方法におい
    て、管路(1)の内径より小径に巻かれたシートモール
    ディングコンパウンド(2)の内側に、柔軟な筒状の拡
    開部材(4)を挿通し、当該拡開部材(4)内に圧力流
    体を送入してシートモールディングコンパウンド(2)
    を展張し、然る後拡開部材(4)を抜去することを特徴
    とする、管路の内張り方法
  6. 【請求項6】請求項5に記載の方法において、拡開部材
    (4)内に圧力流体を送入してシートモールディングコ
    ンパウンド(2)を展張した後、拡開部材(4)をシー
    トモールディングコンパウンド(2)内面に一体に接着
    することを特徴とする、管路の内張り方法
  7. 【請求項7】管路(1)の内径に、ゞ等しい径の柔軟な
    筒状の拡開部材(4)の外周に、帯状のシートモールデ
    ィングコンパウンド(2)をその縁部がオーバーラップ
    するように螺旋状に巻回し、これを管路(1)内に挿通
    し、前記拡開部材(4)内に圧力流体を送入してこれを
    拡開して、シートモールディングコンパウンド(2)を
    管路(1)内面に圧接させ、当該シートモールディング
    コンパウンド(2)を加熱して硬化せしめることを特徴
    とする、管路の内張り方法
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