JP2827884B2 - インクジェットヘッドの作製方法 - Google Patents

インクジェットヘッドの作製方法

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JP2827884B2
JP2827884B2 JP3644594A JP3644594A JP2827884B2 JP 2827884 B2 JP2827884 B2 JP 2827884B2 JP 3644594 A JP3644594 A JP 3644594A JP 3644594 A JP3644594 A JP 3644594A JP 2827884 B2 JP2827884 B2 JP 2827884B2
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェットヘッド
の製造方法、特に、インク滴が飛翔する吐出口の少なく
とも一部が樹脂により形成されるインクジェットヘッド
の作製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェットヘッドの製造方法は、多
種多様な方法が提案されているが、大量生産、低コスト
化、品質安定化において有用な方法に関するものとして
は、大面積の基板を用いて、多数のヘッドを同時に形成
し、切断分離する方法である。特に、2枚のSiウエハ
を張り合わせた後、ダイシングソーを用いた切削加工に
より、個々のヘッドチップに分割することによって、多
数の均一なインクジェットヘッドを得る製造方法は、大
量生産、低コスト化、品質安定化において非常に有用な
方法である。このような製造方法については、特開昭6
1−230954号公報や、特開平1−166965号
公報等ですでに提案されている。
【0003】これら提案に共通な技術は、ダイシングに
よりヘッドの切り出しを行なっていることである。この
製造方法は、多くのサーマルインクジェットヘッドの作
製に用いられており、吐出口面および吐出口は、ダイシ
ングによって形成されることとなる。この吐出口面およ
び吐出口の形成は、印字品質に大きく影響するものであ
り、最も重要な工程となる。この吐出口面の加工に用い
られるダイシング方法としては、特開昭60−1963
54号公報に記載されているように、2段階以上の切断
工程を用いるものや、特開平5−57897号公報に記
載されているように、2枚の基板を接合する前に、吐出
口周囲となる部分に、溝入れを行なった後に、基板を接
合し、分離を行なう方法等が提案されている。これらの
方法は、吐出口の欠け等がなく、寸法精度のよいヘッド
を経済的に作製しようというものである。
【0004】吐出口を形成した後の処理に関する従来例
としては、特開昭60−204372号公報に記載され
ているように、プラズマ処理によって浄化する処理方法
や、特開昭61−102256号公報に記載されている
ように、オリフィスの形成後に、硬化膜をガラス転移温
度以上でアニール処理して、剥離防止を行なう方法、あ
るいは、特開昭61−249766号公報に記載されて
いるように、オリフィスの形成後にカップリング剤を用
いて処理し、微細な欠け等を埋めて高品質なオリフィス
を得ようとするもの等がある。
【0005】しかしながら、樹脂層を含む吐出口をダイ
シングによって形成する場合、どうしても樹脂層部分に
微小な切削バリが発生する。この切削バリが存在すると
インク滴の吐出方向性が悪くなり、印字品質を悪化させ
るという問題があった。
【0006】図13は、上述した切削バリの説明図であ
る。図中、1はヒーターウエハ、2はチャネルウエハ、
3は感光性樹脂層、3aは切削バリ、4は接着剤層、5
は吐出口である。感光性樹脂層3が形成されたヒーター
ウエハ1の上に、チャネルウエハ2を接着剤層4で接合
した後、ダイシングによって、個々のヘッドチップに分
離し、切削面に吐出口5が露出する。吐出口5の下部に
は感光性樹脂層3が存在し、ダイシングの際に発生する
微小な切削バリ3aが、吐出口5にかかり、上述したよ
うに、インク滴の吐出方向性を悪化させる。
【0007】この切削バリは、従来例で示した吐出口の
各種の処理方法によっても改善することはできない。そ
こで、樹脂層部の発生する切削バリを、超音波洗浄、ド
ライエッチング(プラズマアッシング)、ポリッシング
等によって除去する方法を試みたが、一長一短があり、
十分な結果が得られなかった。
【0008】例えば、超音波洗浄法では、樹脂層部の切
削バリを除去するために、十分な超音波強度と洗浄時間
を与えると、切削バリは除去できるものの、今度は逆に
樹脂層部分のエッジで欠けが発生する。図14は、欠け
の様子の説明図である。図中、図13と同様な部分には
同じ符号を付して説明を省略する。3bは欠けである。
この欠け3bは、超音波によって切削バリが除去される
際に、その基部を欠けさせて発生するものであり、切削
バリが除去されても、欠け3bによって、インク滴の吐
出方向性を悪化させてしまうという相反した現象とな
り、欠けを発生させずに切削バリを除去できる条件が非
常に狭いため、十分な歩留まりを確保することができな
かった。また、プラズマアッシングでは、樹脂層の除去
量のコントロールが困難であり、かつ、均一性に欠ける
ため、生産ラインに導入できるまでに至っていない。ポ
リッシング法では、吐出口付近の樹脂層が丸まるため、
噴射特性が悪化してしまったり、インク流路内部に研磨
剤が入り込み、その洗浄のための工程を必要とし、手間
と時間を要することになるという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みてなされたもので、インク滴が飛翔する吐出口
の少なくとも一部が樹脂により形成されるインクジェッ
トヘッドの作製方法において、簡単かつ安価な工程で十
分な歩留まりを達成できる、樹脂層部の切削バリ除去工
程を実現することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、インク滴が飛
翔する吐出口の少なくとも一部が樹脂により形成される
インクジェットヘッドの作製方法において、前記吐出口
および/またはその周囲面を切削形成する工程の後に、
少なくとも吐出口近傍の樹脂を該樹脂を溶解できる溶液
で処理する工程を有することを特徴とするものである。
【0011】前記樹脂がポリイミド樹脂であり、前記溶
液がアルカリ性の溶液であること、また、前記樹脂がポ
リイミド樹脂であり、前記溶液がアミノ化合物または少
なくとも1種以上のアミノ化合物を含む混合溶液である
ことも特徴とするものである。
【0012】
【作用】本発明によれば、吐出口が形成された後に、吐
出口の少なくとも一部を形成する樹脂層を選択的に溶解
可能な溶液で処理すること、すなわち、ウェットエッチ
ングを用いることによって、他の部分に悪影響を与えず
に樹脂層部分の切削バリを良好に除去することができ
る。
【0013】したがって、多数のヘッドを同時に均一に
短時間で処理でき、かつ、その歩留まりを100%にも
することができ、高品質な吐出口および/またはその周
囲面を、安価に作製することが可能となる。
【0014】また、ダイシングの際に、吐出口面に付着
した切削粉や、インク流路内に入り込んだ切削粉は、同
時に切削された樹脂がバインダー的な役割をして強固に
付着していたため、これまで除去が困難であったが、本
発明の切削バリの除去工程において、樹脂層部分のバリ
が除去されると同時に、バインダーとなっていたごく薄
い樹脂膜をも除去できるので、切削粉も除去され、より
クリーンで信頼性の高い、高品質なインクジェットヘッ
ドが得られる。
【0015】
【実施例】図1(A)〜(G)は、本発明のインクジェ
ットヘッドの作製方法の第1の実施例を説明するための
工程図である。図中、1はヒーターウエハ、2はチャネ
ルウエハ、3は感光性樹脂層、4は接着剤層、5,6は
アライメントマーク、7,8,9は1ヘッド単位、10
はウエハペアである。
【0016】図1(A)の工程において、Siウエハ上
に多数のヘッド分のヒーター、個別電極、共通電極、ボ
ンディングパット、保護層等がLSI工程によって形成
されている。また、Siウエハの適当な位置に、ヘッド
単位7の作製位置に対するアライメントマーク5がパタ
ーニングされる。図1(B)の工程においては、図1
(A)の工程で作製されたヒーターウエハ1上に、感光
性樹脂層3が形成される。この実施例では、感光性樹脂
層として、感光性ポリイミド樹脂(Ciba−Geig
y社製「Probimide」(登録商標),Du−P
ont社製Pyralin PI2722等)を用い、
スピンコート後に所望パターンに露光し、現像をした
後、焼成(Cure)を実施し、ヒータウェハ1が完成
される。
【0017】図1(C),(D)は、チャネルウエハの
作製工程である。図1(C)の工程では、Siウエハを
用いて、図1(A)のヒータウエハ1上のヒーターに対
応する位置に、各ヘッド単位8ごとに、インク流路やイ
ンク溜等が異方性エッチングによって形成され、アライ
メントマーク6がパターニングされる。図1(D)の工
程では、チャネルウエハ2の接着面側に接着剤層4が塗
布される。塗布方法としては、エポキシ系接着剤をスピ
ンコートしたPETフィルムを用いて、転写によって塗
布する方法など、適宜の塗布方法が採用されるが、接着
剤層4は、薄く均一に塗布する。
【0018】図1(E)の工程は、ヒーターウエハ1と
チャネルウエハ2とを接合する工程である。接合の際に
は、上述したように、ヒーターウエハ1とチャネルウエ
ハ2のウエハ接着面側にパターニングされたアライメン
トマーク5,6を赤外線顕微鏡を用いて観察しながら、
アライメント装置によって高精度に位置合わせされ、接
着される。
【0019】図1(F)は、図1(E)で接合されたウ
エハペア10の切断分離工程である。吐出口面を形成す
るダイシング工程Aと各ヘッドに分離する切断工程B
と、ヒーターウエハ上に設けられたボンディングパット
部を露出するための切削工程Cによって、ヘッド単位9
に分離される。
【0020】図1(G)は、図1(F)で切断分離され
た各ヘッド単位9を処理溶液11にディッピング処理す
る工程である。この工程では、温度管理された処理溶液
11に、各ヘッド単位9の全体を完全に浸漬して一定時
間放置する方法が採用されている。
【0021】図2は、図1(F)で説明した切断分離工
程の説明図である。図中、1はヒーターウエハ、2はチ
ャネルウエハ、3は感光性樹脂層、11はヒーター、1
2はボンディングパッド、13はインク流路、14はイ
ンク溜、15は開口部であり、a,b,cは上述した切
削工程A,B,Cにおける切削領域を示している。
【0022】ヒーターウエハ1上には、ヒーター11や
ボンディングパッド12が設けられ、その上に感光性樹
脂層3が設けられているが、ヒーター11の上部には感
光性樹脂層が形成されず、開口部15となっている。ま
た、ボンディングパッド12の上部にも感光性樹脂層は
設けられない。チャネルウエハ2には、インク流路13
とそれに連通するインク溜14や、ボンディングパッド
14の上部に対応する位置に凹部が形成されている。
【0023】ダイシング工程によって、切削領域aが切
削され、吐出口面が形成される。このとき、上述した切
削バリが発生する。切削領域bは、切削領域aによって
形成された切削面から少し離れた位置に切削され、各ヘ
ッドに切断分離される。また、ボンディングパッド14
の上部の凹部に至る切削領域cが切削され、ヒーターウ
エハ上に設けられたボンディングパット部を露出させる
ことができる。なお、切削領域bによるた切断分離は、
図1(F)の切削工程Bに示すように、縦方向及び横方
向に行なわれ、ヘッド単位に分離される。
【0024】図1(A)〜(G)の工程によって作製さ
れたインクジェットヘッドの断面図を図3に示す。図4
は正面図である。図中、図2と同様な部分には同じ符号
を付して説明を省略する。3は感光性樹脂層、5は吐出
口、16はヘッド固定基板、17はボンディングパッ
ド、18はボンディングワイヤーである。作製されたイ
ンクジェットヘッドは、ヘッド固定基板16上に固定さ
れる。そして、ヒータウエハ1上のボンディングパッド
12と、ヘッド固定基板16上のボンディングパット1
7とが、ボンディングワイヤー18によってワイヤーボ
ンディングされ、電気的接続がなされる。以後、必要に
応じてシーリングやジョイント等の接続を行なうこと
で、インクジェットヘッドが完成する。
【0025】図1(G)の工程で用いた処理溶液につい
て説明する。この実施例では、処理溶液として、モノエ
タノールアミンを用いて、50℃にて、5分間の処理を
行なっている。処理溶液としては、樹脂層のバリ部を溶
解するものであればさまざまな溶液が使用可能である。
特に、ポリイミドは、アルカリ性溶液に対して耐性が低
いという特性があり、KOH,NaOH等により良く溶
解される。
【0026】ここで、好ましい処理溶液の選択基準を考
える。 処理方法によっては、ヘッド全体が処理溶液に浸さ
れるため、ヘッドの露出構成材料、例えば、ボンディン
グパット部の材料として用いられるAlや、ウエハ材料
のSiに対してダメージを与えない処理溶液を選択す
る。 生産ライン導入を見込んだ取扱いの容易さや、安全
性,コストに優れた溶液を選択する。 微量な樹脂のバリ部のみを溶解できればよいから、
コントロールできる程度の溶解速度で処理ができる溶液
が望ましい。あまりに溶解速度が早いと、コントロール
をすることが不可能となる。 樹脂の溶解反応は、樹脂の極く表面のみで起こり、
樹脂内部に影響を起こさない溶液を選択する。
【0027】以上の観点から、溶液の選択、検証実験を
実施し、ポリイミド樹脂においては、アミノ化合物、ま
たは、少なくとも1種以上のアミノ化合物を含む混合溶
液が最も好ましい溶液であることが見い出された。
【0028】さらに、この実施例の工程をより詳細に説
明するために、ポリイミド樹脂の焼成(Cure)温度
とモノエタノールアミンを処理溶液とした場合の温度と
処理時間の関係について図5に示す。ポリイミド樹脂の
焼成温度が高いと、溶解速度(時間)が遅くなり、処理
溶液の温度が低いと、溶解速度(時間)が遅くなること
がわかる。図5における横線でハッチングされた領域に
は、ポリイミド樹脂の焼成温度が300℃の場合の、バ
リの除去工程に使用可能な条件領域である。下限値は、
発生する樹脂の切削バリの大きさのばらつきを含んで、
すべての切削バリが除去できる時間であり、上限値は、
切削バリ以外の樹脂層自体における溶解量の許容値を越
える時間である。ここでの樹脂層自体における溶解の許
容値とは、樹脂層表面が溶解されることによって後退し
て、吐出口に段差が発生し、インク滴の吐出方向性が劣
化する点を示しており、この実施例では、樹脂層の後退
が1μmとなる時点と設定している。一般に、バリの厚
さはサブミクロン以下であり、その形状は板状をなして
いるので、その表面積が広く、溶液の浸漬により、均一
にかつ早期に溶解が進むので、他の樹脂層に殆ど影響を
与えることなく、バリのみを選択的に除去できる。処理
溶液に対する樹脂の種類によっては、樹脂層の膨潤や変
形が樹脂層自体における溶解の許容値となる場合もあ
る。
【0029】なお、図5に示した関係は、処理溶液と樹
脂材料によって変化するが、その傾向は同様である。
【0030】上述した第1の実施例で、モノエタノール
アミンを用いて採用された条件である処理温度50℃,
処理時間5分間は、焼成温度300℃のポリイミド樹脂
において、バリを完全に溶解除去でき、噴射方向性に悪
影響を及ぼさず、かつ、時間と温度の管理が容易で、短
い時間で終了する条件として選択されている。この条件
を図5において一点鎖線で示した。
【0031】第1の実施例に示した、ポリイミドとモノ
エタノールアミンの組み合わせにおける反応を図6に示
す。このような分解を繰り返して分子量が小さくなり溶
解されると考えられる。また、第1の実施例と、超音波
洗浄およびプラズマアッシングにおけるバリ取りを実施
した比較例とを図7に示す。超音波洗浄1と超音波洗浄
2は、洗浄時の超音波強度が異なるものであり、 (超音波洗浄1)<(超音波洗浄2) の関係となっている。それぞれにおける問題となるレベ
ルのバリ残りと、ポリイミド欠けおよび過剰エッチング
へのヘッド単位での発生状況およびトータル歩留まりを
示している。超音波洗浄2では、1ヘッド内にバリ残り
とポリイミド層の欠けの両方が存在する場合があった。
このことからも、他の方法に比較して本発明の実施例
は、安定的に高歩留まりが達成されていることが分か
る。
【0032】なお、この実施例で使用しているモノエタ
ノールアミンは、他のヘッド構成材料であるSi,A
l,エポキシ接着剤に対して、上記の条件下では殆ど影
響しないものである。
【0033】第2の実施例について説明する。図8
(A)は、第2の実施例を適用するインクジェットヘッ
ドの正面図であり、図8(B)は、断面図である。図
中、21はヒーター基板、22は天板、23はヒータ
ー、24,25は感光性樹脂層、26は感光性樹脂から
なる隔壁、27はインク流路、28は吐出口、29はイ
ンク溜、30は開口部である。
【0034】ヒーター基板21には、ヒーター23や電
極,保護層等が形成された後、ポリイミドを用いた感光
性樹脂層24が設けられ、開口部30がパターニングさ
れる。天板22には、インク溜29が設けられ、感光性
樹脂層25を設けて、その上に感光性樹脂層をパターニ
ングして隔壁26を形成する。ついで、ヒーター基板2
1と天板22とを接合して、インク流路27が形成さ
れ、切断分離してインクジェットヘッドが作製される。
切断面に吐出口27が現れる。
【0035】このインクジェットヘッドでは、インク流
路27全体が樹脂層で作製されており、その吐出口27
を切削により形成している。吐出口27の付近には、図
9に示すような切削バリ31が発生している。
【0036】図10は、切削バリの処理工程の説明図で
ある。図1(F)で説明した切断分離工程の終了後、処
理溶液19として、モノエタノールアミン90%、ジメ
チルスルホルムアミド(DMF)10%と表面活性剤
0.1%の混合液を用いて、60℃で2分間、ヘッドを
揺動浸漬して処理を行なった(B)。揺動条件は、幅6
0mm、周期5秒とした。その後、純水20に浸漬して
揺動させながら、超音波洗浄を5分間実施し(C)、乾
燥工程(D)を行なった。
【0037】この実施例の結果は、第1の実施例と同様
に、バリ除去性100%を達成し、かつ、切削粉も除去
されクリーンになっていた。ここで用いたDMFは、ポ
リイミドおよびモノエタノールアミンの両方に対して良
好な溶剤であり、反応を促進する役割を持たせたもので
ある。また、界面活性剤の添加は、ポリイミドとモノエ
タノールアミンの水相を近づけ、反応を促進するととも
に、溶液の希釈等による反応速度低下の影響を緩和する
ため、および、切削粉の除去性を向上するためである。
処理中の揺動は、対流や濃度分布等による処理ムラを防
止し、さらに安定な工程とするためである。
【0038】また、この実施例での純水による超音波洗
浄は、切削粉等の汚れ除去およびバリ除去用の処理溶液
のすすぎ工程を兼ねており、超音波の強度は、図7に示
したバリ除去を目的とした超音波洗浄条件1,2に比較
して弱くなっている。また、図7に示したものと同様な
強度の超音波洗浄を加えた場合でも、処理溶液によって
バリ処理がなされた後であり、ポリイミドの欠けは殆ど
発生しない。
【0039】図11は、第3の実施例における処理工程
の説明図である。第1,第2の実施例では、切断分離工
程が終了し、個々のヘッド単位に分離された後、切削バ
リの除去工程に入ったが、この実施例では、図1(F)
および図2で説明した切断分離工程において、吐出口面
を形成するダイシング工程Aのみを行なった状態のウエ
ハペア(A)のままで、処理液11に浸漬して(B)、
切削バリの処理を行なった。処理後、切断分離を行なっ
た(C)。すなわち、図12に示すように、切削領域a
の切削を行なって、吐出口と吐出口付近面を形成後に、
ウエハペア10からヘッド単位への分離をせずウエハ単
位で切削バリの除去を行なっている。なお、図12にお
いて、図2と同様な部分には同じ符号を付して説明を省
略する。このように、ヘッド分離後に処理を行なうため
の専用のトレイへヘッド単位を詰め替える等のハンドリ
ング工程が不要となり、(B)に示すように、複数枚の
ウエハペアを同時に処理することも可能で、量産性がよ
くなっている。この実施例での処理溶液としては、エチ
レンジアミン100%溶液を用いた。切削バリの除去処
理の後、図1(F)で説明した各ヘッドに分離する切断
工程Bと、ヒーターウエハ上に設けられたボンディング
パット部を露出するための切削工程Cによって、ヘッド
単位9に分離される(C)。
【0040】なお、処理液としては、前記溶液に限られ
るものではなく、バリの発生する樹脂層を溶解可能な溶
液であれば、様々な溶液が使用可能である。他の構成材
料、例えば、Al等を腐食する処理溶液であっても、吐
出口付近だけを選択的に浸漬することによって、使用可
能である。
【0041】処理溶液と樹脂との関係を説明しておく。
ポリイミド樹脂の場合は、アルカリ性溶液、好ましく
は、モノエタノールアミン、モノエチルアミン、ジメチ
ルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン等のア
ミノ化合物が選択される。また、前記アミノ化合物に
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルス
ルホキシド、ジメチルホルムアミド、ヘキザメチルホス
ホリックアミド、H2 O等、および/または、表面活性
剤を混合した混合液も使用可能である。市販されている
混合液としては、関東化学(株)製のストリッパーKP
−101溶液や、東京応化(株)の剥離−105等が使
用可能である。
【0042】なお、上述した実施例では、切削バリの除
去処理について説明したが、切削によるバリに限らず、
レーザ加工等の他の加工工程によるバリについても適用
可能であることはもちろんである。
【0043】また、処理条件も温度,時間ともに、適用
される樹脂材料と処理溶液により様々に選定可能であ
り、揺動や超音波等の補助的なものと組み合わせたり、
合成することも自由にできる。
【0044】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、簡単な工程で高品質な吐出口を備えたヘッド
を大量かつ安価に作製することができる。また、切削粉
の除去性が向上し、清浄工程の簡略化可能となる。さら
には、樹脂層の切削面が均一化され、その後の表面処理
膜の塗布工程等の処理が安定化するという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のインクジェットヘッドの作製方法の
第1の実施例を説明するための工程図である。
【図2】 図1(F)で説明した切断分離工程の説明図
である。
【図3】 図1(A)〜(G)の工程によって作製され
たインクジェットヘッドの断面図である。
【図4】 図3のインクジェットヘッドの正面図であ
る。
【図5】 樹脂の焼成温度と処理溶液に一例の温度と処
理時間の関係を示す線図である。
【図6】 ポリイミドとモノエタノールアミンの組み合
わせにおける反応図である。
【図7】 実験結果の説明図である。
【図8】 第2の実施例におけるインクジェットヘッド
の説明図である。
【図9】 第2の実施例における切削バリの説明図であ
る。
【図10】 切削バリの処理工程の説明図である。
【図11】 第3の実施例における処理工程の説明図で
ある。
【図12】 第3の実施例におけるウエハペアの断面図
である。
【図13】 切削バリの説明図である。
【図14】 欠けの様子の説明図である。
【符号の説明】
1…ヒーターウエハ、2…チャネルウエハ、3…感光性
樹脂層、4…接着剤層、5,6…アライメントマーク、
7,8,9…1ヘッド単位、10…ウエハペア、11…
ヒーター、12…ボンディングパッド、13…インク流
路、14…インク溜、15…開口部、16…ヘッド固定
基板、17…ボンディングパッド、18…ボンディング
ワイヤー、21…ヒーター基板、22…天板、23…ヒ
ーター、24,25…感光性樹脂層、26…隔壁、27
…インク流路、28…吐出口、29…インク溜、30…
開口部、31…切削バリ。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク滴が飛翔する吐出口の少なくとも
    一部が樹脂により形成されるインクジェットヘッドの作
    製方法において、前記吐出口および/またはその周囲面
    を切削形成する工程の後に、少なくとも吐出口近傍の樹
    脂を該樹脂を溶解できる溶液で処理する工程を有するこ
    とを特徴とするインクジェットヘッドの作製方法。
  2. 【請求項2】 前記樹脂がポリイミド樹脂であり、前記
    溶液がアルカリ性の溶液であることを特徴とする請求項
    1に記載のインクジェットヘッドの作製方法。
  3. 【請求項3】 前記樹脂がポリイミド樹脂であり、前記
    溶液がアミノ化合物または少なくとも1種以上のアミノ
    化合物を含む混合溶液であることを特徴とする請求項1
    に記載のインクジェットヘッドの作製方法。
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