JP2827861B2 - 方向性電磁鋼板 - Google Patents

方向性電磁鋼板

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JP2827861B2 JP5320001A JP32000193A JP2827861B2 JP 2827861 B2 JP2827861 B2 JP 2827861B2 JP 5320001 A JP5320001 A JP 5320001A JP 32000193 A JP32000193 A JP 32000193A JP 2827861 B2 JP2827861 B2 JP 2827861B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁束密度および鉄損に
係わる磁気特性が極めて良好な方向性電磁鋼板に関し、
特に鋼板表面の改質により、鉄損を減少させ、かつ磁束
密度の増大を達成して磁気特性を改良した方向性電磁鋼
板に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、方向性電磁鋼板においては、表面
改質により鋼板に張力付与を行い、鉄損値を低下させる
技術が盛んに開発されている。その最初のものは、鋼板
表面にレーザー照射〔「鉄と鋼」,69(1983),p.895 およ
び特公昭57−2252号、同57−53419 号各公報参照〕また
はプラズマ照射 (特開昭62−96617 号、同62−151511
号、同62−151516号、同62−151517号各公報参照) によ
り局所歪を導入して磁区を細分化し、鉄損を低減する画
期的な方法である。
【0003】しかしながら、上記の磁区細分化技術は歪
取り焼鈍を施さない積鉄心用トランス材料では有効であ
るが、歪取り焼鈍を施す巻鉄心用トランス材料では、せ
っかく導入された局所歪が焼鈍時に解放され、磁区幅が
広がるため、レーザーまたはプラズマの照射効果が消滅
するという欠点がある。
【0004】このような高温焼鈍を施してもなお磁区細
分化効果が劣化しない方法としては、例えば、仕上げ焼
鈍板の表面に溝もしくはセレーション(serration) を形
成させる方法 (特公昭50−35679 号、特開昭59−28525
号、同59−197520号各公報参照) 、仕上げ焼鈍板の表面
に微細結晶粒領域を形成する方法 (特開昭56−130454号
公報参照) 、フォルステライト皮膜に異厚または欠損領
域を形成する方法 (特開昭60−92481 号、同60−258479
号各公報参照) 、および地鉄中、フォルステライト皮膜
中または張力絶縁皮膜中に異組成領域を形成させる方法
(特開昭60−103124号、同60−103182号各公報参照) な
どが提案されている。しかし、これらの方法では、著し
いコストアップになる上に鉄損低下の度合いは小さく、
これらは工業的に採用されるには至っていない。
【0005】方向性電磁鋼板の仕上げ焼鈍後の鋼板表面
を鏡面仕上げするか、またはその鏡面仕上げ面に金属薄
めっきやセラミックス薄膜を生成させ (特公昭52−2449
9 号、特公昭56−4150号各公報参照) 、その上に絶縁皮
膜を被成することによる超低鉄損方向性電磁鋼板の製造
方法も提案されている。
【0006】しかし、鏡面仕上げによる鉄損向上手法で
は、著しいコストアップになる上に鉄損低減への寄与が
十分ではない。さらに、セラミックス薄膜を生成させる
方法では、600 ℃以上の高温長時間にわたる歪取り焼鈍
を施した後における鋼板との密着性に問題があるため、
これらの方法も現在の製造工程においては採用されるに
は至っていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述の現状に
鑑みなされたものであり、本発明の目的は、鋼板表面に
張力印加被覆層を有し、これによる磁区細分化で低減さ
れた鉄損が歪取り焼鈍のような高温での熱処理を施して
も劣化せず、かつこの被覆層が剥離することのない低鉄
損方向性電磁鋼板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の低
鉄損方向性電磁鋼板にある。
【0009】表面に厚さ 0.005〜5μm の金属被覆層を
有し、その金属被覆層の熱処理後の線熱膨張係数が熱処
理前よりも3×10-6-1以上低下していることを特徴と
する低鉄損方向性電磁鋼板。
【0010】前述のように従来から、鋼板表面に被覆し
たセラミックスと鋼板との熱膨張差を利用して、鋼板に
張力を印加する方法が知られている。しかしこの方法
は、セラミックス層がその後の歪取り焼鈍時に剥離しや
すいものであり、実用化されるまでに至っていない。
【0011】一方、鋼板表面の被覆が金属めっきである
場合には、鋼板の歪取りまたは相平衡化のための焼鈍時
に界面の一部が合金化するため、剥離し難くなる。ま
た、めっきによれば、溶解・凝固の場合とは全く異なっ
た組織がめっき層に現れ、鋼板の上記焼鈍の加熱時と冷
却時でめっき層の熱膨張曲線に履歴が現れる可能性があ
り、このような場合には鋼板に印加される張力の状態や
程度、剥離の難易度も異なってくると考えられる。
【0012】本発明者らは、このような観点から検討を
行った結果、特にFe−Ni系合金めっきを電磁鋼板の表面
被覆層とした場合に、次の〜のような知見を得た。
【0013】めっきした状態でのめっき層、すなわち
めっきままのめっき層ではγ相の他に、通常の溶解・
凝固プロセスでは現れ難いα相が出現してα+γの2相
となるのに対し、焼鈍後にはγ単相となる。
【0014】上記のような相の出現と変化が現れるめ
っき層では、焼鈍時にめっき層と鋼板間に生ずる極めて
大きな熱膨張差によって、鋼板に極めて大きな引張応力
を印加することができる。
【0015】上記〜のような性質は、Fe−Ni系合
金においては、インバー特性(室温域の熱膨張係数がゼ
ロに近くなる)によってもたらされる。
【0016】焼鈍時にめっき層と鋼板との界面で合金
化が行われる結果、密着性が向上し、剥離しがたい表面
皮膜が得られる。
【0017】したがって、Fe−Ni系合金以外の合金にお
いても上記〜の効果が得られる場合が存在するこ
と、さらに、単体金属めっき層においても、鋼板中のF
e、Mnなどとの合金化が行われるので、同様の効果が得
られる場合があることも明らかとなった。
【0018】
【作用】本発明の方向性電磁鋼板を、前記の金属被覆層
を表面に有するものとした理由を説明する。
【0019】(1) 被覆層:金属 被覆層を形成した後に焼鈍などの高温熱処理を施して
も、その被覆層が剥離しないようにするには、鋼板成分
と合金化が起こり得る金属系被覆層とする必要がある。
さらに、被覆層によって鋼板に適切な引張応力を印加す
るには、焼鈍過程で熱膨張係数の大きな相の体積分率が
減少し、熱膨張係数の小さな相の体積分率が増加するこ
とにより、結果的に加熱時にめっき層全体の熱膨張係数
が大きく、冷却時にめっき層全体の熱膨張係数が小さく
なるような金属を用いるのが望ましい。
【0020】このような性質を有する金属被覆層によっ
て、冷却時に被覆層と鋼板間に大きな引張応力をかける
ことができ、この引張応力印加は、Fe−Ni系合金以外の
合金によっても、また、インバー合金にこだわらなくて
も、同様に得られる。
【0021】上記のような合金としては例えば、インバ
ー合金 (Fe−Ni系、Fe−Ni−Co系、Fe−Co−Cr系、Fe−
B系、Fe−Cr−Mn系、Fe−Mn−Ge系、Mn−Ge系など)が
挙げられる。
【0022】これらのうち、Geを20〜25at%含むMn−Ge
系2元合金は、860 K(587℃)以上の温度範囲において
反強磁性で六方相のε相をなす。この相は平衡状態図に
おいて773 K(500℃) 以上の高温側にあり、それ以下の
温度ではフェリ磁性のfctのε1 相ということになっ
ている。しかし、この合金をめっき層として鋼板表面に
被覆した場合には、860 K(587℃)以上の温度から、0.
19×10-3K/s以上の速度で冷却すれば常温においても
安定にε相が得られ、その磁気変態点 (約 100℃) 以下
の温度範囲で優れたインバー特性を示す。このため、こ
のMn−Ge系2元合金も前記のFe−Ni合金と同様に、所望
の性質を有する金属被覆層として用いることができる。
【0023】インバー合金ではないものとしては、Zn−
Ni系、Zn−Fe系、Zn−Cr系、Cu−Pb系、Co−Cu系、Ni−
P系、Ni−Sn系、Ni−S系、Fe−Mo系、Co−Mo系、Ni−
Mo系、W系などがあり、このような合金めっきでは、め
っきままと焼鈍後でめっき層中の相が異なり、熱膨張
曲線に履歴が生じて冷却時に被覆層と鋼板間に大きな引
張応力がかかることがわかっている。中でも、Zn−Ni系
やZn−Fe系などは、自動車用表面処理鋼板の製造ライン
が既に存在しているため、実用化しやすい。
【0024】他の被覆層としては、Cr、Mn、Fe、Co、N
i、Cu、Zn、B、Ge、Cd、Inのうちの2種以上の金属か
らなるものでもよい。
【0025】単体金属としては、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、
Cu、Zn、B、Ge、Cd、Inのうちから選んだ1種が望まし
い。
【0026】(2) 被覆層の厚さ: 0.005〜5μm 0.005 μm 未満では鋼板に十分な張力を付与できない。
一方、5μm を超えると占積率に問題を生じるので、そ
の範囲を 0.005〜5μm とした。
【0027】(3) 被覆層の焼鈍前後の線熱膨張係数:3
×10-6-1以上低下 後述する実施例の図5に示すように、被覆層の焼鈍前後
の線熱膨張係数差を、3×10-6-1以上としたときに、
鉄損W17/50 が0.10W/kg下がり、製品としてはグレー
ドがひとつ上がる。
【0028】本発明鋼板およびその素材となる電磁鋼板
は、次のような方法で製造する。
【0029】素材電磁鋼板は、2次再結晶により形成さ
れた{110}<001>方位で示されるGoss方位に高
度に集積した結晶配向を有する通常の方向性電磁鋼板で
あればよい。
【0030】一例としては、特開平5−9666号公報に示
されるような、重量%で、Si:1.5〜3.0 %、Mn:1.0〜3.
0 %、酸可溶性Al:0.003〜0.030 %を含み、かつ(Si−
0.5×Mn)≦2.0 を満たし、残部はFeおよび不可避的不
純物からなり、不純物としてのCおよびNが合計で0.00
20%以下、Sが0.01%以下である方向性電磁鋼板であ
る。この鋼板は、重量%で、C: 0.01%以下、N:0.001
〜0.010 % (他の組成は上記と同じ) を含む鋼スラブ
を、下記〜の工程で処理する。
【0031】 熱間圧延を行う工程、 熱間圧延まま、または熱間圧延後に焼鈍してから、
1回または中間焼鈍を挟んだ2回以上の冷間圧延を行う
工程、 連続焼鈍により1次再結晶を起こさせる工程、 N2を含む雰囲気中で 825〜925 ℃の温度域で4〜100
時間保持し、2次再結晶を起こさせる工程、 H2雰囲気中で 925℃を超え、1050℃までの温度域で4
〜100 時間保持し、純化する工程。
【0032】上記の工程で製造された鋼板に、金属被覆
層を形成させるのに先行して前処理を施すのが望まし
い。すなわち、焼鈍までに生成した表面酸化皮膜を除去
するために、HCl またはH2SO4 水溶液で酸洗するか、さ
らに表面を化学研磨または電解研磨で平坦化処理する。
【0033】このようにして得られた素材鋼板に、前述
金属の被覆処理を施す。その方法はめっきと総称される
範囲のものであればいずれを用いてもよい。例えば、水
溶液からの電気めっき、溶融めっき、溶融塩電解めっ
き、蒸着、CVD、PVD、イオンプレーティング、イ
オンプランテーションなどである。これらのいずれかの
方法により、厚さが 0.005〜5μm の範囲の表面被覆層
を形成させればよい。
【0034】その後焼鈍熱処理を施し、本発明の低鉄損
方向性電磁鋼板とする。この焼鈍の目的は元来、ユーザ
ーが所定の形状に打ち抜いた後か、またはそれらを積層
した後に、鋼板の歪み取りを行うことにあった。しか
し、ここでは次のふたつの目的で行う。
【0035】めっき被覆層の金属と鋼板との合金化を
起こさせ、界面の密着性を向上させる。
【0036】平衡状態図上では出現しない相(もしく
は、通常の溶解・凝固プロセスでは出現しない相)を含
むめっきままの組織を、完全に平衡状態図上の相にな
るように変化させることで、めっき層全体の熱膨張係数
を焼鈍前後で変化させ、加熱と冷却で所望の熱膨張差を
得、これにより鋼板に対して張力を印加する。
【0037】上記の効果を得るには、焼鈍温度は400 ℃
以上とするのが望ましい。400 ℃未満では、歪み取り効
果および合金化と相変化が短時間で得られない。望まし
い焼鈍時間は10分間以上である。
【0038】
【実施例】
(実施例1)重量%で、C:0.0030%、N:0.0042%、
Si:2.35%、Mn:1.53%、酸可溶性Al:0.010 %、S:
0.002 %を含み、残部はFeおよび不可避的不純物からな
る鋼スラブに、加熱温度1240℃、仕上温度820 ℃で熱間
圧延を施し、厚さ2mmの板に仕上げた。次に、880 ℃で
40秒間均熱する熱延板焼鈍を行った後、酸洗により脱ス
ケールし、1回の冷間圧延で厚さ0.30mmの板とした。
【0039】この冷延板を78%N2+22%H2の非脱炭雰囲
気中にて880 ℃で30秒間均熱する連続焼鈍に付し、1次
再結晶させた後、焼鈍分離材を塗布して仕上焼鈍を行っ
た。
【0040】仕上焼鈍は、75%N2+25%H2雰囲気中にて
885 ℃で24時間均熱する第1の焼鈍と、その後、H2雰囲
気に切り換えて、更に950 ℃で24時間均熱する第2の焼
鈍(純化焼鈍)とした。この電磁鋼板の鉄損を測定した
ところ、W17/50 は1.11W/kgであった。
【0041】次いで、上記の純化焼鈍後の電磁鋼板を用
いて、その表面を10%HCl水溶液で酸洗し、さらに電気
めっき (電解液:FeSO4・7H2O と NiSO4・7H2O の混合
水溶液、定電流電解) により、Ni比率x(at%) を変化
(0≦x≦100)させたFe100-XNix 合金めっき処理を行っ
た後、焼鈍温度を変えて2時間の焼鈍を行った。
【0042】表1に、めっき組成毎のめっき後とさらに
900 ℃で2時間焼鈍後とのε相の比率および焼鈍温度毎
での鉄損値を、表2に20℃で測定した線熱膨張係数とそ
の変化をそれぞれ示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】表1からわかるように、めっきまま(焼
鈍なし)では通常、圧縮応力が鋼板にかかるので鉄損は
悪化している。しかし、Niが24.5〜44.3at%で焼鈍温度
が 600℃以上では低鉄損となっている。Niが50.5at%で
焼鈍温度が800 ℃以下では、相変化が少ないため低鉄損
ならなかった。表2からわかるように、Niが24.5〜4
4.3at%の範囲で900 ℃の焼鈍により、γ相の比率が増
加して線熱膨張係数が低下し、めっきままとの差が3
×10-6K-1以上となり、その鉄損値はめっきを行わない
鋼板よりも低い値を示す。
【0046】図1は、Fe−Ni合金めっき層の20℃におけ
る線熱膨張係数に及ぼす焼鈍温度とNi比率との影響を示
す図である。図示するように、400 ℃の焼鈍ではめっき
ままよりも若干低い線熱膨張係数であるが、焼鈍温度
が高くなるにしたがい、線熱膨張係数が低下し、めっき
ままでのそれと差が大きくなる。
【0047】図2は、Fe−Ni合金めっきを施して、さら
に400 ℃と900 ℃で焼鈍した後の鉄損に及ぼすNi比率の
影響を示す図である。図示するように、Niが24.5〜50.5
at%の範囲でも、400 ℃では鉄損値の低下が少なく、め
っき前の鋼板の鉄損値と大差ないが、900 ℃では低い鉄
損値となっている。
【0048】めっき層の剥離は、いずれの焼鈍後も認め
られなかった。
【0049】(実施例2)実施例1で製造した純化焼鈍
後の電磁鋼板(鉄損値は実施例1と同じ)の表面を10%
HCl水溶液で酸洗し、表面酸化皮膜を除去した後、HF
+H2O2水溶液で化学研磨して表面を鏡面化した。
【0050】Geを20〜25at%含むMn−Ge系2元合金は前
述のような特性を有しているので、鏡面化した上記の鋼
板表面にMn100-x Gex (10.1 ≦x≦30.1) 合金をGe比率
(at%)を変えて、イオンプレーティングにより厚さ3
μm で成膜させた後、焼鈍温度を変えて2時間の焼鈍を
行った。
【0051】表3に、めっき組成毎のめっき後とさらに
900 ℃で2時間焼鈍後とのε相の比率および焼鈍温度毎
での鉄損値を、表4に20℃で測定した線熱膨張係数とそ
の変化をそれぞれ示す。めっき層の剥離は、いずれの焼
鈍後も認められなかった。
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】表3からわかるように、めっきままでの
鉄損はめっきを行わない鋼板とほぼ同じである。しか
し、Geが19.5〜22.9at%の範囲で焼鈍温度が500 ℃以上
で低い鉄損となっている。表4からわかるように、Geが
19.5〜22.9at%の範囲で900 ℃の焼鈍により、ε相の比
率が増加して線熱膨張係数が低下し、めっきままとの
差が3×10-6K-1以上となり、その鉄損値はめっきを行
わない鋼板よりも低い値を示す。
【0055】図3は、Mn−Ge合金めっき層の20℃におけ
る線熱膨張係数に及ぼす焼鈍温度とGe比率との影響を示
す図である。図示するように、ε相の比率が上昇すると
もに、20℃における線熱膨張係数が低下している。図示
するように、400 ℃の焼鈍ではめっきままよりも若干
低い線熱膨張係数であるが、焼鈍温度が高くなるにした
がい線熱膨張係数が低くなり、めっきままでのそれと
の差が大きくなる。
【0056】図4は、Mn−Ge合金めっきを施して、さら
に400 ℃と900 ℃で焼鈍した後の鉄損に及ぼすGe比率の
影響を示す図である。図示するように、Geが19.5〜22.9
at%の範囲でも、400 ℃では鉄損値の低下が少なく、め
っき前の鋼板の鉄損値と大差ないが、900 ℃では低い鉄
損値となっている。
【0057】図5は、表1〜表4の結果に基づいて、方
向性電磁鋼板の鉄損とめっき層の線熱膨張係数の変化量
との関係の例を示す図である。図5は、焼鈍温度が900
℃の場合である。図示するように、めっき層の焼鈍前後
の線熱膨張係数差が3×10-6K-1以上の場合に、鉄損値
がめっきままよりも0.10W/kg以上低下し、製品グレ
ードがひとつ上がった低鉄損の方向性電磁鋼板を得るこ
とができる。
【0058】
【発明の効果】本発明の方向性電磁鋼板は、歪み取り
(相平衡化による応力緩和)と合金化を目的とする焼鈍
のような高温の熱処理を施した後においても、剥離しな
い張力印加金属被覆層を有し、鉄損も劣化しない熱安定
性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】Fe−Ni合金めっき層の20℃における線熱膨張係
数に及ぼす焼鈍温度とNi比率との影響を示す図である。
【図2】Fe−Ni合金めっきを施して、さらに400 ℃と90
0 ℃で焼鈍した後の鉄損に及ぼすNi比率の影響を示す図
である。
【図3】Mn−Ge合金めっき層の20℃における線熱膨張係
数に及ぼす焼鈍温度とGe比率との影響を示す図である。
【図4】Mn−Ge合金めっきを施して、さらに400 ℃と90
0 ℃で焼鈍した後の鉄損に及ぼすGe比率の影響を示す図
である。
【図5】方向性電磁鋼板の鉄損とめっき層の線熱膨張係
数の変化量との関係の例を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−311576(JP,A) 特開 昭63−219598(JP,A) 特開 昭54−41218(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 22/00 - 22/86 C21D 9/46 501 H01F 1/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に厚さ 0.005〜5μm の金属被覆層を
    有し、その金属被覆層の熱処理後の線熱膨張係数が熱処
    理前よりも3×10-6-1以上低下していることを特徴と
    する低鉄損方向性電磁鋼板。
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