JP2827451B2 - 高炉羽口粉体吹き込み操業法 - Google Patents

高炉羽口粉体吹き込み操業法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、微粉炭と酸化鉄を多量に高炉羽口から吹き
込むことにより石炭・鉱石の原料制約を緩和すると共
に、高炉高出銑比操業および溶銑成分制御を図る高炉羽
口粉体吹き込み操業法に関するものである。
(従来の技術) 従来、高炉操業形態としては、羽口から重油・タール
等の液体燃料を多量に吹き込むことにより、低コークス
比・高出銑比を図る液体燃料吹き込み操業が指向されて
いた。しかし、昭和50年前半の原油価格の高騰によりエ
ネルギー価格体系が大きく変化した結果、高炉操業はオ
ールコークス操業が主流になってきた。
ところが、このオールコークス操業は、液体燃料吹き
込み操業に比べて燃料コストは低下するものの、羽口前
理論燃焼温度が高くなり、かつ高炉への水素投入量も低
下するため、荷下がりが不安定となってスリップが頻発
すると共に、溶銑中Si濃度も上昇させる。この問題に対
しては調湿を多量に使用することにより解決してきた
が、その代わりにコークス比が上昇したことによるコー
クス炉生産能力の問題、および送風原単位が上昇して吹
抜け限界の面から最大出銑比が低下するという問題が新
たに発生した。
そこで、安価な羽口吹き込み燃料として微粉炭を採用
する高炉が増大し、当該高炉においてはコークス比の低
下が達成され、最大出銑比は上昇した。今日、国内で
は、微粉炭比100kg/pt以上で操業されている高炉も見ら
れる(例えば、鉄と鋼vol.73(1988)s783、日本鉄鋼協
会講演論文集材料とプロセスvol.1(1988)P.72)。ま
た、大型高炉での高出銑比操業としては、国内では出銑
比2.69T/日・m3の実績が見られる(日本鉄鋼協会講演論
文集 材料とプロセスvol.3(1990)P.69)。
一方、今日、高炉装入原料として、焼結鉱は全鉱石使
用量の70〜95%と多量に使用されており、その良好な被
還元性および高温性状により高炉の高出銑比操業・低燃
料比操業に寄与している。ここで、焼結鉱製造工程にお
いては、焼結鉱焼成後、高炉使用に適した粒度範囲に焼
結鉱を破砕・篩文けする過程で篩下の細粒焼結鉱すなわ
ち返鉱が発生し、焼結機にリターンされれいる。通常、
この返鉱の量は焼結用配合原料の20〜30%を占め、焼結
鉱焼成エネルギーの増大に結び付いている。
この焼結鉱の返鉱量を低減し、焼結鉱の鍋歩留まり
({製品/(新原料+返鉱石)}×100)を向上させる
方法の一つとして、再々篩を設置することにより高炉で
の小粒焼結鉱の装入量増大をはかった例が報告されてい
る(日本鉄鋼協会講演論文集 材料とプロセスvol.110
(1988)p.110)。この方法によれば、返鉱量が低減さ
れ、焼結鉱鍋歩留まりは75%から83%まで向上した。し
かし、焼結工場での篩下および再々篩下の焼結鉱は、返
鉱として焼結機にリターンされるため、返鉱0は達成さ
れず、焼結鉱焼成エネルギーの低減代を残している。
なお、焼結鉱を粒径5mmで篩分けし、篩上の焼結鉱を
高炉炉頂部より装入する高炉操業方法において、篩下焼
結鉱を一定の粒径、例えば2mmを基準に再篩分けして微
粉焼結鉱と小塊焼結鉱に区分し、このうち微粉焼結鉱は
送風羽口より高炉内に吹き込み、他方小塊焼結鉱は篩上
焼結鉱と共に炉頂部より炉内に装入することを特徴とす
る篩下焼結鉱石の高炉使用方法を本出願人は提案してい
る(特開昭61−6204号公報)。この方法によれば、焼結
鉱返鉱量0が実現し、焼結鉱焼成エネルギーの低減に結
び付く。
また、微粉炭吹き込み操業における低Si溶銑製造法と
して、微粉炭と共に粉鉱石を吹き込む操業法も提案され
ている(特開昭57−137402号公報)。この方法によれ
ば、微粉炭比30〜150kg/ptにおいて、ペレットフィード
または焼結鉱破砕粉よりなる粉鉱石を5〜50kg/pt吹き
込むことにより、脱珪反応(Si+2FeO=SiO2+2Fe)で
溶銑中Siは低減される。
さらに、微粉炭吹き込み操業における低Si・低S溶銑
製造法として、微粉炭と共に石炭石、ドロマイト等の塩
基性物質を吹き込む操業法も提案されている(特開昭57
−137403号公報)。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、これらの方法には、次に掲げる3つの
問題点が存在している。
微粉炭の多量吹き込み事例および焼結鉱粉の多量吹
き込み事例は見られるが、微粉炭と焼結鉱粉の同時多量
吹き込みではないため、原料炭費と焼結鉱焼成エネルギ
ーとの同時削減による原料コストの大幅削減には結び付
かない。
微粉炭多量吹き込み時には、レースウェイ内での微
粉炭燃焼が十分に進展ぜず、通気性悪化や荷下がり変動
を起こし、炉冷に結び付く場合がある。
焼結鉱粉多量吹き込み時には、レースウェイ先端で
溶融還元が十分に進展せず、風圧変動・荷下がり変動を
起こし、炉冷に結び付く場合がある。
高出銑比操業時には、炉内通ガス量が増大するた
め、装入物の吹抜け現象が発生し安定な操業の維持が困
難である。
本発明は、微粉炭と焼結鉱粉を多量に吹き込む高炉の
粉体吹き込み操業において、前記問題点を解決すること
を目的とするもので、微粉炭の燃焼性および焼結鉱粉の
溶融還元を確保すると共に吹抜けを防止することによ
り、高炉炉況安定下で、原料コストの大幅低減および高
出銑比操業を実現する高炉羽口粉体吹き込み操業法を提
供するものである。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、上記目的を達成すべく、多くの実験を
重ねながら研究を行った結果、 羽口前理論燃焼温度を所定範囲に入れることによ
り、レースウェイ内での微粉炭の燃焼性が確保される。
上記の対策を講じた場合には、微粉炭と焼結鉱粉
を同時に多量吹き込みしても、微粉炭の燃焼熱により粉
鉱石を溶融還元が確保される。
炉頂圧を所定値まで上昇させることにより高出銑比
操業を指向しても、吹抜け発生が防止される。
従って、微粉炭および焼結鉱粉を気体輸送して高炉
羽口から吹き込むに当り、羽口前理論燃焼温度を所定範
囲とした上で、炉頂圧を所定値に調整することにより、
レースウェイ内での微粉炭燃焼およびレースウェイ先端
での粉焼結鉱の溶融還元が十分に進展すると共に装入物
の吹抜けが防止され、風圧変動・荷下がり変動等の炉況
悪化もなく操業を継続することが可能である。
との知見を得るに至ったのである。
すなわち、本発明はかかる知見に基づいて成されたも
のであり、羽口前理論燃焼温度を1800〜2600℃、炉頂圧
を2.5〜6.0kg/cm2Gに設定したと状態下において、高炉
羽口より微粉炭を150kg/pt以上及び/又は酸化鉄を50kg
/pt以上を吹き込むことを要旨とする高炉羽口粉体吹き
込み操業法、及び、前記高炉羽口粉体吹込み操業法に加
えて更に高炉羽口より造滓剤を30〜60kg/pt吹き込むこ
とを要旨とする高炉羽口粉体吹き込み操業法である。
(作用) 上記本発明における羽口前理論燃焼温度および高炉炉
頂圧は、それぞれの所定の上下限範囲において、コーク
ス比、出銑比等の高炉操業度に応じて決定される。
従って、微粉炭および焼結鉱粉を気体輸送して高炉羽
口から吹き込むに当り、羽口前理論燃焼温度を1800〜26
00℃の範囲に入れた上で炉頂圧を2.5〜6.0kg/cm2Gに設
定することにより、微粉炭燃焼およびレースウェイ先端
での粉焼結鉱の溶融還元が十分に進展すると共に装入物
の吹抜けが防止され、風圧変動、荷下がり変動等の炉況
悪化がなく出銑比2.5〜5.0T/日・m3で操業を継続するこ
とが可能であり、原燃料コストの大幅削減および高炉生
産性の大幅向上に結び付く。
(実 施 例) 以下、本発明方法を第1図に示す一実施例に基づいて
説明する。
高炉19の中心線右側は焼結鉱粉体の吹き込み工程を示
しており、焼結機2で製造された焼結鉱は、焼結工場1
内に設置されたホットスクリーン、コールドスクリーン
等の複数の篩3によって篩分けられ、篩下は粉体吹き込
み系統に供給される。一方、篩上は焼結工場内に設置さ
れた複数の篩4〜7によって篩分けられ、最終的には、
篩6の篩下が粉体吹き込み系統に供給され、篩5〜7の
篩上は、高炉炉頂より塊原料として装入される。
一方、粉体吹き込み系統に供給された粉体は、サービ
スホッパー11に貯蔵された後、中間タンク12を経由して
吹き込みタンク13に導入される。吹き込みタンク13内の
粉体は、タンク底部から導入された気体14により流動化
し、キャリアガス15によって輸送され、分配器16を経
て、羽口17に取り付けられた吹き込みノズル18を介し
て、高炉19内に吹き込まれる。
なお、図示省略したが、粉体吹き込みノズル18は各送
風羽口17に設置されており、分配器16は必要に応じて複
数個、場合によっては多段階に設置されていても良く、
製銑工場内の篩4〜7は必要に応じて段数を増減させて
も良い。また、第1図中8〜10は夫々貯蔵タンクを示
す。
次に高炉19の中心線左半分は微粉炭及び造滓剤の吹き
込み工程を示している。
ヤードに積まれた石炭20は、石炭ホッパー22に貯蔵さ
れた後、ホッパー下部に設置されたロータリーフィーダ
24によって、所定量が連続的に粉砕機26に供給される。
そして、粉砕機26内において、粉砕・混合されると供
に、粉砕機26に併設された熱風炉27から送られる150〜5
00℃の範囲内の所定温度の熱風によって乾燥される。な
お、この熱風は、製鉄所内で発生するBガス等を燃焼し
て得られるものを使用すれば良い。
所定粒度以下に粉砕された石炭は、熱風炉27からの熱
風により羽口17に向かう吹き込み系統、すなわちサービ
スホッパー28、中間タンク29、吹込みタンク30に気体輸
送され、さらに、吹込みタンク30からは気体31とキャリ
アガス32で、またその途中からは更に熱風炉27からの熱
風との混合気体により、分配器16を経て各羽口17まで分
配・気体輸送される。そして、羽口17から吹き込みノズ
ル18を介して、高炉19内に吹き込まれる。この場合、必
要に応じて、粉砕機26以降の吹き込み系統において、配
管を介して熱風及び/又は冷風を付加することも可能で
ある。
また、必要に応じて、ヤードに積まれたドロマイト、
石炭石等の造滓剤21を、造滓剤ホッパー23に貯蔵した
後、ホッパー下部に設置されたロータリーフィーダー25
によって、所定量、連続的に石炭と供に粉砕機26に同時
供給することも可能である。所定比率で同時に供給され
た石炭および造滓剤は、粉砕機26内において粉砕・混合
され、高炉羽口17より吹き込まれる。
なお、図示省略したが、粉体吹き込みノズル18は各送
風羽口17に設置されており、分配器16は必要に応じて複
数個、場合によっては多段に設置されていても良い。造
滓剤21のヤードからホッパー23に至る系統についても、
図示はしないが、使用する造滓剤の種類数に応じて設置
されている。
造滓剤は、実施例では、ドロマイト・石炭石等が使用
されているが、その他のMgO源またはCaO源を含有するも
のであっても良い。また、MgO源とCaO源の両方を含有す
る造滓剤であっても良い。
さらに、図示省略したが、高炉高炉頂圧化に伴い、炉
頂排ガス処理系統、装入系統、送風系統および出銑口耐
火物等は高炉頂圧仕様に変更されていることは言うまで
もない。
以下に、本発明に基づいて高炉の粉体吹き込み操業を
A高炉(炉内容積4800m3)で行った実験結果を、従来法
に基づく実験結果と比較して説明する。
まず、本発明法の実施に当り、羽口前論理燃焼温度の
上下限値は、従来のB高炉(炉内容積5050m3)の操業実
積より決定した。第2図は、その実積を示したものであ
り、羽口前理論燃焼温度の下限設定値は送風顕熱不足に
より溶銑温度確保が困難となる最低温度によって決定さ
れ、羽口前理論燃焼温度下限値として1800℃が得られ
た。一方、羽口前理論燃焼温度の上限設定値は、SiO
(g)等の金属蒸気分圧が高くなり棚吊り発生により荷
下がり困難となる最高温度によって決定され、羽口前理
論燃焼温度として2600℃が得られた。さらに、充填層の
流動化条件は、充填層荷重と圧力損失とが釣合う条件で
与えられ、次式に表される。
ΔP=L(1−εmf)・(ρ−ρ) ここで、ΔPは圧力損失、Lは層高、εmfは空隙率、
ρは充填粒子密度、ρはガス密度を表す。また、下式
を吹抜け指数と定義し、局所的にみた場合はPL>1で吹
抜けが発生する。
PL=ΔP/L/(1−εmf)/(ρ−ρ) しかし、高炉内は高さ方向・半径方向に温度・装入物
粒径等の分布を持っており、ΔPを送風圧と炉頂圧の差
圧とした場合、従来のB高炉の吹き抜け限界実積として
PLmax=0.675を得ている。
また、微粉炭の燃焼性についても、高炉下部実験炉に
よる各種熱間テストの結果、羽口前理論燃焼温度を1800
〜2600℃の範囲に維持することによりレースウェイ内で
の燃焼率は低下してもコークス充填層でC+CO2=2CO反
応で微粉炭が消費されるためレースウェイ上2.0mでの微
粉炭燃焼率は98%以上に維持されることが確認された。
このように実施された高炉羽口粉体吹き込み操業の実
験結果を第1表に示す。なお、実験で使用した篩下焼結
鉱の粒度分布を第2表に、また微粉炭の粒度分布を第3
表に示す。
まず、第1表における試験期間Aから試験期間Cは従
来法による比較例である。
試験期間Aでは、焼結鉱を篩目3mmで篩分けし、篩上
焼結鉱を高炉炉頂部より装入すると共に、篩下焼結鉱を
全量気体輸送により羽口から炉内に吹き込んだ。送風温
度上昇アクションにより、羽口前理論燃焼温度を2022℃
としたが、焼結鉱単味吹き込みのため、粉体の昇温が十
分でなく、溶融還元の進展が十分に行かず、送風圧力変
動、荷下がり変動が頻発し、炉冷に至った。
また、試験期間Bでは、微粉炭を気体輸送により羽口
より炉内に吹き込んだ。羽口前理論燃焼温度が1763℃と
低かったため、微粉炭の燃焼が十分に行われず、通気性
が悪化するとともに、荷下がり変動が頻発し、炉冷に至
った。
さらに、試験期間Cでは、微粉炭と共に焼結鉱篩下
(−3mm)を、気体輸送により羽口から炉内に吹き込ん
だ。送風温度上昇および富化酸素増大アクションをと
り、羽口前理論燃焼温度を2178℃としたため、微粉炭の
燃焼および粉鉱石の溶融還元は十分に進展したが、炉頂
圧が2.3kg/cm2Gであったため吹抜け防止の観点より出銑
比は2.4T/日・m3までしか上昇できなかった。
これに対し、試験期間Dは本発明法を適用した例であ
り、微粉炭と共に焼結鉱篩下(−3mm)を気体輸送によ
り羽口から炉内に吹き込む点は前述した期間Cの場合と
同様であるが、羽口前理論燃焼温度と共に炉頂圧を所定
範囲に入る様に、送風アクションをとった。その結果、
微粉炭の燃焼および粉鉱石の溶融還元が十分に進展する
と共に出銑比も4.15T/日・m3まで増産可能となり、風圧
・荷下がり安定下で高炉操業が継続され、原燃料コスト
の大幅低減が達成されると共に出銑比の上昇がはかれ
た。
(発明の効果) 以上述べた様に、本発明によれば、微粉炭および篩下
焼結鉱を、気体輸送により高炉羽口から吹き込む高炉粉
体吹き込み操業において、風圧変動や荷下がり変動を起
こすことなく操業を継続することが可能となり、コーク
ス炉生産制約の緩和、焼結鉱焼成エネルギーの低減およ
び高炉出銑比上昇による生産弾力性の向上を図ることが
可能となるなど、産業上極めて有用な効果がもたらされ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を実施するのに適した装置構成の一例を
示すブロック図、第2図は、実施例での事前テスト結果
によで得られた、羽口前理論燃焼温度の上下限値を示す
グラフである。 17は羽口。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21B 5/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】羽口前理論燃焼温度を1800〜2600℃、炉頂
    圧を2.5〜6.0kg/cm2Gに設定した状態下において、高炉
    羽口より微粉炭を150kg/pt以上及び/又は酸化鉄を50kg
    /pt以上を吹き込むことを特徴とする高炉羽口粉体吹き
    込み操業法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の高炉羽口粉体吹き込み操業
    法において、更に高炉羽口より造滓剤を30〜60kg/pt吹
    き込むことを特徴とする高炉羽口粉体吹き込み操業法。
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LU88422A1 (fr) * 1993-11-03 1995-07-10 Wurth Paul Sa Procédé d'introduction d'un deuxième débit d'un matériau pulvérulent dans une conduite de transport pneumatique véhiculant un premier débit réglable de matière pulvérulente
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