JP2825363B2 - 磁気シールド構造 - Google Patents

磁気シールド構造

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JP2825363B2
JP2825363B2 JP3080464A JP8046491A JP2825363B2 JP 2825363 B2 JP2825363 B2 JP 2825363B2 JP 3080464 A JP3080464 A JP 3080464A JP 8046491 A JP8046491 A JP 8046491A JP 2825363 B2 JP2825363 B2 JP 2825363B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超電導体を利用した磁気
シールドの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超電導体を利用した磁気シールド構造と
は、マイスナー効果を利用する磁気シールド構造であ
り、例えばマイスナー効果を有する材料を円筒状に形成
してシールド体とし、これを臨界温度TC 以下に冷却し
て、超電導状態に転移させてシールド体を反磁性体とす
ることにより、磁束をシールド外部に押し出し、シール
ド内部空間を磁気シールドするものである。
【0003】一方、超電導体を利用しない、通常使用さ
れている高透磁率材でのシールド構造では、例えば高透
磁率材料で円筒状のシールド体を構成した場合には、磁
場中にこのシールド体が保持されると、シールド体に沿
って磁気誘導が生じ、結果的に磁場の方向を変更させ
て、内部空間を磁気シールドするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような超電導体を
利用した磁気シールド構造では、例えば円筒状のシール
ド体の磁気遮蔽効率は、円筒の中心軸に平行な磁場(縦
磁場)に対する遮蔽効率は良いが、中心軸に垂直な磁場
(横磁場)に対する遮蔽効率は良くないため、円筒の内
径に比して長さを長くしなければならないという問題点
があった。
【0005】一方、高透磁率材による例えば円筒状のシ
ールド体では、横磁場より縦磁場の遮蔽効率が良くな
く、またその有限な透磁率のために1層では遮蔽効率が
高くないので、高い遮蔽効率を得るために円筒を数層重
ね、外層を内層より長くする構造をとらなければならな
かった。その結果、高透磁率材でも、より外側の円筒ほ
ど長さが長くなり、また使用可能な容積が大きければさ
らに径方向、軸方向共に長くなるため、コストが高くな
るという問題点もあった。
【0006】本発明の目的は以上の種々の点に鑑みてな
されたものであって、性質の異なる磁気シールド材を組
み合わせることにより磁気シールド性能を向上させ、使
用可能な高い磁場遮蔽空間を増し、従って外部磁場より
非常に低い磁場を効率よく実現できる磁気シールド構造
の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る磁気シール
ド構造は、臨界温度以下の冷却時に、常電導状態から超
電導状態へ転移してマイスナー効果を発現する超電導材
料からなる筒状のシールド体の内部に該筒状のシールド
体の長手方向に沿った開口を有する筒状高透磁率部材を
筒内壁と間隔を開けて複数配設した磁気シールド構造に
おいて、複数の前記筒状高透磁率部材を径方向及び長手
方向に間隔を開けて配設したものである。
【0008】
【作用】マイスナー効果を発現する材料からなる筒状の
シールド体は、その外部からの磁界に対してレンツの法
則に従って遮蔽電流を流し、反磁界を形成する。この反
磁界により外部から円筒内部に侵入する磁界を減衰させ
る。
【0009】例えば、超電導体円筒の内部磁場Hiの理
論式は、各方向の外部磁場Hoに対して、次のように表
せる。 横磁場; Hi=Ho・exp(-1.84(Z/r)) …(1) 縦磁場; Hi=Ho・exp(-3.83(Z/r)) …(2) (但し、Zは開放端からの距離、rは円筒の半径であ
る。)これらの式から明らかなように超電導体円筒の磁
気遮蔽効率は、円筒の中心軸に平行な磁場(縦磁場)に
対して高いが、中心軸に垂直な磁場(横磁場)に対して
低い。従って横磁場を効果的に減衰させれば、非常によ
い磁場遮蔽空間を得ることができる。
【0010】図17に超電導体円筒に横磁場を印加した
ときの超電導体円筒内部の侵入磁気ベクトルの模式図を
示す。図のように、円筒軸上では横方向の磁場だけで、
径方向では端部に近い程縦方向成分が増加していること
が判る。このように分布する内部侵入磁界を高透磁率部
材の磁気誘導という性質を利用して、縦方向成分を横方
向成分に変えることで磁気的に短絡させ、内部への侵入
量を減少させる。但し、高透磁率部材には残留磁場があ
るので、残留磁場が影響を及ぼさない位置に配置する必
要がある。
【0011】本発明では、臨界温度以下の冷却時に、常
電導状態から超電導状態へ転移してマイスナー効果を発
現する超電導材料からなる筒状のシールド体の磁気シー
ルド構造において、前記筒状のシールド体内部に該筒状
のシールド体の長手方向に沿った開口を有する筒状高透
磁率部材を筒内壁と間隔を開けて配設したため、マイス
ナー効果を発現する材料からなる筒状シールド体の長手
軸上の中心方向に減衰分布を示す侵入磁界に対して、筒
状高透磁率部材に磁気誘導が生じ、その結果、侵入磁界
が磁気的に短絡し、筒状のシールド体内部に侵入する磁
界をさらに減少させるものである。
【0012】具体的には、筒状高透磁率部材を、超電導
筒中心部から端部方向に亙って配設したもの、端部近傍
に配設したもの、複数の筒状高透磁率部材を端部近傍に
長手方向に積層したもの、複数の筒状高透磁率部材を径
方向に積層したもの等がある。特に、複数の筒状高透磁
率部材を径方向及び長手方向に間隔を開けて配設した
のでは、筒状高透磁率部材を単独で用いる場合よりも筒
状のシールド体内部に侵入する磁界をさらに減少させる
ものである。
【0013】尚、筒状高透磁率部材の形状は、超電導材
料からなる筒状のシールド体内部に挿入可能で、筒状高
透磁率部材に磁気誘導が生じ、侵入磁界が磁気的に短絡
する形状のものであれば、如何なる形状のものでも使用
可能である。具体的には、構成部材の肉厚よりも大きな
筒長を有する両端開放又は片端開放の筒であり、筒の断
面形状は円を始め、楕円、多角形等を取り得る。また、
長手方向に沿って内径が縮径するテーパ形状のもの、内
部及び外部に凹凸が形成され内外部の断面形状が異なる
もの、端部の開口に比べて内部開口が広がったもの、筒
が蛇腹になったもの、L字型,T字型,H字型,+字
型,コ字型形状のもの、更にそれらの組合わせをも含
む。
【0014】また、超電導材料からなる筒状のシールド
体内径に対する筒状高透磁率部材の外径の割合は、後述
する実施例で示した通り、単独で用いる場合には、超電
導体材料からなる筒状のシールド体の内径の1/5以上
の外径を有する筒状高透磁率部材を超電導体円筒内部に
配置すると超電導体円筒単体よりも良い遮蔽効果が得ら
れる。
【0015】さて、一般に無限長の高透磁率材円筒に均
一な横磁場Hscを掛けたときの遮蔽効果(Hi/Hs
c)は、 Hi/Hsc=2r/μ・t …(3) と表される。ここでμは透磁率、tは肉厚、rは円筒半
径である。式(3) から他の形状の場合も類推できるが、
一般に透磁率が大きい程遮蔽効果も大きく成ることが判
る。また、一般的に肉厚が大きい程遮蔽効果は大きいこ
とが式(3) から類推できる。
【0016】
【実施例】[参考例]外径の効果) 図1は外径Dの大きさを変更する高透磁率材円筒を配設
した断面図であり、両端開放のビスマス系酸化物超電導
体製円筒(BiSrCaCuO)(以下、超電導体円筒
という)の中心から80mmの位置にそれぞれ1つの高
透磁率材円筒を配設した。前者のサイズは内径100m
m、長さ240mm、肉厚5mmである。後者は長さ1
0mm、肉厚0.2mm、透磁率10000で、外径D
mmを変えている。
【0017】超電導体円筒に対して均一な横磁場1
[G]をかけて円筒軸上の磁界分布を測定した。図2は
高透磁率材円筒の外径Dmmを変えた時の超電導体円筒軸
上の内部磁界分布Hi(z)(以下、全ての実施例でz
は超電導体円筒の開放端からの距離わ示す)を示す線図
である。図2において、SCは高透磁率材円筒を使用し
ない超電導体円筒単体の場合の内部磁界分布Hsc
(z)、□は外径=20mm、●は外径=30mm、×は外径=
40mm、○は外径=60mm、+は外径=80mmを各々示してい
る。
【0018】図2より、超電導体円筒単体の場合よりも
高透磁率材円筒を挿入した場合の方が、超電導体円筒中
心位置での侵入磁界が減少している。これは侵入磁界の
縦方向成分を高透磁率材円筒が磁気誘導により縦方向成
分を横方向成分に変え、磁気的に短絡させたためであ
る。
【0019】図3は高透磁率材円筒の外径Dと遮蔽効果
との関係を表した線図である。即ち、図2に示した磁界
分布Hi(z)の超電導体円筒中心位置z=120 におけ
る磁界Hsc(120) で規格化したものを遮蔽効果とし、
高透磁率材円筒の外径の関数として表した線図である。
尚、規格化は前述の(3) 式に従って次のようにして行っ
た。 遮蔽効果=Hi(120)/Hsc(120)
【0020】図3に示す通り、高透磁率材円筒の外径が
超電導体の内径の近づくにつれて遮蔽効果が良くなって
いることがわかる。これは超電導体円筒内部の系方向に
増加する侵入磁界の縦方向成分を高透磁率材円筒の外径
を大きくすることで、より多くの縦方向成分を横方向成
分に変え、磁気的に短絡させたためである。逆に、外径
が20mmの場合、遮蔽効果が1であり、高透磁率材円筒の
効果が全くないことを示している。この範囲の径方向で
は侵入磁界の縦方向成分が小さいために磁気的な短絡効
果がほとんど得られない。
【0021】以上の結果から、超電導体円筒の内径の1
/5以上の外径を有する高透磁率材円筒を超電導体円筒
内部に配設すると超電導体円筒単体よりも良い遮蔽効果
が得られる。また、高透磁率材円筒の外径が超電導体円
筒の内径に近づくほど、良い遮蔽効果を得られることが
判明した。
【0022】図4は片端開放の超電導体円筒に高透磁率
材円筒を配設した断面図である。即ち、片端開放の超電
導体円筒の底面から80mmの位置に1つの高透磁率材円筒
を配設した。前者のサイズは内径 100mm、長さ 120mm、
肉厚5mmである。後者は長さ10mm、肉厚 0.2mm、透磁率
10000で、外径Dmmを変えている。超電導体円筒に対し
て均一な横磁場1[G]をかけて、円筒軸上の底面から
30mmの位置における磁界を測定した。前述の式(3) に従
ってz=90における遮蔽効果で表すと、図3とほぼ一致
する結果が得られた。高透磁率材円筒は、片端開放超電
導体円筒の場合も両端開放超電導体円筒の場合と全く同
じ遮蔽効果を及ぼす。
【0023】図5は両端開放の超電導体円筒にテーパ形
状の高透磁率材円筒を配設した断面図である。即ち、両
端開放の超電導体円筒の中心から80mmの位置にそれぞれ
1つの高透磁率材円筒を配設した。前者のサイズは内径
100mm、長さ 240mm、肉厚5mmである。後者は最大外径
80mm、最小外径60mm、高さ10mm、肉厚 0.2mm、透磁率10
000である。超電導体円筒に対して均一な横磁場1
[G]をかけて、円筒軸上の中心位置における磁界を測
定した。同様に式(3) に従ってz=120 における遮蔽効
果は、0.45が得られた。以上のことから、開口が両端で
変わらない高透磁率材円筒に限らず、開口が縮径してい
るテーパ形状の高透磁率材円筒においても良い遮蔽効果
が得られることが判った。
【0024】(長さの効果1,中心部近傍) 図6は長さ2Pを変更する高透磁率材円筒を配設した断
面図である。即ち、両端開放のビスマス系酸化物超電導
体製円筒(BiSrCaCuO)中に高透磁率材円筒を
配設した。前者のサイズは内径100 mm、長さ150 mm、肉
厚5mmである。後者は内径75mm、肉厚2mm、透磁率1000
0 、長さ2Pmmである。
【0025】図6に示すように両端開放の高透磁率材円
筒を超電導体円筒内部に各円筒の軸が一致するように配
設してその長さ2Pを変えて実験を行った。各組合わせ
円筒に対して垂直になるように均一な横磁場1[G]を
かけた。
【0026】図7は高透磁率材円筒の長さ2Pを変えた
時の超電導体円筒軸上の内部磁界分布を示す線図であ
る。図7中のSC75は超電導体円筒(P=75mm)単体
の内部磁界分布を表し、SC+FM25は超電導体円筒
と高透磁率材円筒と高透磁率材円筒(P=25mm)を組合
わせた場合の内部磁界分布を示す。この図より明らかに
超電導体円筒単体の場合に比べて超電導体円筒と高透磁
率材円筒を組合わせた場合の方がより低い磁場分布を示
していることが判る。特に、高透磁率材円筒の長さが長
くなるにつれて中心位置での磁界は低くなっている。同
時に、例えば 0.1[G]の遮蔽空間についてみると高透
磁率材円筒の長さが長くなるにつれて遮蔽空間が広がっ
ている。高透磁率材円筒(P=65mm)の組合わせの場合
を見ると 0.1[G]の遮蔽空間を見ると円筒中心から50
mm程度まで広がっている。これを超電導体円筒単体で得
るためには内径100mm の場合に長さ225mm 以上が必要で
ある。
【0027】図8は高透磁率材円筒の長さ種々変化させ
た時の内部磁界を示す線図である。図において、内部磁
界とは円筒体中心位置での磁界であり、■は超電導体円
筒と高透磁率材円筒とを組合わせた場合の結果、□は高
透磁率材円筒単体の場合の結果を示す。図8より、高透
磁率材円筒単体の場合、長さPが60mmより長くなると中
心位置での磁界が一定になることがわかる。
【0028】これは長さを長くするほど前述の式(1) に
従って遮蔽効率が良くなる超電導体円筒と異なり、無限
に長い高透磁率材円筒を仮定した式(3) で得られる以上
の遮蔽効率を有限の長さを持つ高透磁率材円筒単体では
得られないことから自明である。超電導体円筒と高透磁
率材円筒を組合わせた場合でも同様に、高透磁率材円筒
の長さPが60mmを越えると中心位置での磁界が一定にな
っている。従って、組合わせた場合の遮蔽効率は、高透
磁率材円筒の遮蔽効果に依存している。以上の結果か
ら、超電導体円筒内部に高透磁率材円筒を配設した場
合、高透磁率材円筒の長さを長くするほど低磁場空間が
広がることが判明した。
【0029】(長さの効果2,端部近傍) 図9は長さLを変更する高透磁率材円筒を配設した断面
図である。即ち、両端開放のビスマス系酸化物超電導体
製円筒(BiSrCaCuO)(以下、超電導体円筒と
いう)の中心から80mmの位置にそれぞれ1つの高透磁率
材円筒を配設した。前者のサイズは内径 100mm、長さ 2
40mm、肉厚5mmである。後者は外径70mm、肉厚 0.2mm、
透磁率 10000で、長さLmmを変えている。
【0030】超電導体円筒に対して均一な横磁場1
[G]をかけて超電導体円筒中心位置の磁界を測定し
た。図10は高透磁率材円筒の長さLと遮蔽効果との関
係を表した線図である。即ち、前述の式(3) で示した遮
蔽効果をz=120 の位置で表し、高透磁率材円筒の長さ
Lの関数としたものである。この図から、高透磁率材円
筒の長さLを長くするほど遮蔽効果が良くなっているこ
とが判る。
【0031】また、長さが30mmを越えると遮蔽効果がほ
ぼ一定になっており、それ以上長くしてもより良い遮蔽
効果は得られないことも判明した。これは超電導体円筒
内部の磁場勾配中に高透磁率材円筒を配設すると、高透
磁率材が有限の透磁率をもつため、ある長さ以上に長く
すれば磁気的に飽和し、その結果磁気誘導が生じにくく
なり、遮蔽効果が一定になると考えられる。
【0032】(積層の効果1,長手方向の積層) 図11は2つの高透磁率材円筒を超電導体円筒の長手方
向に積層配設した断面図である。即ち、両端開放のビス
マス系酸化物超電導体製円筒(BiSrCaCuO)
(以下、超電導体円筒という)の中心から80mm及び60mm
の位置にそれぞれ高透磁率材円筒を配設した断面図であ
る。超電導体円筒のサイズは内径 100mm、長さ 240mm、
肉厚5mmである。高透磁率材円筒は長さ70mm、肉厚 0.2
mm、透磁率10000である。
【0033】超電導体円筒に対して均一な横磁場1
[G]をかけて円筒軸上の磁界分布を測定した。図12
は2つの高透磁率材円筒を長手方向に積層配設した際の
超電導体円筒軸上の内部磁界分布Hi(z)を示す線図
である。尚、比較の為に実施例1のL=10mm、30mmの内
部磁界分布も示す。図12おいて、SCは高透磁率材円
筒を使用しない超電導体円筒単体の場合の内部磁界分布
Hsc(z)、□はL=10mm、●はL=30mm、×はL=
10mm×2(図11参照)を各々示している。
【0034】図12より、L=10mmより長いL=30mmの
方が遮蔽効果が良く、L=30mmと同じ位置に間隔を開け
てL=10mm×2を積層した場合が最も良い遮蔽効果が得
られた。この結果は、高透磁率材円筒の長さを長くする
より間隔をあけて分割した方が遮蔽効果がよくなること
を示している。更に、前述の実施例3の結果から長さを
長くしても遮蔽効果は一定以上良くならなかったが、長
さの短い高透磁率材円筒を間隔を開けて断面方向に積層
すると、各高透磁率材円筒が磁気的につながっていない
ために飽和せず、積層すればするほど遮蔽効果は良くな
ることが判明した。
【0035】したがって、超電導体円筒内部に、複数の
高透磁率部材円筒を筒内壁と間隔を開けて、長手方向に
間隔を開けて積層すれば、効率良くかつ安価に目的とす
る磁場が得られる。
【0036】(積層の効果2、径方向の重層) 図13は2つの高透磁率材円筒を超電導体円筒の径方向
に重層配設した断面図である。即ち、両端開放のビスマ
ス系酸化物超電導体製円筒(BiSrCaCuO)(以
下、超電導体円筒という)の中心から80mmの位置にそれ
ぞれ外径の異なる2つの高透磁率材円筒を重層したもの
を配設した。超電導体円筒のサイズは内径 100mm、長さ
240mm、肉厚5mmである。高透磁率材円筒は長さ10mm、
肉厚 0.2mm、透磁率 10000で、外径は各々80mm、60mmで
ある。
【0037】超電導体円筒に対して均一な横磁場1
[G]をかけて円筒軸上の磁界分布を測定した。図14
は2つの高透磁率材円筒を径方向に重層配設した際の超
電導体円筒軸上の内部磁界分布Hi(z)を示す線図で
ある。尚、比較のために実施例1の外径D=80mmを各々
示している。
【0038】図14おいて、SCは高透磁率材円筒を使
用しない超電導体円筒単体の場合の内部磁界分布Hsc
(z)、□はD=80mm、●はD=80mm+60mm(図13参
照)を各々示している。図14より、D=80mmより径方
向に2つの高透磁率材円筒を重層させたD=80mm+60mm
の方が良い遮蔽効果が得られた。これは従来よく使用さ
れる高透磁率材円筒の磁気シールドと同じで、均一磁場
中或いは勾配磁場中でも径方向に重層すれば遮蔽効果は
良くなることを示している。ただし、実施例1の結果よ
り、高透磁率部材円筒は超電導体円筒の内径1/5以上
の最大外径を有していなければならない。
【0039】以上の結果から、径方向に間隔をあけて高
透磁率材円筒を重層しても、効率よくかつ安価に目的と
する磁場が得られる。
【0040】[実施例]積層の効果3,長手方向及び径方向の積層) 図15は複数の高透磁率材円筒を径方向及び長手方向に
多重及び多層に配設した断面図であり、A図は2つの長
い高透磁率材円筒を径方向に多層配設した断面図(参考
例)、B図は2つ高透磁率材円筒を径方向に多層配設
したものを3組長手方向に積層配設した断面図(実施
例)、C図は径の小さい高透磁率材円筒と径の大きな高
透磁率材円筒とを交互に積層配設した断面図(実施例)
である。即ち、両端開放のビスマス系酸化物超電導体製
円筒(BiSrCSCuo)(以下、超電導体円筒とい
う)の内部に図A〜Cに示すような形状の高透磁率材円
筒を積層配設した。尚、超電導体円筒のサイズは内径1
00mm、長さ240mm、肉厚5mmである。高透磁
率材円筒の透磁率はいずれも10000である。
【0041】具体的には、超電導体円筒に対して均一な
横磁場1[G]をかけて円筒軸上の磁界分布を測定し
た。A図は長さ50mmの高透磁率材円筒を径方向に積層
したものである。B図は長さ10mmの高透磁率材円筒を径
方向及び長手方向に間隔をあけて積層配設し、高透磁率
材円筒の占める空間をA図と同じにしたものである。C
図は外径の異なる高透磁率材円筒を交互に長手方向に積
層した。この例は外径が異なる高透磁率材円筒を用いて
おり、これらは径方向にも間隔があいている。
【0042】図16は図15のA,B,C各々の高透磁
率材円筒を配設した際の超電導体円筒軸上の内部磁界分
布Hi(z)を示す線図である。図16において、SC
は高透磁率材円筒を使用しない超電導体円筒単体の場合
の内部磁界分布Hsc(z)、囗はA図、●はB図、×
はC図に示したものを示している。図から明かなよう
に、各場合とも高透磁率材円筒により進入磁界が磁気的
に短絡され、超電導体円筒単体の場合よりも到達磁界が
小さくなっていることがわかる。A図のもの囗とB図
もの●を比較すると、高透磁率材円筒の占める空間は同
じにも関わらず、長さの短い円筒を径方向と長手方向に
重層・積層配設したB図の方が非常によい遮蔽効果を示
している。
【0043】A図のものは前述の(長さの効果2,端部
近傍)で検討した結果と同様に、超電導体円筒内部の磁
場勾配のある場合において、高透磁率材が有限な透磁率
をもつため磁気的に飽和してしまい、結果として長さを
長くしても遮蔽効果はそれ以上よくならないだろうと予
測される。しかし、B図のものの場合は、短い高透磁率
材円筒を間隔を開けて積層しているために各高透磁率材
円筒間は磁気的に絶縁されており、更に長手方向にも積
層しているので、よりよい遮蔽効果が得られている。ま
た、C図は外形の異なる円筒を交互に長手方向に積層し
た例である。この場合も間隔を開けて積層したことで、
A図のものよりよい遮蔽効果を得ている(図16参
照)。この例では外形80mm×2個、60mm×3個
の高透磁率材円筒を使用しているが、(外形の効果)で
検討した結果から外形80mm×3個、60mm×2個
の高透磁率材円筒を使用した方が遮蔽効果がよくなるこ
とは容易に推測される。
【0044】前述の(外径の効果)で検討した結果と同
様に、図15の各モデルに対して、図15の両端開放超
電導体円筒の半分の長さを持つ片端開放の超電導体円筒
を使用し、開放端から同じ位置に高透磁率材円筒を配設
しても、図15の場合と全く同じ効果が得られる。
【0045】以上の結果から、超電導体円筒内部の磁場
勾配中において、超電導体円筒の内径の1/5以上の外
径を有する複数の高透磁率材円筒を長手方向と径方向に
間隔を開けて多重及び多層に配設することで、安価に効
率よく侵入磁界を減衰させ、その結果高い磁場遮蔽空間
が増し、外部磁場より極めて低い磁場を効率よく実現で
きる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
複数の筒状高透磁率部材を径方向及び長手方向に間隔を
開けて配設したので、筒状高透磁率部材を単独で用いる
場合よりも筒状のシールド体内部に侵入する磁界をさら
に減少させるものである。以上述べた形状・配設を取る
ことにより、各種円筒単独では得られない遮蔽効果が得
られ、また使用可能な低磁場空間が増加し、目的とする
磁場遮蔽空間、或いは低磁場空間を得るために要する筒
状シールド体の長さが短くて済むのでコストを軽減でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】外径Dの大きさを変更する高透磁率材円筒を配
設した断面図である。
【図2】高透磁率材円筒の外径Dを変えた時の超電導体
円筒軸上の内部磁界分布を示す線図である。
【図3】高透磁率材円筒の外径Dと遮蔽効果との関係を
表した線図である。
【図4】片端開放の超電導体円筒に高透磁率材円筒を配
設した断面図である。
【図5】両端開放の超電導体円筒にテーパ形状の高透磁
率材円筒を配設した断面図である。
【図6】長さ2Pを変更する高透磁率材円筒を配設した
断面図である。
【図7】高透磁率材円筒の長さ2Pを変えた時の超電導
体円筒軸上の内部磁界分布を示す線図である。
【図8】高透磁率材円筒の長さ2Pと内部磁界との関係
を示す線図である。
【図9】長さLを変更する高透磁率材円筒を配設した断
面図である。
【図10】高透磁率材円筒の長さLと遮蔽効果との関係
を表した線図である。
【図11】2つの高透磁率材円筒を超電導体円筒の長手
方向に積層配設した断面図である。
【図12】2つの高透磁率材円筒を長手方向に積層配設
した際の超電導体円筒軸上の内部磁界分布を示す線図で
ある。
【図13】2つの高透磁率材円筒を超電導体円筒の径方
向に重層配設した断面図である。
【図14】2つの高透磁率材円筒を径方向に重層配設し
た際の超電導体円筒軸上の内部磁界分布を示す線図であ
る。
【図15】複数の高透磁率材円筒を径方向及び長手方向
に多重及び多層に配設した断面図であり、A図は2つの
長い高透磁率材円筒を径方向に重層配設した断面図、B
図は2つ高透磁率材円筒を径方向に重層配設したものを
3組長手方向に積層配設した断面図、C図は径の小さい
高透磁率材円筒と径の大きな高透磁率材円筒とを交互に
積層配設した断面図である。
【図16】図15のA,B,C各々の高透磁率材円筒を
配設した際の超電導体円筒軸上の内部磁界分布を示す線
図である。
【図17】超電導体円筒に横磁場を印加したときの超電
導体円筒内部の侵入磁気ベクトルの模式図を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05K 9/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 臨界温度以下の冷却時に、常電導状態か
    ら超電導状態へ転移してマイスナー効果を発現する超電
    導材料からなる筒状のシールド体の内部に該筒状のシー
    ルド体の長手方向に沿った開口を有する筒状高透磁率部
    材を筒内壁と間隔を開けて複数配設した磁気シールド構
    造において、 複数の前記筒状高透磁率部材を径方向及び長手方向に間
    隔を開けて配設したことを特徴とする磁気シールド構
    造。
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