JP2003332645A - 超電導複合磁気シールド体 - Google Patents

超電導複合磁気シールド体

Info

Publication number
JP2003332645A
JP2003332645A JP2002140542A JP2002140542A JP2003332645A JP 2003332645 A JP2003332645 A JP 2003332645A JP 2002140542 A JP2002140542 A JP 2002140542A JP 2002140542 A JP2002140542 A JP 2002140542A JP 2003332645 A JP2003332645 A JP 2003332645A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
superconducting
plate
nbti
cylinder
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002140542A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroaki Otsuka
広明 大塚
Ikuo Ito
郁夫 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2002140542A priority Critical patent/JP2003332645A/ja
Publication of JP2003332645A publication Critical patent/JP2003332645A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Motor Or Generator Frames (AREA)
  • Magnetic Resonance Imaging Apparatus (AREA)
  • Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄肉の超電導多層円筒において、円筒内部に
磁場が侵入しにくい超電導磁気シールド体を提供する。 【解決手段】 超電導板に入れられたスリットで挟まれ
た部分を交互に半円形に折り曲げることによって作られ
た磁気シールド体の外側に、金属系超電導材料とIAC
S80%以上の良電気伝導性材料の複合体からなる超電
導多層板を1巻き以上、同磁気シールド体を囲むように
隣接して配置することを特徴とする超電導複合磁気シー
ルド体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、MRI(磁気共鳴
医療画像診断装置)、リニアモーターカーのほか、実験
用超電導機器・装置において使用される軽量の磁気シー
ルドに関するものであり、円筒内部に磁場が侵入しにく
い磁気シールド体を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】超電導多層板に入れたスリットで挟まれ
た部分を交互に半円形に折り曲げることによって作られ
た磁気シールド体が、特開平7−222430号公報に
記載されている。この方法によれば、円筒形状の磁気シ
ールド体を深絞り加工を行わずに提供できるため、高価
な金型が不要であり、かつ深絞り加工後の底部の切捨て
が不要であるため歩留落ちが少く、低コストの磁気シー
ルド体が期待されている。
【0003】また、少なくとも1層のNbTi合金と高
導電率金属が交互に積層され、かつ前記NbTiと前記
高導電率金属の間にNbまたはTaのバリヤー層が存在
する超電導多層板の製造方法において、温度500〜1
000℃で加工率30〜98%の熱間圧延を施した後、
加工率30〜98%で冷間圧延し、300〜450℃の
温度で1回当たりの保持時間が1〜168時間の熱処理
と1回当たりの加工率が30〜98%の冷間圧延を6回
以下交互に繰り返して施して、板状または箔状とした
後、300〜450℃の温度で保持時間が1〜1000
時間の熱処理を施し、さらに30〜90%の冷間圧延を
施すことにより臨界電流密度Jcが飛躍的に向上すると
いう技術、及び、該NbTi超電導多層板のNbTi層
中に、板面に平行に板状に析出し、かつ厚さが1nm以
上、100nm以下、板厚方向の間隔が1nm以上、5
00nm以下、NbTi合金層全体に対する体積分率が
3%以上、50%以下の常電導析出物が存在するNbT
i超電導多層板が、特開平9−310161号公報で示
されている。
【0004】この公報で示された超電導多層板のJc
(圧延方向に採取した試料でかつ、磁場を板に平行に印
加した場合)は、従来5テスラにおいて約7×108
/m2と低かったのに対し、10×108 A/m2 以上
まで向上している。ある磁束密度Bの磁場下において臨
界電流密度がJc、超電導体の厚さがdであるとき、シ
ールド可能な磁場の大きさは、おおよそμ0 ・Jc・d
で表せるため、Jcが大きいほど、また超電導体の厚さ
dが大きいほど、大きな磁場をシールドすることが出来
ることになる。したがって特開平9−310161号公
報に示された超電導多層板を深絞り加工して作った継目
なし超電導円筒では、薄肉でも大きな磁場のシールドが
期待されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
7−222430号公報に記載されている磁気シールド
円筒の磁気シールド特性は、円筒内部へ磁場が入り始め
るときの磁場の大きさが小さいこと、すなわち低い磁場
から円筒内部に磁場が入り込んでしまうという問題と、
印加磁場を増大してゆく過程で、超電導状態が一時的に
破れる現象、すなわちフラックスジャンプが頻繁に起こ
るという問題があった。
【0006】また、特開平9−310161号公報に示
された超電導多層板からなる磁気シールド円筒にも、低
い磁場から円筒内部に磁場が入り込んでしまうという問
題があった。例えば、厚さ1mmで時効熱処理した後、
0.5mmまで圧延した超電導多層板を深絞り加工する
という、同公報に示された方法により製造された円筒X
と、厚さ1mmの時効熱処理材を深絞り加工して作製し
た円筒Yの磁気シールド特性を比較した結果を図1に示
す。円筒X(図1の1)は高Jc化されているので、肉
厚が薄いにも関わらず、2.5テスラ以上の高磁場側で
はシールドできる磁場は大きいのに対し、2.5テスラ
以下の低磁場側でのシールド性能が円筒Y(図1の2)
と比較して劣っており、円筒内部への磁場が入り始める
ときの磁場の大きさが小さい。すなわちこれは、完全磁
気シールドできる磁場の大きさが小さいこと、低い磁場
から円筒内部に磁場が入り込んでしまうことを意味す
る。
【0007】本発明は、超電導多層板に入れたスリット
で挟まれた部分を交互に半円形に折り曲げることによっ
て作られた磁気シールド体や、薄肉の超電導多層円筒に
おいて、円筒内部に磁場が侵入しにくい超電導磁気シー
ルド体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の要旨とするところは、以下のとおりであ
る。 (1)第1の発明は、超電導板に入れられたスリットで
挟まれた部分を交互に半円形に折り曲げることによって
作られた磁気シールド体の外側に、金属系超電導材料と
IACS80%以上の良電気伝導性材料の複合体からな
る超電導多層板を1巻き以上、同磁気シールド体を囲む
ように隣接して配置することを特徴とする超電導複合磁
気シールド体である。 (2)第2の発明は、前記超電導板が、Nb層またはT
a層を介してNbTi合金層とIACS80%以上の良
電気伝導性材料からなる常電導金属層が交互に2以上積
層した構造を有するNbTi超電導多層板であって、該
NbTi超電導多層板のNbTi層中に、板面に平行に
板状に析出し、かつ厚さが1nm以上、100nm以
下、板厚方向の間隔が1nm以上、500nm以下、N
bTi合金層全体に対する体積分率が3%以上、50%
以下の常電導析出物が存在するNbTi超電導多層板か
らなることを特徴とする、前記(1)に記載の超電導複
合磁気シールド体である。 (3)第3の発明は、Nb層またはTa層を介してNb
Ti合金層とIACS80%以上の良電気伝導性材料か
らなる常電導金属層が交互に2層以上積層した構造を有
するNbTi超電導多層板であって、該NbTi超電導
多層板のNbTi層中に、板面に平行に板状に析出し、
かつ厚さが1nm以上、100nm以下、板厚方向の間
隔が1nm以上、500nm以下、NbTi合金層全体
に対する体積分率が3%以上、50%以下の常電導析出
物が存在するNbTi超電導多層板から作製した継目な
し超電導多層管の外側に、金属系超電導材料とIACS80
%以上の良電気伝導性材料の複合体からなる超電導多層
板を、前記超電導多層管を囲むように隣接して配置する
ことを特徴とする超電導複合磁気シールド体である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に発明の詳細を説明する。図
2(a)に示すように,超電導多層板aに端部bを残し
てスリットcを入れ、スリットcで挟まれた帯体部分d
を、図2(b)に示すように交互に半円形に折り曲げる
ことによって作られた磁気シールド体3は、平板から円
筒形状の磁気シールド体が作製できる画期的方法である
が、スリットの部分に超電導電流が流れないため、円筒
端部付近の角度を持った磁場に対しては、十分な磁気シ
ールドができず、内部への磁場の侵入が起こりやすく、
かつ超電導状態が一時的に破れるフラックスジャンプ現
象が起こりやすい。これは、本超電導多層板において、
印加磁場が板に平行な場合にはJcが高いが、板に垂直
な場合にはJcが低いことと関係する。
【0010】図3に示すように、軸に平行に印加された
磁場中4に継目なしの超電導円筒5をおいた場合、超電
導円筒には周方向にシールド電流6が流れ、円筒端部付
近の磁場は、図3中に示すように超電導円筒5を避ける
ため、円筒に対して平行ではなく角度を持って円筒内に
入射する(第2種超伝導体であるため磁場は超伝導体に
侵入する)。超電導多層板はこの角度を持った磁場に対
してはJcが低いため、円筒端部における磁気シールド
性能が若干低下し、比較的小さい磁場でも円筒に侵入し
始めるのである。
【0011】ここで、図4に示すように、本磁気シール
ド体3の外側に、金属系超電導材料と導電率(IAC
S)80%以上の良電気伝導性材料の複合体からなる超
電導多層板7を1巻き以上、同磁気シールド体3を囲む
ように隣接して配置すると、円筒端部付近の角度を持っ
た磁場の垂直成分がシールドされ、平行成分は円筒形状
の磁気シールド体にシールドされるため、内部へ磁場が
侵入しにくい磁気シールド体を得ることができる。磁気
シールド体3または5の外側に超電導多層板7を巻くよ
うに配置すると、図5に示すように、超電導多層板7に
は超電導電流8が流れるため、板に対して角度を持った
磁場の垂直成分がシールドされる。その結果、内部に磁
場が侵入しにくく、かつフラックスジャンプ現象が起こ
りにくい複合磁気シールド体が得られる。
【0012】磁気シールド体の外側に巻きつける超電導
多層板の超電導材料は、十分な可撓性が必要なためNb
Ti,NbTa,NbHf,NbZr等の金属系超電導
材料が適している。中でも、NbTi合金が汎用の超電
導材料として一般的に入手し易いため、工業用材料とし
て使用するには最も適している。超電導材料と良電気伝
導性材料の複合体とするのは、超電導安定性を高めるた
めであり、超電導状態を破れにくくするためである。両
者の複合体としないと、部分的に破れた超電導が復帰で
きないのに対して、複合体にすると、超電導が部分的に
破れても、電流が一時的に良電気伝導性材料を流れてい
る間に、超電導状態に復帰することが可能となる。
【0013】良電気伝導性材料がIACS80%以上と
したのは、それ未満であると十分な超電導安定性が得ら
れず、フラックスジャンプ現象を誘発してしまうためで
ある。良電気伝導性材料としては、銅や銅合金、アルミ
やアルミ合金、銀や銀合金などが適している。NbTi
と良電気伝導性材料を積層する場合、製造工程で熱を加
えたときにNbTi中のTiが拡散して良電気伝導性材
料層と金属間化合物を作り、加工性に影響を与えるのを
防ぐため、Nb層またはTa層を介してNbTi合金層
と良電気伝導性材料からなる常電導金属層が交互に積層
する。
【0014】超電導安定性(超電導が破れにくいこと)
を高めるためには、超電導材料と高導電金属層の複合化
が必要なため、2層以上の積層が必要であるが、層数と
してはあまり多くすると1層の層厚が薄くなり均一な加
工が難しくなるため、実際的には100層以下程度が好
ましい。1巻き以上としたのは、1巻き未満では、継目
なし超電導多層管が露出し、シールド電流が低下してし
まうためである。1巻き以上あれば効果はあるが、超電
導多層管の径に対する長さの比が小さい場合などは、巻
き数を多くすることによって、多層管の軸に垂直な磁場
成分のシールドをより十分にすることができる。また、
継目なし超電導多層管の外側に配置する超電導多層板の
位置は、全体を覆うようにするだけでも効果があるが、
継目なし超電導円筒の端部よりも出っ張っている方が、
円筒端部付近の磁場を平行にする効果は高い。
【0015】Nb層またはTa層を介してNbTi合金
層とIACS80%以上の良電気伝導性材料からなる常
電導金属層が交互に2層以上積層した構造を有するNb
Ti超電導多層板であって、該NbTi超電導多層板の
NbTi層中に、板面に平行に板状に析出し、かつ厚さ
が1nm以上、100nm以下、板厚方向の間隔が1n
m以上、500nm以下、NbTi合金層全体に対する
体積分率が3%以上、50%以下の常電導析出物が存在
するNbTi超電導多層板は、特開平9−310161
号公報に記載されているように、印加磁場が板に平行な
磁場に対するピン止め効率が高く、臨界電流密度Jcが
高い。
【0016】しかし、印加磁場が板に垂直な場合のJc
は逆に低下してしまう。したがって、本多層板を深絞り
加工した継目なし多層管は、先に述べたのと同じ理由
で、円筒内部に磁場が侵入し易いという問題が生じるの
である。ここで継目なし多層管の外側に、金属系超電導
材料とIACS80%以上の良電気伝導性材料の複合体
からなる超電導多層板を、同多層管を囲むように隣接し
て配置すると、多層管端部付近の軸に対して角度を有す
る磁場の垂直成分がシールドされて、継目なし多層管内
部へ磁場が侵入しにくくなる。このとき、継目なし超電
導円筒の外側に配置する超電導多層板の位置は、全体を
覆うようにするだけでも効果があるが、継目なし超電導
円筒の端部よりも出っ張っている方が、円筒端部付近の
磁場を平行にする効果は高い。また、継目なし超電導円
筒全体を覆わなくても円筒端部付近に配置するだけでも
効果がある。
【0017】継目なし多層管を構成する超電導多層板に
おいて、常電導析出物の厚さを1nm以上としたのは、
これより小さいとNbTiの超電導と常電導界面の領域
の大きさよりも小さくなるためであり、常電導析出物の
厚さを100nm以下としたのは、これより大きいと磁
束量子の間隔より大きくなり常電導析出物中に磁束量子
が何本も入って十分なピン止めが成されないためであ
る。常電導析出物同士の間隔を1nm以上としたのは、
これより小さいと磁束量子の間隔にピン止めに寄与しな
い常電導析出物が多く存在することになって、非効率で
あるためであり、常電導析出物同士の間隔を500nm
以下としたのは、これ以上離れるとピン止めされない磁
束量子の数が多くなりすぎるためである。常電導析出物
のNbTi層中の体積分率を3%以上としたのは、これ
よりも小さいと磁束量子を十分ピン止めできないためで
あり、50%以下としたのは、これよりも大きいと超電
導の断面積が小さくなって、臨界電流密度が上昇しても
意味がなくなるからである。
【0018】図2に示すような、超電導板に設けたスリ
ットで挟まれた部分を交互に半円形に折り曲げてなる磁
気シールド体を構成する材料としては、薄くてJcが高
いものが加工性の観点から適している。この点で、Nb
層またはTa層を介してNbTi合金層とIACS80
%以上の良電気伝導性材料からなる常電導金属層が交互
に2層以上積層した構造を有するNbTi超電導多層板
であって、該NbTi超電導多層板のNbTi層中に、
板面に平行に板状に析出し、かつ厚さが1nm以上、1
00nm以下、板圧方向の間隔が1nm以上、500n
m以下、NbTi合金層全体に対する体積分率が3%以
上、50%以下の常電導析出物が存在するNbTi超電
導多層板は、その材料として適している。
【0019】以上の場合において、継目なし超電導円筒
に巻きつける超電導多層板は、垂直成分の磁場をシール
ドする電流のループを小さくするため複数の小孔を開け
たり、網目状の加工を施しても差し支えない。
【0020】
【実施例】[実施例1]側面厚さ20mmの無酸素銅製
の箱に、厚さ50μmのNbを介して厚さ1.0mmの
NbTi30枚と厚さ1.0mmの無酸素銅を29枚積
層し、厚さ10mmの無酸素銅で蓋をして真空中で電子
ビーム溶接して封止した。封止した銅の箱を830℃で
1時間加熱した直後に40mmの厚さまで圧延した。次
に本材料を370℃4時間で窒素ガス雰囲気中において
熱処理を行った後、厚さ20mmまで冷間圧延した。次
に本材を厚さ10mm、5mmと冷間圧延して行く途中
で370℃4時間の軟化熱処理を施し、さらに厚さ5m
mから1mmまで冷間圧延した。この厚さ1mmの冷間
圧延後の多層板を便宜上多層板Aとする。
【0021】多層板Aに340℃で700時間の時効熱
処理を施した後、冷間圧延を施し厚さ0.5mmとし
た。本多層板を多層板Bと呼ぶ。多層板Bの圧延方向断
面から見たNbTi層中には、平均厚さ35nm、平均
間隔100nm、体積分率10%の常電導Ti析出物が
あった。多層板Bを深絞り加工し、内径25mm、高さ
50mmの継目なし多層円筒Bcyl を作製した。
【0022】一方、多層板Aをさらに厚さ0.2mmま
で冷間圧延し、340℃700時間の時効熱処理を施し
た。本多層板を多層板Cと呼ぶ。多層板Cから幅70m
m、長さ200mmの長方形の板を切り取り、これを幅
方向の中央が円筒の長手方向の中央部と一致するように
継目なし多層円筒Bcyl の外側に巻きつけてカプトンテ
ープで留めて配置した。本複合円筒を円筒Dcyl と呼
ぶ。超電導複合円筒Dcyl を液体ヘリウムに浸漬し、超
電導複合円筒軸上中心部にホール素子を置いて、円筒軸
に平行な磁場を印加し、円筒内部に侵入した磁場を計測
した。その結果を図6に示す。
【0023】図6は、印加磁場Bex対してシールドでき
た磁場の大きさΔBshをプロットしたものである。図中
の直線9は、印加磁場とシールド磁場が等しいことを示
す完全シールドのラインである。比較例の継目なし多層
円筒Bcyl 単独では、シールド磁場は0.7テスラ付近
で完全シールドラインから離れるが、本発明の超電導複
合円筒Dcyl では、約0.9テスラまでほぼ完全シール
ドできている。5テスラまでの磁場範囲において円筒D
cyl での方が良好な磁気シールドを示しており、磁場が
侵入しにくく高磁場側でもシールド磁場の大きい磁気シ
ールド体が得られた。
【0024】[実施例2]実施例1で作製した継目なし
多層円筒Bcyl の円筒上端部および下端部に、実施例1
で作製した超電導多層板C(幅20mm、長さ200m
m)を円筒Bcylに幅方向の半分が掛かるように巻きつ
けて、カプトンテープで留めて配置した。本超電導複合
円筒をEcyl と呼ぶ。超電導複合円筒Ecyl を液体ヘリ
ウムに浸漬し、超電導複合円筒軸上中心部にホール素子
を置いて、円筒軸に平行な磁場を印加し、円筒内部に侵
入した磁場を計測した。
【0025】その結果を実施例1の結果と共に図6に示
す。超電導複合円筒Ecyl のシールド磁場は、超電導複
合円筒Dcyl のシールド磁場とほぼ同等であり、約0.
9テスラまでほぼ完全シールドでき、磁場が侵入しにく
く高磁場側でもシールド磁場の大きい磁気シールド体が
得られた。実施例2では、継目なし超電導円筒に巻きつ
ける多層板Cを分割したが、分割するかどうかは材料費
と巻きつけ作業の手間等を勘案して適宜選択すればよ
い。
【0026】[実施例3]実施例1で作製した超電導多
層板B(厚さ0.5mm×幅54mm×長さ50mm)
に、幅方向に6.25mm間隔で長さ40mmのスリッ
トを7本入れ、スリットで挟まれた部分を交互に半円形
に折り曲げて、内径約25mmの円筒状磁気シールド体
を作製した。本円筒を円筒Fcyl と呼ぶ。円筒Fcyl
耳の部分を円筒に沿うように折り曲げた後、実施例1で
作製した超電導多層板C(幅70mm長さ200mm)
を円筒Fcyl にの高さの中央部と多層板Cの幅方向中央
部が一致するように巻きつけて、カプトンテープで留め
て配置した。本超電導複合円筒をGcyl と呼ぶ。
【0027】超電導複合円筒Gcyl を液体ヘリウムに浸
漬し、超電導複合円筒軸上中心部にホール素子を置い
て、円筒軸に平行な磁場を印加し、円筒内部に侵入した
磁場を計測した。比較例として、円筒Fcyl 単独の場合
も同様に計測した。その結果を図7に示す。図7は、印
加磁場Bexに対してシールドできた磁場の大きさΔBsh
をプロットしたものである。図の直線9は、印加磁場と
シールド磁場が等しいことを示す完全シールドのライン
である。比較例の円筒Fcyl では、シールド磁場は約
0.3テスラ付近で完全シールドラインから離れるが、
本発明の超電導複合円筒Gcyl では、約0.45テスラ
までほぼ完全シールドできている。5テスラまでの磁場
範囲において超電導複合円筒Gcyl の磁気シールドの方
が大きく、磁場が侵入しにくく高磁場側でもシールド磁
場の大きい磁気シールド体が得られた。
【0028】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によって、薄
肉の超電導多層円筒において、円筒内部に侵入し始める
ときの磁場の大きさが大きい、すなわち円筒に磁場が侵
入しにくい超電導磁気シールド体を提供することが可能
となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】円筒XとYの磁気シールド曲線を示す。
【図2】スリットで挟まれた部分を交互に半円形に折り
曲げることによって作られた磁気シールド体の模式図で
あり、(a)はスリットを入れた超電導多層板、(b)
は筒状磁気シールド体を示す。
【図3】継目なし超電導円筒による磁気シールドを示す
模式図。
【図4】スリットで挟まれた部分を交互に半円形に折り
曲げることによって成形した磁気シールド体に、超電導
板を巻きつけて配置した磁気シールド体の模式図。
【図5】継目なし超電導円筒に超電導板を巻きつけて配
置した磁気シールド体と、巻きつけた超電導板の展開図
を示す模式図。
【図6】実施例1,2のシールド磁場測定結果を示すグ
ラフ。
【図7】実施例3のシールド磁場測定結果を示すグラ
フ。
【符号の説明】
1:最終時効熱処理後圧延を施した超電導多層板から作
製した厚さ0.5mmの円筒Xの磁気シールド曲線 2:最終時効熱処理ままの超電導多層板から作製した厚
さ1mmの円筒Yの磁気シールド曲線 3:超電導多層板に入れられたスリットで挟まれた部分
を交互に半円形に折り曲げることによって作られた磁気
シールド体 4:磁束線 5:継目なし超電導円筒 6:継目なし超電導円筒5に流れるシールド電流 7:超電導材料と良電気伝導性材料の両者の複合体から
なる超電導多層板 8:7に流れるシールド電流 9:完全シールドライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C096 AB48 AD08 CA38 4M113 AD45 BA29 BA30 CA19 CA42 5H605 AA11 BB05 CC01 CC03 EA02 EA06 FF03 GG21

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超電導板に入れられたスリットで挟まれ
    た部分を交互に半円形に折り曲げることによって作られ
    た磁気シールド体の外側に、金属系超電導材料とIAC
    S80%以上の良電気伝導性材料の複合体からなる超電
    導多層板を1巻き以上、同磁気シールド体を囲むように
    隣接して配置することを特徴とする超電導複合磁気シー
    ルド体。
  2. 【請求項2】 前記超電導板が、Nb層またはTa層を
    介してNbTi合金層とIACS80%以上の良電気伝
    導性材料からなる常電導金属層が交互に2層以上積層し
    た構造を有するNbTi超電導多層板であって、該Nb
    Ti超電導多層板のNbTi層中に、板面に平行に板状
    に析出し、かつ厚さが1nm以上、100nm以下、板
    厚方向の間隔が1nm以上、500nm以下、NbTi
    合金層全体に対する体積分率が3%以上、50%以下の
    常電導析出物が存在するNbTi超電導多層板からなる
    ことを特徴とする、請求項1に記載の超電導複合磁気シ
    ールド体。
  3. 【請求項3】 Nb層またはTa層を介してNbTi合
    金層とIACS80%以上の良電気伝導性材料からなる
    常電導金属層が交互に2層以上積層した構造を有するN
    bTi超電導多層板であって、該NbTi超電導多層板
    のNbTi層中に、板面に平行に板状に析出し、かつ厚
    さが1nm以上、100nm以下、板厚方向の間隔が1
    nm以上、500nm以下、NbTi合金層全体に対す
    る体積分率が3%以上、50%以下の常電導析出物が存
    在するNbTi超電導多層板から作製した継目なし超電
    導多層管の外側に、金属系超電導材料とIACS80%
    以上の良電気伝導性材料の複合体からなる超電導多層板
    を、前記超電導多層管を囲むように隣接して配置するこ
    とを特徴とする超電導複合磁気シールド体。
JP2002140542A 2002-05-15 2002-05-15 超電導複合磁気シールド体 Withdrawn JP2003332645A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002140542A JP2003332645A (ja) 2002-05-15 2002-05-15 超電導複合磁気シールド体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002140542A JP2003332645A (ja) 2002-05-15 2002-05-15 超電導複合磁気シールド体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003332645A true JP2003332645A (ja) 2003-11-21

Family

ID=29701400

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002140542A Withdrawn JP2003332645A (ja) 2002-05-15 2002-05-15 超電導複合磁気シールド体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003332645A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104640426A (zh) * 2014-12-03 2015-05-20 北京原力辰超导技术有限公司 磁屏蔽装置
JP2015532526A (ja) * 2012-10-02 2015-11-09 シーメンス アクチエンゲゼルシヤフトSiemens Aktiengesellschaft 超電導コイル装置とその製造方法
KR101985358B1 (ko) * 2018-02-19 2019-06-05 케이. 에이. 티. (주) 초전도 마그네틱 쉴드 제조방법

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015532526A (ja) * 2012-10-02 2015-11-09 シーメンス アクチエンゲゼルシヤフトSiemens Aktiengesellschaft 超電導コイル装置とその製造方法
CN104640426A (zh) * 2014-12-03 2015-05-20 北京原力辰超导技术有限公司 磁屏蔽装置
KR101985358B1 (ko) * 2018-02-19 2019-06-05 케이. 에이. 티. (주) 초전도 마그네틱 쉴드 제조방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4697128B2 (ja) 超電導コイル
EP2357656B1 (en) Method for producing a metal laminated substrate for an oxide superconducting wire, and oxide superconducting wire using the substrate
JP6725001B2 (ja) 超電導線材および超電導コイル
US10186651B2 (en) Oxide superconducting wire and method of manufacturing oxide superconducting wire
CN107077927B (zh) 氧化物超导线材、超导设备及氧化物超导线材的制造方法
US6711421B2 (en) Structural reinforced superconducting ceramic tape and method of making
EP2099080A1 (en) Nb3Sn superconducting wire manufactured by internal Sn process and precursor for manufacturing the same
JP6667543B2 (ja) 超電導線材の接続構造
US10332656B2 (en) Oxide superconducting wire
EP2806430A1 (en) Superconducting current lead, superconducting current lead device, and superconducting magnet device
JP2007305386A (ja) 超電導線材、超電導導体、超電導機器、超電導線材の製造方法、および超電導導体の製造方法
KR20210061902A (ko) 초전도 층의 박리 방법 및 그의 박리 장치
JP2003332645A (ja) 超電導複合磁気シールド体
JP4602237B2 (ja) 高性能MgB2超電導線及び製造方法
JP2009117202A (ja) 超電導テープ、超電導テープの製造方法、コイル、およびマグネット
JP5753517B2 (ja) ニオブ3スズ超電導多芯線材の前駆体線材およびそれを用いたニオブ3スズ超電導多芯線材
JP5081002B2 (ja) Nmr用アンテナコイル、それに使用する低磁性超電導線材とその製造方法並びに磁化率調整方法、及びnmrシステム
JP2010097902A (ja) Nb3Sn超電導線材製造用前駆体およびNb3Sn超電導線材
JP2007294375A (ja) Nb3Sn超電導線材製造用前駆体およびその製造方法並びにNb3Sn超電導線材
JP2013097889A (ja) 酸化物超電導導体用安定化層の製造方法及び製造装置と酸化物超電導導体
JP3544781B2 (ja) Nb−Ti系超電導多層板の製造方法
JPH07312127A (ja) 超電導線材の製造方法
JP6058577B2 (ja) 高温超電導線材および高温超電導コイル
JP2011076821A (ja) 二ホウ化マグネシウム線、及びその製造方法
WO2021006239A1 (ja) 酸化物超電導線材、酸化物超電導コイル、酸化物超電導線材の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050802