JP2823597B2 - 長手方向に染着差を有するワーキングウェア用制電性仮撚加工糸およびその製造方法 - Google Patents

長手方向に染着差を有するワーキングウェア用制電性仮撚加工糸およびその製造方法

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JP2823597B2 JP1203447A JP20344789A JP2823597B2 JP 2823597 B2 JP2823597 B2 JP 2823597B2 JP 1203447 A JP1203447 A JP 1203447A JP 20344789 A JP20344789 A JP 20344789A JP 2823597 B2 JP2823597 B2 JP 2823597B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は繊維の長手方向に染着差および仮撚捲縮を有
し織編物とした場合にむら感とスパンライクな風合いを
有する織編物を作ることができるワーキングウェア用制
電性ポリエステル仮撚加工糸およびその製造方法に関す
る。
[従来の技術] 従来、長手方向に染着能力差を有するポリエステル加
工糸としては、シック&シン糸を仮撚加工したものが特
公昭58−43493号公報および特公昭59−20003号公報に開
示されている。これらの従来技術では、通常のポリエス
テルポリマーを用いて得られた未延伸糸をむら延伸し、
長手方向に配向むらを付与し染着差を有する繊維とした
後、仮撚加工することにより、織編物とした際には霜降
り調のむら感を有する織編物ができることを教示し、広
く利用されている。
しかしながら、ポリエステル繊維は静電気が帯電しや
すく衣料用繊維として用いた場合には、ほこりを吸着し
汚れ易く、身体にまつわりつく等の不快感があり、また
電子関連産業や通信関連産業では作業者の着衣の静電気
放電が電気的なノイズとなり、機器類の誤作動や思いが
けない事故の原因となることがある。従ってこのような
職場では従来のポリエステル繊維製品は使用できなかっ
た。
一方、制電性ポリエステル繊維に関しては、特開昭55
−1337号公報、特開昭55−158330号公報、特開昭61−28
016号公報に記載されているように芯または中間層成分
に制電性を含むポリマーを配し、鞘成分に通常のポリエ
ステルポリマーを配する方法が紹介されているが、従来
の制電性ポリエステル繊維はストレートで均一な繊維で
あり、織編物とした場合にソフト感、ふくらみ感、暖か
味、反発感等の風合い面で著しく劣るものであり、他の
繊維と混用して使用する場合はともかくとして、100%
該制電性ポリエステル繊維使いの織編物は極めて特殊な
分野以外では使用されていない。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は、上記従来の課題を解消せんとするも
のであり、衣料用素材として着用した際に、静電気の発
生がなく、電子関連や通信関連産業で働く作業者の着衣
としても十分に使用可能な制電性能レベルである電気比
抵抗値が1000×108Ω・cm以下を有するとともに、快適
な高級衣料素材に不可欠な特性であるソフト感、ふくら
み感、暖か味、反発感に優れた風合いを有する織編物を
作ることができるワーキングウェア用制電性ポリエステ
ル仮撚加工糸およびその製造方法を提供せんとするもの
である。
[課題を解決するための手段] 前記した本発明の目的は、二重芯鞘複合繊維の鞘成分
を通常のポリエステルポリマーとし、芯成分は有機スル
ホン酸の金属塩を2.0〜15.0重量%含むポリアミド系ポ
リマーを2.0〜20.0重量%分散した制電性ポリエステル
ポリマーとし、かつ該制電性ポリエステルポリマー中の
ポリアミド系ポリマーの繊維全体に占める比率が0.5〜
5.0重量%としたマルチフイラメントからなる仮撚加工
糸であって、該マルチフィラメントを構成する個々のフ
ィラメントが10cm以下の濃染部をランダムに5ケ/m以上
有し、電気比抵抗値が1000×108Ω・cm以下、沸水収縮
率が4〜16%、捲縮伸長率が15〜45%であることを特徴
とする長手方向に染着差を有するワーキングウェア用制
電性仮撚加工糸によって達成することができる。
以下、図によってを具体的に説明する。
第1図は、本発明における二重芯鞘複合繊維の1例を
示す横断面図である。1は芯鞘複合繊維の鞘成分、2は
芯成分を示したものである。
本発明において、二重芯鞘複合繊維の鞘成分に通常の
ポリエステルポリマーを配し、芯成分に制電性ポリエス
テルポリマーを配するのは、該制電性ポリエステルポリ
マーが製糸工程の熱処理で変質するのを防止するととも
に、制電性ポリエステルポリマーの曳糸性低下を鞘成分
でカバーするためである。芯成分となるポリエステルポ
リマー中に分散させる制電ポリマーとしては、ポリエス
テルポリマーとの相溶性が良いものは、ポリエステルポ
リマー中に均一分散してしまい、制電性をほとんど発揮
しなくなる。
そのため、ポリエステルポリマーとの相溶性の悪いポ
リマー系が望ましい。特にポリアミド系ポリマーが最も
良好な制電性を示すのは、ポリエステルポリマー中で、
制電ポリマーであるポリアミド系ポリマーが筋状にかた
まって分散し、発生する静電気が放電しやすい構造を形
成するためと考えられる。
制電性ポリアミド系ポリマー中に含まれる有機制電剤
としては有機スルホン酸の金属塩で例えばドデシルベン
ゼンスルホン酸ソーダ、ドデシルスルホン酸ソーダ、ア
ルキルスルホン酸ソーダ等を好ましく用いることができ
る。制電性ポルエステルポリマー中に含まれる有機スル
ホン酸の金属塩の含有率が2.0重量%未満では制電効果
が不十分であり、15.0重量%を越えると製糸性低下の問
題が顕在化するため2.0〜15.0重量%の範囲でなければ
ならず、更に望ましくは3.0〜10.0重量%である。また
該制電性ポリアミド系ポリマーをポリエステルポリマー
中に分散させる量は、2.0重量%未満では制電性効果が
不十分であり、20.0重量%以上では製糸性が急激に低下
するため、2.0〜20.0重量%の範囲でなければならず、
更に望ましくは5.0〜15.0重量%である。更には、繊維
全体に占めるポリアミド系ポリマーの比率は、0.5重量
%未満では制電性効果が不十分であり、5.0重量%を越
えると製糸性低下の問題が顕在化するため、0.5〜5.0重
量%の範囲でなければならない。
制電性能面からかかる特徴とともに、快適な高級衣料
用素材として不可欠な特性であるソフト感、ふくらみ
感、暖か味、反発感等の良好な風合い特性を発現するた
めには、該マルチフィラメントに自然なむら感と織編物
になした際に織編物の組織中で、フィラメントが崇高化
し、ふくらみ感と適度な張り腰感を発現できることが重
要である。そのためにはフィラメント中に収縮率や捲縮
数の異なる部分をランダムに有することが必要である。
本発明の仮撚加工糸の濃染される部分は濃染されない部
分とは収縮率および捲縮数が異なるため、織編物でソフ
ト感やふくらみ感とともに適度な張り腰感や反発感を発
現できるのである。
本発明の目的とする仮撚加工糸は、濃染部の長さが10
cmを越えると織編物になした際に濃染部が筋状に目立ち
高級感の少ないものとなるため、濃染部の長さは10cm以
下でなければならず、望ましくは5cm以下が好ましく、
また発生頻度が5ケ/m未満では十分な風合い発現が困難
なため、5ケ/m以上、望ましくは10ケ/m以上でなければ
ならない。
また、本発明における仮撚加工糸を織編物となした際
に、本発明の目的とする良好な風合い出しを可能とする
ために、沸水収縮率と捲縮伸長率をコントロールするこ
とが重要である。沸水収縮率が4%未満では織編物で十
分なふくらみ感の発現がむずかしく、16%を越えると逆
に織編物の風合いが硬くなるため、沸水収縮率は4〜16
%の範囲でなければならない。
本発明において、捲縮伸長率が15%未満では織編物と
なした際のソフト感や、ふくらみ感の少ないものとな
り、45%を越えるとふかつき感が強く、反発感に欠けた
風合いになるため捲縮伸長率は15〜45%の範囲でなけれ
ばならない。望ましくは20〜40%である。
ここで、本発明の長手方向に染着差を有するワーキン
グウェア用制電性ポリエステル仮撚加工糸の製造につい
て説明する。
すなわち、本発明の長手方向に染着差を有するワーキ
ングウェア用制電性仮撚加工糸は、二重芯鞘複合繊維の
鞘成分に通常のポリエステルポリマーを配し、芯成分に
有機スルホン酸の金属塩を2.0〜15.0重量%含むポリア
ミド系ポリマーを2.0〜20.0重量%分散した制電性ポリ
エステルポリマーとし、かつ該制電性ポリエステルポリ
マー中のポリアミド系ポリマーの繊維全体に占める比率
を0.5〜5.0重量%とした配向度(Δn)が0.018〜0.045
である未延伸糸を、60〜88℃の温度で予熱しながら、該
未延伸糸の自然延伸比の0.80〜1.10倍の延伸倍率で延伸
した後、延伸工程から分離独立した仮撚加工工程で、下
記IおよびII式を満足する条件で仮撚加工することによ
って製造することができる。
まず、図をもって具体的に説明する。
第2A図は本発明における延伸工程、第2B図は仮撚加工
工程の1例を示す概略図である。
第2A図において、3は未延伸糸ドラム、4は未延伸糸
条、5は第1フィードローラ、6は延伸ピン、7は第2
フィードローラ、8は延伸糸パーン、第2B図において、
9は第1フィードローラ、10は仮撚熱板、11は摩擦仮撚
ディスク、12は第2フィードローラ、13はエアー交絡ノ
ズル、14は第3フィードローラ、15はドライブローラ、
16は仮撚加工糸チーズである。
未延伸糸ドラム3から引出された未延伸糸条4は第1
フィードローア5で給糸され、60〜88℃に加熱された延
伸ピン6に1回巻付けて予熱しながら延伸ピン6上で張
力勾配をつけつつ、第1フィードローラ5と第2フィー
ドローラ7の周速差によって規定の倍率に延伸、所定の
太細糸を得る。この太細糸を仮撚加工工程へ第1フィー
ドローラ9で供給し、150〜220℃に加熱された仮撚熱板
10で熱処理しながら摩擦仮撚ディスク11によって規定の
撚数で仮撚加工し、第2図フィードローラ12からエアー
交絡ノズル13へ給糸し、第3フィードローラ14を経て、
ドライブローラ15により、仮撚加工糸チーズ16に巻き上
げる。
第1フィードローラ9と第2フィードローラ12の仮撚
ゾーンは、加工性および加工糸の品質の安定性の点から
各ローラの周速差により、−10%〜+15%のストレッチ
が望ましく、第2フィードローラ12と第3フィードロー
ラ14のエヤー交絡ゾーンは、糸条の交絡安定性の点から
0〜5%のオーバーフィードが望ましい。エヤー交絡ノ
ズル13の圧空圧力は、糸条の交絡目標レベルに応じて自
由に設定できるが、1.5〜8kg/cm2・Gの範囲がより好ま
しく使用できる。
本発明における二重芯鞘複合繊維を形成するポリマ成
分については前記したとおりである。
本発明において、未延伸糸の配向度(Δn)は0.018
〜0.0045の範囲でなければならない。配向度(Δn)が
0.018未満の場合は、仮撚工程での糸切れが多発し、他
方、0.045以上では濃染される部分と濃染されない部分
との収縮差、および捲縮数の差が小さくなり、織編物に
した際の風合い面でソフト感やふくらみ感や適度な張り
腰感と反発感が不足する。したがって、未延伸糸の配向
度(Δn)は0.018〜0.045の範囲でなければならない。
本発明において、延伸時の予熱温度を60〜88℃の範囲
としなければならない。延伸時の予熱温度が60℃未満で
は濃染される部分の長さが長くなり、10cmを越えたもの
が含まれるようになるとともに、マルチフィラメントを
構成する個々のフィラメント間に発現する濃染される部
分のランダム性が低下し、マルチフィラメント全体にか
たまって発生する欠点がある。他方、88℃を越えると残
留未延伸糸部がほとんど存在しなくなる。そのため、延
伸時の予熱温度は60〜88℃の範囲でなければならず、望
ましくは70〜85℃である。
ここで、本発明でいう自然延伸比について述べる。
第3図は、未延伸糸を引張試験機を用いて、破断点ま
で引張った場合の張力−伸度曲線、いわゆるS−S曲線
の1例を示したチャート図であり、17は張力−伸度曲
線、A点は自然延伸比に対応する倍率を示したものであ
る。
また本発明において、延伸倍率は未延伸糸の自然延伸
比の0.80〜1.10倍の範囲としなければならない。更に望
ましくは0.85〜1.05倍である。延伸倍率が未延伸糸の自
然延伸比の0.80倍未満では、濃染される部分の比率が高
すぎ、得られる織編物も濃淡のコントラストが強すぎて
上品な高級感が出にくくなる。また、1.10倍以上では濃
染される部分の比率が急速に減少し、本発明の目的とす
る糸条が得られなくなる。そのため、延伸倍率は未延伸
糸の自然延伸比の0.80〜1.10倍の範囲でなければならな
い。
さらに本発明においては、仮撚加工工程では、制電性
能を損なうことなく織編物となした際に、目的とする風
合い良好な仮撚加工糸を得るために、特に仮撚加撚数
(T)と加工糸デニール(D)および仮撚熱板温度
(F)との関係を とすることが重要である。
(仮撚係数)が18000未満では得られた加工糸の捲縮伸
長率が15%を下回るようになり、35000を越えると仮撚
加工時の糸切れが増加するとともに、得られた加工糸の
捲縮伸長率が45%を上回るようになり、制電性も低下す
るため、 は18000〜35000の範囲でなければならず、更に望ましく
は22000〜33000である。
仮撚熱板温度(F)が150℃未満では、仮撚加工糸が
不安定で加工時の糸切れが発生しやすく、得られた加工
糸の捲縮伸長率も低く、更には残留トルクの大きい糸条
となり製織編工程での糸切れも発生しやすい。一方、22
0℃を越えると得られた加工糸の制電性能が著しく低下
したものとなるため、仮撚熱板温度は150〜220℃の範囲
でなければならない。更に望ましくは160〜215℃であ
る。
本発明における二重芯鞘複合繊維の断面形状は、同心
円状、偏芯円状、三葉断面の芯鞘相似形または芯円形、
五から八葉断面の芯鞘相似形または芯円形でもよい。ま
た本発明の長手方向に染着差を有する制電性仮撚加工糸
は、無撚または撚数100〜3000回/mの範囲で必要に応じ
て撚糸して織物のタテ糸またはヨコ糸またはタテ糸およ
びヨコ糸の一部または全部に使用することが可能であ
る。
また、ソフト感やドレープ性を高める目的で、最高25
%までの範囲でアルカリ減量加工を施すことが可能であ
り、編物の1部または全部に使用して同様の目的でアル
カリ減量加工を施すことができる。そして、他の繊維と
20%以上の範囲でエヤー交絡混繊または撚糸時に合撚し
て使用することができる。
[実施例] 以下、本発明を実施例により更に詳しく説明する。
なお、実施例中の物性は次のように測定した。
A.電気比抵抗 KAWAGUCHI ELECTRIC WORKS製VE−40 TERAO HMMETERを
用いて、2000Dのカセ状試料を乾熱160℃×20分間処理
後、15cmの試料長とし、両端5cmをドータイトで固定し
た測定用サンプルを作製、該サンプルを前記測定機で測
定し下記式により算出した。
A:定数(0.4026) D:サンプルのデニール(2000D) R:測定電流(−logI) L:試長(cm) E:印加電圧(500V) B.個々のフィラメントの濃染部分 長さ:マルチフィラメントを染色後分繊し、濃染部の長
さを測定して、収縮分を補正した原長で算出した。
個数:マルチフィラメントを染色後分繊し、濃染部の個
数を数え、原長1m中に存在する個数を算出する。
分散性:マルチフィラメントを染色し、目視判定で測定
した。
C.沸水収縮率 検尺機で10回巻のカセ取りしたサンプルを沸騰水で15
分処理後、0.1g/dの荷重下の試長を測定し、下記式によ
り算出した。
D.捲縮伸長率 検尺機で20回巻のカセ取りしたサンプルに0.07g/dの
初荷重をかけた状態で加熱処理(150℃×15分)した
後、初荷重下の試長(L1)と4g/dの定荷重下の試長
(L2)を測定し、下記式により算出した。
実施例1 二重芯鞘複合繊維の制電性能を評価する目的で、制電
剤として有機スルホン酸金属塩(ドデシルベンゼンスル
ホン酸ソーダ)を1〜17重量%の範囲で含有するポリア
ミド系ポリマーをポリエステルポリマーに1〜23重量%
の範囲で混合分散させた芯成分の制電性ポリエステルポ
リマーを準備した。
該制電性ポリエステルポリマーを芯成分とし、通常の
ポリエステルポリマーを鞘成分として、独立した2基の
溶融部及びポリマー計量部を有する複合紡糸機を用いて
繊維全体に対するポリアミド系ポリマーの比率が0.3〜
6.0重量%の範囲になるように吐出ポリマーを計量し、
同心円状の二重芯鞘複合繊維として吐出し、冷却後、紡
糸油剤を付与して、2800m/分の巻取速度で未延伸糸ドラ
ムに巻き取った。
該未延伸糸を延伸工程と仮撚工程が分離独立した装置
を用いて本発明の延伸条件で延伸して、170D−48Fの長
手方向に染着差を有する延伸糸となし、パーンに巻き上
げた後、該延伸糸を本発明の条件で仮撚加工し、エヤー
交絡処理で120ケ/mの交絡を付与してチーズに巻き上げ
た。
得られた仮撚加工糸の沸水収縮率および捲縮伸長率は
本発明の規定範囲内であった。
かかる仮撚加工糸を、織物のタテ糸およびヨコ糸とし
て綾組織の織物を製織し、製糸性、高次加工性、制電性
能および織物風合いを評価した。
表1において、実験No.1、7、8、13、14および19は
本発明の効果を明確にするための比較例である。
実験No.1〜7はポリアミド系ポリマー中に含まれる有
機スルホン酸金属塩の含有率の効果を確認したものであ
り、実験No.1は含有率が少ないため、目的とする制電性
能が得られなかったのに対して実験No.2は十分ではない
が本発明の目的とする制電性能のレベル(電気比抵抗
値:1000×108Ω・cm以下)であり、実験No.3、4および
5は制電性能も、製糸性も極めて良好なレベルであり、
実験No.6および7は制電性能レベルは極めて良好である
が製糸工程での糸切れが増加傾向を示し、特に実験No.7
は安定操業の範囲を越えたレベルであった。
実験No.8〜13は制電性ポリエステルポリマー中に混合
分散したポリアミド系ポリマーの含有率の効果を確認し
たものであり、実験No.8は含有率が少ないため、目的と
する制電性能が得られなかったのに対して、実験No.9は
十分でないが本発明の目的とする制電性能レベルであ
り、実験No.10および11は制電性能および製糸性ともに
極めて良好なレベルであった。実験No.12および13は制
電性能レベルは極めて良好であるが製糸工程の糸切れが
増加傾向を示し、特に実験No.13は安定操業の範囲を越
えたレベルであった。
実験No.14〜19は繊維全体に対するポリアミド系ポリ
マーの比率の効果を確認したものであり、実験No.14は
比率が少なすぎるため、目的とする制電性能レベルが得
られなかったのに対して、実験No.15は十分ではないが
本発明の目的とする制電性能レベルであった。実験No.1
6および17は制電性能および製糸性とも極めて良好なレ
ベルであり、実験No.18および19は制電性能レベルは極
めて良好であるが、製糸工程での糸切れが増加し、特に
実験No.19は安定操業が困難なレベルであった。
実施例2 実験No.4の組合せによる二重芯鞘複合繊維を、1450〜
4500m/分の範囲で速度を変更し、延伸後のデニールが17
0D−48Fになるように吐出量を調整して紡糸し、配向度
の異なる未延伸糸を得た。
該未延伸糸を該未延伸糸の自然延伸比に対する比率
で、0.75〜1.15倍の範囲の倍率で、55〜90℃の範囲の延
伸ピンに1回巻き付けて、ピン上で張力勾配をかけなが
ら延伸して、シック&シン糸を得た。
該未延伸糸を仮撚加工工程で本発明の条件で仮撚加工
し、エヤー交絡処理で120ケ/mの交絡を付与してチーズ
に巻上げた後、織物のタテ糸およびヨコ糸に使用し、綾
組織をなし、仮撚および製織時の高次加工性、織物風合
いを主体に評価した。
表2において、実験No.20、24、25、31、32および37
は本発明の効果を明確にするための比較例である。
実験No.20〜24は未延伸糸の配向度の効果を確認した
ものであり、実験No.20は配向度が低すぎるため、高次
加工工程での糸切れが多発し、更には織物の反発感も少
ないものとなったのに対して、実験No.21は高次加工
性、織物の風合いともに目的レベルのものが得られ、実
験No.22は濃染部分の発生状態、高次加工性、織物の風
合いともに極めて良好なものが得られたが、実験No.23
およびNo.24は未延伸糸の配向度が高いため、濃染され
る部分と濃染されない部分の収縮差および捲縮数の差が
小さくなり、織物の風合い面でソフト感やふくらみ感お
よび反発性の少ないものとなり、特に実験No.24は本発
明の目的に到達しないものであった。
実験No.25〜31は延伸倍率の効果を確認したものであ
り、実験No.25は延伸倍率が低すぎるため、個々のフィ
ラメント中の濃染部分の長さに10cmを越えるものが生じ
るようになり、その分散性も低下し、高次加工工程での
糸切発生が多く、得られた織物は反発感のないものであ
ったが、実験No.26は本発明の目的とする品質および性
能のレベルにあり、特に実験No.27および実験No.28は濃
染部の状態や高次加工工程および織物風合いともに極め
て良好なものが得られた。実験No.29および30は延伸倍
率が高いため濃染部の発生が減少するものの、まだ本発
明の目的とする範囲内のレベルにあったが、実験No.31
は延伸倍率が高すぎるため、濃染部の発生個数が本発明
の範囲外まで減少し、得られた織物の風合いも、本発明
の目的とする水準に達しないものであった。
実験No.32〜37は延伸温度の効果を確認したものであ
る。実験No.32は温度が低すぎるため、長い濃染部が発
生し、本発明の目的とするものでなく、従って、高次加
工工程での糸切れも多く、得られた織物の風合いも目的
のレベルに達しないものであった。実験No.33は本発明
の目標レベル内にあり、実験No.34は濃染部の発生状態
や高次加工工程および織物の風合いともに極めて良好で
あった。実験No.35および実験No.36は濃染部の発生が減
少し、織物の風合い的な品位は減少するが、まだ許容範
囲内であった。実験No.37は延伸温度が高すぎるため、
濃染される部分がほとんど発生しなくなり、織物の風合
いも本発明の目的とする品位に到底達しないものであっ
た。
実施例3 実験No.22のパーン巻き延伸糸を仮撚加工工程で、ス
ピナータイプの仮撚機を用いて、加工速度180m/分で、
仮撚係数 と熱板温度の効果を主体に検討し、得られた加工糸編物
および織物(タテ糸×ヨコ糸)で評価した。表3におい
て、実験No.38、44、45および51は本発明の効果を明確
にするための比較例である。
実験No.38〜44は、仮撚係数の効果を確認したもので
あり、実験No.38は、仮撚加撚数が低すぎるため、得ら
れた加工糸の捲縮伸長率が低く、従って、織編物の風合
い品位も本発明の目的レベルには到底達しないものであ
った。実験No.39は本発明の目的とする品位内にあり、
特に実験No.40および41は極めて良好なものが得られ、
実験No.42および43は反発性が多少軽減するが本発明の
目標範囲にあり、実験No.44は、得られた加工糸の捲縮
伸長率が高く、織編物にふかつき感があり反発性に欠け
たものであった。
実験No.45〜51は加工熱板温度の効果を確認したもの
である。実験No.45は温度が低すぎるため、沸水収縮率
が高く、捲縮伸長率が低く、したがって、織編物の風合
いも本発明の目的レベルに達しないものであった。実験
No.46はおよび47は本発明の目的とする品位レベルの範
囲にあり、特に実験No.48および49は極めて良好な品位
の織編物が得られた。実験No.50および51は熱板温度が
高いため、得られた加工糸の制電性能が低下し、特に実
験No.51は本発明の目的とする制電性能レベル以下まで
低下し、且つ、織編物の風合いも反発感のないものとな
った。
[発明の効果] 本発明は従来技術に比較して次の効果を有する。
A.衣料用素材として必要な十分な制電性能レベルを有
し、織編物となした際には自然なむら感を有し、染色仕
上げ加工により崇高化するため、ソフト感やふくらみ
感、反発感とむら感に優れた風合いを有し、従来技術で
は到底得られなかった、高品位の制電性ポリエステル織
編物となすことができる。
B.二重芯鞘複合繊維の芯成分に制電性ポリマーが高濃度
に配されるため、製糸性を損なうことなく高い制電性能
を得ることが可能であり、仮撚加工やアルカリ減量加工
を施しても高い制電性能を維持することができる。従っ
て、高性能で高品位な衣料用素材として、電子産業や通
信産業等のハイテク産業用のワーキングウエアとして使
用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明における二重芯鞘複合繊維の1例を示す
横断面図である。第2図は本発明における延伸仮撚加工
工程の1例を示す概略図である。第3図は、未延伸糸を
引張試験機を用いて、破断点まで引張った場合の張力−
伸度曲線、いわゆるS−S曲線の1例を示したチャート
図である。 1:芯鞘複合繊維の鞘成分 2:芯鞘複合繊維の芯成分 3:未延伸糸ドラム、4:未延伸糸条 5:第1フィードローラ、6:延伸ピン 7:第2フィードローラ、8:延伸糸パーン 9:第1フィードローラ、10:仮撚熱板 11:摩擦仮撚ディスク、12:第2フィードローラ 13:エヤー交絡ノズル 14:第3フィードローラ 15:ドライブローラ 16:仮撚加工糸チーズ 17:張力−伸度曲線
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D02J 1/22 D02J 1/22 J (56)参考文献 特開 昭61−138720(JP,A) 特公 昭58−43493(JP,B2) 特公 昭59−20003(JP,B2) 特公 昭63−24100(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二重芯鞘複合繊維の鞘成分を通常のポリエ
    ステルポリマーとし、芯成分は有機スルホン酸の金属塩
    を2.0〜15.0重量%含むポリアミド系ポリマーを2.0〜2
    0.0重量%分散した制電性ポリエステルポリマーとし、
    かつ該制電性ポリエステルポリマー中のポリアミド系ポ
    リマーの繊維全体に占める比率が0.5〜5.0重量%とした
    マルチフィラメントからなる仮撚加工糸であって、該マ
    ルチフィラメントを構成する個々のフィラメントが10cm
    以下の濃染部をランダムに5ケ/m以上有し、電気比抵抗
    値が1000×108Ω・cm以下、沸水収縮率が4〜16%、捲
    縮伸長率が15〜45%であることを特徴とする長手方向に
    染着差を有するワーキングウェア用制電性仮撚加工糸。
  2. 【請求項2】二重芯鞘複合繊維の鞘成分に通常のポリエ
    ステルポリマーを配し、芯成分に有機スルホン酸の金属
    塩を2.0〜15.0重量%含むポリアミド系ポリマーを2.0〜
    20.0重量%分散した制電性ポリエステルポリマーとし、
    かつ該制電性ポリエステルポリマー中のポリアミド系ポ
    リマーの繊維全体に占める比率を0.5〜5.0重量%とした
    配向度(Δn)が0.018〜0.045である未延伸糸を、60〜
    88℃の温度で予熱しながら、該未延伸糸の自然延伸比の
    0.80〜1.10倍の延伸倍率で延伸した後、延伸工程から分
    離独立した仮撚加工工程で、下記IおよびII式を満足す
    る条件で仮撚加工するとを特徴とする長手方向に染着差
    を有するワーキングウェア用制電性仮撚加工糸の製造方
    法。 T:仮撚加撚数(回/m) D:仮撚加工糸のデニール(D) F:仮撚熱板温度(℃)
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