JP2822457B2 - 燃料電池用セパレータ及びその製造方法 - Google Patents

燃料電池用セパレータ及びその製造方法

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英一 河西
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は燃料の有する化学エネルギーを直接電気エネ
ルギーに変換させるエネルギー部門で用いる燃料電池の
セルを仕切るために用いる燃料電池用セパレータ及びそ
の製造方法に関するものである。
[従来の技術] 現在までに提案されている燃料電池のうち、たとえ
ば、溶融炭酸塩型燃料電池は、第4図に一例を示す如
く、電解質として溶融炭酸塩を多孔質物質にしみ込ませ
たタイル(電解質板)1をカソード(酸素極)2とアノ
ード(燃料極)3の両電極で両面から挟み、カソード2
側に酸化ガスOGを供給すると共にアノード3側に燃料ガ
スFGを供給することによりカソード2とアノード3との
間で発生する電位差により発電が行われるようにしたも
のを1セルCとし、各セルCをセパレータ4を介して多
層に積層させてスタックとするようにしてある。
上記燃料電池のセルCを積層するときの仕切りとなる
上記セパレータ4は、内部マニホールド型の燃料電池に
あっては、周辺部を除く中央部分の表裏両面にガス通路
を凹凸部により形成し、周辺部にはマニホールドを設け
ウェットシールできるようにしてある。又、近年では、
セパレータとして、第4図の構造以外に、センタープレ
ートとその両面側に配したコルゲート板とからなる構成
のものが提案され、コルゲート板によりガス通路が形成
されるようにしてある。
[発明が解決しようとする課題] ところが、上記溶融炭酸塩型燃料電池の場合、作動温
度が高く且つ腐食性の強い溶融炭酸塩にセパレータがさ
らされているので、長時間運転を行っていると、セパレ
ータ4の腐食が進行し、セパレータの腐食が進行する
と、溶融炭酸塩中のリチウムが消費されると同時に電極
との当りの悪いところが生じて電気抵抗が大となり、電
池の性能及び寿命が低下する。セパレータ4の電気伝導
性を維持するには、セパレータ4のカソード2側の表面
にリチウムを含んだ酸化ニッケル層を設けることがよい
と考えられるが、この層は、カソード2側では耐腐食性
に劣るため、従来までは、ニッケル層をセパレータ母材
の表面に設ける考え方はなく、セパレータ4の材料、特
に、カソード2側は、導電性の劣るSUS系の材料を使用
せざるを得ないのが実状である。
そこで、本発明は、良好な導電性が得られしかも腐食
を防止することができるような燃料電池用セパレータ及
びその製造方法を提供しようとするものである。
[課題を解決するための手段] 本発明は、上記課題を解決するために、タイルの両面
をカソードとアノードの両電極で挟むようにしてあるセ
ルを積層するときに各セル間に介在させて用いるように
する燃料電池用セパレータにおいて、セパレータ母材の
カソード側の表面に、運転時に導電層として機能させる
ための酸化ニッケル層を薄く形成させ、且つ該酸化ニッ
ケル層と上記セパレータ母材の境界面に、耐食層として
機能させるためのニッケル・フェライト・クロム合金層
を形成させてなる構成とする。
又、上記燃料電池用セパレータの製造方法としては、
セパレータ母材の表面にニッケルを被覆処理して薄いニ
ッケル層を形成し、次に、該ニッケル層を表面に形成し
た上記セパレータ母材を加熱処理して上記ニッケル層と
セパレータ母材との境界面にニッケル・フェライト・ク
ロム合金層を形成し、しかる後、上記ニッケル層を酸化
させて酸化ニッケル層とするようにするとよい。
〔作用〕
タイルの両面側にカソードとアノードの両電極を配置
してなるセルを積層させてスタックとするときに上記セ
ル間に介在させて使用した場合に、表面の酸化ニッケル
層は導電層として機能し、又、ニッケル・フェライト・
クロム合金層は耐食層として機能することになり、導電
性がよくて腐食しないセパレータとなって電池の寿命を
延長させられる。
[実施例] 以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
第1図は本発明の一実施例を示すもので、第4図に示
してあるように、タイル1をカソード2とアノード3の
両電極で両面から挟んでなるセルCを積層してスタック
とする際に、各セルC間に介在させて仕切板として機能
させるようにしてあるセパレータ4のカソード側の断面
を拡大して示したものである。本発明の燃料電池用セパ
レータは、SUS材(SUS314、SUS304等)あるいはCr鋼材
製としたセパレータ母材5のカソード2側の表面に、電
池運転時に導電層として機能させるための酸化ニッケル
(NiO)層6aを極く薄い厚さで形成させ、且つ該酸化ニ
ッケル層6aと上記セパレータ母材5との境界面に、耐食
層として機能させるためのニッケル・フェライト・クロ
ム(Ni−Fe−Cr)合金層(混合層)7を形成させた断面
構造のものとして使用させるようにする。
上記第1図に示す如きカソード2側のセパレータ母材
5の表面に酸化ニッケル層6aとニッケル・フェライト・
クロム層7を形成させるようにした本発明の燃料電池用
セパレータは、次の如き方法によって得られる。先ず、
第2図に示す如く、セパレータ母材5のカソード2側の
表面に、ニッケル(Ni)をメッキ又はNi化合物のスラリ
ー、パウダー、あるいはNi原子、Niイオンをコーティン
グすることにより厚さ数μm〜十数μmの極く薄いニッ
ケル層6を形成し、次に、上記ニッケル層6を表面に形
成したセパレータ母材5を、たとえば、電気炉に入れて
焼くとか、熱と圧力をかけた状態で拡散処理させる。こ
の加熱処理により、第3図に示す如く、ニッケル層6と
セパレータ母材5との境界面に、ニッケル原子と酸化鉄
分子、酸化クロム分子の拡散によるニッケル・フェライ
ト・クロム合金層7が1μm以下の厚さで形成される。
第4図に示す如く、タイル1の両面側にカソード2と
アノード3の両電極を配してなるセルCを積層させてス
タックとするときに、第3図に示す如き断面構造とした
本発明のセパレータ4をセルC間に介在させると、セパ
レータ母材5のカソード2側の表面に形成されたニッケ
ル層6は、セパレータ4のカソード2側のガス通路に流
される酸化ガスの作用により酸化されると共に、タイル
1の電解質の影響でリチウム(Li)がドープされること
によりリチウム化されることになり、この結果、上記ニ
ッケル層6は第1図に示す如く、リチウムがドープされ
た酸化ニッケル(NiO)層6aへと変態させられ、この酸
化ニッケル層6aが導電層としての機能を発揮して良好な
導電性が確保されることになる。なお、リチウムは、ニ
ッケル層6の生成の段階で添加してもよく、更に、単に
コーティングされたニッケル層6の表面に、酸化ニッケ
ル、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル等のニッケル化合物
を塗付してもよく、この場合、電解質にLiが含まれなく
ても所期の目的を達せられる。一方、ニッケル層6が酸
化ニッケル層6aとして形成されると、この酸化ニッケル
層6aには腐食性の強い溶融炭酸塩がしみ込んで行くが、
酸化ニッケル層6aとセパレータ母材5との境界面にはニ
ッケル・フェライト・クロム合金層7が形成されている
ため、このニッケル・フェライト・クロム合金層7が耐
食層としての機能を発揮することにより、セパレータ母
材5の腐食が防止される。このニッケル・フェライト・
クロム合金層7は、厚いと導電性を悪くすることになる
が、本発明では1μm以下位の薄いものとするので、そ
の問題はない。
なお、本発明は上記実施例にのみ限定されるものでは
なく、セパレータ4を、センタープレートの両面側にコ
ルゲート板を重ね合わせた構成としたものにあっては、
カソード側のコルゲート板をセパレータ母材としてその
表面を前述の如く処理させればよく、その他本発明の要
旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ること
は勿論である。
[発明の効果] 以上述べた如く、本発明によれば、セパレータ母材の
カソード側の表面に酸化ニッケル層が形成され、且つ該
酸化ニッケル層と上記セパレータ母材との境界面にニッ
ケル・フェライト・クロム合金層が形成されている構成
として使用されるようにしてあるので、セルを積層させ
てスタックとするときにセル間に介在させて使用するこ
とにより、上記酸化ニッケル層は運転時に導電層として
機能させることができて良好な導電性を確保できると共
に、上記ニッケル・フェライト・クロム合金層は耐食性
に優れて耐食層として機能させることができてセパレー
タ母材の腐食を防止することができ、電池の寿命延長が
図れる、という優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の燃料電池用セパレータのカソード側の
断面を示す部分拡大図、第2図及び第3図は本発明の燃
料電池用セパレータの製作段階での部分拡大断面図、第
4図は燃料電池の一例を示す概要図である。 1……タイル、2……カソード、3……アノード、4…
…セパレータ、5……セパレータ母材、6……ニッケル
層、6a……酸化ニッケル層、7……ニッケル・フェライ
ト・クロム合金層、C……セル。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タイルの両面をカソードとアノードの両電
    極で挟むようにしてあるセルを積層するときに各セル間
    に介在させて用いるようにする燃料電池用セパレータに
    おいて、セパレータ母材のカソード側の表面に、運転時
    に導電層として機能させるための酸化ニッケル層を薄く
    形成させ、且つ該酸化ニッケル層と上記セパレータ母材
    の境界面に、耐食層として機能させるためのニッケル・
    フェライト・クロム合金層を形成させてなることを特徴
    とする燃料電池用セパレータ。
  2. 【請求項2】タイルの両面をカソードとアノードの両電
    極で挟むようにしてあるセルを積層するときに各セル間
    に介在させて用いるようにする燃料電池用セパレータの
    製造方法において、セパレータ母材の表面に、ニッケル
    を被覆処理して薄いニッケル層を形成し、次に、該ニッ
    ケル層を表面に形成した上記セパレータ母材を加熱処理
    して上記ニッケル層とセパレータ母材との境界面にニッ
    ケル・フェライト・クロム合金層を形成し、しかる後、
    上記ニッケル層を酸化させて酸化ニッケル層とすること
    を特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
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AUPQ653700A0 (en) * 2000-03-28 2000-04-20 Ceramic Fuel Cells Limited Surface treated electrically conductive metal element and method of forming same

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