JP2820174B2 - 半導体結晶成長法 - Google Patents
半導体結晶成長法Info
- Publication number
- JP2820174B2 JP2820174B2 JP10525792A JP10525792A JP2820174B2 JP 2820174 B2 JP2820174 B2 JP 2820174B2 JP 10525792 A JP10525792 A JP 10525792A JP 10525792 A JP10525792 A JP 10525792A JP 2820174 B2 JP2820174 B2 JP 2820174B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- growth
- tbp
- flow rate
- gas
- pressure
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体結晶成長法に関
する。さらに詳しくは、本発明は、有機金属気相成長(M
OVPE) 法によるPを含む化合物半導体の結晶成長におけ
るドーピング方法に関する。
する。さらに詳しくは、本発明は、有機金属気相成長(M
OVPE) 法によるPを含む化合物半導体の結晶成長におけ
るドーピング方法に関する。
【0002】MOVPE 法は、成長結晶の膜厚、組成等の制
御性や均一性に優れ、大面積基板や多数枚基板への成長
が可能であることから、次世代の結晶成長法として実用
化が進められている。しかし、MOVPE 法のV族原料とし
て通常用いられているアルシン(AsH3) 、ホスフィン(P
H3) は強い毒性を持つ高圧ガスであるために危険性が高
く、このことが実用化の妨げとなっていた。
御性や均一性に優れ、大面積基板や多数枚基板への成長
が可能であることから、次世代の結晶成長法として実用
化が進められている。しかし、MOVPE 法のV族原料とし
て通常用いられているアルシン(AsH3) 、ホスフィン(P
H3) は強い毒性を持つ高圧ガスであるために危険性が高
く、このことが実用化の妨げとなっていた。
【0003】安全性の向上を目的として、我々はこれま
でにV族原料として毒性の低い液体であるターシャリー
ブチルアルシン(TBA)、ターシャリーブチルホスフ
ィン(TBP)を用いて、InP, InGaAs およびInGaAsP
結晶の成長を行い、高純度の結晶を得ることに成功して
きた。半導体デバイスを作製するための成長技術として
は、さらに、p型およびn型のドーピング技術を確立す
る必要がある。
でにV族原料として毒性の低い液体であるターシャリー
ブチルアルシン(TBA)、ターシャリーブチルホスフ
ィン(TBP)を用いて、InP, InGaAs およびInGaAsP
結晶の成長を行い、高純度の結晶を得ることに成功して
きた。半導体デバイスを作製するための成長技術として
は、さらに、p型およびn型のドーピング技術を確立す
る必要がある。
【0004】
【従来の技術】V族原料にTBAを用いた成長における
ドーピングの例としては、GaAsへのn型ドーピングをジ
シラン(Si2H6)を用いて行ったものがあり、良好なドー
ピングが可能であることが報告されている。しかし、V
族原料にTBPを用いた場合の報告はない。そこで、V
族原料としてTBPを用い、n型ドーパントとしてモノ
シラン(SiH4、V族原料としてPH3 を用いた成長におい
て通常用いられているドーパント) を用いてInP 結晶の
成長を試みた。この時の成長条件は、通常のPH3 を用い
ての減圧成長の条件と全く同じ (成長温度 600℃、成長
圧力76Torr、キャリアガス流量61/分、成長速度
1.2μm/時、V/III 比 200、SiH4流量 0.005cc/
分)であった。にもかかわらず、成長した結晶は、目的
とするような単結晶にならず、多結晶が堆積した。同じ
条件でPH3 を用いて成長した場合には、キャリア濃度
2.4×1018cm-3で欠陥の無い表面を持つ単結晶が得られ
る。両者の表面を比較した写真を図4に示す。また、上
記TBPを用いた成長において、SiH4の流量を0.0002cc
/分に減らすことにより単結晶が得られたが、その表面
には図5に示すように、多数のピット(小さな穴)が存
在し、良好な表面状態が得られないことがわかった。ま
た、この時のキャリア濃度は 6.8×1017cm-3であった。
ドーピングの例としては、GaAsへのn型ドーピングをジ
シラン(Si2H6)を用いて行ったものがあり、良好なドー
ピングが可能であることが報告されている。しかし、V
族原料にTBPを用いた場合の報告はない。そこで、V
族原料としてTBPを用い、n型ドーパントとしてモノ
シラン(SiH4、V族原料としてPH3 を用いた成長におい
て通常用いられているドーパント) を用いてInP 結晶の
成長を試みた。この時の成長条件は、通常のPH3 を用い
ての減圧成長の条件と全く同じ (成長温度 600℃、成長
圧力76Torr、キャリアガス流量61/分、成長速度
1.2μm/時、V/III 比 200、SiH4流量 0.005cc/
分)であった。にもかかわらず、成長した結晶は、目的
とするような単結晶にならず、多結晶が堆積した。同じ
条件でPH3 を用いて成長した場合には、キャリア濃度
2.4×1018cm-3で欠陥の無い表面を持つ単結晶が得られ
る。両者の表面を比較した写真を図4に示す。また、上
記TBPを用いた成長において、SiH4の流量を0.0002cc
/分に減らすことにより単結晶が得られたが、その表面
には図5に示すように、多数のピット(小さな穴)が存
在し、良好な表面状態が得られないことがわかった。ま
た、この時のキャリア濃度は 6.8×1017cm-3であった。
【0005】TBPは安全性に優れた原料であるが、上
記の如き欠点が生じるのは、TBP(またはその分解生
成物)の反応性がPH3 に比べて大きいために、従来のPH
3 を用いた成長では見られなかったドーパントとV族原
料(TBP)との間の気相反応が起こるためであると考
えられる。この問題はTBPに特有の問題であり、これ
までこの問題が指摘されたことは無かった。
記の如き欠点が生じるのは、TBP(またはその分解生
成物)の反応性がPH3 に比べて大きいために、従来のPH
3 を用いた成長では見られなかったドーパントとV族原
料(TBP)との間の気相反応が起こるためであると考
えられる。この問題はTBPに特有の問題であり、これ
までこの問題が指摘されたことは無かった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】電子デバイス作製のた
めには単結晶の成長が不可欠であり、またピットのよう
な表面欠陥はデバイスの特性に著しい悪影響を与える。
本発明は、V族原料にTBPを用いてのPを含む化合物
半導体(InP, InGaAsP等) へのドーピングにおいて、反
応性の高いTBPとドーパントとの間の気相反応を抑
え、表面欠陥の無い単結晶を得るための方法を提供する
ことを目的とする。
めには単結晶の成長が不可欠であり、またピットのよう
な表面欠陥はデバイスの特性に著しい悪影響を与える。
本発明は、V族原料にTBPを用いてのPを含む化合物
半導体(InP, InGaAsP等) へのドーピングにおいて、反
応性の高いTBPとドーパントとの間の気相反応を抑
え、表面欠陥の無い単結晶を得るための方法を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記課
題を解決するため、 有機金属気相成長法により、V族
元素としてPを含むIII −V族化合物半導体を、成長層
を構成するPの原料としてターシャリーブチルホスフィ
ン(TBP)を用いて成長し、成長中に前記半導体にド
ーパントガスを用いてドーピングを行うに際して、
題を解決するため、 有機金属気相成長法により、V族
元素としてPを含むIII −V族化合物半導体を、成長層
を構成するPの原料としてターシャリーブチルホスフィ
ン(TBP)を用いて成長し、成長中に前記半導体にド
ーパントガスを用いてドーピングを行うに際して、
【数2】 (ここで、nは成長半導体のキャリア濃度であり、Tは
基板および基板近傍雰囲気の温度であり、PTBP0はTB
Pまたはその分解生成物の平衡蒸気圧であり、PD0はド
ーパントまたはその分解生成物の平衡蒸気圧であり、P
0 は全圧であり、f0 は総流量であり、fTBP はTBP
の流量である)が充足される条件で原料ガスおよびドー
パントガスを供給し、結晶成長を行うことを特徴とする
半導体結晶成長法が提供される。
基板および基板近傍雰囲気の温度であり、PTBP0はTB
Pまたはその分解生成物の平衡蒸気圧であり、PD0はド
ーパントまたはその分解生成物の平衡蒸気圧であり、P
0 は全圧であり、f0 は総流量であり、fTBP はTBP
の流量である)が充足される条件で原料ガスおよびドー
パントガスを供給し、結晶成長を行うことを特徴とする
半導体結晶成長法が提供される。
【0008】有用なドーパントの例としては、モノシラ
ンの外に、ジシラン、硫化水素、ジエチルテルライド、
ジイソプロピルテルライド、ジエチルセレナイド、ジイ
ソプロピルセレナイド、ジエチルスルフィド、テトラエ
チル錫およびテトラメチル錫を挙げることができる。
ンの外に、ジシラン、硫化水素、ジエチルテルライド、
ジイソプロピルテルライド、ジエチルセレナイド、ジイ
ソプロピルセレナイド、ジエチルスルフィド、テトラエ
チル錫およびテトラメチル錫を挙げることができる。
【0009】
【作用】多結晶成長やピット形成の原因としては、TB
P(またはその分解生成物)とドーパント (またはその
分解生成物) とが気相反応により固相核を形成し、基板
に付着することにより正常な単結晶成長を阻害すること
が考えられる。固相核の形成は、成長条件がある臨界条
件を超えた時にのみ起こり、臨界条件から外れた場合に
は全く起こらないものと考えられる。例えば、成長圧力
を例にとると、TBP流量、ドーパントガス流量、成長
温度、キャリアガス流量および反応管形状に依存して決
まるところの固相核形成の臨界圧力が存在する。成長圧
力をこの圧力以下にすれば、固相核の形成は完全に抑制
される。臨界圧力を境として結晶の表面状態は急激に変
化するため、固相核の形成の有無は成長した結晶の表面
状態から容易に判断できる。臨界条件として考えるべき
要素には、成長圧力、成長温度、TBP流量、キャリア
ガス流量およびTBP(またはその分解生成物)とドー
パント (またはその分解生成物) とのモル分率が挙げら
れる。
P(またはその分解生成物)とドーパント (またはその
分解生成物) とが気相反応により固相核を形成し、基板
に付着することにより正常な単結晶成長を阻害すること
が考えられる。固相核の形成は、成長条件がある臨界条
件を超えた時にのみ起こり、臨界条件から外れた場合に
は全く起こらないものと考えられる。例えば、成長圧力
を例にとると、TBP流量、ドーパントガス流量、成長
温度、キャリアガス流量および反応管形状に依存して決
まるところの固相核形成の臨界圧力が存在する。成長圧
力をこの圧力以下にすれば、固相核の形成は完全に抑制
される。臨界圧力を境として結晶の表面状態は急激に変
化するため、固相核の形成の有無は成長した結晶の表面
状態から容易に判断できる。臨界条件として考えるべき
要素には、成長圧力、成長温度、TBP流量、キャリア
ガス流量およびTBP(またはその分解生成物)とドー
パント (またはその分解生成物) とのモル分率が挙げら
れる。
【0010】すなわち、固相核の形成を抑制するために
は、成長圧力、成長温度、TBP流量、キャリアガス流
量およびTBP(またはその分解生成物)とドーパント
(またはその分解生成物) とのモル分率を制御するのが
有効であると考えられる。
は、成長圧力、成長温度、TBP流量、キャリアガス流
量およびTBP(またはその分解生成物)とドーパント
(またはその分解生成物) とのモル分率を制御するのが
有効であると考えられる。
【0011】また、このような手段を採ることにより、
気相核の発生を抑えることができても、肝心のInP 結晶
成長そのものに悪影響がでることが懸念されるが、電子
線、光、X線などにより結晶表面のみを励起することに
より、そのような悪影響を回避することができる。
気相核の発生を抑えることができても、肝心のInP 結晶
成長そのものに悪影響がでることが懸念されるが、電子
線、光、X線などにより結晶表面のみを励起することに
より、そのような悪影響を回避することができる。
【0012】以下に、本発明の特徴についてさらに説明
する。いま、TBP(気体)とドーパントD(気体)と
が反応して固体を生成する反応を考えると、自由エネル
ギー変化ΔGとTBP、Dの平衡蒸気圧PTBP0、PD0の
間には、
する。いま、TBP(気体)とドーパントD(気体)と
が反応して固体を生成する反応を考えると、自由エネル
ギー変化ΔGとTBP、Dの平衡蒸気圧PTBP0、PD0の
間には、
【数3】 の関係が成り立つ(ここで、Rは気体定数であり、1.98
7 の値をとり、Tは基板および基板近傍雰囲気の温度で
ある)。ここで、自由エネルギー変化ΔGは、エンタル
ピー変化ΔHとエントロピー変化ΔSを用いて、 ΔG=ΔH−ΔST (3) のように表すことができるから、平衡蒸気圧の積PTBP0
・PD0は、
7 の値をとり、Tは基板および基板近傍雰囲気の温度で
ある)。ここで、自由エネルギー変化ΔGは、エンタル
ピー変化ΔHとエントロピー変化ΔSを用いて、 ΔG=ΔH−ΔST (3) のように表すことができるから、平衡蒸気圧の積PTBP0
・PD0は、
【数4】 のように表すことができる。しかして、気体TBPと気
体Dとの反応が実際に起こるのは、気体TBPと気体D
の分圧PTBP とPD の積が平衡蒸気圧の積PTBP0・PD0
よりも大きくなった場合(PTBP ・PD >PTBP0・P
D0)である。
体Dとの反応が実際に起こるのは、気体TBPと気体D
の分圧PTBP とPD の積が平衡蒸気圧の積PTBP0・PD0
よりも大きくなった場合(PTBP ・PD >PTBP0・P
D0)である。
【0013】実際に反応が起こっているかどうかは、成
長した結晶の表面を観察することにより知ることができ
る。従って、温度をT1に固定して分圧積PTBP ・PD を
変化させ、結晶表面に変化の生じる境目の分圧積を求め
れば、これが温度T1における平衡蒸気圧の積PTBP0・P
D0(T=T1)を与えることとなる。さらに、異なる温度
T2においても同様にPTBP0・PD0(T=T2)を求める。
このようにして、2つの温度における平衡蒸気圧の積P
TBP0・PD0が求まれば、前述の式によりΔHおよびΔS
を求めることができ、よって任意の温度における平衡蒸
気圧の積を求めることができる。
長した結晶の表面を観察することにより知ることができ
る。従って、温度をT1に固定して分圧積PTBP ・PD を
変化させ、結晶表面に変化の生じる境目の分圧積を求め
れば、これが温度T1における平衡蒸気圧の積PTBP0・P
D0(T=T1)を与えることとなる。さらに、異なる温度
T2においても同様にPTBP0・PD0(T=T2)を求める。
このようにして、2つの温度における平衡蒸気圧の積P
TBP0・PD0が求まれば、前述の式によりΔHおよびΔS
を求めることができ、よって任意の温度における平衡蒸
気圧の積を求めることができる。
【0014】いま、SiH4をドーパントとして用いた場合
を例として具体的に述べれば、成長温度 600℃におい
て、 成長圧力 PTBP PSiH4 PTBP ・PSiH4 反応の有無 76 8.3×10-4 3.3×10-9 2.7×10-12 有 20 2.2×10-4 4.4×10-9 9.7×10-13 無 であった。この結果より、PTBP0・PSiH4 0 は1〜2×
10-12 の値であることがわかる。また、 580℃において
上と同様の実験を行った結果、PTBP0・PSiH4 0 は 0.8
×10-12 であることがわかった。以上、2つの実験の結
果から、前述の式(4)を用いて△Hおよび△Sを求め
ることができ、これらの値は △H=−4.65×103 〔cal/mol 〕 △S=0.8272 〔cal/mol ・deg 〕 である。従って、PTBP0・PSiH4 0 は次式により与えら
れる。
を例として具体的に述べれば、成長温度 600℃におい
て、 成長圧力 PTBP PSiH4 PTBP ・PSiH4 反応の有無 76 8.3×10-4 3.3×10-9 2.7×10-12 有 20 2.2×10-4 4.4×10-9 9.7×10-13 無 であった。この結果より、PTBP0・PSiH4 0 は1〜2×
10-12 の値であることがわかる。また、 580℃において
上と同様の実験を行った結果、PTBP0・PSiH4 0 は 0.8
×10-12 であることがわかった。以上、2つの実験の結
果から、前述の式(4)を用いて△Hおよび△Sを求め
ることができ、これらの値は △H=−4.65×103 〔cal/mol 〕 △S=0.8272 〔cal/mol ・deg 〕 である。従って、PTBP0・PSiH4 0 は次式により与えら
れる。
【数5】
【0015】上記の通り、固相核の形成すなわち気体T
BPと気体Dとの反応が生じないためには、次式、 PTBP ・PD ≦PTBP0・PD0 (6) が充足されることが必要であり、そのような条件を満た
すための具体的な手段としては、成長温度を変えてPTB
P0、PD0を変化させるか、または成長圧力、キャリアガ
ス流量、気体TBPおよびDのモル分率などを変えてP
TBP 、PD を変化させることなどがある。もちろん、こ
の場合、キャリア濃度が所望の値になければならないこ
とは当然のことである。
BPと気体Dとの反応が生じないためには、次式、 PTBP ・PD ≦PTBP0・PD0 (6) が充足されることが必要であり、そのような条件を満た
すための具体的な手段としては、成長温度を変えてPTB
P0、PD0を変化させるか、または成長圧力、キャリアガ
ス流量、気体TBPおよびDのモル分率などを変えてP
TBP 、PD を変化させることなどがある。もちろん、こ
の場合、キャリア濃度が所望の値になければならないこ
とは当然のことである。
【0016】さらに説明すれば、TBPとドーパントの
分圧PTBP およびPD は、全圧P0 、総流量f0 、TB
Pの流量fTBP 、ドーパントの流量fD を用いて、
分圧PTBP およびPD は、全圧P0 、総流量f0 、TB
Pの流量fTBP 、ドーパントの流量fD を用いて、
【数6】
【数7】 のように書ける。いま、fTBP は一定と考えると、ドー
ピング可能な条件は、前記式(1)に式(2)および
(3)を代入して、
ピング可能な条件は、前記式(1)に式(2)および
(3)を代入して、
【数8】 となる。一方、キャリア濃度nはドーパント流量のα乗
に比例し、全圧P0 のβ乗に比例することから、
に比例し、全圧P0 のβ乗に比例することから、
【数9】 と書ける。ここで、η(T) は温度TとIII族元素化合
物の流量fIII の関数でであり、
物の流量fIII の関数でであり、
【数10】 となる。ここで、A、B、αおよびβはドーパントの種
類により決まる定数であり、例えばモノシラン(SiH4)
の場合にはA=2.400 ×1021、B=−1.855 ×1024、α
=1.2 、β=1.6 である。また、ジシラン(Si2H6)の場
合はA=9.60×1020、B=−5.50×1023、α=1.2 、β
=1.6 であり、硫化水素(H2S)の場合A=8.39×1019、
B=−7.75×1022、α=1、β=1.4 である。
類により決まる定数であり、例えばモノシラン(SiH4)
の場合にはA=2.400 ×1021、B=−1.855 ×1024、α
=1.2 、β=1.6 である。また、ジシラン(Si2H6)の場
合はA=9.60×1020、B=−5.50×1023、α=1.2 、β
=1.6 であり、硫化水素(H2S)の場合A=8.39×1019、
B=−7.75×1022、α=1、β=1.4 である。
【0017】しかして、式(4)および(5)より、ド
ーピング可能なキャリア濃度の温度Tおよび全圧P0 依
存性が、最終的に前記式(1)の如く求まる。なお、式
(1)において、温度依存性を持つ項は、η(T) と(P
TBP0・PD0)であり、それらの依存性は前記式(11)
および(4)で与えられる。
ーピング可能なキャリア濃度の温度Tおよび全圧P0 依
存性が、最終的に前記式(1)の如く求まる。なお、式
(1)において、温度依存性を持つ項は、η(T) と(P
TBP0・PD0)であり、それらの依存性は前記式(11)
および(4)で与えられる。
【0018】ドーパントとしてSiH4を用いた場合につい
てさらに具体的に説明すれば、温度が一定の場合につい
て、ドーピング可能なキャリア濃度nと全圧P0 との関
係を模式的に図示すると図1の如くなる。図の斜線を付
した部分がドーピング可能なキャリア濃度の範囲であ
り、圧力が高いほど得られる最大キャリア濃度は小さく
なることがわかる。また、温度が高くなった場合には、
前記式(1)中のη(T)と(PTBP0・PD0)はともに大
きくなる(式(11)および(4)参照)。従って、図
1における斜線は上にシフトし、点線に移る。これは、
温度が高いほど得られる最大キャリア濃度が大きくなる
ことを意味する。
てさらに具体的に説明すれば、温度が一定の場合につい
て、ドーピング可能なキャリア濃度nと全圧P0 との関
係を模式的に図示すると図1の如くなる。図の斜線を付
した部分がドーピング可能なキャリア濃度の範囲であ
り、圧力が高いほど得られる最大キャリア濃度は小さく
なることがわかる。また、温度が高くなった場合には、
前記式(1)中のη(T)と(PTBP0・PD0)はともに大
きくなる(式(11)および(4)参照)。従って、図
1における斜線は上にシフトし、点線に移る。これは、
温度が高いほど得られる最大キャリア濃度が大きくなる
ことを意味する。
【0019】実際の結晶成長において、圧力が低すぎた
り、温度が高すぎたりすると、結晶に十分なV族元素化
合物圧力がかけられなくなり、結晶の品質が劣化する。
しかして、現実的に好ましい成長条件は、温度580〜
650℃、圧力10〜50Torrである。
り、温度が高すぎたりすると、結晶に十分なV族元素化
合物圧力がかけられなくなり、結晶の品質が劣化する。
しかして、現実的に好ましい成長条件は、温度580〜
650℃、圧力10〜50Torrである。
【0020】
【実施例】InP 結晶の成長において、SiH4をドーパント
として用いて、成長圧力を下げる方法を一実施例として
下記に示す。成長温度 600℃、成長圧力20Torr(従来
は76Torr) 、キャリアガス (水素) 流量61/分、T
BP流量50cc/分、トリメチルインジウム (TMI、
Inの原料) 流量0.25cc/分で成長を行った。SiH4の流
量は 3.4×10-4cc/分から4×10-3cc/分まで変化させ
た。基板を昇温する時には、キャリアガスとTBPを流
して基板からの脱燐を防ぐ。基板の温度が所定の成長温
度に達したところでTMIとSiH4を流して成長を開始す
る。所望の時間成長を行った後、TMIとSiH4を止めて
温度を下げる。図2にこの時のn型キャリア濃度のSiH4
流量依存性を示す。最も高いキャリア濃度である3×10
18cm-3のドーピングをしたサンプルにおいても表面欠陥
のない単結晶が得られた。その表面写真を図3に示す。
76Torrの成長ではより低いキャリア濃度の 6.8×1017
cm-3のドーピングでピットが発生していたこと (図5)
と比較して、成長圧力を下げる方法が有効であることが
わかる。
として用いて、成長圧力を下げる方法を一実施例として
下記に示す。成長温度 600℃、成長圧力20Torr(従来
は76Torr) 、キャリアガス (水素) 流量61/分、T
BP流量50cc/分、トリメチルインジウム (TMI、
Inの原料) 流量0.25cc/分で成長を行った。SiH4の流
量は 3.4×10-4cc/分から4×10-3cc/分まで変化させ
た。基板を昇温する時には、キャリアガスとTBPを流
して基板からの脱燐を防ぐ。基板の温度が所定の成長温
度に達したところでTMIとSiH4を流して成長を開始す
る。所望の時間成長を行った後、TMIとSiH4を止めて
温度を下げる。図2にこの時のn型キャリア濃度のSiH4
流量依存性を示す。最も高いキャリア濃度である3×10
18cm-3のドーピングをしたサンプルにおいても表面欠陥
のない単結晶が得られた。その表面写真を図3に示す。
76Torrの成長ではより低いキャリア濃度の 6.8×1017
cm-3のドーピングでピットが発生していたこと (図5)
と比較して、成長圧力を下げる方法が有効であることが
わかる。
【0021】上記の如く、原料にトリメチルインジウム
(TMI) とターシャリブチルホスフィン(TBP) を用い、ド
ーパントにシラン(SiH4)を用いてn型にドーピングされ
たInP 結晶を成長する場合、キャリア濃度を決定する成
長条件としては、TMI流量、TBP流量、SiH4流量、
成長圧力(Pg)、成長温度(Tg)の5つが考えられる。5つ
の成長条件のうち、4つを固定し、1つの条件のみを変
化した場合に、キャリア濃度がどのように変化するかを
以下に述べる。
(TMI) とターシャリブチルホスフィン(TBP) を用い、ド
ーパントにシラン(SiH4)を用いてn型にドーピングされ
たInP 結晶を成長する場合、キャリア濃度を決定する成
長条件としては、TMI流量、TBP流量、SiH4流量、
成長圧力(Pg)、成長温度(Tg)の5つが考えられる。5つ
の成長条件のうち、4つを固定し、1つの条件のみを変
化した場合に、キャリア濃度がどのように変化するかを
以下に述べる。
【0022】〔TMI流量依存性〕TMI流量とキャリ
ア濃度は反比例の関係にある。すなわち、TMI流量を
2倍に増やすと、成長速度が2倍になり、それに伴って
キャリア濃度は半分に減少する。
ア濃度は反比例の関係にある。すなわち、TMI流量を
2倍に増やすと、成長速度が2倍になり、それに伴って
キャリア濃度は半分に減少する。
【0023】〔TBP流量依存性〕TBP流量を増やす
と、キャリア濃度は減少する。その様子を図6に示す。
と、キャリア濃度は減少する。その様子を図6に示す。
【0024】〔SiH4流量依存性〕SiH4流量を増やすと、
キャリア濃度はほぼこれに比例して増加する (図2参
照)。
キャリア濃度はほぼこれに比例して増加する (図2参
照)。
【0025】〔成長圧力依存性〕成長圧力(Pg)を高くす
ると、キャリア濃度はPgのほぼ2乗に比例して増加す
る。その様子を図7に示す。
ると、キャリア濃度はPgのほぼ2乗に比例して増加す
る。その様子を図7に示す。
【0026】〔成長温度依存性〕成長温度(Tg)を高くす
ると、キャリア濃度は増加する。その様子を図8に示
す。
ると、キャリア濃度は増加する。その様子を図8に示
す。
【0027】しかして、一般には、SiH4流量以外の成長
条件を固定し、SiH4流量を調節することにより、所望の
キャリア濃度を得るようにするのがよい。
条件を固定し、SiH4流量を調節することにより、所望の
キャリア濃度を得るようにするのがよい。
【0028】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれば
安全なV族原料であるTBPを用いた成長において、良
好なドーピングが可能となる。
安全なV族原料であるTBPを用いた成長において、良
好なドーピングが可能となる。
【図1】ドーピング可能なキャリア濃度nと全圧P0 と
の関係を示す模式図示である。
の関係を示す模式図示である。
【図2】実施例において得られたSiH4流量とキャリア濃
度との関係を示すグラフである。
度との関係を示すグラフである。
【図3】実施例において得られた単結晶の表面写真であ
る。
る。
【図4】従来の方法で得られた単結晶の表面写真であ
る。
る。
【図5】本発明の比較例に相当する単結晶の表面写真で
ある。
ある。
【図6】実施例において得られたTBP流量とキャリア
濃度との関係を示すグラフである。
濃度との関係を示すグラフである。
【図7】実施例において得られた成長圧力とキャリア濃
度との関係を示すグラフである。
度との関係を示すグラフである。
【図8】実施例において得られた成長温度とキャリア濃
度との関係を示すグラフである。
度との関係を示すグラフである。
Claims (6)
- 【請求項1】 有機金属気相成長法により、V族元素と
してPを含むIII −V族化合物半導体を、成長層を構成
するPの原料としてターシャリーブチルホスフィン(T
BP)を用いて成長し、成長中に前記半導体にドーパン
トガスを用いてドーピングを行うに際して、 【数1】 (ここで、nは成長半導体のキャリア濃度であり、Tは
基板および基板近傍雰囲気の温度であり、PTBP0はTB
Pまたはその分解生成物の平衡蒸気圧であり、PD0はド
ーパントまたはその分解生成物の平衡蒸気圧であり、P
0 は全圧であり、f0 は総流量であり、fTBP はTBP
の流量である)が充足される条件で原料ガスおよびドー
パントガスを供給し、結晶成長を行うことを特徴とする
半導体結晶成長法。 - 【請求項2】 ドーパントガスがモノシラン、ジシラン
または硫化水素ガスである、請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 ドーパントガスがモノシランまたはジシ
ランであり、αが1.2 であり、βが1.6 である、請求
項2記載の方法。 - 【請求項4】 ドーパントガスが硫化水素であり、αが
1.0 であり、βが1.4 である、請求項2記載の方法。 - 【請求項5】 温度Tが580〜650℃である、請求
項1記載の方法。 - 【請求項6】 全圧P0 が10〜50Torrである、請求
項1記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10525792A JP2820174B2 (ja) | 1991-04-04 | 1992-04-01 | 半導体結晶成長法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15082091 | 1991-04-04 | ||
JP3-150820 | 1991-04-04 | ||
JP10525792A JP2820174B2 (ja) | 1991-04-04 | 1992-04-01 | 半導体結晶成長法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05170593A JPH05170593A (ja) | 1993-07-09 |
JP2820174B2 true JP2820174B2 (ja) | 1998-11-05 |
Family
ID=26445577
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10525792A Expired - Fee Related JP2820174B2 (ja) | 1991-04-04 | 1992-04-01 | 半導体結晶成長法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2820174B2 (ja) |
-
1992
- 1992-04-01 JP JP10525792A patent/JP2820174B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05170593A (ja) | 1993-07-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Kuech et al. | Silicon doping of GaAs and AlxGa1− xAs using disilane in metalorganic chemical vapor deposition | |
US6787385B2 (en) | Method of preparing nitrogen containing semiconductor material | |
US4835116A (en) | Annealing method for III-V deposition | |
US4900372A (en) | III-V on Si heterostructure using a thermal strain layer | |
WO2001022482A9 (en) | Method of producing relaxed silicon germanium layers | |
US5379720A (en) | Process for growing semiconductor crystal | |
JP2820174B2 (ja) | 半導体結晶成長法 | |
JPH0510317B2 (ja) | ||
US7026228B1 (en) | Methods of fabricating devices and semiconductor layers comprising cadmium mercury telluride, mercury telluride, and cadmium telluride | |
JP3155007B2 (ja) | 化合物半導体とその製造方法 | |
JP2686859B2 (ja) | n形のII−VI族化合物半導体を結晶成長する方法 | |
JP3052399B2 (ja) | 化合物半導体膜の製造方法 | |
EP0345859A1 (fr) | Procédé de réalisation de couches épitaxiales | |
JPH05335241A (ja) | 化合物半導体とその製造方法 | |
JPH0754802B2 (ja) | GaAs薄膜の気相成長法 | |
JP3242571B2 (ja) | 気相成長方法 | |
US5296087A (en) | Crystal formation method | |
JP2704223B2 (ja) | 半導体素子 | |
JP3141628B2 (ja) | 化合物半導体素子及びその製造方法 | |
JP4499444B2 (ja) | 気相成長方法 | |
JP2706337B2 (ja) | 化合物半導体薄膜の製造方法 | |
JP2590728B2 (ja) | 化合物半導体の選択成長方法 | |
JP3464161B2 (ja) | InP系分布帰還型半導体レーザの製造方法 | |
JP3900653B2 (ja) | 化合物半導体の結晶成長方法 | |
JP2005116567A (ja) | 半導体受光素子、及び半導体受光素子の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 19980714 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080828 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090828 Year of fee payment: 11 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090828 Year of fee payment: 11 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100828 Year of fee payment: 12 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |