JP2820083B2 - 質量分析装置及びラジカル計測方法 - Google Patents
質量分析装置及びラジカル計測方法Info
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Description
ル計測手法は、LSI製造用プラズマ装置のプラズマ中
のラジカル密度計測手法として用いられる。そして、該
プラズマ中のラジカルの密度の変化を計測することによ
り、装置の運転状況や安定度を評価したり、装置の運転
条件を変化させることで、安定的に多量のLSIを製造
する。
ジカルの相対的な密度変化を測定する手法の一つとし
て、質量分析装置を用いる手法がある。その際には、該
質量分析装置のイオン源部において、「ラジカルのイオ
ン化電圧」と「母ガスあるいは母ラジカルの解離イオン
化電圧」の差を利用して、ラジカルだけの信号を取り出
す手法(出現質量分析法)を用いる。この出現質量分析
法による測定例は、スガイ他、ジャーナル・オブ・バキ
ューム・サイエンス・アンド・テクノロジー・A誌、第
10巻、4号、1992年、1193ページ、に開示さ
れている。
化電位が、解離して該ラジカルを生成する母ガスや他の
ラジカルの解離イオン化電位よりも低い場合に適用で
き、その原理は、あるラジカルのイオン化電位が、該ラ
ジカルよりも分子量が大きく、また解離して該ラジカル
を生成する母ガスや他のラジカルの解離イオン化電位よ
りも低いため、そのイオン生成電位の差を利用して、解
離イオン化を避けつつラジカルのイオン化のみを起こさ
せるというものである。
成条件に対するラジカルの信号強度の変化を見るために
従来は、(1)質量分析装置のイオン源での電子ビーム
の加速電圧をラジカルのイオン化電圧から徐々に階段状
に上昇させながら、それぞれの電圧での質量分析装置の
信号出力を平均化してプロットし、(2)母ガスあるい
は母ラジカルの解離イオン化電圧直下まで該加速電圧を
上昇させ、(3)前記(1)から(2)までの間の信号
出力をグラフにプロットして、グラフ下部の増加分の面
積をラジカル密度を反映した値として計算するという工
程でラジカル計測を行っていた。このプロット図を図5
に示す。このような測定例は、第8回マイクロプロセス
国際会議・ダイジェスト・オブ・ペーパー誌、講演番号
18B−2−8、104ページ、応用物理学会、199
5年、に開示されている。従来の方法では、平均値がほ
ぼ一定値になる必要があり、平均化するために10から
100秒オーダーの時間が必要であった。
析装置を用いた出現質量分析法によるラジカル計測手法
では、リアルタイムでin situ計測が必要な半導
体製造装置のプラズマ中のラジカルを計測できないとい
う問題があった。つまり、質量分析装置からの信号を一
定時間平均する必要があるだけでなく、プロットしてグ
ラフの下部の面積を求める数値処理が必要であるため、
ラジカル密度を反映した値を得るまでにある程度の時間
が必要となり、LSI製造工程で求められるようなリア
ルタイム計測、短時間の計測には不向きであった。
れるようなリアルタイム計測、短時間の計測が可能なラ
ジカル計測方法と、それに用いる質量分析装置を提供す
ることにある。
は、ラジカルを電子ビームによってイオン化し、該イオ
ンの衝突によって生じる二次電子あるいは該イオンの電
荷そのものを増幅することでラジカル量を見積もる質量
分析装置であって、ラジカルをイオン化するための電子
ビームの加速電圧を、前記ラジカルのイオン化電位と、
該ラジカルの母ガスの解離イオン化電位あるいは母ラジ
カルの解離イオン化電位の直下の電位の間の矩形波とし
て印加する手段を有することを特徴とする質量分析装置
である。
のラジカルのイオン化電位と、該ラジカルの母ガスの解
離イオン化電位あるいは母ラジカルの解離イオン化電位
の間の電位に質量分析装置の電子ビーム電圧を設定する
ことにより、該ラジカルのみからなる信号を取り出す出
現質量分析法を用いるラジカル計測方法であって、イオ
ン化のための電子ビーム電圧を「前記ラジカルのイオ
ン化電位」と「前記ラジカルの母ガスの解離イオン化
電位あるいは母ラジカルの解離イオン化電位の直下の電
位」の間の矩形波として変化させつつ質量分析装置の信
号を取り出し、との質量分析信号差からラジカル密
度を測定することを特徴とするラジカル計測方法であ
る。
オン化電位と、該ラジカルの母ガスの解離イオン化電位
あるいは母ラジカルの解離イオン化電位の間の電位に質
量分析装置の電子ビーム電圧を設定することにより、該
ラジカルのみからなる信号を取り出す出現質量分析法を
用いるラジカル計測方法であって、計測基準となる電子
ビーム電圧を「前記ラジカルのイオン化電位」と「前記
ラジカルの母ガスの解離イオン化電位あるいは母ラジカ
ルの解離イオン化電位の直下の電位」の間の任意の電位
としたのち、イオン化のための電子ビーム電圧を「前
記ラジカルのイオン化電位」と「前記ラジカルの母ガ
スの解離イオン化電位あるいは母ラジカルの解離イオン
化電位の直下の電位」の2つの電位への矩形波として交
互に変化させつつ質量分析装置の信号を取り出し、前記
と前記基準電圧における前記質量分析信号差と、前記
と前記基準電圧における前記質量分析信号差からラジ
カル密度を測定することを特徴とするラジカル計測方法
である。
プを質量分析装置中のイオン源でのラジカルのイオン化
のための電子ビームの加速電圧のコントロールに用い
る。
「ラジカルのイオン化電圧」を質量分析装置のイオン源
での電子ビームの加速電圧の基準値とし、その時の質量
分析装置の信号出力をバックグラウンドの信号強度とし
て得る。次にDC電源アンプを「ラジカルのイオン化電
圧」と「母ガスあるいは母ラジカルの解離イオン化電圧
の直下の電圧」との間で矩形波で高周波動作させ、イオ
ン化のための電子ビーム加速電圧を変化させ、その時の
質量分析装置の信号出力とバックグラウンドとして先に
得た信号強度との差をラジカルの密度を反映した値とし
て採用する。
「前記ラジカルのイオン化電位」と「前記ラジカルの母
ガスあるいは母ラジカルの解離イオン化電位の直下の電
位」の間の任意の電位としたのち、イオン化のための電
子ビーム電圧を「前記ラジカルのイオン化電位」と「前
記ラジカルの母ガスあるいは母ラジカルの解離イオン化
電位の直下の電位」の2つの電位への矩形波として交互
に変化させ、その時の2つの質量分析装置の信号出力の
各々と、基準として先に得た信号強度との差の合計をラ
ジカルの密度を反映した値として採用する。
質量分析装置からの信号出力は図1のように表される。
そのため、プラズマ中のラジカルの相対的な密度変化
は、質量分析装置のイオン源でのラジカルのイオン化電
圧から、母ガスあるいは母ラジカルの解離イオン化電圧
直下の間の信号強度の変化分から概算できる。そして、
本発明では、DC電源アンプを用いて二つの電圧間を短
時間内にステップ変化させることで、二つの電圧での信
号出力の差が同一のバックグラウンド強度の条件下で測
定できる。バックグラウンドが同一のため、二つの電圧
での信号強度の差分から得られる信号は、単純にラジカ
ルの密度を反映したものになる。
して以下に示す。
テム構成図の一実施例を図2に示す。
圧は、DC電源アンプ2を介して供給される。本実施例
では、CF4 ガスを用いたプラズマ3中での、測定対象
のラジカル4をCF3 ラジカル(質量数69)とした時
の測定例を示す。
化電位として10.3Vを設定し、DC電源アンプ2に
対する基準電圧とする。そしてCF4 プラズマを生成
し、CF3 ラジカルの計測を行う。
のCF4 が解離イオン化する15.9V直下の電圧であ
る15.5Vと、基準電圧の10.3Vとの間で矩形に
変化させ、そのステップ変化と同期してCF3 ラジカル
の計測を行い、15.5V印加時の信号を取り出す。得
られる電圧印加信号パターンを図3(a)の中段に示
す。なお、ここでの矩形幅は10μsである。
分析装置側で高周波対応型二次電子増倍機構6(ここで
はフォトンカウンターを使用)、アンプ7、パルスデー
タサンプリング装置8(ここでは、ボックスカーレコー
ダーを使用)を介して信号を取り出すと、ラジカルの信
号は電圧の低い時間に弱く、高い時間に強く観測され
る。この時に観測されるQMS信号強度の出力パターン
の様子を図3(a)の下段の部分にグラフで示す。信号
強度をラジカル密度として考えると、この信号強度差自
体がラジカル(質量分析計内での母ガスの解離生成物を
含まない)密度の信号を反映している。また、面積強度
でラジカル密度を反映させる場合には、矩形の面積がラ
ジカル密度を反映していると考えることもできる。本実
施例の図3(a)の測定条件では上記いずれのラジカル
密度の値を採用しても結果は同じである。このようにし
ていずれの値を指標とする場合も、高速、高周波でラジ
カルの密度を反映した信号を取り出すことができた。
(b)に示すように、DC電源アンプ2に対して基準と
なる電圧を「ラジカルのイオン化電位」と「ラジカルの
母ガスあるいは母ラジカルの解離イオン化電位の直下の
電位」の間の任意の電位としたのち、イオン化のための
電子ビーム電圧を「ラジカルのイオン化電位」と「ラジ
カルの母ガスあるいは母ラジカルの解離イオン化電位の
直下の電位」の2つの電位への矩形波として交互に変化
させ、図3(b)下段に示すようにその時の2つの質量
分析装置の信号出力の各々と、先の基準になる電圧での
信号強度との差を測定した際も、従来技術のように平均
化する時間を必要としないため、高速でラジカルの密度
を反映した信号を取り出すことができた。
例1よりも若干長く必要である。しかし、ラジカル密度
を反映した信号強度を図1に示すようなグラフの下部の
面積で表す場合、先に述べた図3(a)に示される実施
例1よりも細かい区間で面積を計算するため、測定精度
を上げることができる。類似の手法として、測定する電
圧を増やせばそれだけ面積を正確に表すことが可能であ
る。
用いて、パルスプラズマ中のラジカル密度変化を、リア
ルタイムに測定した例を示す。
マイクロ波電源を搭載し、10μsの時間on/100
μsの時間offという時間変調で電力を供給すること
でプラズマを生成する。用いたガスはC4 F8 である。
そして、CF3 ラジカルの強度を前記実施例1の図3
(a)と類似の手法で測定した。ただし、ここで測定電
位のうち、基準になる電位は10.9V、ラジカル密度
を測定する電位は12Vとした。これは、質量分析装置
のイオン源1における、C4 F8 からのCF3 直接生成
を回避するためである。測定は1μs幅で行った。
が供給される時間(10μsのon時間)付近の、CF
3 ラジカルに対応する質量分析装置の信号強度変化を示
す。このように、マイクロ波電源を用いたパルスプラズ
マのon時には、数μsのオーダーでラジカル密度が定
常状態に達している事がわかった。
法によれば、このような短時間での変化を追跡すること
ができ、半導体デバイス等の量産に用いるパルス変調プ
ラズマの制御性を高めることができる。
コントロール用に質量分析装置に搭載し、イオン化のた
めの電子ビーム電圧を「ラジカルのイオン化電位」と
「ラジカルの母ガスあるいは母ラジカルの解離イオン化
電位の直下の電位」に矩形に変化させることで、ラジカ
ル密度の強度変化に対応する量をリアルタイムに高速で
測定することができる。
装置のプラズマ中のラジカル密度計測手法として用いれ
ば、リアルタイムで、装置の運転状況や安定度を評価で
き、また装置の運転条件も変化させることができるの
で、安定的に多量のLSIを製造することができ、製品
製造時の歩留まりが向上する。
イオン化のための電圧の測定例である。
る。
信号出力の参考図である。
の測定例である。
測方法の参考図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 ラジカルを電子ビームによってイオン化
し、該イオンの衝突によって生じる二次電子あるいは該
イオンの電荷そのものを増幅することにより前記ラジカ
ル量を見積もる質量分析装置であって、 該ラジカルをイオン化するための電子ビームの加速電圧
を、前記ラジカルのイオン化電位と、該ラジカルの母ガ
スの解離イオン化電位あるいは母ラジカルの解離イオン
化電位の直下の電位の間の矩形波として印加する手段を
有することを特徴とする質量分析装置。 - 【請求項2】 プラズマ中のラジカルのイオン化電位
と、該ラジカルの母ガスの解離イオン化電位あるいは母
ラジカルの解離イオン化電位の間の電位に質量分析装置
の電子ビーム電圧を設定することにより、該ラジカルの
みからなる信号を取り出す出現質量分析法を用いるラジ
カル計測方法であって、イオン化のための電子ビーム電
圧を「前記ラジカルのイオン化電位」と「前記ラジ
カルの母ガスの解離イオン化電位あるいは母ラジカルの
解離イオン化電位の直下の電位」の間の矩形波として変
化させつつ質量分析装置の信号を取り出し、との該
信号差からラジカル密度を測定することを特徴とするラ
ジカル計測方法。 - 【請求項3】 プラズマ中のラジカルのイオン化電位
と、該ラジカルの母ガスの解離イオン化電位あるいは母
ラジカルの解離イオン化電位の間の電位に質量分析装置
の電子ビーム電圧を設定することにより、該ラジカルの
みからなる信号を取り出す出現質量分析法を用いるラジ
カル計測方法であって、計測基準となる電子ビーム電圧
を「前記ラジカルのイオン化電位」と「前記ラジカルの
母ガスの解離イオン化電位あるいは母ラジカルの解離イ
オン化電位の直下の電位」の間の任意の電位としたの
ち、イオン化のための電子ビーム電圧を「前記ラジカ
ルのイオン化電位」と「前記ラジカルの母ガスの解離
イオン化電位あるいは母ラジカルの解離イオン化電位の
直下の電位」の2つの電位への矩形波として交互に変化
させつつ質量分析装置の信号を取り出し、前記と前記
基準電圧における前記信号差と、前記と前記基準電圧
における前記信号差からラジカル密度を測定することを
特徴とするラジカル計測方法。
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