JP2818736B2 - 誘電体薄膜および誘電体薄膜を用いた薄膜発光素子 - Google Patents

誘電体薄膜および誘電体薄膜を用いた薄膜発光素子

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JP2818736B2 JP7025724A JP2572495A JP2818736B2 JP 2818736 B2 JP2818736 B2 JP 2818736B2 JP 7025724 A JP7025724 A JP 7025724A JP 2572495 A JP2572495 A JP 2572495A JP 2818736 B2 JP2818736 B2 JP 2818736B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種電子素子、表示素
子、調光素子などに利用される酸化タンタルを成分とす
る誘電体薄膜、およびこの誘電体薄膜を用いた薄膜発光
素子(EL素子)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、LSIおよびディスプレー技術な
どの進歩に伴い高誘電率でかつ高絶縁性の薄膜材料に対
するニーズが益々強くなってきている。すなわち、この
薄膜材料は、LSIの小型化のための高誘電率コンデン
サ、ディスプレーの大型化、高信頼性のための高誘電率
絶縁膜などに適用されるものである。特に、透明な基板
上に作製した透明な高誘電率絶縁膜は、さらにその上面
に機能性膜を形成して、透明ガラス上に文字を浮かび上
がらせる表示素子、あるいは、ガラスを透過してくる光
の強度を調整する調光素子などへの応用が盛んにおこな
われるようになってきた。その中でも特に、エレクトロ
ルミネッセンス(以下ELという)ディスプレーの分野
では、より高誘電率で、高絶縁性を持つ薄膜材料が求め
られている。
【0003】EL素子特に全固体薄膜型EL素子は、耐
久性に優れ、自発光性でかつ視認性に優れた表示素子で
あり、フラットパネルディスプレーとして実用化されて
いる。また、薄膜型EL素子は、透明導電膜を一対の電
極に用いることにより、透過型の発光素子とすることが
可能であり、さまざまな応用が期待できる非常に有望な
発光素子である。
【0004】この薄膜型EL素子は、素子の動作原理
上、非常に高い交流電界が印加される。このため、薄膜
型EL素子は、高誘電率絶縁層の絶縁破壊がEL素子の
寿命を制限するという問題がある。したがって、薄膜型
EL素子は、高誘電率で高絶縁性を有する誘電率薄膜が
作製できれば、長寿命で安定的に効率よく発光させるこ
とができる。その結果、薄膜型EL素子は、製造工程で
の歩留りの向上および発光面を大型化することが可能と
なる。
【0005】従来、上記の薄膜型EL素子の絶縁膜とし
ては、二酸化珪素、アルミナ、窒化珪素、酸化イットリ
ウムなどが用いられているが、これらの絶縁膜は、比誘
電率が小さいために、発光層に有効な電圧が印加でき
ず、駆動電圧が高くなるという問題がある。また、薄膜
型EL素子の絶縁層として酸化珪素の5〜6倍の比誘電
率をもつ酸化タンタルを使用する試みがあるが、酸化タ
ンタルの薄膜はITO(酸化インジウム錫)などの透明
導電膜と積層すると、絶縁耐圧が極度に低下するという
問題がある。そこで、酸化タンタルの絶縁膜と透明導電
膜との界面に、二酸化珪素、アルミナ、窒化珪素、酸化
イットリウムなどの薄膜を挿入し絶縁層を多層化する方
法が提案されている(特開昭50−27488号公報、
特開昭54−44885号公報、特開昭56−5243
8号公報、特開昭58−216391号公報)。しか
し、この多層化された絶縁層では著しい効果が期待でき
なかったり、製造工程が複雑化するなどの問題があっ
た。また、酸化タンタル膜中に酸化イットリウム、酸化
タングステンなどを添加して、薄膜の絶縁耐圧を向上さ
せようという試みもおこなわれている(特開平4−36
6504号公報)。この試みでは確かに誘電体薄膜とし
ては絶縁耐圧の向上はできるが、ITOなどの透明導電
膜と積層することにより、絶縁耐圧が極度に低下すると
いう問題点は解決できなかった。
【0006】また、特開平6−32617号公報には、
絶縁膜形成用スパッタリングターゲットとして、酸化チ
タン、酸化バリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウ
ム、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化アルミニウ
ム、酸化亜鉛、酸化珪素および酸化ベリリウムから選ば
れる少なくとも1種の成分を1〜30重量%、残部が酸
化タンタルよりなり、かつ、焼結密度が80%以上であ
る複合酸化物焼結体が開示されている。しかし、この公
報には、酸化タンタルと複合化される金属酸化物として
酸化亜鉛も列挙されているが、他の酸化物と異なり、酸
化亜鉛を用いた複合酸化物焼結体の実施例は開示されて
いない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の事情に
鑑みてなされたもので、誘電体薄膜部分を多層化するこ
となく単層で比誘電率が高く、かつ透明導電膜と積層し
ても絶縁耐圧が低下しない誘電体薄膜およびその誘電体
薄膜を用いた薄膜発光素子とすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、まず、透
明導電膜と積層した酸化タンタル薄膜の絶縁耐圧の低下
原因を、酸化タンタル薄膜中に存在する空乏層へ透明導
電膜から酸素あるいは金属が拡散すること、または、酸
化タンタル膜中に含まれる酸素が透明導電膜中に拡散す
るためと仮定した。そして、上記の拡散現象を防ぐため
には、酸化タンタル中に他の元素を添加することで、酸
化タンタル中の空乏層を安定化させると共に、酸化タン
タル膜中の酸素の拡散が抑制できると考えた。このため
には、まず、透明導電膜に用いる成分元素に着目する必
要があると考えた。この仮定に基づき、酸化タンタルに
酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛などの化合物を配合
した薄膜は、絶縁性に優れ、高誘電率を有することを見
出し本発明を完成した。
【0009】本発明の誘電体薄膜は、酸化タンタルと該
酸化タンタルに含有されている酸化インジウム、酸化
錫、酸化亜鉛の少なくとも1種とからなり薄膜状である
ことを特徴とする。なお、ここでいう薄膜状とは、特に
制限される膜厚ではないが、一般に3μm以下の膜厚を
いう。特に300Å〜1.5μmでは、その効果が充分
に確認され、さらに実用上は1000Å〜5000Åが
重要である。
【0010】本発明の薄膜発光素子は、薄膜発光層の両
主面に誘電体層を被覆した積層構造部を透明電極と背面
電極間に介在してなる薄膜発光素子において、前記誘電
体のうち少なくとも1つは酸化タンタルと該酸化タンタ
ルに含有されている酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛
の少なくとも1種とからなり薄膜状であることを特徴と
する。
【0011】本発明の誘電体薄膜は、In2 3 、Sn
2 、ZnOの少なくとも1種を含む酸化タンタルで薄
膜状に形成されている。酸化タンタル単独の誘電体薄膜
は、絶縁破壊電界強度が高い、透明導電膜とこの酸化タ
ンタル薄膜を積層すると積層体の絶縁破壊電界強度が極
端に低下する。しかし、In2 3 、SnO2 、ZnO
の少なくとも1種を含む酸化タンタル薄膜は、比誘電率
が酸化タンタル単独の薄膜と変わらず絶縁破壊電界強度
にいたっては向上する。また、透明導電膜と積層しても
積層体の絶縁破壊電界強度は低下しない。
【0012】上記の添加成分を含む膜の組成範囲は、上
記に示した添加する成分の種類によって特に大きく変化
することはなく、酸化タンタルに対しIn2 3 、Sn
2、ZnOの少なくとも1種をその総量が55.0a
t%以下添加するのが好ましい。添加成分の量が55.
0at%を超えると、添加元素の影響が大きく現れ、薄
膜の比誘電率および絶縁破壊電界強度が低下するので好
ましくない。特に添加量が0.4at%〜45.0at
%の範囲は、比誘電率も高く、絶縁破壊電界強度も大き
いのでより好ましい。なお、上記の添加物は2種以上
(たとえばITOなど)添加することができる。その場
合には、添加総量が55.0at%以下の範囲内であれ
ば、1種添加した場合と同様の効果が得られる。なお、
ここでat%とは誘電体薄膜を形成する金属原子の総量
を100at%としたときの特定の金属酸化物に含まれ
る金属原子の割合を意味する。
【0013】上記の誘電体薄膜は、たとえば、PVD
(物理的蒸着法)、CVD(化学的蒸着法)、湿式成膜
法たとえばゾルゲル法などの手法を用いて作製すること
ができる。また、上記の添加物の添加方法については限
定するものではないが、酸化タンタル膜中に均一に添加
できる方法、特にPVD法、なかでもマグネトロンスパ
ッタ法は、蒸発源を多数有した装置を用いることができ
膜組成のコントロールが非常に容易であり、かつ、形成
される膜が緻密になるということで、誘電体薄膜の作製
にはこの方法を適用するのがより好ましい。成膜条件
は、上記に限定されるものではないが、成膜時の圧力を
なるべく低く抑えるなど、形成された膜が緻密になる条
件を選択することが好ましい。
【0014】本発明の薄膜発光素子は、薄膜発光層の両
主面に誘電体層を被覆した積層構造部を透明電極と背面
電極間に介在してなる薄膜発光素子に適用できる。薄膜
発光層は公知の無機、有機の発光体層が使用できる。こ
の発光体層に積層される誘電体層は、上記の誘電体膜の
一方の側に透明電極が、他方の側に電極を積層して形成
される。透明電極は誘電体膜を被覆して形成されてい
る。
【0015】誘電体薄膜に積層する透明導電膜としては
ITO、SnO2 (ネサガラス)、AZO(酸化亜鉛ア
ルミニウム)などで形成されたものが用いられる。いず
れの透明導電膜に対しても本発明の誘電体薄膜は積層す
ることができ、積層により絶縁性が低下しない積層体を
形成することができる。なお、この透明電極は、反射型
EL素子(図1においていずれかの電極が透明導電膜で
形成されている)を作製するには非透明電極を用いるこ
とで形成でき、透過型EL素子(図1のいずれの電極も
透明導電膜で形成されている)ではいずれも透明電極と
することで形成できる。
【0016】この誘電体薄膜が使用されるEL素子は、
誘電体薄膜と透明導電膜とが積層されておれば、特に制
限するものではない。たとえば、EL素子の成分すべて
が無機化合物からなる全固体型EL素子、また、発光層
に有機膜を用いたEL素子に適用できる。この誘電体薄
膜は、上記の用途に特に限定するものではなく、LSI
用のコンデンサ膜として、大容量でかつ絶縁耐圧が高い
誘電体膜をコンデンサとしてLSI上に形成してLSI
を小型化するのに使用することができる。
【0017】
【作用】本発明の誘電体薄膜は、酸化タンタルに、In
2 3 、SnO2 、ZnOから選ばれた少なくとも1種
を含有して形成されている。これらの添加成分を含むこ
とにより、酸化タンタルの誘電体薄膜が安定化し、たと
えば、透明導電膜と積層しても比誘電率および絶縁耐圧
が低下しない。この理由については、いまだに明確では
ないが、次のように考えられる。
【0018】すなわち、一般に酸化タンタルは薄膜を作
製すると完全な結晶にならず、結晶中に酸素欠陥が生じ
るなどして空乏層が生成するか、あるいは、酸化タンタ
ルの結晶中に余分に混入した酸素あるいは水酸基が残留
したものとなる。このような状態で上記に示した添加物
を含まない酸化タンタル薄膜は、たとえば、高電圧をか
けることにより、酸化タンタル中の空乏層あるいは酸素
および水酸基が絶縁耐圧を低下させる。また、ITOな
どの透明導電膜は、一般に薄膜を作製した状態ではその
表面が平坦でなくかなりの凹凸のある状態となる。この
透明導電膜と酸化タンタル薄膜とを積層した場合には透
明導電膜表面の凸部に電界が集中したり、透明導電膜成
分が酸化タンタル薄膜層中に移動したり、さらには、酸
化タンタル中の酸素および水酸基が透明導電膜へ移動す
る。このような上記成分の移動により、透明導電膜の電
気抵抗が高くなり、また、酸化タンタル薄膜の絶縁耐圧
の低下につながっていると考えられる。
【0019】本発明の誘電体薄膜は、上記の添加成分を
添加することにより、酸化タンタル膜中の空乏層を完全
に埋めた状態とすることができる。また、透明導電膜の
成分を予め酸化タンタル膜中に入れることによって、透
明導電膜の成分の拡散を抑えることができる。その結
果、酸化タンタル膜の比誘電率を本来の値に維持し、ま
た絶縁耐圧の低下を防ぎ、さらには向上させることがで
きる。
【0020】酸化タンタルに添加する成分は、いずれも
透明導電膜の成分として知られているものであり、これ
らの成分を用いることでなぜ上記の効果が発現するかは
まだ解明されていない。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 (実施例1)本発明にかかる誘電体薄膜および誘電体薄
膜と透明導電膜とを積層して特性を評価した。
【0022】本実施例の誘電体薄膜は、マグネトロン同
時スパッタ法により以下の条件で作製した。マグネトロ
ン同時スパッタ装置内に2種のターゲット、すなわちT
2 5 ターゲットと添加物ターゲットを同時に配置
し、各々のターゲットに印加する投入電力を調整して、
生成する薄膜の組成比を変化させて成膜した。
【0023】次に成膜条件は、ターゲットは酸化物を使
用し、Ta2 5 のターゲットと添加物元素の酸化物と
してIn2 3 、SnO2 、ZnO、さらに2種の成分
を用いた場合のITO(95wt%In2 3 +5wt
%SnO2 )の各ターゲットを用いた。スパッタガス
圧;1.5×10-3Torr、残留ガス圧;3×10-6
Torr、スパッタ雰囲気;30%の酸素を含むアルゴ
ン、基板温度;室温として成膜した。
【0024】基板は、厚さ約400μm、n型、面指数
(100)、比抵抗0.02Ωcmの単結晶シリコン
と、その単結晶シリコン上に透明導電膜ITO(タ−ゲ
ットの組成95wt%In2 3 +5wt%SnO2
を約1200Å成膜したものを使用した。得られた誘電
体薄膜の性能評価は、図2の断面模式図に示すMIS構
造を形成し、アルミニウム電極を配して測定した。
【0025】この断面模式図のMIS構造は、Sbがド
ープされたn型Si基板1と、その上面に形成された添
加物成分を含む酸化タンタル薄膜2と、その基板1の裏
面側には基板前面に蒸着で形成されたアルミニウムのオ
ーミック電極3と、酸化タンタル薄膜2の上面にマスク
蒸着で厚み約3000Å、面積約1.9×10-3cm 2
のアルミニウムのドット電極4とが設けられている。
【0026】このアルミニウム電極3、4間に回路を設
けI−V(リーク電流−電圧)、C−V(容量−電圧)
特性からリーク電流密度が1μA/cm2 に達する電界
強度と比誘電率とを求め絶縁破壊電界強度を評価した。
また、性能指数は比誘電率と絶縁破壊電界強度との積と
して求めた。なお、I−V特性はアルミニウムドット電
極(ゲート電極)を+(プラス)にバイアスしておこな
った。
【0027】上記の成膜方法に基づき、成膜基板の種
類、添加物の種類と量を変え表1および表2に示す添加
物成分の種類および含有量の異なる各誘電体薄膜試料N
o.1〜38を作製した。なお、得られた膜の膜厚は表
1および表2に示すように1230Å〜1910Åの間
であった。また、得られた薄膜の組成成分(添加量)に
ついてはEPMA分析器で定量分析した。また、表3に
比較例として、添加物を全く加えない膜も同様に作製し
比較例試料No.1〜6に示した。この各試料を上記の
評価法により評価した結果を表1、2、3および表に示
す測定値に基づいて絶縁破壊電界強度、比誘電率、性能
指数をそれぞれプロットしたグラフを図3〜図17に示
す。
【0028】なお、この誘電体薄膜の膜厚が極端に薄い
場合(約300Å)および極端に厚い場合(約1.5μ
m)でも、酸化タンタル中に添加物元素を加えた膜と加
えない膜について検討したが、特性の傾向は以下に示す
ものと同様であり、膜厚による効果への影響はなかっ
た。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】表3に示したように、Siのような金属基
板上に酸化タンタル単独の薄膜を形成した場合(比較試
料No.1〜3)は、図3に示すように絶縁破壊電界強
度が膜厚に関係なくほぼ一定で高い値を示した。また、
比誘電率は図8に示すように酸化タンタルの膜厚の増加
と共に大きくなり、性能指数も図13に示すように比較
的大きい値を示した(いずれも白丸印)。
【0033】一方、表1に示したようにSiのような金
属基板上に酸化タンタルにITO、In2 3 、SnO
2 、ZnOを加えて薄膜を形成した場合(試料No.1
〜19)は、絶縁破壊電界強度を図4(ITO添加)、
図5(In2 3 添加)、図6(SnO2 添加)、図7
(ZnO添加)(いずれも白丸印)に示すように、いず
れも酸化タンタル単独と同じレベルかそれ以上の値を示
した。なお、絶縁破壊電界強度は、添加物の量が60a
t%を超えると全般的に低下している。したがって、添
加量は、55.0at%以下が好ましい。
【0034】図9(ITO添加)、図10(In2 3
添加)、図11(SnO2 添加)、図12(ZnO添
加)に比誘電率のグラフを示す。本実施例の誘電体薄膜
の膜厚は、酸化タンタル単独で形成した膜厚と必ずしも
同じではないが、比誘電率は若干小さい値もあるが、略
同程度の値を示した。なお、比誘電率の値は、Si基板
上における値と、透明導電膜上における値が変らないた
め、Si基板上における値を代表させて示した(白丸
印)。
【0035】図14(ITO添加)、図15(In2
3 添加)、図16(SnO2 添加)、図17(ZnO添
加)(いずれも白丸印)に性能指数のグラフを示す。こ
の性能指数の値は、酸化タンタル単独の場合(比較試料
No.1〜3)よりすべて大きな値を示した。したがっ
て、本実施例の誘電体薄膜は絶縁破壊強度および比誘電
率が酸化タンタル単独のものより優れていることを示し
ている。
【0036】次に表3に示すように、Si基板に透明導
電膜であるITOを形成しその上面に、酸化タンタル単
独の薄膜を形成した場合(比較試料No.4〜6)は、
絶縁破壊電界強度が図3の黒丸印に示すように極端に低
下した。また誘電率の低下はないものの性能指数は図1
3の黒丸印に示すように非常に低下してしまった。一
方、表2に示すように、Si基板に透明導電膜であるI
TOを形成しその上面に、酸化タンタルにITO、In
2 3 、SnO2 、ZnOを加えた薄膜の場合(試料N
o.20〜38)は、絶縁破壊電界強度を、図4(IT
O添加)、図5(In2 3 添加)、図6(SnO2
加)、図7(ZnO添加)(いずれも黒丸印)に示すよ
うにSi基板に直接成膜した場合と殆ど変わりなく高い
値を示した。また、比誘電率の値は変らないため、性能
指数は図14(ITO添加)、図15(In2 3
加)、図16(SnO2 添加)、図17(ZnO添加)
(いずれも黒丸印)のグラフに示すように高い値のまま
保つことができた。
【0037】以上の結果から、酸化タンタルにITO、
In2 3 、SnO2 、ZnOを添加物として加えるこ
とによって性能指数を酸化タンタル単独の場合より高め
ることができる。また、誘電体薄膜を透明導電膜と積層
した場合でも、絶縁破壊電界強度を低下させることな
く、性能指数を高く保つことができることが分かった。
なお、ここで添加物の添加量について、添加する元素に
よって大きく変化することはなく55.0at%未満が
適当である。特に添加量は0.4〜45.0at%の範
囲がより比誘電率、絶縁破壊電界強度の値から優れてい
ることが判明した。(実施例2)本発明の誘電体薄膜を
透明導電膜と積層してEL素子に適用した場合について
述べる。
【0038】In2 3 を含む酸化タンタル薄膜を用い
て図1の断面模式図に示すEL素子を作製した。まず、
ガラス基板上に膜厚約1200ÅのITO透明導電膜を
電極として形成し、高誘電率絶縁膜としてIn2 3
有酸化タンタル薄膜をスパッタ法で成膜した。この場
合、ターゲットとしてはIn2 3 およびTa2 5
酸化物焼結体ターゲットを用い、2元同時スパッタによ
りInの比率が原子数比で約15at%なるように、タ
ーゲットに投入する電力を制御し成膜した。また、高誘
電率絶縁膜の成膜の際に、酸素が充分に膜中にとりこま
れないので、これを補うために酸素をアルゴンガス中に
30%添加したガスで、基板温度を200℃に保持して
おこなった。得られた薄膜の膜厚は、3000Åであ
る。さらに、高誘電率絶縁膜の膜厚については、膜厚を
1000Å〜5000Åまで変化させたが、絶縁性は特
に問題がなかった。なお、その他のスパッタ条件は、実
施例1と同様にしておこなった。
【0039】発光層は、高誘電率絶縁膜の上面に、赤橙
色発光を示すSmをドープしたZnSを約3000Åの
膜厚にアルゴンガス中で基板温度を200℃に保って成
膜した。さらにこの発光層の上面に、高誘電率絶縁膜を
再度同様な条件で成膜し、上部電極としてAl電極を約
3000Åの膜厚に真空蒸着して全固体型EL素子を形
成した。なお、このEL素子の発光部分の面積は10m
m×30mmの大きさで、1つの基板に4個の発光部分
を有するものである。
【0040】このEL素子は、室温雰囲気中で電圧13
0V,周波数1KHzの電界をかけることにより、4個
同時に安定して赤橙色発光を長時間(3カ月以上)おこ
なうことができ、従来品に比べ飛躍的に寿命が向上し
た。(従来は、作製当日および数日間の耐久でいずれか
の発光面が絶縁破壊を生じる状態であった)なお、薄膜
EL素子の高誘電率絶縁膜に上記誘電体薄膜および誘電
体薄膜を用いた構造体を使用することにより、透明導電
膜(電極)上でも高い絶縁性を保持できるため、EL素
子の生産性、安定性が向上する。また、この誘電体薄膜
は、基板温度が室温〜300℃と低温で成膜できるの
で、発光層の材料に依存せず適用でき、複合膜のため成
膜工程が複雑にならないといった工程上の効果がある。
【0041】
【発明の効果】本発明の誘電体薄膜および誘電体薄膜を
用いた薄膜EL素子は、透明導電膜との積層の有無に関
わらず、酸化タンタル膜本来が有する値さらにはそれ以
上の値、すなわち比誘電率=17〜23、かつ絶縁破壊
電界強度(絶縁耐圧を絶縁破壊電界強度で評価し、比較
した)=2.4〜5.5MV/cmに保ことができ、性
能指数(比誘電率×絶縁破壊電界強度)においては、同
一基板上での酸化タンタル薄膜以上の値を得ることがで
きた。また、このことにより、従来問題となっていた透
明な薄膜EL素子の作製に対して、1つの基板上に10
mm×30mmの大きさの発行面を4個作製し、同時に
安定して発光する素子を作製することができるようにな
った。なお、作製装置を大型化することで、基板をより
大きくすることができ、さらに大面積の発光素子が作製
できると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この図は本実施例のEL素子の構造の断面模
式図である。
【図2】 この図は本実施例で作製した膜の特性評価法
を説明する断面模式図である。
【図3】 この図は比較例の酸化タンタル薄膜の絶縁破
壊電界強度を示すグラフである。
【図4】 この図は実施例のITOを含む酸化タンタル
薄膜の絶縁破壊電界強度を示すグラフである。
【図5】 この図は実施例の酸化インジウムを含む酸化
タンタル薄膜の絶縁破壊電界強度を示すグラフである。
【図6】 この図は実施例の酸化錫を含む酸化タンタル
薄膜の絶縁破壊電界強度を示すグラフである。
【図7】 この図は実施例の酸化亜鉛を含む酸化タンタ
ル薄膜の絶縁破壊電界強度を示すグラフである。
【図8】 この図は比較例の酸化タンタル薄膜の比誘電
率を示すグラフである。
【図9】 この図は実施例のITOを含む酸化タンタル
薄膜の比誘電率を示すグラフである。
【図10】 この図は実施例の酸化インジウムを含む酸
化タンタル薄膜の比誘電率を示すグラフである。
【図11】 この図は実施例の酸化錫を含む酸化タンタ
ル薄膜の比誘電率を示すグラフである。
【図12】 この図は実施例の酸化亜鉛を含む酸化タン
タル薄膜の比誘電率を示すグラフである。
【図13】 この図は比較例の酸化タンタル薄膜の性能
指数を示すグラフである。
【図14】 この図は実施例のITOを含む酸化タンタ
ル薄膜の性能指数を示すグラフである。
【図15】 この図は実施例の酸化インジウムを含む酸
化タンタル薄膜の性能指数を示すグラフである。
【図16】 この図は実施例の酸化錫を含む酸化タンタ
ル薄膜の性能指数を示すグラフである。
【図17】 この図は実施例の酸化亜鉛を含む酸化タン
タル薄膜の性能指数を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 多賀 康訓 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−228593(JP,A) 特開 平5−182766(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05B 33/22

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化タンタルと該酸化タンタルに含有さ
    れている酸化インジウムおよび酸化錫の少なくとも1種
    とからなり薄膜状であることを特徴とする誘電体薄膜。
  2. 【請求項2】 前記誘電体薄膜を構成する前記酸化タン
    タル、酸化インジウムおよび酸化錫に含まれるタンタ
    ル、インジウムおよび錫原子の総量を100at%とす
    ると前記酸化インジウムおよび前記酸化錫に含まれるイ
    ンジウムおよび錫原子の総量は55at%以下である請
    求項1記載の誘電体薄膜。
  3. 【請求項3】 前記酸化インジウムおよび前記酸化錫に
    含まれるインジウムおよび錫原子の総量は0.4at%
    〜45.0at%である請求項2記載の誘電体薄膜。
  4. 【請求項4】 酸化タンタルと該酸化タンタルに含有さ
    れている酸化亜鉛とからなり薄膜状であることを特徴と
    する誘電体薄膜。
  5. 【請求項5】 前記誘電体薄膜を構成する前記酸化タン
    タルおよび前記酸化亜鉛に含まれるタンタル、および亜
    鉛原子の総量を100at%とすると前記酸化亜鉛に含
    まれる亜鉛原子は55at%以下である請求項4記載の
    誘電体薄膜。
  6. 【請求項6】 前記酸化亜鉛に含まれる亜鉛原子は0.
    4at%〜45.0at%である請求項5記載の誘電体
    薄膜。
  7. 【請求項7】 薄膜発光層の両主面に誘電体層を被覆し
    た積層構造部を透明電極と背面電極間に介在してなる薄
    膜発光素子において、前記誘電体のうち少なくとも1つ
    は酸化タンタルと該酸化タンタルに含有されている酸化
    インジウムおよび酸化錫の少なくとも1種とからなり薄
    膜状であることを特徴とする薄膜発光素子。
  8. 【請求項8】 前記誘電体を構成する前記酸化タンタ
    ル、酸化インジウムおよび酸化錫に含まれるタンタル、
    インジウムおよび錫原子の総量を100at%とすると
    前記酸化インジウムおよび前記酸化錫に含まれるインジ
    ウムおよび錫原子の総量は55at%以下である請求項
    7記載の薄膜発光素子。
  9. 【請求項9】 前記酸化インジウムおよび前記酸化錫に
    含まれるインジウムおよび錫原子の総量は0.4at%
    〜45.0at%である請求項8記載の薄膜発光素子。
  10. 【請求項10】 薄膜発光層の両主面に誘電体層を被覆
    した積層構造部を透明電極と背面電極間に介在してなる
    薄膜発光素子において、前記誘電体のうち少なくとも1
    つは酸化タンタルと該酸化タンタルに含有されている酸
    化亜鉛とからなり薄膜状であることを特徴とする薄膜発
    光素子。
  11. 【請求項11】 前記誘電体を構成する前記酸化タンタ
    ルおよび前記酸化亜鉛に含まれるタンタルおよび亜鉛原
    子の総量を100at%とすると前記酸化亜鉛に含まれ
    る亜鉛原子は55at%以下である請求項10記載の薄
    膜発光素子。
  12. 【請求項12】 前記酸化亜鉛に含まれる亜鉛原子は
    0.4at%〜45.0at%である請求項11記載の
    薄膜発光素子。
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