JP2816006B2 - 放射性廃棄物の固化処理方法 - Google Patents

放射性廃棄物の固化処理方法

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JP2816006B2
JP2816006B2 JP2256151A JP25615190A JP2816006B2 JP 2816006 B2 JP2816006 B2 JP 2816006B2 JP 2256151 A JP2256151 A JP 2256151A JP 25615190 A JP25615190 A JP 25615190A JP 2816006 B2 JP2816006 B2 JP 2816006B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は原子力発電所で発生する濃縮廃液、使用済み
のイオン交換樹脂、フィルター助剤などの放射性廃棄物
の固化処理方法に関する。
(従来の技術) 原子力発電所では、一次系の水処理に使われたイオン
交換樹脂、フィルター助剤、あるいはイオン交換樹脂を
再生処理する際に使われた硫酸やカセイソーダが中和後
に濃縮されたり、発電所内で発生する雑廃水を濃縮した
りして濃縮廃液が発生する。
従来、これらの原子力発電所のプロセス機器等から発
生する放射性廃棄物は、セメント固化処理されたりプラ
スチック固化処理されたりしていた。
例えば、セメント固化処理の場合には、濃縮廃液は一
定量を定量してドラム缶に注入され、それに一定量のセ
メントを加え、ドラム缶内で均一に混合され、セメント
固化体とされていた。また、廃樹脂・廃スラッジの場合
には、脱水機で脱水処理された後、定量してドラム缶に
充填され、これに一定量のセメントを加え、均一に混合
し、セメント固化体とされていた。
ところで、濃縮廃液を固化処理した場合には、濃縮に
使われる蒸発缶の腐蝕の問題から、濃縮廃液が必ずしも
十分に濃縮されず、廃液に含まれる本来の放射性廃棄物
成分である塩分、固形分の濃度が十分に高くなく、水が
大部分を占める状態で固化処理されるために余計な廃棄
物を発生させ、廃棄物固化体発生本数が多くなってい
た。
また、廃樹脂・廃スラッジの場合には、これら廃棄物
を移送する時に必要な水を取除き、廃棄物成分のみに濃
縮する必要上、脱水処理される。この脱水処理は、通
常、遠心力によったり、フィルターによったりして実施
されるが、いずれにしても大掛りな脱水処理設備が必要
で、その運転、維持が非常に困難であった。特に放射能
濃度が高い場合には、その処理は不可能であった。
プラスチック固化法やペレット固化法は、セメント固
化法の廃棄物減容性が悪いことに着目して開発された放
射性廃棄物の固化処理方法である。
これらの方法では、放射性廃棄物は、先ず乾燥処理さ
れて廃棄物に含まれる余分な水分を完全に取除かれ、廃
棄物の量は大幅に減容される。続いて乾燥処理され、粉
体化した放射性廃棄物は不飽和ポリエステル樹脂、触
媒、および促進剤と均一に混合され、ドラム缶に充填さ
れた後、重合反応により硬化させ、プラスチック固化さ
れたり、ゴム状の弾性体と混練し、押出し成形して、ペ
レット状の固化体とされる。
ところで、これらのペレット固化法やプラスチック固
化法には、いずれも大掛りなプロセスが必要である。即
ち、これ等の固化法においては、いずれも先ず放射性廃
棄物を乾燥処理する必要がある。この乾燥処理には竪型
薄膜乾燥機が使われるのが普通であるが、この乾燥機に
は蒸気が必要であり、その温度を正確に制御する必要が
ある。さもなければ、放射性廃棄物を予定された含水率
まで下げることは不可能である。また、乾燥機の能力に
見合った蒸気の供給を受けねば、所定の含水率の乾燥粉
体を下流設備に送ることはできない。このため、放射性
廃液の乾燥処理設備のみでも相当に複雑であり、大掛り
なものになる。
さらにプラスチック固化法の場合には、乾燥処理さ
れ、粉体化された放射性廃棄物は、プラスチック固化の
ため、不飽和ポリエステル樹脂と均一に混合され、更
に、不飽和ポリエステル樹脂を重合硬化させるための触
媒、促進剤を均一に混合される必要がある。このために
は、大掛りな混合処理システムが必要である。
この混合処理システムはバッチ処理であり、乾燥処理
システムは連続処理であるために、この両システムをス
ムーズに運転するために、これらの間に粉体ホッパを設
置する必要がある。したがって、プラスチック固化法は
乾燥処理システム、粉体貯蔵システム、混合処理システ
ムの三つのシステムが必要になり、複雑、大掛りなもの
にならざるを得なかった。
ペレット固化法の場合は、乾燥処理された粉体は若干
量のバインダと混合され、これが混練りされ、押出し、
成形される必要があり、乾燥処理システムの後段に混合
機、混練機、および押出し機を設置する必要がある。こ
れらの三つの装置はいずれも大掛りなものであり、ペレ
ット固化法のシステムは、プラスチック固化法と同様
に、複雑、大規模なものとならざるを得なかった。
上記の両廃棄物減容固化システムは、従来の原子力発
電所で、放射性廃棄物の発生量が多量であり、これを限
られた時間内で発生した廃棄物を固化処理する必要があ
るときは非常に有用であり、従来型の原子力発電所で
は、これらの固化システムが有効に利用されている。
しかしながら、最新鋭の原子力発電所においては、原
子炉一次系の水処理技術の大幅の進歩により、廃棄物の
発生量が激減している。例えば、中空糸膜フィルターの
採用により、従来使われていたフィルター助材が必要で
なくなり、フィルター助材の粉末イオン交換樹脂などの
発生が殆ど無くなってしまった。また、初期の原子力発
電所では種々のトラブルが発生し、それによる放射性廃
液や廃棄物の発生も多かったが、最近のプラントではこ
うしたトラブルも克服され、これらの発生も無くなっ
た。
したがって、従来型の原子力発電所を基準に設計され
たプラスチック固化システムやペレット化システムは、
最新鋭の原子力発電所においては無用の長物となりかね
ない状況にあり、もっと廃棄物発生状況に適合した固化
処理システムが望まれている。
ところで、我が国においても、低レベル放射性廃棄物
の浅地層処分が具体化し、安全性評価が進むに従い、評
価上重要な核種が明らかになってきた。即ち、炭素14や
α核種のように長半減期核種が評価上重要になる。ま
た、浅地層処分場の人工バリアはコンクリートで建設さ
れるが、コンクリートは硫酸基に弱く、この硫酸基とコ
ンクリート中のセメントとの反応によりコンクリートが
膨脹し、破壊されるおそれがあることが明らかになっ
た。
プラスチック固化体やペレット固化体の場合は特に炭
素14の保持能力が乏しいことが知られている。すなわ
ち、炭素14は廃液中で炭酸イオンとして存在し、BWR原
子力発電所では、これが硫酸ナトリウム溶液の中に溶解
しているため、炭酸ナトリウムの状態であると考えられ
る。この場合、炭素14も水溶性であり、そのまま乾燥処
理し、粉体化した状態で硫酸ナトリウム結晶と共に炭酸
ナトリウムとして固化されるプラスチック固化体やペレ
ット固化体では、水と接した場合には、当然に硫酸ナト
リウムと共に炭酸ナトリウムも水に溶け出すため、炭素
14も固化体に留まることはない。
このように炭素14の保持能力が極めて低いことは、プ
ラスチック固化体、ペレット固化体の重大な欠点である
と考えられている。
この点、セメント固化体の場合には、炭酸イオンはセ
メント中のカルシウムイオンと反応して炭酸カルシウム
となり、水に溶け難くなるため、セメント固化体中に残
留し、したがって、炭素14も固化体に留まり、水相に移
行する量は極めて小さく抑えられる。また、α核種もセ
メント中ではセメント中の成分と親和性が高く、水相へ
は殆ど移行しない。それ故、セメント固化体は長半減期
核種の保持能力が高く、安全評価上有利な固化体と考え
られる。
しかしながら、通常、セメント固化に使われるセメン
トはカルシウムシリケートを主成分とするもので、これ
に硫酸基が反応するとエトリングライトを生成し、その
体積がセメントの元の成分に比較して約3倍に増加する
ために、セメントは膨脹し、自ら崩壊してしまう。これ
はセメント固化体の大きな欠点である。
(発明が解決しようとする課題) 以上述べたように、従来の原子力発電所における低レ
ベル放射性廃棄物の固化処理方法は、セメント固化法、
プラスチック固化法およびペレット固化法のいずれも大
きな欠点を有するとともに、特に、最新鋭の原子力発電
所に対しては、その放射性廃棄物の質的、量的な変化に
適合しておらず問題であった。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、
従来の低レベル放射性廃棄物の固化体の有する欠点を解
消するとともに、最新鋭の原子力発電所の放射性廃棄物
の性状、発生量に適合した放射性廃棄物の固化処理方法
を提供することを目的とする。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明の放射性廃棄物の固化処理方法は、原子力発電
所で発生する放射性濃縮廃液および廃樹脂・廃スラッジ
を混合槽内で混合して、放射性濃縮廃液中のイオン成分
を吸着するイオン成分吸着工程と、このイオン成分を吸
着した放射性濃縮廃液および廃樹脂・廃スラッジを、放
射性廃棄物貯蔵容器内で中空糸膜フィルタにより脱水す
る脱水処理工程と、この脱水した放射性濃縮廃液および
廃樹脂・廃スラッジにセメントを加えて、前記放射性廃
棄物貯蔵容器内で固化する固化工程と、前記脱水した廃
液を濃縮処理して、放射性濃縮廃液として前記イオン吸
着工程にて再処理する再処理工程とを有することを特徴
とするものである。
なお、本発明は次のような実施態様を含むものであ
る。
即ち、容器内での脱水処理工程において、脱水用の膜
として中空糸膜を用いると共に、脱水処理した後の放射
性廃棄物のセメント固化に際してカルシウムアルミネー
ト系のセメントを用いる。また、放射性廃棄物の処理容
器として、カルシウムアルミネート系のセメントで内張
りされ、かつそのセメントが熱重合性の高分子材料を含
浸され、硬化処理されたものを用いる。
(作用) 最新鋭の原子力発電所においては、復水器の冷却管に
チタン合金が使用されており、海水による腐蝕、それに
よる復水への海水リークは皆無になり、復水脱塩器に用
いられるイオン交換樹脂の再生処理も殆ど必要が無くな
り、再生時に発生する再生廃液の発生も殆ど無くなっ
た。
原子力発電所で発生する廃液は蒸発缶により濃縮され
るが、濃縮限界は硫酸ナトリウムの濃度約25%、あるい
は濃縮器の腐蝕を避けるために、例えば、5000ppmの塩
素イオン濃度で決められている。
最新鋭の原子力発電所においては、再生廃液が殆ど発
生しないため、濃縮限界は塩素イオン濃度で決められ、
したがって廃液中のイオン濃度、固形分濃度は極めて低
く、殆どが水分の放射性廃棄物となっている。
一方、復水脱塩器や原子炉浄化系で使われる粒状ある
いは粉末のイオン交換樹脂は極めて純度の高い水の浄化
に使用されているため、そのイオン交換能は殆どが残さ
れたままで廃棄されることになる。したがって、イオン
成分の比較的低い濃縮廃液と多量に発生するイオン交換
能を多量に残したイオン交換樹脂を混合することによ
り、濃縮廃液中のイオン成分はイオン交換樹脂に吸着さ
れ、廃棄物としては発生しなくなり、廃棄物発生量が減
少したことになる。
濃縮廃液、イオン交換樹脂の混合した廃液は一時廃液
貯蔵タンクに蓄えられ、その後、廃棄物貯蔵容器に脱水
機能を持たせたものに、徐々に給液される。
この容器内には、膜フィルターがセットされていて、
廃棄物中の水分はそのフィルターを通して抜取られる。
容器中の水分分離膜には中空糸膜のようなち密な膜が使
用され、廃液中の固形分は殆ど除去される。したがっ
て、容器から排出される水には、放射性廃棄物は殆ど残
留せず、大部分が廃棄物容器内に残留する。
取出された水には、若干の放射能が残留するので、放
射性廃液処理系へ戻され、再び濃縮され、同じプロセス
を経て、放射性廃棄物容器に充填される。
脱水処理された後の放射性廃棄物はカルシウムアルミ
ネート系のセメントで固化処理するのが、安定な固化体
を作るために望ましい。通常のカルシウムシリケートを
主成分とするポルトランドセメントや、高炉セメント類
は用いない。なぜならば、これらのセメントは硫酸基が
存在すると、エトリングライトと呼ばれる物質を生成
し、このためにセメントの体積が約3倍に増加し、この
ためセメントは破壊され、細かく砕かれてしまい、最後
には砂状のものになってしまうからである。
カルシウムアルミネート系のセメントの場合には、ポ
ルトランドセメントや、高炉セメント類に比較して、化
学的に安定であり、上述のような膨脹反応は無く、安定
である。これは、カルシウムアルミネート系のセメント
はエトリングライトのような成分を含まず、硫酸基に対
しても極めて安定であるからである。このように、カル
シウムアルミネート系のセメントは化学的安定性に優れ
ていると共に、ち密な構造のセメントであり、放射能保
持能力の高いセメント固化体を作ることができるという
特徴を有している。
ところで脱水処理後の放射性廃棄物の中には、廃棄物
中の水分、あるいはイオン交換樹脂の交換基に多量の硫
酸基がついており、これをセメント固化した場合には、
硫酸基が遊離し、これがセメントと反応することが懸念
される。したがって、上記のアルミナ・シリカセメント
を用いることによって、硫酸基とセメントとの反応によ
る固化体の不安定化を防ぐことが可能である。
以上の硫酸基に対する安定性の他に、セメントを用い
て固化処理するために、放射性廃棄物固化体に含まれる
炭素14を含む炭酸イオンは炭酸カルシウムの形で安定化
されており、固化体中のセメント成分中に固定されてい
て、固化体の外に出てくることがない。また、プルトニ
ウムのような超ウラン元素もアルカリ性の強いセメント
の中では、水に対する溶解度は極めて低く、安定化され
ている。したがって、アルミナ・シリカセメントを用い
ることによって、安全性評価上重要と考えられている以
上の長寿命の放射性核種に対しても保持能力があり、長
期の安定性に富んだ放射性廃棄物固化体にすることがで
きる。
また、放射性廃棄物貯蔵容器にもカルシウムアルミネ
ートを内張りに用いることによって、硫酸基に対して安
定なバリア層ができ、固化体の放射性保持能力が高めら
れる。ここでも、カルシウムアルミネートを用いること
により、更に固化体の長期の安定性が得られる。また、
容器内張りのカルシウムアルミネート層を熱重合性の高
分子、例えばスチレンで含浸し、これを重合硬化させて
おくと、バリア層での水の浸透性が極めて低くなり、放
射能の廃棄物固化体外への浸出を抑制することができ
る。
このように、セメントを高分子材料で含浸処理した場
合には、放射能の浸出を処理しない場合に比較して、1/
1000以下に低くすることが可能で、廃棄物固化体の環境
への影響を低減し、安全性を高めることができる。
(実施例) 次に、図面を参照して、本発明による放射性廃棄物の
処理プロセスの実施例を示す。
第1図において、原子力発電所で発生する放射性廃棄
物であるイオン交換樹脂、能種廃液は、廃棄物受タンク
1、濃縮廃液受けタンク2に一時的に貯蔵される。混合
槽3は、イオン交換樹脂と濃縮廃液を混合し、濃縮廃液
中のイオン成分をイオン交換樹脂に吸着させるためので
ある。混合槽3には、硫酸タンク4とカセイソーダタン
ク5が連結されている。
また、混合槽3には、撹はん用ポンプ6、電気伝導度
計7およびpHメータ8を備えたポンプ系配管9が取付け
られており、混合槽内の廃液は、撹はん用ポンプ6によ
って撹はんされ、また電気伝導度計7およびpHメータ8
によって廃液の状態を監視される。
混合槽3には、廃棄物受けタンク1からのイオン交換
樹脂廃棄物が最初に受入れられ、これに濃縮廃液受けタ
ンク2からの濃縮廃液が受入れられる。この濃縮廃液の
受入れは、電気伝導度計7とpHメータ8を監視しながら
行われる。
受入れの初期はイオン交換樹脂の交換容量が十分にあ
り、濃縮廃液中のイオン成分はすべてイオン交換樹脂に
吸着されるために、廃液のpHは中性であり、電気伝導度
も極めて低く、純水に近い性状を示している。
イオン交換樹脂のカチオン基、アニオン基が飽和する
と、濃縮廃液中のイオン成分が吸着されなくなり、混合
槽3内の水の電気伝導度が急速に上昇する。また、カチ
オン基のみが飽和した場合には、ナトリウムイオンのよ
うな陽イオンが水中に増加することになり、混合槽3内
の水はpHがアルカリ側に傾いてくる。アニオン基が飽和
した場合には、陰イオンが水中に濃度を増すために混合
槽3内の水は酸性側に傾く。
このようにpHと電気伝導度の監視により、イオン交換
樹脂中のイオン交換能の飽和状態を監視し、濃度廃液の
混合槽への注入を行う。このようにしてイオン交換樹脂
中のイオン交換能を濃縮廃液のイオン成分の吸着にでき
る限り効率よく使用し、廃棄物の減容を計る。
ただし、濃縮廃液の量がイオン交換樹脂廃棄物の量よ
り多い場合には、濃縮廃液をイオン交換樹脂容量以上に
混合槽3内に送込む。この場合、イオン交換樹脂のカチ
オン樹脂、アニオン樹脂ともに飽和するが、アニオン
基、カチオン基ともに等量が廃棄物中にあるわけではな
いので、混合槽内の廃液のpHはアルカリ、あるいは酸性
側に著しく傾く可能性がある。そこで硫酸タンク4から
の硫酸と、カセイソーダタンク5からのカセイソーダ
を、pHを監視しながら、混合槽3に徐々に加え、槽内の
pHを弱アルカリにする。
調整の終了後、混合槽内の放射性廃棄物は一部がサン
プリングされ、廃液中の固形分濃度と放射能濃度を分析
される。これは次の行程に余分な廃棄物を送らないよう
にすると共に、放射性廃棄物中での放射能濃度および放
射性核種濃度を正確に把握しておくためである。
このようにして混合槽3内で調整を終えた放射性廃棄
物は定量供給ポンプ10で加圧され、放射性廃棄物貯蔵容
器11に送込まれる。この容器11はアルミナ・シリカセメ
ントから成るセメントバリア層12で内張りされている。
定量供給ポンプ10は、レベル計13と連動しており、廃
棄物貯蔵容器11中の放射性廃棄物の液面を監視しつつ作
動する。
放射性廃棄物貯蔵容器11の中心には、中空糸膜フィル
タ14が設置されており、抽出用ポンプ15により吸引され
ている。この廃液の吸引もレベル計13と連動しており、
廃棄物貯蔵容器11内の廃棄物量を監視しつつ、廃棄物中
の水分を中空糸膜フィルタ14を通して容器外へ取出す。
混合槽3内の廃棄物の固形分濃度の分析値より放射性
廃棄物貯蔵容器11内に充填すべき廃棄物量および水の量
が計画可能であり、予定量が供給されたとき、廃棄物貯
蔵容器11への廃液の供給は停止される。
中空糸膜フィルタ14で取出された若干の放射能を含む
廃液は放射性廃液濃縮器16へ送られ、濃縮され、減容さ
れる。この濃縮廃液は再び濃縮廃液受けタンク2に戻さ
れる。
次に、廃棄物が充填された放射性廃棄物貯蔵容器11
は、第2図に示すように、固化処理位置に移動され、セ
メントホッパ20内に蓄えられたアルミナ・シリカセメン
トがセメント定量供給器21を経て、廃棄物貯蔵容器11内
に定量供給される。
廃棄物貯蔵容器には、インドラム混合用の撹はん器22
が挿入され、セメントと廃棄物を均一に混合する。均一
混合後、撹はん器22は抜き出され、廃棄物貯蔵容器11の
上端を貯蔵用の蓋(図示せず)でキャッピングした後、
放置する。
放置する間に、アルミナ・シリカセメントは廃棄物中
に残留している水分によって水和反応を始め、硬化す
る。その結果、水和反応が完了するほぼ一週間後には、
完全に固まったセメント固化体ができあがる。
なお、第2図のように撹はん器22によりセメントと廃
棄物を混合する場合には、撹はん器22の洗浄、撹はん器
分の廃棄物充填量の減少といった欠点がある。
そこで、第3図に示すように、廃棄物貯蔵容器11の上
端を蓋30でキャッピングし、廃棄物貯蔵容器11を横倒し
にして、ドラム回転機架台31の回転ローラ32の上に載
せ、容器全体を転がすことによって、セメントと廃棄物
の均一な混合を行うことができる。この場合、撹はんを
完ぺきに行うために貯蔵容器内側にドラム内撹はん翼33
をつけておくのが望ましい。
このようにすれば、インドラム混合用撹はん器22によ
る撹はんの時のような撹はん翼の洗浄が不必要で、余分
な廃液の発生がないという利点がある。しかしながら、
この場合には、廃棄物貯蔵容器11のキャッピングを厳密
に行い、放射性廃液の漏洩が完全に妨げるように考慮す
る必要があり、蓋締めの設備が撹はん翼を用いる場合に
比べておおげさになる欠点がある。
以下に、上述した放射性廃棄物処理プロセスで処理し
た場合を想定して行った実験例を示す。
イオン交換樹脂廃棄物の例として、粉末イオン交換樹
脂を模擬廃棄物として、実験を行った。
廃棄物のカチオン樹脂、アニオン樹脂の比率は2:1で
あり、イオン交換基は殆ど消費されておらず、カチオン
樹脂で約2meq/g、アニオン樹脂で約1meq/gのイオン交換
基が活性であった。この粉末イオン交換樹脂を10%の割
合で含むスラリー状の模擬廃棄物を20準備した。
一方、濃縮廃液の模擬廃棄物として、硫酸ナトリウム
を3%、塩化ナトリウムを0.5%、不溶解性成分としてF
e2O3を1%加えた水溶液を用意した。
粉末イオン交換樹脂のスラリー状の廃棄物を10混合
槽3に移し、これに模擬廃棄物を徐々に加えていった。
濃縮廃液を加えている間、容器の電気伝導度とpHを連続
して測定した。廃液を加えた直後は、電気伝導度、pHと
もに大きく変動したが、直ちに、電気伝導度は低く、pH
は中性付近に落着いた。
模擬廃液を約1.9加えたところで電気伝導度が急激に
大きくなり、pHが3付近まで低下した。ここで、濃縮廃
液の供給を停止し、pHを弱アルカリにするために若干量
のカセイソーダを加えて、脱水処理実験に移った。
脱水処理実験は、1容量の放射性廃棄物貯蔵容器11
の中心に、中空糸膜フィルタ14をセットし、これに混合
処理を終えた廃液を徐々に注入して行った。約5注入
したところで、模擬廃液の供給を停止した。
この時、廃棄物貯蔵容器11には、250gの濃縮廃液成分
を吸着した粉末イオン交換樹脂および水が入っていた。
廃棄物貯蔵容器11より排出された水の中のイオン成分は
2000ppm程度で、他の固形分の含有量は1ppm以下であ
り、廃液成分の殆どが廃棄物貯蔵容器11内に残留してい
た。
次のセメント固化実験においては、廃棄物貯蔵容器11
内に残留していた廃液成分にアルミナ・シリカセメント
を400g加え、均一に撹はんした後、放置した。
セメントは約1週間で硬化した。この硬化した試料よ
り、圧縮試験用の試料を切出して試験をしたところ、15
0kg/cm2以上の強度が確認された。
[発明の効果] このように、本発明によれば、放射性廃棄物、廃樹脂
やイオン交換樹脂を主成分とする廃スラッジが混合され
ることにより、濃縮廃液中のイオン成分がイオン交換樹
脂に吸収されて、事実上無くなってしまい、減容され
る。
また、イオン交換樹脂を成分とする放射性廃棄物は放
射性廃棄物貯蔵容器の中で脱水処理されるので大がかり
な脱水処理設備を別に設ける必要はなく、設備のコスト
を低減できるのみならず、余分な設備を維持する必要か
ら生ずる作業員への被曝も下げることができ、放射性廃
棄物処理設備としての安全性も向上させることが可能で
ある。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の放射性廃棄物の固化処理方法のシステ
ム例を示す説明図、第2図と第3図は、それぞれ本発明
方法における固化処理工程を示す説明図である。 1……廃棄物受けタンク 2……濃縮廃液受けタンク 3……混合槽 4……硫酸タンク 5……カセイソーダタンク 6……撹はん用ポンプ 7……電気伝導度計 8……pHメータ 9……ポンプ系配管 10……定量供給ポンプ 11……放射性廃棄物貯蔵容器 12……セメントバリア層 13……レベル計 14……中空糸膜フィルタ 15……抽出用ポンプ 16……放射性廃液濃縮器 20……セメントホッパ 21……セメント定量供給器 22……インドラム混合用撹はん器 30……蓋 31……ドラム回転機架台 32……回転ローラ 33……ドラム内撹はん翼

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原子力発電所で発生する放射性濃縮廃液お
    よび廃樹脂・廃スラッジを混合槽内で混合して、放射性
    濃縮廃液中のイオン成分を吸着するイオン成分吸着工程
    と、 このイオン成分を吸着した放射性濃縮廃液および廃樹脂
    ・廃スラッジを、放射性廃棄物貯蔵容器内で中空糸膜フ
    ィルタにより脱水する脱水処理工程と、 この脱水した放射性濃縮廃液および廃樹脂・廃スラッジ
    にセメントを加えて、前記放射性廃棄物貯蔵容器内で固
    化する固化工程と、 前記脱水した廃液を濃縮処理して、放射性濃縮廃液とし
    て前記イオン吸着工程にて再処理する再処理工程と を有することを特徴とする放射性廃棄物の固化処理方
    法。
JP2256151A 1990-09-26 1990-09-26 放射性廃棄物の固化処理方法 Expired - Lifetime JP2816006B2 (ja)

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