JP2815873B2 - 密閉型圧縮機の消音装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （イ）産業上の利用分野 この発明は密閉型圧縮機の消音装置の改良に関する。

（ロ）従来の技術 従来の密閉型圧縮機は例えば特開昭60−79192号公報
に示されているように構成されている。ここで、この公
報を参考に従来例を説明する。第４図及び第５図におい
て、50は密閉容器で、この容器内には上側に回転軸51を
有する電動要素52が、下側にこの電動要素の回転軸51に
よって駆動される回転圧縮要素53が夫々収納されてい
る。回転圧縮要素53はシリンダ54と、回転軸51の偏心部
55によってシリンダ54内を回転するローラ56と、このロ
ーラに接してシリンダ54内を高圧室と低圧室とに区画す
るベーン57と、シリンダ54の開口を封じる上部枠体58及
び下部枠体59と、この上部枠体に嵌合わされて環状の吐
出マフラ室60を形成するカップ体61とで構成されてい
る。上部枠体58にはカップ体61内とシリンダ54内とを連
通する吐出ポート62が設けられている。63は吐出ポート
62を開閉する吐出弁である。カップ体61には上部枠体58
にボルトで固定するための座押部64,64,64が３個設けら
れている。そして、カップ体61は３個の座押部64,64,64
によってマフラ部を３分割するようにされている。この
３分割されたマフラ部は吐出弁63を取付ける部分を大き
く、他の２個を小さくしている。カップ体61には密閉容
器50内に冷媒を吐出するための吐出孔65,66が回転軸54
の軸心に対して対称に２個設けられている。この吐出孔
は吐出ポート62に近接する一方の吐出孔65を、この吐出
ポートから離れた他方の吐出孔66より断面積を小さくし
ている。また、吐出孔65,66の大きさは吐出ポート62か
ら吐出孔65,66までの距離の比に応じた断面積にするよ
うにされている。

この構造の密閉型圧縮機ではカップ体61に回転軸54の
軸心に対して対称に設けた吐出孔65,66を、吐出ポート6
2からの距離の比に応じた断面積にさせ、この吐出孔か
ら均等に冷媒を吐出するようにし、２個の吐出孔65,66
から吐出する冷媒の圧力脈動を等しくするとともに、位
相が互いに逆位相になるようにし、カップ体61内に形成
される共鳴モードを干渉させて打消すようにしている。

（ハ）発明が解決しようとする課題 しかしながら、カップ体61は円筒状の密閉容器50の径
の半分程度の大きさのため、この容器内の径方向に形成
される共鳴モードを打消すのが難かしい問題があった。

この発明は上記の問題を解決するもので、カップ体で
密閉容器内の径方向に形成される共鳴モードの周波数成
分を打消し、気柱共鳴現象による騒音を防止することを
目的としたものである。

（ニ）課題を解決するための手段 この発明は密閉容器内に連通するように１つの吐出マ
フラに２個設けた吐出孔の中、吐出ポートから遠い側の
一方の吐出孔に吐出マフラに取付けられるとともに、吐
出マフラ内に開口する連絡路を連通して設け、かつ、こ
の連絡路の開口端を吐出ポートから離れる方向に設けた
ものである。

また、この発明は吐出ポートから遠い側の一方の吐出
孔と、吐出ポート及び吐出ポートに近い側の他方の吐出
ポートとの間にこの吐出マフラ室を仕切る仕切壁設け、
かつ、密閉容器内に連通するようにカップ体に２個設け
た吐出孔の中、吐出ポートから遠い側の一方の吐出孔に
吐出マフラに取付けられ、かつ、吐出マフラ室に開口す
る連絡路を連通して設けるとともに、この連絡路の開口
端を吐出ポートから離れる方向で、かつ、仕切壁に近接
して設けたものである。

（ホ）作 用 この発明は上記のように構成したことにより、吐出ポ
ートから遠い側の吐出孔に連絡路を設けて、吐出ポート
から夫々の吐出孔までの距離の差を大きく取れるように
し、取出マフラで密閉容器の径方向に形成される共鳴モ
ードの周波数成分を打消して気柱共鳴現象による密閉容
器の騒音を低減するようにしたものである。

（ヘ）実施例 以下この発明を第１図乃至第３図に示す実施例に基い
て説明する。

１は密閉容器で、この容器内には上側に回転軸２を有
する電動要素３が、下側にこの電動要素の回転軸２によ
って駆動される回転圧縮要素４が夫々収納されている。
電動要素３は固定子５と、この固定子の内部で回転軸２
に装着された回転子６とで構成されている。回転圧縮要
素４はシリンダ７と、回転軸２の偏心部８によってシリ
ンダ７内で回転するローラ９と、このローラに接してシ
リンダ７内を高圧室と低圧室とに区画するベーン10と、
上部枠体11及び下部枠体12とにより構成されている。上
・下部枠体11,12は回転軸２を軸支する軸受部13,14と、
シリンダ７の開口を封じるフランジ部15,16とで形成さ
れている。17は上部枠体11に嵌合わされるカップ体で、
このカップ体は内部に環状の吐出マフラ室18を形成して
いる。19は上部枠体11のフランジ部15に設けられた吐出
ポートで、この吐出ポートはシリンダ７内と吐出マフラ
室18とを連通している。そして、吐出マフラ室18内のフ
ランジ部15には吐出ポート19を開閉する吐出弁20が取付
けられている。

カップ体17にはフランジ部15にボルトで固定するため
の座押部21,21が回転軸２の軸心に対して対称に２個設
けられている。22はカップ体17に設けられた仕切壁で、
この仕切壁は環状の吐出マフラ室18を仕切っている。カ
ップ体17には回転軸２の軸心に対して略対称に２個の吐
出孔23,24が設けられている。２個の吐出孔23,24の中、
一方の吐出孔23にはカップ体17に取付けて吐出マフラ室
18に開口する連絡パイプ25が連通して設けられている。
また他方の吐出孔24は吐出壁22の近傍で、吐出ポート19
の上方に設けられている。連絡パイプ25の開口端26は他
方の吐出孔24から離れる方向で仕切壁22に近接して設け
られている。吐出ポート19から一方の吐出孔23までの距
離と、吐出ポート19から他方の吐出孔24までの距離との
差は連絡パイプ25によって密閉容器１の内径寸法と略同
じにされている。

このように構成された密閉型圧縮機の消音装置におい
て、シリンダ内でローラ９とベーン10との協働によって
圧縮された冷媒は吐出弁20を開放して吐出ポート19から
カップ体17の吐出マフラ室18に吐出される。この吐出マ
フラ室の冷媒は吐出孔23,24から密閉容器１内に吐出さ
れる。

カップ体17は吐出マフラ室18に開口する連絡パイプ25
の開口端26を吐出ポート19から離れる方向に設けて、吐
出ポート19から一方の吐出孔23までの距離と、吐出ポー
ト19から他方の吐出孔24までの距離との差を密閉容器１
の内径寸法と略同じにすることにより、冷媒の圧縮脈動
波の位相を夫々の吐出孔23,24で互いに逆相にし、密閉
容器１の内壁に当ってはねかえってくるこの容器の内径
寸法と同じ圧力脈動波の周波数成分を互いに相殺して気
柱共鳴現象による密閉容器１の振動を減衰するようにし
ている。

この発明はカップ体17に連絡パイプ25を設けて、この
カップ体の吐出マフラ室18の吐出ポート19から各吐出孔
23,24までの距離の差を密閉容器１の内径寸法と略同じ
にすることにより、各吐出孔23,24での位相を互いに逆
相にし、密閉容器１の内壁をはねかってくる圧力脈動波
の周波数成分を相殺して、この容器内の径方向に形成さ
れる共鳴モードを減衰し、気柱共鳴現象による密閉容器
１の振動を減少するようにしたものである。

（ト）発明の効果 この発明の密閉型圧縮機の消音装置は密閉容器内に連
通するように吐出マフラに２個設けた吐出孔の中、吐出
ポートから遠い側の一方の吐出孔に吐出マフラ内に開口
する連絡路を連通して設け、かつ、この連絡路の開口端
を吐出ポートから離れる方向に設けたものであるから、
連絡路で吐出ポートから各吐出孔までの距離の差を密閉
容器の内径寸法と略同じにすることによって、この容器
内の径方向に形成される共鳴モードを打消し、気柱共鳴
現象による密閉容器の振動を減衰できるようにしたもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図はこの発明を示し、第１図は密閉型圧
縮機の断面図、第２図はカップ体の平面図、第３図はカ
ップ体の斜視図、第４図及び第５図は従来例を示し、第
４図は密閉型圧縮機の断面図、第５図はカップ体の平面
図である。 １……密閉容器、４……回転圧縮要素、７……シリン
ダ、11……上部枠体、12……下部枠体、17……カップ
体、18……吐出マフラ室、19……吐出ポート、22……仕
切壁、23,24……吐出孔、25……連絡パイプ。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】円筒状の密閉容器と、この容器内に収納さ
   れた圧縮要素と、この圧縮要素を設けた１つの吐出マフ
   ラとで構成し、前記圧縮要素に吐出マフラ内に連通する
   吐出ポートを設けるとともに、吐出マフラに密閉容器内
   に連通する吐出孔を２個設けた密閉型圧縮機において、
   吐出ポートから遠い側の一方の吐出孔には吐出マフラに
   取付けられるとともに、吐出マフラ内に開口する連絡路
   が連通して設けられ、かつ、この連絡路の開口端を吐出
   ポートから離れる方向に設けたことを特徴とする密閉型
   圧縮機の消音装置。
2. 【請求項２】円筒状の密閉容器と、この容器内に収納さ
   れた圧縮要素とで構成され、この圧縮要素を、シリンダ
   と、このシリンダの開口を封じる軸受と、この軸受に取
   付けられて１つの環状の吐出マフラ室を形成するカップ
   体とで構成し、前記軸受にカップ体の吐出マフラ室に連
   通する吐出ポートを設けるとともに、カップ体に密閉容
   器内に連通する吐出孔を２個設けた密閉型圧縮機におい
   て、吐出ポートから遠い側の一方の吐出孔と、吐出ポー
   ト及び吐出ポートに近い側の他方の吐出孔との間に環状
   の吐出マフラ室を仕切る仕切壁が設けられ、かつ、吐出
   ポートから遠い側の一方の吐出孔にはカップ体に取付け
   られ、かつ、吐出マフラ室内に開口する連絡路が連通し
   て設けられるとともに、この連絡路の開口端を吐出ポー
   トから離れる方向でかつ、仕切壁に近接して設けたこと
   を特徴とする密閉型圧縮機の消音装置。