JP2815473B2 - 浮動式磁気ヘッドの配置構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、磁気デイスク等の磁気媒体に微少の隙間を
もって相対移動しながら記録または再生を行う浮動式磁
気ヘッドに関し、特に、静姿勢における浮動式磁気ヘッ
ドの配置構造に関する。

「従来の技術」 従来、回転中の磁気デイスクなどの磁気媒体に対し、
該デイスクの表面に発生する気流によって磁気記録面か
ら離間して浮上し、信号の書き込みと読みだしを行う浮
動式磁気ヘッドがあるが、この種の浮動式磁気ヘッドで
は、安定した浮上力を得るために、磁気媒体に対向する
対向面を球形または円筒形としたものが考えられてい
る。

第３図はその一例を示す。ここで示す磁気ヘッドＨの
スライダ１は略直方体型とされ、スライダ１の図におけ
る下面が媒体対向面２である。

スライダ１の後部であって、中心から左右方向にずれ
た箇所には媒体対向面２から反対側の面まで達するコア
挿入溝３が形成されている。

上記コア挿入溝３には、磁気コア４が挿入され、磁気
媒体面２上から磁気コア４のギャップ面Ｇが露出してい
る。

「発明が解決しようとする課題」 上記磁気ヘッドＨが磁気媒体Ｚに対して配置される場
合、一般に、第４図に示すように、磁気媒体Ｚに対して
スライダ１を相対移動させていない静姿勢において最下
端となる部分Ｓがトレーリングエッジ６よりもリーデイ
ング７側にくるように配置される。

そして、この状態から磁気媒体Ｚが回転されその表面
に発生する気流によって磁気ヘッドＨが図中２点鎖線で
示すように浮上するとき、磁気媒体Ｚの表面の気流が、
上記最下端部分Ｓ（この部分は最も大きな浮力を受ける
部分でもある）を通過した後に膨張し、トレーリングエ
ッジ６側に負圧部分を生じさせる場合がある。

特に、ランデイングオン／オフ時には、浮上の初期状
態が磁気ヘッドＨの静姿勢によって決定されるため、上
記トレーリングエッジ６近傍に負圧が生じがちとなり、
該負圧によって磁気ヘッドＨが吸着され、クラッシュが
引き起こされるおそれがある。

本発明は上記した課題を解消せんとして成されたもの
であり、その目的は、安定したランデイングオン／オフ
を実現させることができ、クラッシュの危険を低減でき
る浮動式磁気ヘッドの配置構造を提供することにある。

「課題を解決するための手段」 上記課題を達成するために、本発明の浮動式磁気ヘッ
ドの配置構造では、スライダの磁気媒体対向面を球形あ
るいは円筒形に形成するとともに、その曲率半径をＲ、
スライダ長をＬとしたとき、前記磁気媒体に対して前記
スライダを相対移動させていない静姿勢にあるスライダ
の前記磁気媒体に対するピッチ角度θを、θ≧L/2Rに設
定した。

また、本発明の浮動式磁気ヘッドでは、前記磁気媒体
に対して前記スライダを相対移動させていない静姿勢に
おいてスライダのトレーリングエッジが最下端となる。

更に、本発明の浮動式磁気ヘッドでは、前記スライダ
の前記トレーリングエッジを、静姿勢において前記磁気
媒体と接触させた。

「実施例」 以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。

本実施例の磁気ヘッドＨは、第３図に示す先行技術の
磁気ヘッドＨと同様に、媒体対向面２を球形あるいは円
筒形に形成したものを用いており、先行技術と異なると
ころは、磁気媒体Ｚに対してスライダ１を相対移動させ
ていない静姿勢における磁気媒体Ｚに対する磁気ヘッド
のピッチ角度θが所定角度に設定されるような配置構造
にした点である。したがって、ここでは磁気ヘッドＨの
細かな構成要素の説明は省略し、静姿勢のピッチ角度に
ついて説明する。

すなわち、この磁気ヘッドＨでは、第２図にも示すよ
うに、スライダ１の媒体対向面２の曲率半径をＲ、スラ
イダ長をＬとしたとき、磁気媒体Ｚに対してスライダ１
を相対移動させていない静姿勢にあるスライダ１の磁気
媒体Ｚに対するピッチ角度θを、θ＝L/2Rに設定してい
る。

ここで、第２図に示すように点O,A,B,Cを以下のよう
に定めるとき、 O:媒体対向面２の曲率中心 A:スライダのトレーリングエッジ B:Oから磁気媒体対向面２を２等分するように引いた線
と磁気媒体Ｚとが交わる点 C:媒体対向面２の両端を結ぶ線と線OBとが交わる点 ΔOABとΔOCAとは相似形であるから、∠AOB＝∠CAB
（ピッチ角度θ）となる。

ここで、ΔOACから sinθ＝（L/2）/R が成立する。

また、Ｌに比べてＲが非常に大きいことからθ（Ra
d）は以下のように表される θ＝sin^-1（L/2R）≒L/2R 上記式と第２図から明らかなように、磁気媒体Ｚに対
してスライダ１を相対移動させていない静姿勢における
スライダ１のピッチ角度θがL/2R以上に設定されるとき
には、スライダ１のトレーリングエッジ６は必ず最下端
になる。

また、スライダ１のトレーリングエッジ６は、磁気媒
体Ｚに対してスライダ１を相対移動させていない静姿勢
において、第１図及び第２図に示すように磁気媒体Ｚと
接触している。

この結果、磁気媒体Ｚが回転しその表面に発生する気
流によって磁気ヘッドＨが浮上する初期において、磁気
ヘッドＨは静姿勢に近い形のまま浮上され、磁気ヘッド
の下面（特に、トレーリングエッジ６の近傍にも）に負
圧は生じず、また、浮上終期においても磁気ヘッドＨは
静姿勢に近い形のまま浮上し、磁気ヘッドの下面に負圧
は生じず、結局、安定したランデイングオン／オフが実
現できる。

「発明の効果」 以上説明したように本発明によれば、磁気ヘッドの浮
上の初期および終期の状態は磁気ヘッドの静姿勢に決定
され、磁気ヘッドの静姿勢ではトレーリングエッジが最
下端になっているので、磁気ヘッドの下面に負圧は生じ
ず、結局、安定したランデイングオン／オフを実現させ
ることができ、クラッシュの危険を低減できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す側面図、第２図はその
作用を示す説明図、第３図は本発明の先行技術を示す斜
視図、第４図は同先行技術の欠点を説明する側面図であ
る。 １……スライダ、２……媒体対向面、６……トレーリン
グエッジ、７……リーデイングエッジ、θ……ピッチ角
度。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】スライダに磁気コアが設けられ、前記スラ
   イダの媒体対向面を磁気媒体に微少の間隔をもって対向
   させた状態でスライダと磁気媒体とを相対移動させるよ
   うに構成された浮動式磁気ヘッドにおいて、 前記のスライダの媒体対向面が球形あるいは円筒形に形
   成され、かつその曲率半径がＲ、スライダ長がＬとされ
   たとき、前記磁気媒体に対して前記スライダを相対移動
   させていない静姿勢にあるスライダの前記磁気媒体に対
   するピッチ角度θが、 θ≧L/2R に設定され、 かつ、静姿勢において前記スライダのトレーリングエッ
   ジが最下端となるように配置されてなることを特徴とす
   る静姿勢における浮動式磁気ヘッドの配置構造。
2. 【請求項２】前記スライダのトレーリングエッジは、静
   姿勢において前記磁気媒体と接触されてなることを特徴
   とする特許請求の範囲第１項に記載の静姿勢における浮
   動式磁気ヘッドの配置構造。