JP2811627B2 - スプリンクラーヘッド - Google Patents

スプリンクラーヘッド

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  • Fire-Extinguishing By Fire Departments, And Fire-Extinguishing Equipment And Control Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、消火用のスプリンクラ
ーヘッド、特に分解部分に圧縮タイプを採用したスプリ
ンクラーヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】スプリンクラーヘッドは、噴出口を弁体
が塞ぎ、該弁体を分解部分が保持している。従って、ス
プリンクラーヘッドが取り付けられた室内で火災が発生
すると、それまで平衡状態であった分解部分が分解し、
分解部分で保持していた弁体が噴出口を開放することに
より、水が散布されて消火を行うようになっている。
【0003】スプリンクラーヘッドに組み込まれている
分解部分としては、ラップジョイントタイプと圧縮タイ
プがある。
【0004】ラップジョイントタイプとは、二枚の金属
板が低融点合金で接着されており、平時この二枚の金属
板には相反する方向の力が掛けられていて、この力を係
止することにより平衡状態が保たれるようになってい
る。そして火災の異常高温で低融点合金が溶融すると、
低融点合金で接合されていた二枚の金属板は相反する方
向に分離し、分解部分の平衡状態が崩れて分解する。
【0005】圧縮タイプとは、主要部分がシリンダー、
低融点合金、プランジャーから成るものであり、金属製
のシリンダーの中に低融点合金が充填されていて、該低
融点合金に接した状態でシリンダーの内径よりも小径の
金属製プランジャーが載置されている。圧縮タイプで
は、平時、シリンダーとプランジャーに低融点合金を圧
縮する方向に力が掛けられ、この力を係止することによ
り平衡状態が保たれている。この圧縮タイプでは、火災
の異常高温で低融点合金が溶融すると、プランジャーが
シリンダー内に没入し、分解部分の平衡状態が崩れて分
解するようになっている。
【0006】つまり、スプリンクラーヘッドの分解部分
は、低融点合金が二枚の金属板の間や金属製のシリンダ
ーの中にあり、火災の異常高温が金属板、或はシリンダ
ーやプランジャーを伝わって低融点合金を溶解すること
により分解が起こる。
【0007】ところでスプリンクラーヘッドでは、火災
が発生したならば火災が小さいうちに水を散布して消火
を行うことができるようなものが望ましい。なぜなら
ば、火災が小さいうちに消火できれば、火災による損失
が少なくなり、また一つのスプリンクラーヘッドの作動
だけで消火が行えるため、水が多量に散布されることに
よる水損も少なくなる。このように小火災のうちにスプ
リンクラーヘッドを作動させるためには、分解部分の低
融点合金に伝播してきた火災の熱を散逸させずに低融点
合金に蓄積させて低融点合金の温度上昇を早め、早急に
低融点合金の溶融温度に達するようにすればよいわけで
ある。
【0008】従来より分解部分の低融点合金に伝播され
てきた熱を散逸させない手段としてプランジャーの上部
を逆円錐形にし、プランジャーを押圧する押しネジの先
端を先細りとしてこれらの接触面積を小さくすることに
より熱の伝播を少なくすることが提案されていた。(実
開平5−11963号)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】圧縮タイプの分解部分
を組み込んだスプリンクラーヘッドは、火災発生時に必
ず分解部分が分解して水を散布しなければならないもの
である。しかしながら、このタイプのスプリンクラーヘ
ッドではシリンダーの中の低融点合金が溶融しても分解
部分が分解しないことが懸念されている。この原因は、
シリンダー内の低融点合金が溶融し、該低融点合金の上
に載置されたプランジャーがシリンダー内に没入する途
中でプランジャーがシリンダーの側壁に引っ掛かってし
まうことによる。つまり作動時にプランジャーが少しで
も傾斜してしまうと、その周縁部がシリンダーの内壁を
噛ってしまうからである。
【0010】本発明は、従来のスプリンクラーヘッドよ
りもさらに速動性に優れたスプリンクラーヘッドであ
り、またそれに加えてプランジャーが確実にシリンダー
内に没入して、分解部分が必ず分解するという信頼性に
富んだスプリンクラーヘッドを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、高分子樹脂
は熱伝導が悪く、しか摺動性が良好であるという特性
に着目して本発明を完成させた。
【0012】本発明の第1発明は、金属製のシリンダー
の中に低融点合金が充填されており、該低融点合金がプ
ランジャーで押圧されている構造の分解部分を有するス
プリンクラーヘッドにおいて、金属製の円柱体の表面を
熱伝導が悪くしかも摺動性が良好な高分子樹脂で被覆し
たプランジャーで低融点合金が押圧されていることを特
徴とするスプリンクラーヘッドである。
【0013】本発明の第2発明は、金属製のシリンダー
の中に低融点合金が充填されており、該低融点合金がプ
ランジャーで押圧されている構造の分解部分を有するス
プリンクラーヘッドにおいて、金属製の円柱体の底面に
熱伝導が悪くしかも摺動性が良好な高分子樹脂を貼り付
けたプランジャーで低融点合金が押圧されていることを
特徴とするスプリンクラーヘッドである。
【0014】本発明の第3発明は、金属製のシリンダー
の中に低融点合金が充填されており、該低融点合金がプ
ランジャーで押圧されている構造の分解部分を有するス
プリンクラーヘッドにおいて、全体を熱伝導が悪くしか
も摺動性が良好な高分子樹脂で作ったプランジャーで低
融点合金が押圧されていることを特徴とするスプリンク
ラーヘッドである。
【0015】
【作用】分解部分のプランジャーを熱伝導が悪くしかも
摺動性に優れた高分子樹脂で形成しておくと、低融点合
金まで伝播された熱がプランジャーに伝わって逃げずに
低融点合金での熱の蓄積量が多くなり、また作動時には
シリンダーと接触する部分のプランジャーの移動を円滑
にする。
【0016】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明を説明する。図
1は第1発明のスプリンクラーヘッドの正面断面図、図
2はその要部拡大断面図、図3は第2発明のスプリンク
ラーヘッドの要部拡大断面図、図4は第3発明のスプリ
ンクラーヘッドの要部拡大断面図、図5は第1発明のス
プリンクラーヘッドに使用するプランジャーの斜視断面
図である。
【0017】図1示すスプリンクラーヘッドはフラッシ
ュ型であり、本体1、フレーム2、弁体3、デフレクタ
ー4、分解部分5、および集熱板6等から構成されてい
る。
【0018】本体1は、中央に導水孔7が穿設されてお
り、その下端は弁座8となっていて、外周上部には牡ネ
ジ9が螺設され、また下端にはフランジ10が形成され
ている。
【0019】フレーム2は、円筒状であり、下端は内方
フランジ11となっていて、上端は前述本体1のフラン
ジ10に螺合している。
【0020】弁体3は、上部にパッキンが被着されてお
り、平時、本体1の弁座8を閉塞している。
【0021】デフレクター4は、皿状で周囲に多数の羽
根が形成されており、羽根の上にはリング12が載置さ
れていて、作動時、リングで吊設されるようになってい
る。デフレクター4は前述弁体3の下部に設置されてい
る。
【0022】分解部分5は、フレーム2の下部に設置さ
れており、ガイドポスト13を介して弁体3を保持して
いる。
【0023】ここで分解部分について詳細に説明する。
上部が外方に屈曲した一対のレバー14、14は、屈曲
した部分の下端が前述フレーム2の内方フランジ11に
係合している。該レバーには上方に支持板15が係合
し、下方には天秤16が係合している。
【0024】支持板15には、下部が細くて、その先端
が半球状となった止めネジ17が螺合されている。天秤
16には上部にフランジ18を有するシリンダー19が
嵌合されている。
【0025】シリンダー19は有底筒状で底部に低融点
合金20が充填されている。速動性を良好にするため
に、シリンダーは外部底面が露出していて、外部底面が
直接火災の異常高温を受けるようになっている。
【0026】低融点合金はスプリンクラーヘッドを取り
付ける場所に応じて各種の温度のものを選択する。例え
ば一般の事務所、居間のようなところには72℃、厨房
のように火を使うところでは96℃、さらに周囲が高温
となるところには139℃や183℃の低融点合金を使
用する。
【0027】集熱板6は椀状をしており、シリンダー1
9の下部に熱伝導が良好な状態で設置されている。椀状
の大きな集熱板6は、分解部分5を覆い隠す効果と、火
災の熱を収集する効果を有している。
【0028】低融点合金20の上には、プランジャー2
1が載置されている。プランジャー21の上部は、逆円
錐形の溝22が刻設されており、該溝には前述止めネジ
17の細い下端部が載置されている。プランジャーの溝
22が逆円錐形であり、止めネジの下端が半球形である
ため、これらの接触部は、円状の線接触となり、接触面
積は極めて小さいものである。
【0029】図1、2に示すプランジャー21は、金属
製の円柱体23の表面にフッ素樹脂のような高分子樹脂
24を被覆してある。プランジャーは、高さが低くても
かまわないが、高さを大きくしておくと、作動時にプラ
ンジャーの壁面がガイドとなって、シリンダーの内壁面
に沿って円滑に摺動するようになる。本発明者の実験結
果では、図5に示すようにプランジャーの高さHをプラ
ンジャーの直径Dよりも大きくしておくと、円滑摺動の
効果が良好に現れることが判明している。
【0030】次に上記構造の分解部分を有する本発明ス
プリンクラーヘッドの作動状態について説明する。
【0031】火災が発生すると、火災の熱が上昇気流と
なって天井に達し、天井に取り付けたスプリンクラーヘ
ッドを熱する。スプリンクラーヘッドでは集熱板6が火
元に近い下部に設置されており、しかも表面積が大きく
なっているため、気流の熱を多く受けてシリンダー19
に伝播する。またシリンダーは外底面が露出しているた
め、直接火災の熱を受けて中に充填された低融点合金2
0に伝播する。
【0032】このようにして低融点合金には、火災で発
生した熱が多量に、そして速やかに伝播されてくる。従
来のスプリンクラーヘッドでは低融点合金の上に直接金
属製のプランジャーが載置されていたため、低融点合金
に伝播されてきた熱は、熱伝導の良好な金属製のプラン
ジャーに伝播されて散逸してしまっていた。しかしなが
ら、本発明のスプリンクラーヘッドでは、プランジャー
が金属製の円柱体の表面に熱伝導の悪い高分子樹脂を被
覆してあるため、低融点合金に伝播されてきた熱は高分
子樹脂に遮られて散逸しない。そのため、シリンダー内
の低融点合金には熱が蓄積され、急速に低融点合金の温
度が上昇して低融点合金が溶融する。
【0033】シリンダー19内の低融点合金20が溶融
すると、プランジャー21は押しネジ17で押圧されて
いるため、プランジャー21はシリンダー19内に没入
し、低融点合金はプランジャーとシリンダーの間隙から
外部へ流出していく。このときプランジャー摺動性の
良好な高分子樹脂が被覆されているためシリンダーと接
触する部分が円滑に摺動するようになる。
【0034】このように低融点合金20が溶融してプラ
ンジャー21がシリンダー19内に没入すると、天秤1
6で係止されていた一対のレバー14、14の係止が解
かれる。するとそれぞれのレバーの下部が外方に回動
し、フレーム2の内方フランジ11に係合していたレバ
ーの屈曲端部が外れ、分解部分5が分解して全ての構成
部品は下方に落下していく。
【0035】分解部分5の分解落下とともに、レバー1
4の屈曲頂部で保持していたガイドポスト13が落下
し、デフレクター4と一体となった弁体3およびデフレ
クター4で保持されていたリング12も落下する。とこ
ろがデフレクター4は、リング12に吊設され、またリ
ング12はフレーム2の内方フランジ11で係止される
仕組みとなっているため、リング12が内方フランジ1
1で係止されるとデフレクター4も途中で落下が停止す
る。
【0036】弁体3が落下して弁座8を開放するため、
図示しない配管で送られる水が導水孔7を通って弁座8
から噴出される。噴出された水は、途中で止まったデフ
レクター4に当たって四方に散布され、火炎にかかって
消火を行う。
【0037】図3は第2発明の要部拡大断面図であり、
これはプランジャー21が金属製の円柱体23の底面に
高分子樹脂24を貼り付けたものである。このプランジ
ャーも低融点合金と金属製円柱体間に熱伝導の悪い高分
子樹脂があるため、低融点合金の熱が金属製円柱体に伝
播されず、速動性が良好となるものである。またプラン
ジャーの底面がシリンダーに接触してもプランジャーの
底面には摺動性に優れた高分子樹脂があるため、プラン
ジャーはシリンダーに対して円滑に移動する
【0038】図4は第3発明の要部拡大断面図である。
このプランジャー21は全体が高分子樹脂24で作製さ
れているものである。このプランジャーも低融点合金か
らの熱の伝播を悪くして速動性を良好にするとともに、
全体が高分子樹脂であるためシリンダーとの摺動性も極
めて良好となるものである。さらにこのプランジャーを
ポリエンチレン樹脂のような熱可塑性樹脂にしておく
と、たとえば低融点合金が腐食して高温になっても溶融
しなくなった場合は、火災の熱でポリエチレン樹脂が軟
化するため、押しネジがポリエチレン樹脂を押し潰して
下方に下がり、分解部分を分解させるという二重の信頼
性も有している。
【0039】なお本発明の実施例ではフラッシュ型スプ
リンクラーヘッドで説明したが、本発明は圧縮型タイプ
の分解部分を設置できるものであれば如何なる構造のス
プリンクラーヘッドにも採用できることは言うまでもな
い。
【0040】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明のスプリンク
ラーヘッドは、熱伝導が悪く、しかも摺動性に優れた高
分子樹脂で低融点合金が押圧されているため、低融点合
金に伝播されてきた熱を散逸させることなく低融点合金
に蓄積して溶融を早めることができるばかりでなく、プ
ランジャーがシリンダー内を確実に摺動するため途中で
引っ掛かるような事故も皆無となる等、従来のスプリン
クラーヘッドにはない優れた速動性と信頼性を有するも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明のスプリンクラーヘッドの正面断面図
【図2】図1の要部拡大断面図
【図3】第2発明における要部拡大断面図
【図4】第3発明における要部拡大断面図
【図5】第1発明のスプリンクラーヘッドに使用するプ
ランジャーの斜視断面図
【符号の説明】
19 シリンダー 20 低融点合金 21 プランジャー 23 金属製円柱体 24 高分子樹脂

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属製のシリンダーの中に低融点合金が
    充填されており、該低融点合金がプランジャーで押圧さ
    れている構造の分解部分を有するスプリンクラーヘッド
    において、金属製の円柱体の表面を熱伝導が悪くしかも
    摺動性が良好な高分子樹脂で被覆したプランジャーで低
    融点合金が押圧されていることを特徴とするスプリンク
    ラーヘッド。
  2. 【請求項2】 金属製のシリンダーの中に低融点合金が
    充填されており、該低融点合金がプランジャーで押圧さ
    れている構造の分解部分を有するスプリンクラーヘッド
    において、金属製の円柱体の底面に熱伝導が悪くしかも
    摺動性が良好な高分子樹脂を貼り付けたプランジャーで
    低融点合金が押圧されていることを特徴とするスプリン
    クラーヘッド。
  3. 【請求項3】 金属製のシリンダーの中に低融点合金が
    充填されており、該低融点合金がプランジャーで押圧さ
    れている構造の分解部分を有するスプリンクラーヘッド
    において、全体を熱伝導が悪くしかも摺動性が良好な高
    分子樹脂で作ったプランジャーで低融点合金が押圧され
    ていることを特徴とするスプリンクラーヘッド。
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