JP2808316B2 - 接ぎ木用接着剤 - Google Patents
接ぎ木用接着剤Info
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- JP2808316B2 JP2808316B2 JP1206717A JP20671789A JP2808316B2 JP 2808316 B2 JP2808316 B2 JP 2808316B2 JP 1206717 A JP1206717 A JP 1206717A JP 20671789 A JP20671789 A JP 20671789A JP 2808316 B2 JP2808316 B2 JP 2808316B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (イ)発明の目的 「産業上の利用分野」 現在、野菜・花卉・果樹等の栽培では土壌伝染性病害
からの回避、品質向上、多収化や品種の維持をねらい、
接ぎ木栽培が広く普及しているが、本発明はその接ぎ木
栽培に利用し得る、植物の接ぎ木用接着剤に関するもの
であり、特に作業工程が少なく、活着率の向上、よって
生産性の高い接ぎ木方法に用いられる接ぎ木用接着剤及
び該接着剤を用いた接ぎ木方法に関するもので、一般農
家を始めとして、育苗業者等においても用いられ、農業
分野において広く利用されるものである。
からの回避、品質向上、多収化や品種の維持をねらい、
接ぎ木栽培が広く普及しているが、本発明はその接ぎ木
栽培に利用し得る、植物の接ぎ木用接着剤に関するもの
であり、特に作業工程が少なく、活着率の向上、よって
生産性の高い接ぎ木方法に用いられる接ぎ木用接着剤及
び該接着剤を用いた接ぎ木方法に関するもので、一般農
家を始めとして、育苗業者等においても用いられ、農業
分野において広く利用されるものである。
「従来の技術」 従来から植物接ぎ木法としては、種々の方法が知られ
ているが、いずれの方法においても、穂木及び台木の接
合部を、野菜類と樹木類では若干の相違があるが、特殊
かつ複雑な形状に切断加工する必要がある。
ているが、いずれの方法においても、穂木及び台木の接
合部を、野菜類と樹木類では若干の相違があるが、特殊
かつ複雑な形状に切断加工する必要がある。
即ち、野菜類の場合では、茎の接合方法により、次の
3種に接ぎ木法を分類できる。
3種に接ぎ木法を分類できる。
第一は台木の横断面や側面に穴を開け、その穴の中に
先端を細く加工した穂木を挿し込む「挿し接ぎ法」(第
4図A)である。
先端を細く加工した穂木を挿し込む「挿し接ぎ法」(第
4図A)である。
第二は台木の横断面を全面ないし部分的に切り込みを
入れ、その切り口に先端を先鋭加工した穂木を挿入する
「割り接ぎ法」(第4図B)である。
入れ、その切り口に先端を先鋭加工した穂木を挿入する
「割り接ぎ法」(第4図B)である。
第三は台木の茎の胚軸を下向きに、穂木の茎の胚軸へ
上向きに切り込みを入れ、その胚軸同士を、組み合わせ
る「呼び接ぎ法」(第4図C)である。
上向きに切り込みを入れ、その胚軸同士を、組み合わせ
る「呼び接ぎ法」(第4図C)である。
何れも上記或いは第4図から明らかな様に、特殊かつ
複雑な形状に切断加工する必要があるうえに、普及性の
高い第二、第三の方法では台木と穂木の接合部は専用の
クリップやバンドを用いて固定、癒合促進をする必要が
ある。このクリップ形状には、例えば実開昭59−3090
9、54−137532等の提案がある。
複雑な形状に切断加工する必要があるうえに、普及性の
高い第二、第三の方法では台木と穂木の接合部は専用の
クリップやバンドを用いて固定、癒合促進をする必要が
ある。このクリップ形状には、例えば実開昭59−3090
9、54−137532等の提案がある。
一方、果樹等の樹木類では従来、芽接ぎ、切り接ぎ、
寄せ接ぎなどの名称で呼ばれる接ぎ木法がある。いずれ
の接ぎ木法も台木の断面あるいは側面に切り込みを入
れ、先端が加工された穂木を挿入する方法である。例え
ば特開昭62−107727に従来の切断方法とその改良法につ
いて記載されている。いずれにしても、上記接ぎ木法と
同じく、特殊かつ複雑な形状に切断加工する必要がある
うえに、穂木を挿入した後、切り口を「つぎろう」で保
護した上、テープまたはバンド状のものを強固に巻いて
固定するという手間の掛かる方法が取られている。
寄せ接ぎなどの名称で呼ばれる接ぎ木法がある。いずれ
の接ぎ木法も台木の断面あるいは側面に切り込みを入
れ、先端が加工された穂木を挿入する方法である。例え
ば特開昭62−107727に従来の切断方法とその改良法につ
いて記載されている。いずれにしても、上記接ぎ木法と
同じく、特殊かつ複雑な形状に切断加工する必要がある
うえに、穂木を挿入した後、切り口を「つぎろう」で保
護した上、テープまたはバンド状のものを強固に巻いて
固定するという手間の掛かる方法が取られている。
また、特殊な方法としては、特開昭59−175401におい
て、不飽和炭化水素化合物を主成分とし、これに未加硫
ゴム、Ph調整剤、土壌改良剤、油剤を混合した粘着剤を
用いる方法が提案されている。しかしながら、この方法
は穂木と台木の切断面に当該粘着剤を塗布する方法であ
り、水分の導通を完全に防止することは困難であること
と、切断面では植物組織からの水分移動が多いため、穂
木と台木とを結合するだけの固着力は、事実上得られる
可能性が少ないなどの問題を有している。
て、不飽和炭化水素化合物を主成分とし、これに未加硫
ゴム、Ph調整剤、土壌改良剤、油剤を混合した粘着剤を
用いる方法が提案されている。しかしながら、この方法
は穂木と台木の切断面に当該粘着剤を塗布する方法であ
り、水分の導通を完全に防止することは困難であること
と、切断面では植物組織からの水分移動が多いため、穂
木と台木とを結合するだけの固着力は、事実上得られる
可能性が少ないなどの問題を有している。
更に、従来の接ぎ木法は台木と穂木の接合方法により
前述のように数種に分類されるが、いずれの方法を採用
するかは植物の種類、接ぎ木時期などによって異なり、
例えば野菜類のスイカでは一般的に「挿し接ぎ法」が普
及し、トマトは接ぎ木時期の要因で高温、低温時期には
「呼び接ぎ法」が、ほかの時期では「割り接ぎ法」が採
用されている。一方ナスは「割り接ぎ法」、キュウリは
「呼び接ぎ法」が多いなどである。またいずれの方法を
採用しても、切断形状は繊細かつ複雑で、かなりの知識
と経験を要求され、切断形状や接合の良否が活着率に影
響し、熟練が要求される作業である。さらに接ぎ木の作
業時期は集中的であり、かなりの知識と経験を有する熟
練者を集中的に集めることは困難なことであり、また活
着率を100%とすることも保証できないものである。
前述のように数種に分類されるが、いずれの方法を採用
するかは植物の種類、接ぎ木時期などによって異なり、
例えば野菜類のスイカでは一般的に「挿し接ぎ法」が普
及し、トマトは接ぎ木時期の要因で高温、低温時期には
「呼び接ぎ法」が、ほかの時期では「割り接ぎ法」が採
用されている。一方ナスは「割り接ぎ法」、キュウリは
「呼び接ぎ法」が多いなどである。またいずれの方法を
採用しても、切断形状は繊細かつ複雑で、かなりの知識
と経験を要求され、切断形状や接合の良否が活着率に影
響し、熟練が要求される作業である。さらに接ぎ木の作
業時期は集中的であり、かなりの知識と経験を有する熟
練者を集中的に集めることは困難なことであり、また活
着率を100%とすることも保証できないものである。
そのうえ、従来法では台木と穂木が癒着するまで接合
部に専用の「接ぎ木クリップ」や「接ぎ木バンド」で保
持する必要があるが、その弊害に圧力により接合部が損
傷したり、接合部が解放状態となるため、植物からの出
液により、腐敗や病害の侵入の恐れがある。さらに空気
中からの水分の影響で活着率が大きく変化するなど、接
ぎ木後の温度、湿度、光線などの環境制御を精密に行う
必要がある。
部に専用の「接ぎ木クリップ」や「接ぎ木バンド」で保
持する必要があるが、その弊害に圧力により接合部が損
傷したり、接合部が解放状態となるため、植物からの出
液により、腐敗や病害の侵入の恐れがある。さらに空気
中からの水分の影響で活着率が大きく変化するなど、接
ぎ木後の温度、湿度、光線などの環境制御を精密に行う
必要がある。
また、癒着が完了した段階には、従来法では生育に阻
害を与えないために、接ぎ木に用いた「接ぎ木クリッ
プ」、「接ぎ木バンド」を除去する作業が必要である
し、接ぎ木部の外形はこぶ状となり、水滴がたまり病原
菌の進入や不定芽の発生する問題も存在する。
害を与えないために、接ぎ木に用いた「接ぎ木クリッ
プ」、「接ぎ木バンド」を除去する作業が必要である
し、接ぎ木部の外形はこぶ状となり、水滴がたまり病原
菌の進入や不定芽の発生する問題も存在する。
以上の問題に対して、本発明者らはさきに2−シアノ
アクリレートを主成分とすることを特徴とする接ぎ木用
接着剤とその接着剤を用いる接ぎ木方法について提案を
行った(特願昭63−100139号(特開平1−273517
号))。
アクリレートを主成分とすることを特徴とする接ぎ木用
接着剤とその接着剤を用いる接ぎ木方法について提案を
行った(特願昭63−100139号(特開平1−273517
号))。
「発明が解決しようとする課題」 前記提案は、従来の接ぎ木方法が有する問題点、切断
形状が繊細かつ複雑であることと、どの接ぎ木方法を採
用するかということに、かなりの知識と経験さらに熟練
が要求されるという問題点、活着率が100%とはいかず
ロスが出るという問題点、さらには[接ぎ木クリップ」
や「接ぎ木バンド」を使用しなければならないという点
およびその使用によって生ずる上記問題点等を解決した
優れたものであるが、接着剤の種類によっては、接着剤
が塗布部分から垂れ落ちて接ぎ木部分の固定が充分に行
えなかったり、技術的な熟練を要求されたり、重ね合わ
せた切断面の部分に接着剤が流入し活着率を低下させる
という問題が新たに見出された。本発明はその新たに見
出した問題点を解決し、接ぎ木の作業性を向上させ、か
つ活着不良の少ないより優れた接着剤を提供することを
目的としたものである。
形状が繊細かつ複雑であることと、どの接ぎ木方法を採
用するかということに、かなりの知識と経験さらに熟練
が要求されるという問題点、活着率が100%とはいかず
ロスが出るという問題点、さらには[接ぎ木クリップ」
や「接ぎ木バンド」を使用しなければならないという点
およびその使用によって生ずる上記問題点等を解決した
優れたものであるが、接着剤の種類によっては、接着剤
が塗布部分から垂れ落ちて接ぎ木部分の固定が充分に行
えなかったり、技術的な熟練を要求されたり、重ね合わ
せた切断面の部分に接着剤が流入し活着率を低下させる
という問題が新たに見出された。本発明はその新たに見
出した問題点を解決し、接ぎ木の作業性を向上させ、か
つ活着不良の少ないより優れた接着剤を提供することを
目的としたものである。
(ロ)発明の構成 「課題を解決するための手段」 本発明者らは、上記課題の解決のため鋭意検討を重ね
た結果、増粘された接着剤とすることさらには該接着剤
にチキソトロピック性を付与することによって、前記問
題点のことごとくを解消し、目的とする課題が解決し得
ることを見出して本発明を完成したのである。
た結果、増粘された接着剤とすることさらには該接着剤
にチキソトロピック性を付与することによって、前記問
題点のことごとくを解消し、目的とする課題が解決し得
ることを見出して本発明を完成したのである。
即ち本発明は、2−シアノアクリレートを主成分とし
粘度が100cp以上であることを特徴とする接ぎ木用接着
剤及び2−シアノアクリレートを主成分としチキソトロ
ピック性を有し粘度が100cp以上であることを特徴とす
る接ぎ木用接着剤に関するものである。
粘度が100cp以上であることを特徴とする接ぎ木用接着
剤及び2−シアノアクリレートを主成分としチキソトロ
ピック性を有し粘度が100cp以上であることを特徴とす
る接ぎ木用接着剤に関するものである。
○2−シアノアクリレート 本発明において使用される2−シアノアクリレート
は、示性式をCH2=C(CN)COORで表示される化合物で
あり、式中のRはアルキル、アルケニル、シクロアルキ
ル、アリール、アルコキシアルキル基などを包含し、具
体的にはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピ
ル、n−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、シクロヘ
キシル、アリル、ベンジル、メトキシエチル、エトキシ
エチル等などが挙げられる。これらの2−シアノアクリ
レートは、いわゆる瞬間接着剤として市販されている常
温硬化型接着剤の主成分であり、本発明においては、そ
れらの市販されている瞬間接着剤をそのまま2−シアノ
アクリレートとして用いることが出来る。
は、示性式をCH2=C(CN)COORで表示される化合物で
あり、式中のRはアルキル、アルケニル、シクロアルキ
ル、アリール、アルコキシアルキル基などを包含し、具
体的にはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピ
ル、n−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、シクロヘ
キシル、アリル、ベンジル、メトキシエチル、エトキシ
エチル等などが挙げられる。これらの2−シアノアクリ
レートは、いわゆる瞬間接着剤として市販されている常
温硬化型接着剤の主成分であり、本発明においては、そ
れらの市販されている瞬間接着剤をそのまま2−シアノ
アクリレートとして用いることが出来る。
○増粘剤 本発明に用いられる接着剤は、2−シアノアクリレー
トの増粘剤として公知のポリメチルメタアクリレート、
ポリメチルアクリレート、ポリアルキル−2−シアノア
クリレート、アクリルゴム、ポリビニルアセテート、ポ
リビニルエーテル、セルロースエステル等の増粘剤によ
り、その粘度を100cp以上に増粘されたもので、本発明
にとり好ましいものは粘度が300cp以上のもので、より
好ましいものは粘度が500〜250,000cpのもので、特に好
ましいものは1,000〜50,000cpにその粘度が調整された
ものである。
トの増粘剤として公知のポリメチルメタアクリレート、
ポリメチルアクリレート、ポリアルキル−2−シアノア
クリレート、アクリルゴム、ポリビニルアセテート、ポ
リビニルエーテル、セルロースエステル等の増粘剤によ
り、その粘度を100cp以上に増粘されたもので、本発明
にとり好ましいものは粘度が300cp以上のもので、より
好ましいものは粘度が500〜250,000cpのもので、特に好
ましいものは1,000〜50,000cpにその粘度が調整された
ものである。
目的とする粘度は、増粘剤の種類及びその分子量によ
り異なるが、前記増粘剤を1〜10重量%添加することに
より得ることが出来る。
り異なるが、前記増粘剤を1〜10重量%添加することに
より得ることが出来る。
本発明における粘度はB型回転粘度計で、試料温度25
℃、回転数6rpmで測定されたものである。ローター番号
は粘度に応じて適宜選択された。例えば粘度200cpのも
のはローター番号1のもので測定された。
℃、回転数6rpmで測定されたものである。ローター番号
は粘度に応じて適宜選択された。例えば粘度200cpのも
のはローター番号1のもので測定された。
○チキソトロピック性付与剤 前記増粘剤で増粘された接着剤は、接着剤の垂れ落
ち、台木と穂木の接触部分への接着剤の流入がかなり押
さえられるのであるが、単に増粘剤で増粘された接着剤
は本質的にチキソトロピック性を有さず、流動性を有
し、垂れ流れ等を完全に防止することが難しく、増粘剤
の増量によれば、流れのない十分な粘度のものにするこ
とは可能であるが、その様に増粘された接着剤は曳糸性
が大きく、高粘度のために、接ぎ木外周部にうまく塗り
広げることが難しく作業性を低下させる恐れがあるもの
であり、増粘剤で増粘された接着剤にチキソトロピック
性を付与することにより、その恐れの全てをを雲散霧消
させ得るのである。
ち、台木と穂木の接触部分への接着剤の流入がかなり押
さえられるのであるが、単に増粘剤で増粘された接着剤
は本質的にチキソトロピック性を有さず、流動性を有
し、垂れ流れ等を完全に防止することが難しく、増粘剤
の増量によれば、流れのない十分な粘度のものにするこ
とは可能であるが、その様に増粘された接着剤は曳糸性
が大きく、高粘度のために、接ぎ木外周部にうまく塗り
広げることが難しく作業性を低下させる恐れがあるもの
であり、増粘剤で増粘された接着剤にチキソトロピック
性を付与することにより、その恐れの全てをを雲散霧消
させ得るのである。
本発明に用いられるチキソトロピック性付与剤として
は公知のもの、即ち、多価ヒドロキシ化合物の芳香族ア
ルデヒド縮合物、多価ヒドロキシ化合物と硼酸との縮合
物、ポリアルキレングリコールエーテル類、ポリアルキ
レングリコールエステル類、アルミニウム脂肪酸塩、ポ
リカーボネート、ポリフッ化ビニリデン及び二酸化ケイ
素等が挙げられる又用いられるが、本発明にとり好まし
いチキソトロピック性付与剤は疎水性シリカである。
は公知のもの、即ち、多価ヒドロキシ化合物の芳香族ア
ルデヒド縮合物、多価ヒドロキシ化合物と硼酸との縮合
物、ポリアルキレングリコールエーテル類、ポリアルキ
レングリコールエステル類、アルミニウム脂肪酸塩、ポ
リカーボネート、ポリフッ化ビニリデン及び二酸化ケイ
素等が挙げられる又用いられるが、本発明にとり好まし
いチキソトロピック性付与剤は疎水性シリカである。
疎水性シリカとは、親水性シリカの表面に存在する水
酸基と何等かの形で反応し疎水基を形成し得る化合物又
は親水性シリカの表面に吸着され該表面に疎水性の層を
形成し得る化合物(以下表面処理剤という)と親水性シ
リカを、溶媒の共存下又は不存在下に接触させ、好まし
くは加熱することにより親水性シリカの表面を疎水性に
変化させて得られるものである。
酸基と何等かの形で反応し疎水基を形成し得る化合物又
は親水性シリカの表面に吸着され該表面に疎水性の層を
形成し得る化合物(以下表面処理剤という)と親水性シ
リカを、溶媒の共存下又は不存在下に接触させ、好まし
くは加熱することにより親水性シリカの表面を疎水性に
変化させて得られるものである。
原料となる親水性シリカとしては、ヒュームドシリカ
や湿式シリカ等が挙げられ、一次粒子の粒径が1〜100
μmのものが好ましく、5〜50μmのものがより好まし
い。この様な微粒子シリカとしては、例えば、四塩化珪
素を酸水素焔中で加水分解することにより得られる、高
分散性の無定形シリカがある。又、酸水素焔中で加水分
解させる際に、塩化チタニウム、塩化アルミニウム、塩
化鉄などの塩化物を併存させアルミナ含有シリカ、酸化
チタン含有シリカ、酸化鉄含有シリカとしたものも本発
明で用いることができる。
や湿式シリカ等が挙げられ、一次粒子の粒径が1〜100
μmのものが好ましく、5〜50μmのものがより好まし
い。この様な微粒子シリカとしては、例えば、四塩化珪
素を酸水素焔中で加水分解することにより得られる、高
分散性の無定形シリカがある。又、酸水素焔中で加水分
解させる際に、塩化チタニウム、塩化アルミニウム、塩
化鉄などの塩化物を併存させアルミナ含有シリカ、酸化
チタン含有シリカ、酸化鉄含有シリカとしたものも本発
明で用いることができる。
親水性シリカの表面状態を変化させ疎水性シリカとす
る表面処理剤としては、n−オクチルトリアルコキシシ
ランなどの疎水基を有するアルキル、アリール、アラル
キル系シランカップリング剤、ジメチルジクロロシラ
ン、ヘキサメチレンジシラザン等のシリル化剤、ポリジ
メチルシロキサン等のシリコーンオイル、ステアリルア
ルコール等の高級アルコール、ステアリン酸等の高級脂
肪酸等が挙げられる。
る表面処理剤としては、n−オクチルトリアルコキシシ
ランなどの疎水基を有するアルキル、アリール、アラル
キル系シランカップリング剤、ジメチルジクロロシラ
ン、ヘキサメチレンジシラザン等のシリル化剤、ポリジ
メチルシロキサン等のシリコーンオイル、ステアリルア
ルコール等の高級アルコール、ステアリン酸等の高級脂
肪酸等が挙げられる。
本発明においては疎水性シリカとして、親水性シリカ
の表面にジメチルシリル基又はトリメチルシリル基を付
加し得る、所謂、ジメチルシリル化剤又はトリメチルシ
リル化剤で表面処理された親水性シリカより得られる疎
水性シリカを用いるのが特に好ましい。
の表面にジメチルシリル基又はトリメチルシリル基を付
加し得る、所謂、ジメチルシリル化剤又はトリメチルシ
リル化剤で表面処理された親水性シリカより得られる疎
水性シリカを用いるのが特に好ましい。
ジメチルシリル化剤及びトリメチルシリル化剤の具体
例としては、上記のジメチルジクロロシラン、ヘキサメ
チルジシラザンの他にジメチルジメトキシシラン、ジメ
チルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、
ジメチルジトリフルオロアセトキシシラン、ヘキサメチ
ルシクロトリシラザン、トリメチルクロロシラン、トリ
メチルブロモシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)
カーバメート、N,N−ジエチルアミノトリメチルシラ
ン、N,N−ジメチルアミノトリメチルシラン、ヘキサメ
チルジシロキサン、N−トリメチルシリルイミダゾー
ル、ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(ト
リメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、ビス(ト
リメチルシリル)ウレア、2−トリメチルシロキシ−2
−ペンテン−4−オン、トリメチルシリルアセトアミ
ド、トリメチルシリル−N,N′−ジフェニルウレア、3
−トリメチルシリル−2−オキサソリジノン、ビス(ト
リメチルシロキシ)ジメチルシラン等を挙げることがで
きる。
例としては、上記のジメチルジクロロシラン、ヘキサメ
チルジシラザンの他にジメチルジメトキシシラン、ジメ
チルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、
ジメチルジトリフルオロアセトキシシラン、ヘキサメチ
ルシクロトリシラザン、トリメチルクロロシラン、トリ
メチルブロモシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)
カーバメート、N,N−ジエチルアミノトリメチルシラ
ン、N,N−ジメチルアミノトリメチルシラン、ヘキサメ
チルジシロキサン、N−トリメチルシリルイミダゾー
ル、ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(ト
リメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、ビス(ト
リメチルシリル)ウレア、2−トリメチルシロキシ−2
−ペンテン−4−オン、トリメチルシリルアセトアミ
ド、トリメチルシリル−N,N′−ジフェニルウレア、3
−トリメチルシリル−2−オキサソリジノン、ビス(ト
リメチルシロキシ)ジメチルシラン等を挙げることがで
きる。
本発明に用いられる疎水性シリカは前記した方法で製
造し得るが、既に市販されている疎水性シリカをもって
これに代えることができる。市販品の疎水性シリカとし
ては、n−オクチルトリメトキシシランで表面処理され
たAEROSIL R805(Degussa社製)、シリコンオイルで表
面処理されたAEROSIL R202(Degussa社製)、ジメチル
シリル化剤で表面処理されたAEROSIL R972、R974、R97
6(何れもDegussa社製)、トリメチルシリル化剤で表面
処理されたAEROSIL R811、R812(何れもDegussa社製)
等を挙げることができ、それらは、それぞれ、150±2
0、80±20、100±20、170±20、250±20、150±20、200
±20m2/gの比表面積、50、65、40、35、30、60、60の疎
水化度を有する疎水性ヒュームドシリカである。又、そ
の他の疎水性シリカとしてCab−O−Sil N70−TS(CAB
OT社製)があり、100±20m2/gの比表面積を有し、有機
珪素化合物で処理されたものとして報告されている。
造し得るが、既に市販されている疎水性シリカをもって
これに代えることができる。市販品の疎水性シリカとし
ては、n−オクチルトリメトキシシランで表面処理され
たAEROSIL R805(Degussa社製)、シリコンオイルで表
面処理されたAEROSIL R202(Degussa社製)、ジメチル
シリル化剤で表面処理されたAEROSIL R972、R974、R97
6(何れもDegussa社製)、トリメチルシリル化剤で表面
処理されたAEROSIL R811、R812(何れもDegussa社製)
等を挙げることができ、それらは、それぞれ、150±2
0、80±20、100±20、170±20、250±20、150±20、200
±20m2/gの比表面積、50、65、40、35、30、60、60の疎
水化度を有する疎水性ヒュームドシリカである。又、そ
の他の疎水性シリカとしてCab−O−Sil N70−TS(CAB
OT社製)があり、100±20m2/gの比表面積を有し、有機
珪素化合物で処理されたものとして報告されている。
なお、これらの疎水性シリカには多少の増粘効果有し
ているので、接着剤を増粘する際には、使用する増粘剤
の量をある程度加減して行うことが必要である。
ているので、接着剤を増粘する際には、使用する増粘剤
の量をある程度加減して行うことが必要である。
本発明において、これらのチキソトロピック性付与剤
はポリアルキレングリコールの様なチキソトロピック性
付与助剤と併用して用いることもできる。
はポリアルキレングリコールの様なチキソトロピック性
付与助剤と併用して用いることもできる。
チキソトロピック性付与剤は、本発明の接着剤にチキ
ソトロピック性を付与して本発明の目的とする接ぎ木様
接着剤を優れた性能のものとするのであるが、付与すべ
きチキソトロピック性としては下記式で示されるチキソ
トロピック係数(以下T.I.係数という)が好ましくは2.
0以上、より好ましくは2.0〜10.0の範囲のものであり、
特に好ましくは3.0〜6.0の範囲のものである。
ソトロピック性を付与して本発明の目的とする接ぎ木様
接着剤を優れた性能のものとするのであるが、付与すべ
きチキソトロピック性としては下記式で示されるチキソ
トロピック係数(以下T.I.係数という)が好ましくは2.
0以上、より好ましくは2.0〜10.0の範囲のものであり、
特に好ましくは3.0〜6.0の範囲のものである。
T.I.=η6/η60 但しη6はB型回転粘度計で、試料温度25℃、回転数
6rpmで測定された粘度(ローター番号は粘度に応じて適
宜選択) η60はB型回転粘度計で、試料温度25℃、回転数
60rpmで測定された粘度(ローター番号は粘度に応じて
適宜選択) ○その他の添加剤 本発明の2−シアノアクリレートを主成分とする接ぎ
木用接着剤には、市販されている瞬間接着剤と同様に、
必要に応じて、その他の添加剤、例えば安定剤、硬化促
進剤、可塑剤、染料等が添加される。本発明の接着剤と
して、市販の2−シアノアクリレートを主成分とする瞬
間接着剤を用いることも、上記粘度を有しているもの、
特にチキソトロピック性が付与されたものであれば可能
であるが、本発明にとり、塗布作業の管理を平易にする
ためや、作業速度の向上のために、特に染料・顔料等の
着色剤が添加されたもの、更には蛍光剤及び各種アミン
化合物やポリアルキレングリコール誘導体等の公知の硬
化促進剤等が加えられているものが好ましい。なお、硬
化促進剤は接着剤の成分として接着剤中に加えられて使
用されても良いが、二液タイプとして接着剤と硬化促進
剤を別々に使用することも出来るし、接着剤の安定性の
面からは好ましい方法である。
6rpmで測定された粘度(ローター番号は粘度に応じて適
宜選択) η60はB型回転粘度計で、試料温度25℃、回転数
60rpmで測定された粘度(ローター番号は粘度に応じて
適宜選択) ○その他の添加剤 本発明の2−シアノアクリレートを主成分とする接ぎ
木用接着剤には、市販されている瞬間接着剤と同様に、
必要に応じて、その他の添加剤、例えば安定剤、硬化促
進剤、可塑剤、染料等が添加される。本発明の接着剤と
して、市販の2−シアノアクリレートを主成分とする瞬
間接着剤を用いることも、上記粘度を有しているもの、
特にチキソトロピック性が付与されたものであれば可能
であるが、本発明にとり、塗布作業の管理を平易にする
ためや、作業速度の向上のために、特に染料・顔料等の
着色剤が添加されたもの、更には蛍光剤及び各種アミン
化合物やポリアルキレングリコール誘導体等の公知の硬
化促進剤等が加えられているものが好ましい。なお、硬
化促進剤は接着剤の成分として接着剤中に加えられて使
用されても良いが、二液タイプとして接着剤と硬化促進
剤を別々に使用することも出来るし、接着剤の安定性の
面からは好ましい方法である。
○接ぎ木方法 本発明の接着剤を用いた接ぎ木方法について添付した
図面に基づいて説明する。図1、図2はナス科、ウリ科
の野菜に、本発明に基づく接着剤を用いて接ぎ木を実施
する方法を概念的に示す図である。図3は本発明による
接着剤を用いて行う接ぎ木方法に採用した穂木と台木の
接合部の断面図を示したものである。図4は従来の接ぎ
木方法における切断状態を示したものである。図3に示
す様に本発明方法においては、台木、穂木とも茎に対し
ほぼ直角に切断して接合し癒着させることが可能で、図
4に示される従来方法の様な複雑な切断面を形成する必
要がなく、極めて単純簡素な切断形状で良い。勿論、従
来の方法に従って穂木と台木を切断し接合する様な状態
においても、従来の「接ぎ木クリップ」や「接ぎ木バン
ド」を使用せずに、本発明にかかる接着剤を用いて固定
することも出来る。
図面に基づいて説明する。図1、図2はナス科、ウリ科
の野菜に、本発明に基づく接着剤を用いて接ぎ木を実施
する方法を概念的に示す図である。図3は本発明による
接着剤を用いて行う接ぎ木方法に採用した穂木と台木の
接合部の断面図を示したものである。図4は従来の接ぎ
木方法における切断状態を示したものである。図3に示
す様に本発明方法においては、台木、穂木とも茎に対し
ほぼ直角に切断して接合し癒着させることが可能で、図
4に示される従来方法の様な複雑な切断面を形成する必
要がなく、極めて単純簡素な切断形状で良い。勿論、従
来の方法に従って穂木と台木を切断し接合する様な状態
においても、従来の「接ぎ木クリップ」や「接ぎ木バン
ド」を使用せずに、本発明にかかる接着剤を用いて固定
することも出来る。
台木と穂木の切断箇所はウリ科以外の植物では特に部
位にとらわれることがないが、ウリ科の場合では台木の
切断部位は子葉の着節部位で切断するのが望ましい。
位にとらわれることがないが、ウリ科の場合では台木の
切断部位は子葉の着節部位で切断するのが望ましい。
切断された台木と穂木は切断面を接触させた後、2−
シアノアクリレートを主成分とする接着剤をその切断面
の接触部外周辺部に塗布し、そのまま数秒ないし十数秒
保持し、接着剤を硬化させることにより、穂木と台木が
結合固定される。硬化促進剤を接着剤と併用すると結合
固定を一層早く行うことが出来好ましい方法である。2
−シアノアクリレートを主成分とする瞬間接着剤用とし
て、硬化促進剤も市販されており、それをそのまま使用
することも可能で、液状の硬化促進剤を穂木と台木の切
断面の外周辺部に塗布し、その切断面を接触させた後
に、接着剤を塗布する方法或いは切断面に接触部外周辺
部に接着剤を塗布した後に、接着剤の表面から硬化促進
剤を塗布する方法等が採用される。硬化促進剤の塗布方
法としては、穂木と台木を硬化促進剤の液中に浸漬する
方法、硬化促進剤の容器の開孔部或いは先端ノズルから
滴下する方法あるいは噴霧器を用いて噴霧する方法等が
採用される。
シアノアクリレートを主成分とする接着剤をその切断面
の接触部外周辺部に塗布し、そのまま数秒ないし十数秒
保持し、接着剤を硬化させることにより、穂木と台木が
結合固定される。硬化促進剤を接着剤と併用すると結合
固定を一層早く行うことが出来好ましい方法である。2
−シアノアクリレートを主成分とする瞬間接着剤用とし
て、硬化促進剤も市販されており、それをそのまま使用
することも可能で、液状の硬化促進剤を穂木と台木の切
断面の外周辺部に塗布し、その切断面を接触させた後
に、接着剤を塗布する方法或いは切断面に接触部外周辺
部に接着剤を塗布した後に、接着剤の表面から硬化促進
剤を塗布する方法等が採用される。硬化促進剤の塗布方
法としては、穂木と台木を硬化促進剤の液中に浸漬する
方法、硬化促進剤の容器の開孔部或いは先端ノズルから
滴下する方法あるいは噴霧器を用いて噴霧する方法等が
採用される。
接着剤の塗布量は接ぎ木接合部の周囲長により異な
り、特に限定されるものではないが、接合部の周囲を一
周連続的に塗布し硬化させることが望ましく、接触部外
周面を完全に被覆する様に塗布することが望ましく、そ
うすることにより確実な癒着が可能となる。
り、特に限定されるものではないが、接合部の周囲を一
周連続的に塗布し硬化させることが望ましく、接触部外
周面を完全に被覆する様に塗布することが望ましく、そ
うすることにより確実な癒着が可能となる。
いずれの植物でも、台木と穂木の切断面を略同一にし
た、同一径による接合が望ましいが、切断面の径が若干
異なる場合でも、本願発明によれば、偏芯的に接触させ
た後、切断面の非接触部分にも本願発明の接着剤を塗布
することにより、非接触部分からの水分蒸発や病原菌の
侵入を防止出来、活着率を向上させることができる。
た、同一径による接合が望ましいが、切断面の径が若干
異なる場合でも、本願発明によれば、偏芯的に接触させ
た後、切断面の非接触部分にも本願発明の接着剤を塗布
することにより、非接触部分からの水分蒸発や病原菌の
侵入を防止出来、活着率を向上させることができる。
接合された接ぎ木苗は10〜20日管理すると台木と穂木
が癒着する。接着剤は接ぎ木苗が生長するに従い、自然
に剥離落下し、接着剤を除去する作業は不要である。
が癒着する。接着剤は接ぎ木苗が生長するに従い、自然
に剥離落下し、接着剤を除去する作業は不要である。
「作用」 本発明の接着剤は、適当な粘度を有するために、チキ
ソトロピック性が付与されたものは特に、接ぎ木する
際、接着剤の塗り広げが容易で、接着剤の垂れ落ち、接
触部分への接着剤の流入、接着剤塗布後のノズルからの
糸曳きがなく、先に提案した接ぎ木用接着剤の作業性を
安定向上させ、熟練度を必要とせず、活着不良をおこす
こともなく接ぎ木用の接着剤として優れた性能を奏する
という作用を示すものである。
ソトロピック性が付与されたものは特に、接ぎ木する
際、接着剤の塗り広げが容易で、接着剤の垂れ落ち、接
触部分への接着剤の流入、接着剤塗布後のノズルからの
糸曳きがなく、先に提案した接ぎ木用接着剤の作業性を
安定向上させ、熟練度を必要とせず、活着不良をおこす
こともなく接ぎ木用の接着剤として優れた性能を奏する
という作用を示すものである。
「実施例」 実施例1 台木用種子(ナス:アカナス、耐病性VF、ミート、ト
マト:LS−89耐病新交1号)を播種数日後、穂木用ナ
ス、トマトを播種した。台木の本葉が5〜6枚となった
時に、台木の第2葉ないし第3葉の上部約1cmで茎を切
断した。穂木となるナス、トマトは第1〜2葉の中間で
切断した。台木と穂木の切断面を接触させ、赤い染料を
添加した2−シアノアクリレートを主成分とする低粘度
の市販接着剤(東亞合成化学工業(株)製:アロンアル
フア#201)に表−1に示される化合物を配合してなる
接着剤Aを、接触部よりわずかに上部の外周辺部に塗布
したところ、接着剤がかすかに垂れたところで止まり、
丁度接触部の外周部を覆うような形になった。その接着
剤表面に硬化促進剤(東亞合成化学工業(株)製:aaセ
ッター)を数滴適下したところ、ほぼ瞬時に硬化し接合
固着した。作業に要した時間は台木と穂木の処理時間4
秒、接着剤の塗布時間2秒、硬化促進剤の滴下2秒の合
計8秒であった。同様の方法でナス、トマトをそれぞれ
20本ずつ接ぎ木を行い、2週間後の活着状態を観察した
結果、ナスの活着率は100%、トマトの活着率は95%で
あった。また、活着していたもののその後の生育状態も
良好であった。
マト:LS−89耐病新交1号)を播種数日後、穂木用ナ
ス、トマトを播種した。台木の本葉が5〜6枚となった
時に、台木の第2葉ないし第3葉の上部約1cmで茎を切
断した。穂木となるナス、トマトは第1〜2葉の中間で
切断した。台木と穂木の切断面を接触させ、赤い染料を
添加した2−シアノアクリレートを主成分とする低粘度
の市販接着剤(東亞合成化学工業(株)製:アロンアル
フア#201)に表−1に示される化合物を配合してなる
接着剤Aを、接触部よりわずかに上部の外周辺部に塗布
したところ、接着剤がかすかに垂れたところで止まり、
丁度接触部の外周部を覆うような形になった。その接着
剤表面に硬化促進剤(東亞合成化学工業(株)製:aaセ
ッター)を数滴適下したところ、ほぼ瞬時に硬化し接合
固着した。作業に要した時間は台木と穂木の処理時間4
秒、接着剤の塗布時間2秒、硬化促進剤の滴下2秒の合
計8秒であった。同様の方法でナス、トマトをそれぞれ
20本ずつ接ぎ木を行い、2週間後の活着状態を観察した
結果、ナスの活着率は100%、トマトの活着率は95%で
あった。また、活着していたもののその後の生育状態も
良好であった。
実施例2〜9 表−1の接着剤B〜Iを用い、実施例1と同様の試験
をしたところ表−2の様な結果になった。チキソトロピ
ック性が少ない接着剤或いは粘度もやや低い接着剤E〜
F又はIを使用した場合は、接着剤が糸を曳く、接着剤
を塗り広げなくてはならない等で作業性がやや悪く、接
着剤の塗布に時間がかかり、作業時間が15〜21秒と長く
なった。
をしたところ表−2の様な結果になった。チキソトロピ
ック性が少ない接着剤或いは粘度もやや低い接着剤E〜
F又はIを使用した場合は、接着剤が糸を曳く、接着剤
を塗り広げなくてはならない等で作業性がやや悪く、接
着剤の塗布に時間がかかり、作業時間が15〜21秒と長く
なった。
比較例1〜2 低粘度の市販接着剤(東亞合成化学工業(株)製:ア
ロンアルフア#201)及びそれを若干増粘したものに赤
い染料を添加して接着剤とし、実施例1と同様の試験を
したところ、塗布直後に接着剤が垂れ落ちてしまい、硬
化促進剤を滴下しても、穂木を台木上に固定することが
出来ないか困難であった。また、ナス、トマトとも2週
間後の活着率が悪かった。活着しなかったものの接触部
を観察したところ、接触界面に接着剤が入り込んで硬化
していた。
ロンアルフア#201)及びそれを若干増粘したものに赤
い染料を添加して接着剤とし、実施例1と同様の試験を
したところ、塗布直後に接着剤が垂れ落ちてしまい、硬
化促進剤を滴下しても、穂木を台木上に固定することが
出来ないか困難であった。また、ナス、トマトとも2週
間後の活着率が悪かった。活着しなかったものの接触部
を観察したところ、接触界面に接着剤が入り込んで硬化
していた。
実施例10 実施例1における市販接着剤を、東亞合成化学工業
(株)製のゼリー状瞬間接着剤アロンアルフアGEL−10
に代えて同様に試験したところ、作業に要した時間は台
木と穂木の処理時間4秒、接着剤の塗布時間6秒、硬化
促進剤の滴下2秒の合計12秒であり、2週間後の活着状
態は、ナスの活着率が100%、トマトの活着率が80%で
あった。
(株)製のゼリー状瞬間接着剤アロンアルフアGEL−10
に代えて同様に試験したところ、作業に要した時間は台
木と穂木の処理時間4秒、接着剤の塗布時間6秒、硬化
促進剤の滴下2秒の合計12秒であり、2週間後の活着状
態は、ナスの活着率が100%、トマトの活着率が80%で
あった。
尚、該接着剤の粘度は170,000cp(東京計器(株)製B
8H型回転粘度計/試料温度:25℃/ローター番号:7/回転
数:5rpm)、T.I.係数は8.1であった。
8H型回転粘度計/試料温度:25℃/ローター番号:7/回転
数:5rpm)、T.I.係数は8.1であった。
(ハ)発明の効果 本発明にかかる粘度の高い2−シアノアクリレート系
接着剤を用いる接ぎ木方法は、従来の接ぎ木方法に比較
して、次の様な優れた効果を示す。
接着剤を用いる接ぎ木方法は、従来の接ぎ木方法に比較
して、次の様な優れた効果を示す。
1.低粘度の接着剤の場合、塗布直後に接着剤が垂れ落
ち、穂木を台木の上に固定し難いのに対し、固定し易
く、固定の失敗がない。
ち、穂木を台木の上に固定し難いのに対し、固定し易
く、固定の失敗がない。
2.低粘度の接着剤の場合、穂木と台木の接触界面に接着
剤が入り込み、つながるべき形成層をふさぎ、活着が妨
げられるのに対し、活着不良が少なく活着率が高い。
剤が入り込み、つながるべき形成層をふさぎ、活着が妨
げられるのに対し、活着不良が少なく活着率が高い。
3.チキソトロピック性のない高粘度の接着剤は、糸曳き
があり、接着剤が接着部分以外の不必要箇所に付着し、
又、衣服や指先に付着して作業性を低下させる恐れがあ
るのに対し、チキソトロピック性を付与することにより
それらの問題について全く心配する必要がない。
があり、接着剤が接着部分以外の不必要箇所に付着し、
又、衣服や指先に付着して作業性を低下させる恐れがあ
るのに対し、チキソトロピック性を付与することにより
それらの問題について全く心配する必要がない。
4.チキソトロピック性のない高粘度の接着剤は、塗布
後、接着剤を塗り広げるという作業が必要なため、接ぎ
木に要する時間が20秒/本かかるのに対し、チキソトロ
ピック性を付与された接着剤は、接触箇所のやや上部の
外周に塗るだけで、接着剤が必要な部分に広がり、完全
に垂れ落ちることなく、適当な箇所で止まるので、接ぎ
木に要する時間が10秒/本以内で済む。
後、接着剤を塗り広げるという作業が必要なため、接ぎ
木に要する時間が20秒/本かかるのに対し、チキソトロ
ピック性を付与された接着剤は、接触箇所のやや上部の
外周に塗るだけで、接着剤が必要な部分に広がり、完全
に垂れ落ちることなく、適当な箇所で止まるので、接ぎ
木に要する時間が10秒/本以内で済む。
これらのことから本発明の接着剤を用いることによ
り、作業が迅速簡便、かつ活着率の高い接ぎ木方法が可
能となり、機械を用いて接ぎ木苗生産の自動化システム
の可能性も高まった。
り、作業が迅速簡便、かつ活着率の高い接ぎ木方法が可
能となり、機械を用いて接ぎ木苗生産の自動化システム
の可能性も高まった。
なお、本発明はトマト、ナス、キュウリ、メロン、ス
イカなどの野菜類、ブドウ、ミカンなどの果樹類、バ
ラ、モモ、ウメ、ボタン、松などの花木類にも使用でき
る。
イカなどの野菜類、ブドウ、ミカンなどの果樹類、バ
ラ、モモ、ウメ、ボタン、松などの花木類にも使用でき
る。
第1図はナス科の植物に本発明を適用する際の概念図で
あり、第2図はウリ科の植物に本発明を適用する際の概
念図であり、第3図は穂木と台木の接触部の断面図であ
り、第4図は従来の接ぎ木方法による穂木と台木の接触
部の形状を示すものでAは「挿し接ぎ法」、Bは「割り
接ぎ法」、Cは「呼び接ぎ法」の図である。尚図中1は
穂木、2は台木、3は切断面、4は接着剤を示す。
あり、第2図はウリ科の植物に本発明を適用する際の概
念図であり、第3図は穂木と台木の接触部の断面図であ
り、第4図は従来の接ぎ木方法による穂木と台木の接触
部の形状を示すものでAは「挿し接ぎ法」、Bは「割り
接ぎ法」、Cは「呼び接ぎ法」の図である。尚図中1は
穂木、2は台木、3は切断面、4は接着剤を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−43247(JP,A) 特開 平1−101383(JP,A) 特開 昭63−275609(JP,A) 米国特許3667472(US,A) 「接着」 第31巻2号 (1987) 第 58〜63頁 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09J 4/04 A01G 1/06
Claims (2)
- 【請求項1】2−シアノアクリレートを主成分とし粘度
が100cp以上であることを特徴とする接ぎ木用接着剤。 - 【請求項2】2−シアノアクリレートを主成分としチキ
ソトロピック性を有し粘度が100cp以上であることを特
徴とする接ぎ木用接着剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1206717A JP2808316B2 (ja) | 1989-08-11 | 1989-08-11 | 接ぎ木用接着剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1206717A JP2808316B2 (ja) | 1989-08-11 | 1989-08-11 | 接ぎ木用接着剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03179069A JPH03179069A (ja) | 1991-08-05 |
JP2808316B2 true JP2808316B2 (ja) | 1998-10-08 |
Family
ID=16527942
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1206717A Expired - Fee Related JP2808316B2 (ja) | 1989-08-11 | 1989-08-11 | 接ぎ木用接着剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2808316B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07107858A (ja) * | 1993-10-13 | 1995-04-25 | Techno Grafting Kenkyusho:Kk | 連続多連接木装置及び連続多連接木方法 |
JPH0853651A (ja) * | 1994-06-08 | 1996-02-27 | Taoka Chem Co Ltd | α−シアノアクリレート系接着剤組成物 |
EP2337825B1 (en) * | 2008-09-26 | 2016-12-21 | Henkel IP & Holding GmbH | Cyanoacrylate compositions in non-flowable forms |
JP6046901B2 (ja) * | 2012-03-19 | 2016-12-21 | 有限会社 シリーズ | 植物生体用接着剤及びその製造方法、並びにそれを用いた植物の繁殖方法 |
CN105075620A (zh) * | 2015-08-24 | 2015-11-25 | 安徽省霍山县中绿农林开发有限公司 | 一种油用牡丹的培育种植方法 |
JP6796253B2 (ja) * | 2016-04-04 | 2020-12-09 | 日立金属株式会社 | 接着フィルム及びフラット配線材 |
CN107182754B (zh) * | 2017-06-30 | 2020-05-22 | 河南科技大学 | 一种牡丹的容器无土栽培工艺 |
JP7399375B2 (ja) * | 2019-03-20 | 2023-12-19 | 国立大学法人東海国立大学機構 | 接木改善剤 |
CN110558078A (zh) * | 2019-09-29 | 2019-12-13 | 贵州叫李结科技发展服务有限责任公司 | 一种蜂糖李嫁接苗培育方法 |
CN117887383B (zh) * | 2024-03-18 | 2024-06-11 | 潍坊市农业科学院(山东省农业科学院潍坊市分院) | 一种植物用固定胶的制备方法及其应用 |
-
1989
- 1989-08-11 JP JP1206717A patent/JP2808316B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
「接着」 第31巻2号 (1987) 第58〜63頁 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03179069A (ja) | 1991-08-05 |
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