JP6046901B2 - 植物生体用接着剤及びその製造方法、並びにそれを用いた植物の繁殖方法 - Google Patents
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Description
本発明の第1の実施の形態として、植物生体用接着剤について説明する。本発明の植物生体用接着剤は、蒟蒻粉末(主成分がグルコマンナン)と煮豆の混合物に、納豆菌(Bacillus subtitles var. natto)を加えた混合物である第1基材、及び、蒟蒻粉末(主成分がグルコマンナン)と、銀杏または、アルカロイド類が含入する所定の植物種、またはそれらの植物種の混合物と、微量の納豆菌(Bacillus subtitles var. natto)と、フェノール化合物(p-クレゾール又はm-クレゾール、またはその混合物)と、煮大豆と、水と、グルタチオンと、を加えた混合物である第2基材;を混合し発酵して成る。
また、上記植物生体用接着剤には、植物成長ホルモン、植物成長調整剤、及び植物組織活性促進物質のうちの少なくとも1種が含入し、この植物成長調整剤はインドール冠を有する分子式(C9H9NO2)の化合物が含まれている。
次に、本発明の第2の実施の形態として、上記のような組成を有する植物生体用接着剤の製造方法について説明する。図3は、本発明の植物生体用接着剤を製造するための手順を示すフローチャートである。
次に、本発明の第3の実施の形態として、上記のような組成を有する植物生体用接着剤を用いた植物の繁殖方法について説明する。図4は、植物の繁殖方法の事例を表にして示す図である。図4に示されるように、植物の繁殖方法としては、盾接ぎ法(T字形芽接ぎ法)、逆芽接ぎ法、十字形芽接ぎ法、そぎ芽接ぎ法、環状芽接ぎ法といった各種の方法がある。これらの方法のうち、盾接ぎ法は、樹皮をT字形に切り込んで、削ぎ取った芽を切り込み部に差し込む方法である。この方法の適応樹種は、果樹としてはモモ、ナシ、リンゴ、ミカン、カキ、クリ、ペカン等があり、花木としてはサクラ、バラ、カエデ等がある。逆芽接ぎ法は樹皮を逆さT字形に切り込む方法である。十字形芽接ぎ法は樹皮を逆さ十字形に切り込む方法である。そぎ芽接ぎ法は台木の樹皮を舌状に削ぎ取って、そこへ削ぎ取った芽を合着させる方法である。逆さ十字形に切り込む方法である。環状芽接ぎ法は芽のついた樹皮をダブル刃のナイフの幅でリング状に剥皮し、同じナイフで台木を剥皮して、先のリング状の皮を嵌め込む方法である。本実施の形態では、植物の繁殖方法として、そぎ芽接ぎ法による処理を例として挙げる。
図7は、図5及び図6に示された芽接ぎとは別の方法で、本発明の植物生体用接着剤を用いて芽接ぎを行う手順を示すフローチャートである。図8は、当該別の芽接ぎを行う場合の台木及び穂木芽の状態を示す正面図である。
芽接ぎを行うのに使用される台木は、おもに根付苗である。穂木または、穂木芽は事前に採取し水に浸して乾燥させないようにしておく。
図9乃至図12は本発明の植物生体用接着剤による影響を写真撮影して示す図である。図9ではバラにキメラが発生していることが観察された。本発明の植物生体用接着剤を植物の芽接ぎに使用すると芽接ぎ枝の先端部にキメラが発生する事が度々あった。このキメラを低減する芽接ぎ方法として、上述した切れ込み9,10または切れ込み24,25を形成することによりキメラの発生が無くなった。
2 茎枝部位
3,4 切込み線
5,6 削ぎ部
7 切り口平面
8,23 穂木芽
9,10,15,16,24,25 切れ込み
11 切り口垂直面
17,18 切れ線
19 削ぎ片
20 切り口部
21,22 樹皮めくれ部
23 新規移植穂木芽の部位
24,25 水平方向に円周角90〜120度延びる切れ込み
Claims (7)
- 蒟蒻粉末と、
大豆、ひよこ豆、いんげん、ささげ、小豆の中から選択された少なくとも1種の煮豆か
らなる混合物と、
納豆菌と、
を加えた混合物を発酵させた第1基材;及び
蒟蒻粉末と、
銀杏、スイセン属、チョウセンアサガオ属、ヒガンバナ属、アジサイ属、じゃがいもの中から選択されたアルカロイド類が含入する少なくとも1種、またはそれらの混合物と、
納豆菌と、
フェノール化合物と、
煮大豆と、
水と、
グルタチオンと、
を加えた混合物である第2基材;
の混合発酵物から成る植物生体用接着剤。 - さらに、植物成長ホルモン、植物成長調整剤、及び植物組織活性促進物質のうちの少なくとも1種が含有されており、また、この植物成長調整剤はインドール冠を有する分子式が「C9H9NO2」の化合物が含まれ、または、植物成長調整剤はインドール系生合成中間体が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の植物生体用接着剤。
- 蒟蒻粉末30重量部と、大豆、ひよこ豆、いんげん、ささげ、小豆の中から選択された少なくとも1種の煮豆からなる混合物50重量部に微量の枯草菌類の納豆菌を加えた混合物(第1基材)を温度40〜45℃で、10〜22時間発酵させて一次発酵物を得る一次発酵工程と、
銀杏、スイセン属、チョウセンアサガオ属、ヒガンバナ属、アジサイ属、じゃがいもの中から選択されたアルカロイド類が含入する少なくとも1種、またはそれらの混合物50重量部に、微量の納豆菌と、50%濃度のフェノール化合物10〜20重量部と、蒟蒻粉末30重量部と、煮大豆50重量部と、水30重量部と、グルタチオン1重量部とを加え、加圧容器を用いて100〜130℃で約20分煮込まれた混合物(第2基材)を、前記一次発酵物に加え、さらに温度43〜50℃で、20〜30時間発酵させた二次発酵工程と、
前記二次発酵で得られた発酵物に更に水30〜40重量部を加え、さらに温度35〜45℃で、10〜15時間発酵させた三次発酵工程と、
前記三次発酵工程で得られた最終発酵物をアルコールの濃度が40〜60v/v%の水溶液で抽出する工程と、から成る植物生体用接着剤の製造方法。 - 第1基材の一次発酵工程においては、重炭酸ソーダが事前に1〜4重量部混入され、また、
前記三次発酵工程で得られた最終発酵物を、エタノールまたは、メタノールから少なくとも1種選択されたアルコールとイソプロピルアルコールとを混合してなるアルコールの濃度が40〜60v/v%の水溶液で抽出し、
その抽出された液体を約90℃で30〜60分間密閉加熱し、
水素イオン濃度pHが5〜6.5になるように酢酸水溶液または、硫酸水溶液で調整し、
開放容器中で24〜48時間常温熟成し、この常温熟成した後の粘度が30〜90cPである、
ことを特徴とする請求項3に記載の植物生体用接着剤の製造方法。 - 三次発酵工程で加えられる水には、コルヒチン1重量部が添加されていることを特徴とする請求項4に記載の植物生体用接着剤の製造方法。
- 植物を芽接ぎによって繁殖させる方法であって、
芽接ぎの基部となる台木の茎枝部位の外周において、樹皮を形成層付近まで表皮側から中心部に向けて層状になるように上側から下側へ向けて舌状に複数枚カットし、
前記複数枚のカットによりできた削ぎ部の上下方向中間部分において、台木に、表皮側から中心部に向けて略水平方向に樹皮に切り込みして、形成層よりも表皮側の樹皮部分を切除し、
切り込みにより表れた切断口の、中心側の削ぎ部において、樹皮を圧開し、
前記圧開された削ぎ部に、請求項1に記載の植物生体用接着剤を注入又は塗布し、
前記圧開され且つ前記植物生体用接着剤を注入又は塗布された削ぎ部に、他から新規に移植される穂木芽を挿入・装着し、挿入・装着後に養生テープで固定し、さらに、
前記台木の外周において、前記芽接ぎ部位の上下方向に所定間隔をあけて表皮側から中心部に向けて略水平方向に円周角90〜120度延びる切れ込みを形成する、
ことを特徴とする植物の繁殖方法。 - 植物を芽接ぎによって繁殖させる方法であって、
芽接ぎの基部となる台木の茎枝部位のうち、上記芽接ぎをしようとする部位の上側及び下側方向に所定間隔をあけた位置に、表皮側から中心部に向けて略水平方向に延びる切れ込みを形成し、
上側切れ込みから下側切れ込みにかけて樹皮を形成層付近まで、長方形で縦長のスリット状にカットして切り口部を形成し、
切り口部の左右両側の樹皮を、台木の本体から剥ぎ離して樹皮めくれ部を形成し、
切り口部に、請求項1に記載の植物生体用接着剤を塗布し、
前記植物生体用接着剤を塗布された切り口部に、他から新規に移植される穂木芽を装着し、
前記樹皮めくれ部を、穂木芽を包むようにして元に戻し、装着跡の穂木芽を装着後に養生テープで固定し、
さらに、
台木の外周において、上記芽接ぎ部位の上側及び下側方向に所定間隔をあけた位置に、表皮側から中心部に向けて略水平方向に円周角90〜120度延びる切れ込みを形成する、
ことを特徴とする植物の繁殖方法。
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