JP2806518B2 - コイル線材 - Google Patents
コイル線材Info
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- JP2806518B2 JP2806518B2 JP57161439A JP16143982A JP2806518B2 JP 2806518 B2 JP2806518 B2 JP 2806518B2 JP 57161439 A JP57161439 A JP 57161439A JP 16143982 A JP16143982 A JP 16143982A JP 2806518 B2 JP2806518 B2 JP 2806518B2
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- solvent
- coil wire
- wire
- insulating film
- lubricant
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- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01B—CABLES; CONDUCTORS; INSULATORS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR CONDUCTIVE, INSULATING OR DIELECTRIC PROPERTIES
- H01B3/00—Insulators or insulating bodies characterised by the insulating materials; Selection of materials for their insulating or dielectric properties
- H01B3/18—Insulators or insulating bodies characterised by the insulating materials; Selection of materials for their insulating or dielectric properties mainly consisting of organic substances
- H01B3/20—Insulators or insulating bodies characterised by the insulating materials; Selection of materials for their insulating or dielectric properties mainly consisting of organic substances liquids, e.g. oils
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- Insulated Conductors (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
- Coils Or Transformers For Communication (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
本発明は電磁継電器などの電器機器の励磁巻線に用い
られるコイル線材に関する。 従来、この種のコイル線材は、銅などの導電性素線の
外周にクレゾール,フェノールおよびベンゼン核を有す
る溶剤を含む混合溶剤で溶解したポリウレタン樹脂ある
いはポリイミド樹脂などの電気的絶縁被覆材を塗布,焼
付けし、かつこの絶縁被覆膜の外周に線材の滑りを良く
し巻線時の断線を防止するためにパラフィンあるいはオ
イルなどを滑剤として塗布して形成されている。第1図
にこのコイル線材の断面構造を示す。ここで、符号1は
導電性素線,2は絶縁被覆膜および3は滑剤膜である。か
かる構成のエナメル線材を第2図に示すように封止形の
電磁継電器の励磁巻線4に適用すると、継電器動作に伴
なって巻線4の絶縁被覆膜中に残留している溶剤さらに
は滑剤成分が有機ガスとして密閉容器5内に蒸発して充
満し、開閉動作する接点部材6の接触抵抗増大および接
点活性化を起こし易く、接点消耗を著しく促進すること
になる。 本発明の目的は、励磁巻線を有する電気機器における
上述したような問題を解消し得るコイル線材を提供する
ことにある。 本発明は、導電性素線を被覆する絶縁膜外周に滑剤膜
を施して成るコイル線材において、滑剤膜がポリオキシ
エチレンプロピレングリコールおよびこれの末端の水素
の少なくとも1つを他の反応基で置換した物質のいずれ
かから構成されたことを特徴とする。 また、本発明は上記構成において、絶縁膜をKAソルベ
ントを溶剤としてポリウレタン樹脂により構成したこと
を特徴とする。 さらに、本発明は上記構成において、絶縁膜をキシレ
ノールおよびアルコール系の混合物を溶剤としてポリウ
レタン樹脂により構成したことを特徴とする。 次に、本発明の実施例について図面を参照して説明す
る。 この発明においては、導電性素線を被覆する絶縁膜外
周に滑剤膜を施して成るコイル線材が及ぼす上述した問
題を解消するために、絶縁膜を構成する樹脂の溶解に使
用する溶剤と滑剤膜を構成する滑剤とが与える影響をそ
れぞれ個別に調査して改善し、さらに最終的コイル線材
としての影響を調べた。一方、電磁継電器などの電気機
器の励磁巻線に適用されたコイル線材からガスが発生し
たとしてもこの発生ガスが、(1)付着した電気接点部
材の接触抵抗を増大させない、(2)電気接点部材の機
械的開閉動作によるメカノケミカル反応生成物の量によ
り接触抵抗を増大させない、(3)電気接点部材のアー
クによって分解生成する炭素量が少なくアーク持続時間
を増大させないつまり接点消耗を増大させないものであ
ることが望まれる。発生ガスのこれらの特性を評価する
と共に、改善された絶縁膜用溶剤および滑材の与える影
響を調査するために、第3図,第4図および第5図に示
すような構成の実験装置を用いた。 以下これら実験装置について詳述すると、まず第3図
に記載のものは、試料9から放出して気密容器7内に充
満するガスが金(Au)板8の表面に付着し、その付着物
質が金板8の表面接触抵抗をいかに増大させるかを調べ
る実験装置であり、200時間放置後1grの接触荷重で純金
触針を用いて四端子法により表面接触抵抗を測定する。
次に、第4図に記載のものは、付着物質が検体としての
電気接点部材11がコイル12によって励磁され開閉動作す
ることで形成される。絶縁被膜による電気接点部材11の
接触抵抗の増大程度を四端子接触抵抗測定器13にて調べ
る実験装置である。また、第5図に示す実験装置は容器
7内に充満するガス中で検体としての電気接点部材11に
負荷回路14を接続しアーク条件下で開閉動作させ、アー
ク持続時間をオシロスコープ15で連続的に監視すること
により、ある動作回数以上でアーク持続時間が急激に増
大することを調べるものである。このような増大現象は
接点の活性化と呼ばれるが、この現象にいたるまでの動
作回数が多くしかもアーク持続時間の増大程度が小さい
ことが電気接点部材にとって好しい。大体の目安とし
て、この接点活性化までの接点動作回数によって試料の
検体に及ぼす影響を把握することができる。なお、上述
した各実験は120℃の雰囲気中にて行なわれる。 上述した実験装置を用いて本発明の実施例における滑
剤および溶剤毎の特性を上記評価項目(1),(2),
(3)について調査すると、第6図および第7図に記載
の結果を得た。 まず、第6図を参照すると、従来から用いられている
溶剤、スピンドル油およびパラフィンは上記評価項目
(1)〜(3)の特性において明らかに劣るのに対し、
本発明によるコイル線材の滑剤膜を形成するポリオキシ
エチレンプロピレングリコール(ブロックポリマ,ポリ
プロピレングリコール:分子量1750,エチレンオキシド:
10%)、およびポリオキシエチレンプロピレンミリスチ
ルエーテル牛脂脂肪酸エステル(商品名日本油脂ユニセ
ーフ40MT1015相当)は、同評価項目についてすべて極め
て良好な特性を示すことが判明した。ここで、後者の物
質は、ポリオキシエチレンプロピレングリコールの末端
の水素の一方をエーテル化エステル化した一例のもので
あり、他の同族物質にほいても同様に良好な性質を示
す。つまり、基本的にはポリオキシエチレンプロピレン
グリコールの特性に基づくものである。次に、第7図を
参照すると、絶縁膜形成に従来のクレゾールを含む溶剤
を用いた滑剤塗布前の線材に比べ、本発明に適用される
溶剤つまり商品名KAソルベント(ソルベントナフサ30%
アセチルブチルセロソルブ70%)は上記評価項目(1)
について大差はないが、同項目(2),(3)について
極めて良好な特性を示すことが理解できる。また、本発
明においては、キシレノールを40%以下他をアセチルブ
チルセロソルブあるいはベンゼン核を含まないアルコー
ル系統の混合溶剤を適用した場合も同様な結果が得られ
た。 このような評価結果に基づき、本発明によるコイル線
材の第1の実施例は、滑剤膜をポリオキシエチレンプロ
ピレングリコールおよびポリオキシエチレンプロピレン
ミリスチルエーテル牛脂脂肪酸エステルのいずれかによ
り形成したものであり、絶縁膜は従来の溶剤を用いて形
成する。 この実施例のコイル線材を評価するために、絶縁膜が
ポリウレタン樹脂またはポリイミド樹脂より成る従来の
エナメル線材の各々の外周にポリオキシエチレンプロピ
レングリコールおよびポリオキシエチレンプロピレンミ
リスチルエーテル牛脂脂肪酸エステルのそれぞれを用い
て滑剤膜を形成した4種類のコイル線材と、同様なエナ
メル線材の外周にスピンドル油及びパラフィンをそれぞ
れ用いて滑剤膜を形成した4種類のコイル線材とを適用
した励磁巻線を作り、これらを第2図に示したような封
止形の電磁継電器に組込み電気接点部材の性能を調査し
た結果、第8図に示すような結果を得た。すなわち、本
発明の第1の実施例に係わる上記4種類のコイル線材を
用いた場合の接点性能は、従来の上記4種類のものに比
べ高温放置試験、DC48V−10mA抵抗負荷走行試験およびD
C48V−0.5A抵抗負荷走行試験の各々において良好な特性
を示した。また、コイル線材単体での既述した3つの評
価項目に関わる実験結果も第6図に示した結果と同一傾
向の特性を示した。なお、本発明の第1の実施例は、他
の一般的なエナメル線材(ポリイミドアミド線材,ポリ
エステル線材など)にも同様に実施できることはいうま
でもない。 次に、本発明によるコイル線材の第2の実施例につい
て説明するに、この実施例は第7図を併用して詳述した
KAソルベントを絶縁膜形成時の溶剤とし、且つ上記第1
の実施例の滑剤を塗布して滑剤膜を形成した構成のポリ
ウレタン線材である。また、KAソルベントに代えてキシ
レノールとアルコール系との混合溶剤により絶縁膜を形
成した場合も同様に実施できる。なお、この実施例にお
いては、これらの溶剤がポリイミド等の耐熱線材に対し
て溶解力の点で充分に適用できないためポリウレタン線
材に適用することが好ましい。この実施例のコイル線材
を上記第1の実施例と同様に評価した結果、従来のクレ
ゾール系溶剤を使用したポリウレタン線材にスピンドル
油を滑剤として塗布した線材及び第1の実施例に記載構
成の線材に比べこの第2の実施例のものは、第8図に示
した各評価条件での性能において最も良好であった。す
なわち、この第2の実施例は、絶縁膜を構成するポリウ
レタン樹脂中にクレゾール等の成分が含有されず、さら
に滑剤膜をポリオキシエチレンプロピレングリコール等
で形成するので、最終的線材としての電気接点部材に及
ぼす影響を一層少なくすることができる。 以上この発明の実施例によるコイル線材を接点部材を
有する密封形の電磁断電器の励磁巻線に適用した場合に
ついて述べたが、磁気駆動されて機械的な接触,非接触
状態を提供する他の接触部材を備えた電気機器および構
成部品を筐体内にある程度気密的に配設した電磁継電器
などにおいても同様に実施できる。 上述したように本発明によれば、導電性素線を被覆す
る絶縁膜外周にポリオキシエチレンプロピレングリコー
ルあるいはこの物質の末端の少なくとも1つの水素を反
応基で置換した物質の内のいずれかにより成る滑剤膜を
設けることにより、有害ガス発生を抑制したコイル線材
が得られる。また、絶縁膜をポリウレタン樹脂にて形成
する線材にあっては、この樹脂をクレゾールおよびフェ
ノールなどを含有しないKAソルベントなどの溶剤を用い
て溶解して絶縁膜を構成し、さらに上記の滑剤膜を施す
ことにより、有害ガス発生を一層抑制できる。
られるコイル線材に関する。 従来、この種のコイル線材は、銅などの導電性素線の
外周にクレゾール,フェノールおよびベンゼン核を有す
る溶剤を含む混合溶剤で溶解したポリウレタン樹脂ある
いはポリイミド樹脂などの電気的絶縁被覆材を塗布,焼
付けし、かつこの絶縁被覆膜の外周に線材の滑りを良く
し巻線時の断線を防止するためにパラフィンあるいはオ
イルなどを滑剤として塗布して形成されている。第1図
にこのコイル線材の断面構造を示す。ここで、符号1は
導電性素線,2は絶縁被覆膜および3は滑剤膜である。か
かる構成のエナメル線材を第2図に示すように封止形の
電磁継電器の励磁巻線4に適用すると、継電器動作に伴
なって巻線4の絶縁被覆膜中に残留している溶剤さらに
は滑剤成分が有機ガスとして密閉容器5内に蒸発して充
満し、開閉動作する接点部材6の接触抵抗増大および接
点活性化を起こし易く、接点消耗を著しく促進すること
になる。 本発明の目的は、励磁巻線を有する電気機器における
上述したような問題を解消し得るコイル線材を提供する
ことにある。 本発明は、導電性素線を被覆する絶縁膜外周に滑剤膜
を施して成るコイル線材において、滑剤膜がポリオキシ
エチレンプロピレングリコールおよびこれの末端の水素
の少なくとも1つを他の反応基で置換した物質のいずれ
かから構成されたことを特徴とする。 また、本発明は上記構成において、絶縁膜をKAソルベ
ントを溶剤としてポリウレタン樹脂により構成したこと
を特徴とする。 さらに、本発明は上記構成において、絶縁膜をキシレ
ノールおよびアルコール系の混合物を溶剤としてポリウ
レタン樹脂により構成したことを特徴とする。 次に、本発明の実施例について図面を参照して説明す
る。 この発明においては、導電性素線を被覆する絶縁膜外
周に滑剤膜を施して成るコイル線材が及ぼす上述した問
題を解消するために、絶縁膜を構成する樹脂の溶解に使
用する溶剤と滑剤膜を構成する滑剤とが与える影響をそ
れぞれ個別に調査して改善し、さらに最終的コイル線材
としての影響を調べた。一方、電磁継電器などの電気機
器の励磁巻線に適用されたコイル線材からガスが発生し
たとしてもこの発生ガスが、(1)付着した電気接点部
材の接触抵抗を増大させない、(2)電気接点部材の機
械的開閉動作によるメカノケミカル反応生成物の量によ
り接触抵抗を増大させない、(3)電気接点部材のアー
クによって分解生成する炭素量が少なくアーク持続時間
を増大させないつまり接点消耗を増大させないものであ
ることが望まれる。発生ガスのこれらの特性を評価する
と共に、改善された絶縁膜用溶剤および滑材の与える影
響を調査するために、第3図,第4図および第5図に示
すような構成の実験装置を用いた。 以下これら実験装置について詳述すると、まず第3図
に記載のものは、試料9から放出して気密容器7内に充
満するガスが金(Au)板8の表面に付着し、その付着物
質が金板8の表面接触抵抗をいかに増大させるかを調べ
る実験装置であり、200時間放置後1grの接触荷重で純金
触針を用いて四端子法により表面接触抵抗を測定する。
次に、第4図に記載のものは、付着物質が検体としての
電気接点部材11がコイル12によって励磁され開閉動作す
ることで形成される。絶縁被膜による電気接点部材11の
接触抵抗の増大程度を四端子接触抵抗測定器13にて調べ
る実験装置である。また、第5図に示す実験装置は容器
7内に充満するガス中で検体としての電気接点部材11に
負荷回路14を接続しアーク条件下で開閉動作させ、アー
ク持続時間をオシロスコープ15で連続的に監視すること
により、ある動作回数以上でアーク持続時間が急激に増
大することを調べるものである。このような増大現象は
接点の活性化と呼ばれるが、この現象にいたるまでの動
作回数が多くしかもアーク持続時間の増大程度が小さい
ことが電気接点部材にとって好しい。大体の目安とし
て、この接点活性化までの接点動作回数によって試料の
検体に及ぼす影響を把握することができる。なお、上述
した各実験は120℃の雰囲気中にて行なわれる。 上述した実験装置を用いて本発明の実施例における滑
剤および溶剤毎の特性を上記評価項目(1),(2),
(3)について調査すると、第6図および第7図に記載
の結果を得た。 まず、第6図を参照すると、従来から用いられている
溶剤、スピンドル油およびパラフィンは上記評価項目
(1)〜(3)の特性において明らかに劣るのに対し、
本発明によるコイル線材の滑剤膜を形成するポリオキシ
エチレンプロピレングリコール(ブロックポリマ,ポリ
プロピレングリコール:分子量1750,エチレンオキシド:
10%)、およびポリオキシエチレンプロピレンミリスチ
ルエーテル牛脂脂肪酸エステル(商品名日本油脂ユニセ
ーフ40MT1015相当)は、同評価項目についてすべて極め
て良好な特性を示すことが判明した。ここで、後者の物
質は、ポリオキシエチレンプロピレングリコールの末端
の水素の一方をエーテル化エステル化した一例のもので
あり、他の同族物質にほいても同様に良好な性質を示
す。つまり、基本的にはポリオキシエチレンプロピレン
グリコールの特性に基づくものである。次に、第7図を
参照すると、絶縁膜形成に従来のクレゾールを含む溶剤
を用いた滑剤塗布前の線材に比べ、本発明に適用される
溶剤つまり商品名KAソルベント(ソルベントナフサ30%
アセチルブチルセロソルブ70%)は上記評価項目(1)
について大差はないが、同項目(2),(3)について
極めて良好な特性を示すことが理解できる。また、本発
明においては、キシレノールを40%以下他をアセチルブ
チルセロソルブあるいはベンゼン核を含まないアルコー
ル系統の混合溶剤を適用した場合も同様な結果が得られ
た。 このような評価結果に基づき、本発明によるコイル線
材の第1の実施例は、滑剤膜をポリオキシエチレンプロ
ピレングリコールおよびポリオキシエチレンプロピレン
ミリスチルエーテル牛脂脂肪酸エステルのいずれかによ
り形成したものであり、絶縁膜は従来の溶剤を用いて形
成する。 この実施例のコイル線材を評価するために、絶縁膜が
ポリウレタン樹脂またはポリイミド樹脂より成る従来の
エナメル線材の各々の外周にポリオキシエチレンプロピ
レングリコールおよびポリオキシエチレンプロピレンミ
リスチルエーテル牛脂脂肪酸エステルのそれぞれを用い
て滑剤膜を形成した4種類のコイル線材と、同様なエナ
メル線材の外周にスピンドル油及びパラフィンをそれぞ
れ用いて滑剤膜を形成した4種類のコイル線材とを適用
した励磁巻線を作り、これらを第2図に示したような封
止形の電磁継電器に組込み電気接点部材の性能を調査し
た結果、第8図に示すような結果を得た。すなわち、本
発明の第1の実施例に係わる上記4種類のコイル線材を
用いた場合の接点性能は、従来の上記4種類のものに比
べ高温放置試験、DC48V−10mA抵抗負荷走行試験およびD
C48V−0.5A抵抗負荷走行試験の各々において良好な特性
を示した。また、コイル線材単体での既述した3つの評
価項目に関わる実験結果も第6図に示した結果と同一傾
向の特性を示した。なお、本発明の第1の実施例は、他
の一般的なエナメル線材(ポリイミドアミド線材,ポリ
エステル線材など)にも同様に実施できることはいうま
でもない。 次に、本発明によるコイル線材の第2の実施例につい
て説明するに、この実施例は第7図を併用して詳述した
KAソルベントを絶縁膜形成時の溶剤とし、且つ上記第1
の実施例の滑剤を塗布して滑剤膜を形成した構成のポリ
ウレタン線材である。また、KAソルベントに代えてキシ
レノールとアルコール系との混合溶剤により絶縁膜を形
成した場合も同様に実施できる。なお、この実施例にお
いては、これらの溶剤がポリイミド等の耐熱線材に対し
て溶解力の点で充分に適用できないためポリウレタン線
材に適用することが好ましい。この実施例のコイル線材
を上記第1の実施例と同様に評価した結果、従来のクレ
ゾール系溶剤を使用したポリウレタン線材にスピンドル
油を滑剤として塗布した線材及び第1の実施例に記載構
成の線材に比べこの第2の実施例のものは、第8図に示
した各評価条件での性能において最も良好であった。す
なわち、この第2の実施例は、絶縁膜を構成するポリウ
レタン樹脂中にクレゾール等の成分が含有されず、さら
に滑剤膜をポリオキシエチレンプロピレングリコール等
で形成するので、最終的線材としての電気接点部材に及
ぼす影響を一層少なくすることができる。 以上この発明の実施例によるコイル線材を接点部材を
有する密封形の電磁断電器の励磁巻線に適用した場合に
ついて述べたが、磁気駆動されて機械的な接触,非接触
状態を提供する他の接触部材を備えた電気機器および構
成部品を筐体内にある程度気密的に配設した電磁継電器
などにおいても同様に実施できる。 上述したように本発明によれば、導電性素線を被覆す
る絶縁膜外周にポリオキシエチレンプロピレングリコー
ルあるいはこの物質の末端の少なくとも1つの水素を反
応基で置換した物質の内のいずれかにより成る滑剤膜を
設けることにより、有害ガス発生を抑制したコイル線材
が得られる。また、絶縁膜をポリウレタン樹脂にて形成
する線材にあっては、この樹脂をクレゾールおよびフェ
ノールなどを含有しないKAソルベントなどの溶剤を用い
て溶解して絶縁膜を構成し、さらに上記の滑剤膜を施す
ことにより、有害ガス発生を一層抑制できる。
【図面の簡単な説明】
第1図はコイル線材の断面図、第2図はコイル線材の適
用例を示す電磁継電器の構成図、第3図,第4図および
第5図は本発明の実施例によるコイル線材を評価する実
験装置、第6図は同実施例のコイル線材の滑剤膜を形成
する滑剤の評価結果を示す図、第7図は同実施例のコイ
ル線材の絶縁膜を形成する溶剤の評価結果を示す図、第
8図は同実施例のコイル線材全体の評価結果を示す図で
ある。 1……導電性素線、2……絶縁膜、3……滑剤膜。
用例を示す電磁継電器の構成図、第3図,第4図および
第5図は本発明の実施例によるコイル線材を評価する実
験装置、第6図は同実施例のコイル線材の滑剤膜を形成
する滑剤の評価結果を示す図、第7図は同実施例のコイ
ル線材の絶縁膜を形成する溶剤の評価結果を示す図、第
8図は同実施例のコイル線材全体の評価結果を示す図で
ある。 1……導電性素線、2……絶縁膜、3……滑剤膜。
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フロントページの続き
(72)発明者 桜井 俊文
東京都港区芝五丁目33番1号 日本電気
株式会社内
(72)発明者 泉 正裕
横浜市港北区新吉田町2801番地 大黒電
線株式会社内
(72)発明者 杉村 公男
春日井市細木町二丁目147番地 株式会
社テトラ内
(56)参考文献 特開 昭55−80205(JP,A)
特開 昭54−143725(JP,A)
特開 昭56−3313(JP,A)
電子通信学会技術研究報告,第79巻
第208号,P.37−42 (EMC79−
35),1979年12月
(58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名)
H01B 7/02,7/18
H01F 5/06
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.導電性素線を被覆する絶縁膜外周に滑剤膜を施して
成るコイル線材において、前記滑剤膜がポリオキシエチ
レンプロピレングリコールおよびこれの末端の水素の少
なくとも1つを他の反応基で置換した物質のいずれかか
ら構成されたことを特徴とするコイル線材。 2.前記絶縁膜をKAソルベントを溶剤としてポリウレタ
ン樹脂により構成したことを特徴とする特許請求の範囲
第1項記載のコイル線材。 3.前記絶縁膜をキシレノールおよびアルコール系の混
合物を溶剤としてポリウレタン樹脂により構成したこと
を特徴とする特許請求の範囲第1項記載のコイル線材。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP57161439A JP2806518B2 (ja) | 1982-09-14 | 1982-09-14 | コイル線材 |
US06/532,189 US4605917A (en) | 1982-09-14 | 1983-09-14 | Coil wire |
DE8383109075T DE3381763D1 (de) | 1982-09-14 | 1983-09-14 | Wicklungsdraht. |
EP83109075A EP0103307B1 (en) | 1982-09-14 | 1983-09-14 | Coil wire |
CA000436718A CA1200587A (en) | 1982-09-14 | 1983-09-14 | Coil wire for sealed electric device |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP57161439A JP2806518B2 (ja) | 1982-09-14 | 1982-09-14 | コイル線材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS5950508A JPS5950508A (ja) | 1984-03-23 |
JP2806518B2 true JP2806518B2 (ja) | 1998-09-30 |
Family
ID=15735131
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP57161439A Expired - Lifetime JP2806518B2 (ja) | 1982-09-14 | 1982-09-14 | コイル線材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2806518B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63121213A (ja) * | 1986-11-11 | 1988-05-25 | 住友電気工業株式会社 | 潤滑性ポリウレタン絶縁電線および電磁リレ− |
JPS63121212A (ja) * | 1986-11-11 | 1988-05-25 | 住友電気工業株式会社 | ポリウレタン絶縁電線及びそれを用いた電磁リレ− |
JP2699118B2 (ja) * | 1989-12-20 | 1998-01-19 | 大日精化工業株式会社 | 自己潤滑性絶縁電線 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS54143725A (en) * | 1978-04-28 | 1979-11-09 | Tadao Nagai | Releasing agent for diecast |
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-
1982
- 1982-09-14 JP JP57161439A patent/JP2806518B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (1)
Title |
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電子通信学会技術研究報告,第79巻 第208号,P.37−42 (EMC79−35),1979年12月 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS5950508A (ja) | 1984-03-23 |
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