JP2803219B2 - 内燃機関の吸入空気流量測定装置 - Google Patents

内燃機関の吸入空気流量測定装置

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的[産業上の利用分野] 本発明は、内燃機関の吸入空気流量測定装置に関し、
特にアイドル時の吸入空気流量の脈動に対処した吸入空
気流量測定装置に関する。
[従来の技術] 従来より、自動車用内燃機関において、例えば空燃比
を精密に制御し、エミッションを向上させ安定な機関回
転を実現する制御が実施されている。
この様な空燃比制御にては、内燃機関への空気流量を
精密に捉える必要があり、そのための各種の測定装置が
用いられている。この測定装置の一種に熱式エアフロメ
ータがある(特開昭60−178946号公報)。これは吸気管
内に通電発熱部を設け、この通電発熱部が所定温度に維
持されるように、あるいは所定の発熱量になるように通
電量を制御するものである。通電発熱部からの放熱量は
吸入空気流量に依存することから、通電制御量あるいは
通電発熱部の温度に基づき吸入空気流量が決定できる。
このタイプのエアフロメータは応答性がよく、コンパク
トであり、更に安価、広ダイナミックレンジ、高精度と
いう利点があった。
[発明が解決しようとする課題] 内燃機関には、このようなエアフロメータとともに、
アイドル時に内燃機関の回転速度を自動的に所定の回転
速度に調節し、常に安定した回転を得るためのアイドル
回転速度調節装置が備えられることがある。この装置
は、スロットル弁を迂回して設けられたバイパス通路に
空気制御弁を設け、その空気制御弁にて空気流量を調節
することにより、内燃機関の回転速度を所定の回転速度
に調節するものである。この空気制御弁の一つに、リニ
アソレノイド等のアクチュエータを用い、デューティ信
号にてその開度を調節しているものがある(特開昭56−
44431号公報)。
しかし、このようなアイドル回転速度調節装置の制御
が行われている場合、上記エアフロメータの出力が実際
の空気流量に比較して過小な吸入空気流量を示すことが
あった。このことは、ベーン式のエアフロメータにも言
えることである。ただしベーン式のエアフロメータの場
合は、逆に実際の空気流量に比較して過大となった。
熱式エアフロメータが過小な吸入空気流量を示すのは
次の理由による。即ち、バイパス通路の空気制御弁は、
デューティ信号にて開度が調節されているため、その信
号のオン・オフに応じて開度が周期的に変化する(第12
図参照)。この周期変化が吸入空気流量の脈動を引き起
こす。ところが、吸入空気流量と放熱量との関係は、第
10図に示すごとくグラフに表すと上に凸となって線形で
はない。そのため流量脈動の振動中心Paに対し、流量脈
動によって引き起こされる放熱量の振動中心Pnは低く設
定される。従って、実際に検出される流量PbはPaより低
くなる。
ベーン式エアフロメータの場合は、第11図に示すごと
く、第10図とは逆にグラフが下に凸となるため(Pb>P
a)、脈動は過大な吸入空気流量の原因となる。
この様に脈動条件下では、空気流量を正確に把握でき
なくなり、そのデータを用いた空燃比制御や点火時期制
御等が不正確となる恐れがあり、燃費・エミッションの
悪化や機関の安定性が維持できない恐れがあった。
本発明は、上記課題を解決することを目的としてなさ
れたものである。
発明の構成 [課題を解決するための手段] 上記問題を解決するためになされた本発明は、第1図
に例示するように、 内燃機関M1の運転状態を検出する運転状態検出手段M2
と、 吸入空気をスロットル弁M3を通過させずに迂回させて
内燃機関M1に供給するバイパス通路M4と、 このバイパス通路M4に設けられた空気制御弁M5と、 この空気制御弁M5の開度をデューティ信号にて制御す
ることにより、アイドル時に、内燃機関M1を上記運転状
態検出手段M2の検出値に応じて設定される所定回転速度
に調節するアイドル回転速度調節手段M6と、 を備えた内燃機関M1において、 内燃機関M1の吸気管M7に配備され、内燃機関M1に吸入
される空気流量を検出する熱式エアフロメータまたはベ
ーン式エアフロメータM8と、 上記空気制御弁M5の開度の振動に起因して上記バイパ
ス通路M4を通過する吸入空気に生ずる脈動が上記熱式エ
アフロメータまたはベーン式エアフロメータM8に与える
検出空気量と実空気量との差を補正するための補正量
を、上記バイパス通路M4の通過空気流量との関係で表す
関係記憶手段M11と、 上記運転状態検出手段M2の検出値から上記バイパス通
路M4の通過空気流量を推定するバイパス空気流量推定手
段M9と、 アイドル時に、上記関係記憶手段M11に記憶されてい
る上記バイパス通路M4の通過空気流量と上記補正量との
関係に基づいて、上記バイパス空気流量推定手段M9にて
推定されたバイパス通路M4の通過空気流量から補正量を
求め、該補正量により上記熱式エアフロメータまたはベ
ーン式エアフロメータM8にて検出された空気流量を補正
する補正手段M10と、 を備えたことを特徴とする内燃機関の吸入空気流量測定
装置にある。
[作用] バイパス通路M4における空気制御弁M5は、アイドル回
転速度調節手段M6からのデューティ信号にて制御されて
いる。このため、バイパス通路M4を通過する吸入空気の
流量は、脈動を生ずる。この脈動は、前述したごとくメ
カニズムにより、熱式エアフロメータまたはベーン式エ
アフロメータM8が検出する空気流量に誤差を生じる。更
に、アイドル時に機関の負荷の増加により、空気制御弁
M5が一層大きく開かれて、バイパス通路M4を通過する空
気流量が多くなればなるほど、全吸入空気流量中に占め
る割合が大きくなり、吸入空気全体に及ぼす脈動の影響
も大きくなり、上記誤差も大きくなる。
従って、本発明の吸入空気流量測定装置では、補正手
段M10が、アイドル時に、関係記憶手段M11に記憶されて
いるバイパス通路M4の通過空気流量と補正量との関係に
基づいて、バイパス空気流量推定手段M9にて推定された
バイパス通路M4の通過空気流量から補正量を求め、該補
正量により熱式エアフロメータまたはベーン式エアフロ
メータM8にて検出された空気流量を補正している。
この関係記憶手段M11に記憶されているバイパス通路M
4の通過空気流量と補正量との関係は、第10図または第1
1図で例示した熱式エアフロメータまたはベーン式エア
フロメータM8の検出特性に基づいているものである。
従って、吸入空気流量の脈動の大きさに応じて生じた
熱式エアフロメータまたはベーン式エアフロメータM8に
生じる独特の誤差の補正が可能となり正確な流量を求め
ることができる。
[実施例] 次に本発明の好適な一実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。
第2図は運転状態に対応して燃料噴射量等を電子的に
制御する4気筒ガソリン式内燃機関1の制御系を示して
いる。エアフィルタ3からの吸入空気は、吸入管5を介
して吸入され、図示しないアクセルペダルで駆動される
スロットル弁7、サージタンク9及びインテークマニホ
ールド11を通過して上記内燃機関1の各気筒に供給され
る。また吸入空気の一部は、バイパス通路13によりスロ
ットル弁7を迂回してサージタンク9に供給されてい
る。バイパス通路13の中間にはリニアソレノイド式の空
気制御弁15が設けられている。この空気制御弁15におい
て、ハウジング15a内で直線的に摺動可能な弁体15bは、
デューティ信号に伴いコイル15cに流れる電流に応じ
て、ばね15dに抗してコア15e側へ変位することにより、
バイパス通路13の空気通路面積を変えることができる。
デューティ信号は、第12図で示すごとく、矩形波状の電
圧信号である。このようなデューティ信号のデューティ
比は1周期T0の通電時間の割合を示すが、デューティ比
を大きくすることにより、同図(イ)に示すように平均
電流lm1が大きくなる。従って、弁体15bの移動量が大き
くなり、空気制御弁15は空気通路面積が増大する。逆に
デューティ比を小さくすることにより、同図(ロ)に示
すように平均電流lm2が小さくなる。従って、弁体15bの
移動量が小さくなり、空気制御弁15は空気通路面積が減
少する。
尚、ハウジング15aの外周には水路15fが設けられ、冷
却水管15g,15hにより内燃機関1の冷却水が還流してい
る。
吸気管5の内部には、吸入空気の温度を検出する吸気
温センサ17、吸入空気流量を検出するエアフロメータ1
9、スロットル弁7が全閉あるいはほぼ全閉状態にある
ことを検出するスロットルスイッチ21が備えられてい
る。
エアフロメータ19は、熱式のエアフロメータであり、
その感温素子23が吸気管5内部で吸入空気の流れに曝さ
れる。この感温素子23は、電流によって発熱制御され、
その温度によって抵抗値が変化する温度抵抗特性を有す
る例えば白金等のヒータによって構成される。
この他、内燃機関1には、ディストリビュータ25内に
備えられ内燃機関1の回転速度を検出してパルス信号で
出力する回転センサ27、内燃機関1の冷却水温を検出す
る水温センサ29が取り付けられている。
更に図示しない排気管に備えられた空燃比センサ31、
図示しないトランスミッションがニュートラルレンジで
ある場合にニュートラル信号を出力するニュートラルス
イッチ33、図示しないエアコンのオン・オフを検出する
エアコンスイッチ35、及び車速を検出する車速センサ37
が備えられている。
これらの検出信号は、内燃機関制御ユニット39に入力
される。内燃機関制御ユニット39は、図示しないCPU,RO
M,RAM,バックアップRAMを中心に論理演算回路として構
成されている。更に、この論理演算回路は、図示しない
コモンバスを介して図示しない入力部及び出力部に接続
され、上述の各種検出手段から信号を入力し、更に各種
装置に駆動信号・電流を出力している。
この駆動信号としては、空気制御弁15のコイル15cに
対するデューティ信号、エアフロメータ19の発熱用の加
熱電流、インテークマニホールド11に各気筒毎に設けら
れて吸入空気中に燃料を噴射する燃料噴射弁41に対する
開弁信号、各気筒毎に設けられた点火プラグ43にディス
トリビュータ25を介して高電圧を印加するイグナイタ45
に対する点火信号がある。
第3図は上記のようにして使用されるエアフロメータ
19の回路構成を示すものであるが、本回路構成は特開昭
61−1847号公報等にて公知であるので、第4図の作動タ
イミングチャートとともに簡単に説明する。
内燃機関制御ユニット39は、所定時間毎に通電開始信
号(第4図(A))をフリップフロップ回路(以下F・
Fと称する。)51に供給して、F・F51をセット状態に
する。F・F51はそのセット状態に対応して高レベルの
信号(第4図(B))を出力し、バッファアンプ52を介
してトランジスタ53をオンさせる。すると感温素子23を
含むブリッジ回路に対して、差動アンプ55及び基準電源
57により調整された定電圧が印加される。尚、ブリッジ
回路中には、感温素子23及び固定抵抗59,61とともに、
感温素子23と同じ構成の補助感温素子23aが設けられて
おり、この素子23aは吸入空気温に対応した抵抗変化を
するよう設定されている。
電圧印加により感温素子23の温度は上昇し(第4図
(C))、所定温度に達すると、コンパレータ63が高レ
ベル信号(第4図(D))をF・F51に出力する。F・F
51はこの高レベル信号によりリセットされる。そして、
F・F51の高レベル信号の時間間隔Thがバッファアンプ5
2を介して空気流量信号として出力される。
ここで、アイドル時、エアフロメータ19部分の吸気管
5に流れる空気流量の状態を見ると、バイパス通路13を
流れる空気流量が比較的少ない場合は第5図(A)に示
すごとくとなる。図において、実線は空気流量の脈動状
態を示すものであり、破線は従来、空気流量を示すデー
タとして各種制御に用いられる1点火周期毎の平均空気
流量を示している。バイパス通路13を流れる空気流量が
低いと脈動が小さくエアフロメータ19の出力の平均を算
出して用いても過小の問題はない。しかし空気流量があ
る程度大きくなった場合は第5図(B)に示すように脈
動が大きくなり、第10図に示した誤差分が無視できなく
なり過小の出力となる。従って、単にエアフロメータ19
の検出値を用いていたのでは正確な制御ができなくな
る。そのため、内燃機関制御ユニット39は、後述する第
7図の処理にて正確な吸入空気流量を求める。
内燃機関制御ユニット39は、第6図に示すごとく、通
常の内燃機関制御、即ち、入力処理(ステップ100)、
燃料噴射量演算(ステップ200)、点火時期演算(ステ
ップ300)及びアイドル回転速度制御量演算(ステップ4
00)を実施している。
入力処理(ステップ100)は各種検出手段からの検出
データを読み込む処理である。この入力処理内の吸入空
気流量測定処理においては、アイドル時に脈動による過
小出力を補正する処理を行い、正確な吸入空気流量デー
タを求めている。
燃料噴射量演算(ステップ200)では、吸入空気流量
と機関回転速度とから基本的な噴射燃料量を求める。そ
して図示しない燃料噴射制御処理にて、この噴射燃料量
に対して、空燃比センサ31の出力をフィードバックし、
更に必要に応じて各種の補正を加えることにより、実燃
料噴射量を求めて燃料噴射弁41の開弁時間制御を実施し
ている。
点火時期演算(ステップ300)は、機関回転速度、吸
入空気流量、空燃比に応じて基本点火時期を求める。そ
して図示しない点火時期制御処理にて、この基本点火時
期に対して、必要な補正を加えて実点火時期を求め、デ
ィストリビュータ25から点火プラグ43に印加される高電
圧の出力タイミングを調節している。
アイドル回転速度制御量演算(ステップ400)は、ア
イドル時に、機関の運転状態、例えばエアコン・ヘッド
ライト・パワーステアリング等の補機類のオン・オフ、
及び水温状態から目標機関回転速度を求める。そして図
示しないアイドル回転速度制御処理にて、この目標機関
回転速度に対して、必要な補正を加え、その目標回転速
度となるように、バイパス通路13の通過空気流量を空気
制御弁15の開度にて制御している。
これらの演算処理(ステップ200〜400)及びその演算
結果を用いた各制御処理は、既に良く知られているとこ
ろであるので、詳細な説明は省略する。
次に入力処理(ステップ100)の内、吸入空気流量の
測定処理について第7図のフローチャートに取づいて説
明する。
本処理は内燃機関1の90゜CA毎に割り込みにより実行
される。
まずエアフロメータ19の測定値QAFMが読み込まれる
(ステップ110)。次にアイドル状態にあるか否かが、
スロットルスイッチ21の出力信号に基づいて判定される
(ステップ120)。出力信号が「オン」であれば、スロ
ットル弁7が全閉あるいはほぼ全閉であるとして肯定判
定される。また、出力信号が「オフ」であれば、スロッ
トル弁7は開いているとして否定判定される。
否定判定された場合は、アイドル状態ではないので、
エアフロメータ19の測定値QAFMはそのまま各種演算に
用いられる吸入空気流量Qrealとして設定される(ステ
ップ130)。
ステップ120で肯定判定されると、次にバイパス通路1
3を経由しているバイパス空気流量推定値QISCを求める
(ステップ140)。バイパス空気流量推定値QISCは、空
気制御弁15の開度や機関回転速度から推定できる。更
に、空気制御弁15の開度は、冷却水温や、エアコン・ヘ
ッドライト等の補機類のオン・オフから推定できる。
即ち、回転速度が高いほどバイパス空気流量は多く、
冷却水温が高いほど空気制御弁15の開度が小さくなるの
でバイパス空気流量は少なく、エアコンのオンのほうが
オフよりも空気制御弁15の開度が大きくなるのでバイパ
ス空気流量は多く、といった関係から推定できる。実験
にてその関係を予め数値的に求めてテーブルやマップを
形成しておき、回転速度,冷却水温,エアコンのオン・
オフの状態から推定値として求めてもよい。
ステップ400のアイドル回転速度制御量演算処理では
冷却水温や、エアコン・ヘッドライト等の補機類のオン
・オフから目標機関回転速度を求めているが、この目標
機関回転速度の値は空気制御弁15の開度に対応している
ので、この目標機関回転速度値を用いて、その値が大き
いほどバイパス空気流量が多いと推定することも出来
る。
次に機関1に吸い込まれる全空気流量推定値Qpreが算
出される(ステップ150)。この全空気流量推定値Qpre
は、ほぼ全閉のスロットル弁7や図示しないアイドルア
ジャスティングスクリュの間隙を通過して来る空気流量
と、バイパス通路を通過して来る空気流量との合計の推
定値である。従って、この値は、ステップ140の場合と
同じく、機関1の回転速度、冷却水温、補機類のオン・
オフの状態から、予想される全空気流量である。即ち、
回転速度が高いほど全空気流量は多く、冷却水温が高い
ほど全空気流量は少なく、エアコンのオンのほうがオフ
よりも全空気流量は多く、といった関係から演算あるい
はテーブル・マップにて推定値として求める。
次にこのバイパス空気流量推定値QISCと全空気流量
推定値Qpreとの値に基づいて補正係数α(補正量に該
当)を求める(ステップ160)。例えば内燃機関制御ユ
ニット39のメモリに記憶されている第8図に示すような
マップ(関係記憶手段が記憶しているバイパス通路の通
過空気流量と補正量との関係に該当)から補正係数αを
求める。QISCが大きいほどαが大きくなり、Qpreが大
きくなるほどαは小さくなる関係にある。ただしα≧1.
00である。
次にQAFMがαとの積により補正されてQrealが求めら
れる(ステップ170)。従ってαが大きいほどエアフロ
メータ19の測定値QAFMの補正による増加の程度が大き
い。
補正係数αが大きくなる状況、即ち、全吸入空気量の
内、バイパス通路13を通過する空気流量(バイパス空気
流量推定値QISC)が大きくなったり、全体の吸入空気
流量(全空気流量推定値Qpre)が少なくなると、全体の
吸入空気流量内でのバイパス通路通過空気流量の割合が
多くなる。そのため、空気制御弁15のデューティ制御の
影響が吸入空気に及ぼす影響が大きくなる。つまり脈動
が大きくなる。従って実際の吸入空気流量に比べて、測
定値は過小となる。このため、より増加する方向に補正
係数αを設定してある。
第8図のマップの代わりに、内燃機関制御ユニット39
のメモリに記憶した第9図に示すようなテーブル(関係
記憶手段が記憶しているバイパス通路の通過空気流量と
補正量との関係に該当)を用いてαを求めてもよい。即
ち、ステップ150の後、バイパス空気流量推定値QISCと
全空気流量推定値Qpreとの比(QISC/Qpre)、即ち全吸
入空気流量の内に占めるバイパス通路13を通過する空気
流量の割合を直接求め、その値を用いて、QISC/Qpreが
大きいほど、αを大きく、QISC/Qpreが小さいほど、α
を小さく設定するようにしてもよい。
こうようにして求められた吸入空気流量Qrealは、前
述のステップ200,300の処理に用いられるので、各々正
確な制御を行うことが可能となる。
上記実施例では、熱式のエアフロメータ19であった
が、ベーン式のエアフロメータでは、第11図に示すごと
く、熱式のエアフロメータ19とは逆の傾向があるので、
ベーン式のエアフロメータを用いた場合には、吸入空気
の脈動により過大な出力がなされる。従って、この場
合、αは、第8図及び第9図に示した値の逆数をとった
ような数値分布となる。即ち、QISCが大きいほどαが
小さくなり、Qpreが大きくなるほどαは大きくなり、か
つα≦1.00という関係になる。
上記実施例では、αを決定するのに、2つの推定吸入
空気流量QISC,Qpreを用いたが、内燃機関の機種によっ
ては、アイドル時にはバイパス通路以外の吸入空気流量
は、機関運転状態によってもほとんど変化しないものが
ある。そのような内燃機関においてはQpreを推定するこ
となく、QISCのみを推定し、この値に応じてαを設定
してもよい。即ち、パラメータをQISCとした、第9図
と同様のテーブルにて、QISCの値の大小によりαを設
定する。
発明の効果 本発明は、補正手段M10(ステップ120,160,170が補正
手段M10としての処理に該当)が、アイドル時に、関係
記憶手段M11に記憶されているバイパス通路M4の通過空
気流量と補正量との関係に基づいて、バイパス空気流量
推定手段M9(ステップ140がバイパス空気流量推定手段M
9としての処理に該当)にて推定されたバイパス通路M4
の通過空気流量から補正量を求め、該補正量により熱式
エアフロメータまたはベーン式エアフロメータM8にて検
出された空気流量を補正している。
このため、吸入空気流量の脈動の大きさに応じて熱式
エアフロメータまたはベーン式エアフロメータM8に生じ
る独特の誤差の補正が可能となり、バイパス通路M4に設
けられた空気制御弁M5がデューティ信号にて引き起こす
吸入空気の脈動に起因する空気流量検出手段M8の検出値
の過小・過大が補正でき、正確な流量を求むことができ
る。従って正確な吸入空気量が検出でき、この値に基づ
き、精密な空燃比制御や点火時期制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の内容を概念的に例示した基本的構成
図、第2図は本発明の一実施例を利用した内燃機関制御
システム構成概略系統図、第3図は熱式エアフロメータ
の回路図、第4図はその動作を示すタイミングチャー
ト、第5図(A),(B)は脈動状態と空気流量出力値
を示すタイミングチャート、第6図は内燃機関制御ユニ
ットの行うメインルーチンのフローチャート、第7図は
吸入空気流量の測定処理のフローチャート、第8図はバ
イパス空気流量推定値QISCと全空気流量推定値Qpreと
に基づいて補正係数αを求めるマップ図、第9図はバイ
パス空気量推定値QISCと全空気流量推定値Qpreとの比
に基づいて補正係数αを求めるテーブル図、第10図は放
熱量と空気流量との関係を示すグラフ、第11図はベーン
式エアフロメータのプレート開度と空気流量との関係を
示すグラフ、第12図は空気制御弁に対するデューティ信
号とソレノイドコイルに流れる電流との関係図を表す。 1……内燃機関、13……バイパス通路 15……空気制御弁、17……吸気温センサ 19……エアフロメータ 21……スロットルスイッチ、27……回転センサ 29……水温センサ、31……空燃比センサ 33……ニュートラルスイッチ 35……エアコンスイッチ、37……車速センサ 39……内燃機関制御ユニット

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の運転状態を検出する運転状態検
    出手段と、 吸入空気をスロットル弁を通過させずに迂回させて内燃
    機関に供給するバイパス通路と、 このバイパス通路に設けられた空気制御弁と、 この空気制御弁の開度をデューティ信号にて制御するこ
    とにより、アイドル時に、内燃機関を上記運転状態検出
    手段の検出値に応じて設定される所定回転速度に調節す
    るアイドル回転速度調節手段と、 を備えた内燃機関において、 内燃機関の吸気管に配備され、内燃機関に吸入される空
    気流量を検出する熱式エアフロメータまたはベーン式エ
    アフロメータと、 上記空気制御弁の開度の振動に起因して上記バイパス通
    路を通過する吸入空気に生ずる脈動が上記熱式エアフロ
    メータまたはベーン式エアフロメータに与える検出空気
    量と実空気量との差を補正するための補正量を、上記バ
    イパス通路の通過空気流量との関係で表す関係記憶手段
    と、 上記運転状態検出手段の検出値から上記バイパス通路の
    通過空気流量を推定するバイパス空気流量推定手段と、 アイドル時に、上記関係記憶手段に記憶されている上記
    バイパス通路の通過空気流量と上記補正量との関係に基
    づいて、上記バイパス空気流量推定手段にて推定された
    バイパス通路の通過空気流量から補正量を求め、該補正
    量により上記熱式エアフロメータまたはベーン式エアフ
    ロメータにて検出された空気流量を補正する補正手段
    と、 を備えたことを特徴とする内燃機関の吸入空気流量測定
    装置。
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