JP2803018B2

JP2803018B2 - 蒸気拡散噴霧式加湿方法及び加湿装置

Info

Publication number: JP2803018B2
Application number: JP6113353A
Authority: JP
Inventors: 保夫山本
Original assignee: ウエツトマスター株式会社
Priority date: 1994-05-02
Filing date: 1994-05-02
Publication date: 1998-09-24
Anticipated expiration: 2013-09-24
Also published as: JPH07301442A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、空気調和機等に使用さ
れる加湿方法及び加湿装置に関し、特に蒸気噴霧式の加
湿方法及び加湿装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】蒸気供給を受ける主管に、先端を閉塞し
かつ複数の噴霧口を有する複数の噴霧管を平行に接続連
結し、この主管並びに噴霧管を通風ダクト内いっぱいに
配置して蒸気を噴霧するようにした蒸気拡散噴霧式の加
湿方法及び加湿装置は公知である（実開平２−４１０２
３号参照）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】蒸気加湿装置において
は、速やかに蒸気が気流中にとけ込み、理想の加湿が行
えるように思われるが、実際には噴霧後の蒸気が凝縮
し、空調機内面やフアン等に結露していることがよく見
受けられる。この蒸気の凝縮や結露は、ダクト，フアン
その他の部分の錆発生の原因となり、部品寿命を短くす
るという問題点だけでなく、細菌，かび等の繁殖の原因
ともなり、きわめて好ましくない。一方近年の空調機
は、小型化されており、この小型化された空調機内に具
備される加湿装置では、蒸気噴霧後のきわめて短い距離
において蒸気の充分な蒸発が望まれ、この短い距離にお
ける蒸発が得られなければ、上記したような発錆，細菌
繁殖を防ぐとする課題が解決できないことになるという
問題点もある。

【０００４】このような観点から、上記公知の加湿装置
を観察すると、この公知の加湿装置では、噴霧口を気流
の後方に向けていることと、気流が層流に近い状態で流
れることとによって、噴霧口から吹き出された蒸気が、
気流中へ蒸発するよりも、気流により早く冷却され蒸気
が凝縮されるため、長い距離まで白く見える水滴が尾を
引く現象がみられた。即ち従前装置では、一度凝縮され
た蒸気が気流中に蒸発するのに必要なさらなる蒸発吸収
距離をとる必要があり、さらには凝縮された蒸気を加熱
したりして蒸発しやすくする必要がある等、効率的な蒸
発が得られないという問題点がある。

【０００５】本発明は、上記公知技術の問題点に鑑み、
加湿空間への噴霧蒸気を凝縮する前に噴霧管後方に発生
する渦流によって早く拡散吸収させ、均一な蒸気供給を
なし、蒸気の拡散距離及び蒸発距離の短縮を図り、効率
のよい加湿を得ると共に、結露及び蒸気の凝縮を極力防
止することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ために、本発明の蒸気拡散噴霧式加湿方法では、複数の
噴霧口を有する噴霧管を設け、その噴霧口を気流の風上
側に配置して各噴霧口から蒸気を噴霧するようにし、こ
の噴霧蒸気を噴霧管の噴霧口より風下位置に設けた拡散
板によって生ずる渦流によって拡散蒸発するようにした
ものである。

【０００７】また、上記目的を達成するために、本発明
蒸気拡散噴霧式加湿装置では、複数の噴霧口を有する噴
霧管を、その噴霧口を気流の風上側に配置して各噴霧口
から蒸気を噴霧するように配置し、この噴霧管に、噴霧
口より風下側に位置付けて拡散板を設けてあることを特
徴とするものである。

【０００８】また、蒸気噴霧口を気流の風上に対し直交
する向きより風上側に向かって指向配置してあるとよ
い。さらに、上記拡散板を噴霧管の風下側後端位置に設
けてあることが好ましい。そして、上記拡散板を噴霧管
の噴霧口と風下側後端との間に設けてもよい。また、上
記噴霧管には内方に向かう筒状突部を有すると効果的で
ある。さらに、上記拡散板を熱伝導性の良好な材料によ
って構成してあることが望ましい。そして、上記噴霧管
を断面三角形または四角形とし、その一つの角部を気流
の風上側に指向させ、上記一つの角部に隣接する両角部
によって上記拡散板の代用としてもよい。また、上記噴
霧口をちどり状に配置してあるとより効果的である。

【０００９】

【作用】本発明蒸気拡散噴霧式加湿方法及び加湿装置で
は、供給された蒸気が噴霧管の各噴霧口から気流の風上
側に均一に噴霧し、噴霧口の下流側に設けた拡散板によ
って、その下流側に渦流を発生させるから、噴霧された
蒸気は凝縮される前に拡散され、気流断面に対して平均
化されるとともに、気流との混合速度が早まり、蒸発吸
収が即座に行われ、蒸気吸収距離を従前公知の装置に比
し１／２〜１／４と短くすることが可能となる。即ち、
拡散板は噴霧口の直後に配されているから、蒸気温度と
略同じ温度状況にあり、従って蒸気が拡散板によって凝
縮されることなく、その後の渦流により空気との間に急
激な拡散、撹拌が生じ、きわめて早い蒸発吸収がなされ
る。さらに、複数の噴霧口から蒸気が供給されるから、
噴霧口１ケ当たりの蒸気吐出量が少なくなり、このこと
からも蒸気が凝縮して白くなる前に蒸発させ、蒸気の拡
散距離及び蒸発距離が短縮され、蒸気の蒸発吸収がより
早くなる。

【００１０】そして、上記噴霧口を風上に対し直交する
向きより風上側に向かって指向し、しかも風上に対して
斜め方向に噴霧するように指向して配置してあるもので
は、上流からの気流によって、蒸気の噴霧拡散作用が助
長される。また、拡散板を熱伝導性の良好な材料により
構成すれば、この拡散板は蒸気の温度に保たれるから蒸
気が拡散板に凝縮することはない。さらに拡散板は通過
する蒸気を冷却しないから、蒸気自体の凝縮を防止す
る。そして、噴霧管に形成した各噴霧口は噴霧口の内方
に向かう筒状突部を有するから、噴霧管中で生じたドレ
ン水が噴霧口から吹き出されることなく、噴霧口からは
蒸気だけを吹き出す。さらに、噴霧口をちどり状に配置
したものでは、蒸気が噴霧管後方でぶつかりあうことな
く、分散拡散効果が助長される。

【００１１】

【実施例】実施例について図面を参照して説明する。図
１〜図４に噴霧管１を丸パイプによって構成した基本的
な実施例を示してある。この噴霧管１には、その気流の
風上側に向かって略４５度の方向に向かう噴霧口２，２
を設けてあり、気流の風下側に位置する噴霧管１の後端
位置に拡散板３を固設してある。図４に示すように上記
噴霧口には噴霧管１の内方に向かう筒状突部４を有し、
この筒状突部４によって噴霧管１中に生じたドレンが噴
霧口２より吹き出さないようにしてある。また、拡散板
３は熱伝導性の良好な材料によって構成すれば、この拡
散板は蒸気の温度に保たれるから蒸気が拡散板に凝縮す
ることはない。さらに拡散板は通過する蒸気を冷却しな
いから、蒸気自体の凝縮を防止する。図２に示した実施
例では、噴霧口２，２を左右対称に配置してあるが、図
３にはこの噴霧口２，２をちどり状に配置してあり、夫
々の噴霧口２，２から吹き出す蒸気が、後方でぶつかり
あうことがなくなるようにしてある。

【００１２】本発明による蒸気拡散噴霧式加湿方法で
は、上記した噴霧管１中に蒸気を供給し、夫々の噴霧口
２，２から気流の風上に向けて蒸気を噴霧する。この風
上に向けて蒸気を噴霧することにより、噴霧口より小量
の蒸気が気流中に広く均一に噴出拡散される。そして本
発明では、噴霧管の噴霧口より風下位置に設けた拡散板
によって生ずる渦流により蒸気を拡散するから、気流と
の混合速度が早まり、蒸気の蒸発吸収が即座に行われ
る。

【００１３】図５に示した実施例では、噴霧管１を四角
形パイプによって形成したものを示してあり、その一つ
の角部が風上に対向するように配置し、角形パイプの面
が風上に対して４５度に傾斜するようにしてある。そし
て、この風上に対して４５度に傾斜する面に噴霧口２，
２を開設してある。即ち噴霧口を風上に対して直交する
向きより風上側に向かって指向し、しかも風上に対して
斜め方向に噴霧するように指向してある。

【００１４】図６に示した実施例では、噴霧管１を三角
形パイプによって形成したものを示してある。そしてこ
の実施例では三角形パイプの風下側の面を左右に延長し
て拡散板３，３を構成してある。

【００１５】図７には噴霧管１を丸形パイプにより構成
し、拡散板３をパイプの後端ではなく、噴霧口２より後
方の中間位置に設けた変形実施例を示してある。また、
図８には四角形パイプにより構成し、拡散板３を左右の
角部部分に形成した変形実施例を示してあるこれらの実
施例では、噴霧口２と拡散板３との距離を短縮でき、そ
れだけ蒸気の拡散を早めることができるから、蒸気の蒸
発吸収をより早めることができて効果的である。

【００１６】図９及び図１０には、噴霧管１を夫々四角
形パイプまたは三角形パイプによって構成し、その左右
角部５，５によって拡散板３の代用をしている変形実施
例を示してある。以上夫々の実施例において、正面から
見た拡散板３の幅寸法Ｄと噴霧管１の管径寸法ｄとで
は、Ｄ＞ｄとなるようにしてある。

【００１７】図示した実施例では、噴霧口２を風上に対
して４５度傾斜して指向してあるが、この噴霧口２の向
きは、風上に対して０度乃至９０度の範囲であればよ
い。

【００１８】

【発明の効果】本発明方法及び装置では、加湿空間への
均一な蒸気供給をなし得るもので、これによって装置の
下流側の蒸気の拡散距離及び蒸発距離を短縮することが
でき、効率のよい加湿を得ることができた大きな効果を
有する。また、加湿空間での結露及び蒸気の凝縮が防止
でき、空調機各部への悪影響をなくし、衛生的となし得
た効果を有する。また、噴霧蒸気中にドレン水が混入す
ることも極力防止でき、噴霧口からは蒸気だけが吹き出
されるようにし、より一層効率的な加湿が得られる。さ
らに、蒸気拡散と蒸発距離の短縮によって空調機，ダク
ト等の加湿スペースを縮小可能とし、また、小スペース
への組み込みも可能となり、さらに、空調機等のコンパ
クト化につながるだけでなく、ダクト内及び空調機内の
各部品の寿命を長びかせる経済的効果もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明蒸気拡散噴霧式加湿装置の一部切欠斜視
図

【図２】同じくその正面図

【図３】噴霧口をちどり状に配した実施例の正面図

【図４】図２上Ａ−Ａ線に沿う断面図

【図５】噴霧管を四角形パイプにより形成した実施例の
断面図

【図６】噴霧管を三角形パイプにより形成した実施例の
断面図

【図７】噴霧管を丸形パイプにより形成した変形実施例
の断面図

【図８】噴霧管を四角形パイプにより形成した変形実施
例の断面図

【図９】噴霧管を四角形パイプにより形成した別の変形
実施例の断面図

【図１０】噴霧管を三角形パイプにより形成した別の変
形実施例の断面図

【符合の説明】

１噴霧管２噴霧口３拡散板４筒状の突部

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】複数の噴霧口を有する噴霧管を設け、そ
の噴霧口を気流の風上側に配置して各噴霧口から蒸気を
噴霧するようにし、この噴霧蒸気を噴霧管の噴霧口より
風下位置に設けた拡散板によって生ずる渦流によって拡
散するようにしたことを特徴とする蒸気拡散噴霧式加湿
方法。
【請求項２】複数の噴霧口を有する噴霧管を、その噴
霧口を気流の風上側に配置して各噴霧口から蒸気を噴霧
するように配置し、この噴霧管に、噴霧口より風下側に
位置付けて拡散板を設けてあることを特徴とする蒸気拡
散噴霧式加湿装置。
【請求項３】蒸気噴霧口を気流の風上に対し直交する
向きより風上側に向かって指向配置してある上記請求項
２に記載の蒸気拡散噴霧式加湿装置。
【請求項４】上記拡散板を噴霧管の風下側後端位置に
設けてある上記請求項２または３に記載の蒸気拡散噴霧
式加湿装置。
【請求項５】上記拡散板を噴霧管の噴霧口と風下側後
端との間に設けてある上記請求項２または３に記載の蒸
気拡散噴霧式加湿装置。
【請求項６】上記噴霧管には内方に向かう筒状突部を
有する上記請求項２乃至５のいずれかに記載の蒸気拡散
噴霧式加湿装置。
【請求項７】上記拡散板を熱伝導性の良好な材料によ
って構成してある上記請求項２乃至６のいずれかに記載
の蒸気拡散噴霧式加湿装置。
【請求項８】上記噴霧管を断面三角形または四角形と
し、その一つの角部を気流の風上側に指向させ、上記一
つの角部に隣接する両角部によって上記拡散板の代用と
してある上記請求項２に記載の蒸気拡散噴霧式加湿装
置。
【請求項９】上記噴霧口をちどり状に配置してある上
記請求項２乃至８のいずれかに記載の蒸気拡散噴霧式加
湿装置。