JP2802327B2 - 光学系試料分析装置における品質確認用の標準物質およびその使用方法 - Google Patents

光学系試料分析装置における品質確認用の標準物質およびその使用方法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、試料分析装置において、装置の品質確認を
行うための標準物質、詳しくは、試料に光を照射し、そ
の試料からの光を検知することにより、試料の分析をし
たり特性を測定したりする光学系試料分析装置のための
品質確認用の標準物質、およびその使用方法に関するも
のである。
〔従来の技術〕
血漿と試薬との混合液に光を照射し、フィブリノーゲ
ンがフィブリンに転化するときの濁度変化を散乱光の変
化として検知し、凝固時間を求める血液凝固測定装置が
従来から知られている。東亜医用電子(株)のCAシリー
ズはその一例である。第7図はその検知原理を示してい
る。すなわち、発光素子28から発せられた光を試料容器
24中の血漿と試薬との混合液26に照射し、直角方向の散
乱光量の変化を受光素子30で検知している。そして、測
定開始時から逐次、散乱光の強度を記憶し、第8図に示
すように凝固反応曲線32を得、散乱光量が反応開始時と
完了時の中間点(50%)となるまでの時間を凝固時間と
定め、これを求めている。
すなわち、血漿と試薬とを混合した後、急激には変化
しない状態(B部)が続き、ついでC部で示すように徐
々に白濁する状態となり、散乱光量が増加した後、D部
で示すように変化がなくなり反応が完了した状態とな
る。
血液凝固測定装置の光学系の感度調整や機能確認、再
現性や直線性等の精度確認を行う場合(出荷前の検査
等)、従来は実際に血漿を用いて行っていた。例えば標
準血漿を用いていた。しかし、この標準血漿は有効期間
が決まっており、長期に渡っては使用できないため、光
学系の感度調整用には不向きである。また、再現性や直
線性の評価を行うためにはデータ取りを行わねばなら
ず、多量の標準血漿を必要とする。この標準血漿は高価
であるので、これら精度確認のための費用が大変高くつ
く上に、測定の手間もかかるという不都合がある。さら
に、直線性試験を行うときには、標準血漿を希釈する等
の手間も必要となる。このように、標準血漿を用いて装
置の確認を行う方法は、長期安定性に欠け、手間がかか
り経費が高くつく、等の問題があった。
そこでまず、血漿に代る、長期安定性のある標準物質
を開発する必要があった。
凝固した血漿とよく似た標準物質として使用可能な物
質には、寒天、ゼラチン、アクリルアミドゲル、キチ
ン、ところ天等がある。これらは成分の濃度(寒天の場
合、主成分はアガロース)を変えることにより、濁度が
変えることができるが、水分を多量に含むため、蒸発し
ないように厳重な密栓が必要である。また、ゲルの格子
構造が不安定であるので、震動等の負荷に弱く、長期的
に安定な状態を保つのは難しい。さらに、アガロース等
は有機物であるので、細菌等の栄養源となり生物汚染の
恐れもある。
一方、無機物質は、生物の栄養源とならないため、生
物汚染の心配はない。標準物質としてガラスを用いたも
のがある。例えば、特公昭57−41688号公報に記載され
た、散乱光度計較正用標準散乱体(以下、第1の標準散
乱体という)がある。この標準散乱体は、酸化硅素中に
少量の不純物を添加し、溶融後適当な温度で焼鈍して、
不純物を核とした微結晶を成長させ、硼酸分相を作った
ガラスを用いるものである。そして、このガラス散乱体
を、さらに透明容器に収納し、その間隙を液体で充たし
て一体としている。
また、他に、中空のガラス管を標準散乱体(以下、第
2の標準散乱体という)として用いることもできる。ガ
ラス管の内径を細くすることによって散乱光量は増し、
内径を太くすることによって散乱光量は減少するので、
ガラス管内径を適当に選定すれば、必要な散乱光量が得
られることになる。
しかし、前記第1の標準散乱体には次のような問題が
ある。
(1) ガラスを溶融し、濁り物質を添加し所定の濁度
を得るためには、試行を繰り返す必要があり、時間や経
費等の損失は大きい。また、ガラスを溶融させ測光部の
形状に合うように成形することも必要で、大がかりな設
備が必要である。つまり、コスト高となる。
(2) ガラス散乱体をさらに容器に収納しているた
め、容器内でのガラス散乱体の保持が不安定となり、光
学的にも不安定さがある。
また、前記第2の標準散乱体の場合には、ガラス管の
外周または内周に歪みがあれば、散乱光量が鋭敏に変化
してしまう。また、ガラス管は時間経過とともに縮む傾
向がある。このため、光学的に不安定である。
そこで、製造が安易で、光学的に安定な光学系調整用
の標準物質を求めるために、固化物質をスクリーニング
した結果、シリコーン樹脂が好適であることがわかっ
た。そして、次の条件を満たすシリコーン樹脂の選定に
成功した。
(1) 濁り物質の含有量調整が簡単に行えること。こ
のためには、調整時に粘度の低い液体であることが必要
である。
(2) シリコーンに不純物を含有していないこと。す
なわち透明であること。
そして、このシリコーンに濁り物質を添化し、濁度を
調整することが可能となった。
さて、次にシリコーンに添加する濁り物質であるが、
硅藻土や白土等がある。しかし、これらのものは不純物
が多く、粒子径が大きく不均一であるため、散乱体とし
て不適当であった。また、種々の色素は化学物質が多
く、光の照射を受けると変色してしまうものが多い。こ
れらの点から濁り物質としては、顔料が最適であること
がわかった。
凝固測定では、例えば波長660nmの赤色領域において
測定を行うが、粒子の均一性、長期安定性の点において
二酸化チタンTiO2が最適であることがわかった。
このような経緯により、光学的特性が凝固した血漿に
近く、長期安定性のある標準物質の開発に成功し、本出
願人は、昭和63年12月15日付で特許出願した(特願昭63
−317219号)。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記の標準物質は光学系の感度調整用には極めて有用
なものであるが、光学的の機能確認(散乱光量が変れば
光検出器の出力信号の大きさも変ること)を行うために
は、濁り物質の添加量を少しずつ変えた複数の標準物質
を用意し、順次検出部に挿入して所定の信号が出力され
ることを確認するしかない。ただし、そのときの測定点
は離散的でしかないので、測定点以外においても、光学
系が正常に機能していることを保証することはできな
い。さらに、この方法では、連続した凝固反応曲線を得
ることができないので、凝固時間のデータを求めること
ができない。このため、装置の再現性や直線性等の精度
確認を行うことができない。
このように、装置の機能確認が不充分にしかできず、
データ確認がまったくできないのは、標準物質から受光
素子に向けて発せられる散乱光量を連続して変化させる
ことができないからである。
本発明は、長期安定性に優れ、光学的特性を連続して
変化させることが可能な、光学系試料分析装置における
品質確認用の標準物質およびその使用方法を提供するこ
とを目的とする。本発明の標準物質を用いれば、品質確
認のための手間および経費が大幅に低減できる。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的を達成するために、本発明の光学系試料分
析装置における品質確認用の標準物質は、第1図〜第3
図に示すように、有底筒状の透明容器10と、この透明容
器に注入されたゲル状で透明のシリコーン12と、このシ
リコーン中に均一に分散された表面がコーティングされ
ている均一な微粒子13とからなり、所定の光の散乱光量
を有し、前記透明容器10の側面に周方向に一周しないよ
うに設けられた遮光部15を備えていることを特徴とする
ものである。
シリコーンは、第1液と第2液とを混合させることに
よって、ゲル状に硬化し生成させる、付加反応硬化型の
ものが用いられる。
付加反応硬化型のシリコーンとしては、下記のように
第1液と第2液とを混合することによって、Pt触媒によ
る、ビニル基とSiH基の付加反応が発生しゲル化するも
のを用いることができる。
あればよい。その逆でもよい。Pt触媒は第1液、第2液
のいずれか、あるいは、両方に含有されている。
また、本発明の標準物質の使用方法は、第3図および
第4図に示すように、試料に向けて発光素子18から光を
照射し、この試料からの散乱光を受光素子22で検知する
ことにより、試料の分析や特性を測定する光学系試料分
析装置において、発光素子18と受光素子22との間に本発
明の標準物質を配置し、発光素子18から受光素子22に至
る光の経路を遮光部15で遮断した状態から、標準物質を
透明容器の中心軸を中心にして回転させることにより、
試料の反応時に受光素子22が検知するのとほぼ同等の散
乱光を検知するようにするものである。
遮光部15は、不透明のテープを貼ったり、黒色のマジ
ックインキを塗ったりすれば、容器10表面に簡単に形成
することができる。標準物質の回転は、モータ等を使え
ば、各種実現することができる。
〔作用〕
容器10の中にゲル状シリコーン12が入れられ、そのシ
リコーン中に表面がコーティングされている均一な微粒
子13が分散されており、所定の光の散乱光量を有してい
るので、容器に照射された光は容器を透過し、シリコー
ン中の微粒子によって散乱される。散乱された光は容器
から各方向に向かって発せられる。微粒子はシリコーン
中に分散されているので、光の照射方向に対する受光方
向が決まれば、一定の散乱光や透過光が得られる。
容器10の側面には周方向に一周しないように、光を遮
断する遮光部15が設けられているので、この標準物質を
試料分析装置に用いれば、遮光部15により発光素子18か
ら受光素子22に至る光の経路を、どこかで遮断すること
ができる。つまり、受光素子22に光が到達しない状態を
作ることができる。次に、容器10を中心軸を中心にして
回転させることにより、光の遮断量が少なくなり、受光
素子22に到達する散乱光量を徐々に多くしてやることが
できる。つまり、光検出器(受光素子22に接続された光
電変換部)の出力信号は、容器10の回転に伴って徐々に
大きくなり、反応時に得られる信号と類似したものとな
る。このようにして得られた反応曲線を基に、反応時間
のデータが算出される。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例について図面に基づいて説明す
る。第1図は本発明の光学系試料分析装置における品質
確認用の標準物質の一実施例の斜視図である。第2図は
第1図な縦断面説明図である。
10は有底筒状のガラス製の試験管容器であり、無色透
明である(以下、透明容器10または容器10という)。透
明容器10の中にゲル状のシリコーン12が入れられ、開口
部は、例えばエポキシ系の接着剤からなる栓14で封じら
れている。無色透明のシリコーンゲル12中には微粒子13
が均一に分散されている。微粒子として、例えば、表面
をアルミナ等でコーティングした平均粒子径0.25μmの
二酸化チタンTiO2が用いられる。これは白色の顔料であ
る。TiO2は光に当たり励起されると、電子を外軌道に放
出するため、長期安定性に欠ける。そこで、粒子を安定
化させるために、上記のコーティングを行う。第5図に
その吸光特性を示す。縦軸は透過しなかった光の量を示
している。広い波長において吸光が認められるので、特
定の波長に限らず、任意の波長において標準物質として
用いることができる。コーティング剤として、他のシリ
カ、亜鉛等も用いられる。もちろん、微粒子としては、
目的に応じて各種の顔料を選んで用いればよい。また、
シリコーン12は液体である第1液と第2液とを混合させ
て容器10に入れた後、ゲル状に硬化させられ生成される
ので、シリコーン12は容器10内に密着して生成される。
このため、液漏れ等の恐れがなく、震動にも強く耐腐食
性に優れ、長期的に安定して光学系調整用の標準物質と
して用いることができる。シリコーンの代わりに、寒天
を用いた場合、寒天には栄養物が含まれているので、生
物汚染が発生しやすい。
第3図は第2図におけるA−A線断面図であり、容器
10と直交する平面上に、発光素子18である、例えば赤色
のLEDと受光素子22である、例えばフォトダイオードが
直交して配置される。受光素子22の前には、例えば赤色
のガラスフィルタ20が配置される。このようにして、赤
色光の90度方向の散乱光が検出され、その光量に相当す
る信号が受光素子22に接続された光電変換部(図示せ
ず)で電気信号に変換され出力される。容器10の外側表
面には光を遮断させるための遮光部15が、第1図に示す
ように周方向に一周しないように設けられている。本実
施例では黒色マジックで幅広い線を引いて遮光部として
いる。遮光部としては、他にテープ状のものを貼っても
よい。もちろん、容器内に遮光用の部材を設けることも
できる。
次に、この標準物質の使用方法について説明する。第
4図は本発明の標準物質を使用して得られる、凝固反応
に類似した変化の状態を示す説明図である。標準物質16
はまず、遮光部15で発光素子18から受光素子22に至る光
の経路を遮断するように配置される。第3図では、初期
位置として、遮光部15は発光素子18に面する位置にあ
る。標準物質は、透明容器の中心軸を中心にして、たと
えば時計方向に回転させられる。回転を始めても、しば
らくの間は発光素子18からの光は、遮光部15に遮断され
たままであり、標準物質16内には入射されない。したが
って、受光素子22にも散乱光は到達しない。この状態は
凝固反応の初期の状態に酷似している(第8図参照)。
すなわち、検体である血漿に凝固反応を起こさせる試薬
が加えられた直後においては、血漿はまだ白濁しておら
ず、発光素子18から発せられた光は散乱することなく、
ほとんどそのまま直進し、受光素子22には到達しない。
標準物質16が透明容器の中心軸を中心にして、さらに
回転することにより、少量の光が標準物質16に入射され
る。入射された少量の光は微粒子13に散乱され、少量の
散乱光が受光素子22に到達する。この状態は凝固反応の
前期において血漿が白濁し始め、少量の散乱光が受光素
子22に到達し始めた状態に酷似している。
標準物質16が透明容器の中心軸を中心にして、さらに
回転を続けることにより、標準物質16に入射される光量
が徐々に多くなり、それに伴って受光素子22に到達する
散乱光量も徐々に多くなる。この状態は凝固反応の中期
において、凝固反応が活発に進行して血漿が徐々に白濁
し、散乱光量が増加しつつある状態に酷似している。
標準物質16が透明容器の中心軸を中心にして、さらに
回転することにより、遮光部15は発光素子18が発する光
の光路からはずれ、これ以上回転しても、受光素子22に
到達する散乱光量は変化しない。あるいは、そこで回転
を止めてしまってもよい。そうすれば、散乱光量はまっ
たく変化しなくなってしまう。これらの状態は凝固反応
が完了した状態に酷似している。
このようにして、標準物質16を、透明容器の中心軸を
中心にして、遮光部15で光路を遮断した所定の位置か
ら、例えば定速で回転させることにより、凝固反応時に
発生する凝固反応曲線に類似した曲線34を得ることがで
きる。したがって、何らかの方法によって反応スタート
時点を決めてやれば、血液凝固測定装置から凝固時間が
結果として出力される。反応スタート時点は、例えば、
ある決まった回転位置に停止させた標準物質16の回転ス
タート時点とすることができる。つまり、回転と同時に
血液凝固測定装置に測定スタート信号を送るようにすれ
ばよい。
再現性は、標準物質16の回転速度を一定にしたまま複
数回測定を行い、複数のデータを得れば、評価を行うこ
とができる。
直線性は、標準物質16の回転速度を、例えば1/2、
1、3/2、2倍と変えて測定を行ったデータを用いて評
価を行うことができる。回転速度が遅くなれば、出力さ
れる凝固時間は長くなり、回転速度が速くなれば、凝固
時間は短かくなる。
このように、本発明の標準物質を用いれば、受光素子
22に到達する散乱光量を連続して変えることができるの
で、血液凝固測定装置において、血漿を用いることな
く、凝固反応時に生じる信号と酷似した信号を生じさせ
ることができ、凝固時間の算出、出力が可能となる。こ
のことにより、従来必要とされていた標準血漿が不要と
なる。また、データ取りに要する手間も不要となり、血
液凝固測定装置の品質確認や評価に要する経費を大幅に
低減することができる。
次に、標準物質16の製造方法について説明する。
(1) ビーカに所定量、例えば30mlの第1液を入れ、
さらに微粒子を薬さじ1さじ程度入れ、撹拌子により微
粒子が分散するまで充分撹拌する。例えば、数分から一
晩撹拌する。微粒子としては、例えば前述の二酸化チタ
ンが用いられる。
(2) 微粒子を混合した第1液を、例えば一晩静置さ
せることにより、比較的大きな粒子の凝集塊を沈澱させ
ることができる。あるいは、遠心分離を行ってもよい。
条件としては1500Gで15分程度である。この処理を行う
ことにより、大きさの揃った微粒子を選び出すことがで
きるので、より良好な標準散乱体を製造することができ
る。
(3) (2)の混合液の中、上部の微粒子の均一に分
散した画分を採集し、50Torrの低圧力下に5分程度置く
ことにより、脱気処理をする。これにより、シリコーン
第1液中に混入した微細な空気粒子を排除することがで
き、微粒子のみが均一に分散した第1液を得ることがで
きる。圧力は300Torr以下でよいが、小さければ小さい
程効果的である。
(4) (3)で得られた第1液を一部試験管容器に採
り、散乱光度計、あるいはそれに代わる測定器で測定す
ることにより、第1液の散乱光量を知り、所定の散乱光
量が得られるように、被粒子の分散した第1液x mlと微
粒子の分散していない第1液y mlとを混合し調整する。
第6図に微粒子の分散量と散乱光量との関係を示す。あ
る範囲においては、単位体積当りの分散量と散乱光量と
はリニアな関係を有している。今、微粒子の分散した第
1液の散乱光量がA、後述の第2液の量をz ml、最終的
に標準物質として得たい散乱光量をBとし、前述とリニ
アな領域においては、次の式が成り立つ。
A:B=x+y+z:x ただし、微粒子の分散していない第1液、第2液は透
明とする。
ところで、シリコーンゲルを生成する際に、第1液と
第2液とをa mlずつ混合するとすると、上式はA・x=
B・2aとなりxが求められ、y=a−xによりyも求め
られる。
(5) 調整が済んだ第1液a mlと同量の第2液を混合
・撹拌して均一化させる。
(6) 第1液、第2液の混合液を、50Torrの低圧力下
に5分程度置くことにより脱気する。なお、第1液と第
2液とを混合すると、硬化が始まるので(5)、(6)
の工程は速やかに行う必要がある。硬化反応を遅らせる
ためには冷却するとよい。
(7) (6)の混合液を注射器で採り試験管容器に分
注する。このとき、気泡が入らないように注意する。
(8) 混合液が注入された試験管容器を加熱処理する
ことにより、硬化反応を促進させ、短時間にシリコーン
ゲルを生成させることができる。例えば、70℃で1時間
程静置し熱処理する。なお、求められる熱処理の条件
は、用いるシリコーンの種類により異なる。温度を高く
設定すれば、より短時間で硬化が完了する。ただし、温
度を高く設定しすぎるとシリコーンが高温下で膨張し、
室温状態に戻ったときに大きく収縮するので、シリコー
ンゲルに亀裂が入る等の不具合いを生じることがある。
時間をかければ熱処理も不要である。
(9) 試験管容器の上部をエポキシ系の接着剤等で密
封し、容器内部のシリコーンゲルを保護する。
(10) 試験管外側表面に遮光部15を設ける。
つぎに、本発明の光学系調整用の標準物質を実際に作
成した実施例を挙げる。
シリコーンは、トーレ・シリコーン(株)製の品番SE
1890、顔料は帝国化工(株)製の品番JR−600Aを用い
た。このシリコーンは第1液であるA液と第2液である
B液とを1対1の割合いで混合し硬化させるタイプのも
のである。顔料はルチル形酸化チタンである。
(1) ビーカに100mlのA液と30μの顔料を入れ、
テフロンチップ撹拌子で一晩撹拌した。
(2) 微粒子を混合した(1)の液を1500Gで15分間
遠心分離した、。
(3) 遠心分離した(2)の液の中上部の液を別のビ
ーカに移し、50Torrで5分間脱気処理を行った。
(4) 脱気処理を行った(3)の液を試験管容器に採
り、血液凝固測定装置CA−4000(東亜医用電子(株)
製)で測定した。このとき散乱光量をA/D変換した値が3
50であった。一方、最終目標とするA/D変換値は90であ
る。そして、今回A液、B液を100mlずつ混合して硬化
反応を行わせるので、前記の式により(3)の液x ml、
(3)の液に加えるA液y mlがそれぞれ51.4ml、48.6ml
であることがわかり、A液の調整を行った。
(5) 調整が済んだ100mlのA液に、100mlのB液を混
合し、撹拌した。
(6) A液、B液を混合・撹拌した(5)の液を、50
Torrで5分間脱気処理を行った。
(7) 脱気処理を行った(6)の液を注射器で採り、
気泡が混入しないように注意しながら試験管容器に分注
した。
(8) (7)の試験管容器を70℃で1時間加熱処理を
行うことにより、シリコーンをゲル化させた。30分間で
もゲル化させることは可能である。余裕をみて1時間と
した。100℃を越える加熱を行った場合には、シリコー
ンゲルに亀裂が入る可能性がある。加熱は100℃以下が
好ましく、90℃〜50℃が良好であり、70℃が最適であっ
た。
(9) 試験管容器の上部を、エポキシ系の接着剤で密
封した。
(10) 以上のようにして作製された標準物質は、試験
管容器ごとにばらつきが発生することなく、同一の光学
的特性を有している。
(11) 試験管容器の外側表面に縦方向に黒マジックで
幅広い線を引いて、遮光部を形成した。
ところで、シリコーンとしては、品番SE1890の代りに
SE1885A/B、SE1886、SE1887も使用できる。これらはい
ずれも二液型のシリコーンであり、硬化条件等が少しず
つ異なっている。上記のSE1885A/B、SE1886、SE1887は
それぞれ70℃で30分、120℃で30分(または100℃で60
分)、70℃で30分(または50℃で120分)を目安に熱処
理を行えばよい。
〔発明の効果〕
本発明の光学系試料分析装置における品質確認用の標
準物質は、表面がコーティングされている均一な散乱用
の微粒子を分散させた液状のシリコーンを、容器に注入
し硬化させてゲル状にしたものであって、所定の光の散
乱光量を有するものであり、また、シリコーンを容器に
密着させることができる。このため、液漏れがなく、震
動にも強く、耐腐食性に優れているので、品質確認用の
標準物質として長期的に安心して使用できる。
また、本発明の品質確認用の標準物質は、透明容器に
側面の周方向に一周しないように、光を遮断するための
遮光部が設けられているので、散乱光の検出を利用した
装置において、標準物質を、透明容器の中心軸を中心に
して回転させることにより、受光素子に到達する散乱光
量を連続して変えることができる。このため、実際に検
体を用いることなく、試料の分析や特性を調べることが
可能となり、大幅な経費節減に役立つ。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の光学系試料分析装置における品質確認
用の標準物質の一実施例を示す斜視図、第2図は第1図
に示す標準物質の縦断面説明図、第3図は第2図に示す
標準物質のA−A線断面図、第4図は本発明の標準物質
の使用状態、およびこの標準物質を用いて得られる凝固
反応曲線に類似した曲線の変化を示す説明図、第5図は
白色顔料の吸光特性図、第6図は微粒子の分散量と散乱
光量との関係を示す線図、第7図は血液凝固測定装置の
検出原理を示す斜視説明図、第8図は第7図に示す装置
を用いた場合の凝固反応曲線を示す説明図である。 10……透明容器、12……シリコーン、13……微粒子、14
……栓、15……遮光部、16……標準物質、18……発光素
子、20……フィルタ、22……受光素子、24……試料容
器、26……血漿と試薬との混合液、28……発光素子、30
……受光素子、32……凝固反応曲線、34……凝固反応曲
線に類似した曲線
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−251748(JP,A) 特開 平2−162242(JP,A) 特開 昭54−133179(JP,A) 特開 昭56−31622(JP,A) 特開 昭50−19488(JP,A) 特開 昭63−98544(JP,A) 実開 昭55−145348(JP,U) 実開 昭50−93194(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 21/00 - 21/01 G01N 21/17 - 21/074 G01N 1

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有底筒状の透明容器と、この透明容器に注
    入されたゲル状で透明のシリコーンと、このシリコーン
    中に均一に分散された表面がコーティングされている均
    一な微粒子とからなり、所定の光の散乱光量を有し、前
    記透明容器の側面に周方向に一周しないように設けられ
    た遮光部を備えていることを特徴とする光学系試料分析
    装置における品質確認用の標準物質。
  2. 【請求項2】試料に向けて発光素子から光を照射し、こ
    の試料からの散乱光を受光素子で検知することにより、
    試料の分析や特性を測定する光学系試料分析装置におい
    て、発光素子と受光素子との間に請求項1記載の標準物
    質を配置し、発光素子から受光素子に至る光の経路を遮
    光部で遮断した状態から、標準物質を透明容器の中心軸
    を中心にして回転させることにより、試料の反応時に受
    光素子が検知するのとほぼ同等の散乱光を検知するよう
    にすることを特徴とする光学系試料分析装置における品
    質確認用の標準物質の使用方法。
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