JP2801055B2 - 複合シート - Google Patents

複合シート

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JP2801055B2
JP2801055B2 JP1068990A JP1068990A JP2801055B2 JP 2801055 B2 JP2801055 B2 JP 2801055B2 JP 1068990 A JP1068990 A JP 1068990A JP 1068990 A JP1068990 A JP 1068990A JP 2801055 B2 JP2801055 B2 JP 2801055B2
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polymer
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昌孝 池田
建夫 石川
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旭化成工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は積層複合シートに関し、より詳しくは強力
(引張り、引裂き、表面摩耗)に優れ、特に風合がソフ
トでフィット性に優れ、しかも防塵性、バクテリアバリ
アー性と通気性に優れ、高い耐水圧を有する複合シート
に関するものである。この複合シートは、特に防塵服
(防護衣)、サージカルガウン、ドレープ類、各種ラッ
プ類、テープ、バンド類、包帯、使い捨て衣料等に特に
有用なものである。
〔従来の技術〕
特公昭60−11148には、平均繊維径が12μm以上のフ
ィラメントウェブと、平均繊維径が10μm以下で、軟化
点がフィラメントの軟化点より10〜40℃低いマイクロフ
ァイバーの集積マットとが積層されて熱と圧力により結
合された不織布が開示されている。
一方、ブロック共重合体組成物およびその水素添加物
については、その代表的な材料として熱可塑性Kraton
材料が知られている。
熱可塑性Kraton 材料についてはShell Chemical Com
pany発行の小冊子「KRATON THERMOPLASTIC RUBBER Typ
ical Properties 1986」に詳細説明されており、そのも
っとも一般的な構造は、リニア−A−B−Aブロックタ
イプであり、スチレン−ブダジエン−スチレン(S−B
−S)とスチレン−イソプレン−スチレン(S−I−
S)のKraton Dシリーズ、スチレン−エチレン/ブチレ
ン−スチレン(S−EB−S)のKraton Gシリーズとがあ
る。
また、特開昭61−155446号(特公平6−15649号)公
報には主としてビニル芳香族から構成された重合体ブロ
ックAを少なくとも2個、主として共役ジエン化合物か
ら構成された重合体ブロックBを少なくとも2個有する
ブロック共重合体であって、そのブロック共重合体の数
平均分子量が20,000〜100,000の範囲にある水素添加ブ
ロック共重合体100部に、ポリオレフィン5〜400部を加
えた組成物が開示されている。
米国特許第4,692,371号公報には、A−B−A′ブロ
ックポリマーからなるメルトブロー不織布が開示されて
いる。
特開昭62−84143号公報には、A−B−A′ブロック
ポリマーとポリオレフィンからなるメルトブロー不織布
が開示されている。
特開昭59−223347号公報には、ポリウレタン弾性フィ
ラメントからなるメルトブロー不織布が開示されてい
る。
特開平1−132858号公報には、ポリエステルジオール
を用いたポリウレタンからなるメルトブロー不織布が開
示されている。
なお、メルトブロー法による紡糸法については、イン
ダストリアル・アンド・エンジニアリング・ケミストリ
ー(Industrial and Engineering Chemistry)48巻、第
8号(p.1342〜1346)、1956年に基本的な装置および方
法が開示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
前述の特公昭60−11148は、極細細胞ウェブ層として
ポリプロピレンのような軟化点の比較的高いポリマーを
用いているため、得られる不織布は強力は高いが、風合
がペーパーライクで硬く、フィット性にも欠けるという
問題があった。
また、この公報に開示された不織布は、ポリプロピレ
ンのような軟化点の比較的高いポリマーのマイクロファ
イバーを用いているため伸度が低い。このため、この不
織布を各種用途で使用中にひっぱられたり、もまれたり
した時に、熱融着結合部(一部フイルム化して脆くなっ
ている)がこわれ、ピンホールが生じたり、場合によっ
ては裂けや破れが発生するという問題があった。
また、前述の公知のメルトブロー不織布には下記のよ
うな問題点がある。
すなわち前述の特開昭59−223347号及び特開平1−13
2858号公報に開示されたメルトブロー法不織布はポリウ
レタンからなる不織布であり、したがってこの不織布の
耐候性、耐光性が劣るという問題がある。また、ポリウ
レタンは風合が硬く、この不織布の風合も硬く、又ポリ
ウレタン自身がコスト的にも高く、したがって得られた
不織布のコストが高いという問題がある。更に、ポリウ
レタンは一般的に溶融粘度が高く、極細繊維の不織布を
得るのが著しく困難である。
前述の米国特許第4,692,371号公報に開示されたメル
トブロー法不織布では、A−B−A′水素添加ブロック
共重合体としてKRATON GX 1657を用いて水素添加ブロッ
ク共重合体を単独で押出し、ウェブを得ている。この不
織布の強度は同公報TABLE IIに示されている通り低く、
さらに溶融粘度が高い為、できた不織布中の繊維の平均
繊維径を細くすることが著しく困難であるという問題が
ある。
前述の特開昭62−84143号公報に開示された、A−B
−A′水素添加ブロック共重合体とポリエチレンからな
る不織布は強度が低いという問題がある。また、紡糸性
が劣り平均繊維径が10μm以下の極細繊維を得ることが
著しく困難である。
本発明はこのような従来の問題点に鑑みて鋭意検討し
た結果達成されたものである。
本発明の目的は前述の従来の技術に見られるような、
風合がペーパーライクで硬く、フィット性が劣る、ピン
ホール等が生じる、耐候性、耐光性が劣る、強度が低い
といった問題がなく、特に風合がソフトでフィット性に
優れ、強力(引張り、引裂き、表面摩耗)、伸度に優
れ、耐候性、耐光性に優れ、しかも防塵性、バクテリア
バリアー性と通気性に優れ、高い耐水圧を有する複合シ
ート物を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
A−B−A′水素添加ブロック共重合体を含み、メル
トブロー法によって作られる不織布は前述のように公知
である。しかしこれら公知の技術において、水素添加ブ
ロック共重合体の構成(ブロック構造、数平均分子量、
ビニル芳香族化合物含有量、共役ジエンの1,2−結合量
等)、メルトブロー紡糸性および得られた不織布の物性
を総合して研究したものは見当らない。
本発明者等はこれら水素添加ブロック共重合体の構
成、メルトブロー紡糸性およびこの不織布の物性を総合
して研究し、特にこの共重合体極細繊維からなる不織布
がことのほか柔軟でドレープ性を有し、伸度が高く弾性
を有することを見い出し、この点に着目して本発明を完
成した。
本発明の目的は、ビニル芳香族化合物を主体とする重
合体ブロックAを少なくとも2個、共役ジエン化合物を
主体とする重合体ブロックBを少なくとも2個有し、か
つ、少なくとも1個の重合体ブロックBがポリマー鎖の
末端にあるブロック共重合体を水素添加して得られた水
素添加ブロック共重合体を少なくともその成分の一部に
含む平均繊維径が8.0μm以下の極細繊維から成る不織
布Xと、該不織布Xの少なくとも片側面に積層された且
つ結合された平均繊維径が10μm以上の繊維からなる不
織布、または編織布Yから成る複合シート、及び、ビニ
ル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAを少なく
とも2個、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロッ
クBを少なくとも2個有し、かつ、少なくとも1個の重
合体ブロックBがポリマー鎖の末端にあるブロック共重
合体を水素添加して得られた水素添加ブロック共重合体
とポリオレフィンから成る平均繊維径が8.0μm以下の
極細繊維から成る不織布Zと、該不織布Zの少なくとも
片側面に積層され、且つ結合された平均繊維径が10μm
以上の繊維から成る不織布、または編織布Yから成る複
合シートによって達成される。
本発明の水素添加前のブロック共重合体(以下前駆ポ
リマーという)を構成するビニル芳香族化合物として、
例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエ
ン、p−tert−ブチルスチレン等を用いることができ、
スチレンが特に好ましい。これら材料は単独で用いられ
ても、2種以上を組合せて用いられてもよい。また、前
駆ポリマーを構成する共役ジエン化合物として、例えば
1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,
3−ジメチル−1,3−ブタジエン等を用いることができ、
ブタジエン及びイソプレンが特に好ましい。これら材料
は単独で用いられても、2種類以上を組合せて用いられ
てもよい。
これらの前駆ポリマーは、リチウムアルキル触媒を用
いて逐次的にブロック共重合を行うか、あるいは、逐次
的にブロック共重合を行った後にカップリング反応を行
わせることによって製造できる。
このようにして得られた前駆ポリマーは、次いで選択
的に水素添加される。すなわち水素添加反応は既知の水
素添加触媒、例えば、白金、パラジウムのような貴金属
系の担持触媒、ラネーニッケル、有機ニッケル化合物、
有機コバルト化合物あるいはこれらの化合物と他の有機
金属化合物とが複合された触媒などによって行うことが
できる。チタノセン化合物は特開昭61−155446号公報に
開示されているように、前駆ポリマーの水素添加触媒と
して極めて高い活性を有するので、少量の触媒で水素添
加反応を行うことができること、又触媒残渣が水素添加
ブロック共重合体の耐熱安定性に悪影響を与えることが
ないので触媒残渣の除去を行う必要がなく、特に好まし
い。
前記水素添加を、共役ジエン化合物の二重結合に対し
て選択的に行わせるのが好ましい。すなわち、共役ジエ
ン化合物の二重結合は不織布の耐候性、耐光性、耐熱性
の低下をまねき好ましくない。又ビニル芳香族化合物を
水素添加すると流動性が低下し、紡糸性から好ましくな
い。
共役ジエン化合物の少なくとも80重量%、好ましくは
90重量%以上が水素添加され、ビニル芳香族化合物の20
重量%以下、好ましくは5重量%以下が水素添加される
ように部分的に水素添加されるのが不織布の耐候性、耐
光性、耐熱性、紡糸性の面から好ましい。
前記ポリマー全体の数平均分子量(以下Mnと略す)
は、好ましくは30,000〜65,000、より好ましくは、35,0
00〜60,000、更に好ましくは、40,000〜55,000の範囲で
あるとよい。Mnが低くなると単繊維強度が低下し、その
事が不織布強度の低下を招く。特にMnが30,000未満で
は、ポリマーの粘度が下がりチップ化できず、不織布を
得ることが困難である、反対にMnが高くなると、水素添
加ブロック共重合体の溶融粘度が上昇し、且つダイ部圧
力が上昇することにより、紡糸性が不良となり易く、さ
らにMnが65,000を越えると、繊維化が困難である。
また、前駆ポリマー中でのビニル芳香族化合物の含量
は、15〜40重量パーセント(以下wt%と略)、好ましく
は、20〜35wt%の範囲であるとよい。水素添加ブロック
共重合体において、いわゆるハードセグメントであるビ
ニル芳香族化合物が得られた製品の強度を受持ち、ソフ
トセグメントである共役ジエン化合物が得られた製品の
伸縮性を受持つ。ただしポリマー物性ではビニル芳香族
化合物の含量が増大するとポリマー強度は上昇するが、
不織布の強度はビニル芳香族化合物の含量に対して最大
値を有する。すなわちビニル芳香族化合物の含量が15wt
%未満では不織布の強度が低下し、汎用性のある不織布
製品を作ることが困難である。一方ビニル芳香族化合物
の含量が40wt%を越えると、不織布の強度と伸長率が低
下し、且つ硬くなる。さらにこの場合溶融粘度が上昇
し、ダイ部圧力上昇、紡糸性不良となり、出来た不織布
もポリマー玉を含む様になり、平均繊維径が大きくな
り、単繊維の分散性も悪くなり、風合、外観が悪くな
る。したがって前駆ポリマー中のビニル芳香族化合物の
含量が15〜40wt%の範囲であると、紡糸性が良好とな
り、優れた強度と伸長率を有し、ソフトな風合を有する
不織布を得ることができるので好ましい。
前駆ポリマーの共役ジエン化合物中の共役ジエンの1,
2−結合量は、好ましくは、20〜50wt%、より好ましく
は、25〜45wt%の範囲である。20wt%未満では、不織布
の伸長回復性が劣り、不織布製品として用いにくく、
又、50wt%を越えると紡糸性が悪化し、良好なウェブが
得られなくなる。
本発明の複合シート中の不織布X,Zでは、少なくとも
1個の重合体ブロックBが前駆ポリマーのポリマー鎖の
末端にあること必須である。すなわちポリマー鎖の末端
を重合体ブロックBが占める割合によって紡糸性および
不織布の物性が変化するからである。
前駆ポリマー中でポリマー鎖の末端を重合体ブロック
Bが占める割合は、3〜25wt%、特に5〜20wt%が好ま
しい。3wt%未満では、溶融粘度が高くなり紡糸性が悪
化し良好な不織布が得られなくなり、25wt%を越えると
不織布の強度が下り好ましくない。
後述の実施例の説明で詳述するように(第1表参
照)、比較として、A−B−A′型のKRATON G−1652
及びKRATON G−1657Xを、同一紡糸条件で比較実験を
行った。
両方とも流動性が悪い為か紡糸性が悪く、糸がつなが
らず、不織布サンプルが得られなかった。
前述のように、本発明で用いられる水素添加ブロック
共重合体の前駆ポリマーとして、主としてビニル芳香族
化合物が構成された重合体ブロックAを少なくとも2
個、主として共役ジエン化合物から構成された重合体ブ
ロックBを少なくとも2個有し、且つ少なくとも1個の
重合体ブロックBがポリマー鎖の末端にあるブロック共
重合体を用いることにより、外観、風合が共に良好で特
に優れた強度を有し、伸長特性、柔軟性の良い不織布が
得られる。又不織布を製造する際には、溶融粘度が低く
てポリマーの流動性が良いことから紡糸性が改善され
る。
前駆ポリマーの構造は、線状、分岐状または放射状の
いずれであってもよく、いくつかの例を一般式で表わす
と、次のようにあらわされる。
(B−A)n n≧2 (B−A)n−B n≧2 (B−A)m−X(B−A)n m,n≧1 m+n=2〜4 (式中Xはカップリング剤を示す) 本発明の複合シートの不織布X,Zを構成する水素添加
ブロック共重合体に用いられる安定剤として、ヒンダー
ドアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、リ
ン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ
ール系化合物及びこれらの混合物等を用いることができ
る。ヒンダードアミンの耐熱性、耐候性の改良効果が顕
著であり、したがってヒンダードアミンを安定剤として
用いることが特に好ましい。安定剤の使用量は、水素添
加ブロック共重合体100重量部当り5重量部以下が好ま
しく、5重量部をこえると、安定剤によって生ずる効果
の改善は認められず、逆に着色等の弊害がでてくる場合
があるので好ましくない。
本発明の複合シートの水素添加ブロック共重合体不織
布Xの粘着性の値は使用する前駆ポリマーの種類によっ
て大幅に変えることができる。粘着性の評価方法として
は不織布の剥離強度を採用すればよく、剥離強度の値が
高い程、不織布の粘着性が高いことを意味する。
前記剥離強度に影響する前駆ポリマーの構成を調べた
ところ、特定の構成要素だけで一義的に定めることが困
難であった。そこで本発明は下記式で規定される粘着性
パラメータ−Tを導入し、このTの値が不織布の剥離強
度、すなわち不織布の粘着性と明確な関係を有すること
を見出した。
T=V/S ここにVは共役ジエン化合物中の共役ジエンの1,2−
結合量(wt%)、Sは前駆ポリマー中のビニル芳香族化
合物の含有量(wt%)を示す。すなわち第3図に示すよ
うに、T=1.25を境界として粘着性を二分でき、Tが1.
25を越すと粘着性大となる。1.25以下では剥離強度10g/
cm以下となり、実用的には粘着性をほとんど示さないこ
とを見出した。
Tが1.25を越す粘着性がある不織布は、他の不織布、
編織布等と張合わせて、積層体とする際、結合力が高ま
りより好ましい。
一方Tが1.25以下で、粘着性がない不織布は、積層せ
ずに不織布単独で一旦巻取る場合に好ましい。
本発明の複合シートの水素添加ブロック共重合体不織
布を製造するために用いられる水素添加ブロック共重合
体にポリオレフィンを添加することにより、さらに性能
が改善された不織布Zをつくることができる。
水素添加ブロック共重合体にポリオレフィンを混合す
ると、混合ポリマーの溶融粘度が低下し、紡糸性が向上
し、得られた不織布中の繊維の平均繊維径が小さくなる
と共に、粘着性を示さなくなる。しかし、ポリオレフィ
ンの混合割合を多くしすぎると、不織布の風合、伸度が
低下する。そこでポリオレフィンの混合割合を全ポリマ
ー重量に対して、1〜80重量%、好ましくは5〜60重量
%、より好ましくは10〜40重量%にするとよい。1重量
%未満の使用では混合による溶融粘度の低下が少なく、
紡糸性を殆んど改善しない。一方80重量%以上の使用
は、得られた不織布の風合、伸度がいちぢるしく損なわ
れるので好ましくない。
また、ポリオレフィンの数平均分子量(Mn)が小さい
程、同一混合割合において、伸度伸長回復率が高くなる
傾向を有する。このような傾向が生ずる理由は明らかで
はないが、水素添加ブロック共重合体の共役ジエン化合
物とポリオレフィンがミクロドメイン構造を形成し、こ
の構造がポリオレフィンの数平均分子量が小さい程形成
しやすくなるためであると推定される。
本発明で用いるポリオレフィンの例としては、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、プロピレンとエチレンあるい
は1−ブテンなどのα−オレフィンとの共重合体等があ
げられるが、プロピレンとエチレンとのブロックコポリ
マー及びポリプロピレン、ポリエチレンが特に好まし
い。
ポリプロピレンとしては、数平均分子量(Mn)2,000
〜60,000、MFR(溶融流れ量)50〜10,000、好ましくは5
0〜150を有するポリプロピレンを用いると好ましく、ポ
リエチレンとしては数平均分子量(Mn)2,000〜30,000
を有するポリエチレンを用いると好ましい。(ポリエチ
レンを用いると伸度、伸長回復率の低下が殆どなくより
好ましい。) 2種のポリマーの混合状態としては、単一繊維中で混
合している状態、それぞれのポリマーから成る繊維が不
織布中で混織している状態、前記2つの状態が不織布中
で混在している状態がある。その中で単一繊維中で混合
している状態が特に好ましい。
水素添加ブロック共重合体とポリオレフィンの混合方
法は、紡糸時にチップブレンドする方法、2種のポリマ
ーを予め溶融混合したチップを用いる方法等がある。こ
の2種のポリマーの混合方法は特に限定されないが、後
者の方法が好ましい。
本発明の複合シートの不織布X,Z中の繊維に前述のポ
リオレフィン以外に第3のポリマーが本発明の目的を逸
脱しない範囲で混合されていてもよく、さらに本発明の
複合シートの不織布X,Z中に他の繊維が本発明の目的を
逸脱しない範囲で混合されていてもよい。
後述するように、本発明による不織布X,Zはメルトブ
ロー法によって製造することができる。
ポリオレフィンとしてポリプロピレンポリマーを用
い、2種のポリマーをチップブレンドして不織布Zを作
る場合において、ポリプロピレンの混率をアップしてい
くと、溶融粘度が下がり高圧ブロー(例えば3kg/cm2G)
が可能となり、10重量%を越すあたりから急激にブロー
性が向上する。また、得られた不織布中の繊維は容易に
極細繊維となり、不織布は極めてソフトな風合を有して
おり、しかも本発明のシート物の特徴であるソフトな風
合はポリプロピレンの混率が60重量%に達する迄、殆ど
変化なく、良好である。なお実用上はポリプロピレンの
混率を80重量%にすることができる。
前述のように、水素添加ブロック共重合体にポリオレ
フィンとしてポリプロピレンを混合すると、混合ポリマ
ーの溶融粘度が低下し、紡糸性が著しく向上し、ガス条
件の高圧化が可能となり平均繊維径が8μm以下の極細
繊維が容易に得られるという特徴がある。また、ポリプ
ロピレンの混合により不織布の強度がさらに向上すると
いう効果がある。
本発明の複合シートの不織布X,Zを構成する繊維の平
均繊維径は、8.0μm以下、好ましくは0.5〜6.0μmで
ある。0.5以下の場合は不織布は柔軟ではあるが強力が
低く、通気性、透湿性が劣る。一方、8.0μm以上にな
ると不織布は風合が硬くなると共に、耐水圧、フィルタ
ー性能(バクテリアバリアー性)が劣る。特に、繊維径
が0.5〜6.0μmの範囲にあると、捕集効率、風合が改善
され、またバクテリアバリヤー性、防塵性において優れ
たものとなり、さらに、耐水圧が高まり、特に好まし
い。
本発明の複合シートの不織布X,Zの目付量は、5〜100
g/m2が好ましく、より好ましくは、10〜50g/m2である。
5g/m2以下では不織布の強力が低下する。
また本発明の複合シートの不織布X,Zを構成する繊維
は、短繊維、長繊維の何れも用いることができるが、短
繊維が好ましい。
このようにして得られた本発明の複合シートの不織布
X,Zは特に優れた風合と強度を有し、さらに伸び、耐候
性、耐光性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性において優
れた性能を有する不織布である。なお耐候性、風合につ
いては、市販のポリウレタン系伸縮性不織布(例えば、
エスパンシオーネ )と比較して非常に優れていた。
次に、本発明の複合シートに用いられる平均繊維径が
10μm以上の繊維からなる不織布、又は編織布Y(以下
単にシート物Yと称す)について説明する。
それらのシート物Yを構成する繊維の平均繊維径は10
μm以上、好ましくは10〜50μm更に好ましくは12〜30
μmである。10μm未満であると本発明のシート物Yの
強力(引張り、耐摩耗)が低い。一方50μmを超える
と、得られたシート物Yの風合が硬くなり好ましくな
い。
シート物Yは不織布としては、スパンボンド法、メル
トブロー法、乾式法(カード/ニードルパンチ法、カー
ド/熱結合法等)、湿式法(カード/水流交絡法、抄造
/水流交絡法等)等で作られた不織布が挙げられるが、
特にスパンボンド法、湿式法で作られた不織布が強力、
風合の面で好ましい。
編織布としては、丸編、よこ編、天竺等の編物およ
び、平織、綾織、朱子織等の編物があげられる。風合、
伸縮性の面で編物が好ましい。
シート物Yを構成する素材は、ポリプロピレン、ポリ
エチレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、
ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリアクリル
ニトリルやレーヨン、キュプラ等の再生繊維、及び綿、
ウール等の天然繊維である。これらの素材は、共重合体
であってもよいし、他の素材や添加物が混合されてあっ
てもよい。また、2種以上の異なる素材が混繊されてあ
ったり、混合されてあってもよい。本発明においては、
シート物Yがポリオレフィン不織布、またはポリエステ
ルと、再生繊維や綿との混合不織布であると、不織布
X、又は不織布Zとの結合力が高まり、しかも本発明の
複合シート物の強力、風合が良好となるので好ましい。
シート物Yの目付量は10〜60g/m2、特に15〜40g/m2
好ましい。また、シート物Yの伸度は15%以上、更には
20%以上、特に30%以上であると、得られる複合シート
の風合がよりソフトで使用時の裂け、破れ等がなくより
好ましい。
不織布X又は不織布Zとシート物Yすなわち不織布ま
たは編織布Yとの積層は、X/Y又はX/Yの2層だけでな
く、Y/X/Y又はY/Z/Yの3層であってもよい。強力の面か
らは3層で用いると好ましい。又不織布X、不織布Zの
シート物Yに対する目付比X/Y又はZ/Yは1/1〜1/4、特に
1/1.5〜1/3であると好ましい。
不織布X又は不織布Zと、シート物Yとの結合は、部
分的または、全面にわたる熱結合(融着等)、接着材に
よる結合、繊維相互の絡み合い、またはこれらの組合せ
方法等の結合であるが、特に部分的な熱結合、繊維相互
の絡み合いによる結合が強力、風合の両方を満たすので
好ましい。前記の熱結合としては、ホットメルト材など
を用いて行うこともできるが、不織布X,Z、または、シ
ート物Yを構成する繊維自体の熱融着による結合を用い
ると、他の接着用材料を用いずにすむので最も好まし
い。
本発明の複合シートの伸度が好ましくは25%以上、よ
り好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上である
とよい。また、目付が20〜200g/m2、特に30〜100g/m2
あると好ましい。
本発明の複合シートの不織布X,Zを製造する方法とし
ては、メルトブロー法、スパンボンド法を用いることが
でき、また溶融紡糸法で得た繊維を通常の乾式法、湿式
法によりシート化する方法を用いることができる。しか
し紡糸性の面から、特にメルトブロー法を用いることが
好ましい。
以下本発明のメルトブロー法を用いた不織布製造方法
の一例を第1図および第2図を用いて説明する。
水素添加ブロック共重合体を押出機1で溶融してダイ
2に送り込み、ノズルに設けた一列に並んだ多数の紡糸
オリフィス12から押出す。溶融ポリマーはポリマー流路
11を経てオリフィス12から押出される。それと同時に、
ガス導入口13を経て供給された加熱高速のガスをガスヘ
ッダー14を経て、オリフィス12の両側に設けられたスリ
ット15から噴射させ、押出された溶融ポリマーの流れに
吹き当てる。ガスヘッダー14および噴射スリット15はノ
ズル9とリップ10との間に設けられる。高速気流の作用
により押出された溶融ポリマーは極細繊維4の形状にけ
ん引、細化し、固化する。このようにして形成された極
細繊維は、1対の回転ローラー6の間で循環しているス
クリーン(コレクター)7上に堆積されてランダムウェ
ブ5を形成する。ガスとしては、スチーム、空気などが
好適であり、ガス条件としては、温度300〜450℃、好ま
しくは350〜420℃、圧力は0.1kg/cm2G以上、吐出量によ
って異なるが好ましくは0.2〜5.0kg/cm2Gである。押出
機温度は260〜330℃、好ましくは270〜320℃である。
本発明において、メルトブロー法によって作られた不
織布X,Zの強度は、単繊維の交絡と繊維の有する自己熱
接着により、高めることが出来る。したがってダイ2と
コレクタ7間の距離を適切に選定することは、自己熱接
着による単繊維の結合による不織布の強度を向上させる
ために重要であり、距離が短い程強度が増加する。又不
織布X,Z中の単繊維の分散性を向上させてフィルター性
能を向上させるためにも前記距離を短くすることが好ま
しい。すなわち前記距離を70cm以下、好ましくは50cm以
下、より好ましくは40cm以下にすると良い。
本発明の不織布X,Zを、スパンボンド法、カード法、
湿式法等で作られた他の不織布、編織物等のシート物Y
と積層して、熱結合、絡み合い処理等の方法によって結
合して本発明の複合シートが得られる。
熱結合方法としては、熱エンボス法、熱ロール法、熱
風法、超音波結合法等の他の熱結合方法を用いることが
できる。特に、熱エンボス法および超音波結合法は複合
シートの繊維間の結合を高め、得られた複合シートの強
力、風合、通気性を向上させるので特に好ましい。これ
ら熱結合加工は、得られた不織布X,Zを巻取ることなく
連続して行ってもよく、あるいは不織布X,Zを巻取った
後、別工程で行ってもよい。
熱エンボス加工又は熱ロール加工(カレンダー加工と
もいう)の温度は160℃以下、好ましくは80〜150℃、よ
り好ましくは90〜140℃の範囲で行うと良く、圧力は0.5
〜100kg/cm、好ましくは1〜75kg/cmの範囲で行うとよ
い。上記範囲を越える高温高圧で加工すると繊維が溶融
してフィルム状の複合シートとなり、通気性が低下す
る。逆に上記範囲を下廻る低温、低圧で加工すると熱結
合が不充分となり、不織布の強力を向上させることがで
きない。
熱エンボス加工や超音波結合加工に用いるエンボスパ
ターンは連続パターン、不連続パターンの何れであって
もよく、丸点、線、点線、格子、斜め格子、ひし形、織
物柄等各種のパターンを用いることができる。
絡み合い処理としては、水の柱状流等の水流噴射によ
る交絡法やニードルパンチ法等による機械的交絡法、お
よびこれらの組合せ方法があるが、特に、不織布Yとし
て短繊維からなる不織布、ウェブを用いた場合は水流噴
射交絡法が、強力、風合の面で好ましい。
本発明の複合シートのフィルタ性能を高めるために、
不織布X,Zの状態であるいは本発明の複合シートの状態
でエレクトレット加工を施してもよい。
〔実施例〕
以下本発明の複合シートの各種実験例を比較例と共に
示す。
実験例の説明に先立ち、本明細書中で用いられた各種
物性の定義と測定方法を以下に示す。
◎ 平均繊維径(μm);不織布サンプルの任意な10箇
所を電子顕微鏡(倍率2000倍)で10枚の写真撮影を行
う。1枚の写真につき任意の10本の繊維の直径を測定
し、これを10枚の写真について行う。合計100本の繊維
径測定値を求め平均値を計算する。
◎ 強度および伸度;巾2cmの不織布サンプルをJIS L 1
096に準じて測定する。その時のつかみ間隔は5cm、引張
速度は10cm/minとする。破断時の値から1cm巾当りの強
度と伸度を算出する。(縦・横方向の平均値) ◎ 伸長回復率;巾2cmの不織布サンプルをJIS L 1096
に準じて測定する。その時のつかみ間隔12cm、引張速度
10cm/minで、50%伸長し、直ちに同じ速度で原長まで回
復させる。伸長前に、伸長方向に記入した長さ10cmの線
の伸長前後の伸長差(a)(mm)を求め、下式で伸長回
復率を算出する。(縦・横方向の平均値) ◎ 剛軟度;JIS L−1096 45゜カンチレバー法による
(この値が小さい程、風合が柔かいことを示す)。(縦
・横方向の平均値) ◎ 剥離強度;不織布からサイズ10cm×2cmのサンプル
を用意し、この2枚のサンプルを重ねる。重ねられたサ
ンプルの中央部2.7cm×2cmに13kgの荷重を載せて16時間
放置した。荷重を外したサンプルを、JIS L−1096に準
じて、サンプルのそれぞれの片端部を1枚づつ試験機の
クランプに把持させ、引張速度10cm/minで2枚のサンプ
ルを引離すように伸長し、2枚のサンプルが剥離するま
での1cm巾当りの最大強度を測定する。(縦・横方向の
平均値) ◎ 捕集効率;PARTICLE COUNTER(KC−OIA型RION CO.,L
TD)を用いて、流量500cc/分、測定時間30秒、粒径0.3
μm以上、の条件で、最初に何もセットせずに、ブラン
クの値A(個)を測定し、次に試料をセットし、試料を
通過した粒子数B(個)を測定し、次式により、捕集効
率を求める。
捕集効率(%)=(1−B/A)×100 ◎ 耐水圧(mmH2O) JIS L−1092B法で測定する。
◎ 耐光性;JIS L 1096に準じてフェードメーター40時
間照射後、サンプルの変退色、照射前後での強度保持率
を求める。
◎ 数平均分子量(Mn);GPC(GEL PERMEATION CHROMAT
OGRAPHY)によりスチレン換算分子量から求めた。
◎ ビニル芳香族化合物含有量(wt%);全ポリマー中
のビニル芳香族ポリマーブロック含有率を重量パーセン
トで表わしたもので、L.M.Kolthoffら、J.Polymer Sci.
第1巻429頁(1946年)の方法に従って求めた。以下S
で表す。
◎ 共役ジエン化合物中の共役ジエンの1,2−結合量
(重量%);水添する前のポリマーをサンプルとし、赤
外分光光度計を用い、ハンプトン法によって測定する。
以下Vで表す。
◎ ポリマー強度;JIS K−6301に準じて、3号ダンベル
を用いて測定した。
◎ ポリマー伸度;JIS K−6301に準じて、3号ダンベル
を用いて測定した。
◎ 溶融粘度;島津社製フローテスター(CFT 500型)
にて、紡口0.5mmφ、1.0mmL、1holl、荷重10kg、予熱6
分温度300℃の条件下で測定する。
実施例1 リチウムアルキル触媒を用いる逐次的なブロック共重
合を行うことによって、ブタジンエン−スチレン−ブタ
ジエン−スチレン型ブロック共重合体(組成比wt%10−
12.5−65−12.5)を前駆ポリマーとして合成した。この
前駆ポリマーにおいて、Mnは42,000、ポリスチレン含有
量Sが25wt%、共役ジエンの1,2−結合量Vが31wt%で
あった。この前駆ポリマーを水素添加し、ヒンダードア
ミン系安定剤0.5wt%を加えペレットを作り原料(水素
添加ブロック共重合体)とした。
得られた水素添加ブロック共重合体ペレット(溶融粘
度380poise)を押出機に投入して加熱溶融(押出機温度
295℃)後、1mmピッチで200個一列に並んだ0.4mmφのオ
リフィスを有するノズルに送り込み、オリフィスを通じ
て高速流体中に吐出させた。この時のオリフィス当りの
共重合体の吐出量は0.15g/分であった。
前記流体として、385℃に調節した過熱水蒸気を用い
て、この過熱水蒸気を2.5kg/cm2Gの圧力でメルトブロー
用ノズルのガススリットから溶融した共重合体に向けて
噴射し、それによって溶融共重合体をけん引細化する。
次いで細化した繊維を移動するネットコンベア(ダイ−
コレクター間距離15cm)上に捕集して、ウェブを得る。
得られたウェブは極めて良好な伸縮性を有しソフトな風
合の不織布であった。得られた不織布の物性結果を表1
に示す。
次に、得られた不織布を繊維径が18μmで目付が30g/
m2のポリプロピレンのスパンボンド不織布に積層し熱エ
ンボス加工(130℃、10kg/cm)を行った。エンボス模様
はピン(小丸)状であった。得られた複合不織布の物性
を表2に示す。極めてソフトであり、しかも強力、伸度
に優れたものであった。
比較例1,2 Shell Chemical社製、Kraton G−1657X(A−B−
A′型;Mn 6.4万、S14重量%、V33重量%)及び、G−1
652(A−B−A′型;Mn 5.0万、S29重量%、V33重量
%)を原料として用いた以外は、実施例1と同様の条件
で試験を行った。しかし両方とも糸がつながらず、不織
布サンプルは得られなかった。ポリマー構成、ポリマー
物性、および不織布物性を本発明の実施例1と対比して
表1に示す。
Kraton G−1657XとKraton G−1652のサンプルが得ら
れなかった一因として、溶融粘度がかなり高いことがあ
げられる。
実施例2〜6 Mn 4.9万、S29重量%、V36重量%の前駆ポリマー(ブ
タジエン−スチレン−ブタジエン−スチレン型ブロック
共重合体)を水素添加して水素添加ブロック共重合体を
作り、次いでチップ化した。Mn 50,000(MFR80)のポリ
プロピレンチップの添加量を種々かえてチップブレンド
法で二重のチップを混合して原料とした。ブレンドポリ
マーのオリフィス当りの吐出量を0.20g/分、押出機温度
を290℃、過熱水蒸気の温度を380℃、圧力を3.0kg/cm
2G、ダイ−コレクター間距離30cmとする以外は、実施例
1と同様の条件で目付30g/m2の不織布を作りその物性を
調べた。得られた結果を表3に示す。この不織布を構成
する繊維の平均繊維径は極めて細く、また不織布は極め
てソフトな風合を有していた。
次に、繊維径10μmのポリエチレンテレフタレート短
繊維50%、繊維径11μmのレーヨン短繊維50%が混合さ
れたウェブを水流交絡して得られた目付30g/m2の不織布
2枚の間に、前記の極細繊維不織布1枚をはさんで積層
し、実施例1と同様に熱エンボス加工を行った。得られ
た複合シートの物性を表3に示す。この複合シートは強
力、伸度、風合、フィルター性能に優れていることが判
る。
実施例7 実施例3と同様にして得た目付20g/m2の極細繊維不織
布に19kVの電圧をかけてコロナ放電によりエレクトレッ
ト加工を行った。この不織布を繊維径18μmのポリプロ
ピレン繊維からなる目付20g/m2のスパンボンド不織布2
枚の間にはさみ積層した。この積層シートを実施例1と
同様にして小丸模様で熱エンボス結合を行った。
得られた複合シートの目付は61g/m2、厚み0.38mm、引
張り強度は2,062g/cm、伸度70%、引裂強度330g、剛軟
度4.8cm、耐水圧380mmH2O、捕集効率72%、圧力損失0.9
0mmH2Oであった。また、この複合シートの表面の耐摩耗
性も良好であった。
この複合シートを10日間(240時間)もみ処理を行っ
たが、ピンホールは全く発生しなかった。
比較例3 メルトブロー法により平均繊維径3.0μmのポリプロ
ピレン繊維からなる目付20g/m2のウェブを作成した。こ
のウェブ1枚を繊維径18μmで目付が20g/m2のポリプロ
ピレンのスパンボンド不織布2枚の間にはさみ積層し、
実施例1と同様に熱エンボス加工を行い複合シートを得
た。
得られた複合シートの目付は60g/m2、厚み0.40mm、引
張り強度1,962g/cm、伸度22%、引張強力195g、剛軟度1
0cmであった。
この複合シートは著しく硬く、ペーパーライクな風合
であった。また、この複合シートを10日間(240時間)
もみ処理を行ったところ熱結合部分にピンポールが発生
していた。
実施例8 実施例3と同様にして得た目付20g/m2の極細繊維不織
布を、繊維径22μmのポリエチレン繊維からなる目付20
g/m2のスパンボンド不織布2枚の間にはさみ積層した。
この積層シートを小丸模様で超音波結合を行った。
得られた複合シートの目付61g/m2、厚み0.34mm、引張
り強度651g/cm、伸度32%、引裂強力550g、剛軟度4.4c
m、耐水圧360mmH2O、捕集効率42%、圧力損失1.1mmH2O
であった。この複合シートは風合がソフトであり、しか
も表面摩耗性、耐久性にも優れていた。
実施例9 実施例1と同様にして水添ブロック共重合体繊維の目
付50g/m2の不織布を得た。この不織布を繊維径が14μm
のポリエチレンテレフタレート繊維からなる目付35g/m2
の天竺編物(28ゲージ)2枚の間にはさみ積層し、実施
例1と同様にして熱結合した。
得られた積層シートの目付120g/m2、引張強度950g/c
m、伸度128%、伸長回復率98%であり伸縮性を有してい
た。また、この積層シートの剛軟度は3.0cmと著しく柔
軟であった。
比較例4 実施例1と同様にして合成した水素添加ブロック共重
合体ペレットをメルトブロー法により紡糸して、目付30
g/m2、平均繊維径9μmのウェブを得た。この時のメル
トブロー条件は、実施例1のうちの共重合体のオリフィ
ス当りの吐出量を0.25g/分とした変更だけを行った。こ
のウェブを、繊維径10μmのポリエチレンテレフタレー
ト短繊維50%、繊維径11μmのレーヨン短繊維50%が混
合されたウェブを水流交絡して得られた目付30g/m2の不
織布2枚の間にはさんで積層し、実施例1と同様に熱エ
ンボス加工を行った。
この複合シート(目付92g/m2)の捕集効率は12%と著
しく低いものであった。
比較例5 実施例3と同様にして得た目付20g/m2の極細繊維不織
布を、メルトブロー法で得た平均繊維径8μmのポリプ
ロピレンの連続繊維からなる目付20g/m2のウェブ2枚の
間にはさみ積層し、実施例1と同様に熱エンボス加工を
行い複合シートを得た。
得られた複合シートの目付は62g/m2、厚み0.43mm、引
張り強度480g/cm、伸度85%であり、この複合シートの
表面の耐摩耗性も不良であった。
また、この複合シートを10日間(240時間)もみ処理
を行った結果、多層の熱結合部分に小さな裂けがあっ
た。
実施例10 リチウムアルキル触媒を用いる逐次的なブロック共重
合を行うことによって、ブタジンエン−スチレン−ブタ
ジエン−スチレン−ブタジエン型ブロック共重合体(組
成比wt%10−15−50−15−10)を前駆ポリマーとして合
成した。この前駆ポリマー(Mn 3.8万S30wt%、V44wt
%)を水素添加し、ヒンダードアミン系安定剤0.5wt%
を加えペレットを作り原料とした。
この水素添加ブロック共重合体ペレットを実施例1と
同様にメルトブローして、目付40g/m2、平均繊維系7.5
μmの伸縮性ウェブを得た。このウェブを、繊維系が14
μmのポリエチレンテレフタレートの仮撚加工糸(75デ
ニール/36フィラメント、追撚数1,000回/m)の織物(平
織;目付55g/m2)と重ね合せ、多数のノズルから噴射さ
れた水の高速水流をシートの表裏に隅なく噴き当てて、
交絡一体化させた。
得られた交絡シート(複合シート)は、目付96g/m2
張り強度9,300g/cm、伸度68%、引裂き強力1,860g、剛
軟度6.2cm、捕集効率30%、圧力損失0.54mmH2O、耐光性
4〜5級、耐水圧280mmH2Oと優れたものであった。
〔発明の効果〕
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAを
少なくとも2個、共役ジエン化合物を主体とする重合体
ブロックBを少なくとも2個有し、かつ、少なくとも1
個の重合体ブロックBがポリマー鎖の末端にあるブロッ
ク共重合体を水素添加して得られた水素添加ブロック共
重合体を少なくともその成分の一部に含む繊維からなる
ため、不織布の柔軟性、ドレープ性、フィット性並びに
強度、伸度、耐候性、耐光性が著しく優れている。ま
た、伸度が高く耐久性にも優れている。しかも、この繊
維の平均繊維径が8.0μm以下の極細繊維であるため、
前記柔軟性が更に高まると同時に、フィルタ性能が高ま
り、防塵性、バクテリアバリアー性と通気性を合せもっ
ており、耐水圧にも優れている。更に、平均繊維径が10
μm以上の繊維からなる不織布または編織布と積層さ
れ、結合一体化されているため、引張り強力、引裂強
力、表面摩耗強力が高まると同時に、フィルター性能も
向上する効果がある。
本発明の複合シートは、前記した特徴により、防塵服
(防護服)、サージカルガウン、ドレープ類、各種ラッ
プ類、包帯、貼布材、おしめ、生理用品、テープ、バン
ド類や使い捨て衣料等巾広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はメルトブロー法によって不織布を製造する装置
の一例を示す斜視図である。 第2図はメルトブロー法で用いるダイの一例を示す断面
図である。 第3図はポリマーの粘着性パラメータ(T=V/S)と不
織布の剥離強度の関係を示すグラフである。 1……押出機、2……メルトブローダイ、 3……ガス用パイプ、4……極細繊維群、 5……ランダムウェブ、6……駆動ローラー、 7……スクリーン、8……カレンダーロール、 9……ノズル、10……リップ、 11……溶融ポリマー流路、 12……紡糸オリフィス、13……ガス導入口、 14……リップガスヘッダー、 15……ガススリット。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D04H 1/00 - 1/94

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブ
    ロックAを少なくとも2個、共役ジエン化合物を主体と
    する重合体ブロックBを少なくとも2個有し、かつ、少
    なくとも1個の重合体ブロックBがポリマー鎖の末端に
    あるブロック共重合体を水素添加して得られた水素添加
    ブロック共重合体を少なくともその成分の一部に含む平
    均繊維径が8.0μm以下の極細繊維から成る不織布X
    と、該不織布Xの少なくとも片側面に積層され且つ結合
    された、平均繊維径が10μm以上の繊維から成る不織
    布、または編織布Yから成る複合シート。
  2. 【請求項2】ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブ
    ロックAを少なくとも2個、共役ジエン化合物を主体と
    する重合体ブロックBを少なくとも2個有し、かつ、少
    なくとも1個の重合体ブロックBがポリマー鎖の末端に
    あるブロック共重合体を水素添加して得られた水素添加
    ブロック共重合体とポリオレフィンから成る平均繊維径
    が8.0μm以下の極細繊維から成る不織布Zと、該不織
    布Zの少なくとも片側面に積層され、且つ結合された平
    均繊維径が10μm以上の繊維から成る不織布、または編
    織布Yから成る複合シート。
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