JP2799735B2 - アシルアミノ酸遊離酵素様ポリペプチド - Google Patents

アシルアミノ酸遊離酵素様ポリペプチド

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はアシルアミノ酸遊離酵素のアミノ酸配列を有
するポリペプチド及びそのDNA配列に関する。
〔従来の技術〕
アシルアミノ酸遊離酵素は、N末端がアシル化されて
いるタンパク質・ペプチドよりアシルアミノ酸を遊離す
るタンパク質加水分解酵素である。各種動物組織に広く
存在しており、細胞内でのタンパク質の翻訳後修飾の最
も一般的なN末端アセチル化を起こすNα−アセチルト
ランスフェラーゼと共に重要な役割を演じているのでは
ないかと考えられている。
タンパク質N末端アセチル化は、動物、植物及びその
ウイルスに広く見られる現像である。
更に、数種の真核細胞中では半数以上の細胞内可溶性
タンパク質のN末端がアセチル化を受けていることが知
られている。例えば、マウスL細胞可溶性タンパク質の
80%がアセチル化を受けていることがJ.L.ブラウン(J.
L.Brown)らによって報告されている〔ジャーナル オ
ブ バイオロジカル ケミストミー(Journal of Biolo
gical Chemistry)第254巻、第1447頁(1979)〕。ま
た、アセチル化を受けているタンパク質のN末端アミノ
酸には特異性があり、グリシン、アラニン、セリン、メ
チオニン、アスパラギン酸がN末端に来るとアセチル化
が起き易いことが知られている〔メソッズ イン エン
ザイモロジー(Methods in Enzymology)第106巻、第16
5頁(1984)〕。
このように、N末端がアセチル化されているタンパク
質は割合として多く、また末端アミノ酸の種類も多い。
このN末端アセチル化の生化学的意義について数種の説
が出されている。1つはN末端アセチル化という翻訳後
修飾によって、タンパク質加水分解酵素から細胞内タン
パク質を保護するするという説であり、タンパク質の生
体内での代謝との関係が考えられている。また、分泌性
タンパク質が生体膜を通り抜けるのにN末端アセチル化
が関与しているという報告もあるが、この両説は共にま
だ未知の部分が多い。
これらN末端アセチル化の生化学的意義の研究にアシ
ルアミノ酸遊離酵素は効果的である。すなわち、N末端
アセチル化を研究するためには、タンパク質・ヘプチド
中のアセチル化されているアミノ酸残基を微量で同定し
なければならない。このためには、Nα−アセチル基、
又はNα−アセチルアミノ酸を遊離させることが必要で
あるが、いまだ、Nα−アセチル化されたタンパク質か
らアセチル基を遊離する方法は見つかっていない。しか
し、アセチルアミノ酸を遊離する方法は知られており、
アシルアミノ酸遊離酵素がこの目的達成に供されてい
る。その方法は、まずN末端がアシル化を受けているタ
ンパク質を特異性の高いタンパク質加水分解酵素で切断
し、アシルアミノ酸遊離酵素が作用し易い短いペプチド
に分解する。それからアシルアミノ酸遊離酵素を作用さ
せてアシルアミノ酸を遊離させ、残ったペプチドは2番
目のアシノ酸からエドマン分解法により、アミノ酸配列
分析を行い、アシルアミノ酸はマススペクトル分析、逆
相HPLCによる分析等で同定するというものである。
このようにアシルアミノ酸遊離酵素は、N末端アシル
化タンパク質の一次構造解析に極めて有効な手段であ
る。更にアシルアミノ酸遊離酵素をコードするDNA配列
は、アシルアミノ酸遊離酵素の生体内での発現を調べる
のに有用である。
〔発明が解決しようとする課題〕
アシルアミノ酸遊離酵素は、動物組織に広く分布し、
ラット肝臓や脳、ブタ肝臓、ウシ肝臓、ヒツジ赤血球、
ヒト赤血球、ヒト胎盤からの精製が報告されている〔ジ
ャーナル オブ バイオケミストリー(Journal of Bio
chemistry)第77巻、第89頁(1975)、ジャーナル オ
ブ ニューロケミストリー(Journal of Neurochmistr
y)第41巻、第201頁(1983)、ジャーナル オブ バイ
オケミストリー第93巻、第1217頁(1983)、ジャーナル
オブ バイオロジカル ケミストリー第253巻、第501
2頁(1978)、ジャーナル オブ バイオロジカル ケ
ミストリー第247巻、第2217頁(1972)、バイオケミカ
ル アンド バイオフィジカル リサーチ コミュニケ
ーションズ(Biochemical and Bophysical Research
Communications)第126巻、第933頁(1985)、ユーロピ
アン ジャーナル オブ バイオケミストリー(Europi
an Journal of Biochemistry)第97巻、第205頁(197
9)〕。しかし、その遺伝子構造やアミノ酸配列は依然
として不明である。
本発明の目的は、アシルアミノ酸遊離酵素の遺伝子構
造とアミノ酸配列を明らかにし、遺伝子工学的に本酵素
を製造する可能性を明らかにすることにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は第1図で
表されるアミノ酸配列を有していることを特徴とするア
シルアミノ酸遊離酵素様ポリペプチドに関する。
また、本発明の第2の発明は第1の発明のポリペプチ
ドをコードする塩基配列に関する。
本発明者らは、ブタm−RNAよりcDNAライブラリーを
作製し、そこから、ブタアシルアミノ酸遊離酵素をコー
ドするcDNAクローンを選び出し、その塩基配列分析か
ら、ブタアシルアミノ酸遊離酸素のアミノ酸配列を決定
し、本発明を完成させた。
以下本発明を具体的に説明する。
ブタアシルアミノ酸遊離酵素をコードするcDNAのクロ
ーニングの方法は公知の方法が用いられる。例えば、ブ
タアシルアミノ酸遊離酵素が分布する肝臓や脳等から、
ポリ(A)を含むRNAを抽出し、これをオリゴ(dT)を
結合させたセルロース担体等で精製する。これをテンプ
レート(鋳型)として逆転写酵素を作用させてcDNA合成
を行い、岡山−バーグ法あるいはガブラー−ホフマン法
(Gubler−Hoffmann法)等の方法により、プラスミドや
ファージベクターに接続して、宿主に導入し、cDNAライ
ブラリーを作製する。このようなライブラリーは、市販
もされており、例えばクローンテック社から購入するこ
ともできる。既にcDNAの一部が得られている場合には、
プライマー伸長法によるcDNAライブラリーの作製も行わ
れる。この方法は5′側のcDNAをクローニングするのに
特に有効である。
cDNAライブラリーから目的のブタアシルアミノ酸遊離
酵素をコードするcDNAクローンをスクリーニングするた
めには、まずブタアシルアミノ酸遊離酵素の部分アミノ
酸配列を決定し、それから推定した合成DNAプローブを
作成しなければならない。部分アミノ酸配列を決定する
ためには、まず精製ブタアシルアミノ酸遊離酵素に特異
性の高いタンパク質加水分解酵素を作用させ加水分解
し、ペプチドを逆相HPLCを用いて分離精製する。これを
エドマン分解法によりアミノ酸配列分析を行い、決定す
るのが効果的である。この部分アミノ酸配列から合成DA
Nプローブをデザインするには2種類の方法がある。一
つは考えられる組合せの配列をすべて合成してゆく方法
である。もう一つは、今まで調べられてきたコドンの使
用頻度の高いものを用いて長いDNAを合成して使う方法
である。
DNAプローブでライブラリーをスクリーニングする手
段としては、まずライブラリーをプレート上で増幅さ
せ、生育したコロニー又はプラークをニトロセルロース
やナイロンのフィルターに移し取り、変性処理によりDN
Aをフィルターに固定する。このフィルターをあらかじ
32P等で標識したDNAプローブを含む溶液中でインキュ
ベートし、フィルター上のDNAと、プローブDNAとのハイ
ブリッドを形成させる(以下、この操作をハイブリダイ
ゼーションと略す)。インキュベーションの温度は、用
いるプローブのTm(融解温度)を目安として設定する。
ハイブリダイゼーション後、非特異的吸着を洗い流し、
オートラジオグラフィーにより、プローブとハイブリッ
ドを形成したクローンを同定する。この操作を再度行っ
てクローンを単離し、次の分析を行う。
組換え体が大腸菌の場合は、試験管等で少量培養を行
い、プラスミドを常法によって抽出、制限酵素による切
断反応を行い、アガロース又はアクリルアミドゲル電気
泳動に付して、クローン化された挿入断片の生成を調べ
る。更にその泳動パターンをニトロセルロースやナイロ
ン膜に移し取り、前述の方法によりハイブリダイゼーシ
ョンを行って挿入断片がDNAプローブとハイブリッドを
形成するか否かを調べる。最終的には挿入断片の塩基配
列を公知の方法により決定する。組換え体がファージの
場合も基本的には同様のステップでクローンの分析を行
う。あらかじめ培養された宿主大腸菌にクローン化ファ
ージを感染させ、その溶菌液からファージDNAを調製す
る。ファージDNAの具体的な調製法に関しては、例えば
続生化学実験講座1「遺伝子研究法II」の第100頁(東
京化学同人出版)に記載されている。ファージDNAを制
限酵素で切断してゲル電気泳動に付し、挿入断片の確認
を行い、更に、プローブDANとハイブリダイズすること
を調べる。最終的には塩基配列を決定することにより、
クローンの確認を行う。
決定された塩基配列を、ブタアシルアミノ酸遊離酵素
のN末端、C末端分析や、アミノ酸組成分析、分子量等
と比較してその遺伝子構造及びアミノ酸配列を知ること
ができる。
以上述べてきたごとく、本発明により、ブタアシルア
ミノ酸遊離酵素の一次構造及び遺伝子構造が明らかにな
った。
〔実施例〕
次に本発明の実施例を示すが、これらは本発明を限定
するものではない。
実施例1 ブタアシルアミノ酸遊離酵素cDNAクローニン
グ (1−1) cDNAライブラリーからのスクリーニング <mRNAの抽出、精製・cDNAライブラリーの調製> と殺直後の正常ブタ肝臓を液体窒素で凍結し、−70℃
で保存していたもの4gよりアマシャム社(英国)製RNA
抽出キット(コード番号RPN.1264)を用いてRNAの抽出
を行い、3.6mgの全RNAを得た。これをオリゴ(dT)セル
ロースカラムに通して130μgのポリ(A)RNAを得た。
このポリ(A)RNA8μgよりアマシャム社製cDNa合成キ
ット(コード番号RPN.1256)を使って、オリゴ(dT)プ
ライマーによりcDNAを合成した。次に同じくアマシャム
社製cDNAクローニングシステム・λgt10(コード番号PR
N.1257)を使って、無細胞系で、cDNAをλgt10のEcoR I
サイトに組込んだものを、ラムダーファージにパッケー
ジングした。ただし、パッケージには、ストラテジーン
社(米国)のギガパックゴールド(GIGAPACK GOLD)を
用いた。
<ポジティブクローンの同定、単離> 前記cDNAライブラリーの宿主菌としてC600Hfl株を用
い、14cm×10cmの角シャーレ20枚に、1枚当り約20,000
個のプラークを形成させた。すなわち4mg/mlのマルトー
スを含むL培地でC600Hflを37℃で一晩培養した培養液
0.2mlに、ファージ液0.1mlを混ぜ37℃で15分間保温し
た。これに軟寒天(L培地に終濃度0.6%となるように
アガロースを加え、オートクレーブで処理した後、50℃
に保ったもの)8mlを加え、L−プレート上に広げ、固
化後37℃で10時間程度保温してファージのプラークを形
成させた(以下、この操作をプレーティングと略す)。
次にこのプレートより2枚のハイブリダイゼーション
用フィルターを調製した。すなわち、プレート表面にア
マシャム社製ナイロン膜〔商品名ハイボンド(Hybond−
N)〕を30秒間接触させ、これを0.5M NaOH、1.5M NaCl
の溶液に浸したロ紙上で5分間(変性)、0.5Mトリス
(Tris)−HCl緩衝液(pH7.0)、1.5M NaClの溶液に浸
したロ紙上で5分間(中和)処理した後、2×SSC〔NaC
l 17.53g、クエン酸ナトリウム8.82gを1の水に溶か
したもの〕でリンスし、ロ紙上で乾燥させた(以下この
処理をフィルター処理と略す)。2枚目のフィルター処
理は、プレートとナイロン膜の接触時間を2分間として
行った。UVランプで5分間このフィルターを照射してDN
Aを固定化した。
ハイブリダイゼーションのプローブとしては、アシル
アミノ酸遊離酵素の部分アミノ酸配列より推定した110m
erの合成DNAを用いた。部分アミノ酸配列は、精製され
たブタ肝臓アシルアミノ酸遊離酵素をタンパク質加水分
解酵素アクロモバクタープロテアーゼI消化後HPLCで分
取し、気相式ヘプチドシークエンサーで決定した。合成
DNAは、R.ラセ(r.Lathe)の方法〔文献:ジャーナル
オブ モレキュラー バイオロジー(J.Mol.Biol.)第1
83巻、第1〜12頁(1985)〕によりデザインした。この
合成DNA225ngを宝酒造社製メガラベルキット(コード番
号6070)を用いて32Pで標識し、1.8×108cpm/μgの比
活性のプローグを得た。このプローグの全量と上記調製
したフィルターを用い、6×SSC、1%SDS100μg/mlの
ニシン精子DNA、5×デンハルト(Denhardt)〔ウシ血
清アルブミン、ポリビニルピロリドン、フィコールをそ
れぞれ0.1%の濃度で含む〕を含む約100mlの溶液中で65
℃で一晩ハイブリダイゼーションを行った。次に室温の
6×SSC中で10分間フィルターを洗浄した。更に室温の
2×SSC中で10分間を2回洗浄した後、40℃の0.2×SSC
中で30分間を2回洗浄した。フィルターをロ紙上に移し
余分な水分を除いた後、ワットマン3MMロ紙にはりつ
け、増感紙を当てて一晩−70℃でオートラジオグラフを
行った。その結果合計で5個のポジティブシグナルを得
た。
これらのシグナルに相当する位置のプラークを寒天ご
と0.2mlのSM溶液〔NaCl 5.8g、MgSO4・7H2O 2g、1Mトリ
ス−HCl緩衝液(pH 7.5)50ml、2%ゼラチン5mlを水に
溶かし全量を1とする〕中に回収、懸濁し、適度に希
釈してプレーティングし(約300プラーク/φ9cm丸形シ
ャーレ)上記と同様の操作を行った(以下、2次スクリ
ーニングと略す)。その結果、全クローンに関してシン
グルプラークを単離することができた。これらのクロー
ンをλAARE419、λAARE450、λAARE451、λAARE452、λ
AARE453と命名した。
<λDNAの調製> クローン化できたファージを宿主菌として大腸菌L87
株を用いて液体培養(遺伝子研究法II、第100頁、東京
化学同人出版)を行った。これによって40mlの培養液か
ら調製し、約40μgのλDNAを得た。
<挿入断片の同定と抽出精製> 調製した上記DNA20μgを100μ 1×EcoR I緩衝液
(組成は宝酒造・遺伝子工学用試薬カタログ記載)中12
0ユニットのEcoR Iと共に37℃1.5時間保温し、更に終濃
度50μg/mlとなるようにR NaseAを加え10分間保温し
た。この反応液中から5μを取出し、1μの6倍濃
縮電気泳動用緩衝液〔0.25%ブロモフェノールブルー、
0.25%キシレンシアノール、30%グリセロール、以下、
6×EP緩衝液と略す〕を加え、1.0%アガロースゲルで
電気泳動し挿入断片を同定した。その結果、以下のよう
な大きさの弾片が挿入されていることが判明した。λ
AARE419−1.9kb.p.、λAARE450−1.1kb.p.、λAARE451
−1.3kb.p.、λAARE452−1.8kb.p.、λAARE453−0.6kb.
p. 次にEcoR Iを消化した残りの反応液に20μの6×EP
緩衝液を加え、1.0%アガロースゲルで電気泳動した。
泳動後ゲルを1μg/mlをエチジウムブロマイド溶液で10
分間染色した後、紫外線照射下で目的の挿入断片を含む
部分をゲルから切出した。これを電気抽出用緩衝液(0.
004M トリス−酢酸、0.1mM EDTA pH8.0、以下、EE緩
衝液と略す)を満たした透析チューブに挿入し、外液も
同じ溶液を満たし、17V/cmで20分間通電した。透析チュ
ーブからゲルを静かに抜き出した後、内液をよくかくは
んして取出した。このDNA溶液に、等容のフェノール/
クロロホルム混液を加えかくはんし、10,000rpmで5分
間遠心した後上層を回収した(以下、フェノール/クロ
ロホルム抽出と略す)。上層に1/10容の3M酢酸ナトリウ
ム溶液と2倍量のエタノールを加えDNAを沈殿させた
(以下、エタノール沈殿と略す)。−70℃に15分放置し
た後、10,000rpmで10分間遠心分離し、沈殿を80%エタ
ノールでリンスした後減圧乾燥させ20μTE緩衝液〔10
mM トリス−HCl pH7.5、0.1mM EDTA〕に溶解した。
<挿入断片の制限酵素認識配列の同定> 得られた各クローンの挿入断片上にどのような制限酵
素サイトがあるかを調べるために、まず一番長い、λ
AARE419の挿入断片10ngを、M13mp18のポリリンカーシー
クエンス内に認識配列が存在する制限酵素と、その他数
種の6塩基認識の制限酵素で消化し、電気泳動で切断で
パターンを解析した。その結果、Sac I、Pst I、Sca I
の認識配列が存在することが判明した。
次に1kb.p.以上の断片をもつλAARE450〜452の3クロ
ーン各10ngをSac I、Pst I、Sca Iの制限酵素単独で消
化し、λAARE419の挿入断片とどのように重なっている
かを調べた。
<挿入断片の塩基配列決定> λAARE419の挿入断片DNA溶液1μと、M13mp18(宝
酒造)のRFDNAをEcoR I消化したもの50ngを、ライゲー
ションキット(宝酒造コード番号6021)を用いてライゲ
ーションを行った。このライゲーション反応液の1/5量
を用いて大腸菌JM109を形質転換し、40μg/mlの濃度の
X−Gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−
β−D−ガラクトシド)と20μg/mlの濃度のIPTG(イソ
プロピル−β−D−チオガラクトシド)を含む軟寒天
に、JM109をL培地で一晩培養した培養液0.2mlと共に混
ぜL−プレートにまいた。このプレートを37℃で一晩保
温し、形成した白いプラークを選ぶことによって、断片
が挿入されている組換え体を得た。同様にしてλAARE45
0、451、452の断片については、M13mp19(宝酒造)に組
込んだ組換え体を得た。各クローンをMAARE419、450、4
51、452と命名した。
得られた組換え体各12クローンのファージをプラーク
からとり、JM109株の一晩培養液をL培地で3/1000に希
釈したもの5mlにうえることにより感染させ、37℃で6
時間振とう培養した。これを9,000rpmで遠心分離し、菌
体の沈殿からアルカリ溶菌法〔文献:1982年、コールド
スプリング ハーバーラボラトリー発行、T.マニアス
ティス(T.Maniastis)ほか著、モレキュラー・クロー
ニング、ア・ラボラトリー・マニュアル(Molecular Cl
oning A Laboratory Manual)、第368頁〕によってRFDN
Aを調製し、30μのTE緩衝液に溶解した。このDNA溶液
3μを12ユニットのEcoR Iで37℃1時間酵素消化し、
50μg/mlとなるようにR NaseAを加え、37℃10分間保温
した。6×EP緩衝液を加え、1%アガロースゲルで電気
泳動し、切断パターンから各挿入断片が入っていること
を確認した。
次に挿入弾片の方向を決定するために、各RFDNAをそ
の挿入断片に認識配列がある制限酵素で消化した。すな
わちMAARE419はSaC I、MAARE450はSca I、Hinc II、M
AARE451はSca I、Pst I、MAARE452はSca I、Hinc II消
化を行い、1%アガロースゲルの電気泳動によって方向
を決定し、各断片について逆向きに挿入断片が入ったM1
3のクローンを得た。そのクローンをそれぞれ、MAARE41
9−3、MAARE419−4、MAARE450−1、MAARE450−2、M
AARE451−1、MAARE451−3、MAARE452−1、MAARE452
−2と命名した。
次に一番長い挿入断片であるλAARE419の断片の全塩
基配列を決定するために、タカラ(TaKaRa)キロシーク
エンス用デレーションキット(宝酒造)を用いMAARE419
−3、MAARE419−4、2種類の向きのクローンについ
て、シークエンス用プライマーアニーリング位置の側か
ら挿入断片を分解してゆき、いろいろな大きさの挿入断
片を持つ誘導体を作製した(以後、この操作をデレーシ
ョンと略す)。MAARE419−3より誘導したクローンをM
AARE419F1−28、F101〜124、MAARE419−4より誘導した
クローンをMAARE419R1〜28、R101〜124と命名した。
上記誘導体クローンの中から適当なものを、ジデオキ
シ法によってDNAシークエンジングを行って、λAARE419
の挿入断片の全塩基配列とλAARE450〜452の挿入断片の
両端の塩基配列を決定した。その結果を第3図に示す。
すなわち第3図はブタアシルアミノ酸遊離酵素cDNAの制
限酵素地図及び得られたクローンの位置を示す図であ
る。
(1−2) プライマー伸長法によるcDNAクローニング 次に上記λAARE419の挿入断片ではカバーされていな
い構造遺伝子の一部をカバーするクローンを得るため、
mRNAのプライマー伸長法によるcDNAクローニングを行っ
た。
<ポジティブクローンの同定単離> プライマーとして、λAARE419の挿入断片の5′側よ
り405−412の位置と506−522の位置に存在する塩基配列
に相補的な2種類の17b.p.合成DNAP4,P5の混合物を用い
た。前述のようにして得たポリ(A)RNA8μgと、プラ
イマー混合物1.2μgを加え、アマシャム社製cDNA合成
キットを使ってcDNAを合成した。このcDNAを前述のとお
り、λgt10のEcoR Iサイトに組込んだものを、ラムダフ
ァージにパッケージした。このcDNAライブラリーをC600
Hfl株を用いてプレーティングを行い、角シャーレ23枚
に、1枚当り13,000個のファージを形成させ、これをフ
ィルターに移し、フィルター処理を行った。プローブと
して塩基配列の68−92の配列に相補的な26b.p.の合成DN
AP7を用いた。
合成DNAプローブP7の50ngを、メガラベル(宝酒造)
を用いて32Pで標識し、1.7×109cpm/μgの比活性のプ
ローブを得た。このプローブ2.7×107cpmと先に調製し
たフィルターを用い前述のハイブリダイゼーション用緩
衝液40ml中65℃で一晩ハイブリダイゼーションを行っ
た。次に室温の6×SSC中で10分間フィルターを洗浄し
た。更に室温の2×SSC中で30分間を2回洗浄した後、
フィルターをロ紙上に移し余分な水分を除いた後、ワッ
トマン3MMロ紙にはりつけ、増感紙をあてて、一晩−70
℃でオートラジオグラフを行った。その結果2個のポジ
ティブシグナルを得た。この2個のファージに対し2次
スクリーニングを行い、シングルプラークを単離した
(λAARE521、λAARE522と命名した)。
<λDNAの調製と挿入断片の同定> ファージを前述のとおり、液体培養法によって40mlの
培養液より調製し、これから約20μgのDNAを得た。こ
のDAN0.3μgを12ユニットのEcoR Iで37℃2時間酵素消
化し、1.0%アガロースゲルで電気泳動を行ったが、挿
入断片は確認できなかった。そこで0.3μgのλDNAを10
ユニットのBgl II、Hind III単独と、Bgl II、Hind III
両方とで37℃で2時間酵素消化して、1.0%アガロース
ゲルで電気泳動を行った。1μg/mlエチジウムブロマイ
ド溶液に10分間浸し、染色写真撮影後、サザンブロット
法(文献:遺伝子研究法II、第218〜221頁、東京化学同
人)によりアマシャム社製ナイロン膜にDNAを移した。
このフィルターをUVランプで5分間照射してDNAを固定
化し、プラークハイブリダイゼーションの時と同じハイ
ブリダイゼーションを行い、洗浄後オートラジオグラフ
を行った。その結果λAARE521では4kb.p.λAARE522では
2.2kb.p.の断片がポジティブのシグナルを与えた。
<断片の塩基配列の決定> 次にこの断片を得るために、各λDNA15μgを200μ
×Bgl II緩衝液中60ユニットのBgl IIと60ユニットのHi
nd III 50μ/ml R Nase Aと共に37℃2時間保温し
た。この反応液をフェノール/クロロホルム処理を行っ
て各酵素を失活させた後エタノール沈殿を行ってDNAを
回収した。これを100μの1×クレノウフラグメント
緩衝液(組成は酒造、遺伝子工学用試薬カタログ記載)
に溶解し、4ユニットのクレノウフラグメントを加え37
℃で30分間保温してDNAの末端を平滑化した。
この反応液に20μの6×EP緩衝液を加え、1%アガ
ロースゲル電気泳動にかけ、目的のDNA断片を含む部分
を切出し、DNAを電気的に抽出し、約200ngを得た。得ら
れたDNA断片60ngとM13mp18 RFDNA Hinc II消化物50ng
をライゲーションキット(宝酒造)を用いて、ライゲー
ションを行った。このライゲーション反応液5μを用
いてJM109株を形質転換し、前述した方法と同様にして
組換え体クローンを得た。λAARE521の断片より得られ
たそれぞれ逆向きのクローンをMAARE521A−8、MAARE52
1A−15と命名した。λAARE522の断片より得られたクロ
ーンは、一方の向きしか得られなかった。これをMAARE5
22−1と命名した。
これらのクローンについてデレーションを行い、いろ
いろな挿入断片を持つ誘導体を作製した。MAARE521A−
8、MAARE521A−15より誘導した欠失クローンをそれぞ
れMAARE521AF1〜28、F101〜128、MAARE521AR1〜28、R10
1〜128、MAARE522−1より誘導したクローンをMAAREF1
〜42と命名した。これら誘導体クローンの中から適当な
ものをジデオキシ法によってDNAシークエンシングを行
ってλAARE521のBal II Hind III断片とλAARE522Bgl I
II断片の塩基配列を調べた。
実施例(1−1)、及び(1−2)での塩基配列分析
の結果からブタアシルアミノ酸遊酵素構成遺伝子の全塩
基配列及びアミノ酸配列が決定された。その結果を第2
図に示す。すなわち第2図はcDNAの塩基配列分析より得
たアシルアミノ酸遊離酵素の1例の塩基配列及びそれに
対応するアミノ酸配列を示す図である。
〔発明の効果〕
以上の結果から、本発明によりブタアシルアミノ酸遊
離酵素のアミノ酸配列及びそのDNA配列が明らかとな
り、ブタアシルアミノ酸遊離酵素様ポリペプチドを遺伝
子工学的に製造する可能性が明らかになった。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のアシルアミノ酸遊離酵素様ポリペプチ
ドのアミノ酸配列を示す図、第2図はcDNAの塩基配列分
析より得た本発明のアシルアミノ酸遊離酵素の1例の塩
基配列及びそれに対応するアミノ酸配列を示す図、第3
図はブタアシルアミノ酸遊離酵素cDNAの制限酵素地図及
び得られたクローンの位置を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 J.Biochem.77 P.89− 102(1975) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 9/48 C12N 15/57 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG) CA(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】図面の第1図で表されるアミノ酸配列を有
    していることを特徴とするアシルアミノ酸遊離酵素様ポ
    リペプチド。
  2. 【請求項2】請求項1記載のポリペプチドをコードする
    塩基配列。
  3. 【請求項3】請求項2記載の塩基配列が、図面の第2図
    で表されるものである塩基配列。
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