JP2799553B2 - 抗痔疾患剤 - Google Patents
抗痔疾患剤Info
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Description
とする抗痔疾患剤に関するものであり、詳しくは、便秘
を引き起こすなどの特別な副作用がなく、痔に対して優
れた治療効果を有する抗痔疾患剤に関するものである。
門およびその周辺に生ずる病変として痔瘻、内・外痔核
(いぼ痔)、肛門周囲炎(はれ痔)、肛門裂傷(裂痔・
きれ痔)、肛門そう痒(かゆ痔)、脱肛などの多くの疾
患が挙げられる。痔疾患の患者の主訴は、便秘、腫脹、
出血、そう痒、疼痛などである。
る。痔瘻とは、肛門管および周辺に存在する瘻孔のこと
である。一般に、非特異性細菌感染により一次的に発生
したものを言う。殆ど全ての場合、薬剤を使用しても治
癒されず、治癒には原則的に根治手術を行うことが必要
である。
たものを言う。便秘、妊娠、喘息、長時間の座業、飲酒
などの原因で肛門部静脈叢にうっ血を繰り返すことによ
り、次第に痔核が形成される。痔核の発生部位により内
痔核と外痔核がある。臨床症状は、腫瘤、出血、炎症、
疼痛である。症状に応じた薬剤が使用されるが、十分な
効果のない場合、治療には手術が必要となる。
薬などの剤形がある。例えば、坐剤、軟膏には鎮痛・消
炎剤、止血剤、収れん剤、殺菌消毒剤などが配合されて
おり、その主成分は、副腎皮質ホルモン、シコンエキ
ス、ヒドロコルチゾン、塩酸モルヒネ、ロートエキス−
アヘンエキス、タンニン酸、コカイン、ロートエキス−
タンニン等である。内服薬は、主として便通をよくし、
血行正常化、局所炎症に対して効果を期待するものであ
り、主成分はパラフレボン、トリベノシド等である。
薬剤の効果は必ずしも十分でなく、痔疾患に対する有効
な治療薬が少ない。特に、痔瘻では根治手術を原則とす
るなど患者の苦痛は大きい。そこで、痔疾患に対して優
れた治療効果を示す薬剤の開発が待たれていた。本発明
は、斯かる実情に鑑みなされたものであり、その目的
は、従来、手術以外に有効な治療法のなかった痔疾患に
対して、便秘を引き起こすなどの特別な副作用がなく、
優れた治療効果を発現する抗痔疾患剤を提供することに
ある。
的を達成すべく、痔疾患に対する従来の薬剤とは別異の
有効成分について鋭意研究した結果、球形活性炭の経口
投与により、優れた効果が現れることを見い出した。従
来、球形活性炭製剤は、経口解毒剤として使われている
ものの、痔疾患の治療薬としての使用事実は全くない。
斯かる状況からすれば、本発明者らによる上記の知見
は、斬新的な発想に基づく意外な事実であると言える。
ものであり、その要旨は、粒径0.05〜2.0mmの
球形活性炭を有効成分とする抗痔疾患剤に存する。
患剤の有効成分である活性炭としては、医療用に内服使
用し得る粒径が通常0.05〜2.0mm、好ましくは
0.1〜1.0mmの球形活性炭が使用される。粒径が
0.05mm未満の場合は、便秘などの副作用が発生す
ることがあり、2.0mmを超える場合は、服用し難い
だけでなく、目的とする薬理効果も迅速に発現されな
い。
に優れていることが好ましく、市販の比表面積測定装置
による比表面積が500〜2,000m2 /gの球形活
性炭が好ましい。
ば、オガ屑、石炭、ヤシ殻、石油系もしくは石炭系の各
種ピッチ類および/または有機合成高分子を使用するこ
とが出来る。球形活性炭は、原料を造粒し且つ炭化した
後に活性化する方法によって製造される。活性化の方法
としては、水蒸気賦活、薬品賦活、空気賦活または炭酸
ガス賦活などの種々の方法を使用することが出来る。
の造粒球形活性炭、有機合成高分子由来の球形活性炭お
よび石油系炭化水素(石油系ピッチ)由来の球形活性炭
などが挙げられる。球形活性炭は、粉末活性炭に比し、
服用時に飛散せず、しかも、連続使用しても便秘を惹起
しない利点を有し、本発明の抗痔疾患剤の有効成分とし
て好ましい。
ば、タール、ピッチ等のバインダーで炭素質原料を小粒
球形に造粒した後、不活性雰囲気中で600〜1,00
0℃の温度に加熱焼成して炭化し、次いで、賦活する方
法により得られる。賦活方法としては、水蒸気賦活、薬
品賦活、空気賦活、炭酸ガス賦活などの種々の方法を使
用することが出来る。水蒸気賦活は、例えば、水蒸気雰
囲気中で800〜1,100℃の温度に加熱して行われ
る。
ば、特公昭61−1366号公報に開示されている方法
により製造される。具体的には、縮合型または重付加型
の熱硬化性プレポリマーに、硬化剤、硬化触媒、乳化剤
などを混合し、攪拌下水中に乳化させ、室温または加熱
下で攪拌を続けながら反応させる。
攪拌することにより熱硬化性樹脂球状物が出現する。こ
れを不活性雰囲気中で500℃以上の温度に加熱して炭
化し、前記の様に賦活処理をして有機合成高分子由来の
球形活性炭を得る。
形活性炭は、例えば、以下の方法で製造することが出来
る。第一の方法は、例えば、特公昭51−76号公報
(米国特許第3,917,806号明細書)及び特開昭
54−89010号公報(米国特許第4,761,28
4号明細書)に記載された方法であり、流動点50〜3
00℃の石油ピッチ類を溶融状態で小粒球形状とし、酸
素により不融化した後、不活性雰囲気中で600〜1,
000℃の温度に加熱焼成して炭化し、次いで、水蒸気
雰囲気中で850〜1,000℃の温度で賦活する方法
である。雰囲気の選択によっては、炭化賦活を同時に行
うことが出来る。
930号公報(米国特許第4,420,443号明細
書)に記載された方法であり、流動点160℃以上の石
油系ピッチを紐状とし、破砕した後、熱水中に投入して
球状化し、次いで、酸素により不融化した後、上記の第
一の方法と同様な条件下で炭化および賦活する方法であ
る。
の粒径は、通常0.05〜2.0mm、好ましくは0.
1〜1.0mm、比表面積は、通常500〜2,000
m2/g、好ましくは1,000〜2,000m2 /g
の範囲とされる。
て、球形活性炭に高温で酸化・還元処理などを施して得
られた球形活性炭も使用することが出来る。酸化・還元
処理を施す球形活性炭(前駆体)としては、前記した石
油系ピッチ由来の球形活性炭、炭素質粉末の造粒球形活
性炭、有機合成高分子由来の球形活性炭の何れであって
もよいが、石油系ピッチ由来の球形多孔質炭素(球形活
性炭)を原料として製造したものが好ましい。高温での
酸化・還元処理の方法としては特公昭62−11611
号公報(米国特許第4,681,764号明細書)に記
載されている方法を例示することが出来る。
囲気中で高温熱処理を行うことを意味し、酸素源として
は、純粋な酸素、酸化窒素または空気などを使用するこ
とが出来る。また、高温での還元処理とは、炭素に対し
て不活性な雰囲気中で高温熱処理を行うことを意味し、
炭素に対して不活性な雰囲気は、窒素、アルゴン若しく
はヘリウム又はそれらの混合ガスを使用して形成するこ
とが出来る。
容量%、好ましくは3〜10容量%の雰囲気中、通常3
00〜700℃、好ましくは400〜600℃の温度で
行われる。還元処理は、不活性雰囲気中、通常700〜
1,100℃、好ましくは800〜1,000℃の温度
で行われる。
形活性炭)の場合は、酸素含有の雰囲気下、350〜7
00℃の温度で処理し、更に、炭素に対して不活性な雰
囲気下、800〜1,000℃の温度で加熱反応を行う
のが好ましい。以下、石油系炭化水素由来の球形多孔質
炭素(球形活性炭)の場合の高温での酸化・還元処理の
方法を詳しく述べる。
100〜300℃、偏向顕微鏡下の異方性領域が偏在し
ていない石油系炭化水素を原料とし、この原料にベンゼ
ン、ナフタレン等の芳香族炭化水素よりなる添加剤を加
え、得られた石油系炭化水素と添加物の混合物を界面活
性剤を含む100〜180℃の熱水中において、攪拌下
で分散造粒して微小球化する。冷却後、この微小球を分
離し、ヘキサン及びメタノール等の有機溶媒を使用して
微小球体中の芳香族炭化水素を抽出除去する。得られた
微小球体を加熱酸化性気流中において酸化処理(不融化
処理)する。
性を有するガス、例えばスチームまたは炭酸ガス中、8
00〜1,000℃の温度で処理(炭化賦活処理)し
て、球形多孔質炭素(球形活性炭)を得る。得られた球
形多孔質炭素を、酸素含有量0.5〜20容積%の雰囲
気下、350〜700℃の温度で処理(高温酸化処理)
し、更に、炭素に対して不活性な雰囲気下、800〜
1,000℃の温度で加熱(高温還元処理)することに
より、石油系炭化水素由来の球形多孔質炭素に酸化・還
元処理を施した球形活性炭を得ることが出来る。
径は、通常0.05〜2.0mm、好ましくは0.1〜
1.0mm、比表面積は、通常500〜2,000m2
/g、好ましくは1,000〜2,000m2 /g、細
孔半径80Å以下の空隙量は通常0.2〜2.0ml/
gの範囲とされる。
素に酸化・還元処理を施した球形活性炭の医療用途の従
来例としては、「クレメジン(登録商標)」(呉羽化学
工業株式会社製商品)が挙げられる。なお、クレメジン
は,粒径約0.2〜0.4mmの単一球形微粒子状活性
炭を有効成分とする慢性腎不全治療薬である。
口投与したところ、驚くべきことに、優れた治療効果が
認められた。しかも、便秘を引き起こすなどの特別な副
作用も見られなかった。斯かる事実により、球形活性炭
を有効成分として含有する製剤は、抗痔疾患剤として、
特に、抗痔瘻剤として有用であることが判明した。
毒性試験により、LD50が5,000mg/kg以上で
あって、2週間後の解剖の結果、外観および内臓観察に
よっても特記すべき異常所見を認めず、また、特記すべ
き中毒症状も認められず、更に、亜急性毒性試験によ
り、試料の投与に起因する特記すべき異常所見、中毒症
状は認められず、安全性が極めて高いと言える。
よび哺乳動物であり、経口的に投与される。そして、そ
の投与量は、対象(ヒトまたは哺乳動物)、年齢、個人
差、病状などに依存する。例えば、ヒトの場合の1日当
たりの投与量は、球形活性炭量として、通常0.2〜2
0g、好ましくは1〜10gであるが、症状により、投
与量を適宜増減してもよい。また、投与は、1回または
数回に分けて行ってもよい。
し、球形活性炭製剤として投与してもよい。球形活性炭
をそのまま投与する場合、球形活性炭を飲料水などに懸
濁したスラリーとして投与することも出来る。
粒、錠剤、糖衣剤、カプセル剤、スティック剤、分包包
装体または懸濁剤などの任意の剤形を採用することが出
来る。カプセル剤の場合、通常のゼラチンカプセルの
他、必要に応じ、腸溶解性のカプセルを使用することも
出来る。錠剤、糖衣剤にして使用する場合は、体内で元
の球形活性炭に解錠されることが好ましい。
%以上100%以下である。本発明において、好ましい
球形活性炭製剤は、カプセル剤、スティック剤、分包包
装体である。これらの製剤の場合、球形活性炭はそのま
ま容器に封入される。
に球形活性炭200mgを封入することにより調製する
ことが出来る。スティック剤は、例えば、積層フイルム
製スティックに球形活性炭2gを充填した後、ヒートシ
ールすることにより調製することが出来る。
明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。
下の異方性領域が偏在しない石油系炭化水素(水素原子
/炭素原子比=0.55、流動点=220℃)300g
及びナフタレン100gを攪拌機付きオートクレーブに
仕込み、180℃で溶解混合し、ポリビニルアルコール
の0.5%水溶液1,200gを加え、次いで、140
℃で30分間激しく攪拌した後、攪拌下で室温まで冷却
して球形粒子を得た。
器に入れ、ヘキサンでナフタレンを抽出除去し、通風乾
燥した。次いで、流動床を使用して加熱空気を流通し
て、1時間につき25℃の温度で300℃まで昇温し、
更に、300℃に2時間保持して不融化した。続いて、
水蒸気中で900℃まで昇温し、900℃で2時間保持
して炭化賦活を行い、球形多孔質炭素を得た。
度3容積%の雰囲気下で3時間処理した後、窒素雰囲気
下で940℃まで昇温し、940℃で30分間保持して
球形活性炭を得た。すなわち、石油系炭化水素由来の球
形微粒状多孔質炭素を高温にて酸化・還元処理し、粒径
約0.2〜0.4mmの球形微粒子状活性炭を得た。
径が約0.2〜0.4mm、比表面積が1,520m2
/g及び細孔半径80Å以下の空隙量が0.72ml/
gであった。
毒性試験):製造例で得られた球形活性炭のラット(C
pb:WU;ウイスターランダム)への経口投与による
急性毒性試験の結果、毒性試験法ガイドライン(薬審第
118号)による最大投与量(雌雄ラット5,000m
g/kg)においても異常は観察されなかった。
低位筋間痔瘻の患者(女性、52才)に対し、製造例で
得られた球形活性炭(石油系炭化水素由来の球形微粒状
多孔質炭素を高温にて酸化・還元処理して得た、粒径約
0.2〜0.4mmの球形微粒子状活性炭)の200m
g入りカプセルを30カプセル/日の割合で投与したと
ころ、便秘もみられず、2週目には、痔瘻、自覚症状な
どの病態の顕著な改善が認められた。この様な痔瘻の顕
著な改善は、従来の治療においては認められなかったも
のである。
合):下痢、発熱および肛門部痛に加えて低位筋間痔瘻
を発症した患者(男性、21才)に対し、製造例で得ら
れた球形活性炭(石油系炭化水素由来の球形微粒状多孔
質炭素を高温にて酸化・還元処理して得た、粒径約0.
2〜0.4mmの球形微粒子状活性炭)の200mg入
りカプセルを30カプセル/日の割合で投与したとこ
ろ、便秘もみられず、投与開始後10日目に肛門部痛と
下痢の改善を認め、同時に低位筋間痔瘻も改善され、こ
れに伴い、肛門部病変は1/4に縮少していた。経過は
良好であった。
2.0mmの球形活性炭を経口薬として服用することに
より、便秘を引き起こすなどの副作用がなく、痔疾患、
特に痔瘻の治療に優れた効果を有する。
Claims (4)
- 【請求項1】 粒径0.05〜2.0mmの球形活性炭
を有効成分とすることを特徴とする抗痔疾患剤。 - 【請求項2】 球形活性炭の比表面積が500〜2,0
00m2 /gである請求項1に記載の抗痔疾患剤。 - 【請求項3】 球形活性炭が、石油系炭化水素由来の球
形活性炭であり且つ酸化および還元処理の施されたもの
である請求項1に記載の抗痔疾患剤。 - 【請求項4】 抗痔疾患剤が抗痔瘻剤である請求項1〜
3の何れかに記載の抗痔疾患剤。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP7120925A JP2799553B2 (ja) | 1994-05-27 | 1995-04-21 | 抗痔疾患剤 |
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---|---|---|---|
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JP6-138070 | 1994-05-27 | ||
JP7120925A JP2799553B2 (ja) | 1994-05-27 | 1995-04-21 | 抗痔疾患剤 |
Publications (2)
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---|---|
JPH0840919A JPH0840919A (ja) | 1996-02-13 |
JP2799553B2 true JP2799553B2 (ja) | 1998-09-17 |
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ID=26458411
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP7120925A Expired - Lifetime JP2799553B2 (ja) | 1994-05-27 | 1995-04-21 | 抗痔疾患剤 |
Country Status (1)
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TWI643623B (zh) * | 2011-10-03 | 2018-12-11 | 菲瑞茵公司 | 用於瘻管之治療的組成物 |
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CN107617051A (zh) * | 2017-09-28 | 2018-01-23 | 张洪林 | 一种用于痔疮治疗的药物 |
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1995
- 1995-04-21 JP JP7120925A patent/JP2799553B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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