JP2798927B2 - 半導体受光装置及びその製造方法 - Google Patents

半導体受光装置及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) この発明は、改良された半導体受光装置及びその製造
方法に関する。
(従来の技術) 従来の製造方法による半導体受光装置に第5図に示す
構成のものがある。即ち、P形CdHgTe(以下、カドミウ
ム・マーキュリ(Hg)・テルル略してCMTと称する)基
板(1)上にMBE法により厚さ約0.2μmのCdTe層(2)
が形成される。次に、このCdTe層(2)上にInを蒸着し
信号電極(3)とするとともに、熱処理を加えることに
よって前記CMT基板(1)内にN形領域(11)が形成さ
れている。基板(1)の他方の下面には、Au層が蒸着形
成されアース電極(4)を構成する。
以上の構成のもとで、CdTe層(2)側から赤外線を入
射すると、CMT基板(1)内で電子・正孔対が形成さ
れ、これが信号電荷となってPN接合面の空乏層領域を通
過し、信号電極(3)から信号が取出される。しかしな
がら、このような構成の半導体受光装置はInが拡散した
CdTe層(2)もN形領域化されるため、受光装置として
の良好な特性が得られなかった。
(発明が解決しようとする課題) 以上のように、従来の半導体受光装置はCdTe層表面に
PN接合面が現れ、変換効率が損なわれるという問題があ
った。
この発明は、CdTe層に表面保護機能を維持させつつ、
受光装置特性としても良好な機能を持つ半導体受光装置
及びその製造方法を提供することを目的とする。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) この発明は第1に、表面の高さが表面の他の領域より
も低い領域を有する第1導電形CdHgTe基板と、前記表面
の高さが低い領域以外の前記基板上に形成されたCdTe層
と、前記表面の高さが低い領域で厚くその周囲で階段状
に薄く変化する厚さで前記基板表面に形成された第2導
電形CdHgTe層とを備えたことを特徴とする半導体受光装
置を提供する。
この第2導電形CdHgTe層の厚い部分の表面不純物濃度
は、その周囲の薄い部分の表面不純物濃度よりも高いこ
とが好ましい。
また、この発明は第2に、第1導電形CdHgTe基板上に
CdTe層を形成する工程と、前記CdTe層の一部を前記基板
内に達する深さまでエッチング除去する工程と、この工
程によりエッチング除去された領域及びこの領域の周囲
の前記CdTe層に第2導電形不純物をイオン注入すること
により、前記基板表面の前記エッチング除去された領域
で厚くその周囲で階段状に薄く変化する厚さの第2導電
形CdHgTe層を形成する工程とを備えたことを特徴とする
半導体受光装置の製造方法を提供する。
(作 用) この発明の半導体受光装置及びその製造方法によれ
ば、第2導電形CdHgTe層の厚さが、エッチング除去され
た領域、すなわち基板表面の高さが表面の他の領域より
も低い領域で厚く、その周囲で階段状に薄く構成され
る。従って、CdTe層が存在するためにPN接合部が直接表
面に出ることがなく、CdTe層に接した第2導電形CdHgTe
層の面がイオン注入時のダメージが小さく結晶性が損な
われないので、リーク電流が少ない。更にまた、第2導
電形CdHgTe層の厚い部分がエッチング除去された領域に
形成され、その周囲に階段状に薄くなった部分が延長し
て形成されるため、PN接合面積が大きくなり、その結果
量子効率がよくなる効果が得られる。
(実施例) 以下、この発明による半導体受光装置及びその製造方
法の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。第1図
はこの発明による製造方法の一実施例による半導体受光
装置を示す構成断面図である。第1図は赤外線センサー
としての半導体受光装置を示すものである。即ち、製造
手順を説明すれば、Cdの組成成分の割合いをXとして表
したとき、X=約0.2のP形CdXHg1-XTe単結晶基板、即
ちCMT基板(1)上にMOCVD(有機金属化学気相成長)法
により、CdTe層(2)を約0.2μmの薄い厚さにエピタ
キシャル成長により形成する。CdTe層(2)の形成に当
たっては、Cdを原料としてジメチルカドミウムを、Teを
原料としてジエチルテルル又はジイソプロピルテルルを
夫々使用し、キャリアガスとしては水素ガスを用いる。
なお、このときの基板成長温度は340〜390℃とした。
次に、レジストをおき、CdTe層(2)の一部をリソグ
ラフィ技術を用いて直径約700μm,深さ約0.5μmで前記
CMT領域に達する所までエッチング除去する。
そこで一般に、不純物のイオン注入によりPN接合領域
を形成するとき、第2図に示すように、その加速電圧の
増加とともにキャリア数の最大値は深い位置に移動する
ので、加速電圧の制御によってCdTe層(2)のキヤリア
数をそれ程増加させることなく、即ち高抵抗を維持した
状態でCMT層(1)だけを逆導電形に変換可能である。
従って、エッチングで除去後、SiO2マスクにより、そ
の除去領域とは同心円をなした半径約900μmの大きさ
の領域にホウ素イオンを注入し、N形領域(11)を形成
する。このときのイオン注入条件は、加速電圧150KeV,
イオン濃度1×1014cm-2とした。
この結果、第1図に示したように、逆導電形のN形半
導体領域(11)の中央部を厚く、その周囲で薄く構成
し、この薄く構成した半導体層の表面を含んで前記CdTe
層(2)が形成される。
従って、CdTe層に接する逆導電形半導体層のイオン注
入時の結晶破壊少なくリーク電流が少なくなる効果があ
る。また、第2導電形CdHgTe層の厚い部分がエッチング
除去された領域に形成され、その周囲に階段状に薄くな
った部分が延長して形成されるため、PN接合面積が大き
くなり、その結果量子効率がよくなる効果が得られる。
また、N形領域電極即ち信号電極(3)にはIn,P形領
域電極即ちアース電極(4)にはAuを使用した。
この結果、赤外線センサーとしての性能を表すゼロバ
イアス時のダイオード抵抗面積積(RoA)は絶対温度77K
のとのきに100Ω・cm2に、また、分光相対感度は第3図
に示したようになり,そのカットオフ波長は約10.4μm
であった。
この発明方法による半導体受光装置は、上記の構成と
なるので、赤外線センサーのPN接合部分が直接的には大
気にさらされない等の結果、漏れ(リーク)電流が少な
く、量子効率も良く、また、RoA値が大きく良好なもの
が得られる。
第4図はこの発明方法の他の実施例で得られた半導体
受光装置を示す構成断面図である。第3図において、ま
ず、CdTe単結晶基板(5)にMOCVD法により、Xが約0.2
のP形CdXHg1-XTe層即ちCMT基板(1)を気相成長にて
形成する。CMT基板(1)の成長形成には、Cdを原料と
してジメチルカドミウムを、Hgを原料としては金属水銀
を、また、Teを原料としてはジエチルテルル又はジイソ
プロピルテルルを用いた。なお、このときの基板成長温
度は360〜420℃で成長膜厚は約10μmであった。
CMT基板(1)の成長形成に続いて、CdTe層(2)を
積層する。CdTe層(2)の積層には、同様にCdを原料と
してジメチルカドミウムを、Teを原料としてはジエチル
テルル又はジイソプロピルテルルを用いた。なお、この
ときの基板成長温度は340〜390℃で成長膜厚は約0.2μ
mであった。
そこで、CdTe層(2)の一部を同様にリソグラフィ技
術を用いて直径約700μm,深さ約0.5μmでCMT層(1)
に達する所までエッチング除去し、エッチング除去後、
その除去領域とは同心円をなした半径約900μmの大き
さの領域にホウ素イオンを注入し、逆導電形のN形領域
(11)を形成する。このときのイオン注入条件は、加速
電圧150KeV,イオン濃度1×1014cm-2とした。また、信
号電極(3)にはIn,アース電極(4)にはAuを使用し
た。
この結果、赤外線センサーとしての性能を表すゼロバ
イアス時のダイオード抵抗面積積(RoA)は77Kのとのき
に150Ω・cm2、または、分光感度特性によるカットオフ
波長は約9.5μmであり、前記実施例と同様な効果が得
られた。
なお、この発明の装置及び製造方法は上記各実施例に
限るものではなく、例えば、CdTe層(5)の成分の中に
微量の亜鉛を混入させ、CMT層(1)と格子定数の一致
を図り、不整合割合いを0.1%以下とするなど、更に優
れた半導体受光装置を得ることが可能である。
[発明の効果] 以上説明のようにこの発明によれば、第2導電形CdHg
Te層の厚さが、エッチング除去された領域、すなわち基
板表面の高さが表面の他の領域よりも低い領域で厚く、
その周囲で階段状に薄く構成されるため、リーク電流が
少なくなり、また量子効率が良好となる等実用上の効果
大である。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明による半導体受光装置の一実施例を示
す構成図、第2図は第1図に示した装置のキャリア濃度
特性図、第3図は第1図に示した装置の分光特性図、第
4図はこの発明による半導体受光装置の他の実施例を示
す構成図、第5図は従来の半導体受光装置のを示す構成
図である。 (1)……p形CdHgTe基板 (11)……N形領域 (2)……CdTe層 (3)……信号電極 (4)……アース電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 仲山 則夫 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式 会社東芝総合研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−32970(JP,A) 特開 昭57−53633(JP,A) 特開 昭52−79893(JP,A) 特開 昭63−38268(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面の高さが表面の他の領域よりも低い領
    域を有する第1導電形CdHgTe基板と、 前記表面の高さが低い領域以外の前記基板上に形成され
    たCdTe層と、 前記表面の高さが低い領域で厚くその周囲で階段状に薄
    く変化する厚さで前記基板表面に形成された第2導電形
    CdHgTe層と を備えたことを特徴とする半導体受光装置。
  2. 【請求項2】第1導電形CdHgTe基板上にCdTe層を形成す
    る工程と、 前記CdTe層の一部を前記基板内に達する深さまでエッチ
    ング除去する工程と、 この工程によりエッチング除去された領域及びこの領域
    の周囲の前記CdTe層に第2導電形不純物をイオン注入す
    ることにより、前記基板表面の前記エッチング除去され
    た領域で厚くその周囲で階段状に薄く変化する厚さの第
    2導電形CdHgTe層を形成する工程と を備えたことを特徴とする半導体受光装置の製造方法。
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