JP2798366B2 - バックレーキ式自動除塵機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、バックレーキ式自動除
塵（じん）機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、下水処理場の沈砂池、排水機場、
農業用水路、浄水場の沈砂池等の施設においては、水中
の塵芥（じんかい）、夾（きょう）雑物等のし渣（さ）
を除去するために各種の自動除塵機が設けられている。
該自動除塵機においては、水路又は水門に張設されたス
クリーンに沿ってチェーンドライブ式のレーキが配設さ
れ、前記スクリーンに掛かったし渣を前記レーキによっ
て掻（か）き揚げるようにしているが、スクリーンの上
流側においてレーキを上昇させて掻（かき）揚げを開始
すると、該レーキがスクリーンに噛（か）み込まれる領
域において、し渣がスクリーンに押さえ付けられたり挟
み込まれたりして、自動除塵機が停止させられたり、し
渣が水路内に落下したりしてしまう。

【０００３】そこで、し渣がスクリーンに押さえ付けら
れたり挟み込まれたりすることがないように、スクリー
ンの下流側においてレーキを上昇させるようにしたバッ
クレーキ式自動除塵機が提供されている。図２は従来の
バックレーキ式自動除塵機の縦断面図、図３は従来のバ
ックレーキ式自動除塵機の要部拡大図である。

【０００４】図において、５１は複数の平鋼材を並列に
配設することによって形成されたスクリーンであり、該
スクリーン５１は水中において傾斜させて立ち上げら
れ、水面上に突出する直線部５１ａ、該直線部５１ａか
らほぼ１８０〔°〕の角度にわたって延びる反転部５１
ｂ、及び該反転部５１ｂから直線状に斜め下方に延びる
し渣排出部５１ｃから成る。

【０００５】水の流れ方向（矢印Ａ方向）における前記
スクリーン５１より下流側において、スクリーン５１に
沿って主務チェーン５４が傾斜させて配設される。該主
務チェーン５４は、水面上において駆動軸に固定された
第１スプロケット５６と水中において回転自在に配設さ
れた第２スプロケット５８との間に張設され、図示しな
いモータによって図２に示す矢印方向に走行させられ
る。

【０００６】また、前記主務チェーン５４の設定された
複数箇所にレーキ軸受６１が形成され、該レーキ軸受６
１によってレーキ軸６３が回転自在に支持される。そし
て、該レーキ軸６３にレーキ５５が揺動自在に支持され
る。該レーキ５５は複数のレーキ爪７５を有し、該各レ
ーキ爪７５は櫛（くし）状に突出させられる。さらに、
前記レーキ軸６３にレバー７６が固定され、該レバー７
６は、レーキ軸６３に対してガイドローラ８１及びサポ
ートローラ８２を偏心させて支持する。そして、水の流
れ方向における前記スクリーン５１より下流側に、前記
サポートローラ８２を走行させるためのトラック形状の
サポートレール７１が形成される。したがって、レーキ
５５がスクリーン５１に沿って上方に移動する間、レー
キ軸受６１は、図示しない主ローラを介して本体フレー
ム８４とサポートレール７１との間を主務チェーン５４
と共に走行させられ、サポートローラ８２はサポートレ
ール７１を走行させられる。

【０００７】前記サポートレール７１は、スクリーン５
１に沿って傾斜して立ち上がり、水面上に突出して延在
する２個の直線部と、該直線部の端部間を接続する２個
の半円形部から成る。また、サポートレール７１の下方
の半円形部は第２スプロケット５８より低い位置に置か
れる。なお、前記ガイドローラ８１の半円形軌跡におい
て、第１スプロケット５６及び第２スプロケット５８の
外周縁より径方向外方に、それぞれ半月板９１が配設さ
れ、該半月板９１に形成されたガイド溝９２によって前
記ガイドローラ８１が案内される。

【０００８】したがって、前記モータを駆動して主務チ
ェーン５４を走行させると、レーキ５５の各レーキ爪７
５が水中の床面１４の近傍でスクリーン５１をから突き
出され、その後、該スクリーン５１に沿って上昇し、し
渣を掻き揚げる。そして、水面上のスクリーン５１の反
転部で反転してし渣を落下させる。また、主務チェーン
５４の走行に伴って前記レバー７６が揺動させられると
ともに、前記レーキ５５も揺動させられる。

【０００９】この場合、スクリーン５１の下流側から上
流側にレーキ５５を突き出させた後、該レーキ５５を上
昇させるようになっているので、し渣がスクリーン５１
に押さえ付けられたり挟み込まれたりすることはない。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来のバックレーキ式自動除塵機においては、レーキ５５
がスクリーン５１の直線部５１ａに沿って走行させられ
ているときのレーキ爪７５は、スクリーン面に対して直
角の方向に延びるが、レーキ５５がスクリーン５１の反
転部５１ｂに沿って走行させられている間にレーキ爪７
５は次第に後方に倒れ、レーキ５５がし渣排出部５１ｃ
に沿って走行させられるときのレーキ爪７５は、主務チ
ェーン５４の接線方向とほぼ平行になってしまう。

【００１１】したがって、スクリーン５１のし渣排出部
５１ｃにおいて、し渣を十分に排出することができず、
髪の毛、糸類等がスクリーン５１間に引きずり込まれて
絡み付いてしまう。また、サポートレール７１によって
サポートローラ８２を案内するようになっているので、
前記サポートレール７１の精度を高くする必要がある。

【００１２】本発明は、前記従来のバックレーキ式自動
除塵機の問題点を解決して、スクリーンのし渣排出部に
おいてし渣を十分に排出することができ、サポートレー
ルの精度を高くする必要がないバックレーキ式自動除塵
機を提供することを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】そのために、本発明のバ
ックレーキ式自動除塵機においては、複数の平鋼材を並
列に配設することによって形成され、水中において傾斜
させて立ち上げられ、水面上に突出する直線部、該直線
部から延びる反転部、及び該反転部から斜め下方に延び
るし渣排出部から成るスクリーンと、水の流れ方向にお
ける前記スクリーンより下流側において、スクリーンに
沿って走行させられる主務チェーンと、該主務チェーン
の設定された複数箇所に固定されたレーキと、該レーキ
に固定され、ガイドローラ及びサポートローラを備えた
レバーと、前記サポートローラを案内するサポートレー
ルとを有する。

【００１４】そして、前記反転部に沿って走行させると
きのガイドローラに対するサポートローラの遅れ量を、
前記直線部に沿って走行させるときより多くする。本発
明の他のバックレーキ式自動除塵機においては、さら
に、スクリーンの先端に対応させて一対のガイドレール
が配設され、該ガイドレールに案内されるガイドローラ
の軌跡を、水の流れ方向における下流側に偏向させる。

【００１５】

【作用】本発明によれば、前記のようにバックレーキ式
自動除塵機においては、複数の平鋼材を並列に配設する
ことによって形成され、水中において傾斜させて立ち上
げられ、水面上に突出する直線部、該直線部から延びる
反転部、及び該反転部から斜め下方に延びるし渣排出部
から成るスクリーンと、水の流れ方向における前記スク
リーンより下流側において、スクリーンに沿って走行さ
せられる主務チェーンと、該主務チェーンの設定された
複数箇所に固定されたレーキと、該レーキに固定され、
ガイドローラ及びサポートローラを備えたレバーと、前
記サポートローラを案内するサポートレールとを有す
る。

【００１６】この場合、主務チェーンを走行させると、
レーキの各レーキ爪が水中の床面の近傍でスクリーンか
ら突き出され、その後、該スクリーンに沿って上昇し、
し渣を掻き揚げる。そして、水面上のスクリーンの反転
部で反転してし渣を落下させる。また、主務チェーンの
走行に伴って前記レバーが揺動させられるとともに、前
記レーキも揺動させられる。

【００１７】さらに、前記反転部に沿って走行させると
きのガイドローラに対するサポートローラの遅れ量を、
前記直線部に沿って走行させるときより多くする。この
場合、前記レバーは、主務チェーンに対して時計回り
に、前記遅れ量の増加分だけ多くレーキを回転させるこ
とができる。本発明の他のバックレーキ式自動除塵機に
おいては、さらに、スクリーンの先端に対応させて一対
のガイドレールが配設され、該ガイドレールに案内され
るガイドローラの軌跡を、水の流れ方向における下流側
に偏向させる。

【００１８】この場合、ガイドローラに対するサポート
ローラの遅れ量を少なくすることができるので、遅れ量
の減少分だけ多くレーキが戻される。

【００１９】

【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら詳細に説明する。図１は本発明の実施例における
バックレーキ式自動除塵機の要部拡大図である。図にお
いて、５１は複数の平鋼材を並列に配設することによっ
て形成されたスクリーンであり、該スクリーン５１は水
中において傾斜させて立ち上げられ、水面上に突出する
直線部５１ａ、該直線部５１ａからほぼ１８０〔°〕の
角度にわたって延びる反転部５１ｂ、及び該反転部５１
ｂから直線状に斜め下方に延びるし渣排出部５１ｃから
成る。

【００２０】水の流れ方向における前記スクリーン５１
より下流側 (図における右側) において、スクリーン５
１に沿って主務チェーン５４が傾斜させて配設される。
該主務チェーン５４は、水面上において回転自在に配設
された第１スプロケット５６と水中において回転自在に
配設された図示しない第２スプロケットとの間に張設さ
れ、図示しないモータによって矢印Ｃ方向に走行させら
れる。

【００２１】また、前記主務チェーン５４の設定された
複数箇所にレーキ軸受６１が形成され、該レーキ軸受６
１によってレーキ軸６３が回転自在に支持される。そし
て、該レーキ軸６３にレーキ５５が揺動自在に支持され
る。該レーキ５５は複数のレーキ爪７５を有し、該各レ
ーキ爪７５は櫛状に突出させられる。さらに、前記レー
キ軸６３にレバー７６が固定され、該レバー７６は、レ
ーキ軸６３に対してガイドローラ８１及びサポートロー
ラ８２を偏心させて支持する。そして、水の流れ方向に
おける前記スクリーン５１より下流側に、前記サポート
ローラ８２を走行させるためのトラック形状のサポート
レール７１が形成される。したがって、レーキ５５がス
クリーン５１に沿って上方に移動する間、レーキ軸受６
１は、図示しない主ローラを介して本体フレーム８４と
サポートレール７１との間を主務チェーン５４と共に走
行させられ、サポートローラ８２はサポートレール７１
を走行させられる。

【００２２】前記サポートレール７１は、スクリーン５
１に沿って傾斜して立ち上がり、水面上に突出して延在
する２個の直線部と、該直線部の端部間を接続する２個
の半円形部から成る。また、サポートレール７１の下方
の半円形部は前記第２スプロケットより低い位置に置か
れる。なお、前記本体フレーム８４は、前記スクリーン
５１の直線部５１ａに対応する直線部８４ａ、並びに前
記スクリーン５１の反転部５１ｂ及びし渣排出部５１ｃ
に対応する半円形部８４ｂから成る。

【００２３】また、前記サポートレール７１は、前記ス
クリーン５１の直線部５１ａに対応する直線部７１ａ、
並びに前記スクリーン５１の反転部５１ｂ及びし渣排出
部５１ｃに対応する半円形部７１ｂから成る。したがっ
て、前記モータを駆動して主務チェーン５４を走行させ
ると、レーキ５５の各レーキ爪７５が水中の床面１４の
近傍でスクリーン５１を貫き、その後、該スクリーン５
１に沿って上昇し、し渣を掻き揚げる。そして、水面上
のスクリーン５１の反転部で反転してし渣を落下させ
る。

【００２４】また、主務チェーン５４の走行に伴って前
記レバー７６が揺動させられるとともに、前記レーキ５
５も揺動させられる。この場合、スクリーン５１の下流
側から上流側にレーキ５５を突き出させた後、該レーキ
５５を上昇させるようになっているので、し渣がスクリ
ーン５１に押さえ付けられたり挟み込まれたりすること
はない。

【００２５】ところで、前記レーキ５５がスクリーン５
１の直線部５１ａに沿って走行させられているとき、サ
ポートローラ８２はガイドローラ８１より遅れて走行さ
せられる。その結果、レーキ５５の各レーキ爪７５は、
スクリーン面に対して直角の方向に延びる。そして、レ
ーキ５５がスクリーン５１の反転部５１ｂ及びし渣排出
部５１ｃに沿って走行させられている間においても、レ
ーキ爪７５がスクリーン面に対して直角の方向に延びる
ように、前記半円形部７１ｂの径を大きくして上方に膨
出させるようにしている。

【００２６】この場合、前記半円形部７１ｂにおいて前
記ガイドローラ８１に対するサポートローラ８２の遅れ
量を直線部７１ａより多くすることができるので、レバ
ー７６はレーキ軸６３を中心として、前記遅れ量の増加
分だけ多くレーキ５５を時計回りに回転させることがで
きる。したがって、レーキ爪７５がスクリーン面に対し
て直角の方向に延びるので、前記スクリーン５１のし渣
排出部５１ｃにおいて、し渣を十分に排出することがで
き、髪の毛、糸類等がスクリーン５１間に引きずり込ま
れて絡み付くのを防止することができる。

【００２７】また、前記半円形部７１ｂにおける前記ス
クリーン５１の先端に対応する部分において、半円形部
７１ｂの径を小さくして水の流れ方向における上流側に
向けてサポートレール７１を偏向させ、一方、前記半円
形部８４ｂにおける前記スクリーン５１の先端に対応す
る部分に、一対のガイドレール９５、９６が配設され、
両者間にガイド溝９７が形成される。そして、前記ガイ
ドレール９５はガイドレール９６側に向けて膨出させら
れ、前記ガイドローラ８１の軌跡を水の流れ方向におけ
る下流側に偏向させる。

【００２８】この場合、前記ガイドローラ８１に対する
サポートローラ８２の遅れ量を前記半円形部７１ｂより
少なくすることができるので、レバー７６はレーキ軸６
３を中心として反時計回りに前記遅れ量の減少分だけ多
くレーキ５５が戻される。したがって、レーキ爪７５
は、主務チェーン５４の接線方向に対して後方に倒され
る。

【００２９】なお、前記本体フレーム８４の半円形部８
４ｂの径方向外方は開放され、案内部材は配設されてい
ない。したがって、前記レーキ５５は、サポートレール
７１の半円形部７１ｂだけによって案内される。したが
って、サポートレール７１の精度を高くする必要がな
い。なお、本発明は前記実施例に限定されるものではな
く、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能
であり、それらを本発明の範囲から排除するものではな
い。

【００３０】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、バックレーキ式自動除塵機においては、複数の平
鋼材を並列に配設することによって形成され、水中にお
いて傾斜させて立ち上げられ、水面上に突出する直線
部、該直線部から延びる反転部、及び該反転部から斜め
下方に延びるし渣排出部から成るスクリーンと、水の流
れ方向における前記スクリーンより下流側において、ス
クリーンに沿って走行させられる主務チェーンと、該主
務チェーンの設定された複数箇所に固定されたレーキ
と、該レーキに固定され、ガイドローラ及びサポートロ
ーラを備えたレバーと、前記サポートローラを案内する
サポートレールとを有する。

【００３１】この場合、主務チェーンの走行に伴って前
記レバーが揺動させられるとともに、前記レーキも揺動
させられる。そして、前記反転部に沿って走行させると
きのガイドローラに対するサポートローラの遅れ量を、
前記直線部に沿って走行させるときより多くする。この
場合、前記レバーは、遅れ量の増加分だけ多くレーキを
回転させる。

【００３２】したがって、レーキ爪がスクリーン面に対
して直角の方向に延びるので、スクリーンの先端におい
てし渣を十分に排出することができる。本発明の他のバ
ックレーキ式自動除塵機においては、さらに、スクリー
ンの先端に対応させて一対のガイドレールが配設され、
該ガイドレールに案内されるガイドローラの軌跡を、水
の流れ方向における下流側に偏向させる。

【００３３】この場合、前記ガイドローラに対するサポ
ートローラの遅れ量を少なくすることができるので、遅
れ量の減少分だけ多くレーキが戻される。したがって、
レーキ爪は、主務チェーンの接線方向に対して後方に倒
される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例におけるバックレーキ式自動除
塵機の要部拡大図である。

【図２】従来のバックレーキ式自動除塵機の縦断面図で
ある。

【図３】従来のバックレーキ式自動除塵機の要部拡大図
である。

【符号の説明】

５１ スクリーン ５１ａ 直線部 ５１ｂ 反転部 ５１ｃ し渣排出部 ５４ 主務チェーン ５５ レーキ ７１ サポートレール ７６ レバー ８１ ガイドローラ ８２ サポートローラ

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 （ａ）複数の平鋼材を並列に配設するこ
   とによって形成され、水中において傾斜させて立ち上げ
   られ、水面上に突出する直線部、該直線部から延びる反
   転部、及び該反転部から斜め下方に延びるし渣排出部か
   ら成るスクリーンと、（ｂ）水の流れ方向における前記
   スクリーンより下流側において、スクリーンに沿って走
   行させられる主務チェーンと、（ｃ）該主務チェーンの
   設定された複数箇所に固定されたレーキと、（ｄ）該レ
   ーキに固定され、ガイドローラ及びサポートローラを備
   えたレバーと、（ｅ）前記サポートローラを案内するサ
   ポートレールとを有するとともに、（ｆ）前記反転部に
   沿って走行させるときのガイドローラに対するサポート
   ローラの遅れ量を、前記直線部に沿って走行させるとき
   より多くすることを特徴とするバックレーキ式自動除塵
   機。
2. 【請求項２】 スクリーンの先端に対応させて一対のガ
   イドレールが配設され、該ガイドレールに案内されるガ
   イドローラの軌跡を、水の流れ方向における下流側に偏
   向させる請求項１に記載のバックレーキ式自動除塵機。