JP2797310B2 - 多価イオン注入装置 - Google Patents

多価イオン注入装置

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JP2797310B2 JP63077580A JP7758088A JP2797310B2 JP 2797310 B2 JP2797310 B2 JP 2797310B2 JP 63077580 A JP63077580 A JP 63077580A JP 7758088 A JP7758088 A JP 7758088A JP 2797310 B2 JP2797310 B2 JP 2797310B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、イオン照射対象物に多価イオンを注入す
る多価イオン注入装置に関するものである。
〔従来の技術〕
従来この種の多価イオン注入装置の構成の一例を第2
図に基づいて説明する。
この多価イオン注入装置は、例えば静電スキャン型の
もので第2図に示すように、イオン源1に絶縁リング2
を介し、多価イオン選択用の分析マグネット3と分析ス
リット4を設け、高電圧部5としている。また、高電圧
部5の分析マグネット3および分析スリット4の後段に
加速管6を配置している。さらに、加速管6とエンドス
テーション8との間に、イオンビーム走査用の走査電極
10を設けている。この走査電極10には、走査電圧が印加
されている。そして、加速間6の後段に、マスク7を設
け、さらにその後方にイオン照射対象物からなるターゲ
ット9を収容するエンドステーション8を設けた構成と
している。また、これらの内部は真空としている。
上記の構成により、高電圧部5のイオン源1からイオ
ンビーム16として引き出された各種イオンは、必要な多
価イオンだけが分析スリット4を通るように分析マグネ
ット3で偏向され、分析スリット4を通ることにより不
要イオンが分離,除去される。そして、分析された必要
な多価イオンのイオンビーム16は、加速管6に入り、加
速管6で加速され、走査電極10によってターゲット9上
を走査されることになる。
走査電極10には、イオンビーム16を垂直および水平に
走査するように走査電圧が印加されている。また、この
走査電圧には、中性粒子がターゲット9に到達しないよ
うにイオンビーム16を所定角度偏向するオフセット電圧
が重畳されている。
また、メカニカルスキャン方式の多価イオン注入装置
では、加速管とエンドステーションとの間に走査電極を
設けず、ターゲットを回転および並進させることにより
イオンビームがターゲット上を走査するようになってい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記の従来の多価イオン注入装置,例えば2価のイオ
ン注入装置は、イオン源1か有ら取り出された各種イオ
ンを分析マグネット3および分析スリット4で分析し、
2価のイオンのみを取り出し加速管6に入れるようにし
ている。
しかし、分析マグネット3および分析スリット4で分
析された2価のイオンが、加速管6内を走行する途中で
残留気体と衝突し、この衝突により、1価のイオンまた
は中性粒子になることがある。
この結果、必要な2価のイオンの収率が悪くなるとい
う問題があった。
また、この場合、加速管6内での2価のイオンと残留
気体との衝突が加速管6内のどの位置で起こるかによ
り、加速電圧によって各粒子に与えられるエネルギの大
きさがそれぞれ異なることになる。
このことにより、ターゲット9に照射されるイオンビ
ーム16のエネルギ分布の幅が広がったものとなるため、
ターゲット9のイオンの注入領域の深さ方向の広がりが
大きくなるという問題があった。
なお、2価以上の多価イオンについても上記に述べた
同様の問題がある。
したがって、この発明の目的は、必要な多価イオンを
高収率で得ることができ、イオン照射対象物のイオンの
注入領域の深さ方向の広がりを小さくできる多価イオン
注入装置を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
この発明の多価イオン注入装置は、分析マグネットお
よび分析スリットと、これらの後段に配置された加速管
と、この加速管の後段に設けられたエンドステーション
とを備え、これらの内部を真空に排気した多価イオン注
入装置において、前記加速管の前後端部にそれぞれ設け
られて前記加速管内が10-6Torr程度以下になるように真
空排気する高真空維持用排気ポンプと、前記分析スリッ
トと前記加速管との間に設けられて不要なイオンを分離
除去するフィルタ電極と、前記加速管と前記エンドステ
ーションとの間に設けられた多価イオンビーム分析用の
偏向器およびスリットとを有するものである。
〔作用〕
この発明の構成によれば、加速管の前後端部に加速管
内が10-6Torr程度以下になるように真空排気する高真空
維持用排気ポンプを設けたため、加速管内の残留気体を
少なくでき、分析マグネットと分析スリットで分析され
た多価イオンと残留気体との衝突の確率を極めて小さく
でき、これにより多価イオンの荷電変換を減らし、イオ
ン源で発生した多価イオンを高収率でエンドステーショ
ンに向けて加速することができる。また分析フリットと
加速管との間にフィルタ電極を設けたため、たとえば分
析マグネットを通過する2価イオンとともに通過する1/
2のエネルギの1価イオンを不要なイオンとして分離で
き、さらに加速管とエンドステーションとの間に偏向器
およびスリットを設けたため、たとえ加速管内での衝突
により不要なイオンが発生したとしてもこれを確実に分
離することができる。その結果、必要な多価イオンを高
収率で得ることができるとともに衝突確率が小さいこと
により、エネルギ分布の幅の広がりが小さいイオンビー
ムをターゲットに照射でき、ターゲットのイオンの注入
領域の深さ方向の広がりを小さくできる。
〔実施例〕
この発明の一実施例の多価イオン注入装置の構成を第
1図に基づいて説明する。
この多価イオン注入装置は、第1図に示すように、高
電圧部5の分析マグネット3および分析スリット4の後
段に加速管6を配置し、この加速管6の前後端部に高真
空維持用排気ポンプ12,13をそれぞれ設け、加速管6と
エンドステーション8との間に多価イオン分析用の偏向
器14およびスリット15を設けた構成としている。また、
これらの内部は真空としている。
以下、この多価イオン注入装置の具体構成および動作
を詳しく説明する。
この多価イオン注入装置は、第1図に示すように、イ
オン源1に絶縁リング2を介し、多価イオン選択用の分
析マグネット3と分析スリット4を設け、高電圧部5と
している。また、高電圧部5の分析マグネット3および
分析スリット4の後段に加速管6を配置し、この加速管
6の前後端部に高真空維持用排気ポンプ12,13を設けて
いる。そして、分析スリット4と加速管6との間にフィ
ルタ電極11を設けている。さらに、加速管6とエンドス
テーション8との間に、多価イオンを分析し取り出す例
えば静電偏向板からなる多価イオンビーム分析用の偏向
器14と、スリット15を設けている。そして、スリット15
の後方に走査電極10を設けている。この走査電極10の後
段に、マスク7を設け、さらにその後方にイオン照射対
象物からなるターゲット9を収容するエンドステーショ
ン8を設けた構成としている。
上記の構成により、高電圧部5のイオン源1からイオ
ンビーム16として引き出された各種イオンは、必要な多
価イオンだけが分析スリット4を通るように分析マグネ
ット3で偏向され、分析スリット4を通ることにより不
要なイオンが分離,除去される。
従来例も同様であるが、イオン源1から引き出された
イオンのうち,例えば1価の分子イオンが分析マグネッ
ト3の前で、通常の1価の分子イオンの1/2のエネルギ
の1価のイオンと中性粒子とに分離するものがある。そ
して、この1/2のエネルギを持つ1価のイオンが分析マ
グネット3内で2価のイオンと同一の軌道を描くため、
1/2のエネルギを持つ1価のイオンと2価のイオンが分
離できずに分析スリット4を通り加速管6に入ることに
なる。
フィルタ電極11は、上記の分析マグネット3および分
析スリット4を通って加速管6に入るイオンビーム16に
含まれる1/2のエネルギを持つ1価のイオンを分離し、
必要な2価のイオンのみを分析するために設けたもので
ある。そして、フィルタ電極11が作り出す電位障壁によ
ってイオンビーム16に含まれる不要な1価のイオンが分
離,除去され、必要な2価のイオンのみが加速管6に入
る。このように、ビームの進行方向に電位障壁を設けて
低エネルギのイオンを除去することにより、ビームの進
行方向に影響がなく、構成部材が少ないので全体として
軽くでき、真空容器が小さくできるので真空ポンプの能
力が小さくてよく、電極と電源1台あればよく、必要電
力も小さい等の利点がある。
加速管6の前後端部に設けたそれぞれの高真空維持用
排気ポンプ12,13は、加速管6内の残留気体を排気し高
真空,例えば10-6 Torr程度またはそれ以下にしている。
そして、フィルタ電極11を出た2価のイオンのイオン
ビーム16は、高真空維持用排気ポンプ12,13により高真
空になっている加速管6を通り、加速電圧によって所定
のエネルギを与えられ、多価イオン分析用の偏向器14に
到達する。
このとき、加速管6内が高真空になっているため、た
とえ残留気体と2価イオンとが衝突して1価のイオンま
たは中性粒子が発生することになっても、残留気体と2
価のイオンとの衝突の確率が極めて小さくなり、1価の
イオンまたは中性粒子の発生は、極めて少なくなる。
この結果、2価のイオンが効率良く多価イオンビーム
分析用の偏向器14に到達することになる。
そして、多価イオン分析用の偏向器14に到達した2価
のイオンのイオンビーム16は、例えば静電偏向板からな
る多価イオンビーム分析用の偏向器14でさらに必要なエ
ネルギの2価のイオンのみがスリット15を通るように偏
向され、不要な1価のイオンおよび中性粒子がさらに分
離,除去される。そして、スリット15を通った必要なエ
ネルギの2価のイオンのみが走査電極10によりマスク7
を通ってターゲット9上に走査されることになる。
なお、多価イオンビーム分析用の偏向器14で不要な1
価のイオンおよび中性粒子が分離,除去されるため、走
査電極10には、イオンビーム16を垂直および水平に走査
する走査電圧のみを印加している。
また、2価以上の多価イオンについても同様である。
この多価イオン注入装置の構成によれば、加速管6の
前後端部に高真空維持用排気ポンプ12,13をそれぞれ設
けた構成としているので、それぞれの高真空維持用排気
ポンプ12,13により、加速管6内の残留気体を少なくし
高真空にすることができる。この結果、分析マグネット
3および分析スリット4で分析された多価イオンの加速
管6内での残留気体との衝突の確率を極めて小さくで
き、加速管6内での多価イオンの価数の変化を少なくで
きる。
さらに、加速管6とエンドステーション8との間に多
価イオンビーム分析用の偏向器14およびスリット15を設
けた構成としているので、多価イオンビーム分析用の偏
向器14およびスリット15により必要な多価イオンを分離
して得ることができる。
以上に述べたように、加速管6の前後端部に高真空維
持用排気ポンプ12,13を設け、かつ加速管6とエンドス
テーション8との間に多価イオンビーム分析用の偏向器
14およびスリット15を設けたことにより、必要な多価イ
オンを高収率で得ることができる。そして、エネルギ分
布の幅の広がりが小さいイオンビームをイオン照射対象
物からなるターゲット9に照射でき、ターゲット9のイ
オンの注入領域の深さ方向の広がりを小さくできる。
また、多価イオンビーム分析用の偏向器14およびスリ
ット15で必要なエネルギの多価イオンのイオンビーム16
に分析した後、走査電極10によりターゲット9上にイオ
ンビーム16を走査するようにしているので、中性粒子が
ターゲット9に到達しないようにイオンビーム16を所定
角度曲げるためのオフセット電圧を走査電極10に印加す
る必要がなくなる。
なお、この実施例では、多価イオン分析用の偏向器14
に静電偏向板を用いるいるが、電磁石を用いてイオンビ
ーム16を偏向してもよい。
また、メカニカルスキャン方式の多価イオン注入装置
においてもこの実施例と同様の構成にすることにより、
同様の効果が得られる。
〔発明の効果〕
この発明の多価イオン注入装置は、加速管の前後端部
に加速管内が10-6Torr程度以下になるように真空排気す
る高真空維持用排気ポンプを設けたため、加速管内の残
留気体を少なくでき、分析マグネットと分析スリットで
分析された多価イオンと残留気体との衝突の確率を極め
て小さくでき、これにより多価イオンの荷電変換を減ら
し、イオン源で発生した多価イオンを高収率でエンドス
テーションに向けて加速することができる。また分析フ
リットと加速管との間にフィルタ電極を設けたため、た
とえば分析マグネットを通過する2価イオンとともに通
過する1/2のエネルギの1価イオンを不要なイオンとし
て分離でき、さらに加速管とエンドステーションとの間
に偏向器およびスリットを設けたため、たとえば加速管
内での衝突により不要なイオンが発生したとしてもこれ
を確実に分離することができる。その結果、必要な多価
イオンを高収率で得ることができるとともに衝突確率が
小さいことにより、エネルギ分布の幅の広がりが小さい
イオンビームをターゲットに照射でき、ターゲットのイ
オンの注入領域の深さ方向の広がりを小さくできる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例の構成を示す概略図、第2
図は従来の多価イオン注入装置の構成を示す概略図であ
る。 3……分析マグネット、4……分析スリット、6……加
速管、8……エンドステーション、12,13……高真空維
持用排気ポンプ、14……多価イオンビーム分析用の偏向
器、15……スリット
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−115639(JP,A) 特開 昭62−76144(JP,A) 特開 昭62−177848(JP,A) 特開 昭56−156662(JP,A) 特開 昭52−49774(JP,A) 実願 昭55−142756号(実開 昭57− 66856号)の願書に添付した明細書及び 図面の内容を撮影したマイクロフィルム (JP,U)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分析マグネットおよび分析スリットと、こ
    れらの後段に配置された加速管と、この加速管の後段に
    設けられたエンドステーションとを備え、これらの内部
    を真空に排気した多価イオン注入装置において、前記加
    速管の前後端部にそれぞれ設けられて前記加速管内が10
    -6Torr程度以下になるように真空排気する高真空維持用
    排気ポンプと、前記分析スリットと前記加速管との間に
    設けられて不要なイオンを分離除去するフィルタ電極
    と、前記加速管と前記エンドステーションとの間に設け
    られた多価イオンビーム分析用の偏向器およびスリット
    とを有する多価イオン注入装置。
  2. 【請求項2】前記フィルタ電極は、不要な低エネルギの
    イオンを分離除去する電位障壁を形成する請求項(1)
    記載の多価イオン注入装置。
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