JP2796818B2 - 耐孔食性に富むアルミニウム又はアルミニウム合金材料の製造方法 - Google Patents
耐孔食性に富むアルミニウム又はアルミニウム合金材料の製造方法Info
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- JP2796818B2 JP2796818B2 JP63317608A JP31760888A JP2796818B2 JP 2796818 B2 JP2796818 B2 JP 2796818B2 JP 63317608 A JP63317608 A JP 63317608A JP 31760888 A JP31760888 A JP 31760888A JP 2796818 B2 JP2796818 B2 JP 2796818B2
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Description
【産業上の利用分野】 本発明は、耐孔食性に富むアルミニウム又はアルミニ
ム合金材料の製造方法に関するものである。
ム合金材料の製造方法に関するものである。
アルミニウム又はアルミニウム合金(以下、単にアル
ミニウム合金)材料に耐孔食性を付与する方法として
は、メッキ等の各種の表面処理、あるいは犠牲陽極材の
応用といった技術がある。 しかしながら、上記のような手段は面倒であり、コス
トアップは避けられないものであって、これに代わる技
術の開発が持たれている。 ところで、本願出願人は、先に腐食環境下にアルミニ
ウム合金が置かれている場合、この腐食環境に約0.1ppm
以上のフッ素イオンを加えておくと、アルミニウム合金
の孔食が改善される技術を提案(特願昭62−70228号
(特開昭63−238291号))していた。
ミニウム合金)材料に耐孔食性を付与する方法として
は、メッキ等の各種の表面処理、あるいは犠牲陽極材の
応用といった技術がある。 しかしながら、上記のような手段は面倒であり、コス
トアップは避けられないものであって、これに代わる技
術の開発が持たれている。 ところで、本願出願人は、先に腐食環境下にアルミニ
ウム合金が置かれている場合、この腐食環境に約0.1ppm
以上のフッ素イオンを加えておくと、アルミニウム合金
の孔食が改善される技術を提案(特願昭62−70228号
(特開昭63−238291号))していた。
本発明の目的は、耐孔食性に富むアルミニウム合金材
料を提供することである。 上記本発明の目的は、先行提案になる特願昭62−7022
8号(特開昭63−238291号)の技術を発展させることに
よって達成されたものである。 すなわち、本発明は、アルミニウム又はアルミニウム
合金をフッ素イオンを含有する溶液中においてアノード
分極処理することを特徴とする耐孔食性に富むアルミニ
ウム又はアルミニウム合金材料の製造方法を提供するも
のである。 これは、例えば10ppm以上のF-を含有する水溶液中にA
l合金材が浸漬させられると、それだけでかなり優れた
耐孔食性皮膜が形成されることに気付き、これが基礎と
なって本発明に到達しものである。 すなわち、例えばフッ化カリウムを溶解させた水道水
中にアルミニウム合金材料を浸漬させておくと、これに
よって第1図に示すESCAのデータからも判るようにアル
ミニウム合金の皮膜にフッ素が付着しており、この付着
介在したフッ素の作用によってこのアルミニウム合金材
料がF-を含有していない雰囲気下に置かれていても、従
来の表面処理や犠牲陽極材の場合に劣らない耐孔食性に
富むものとなっていたのである。 そして、単にフッ化カリウム溶液中に浸漬したのみで
もかなりの効果が発揮されたものであるが、フッ素イオ
ンを含有する溶液中でアノード分極処理が為されると、
アルミニウム合金材料がF-を含有していない雰囲気下に
置かれていてもより充分なる耐孔食性を発揮でき、その
効果は極めて著しいものであることが見出だされたこと
に基づくものであり、この技術は実施に際しても極めて
安価であり、装置も単純なもので良いといった特長を有
している。 尚、フッ素イオンを含有する溶液中でのアノード分極
処理は、Ecorr<E<Epit(但し、Ecorrは腐食電位、Ep
itは孔食電位)の条件で行なわれることが好ましく、
又、処理に用いる溶液中のフッ素イオンの濃度は10ppm
以上、より望ましくは約100〜1000ppmが好ましい。
料を提供することである。 上記本発明の目的は、先行提案になる特願昭62−7022
8号(特開昭63−238291号)の技術を発展させることに
よって達成されたものである。 すなわち、本発明は、アルミニウム又はアルミニウム
合金をフッ素イオンを含有する溶液中においてアノード
分極処理することを特徴とする耐孔食性に富むアルミニ
ウム又はアルミニウム合金材料の製造方法を提供するも
のである。 これは、例えば10ppm以上のF-を含有する水溶液中にA
l合金材が浸漬させられると、それだけでかなり優れた
耐孔食性皮膜が形成されることに気付き、これが基礎と
なって本発明に到達しものである。 すなわち、例えばフッ化カリウムを溶解させた水道水
中にアルミニウム合金材料を浸漬させておくと、これに
よって第1図に示すESCAのデータからも判るようにアル
ミニウム合金の皮膜にフッ素が付着しており、この付着
介在したフッ素の作用によってこのアルミニウム合金材
料がF-を含有していない雰囲気下に置かれていても、従
来の表面処理や犠牲陽極材の場合に劣らない耐孔食性に
富むものとなっていたのである。 そして、単にフッ化カリウム溶液中に浸漬したのみで
もかなりの効果が発揮されたものであるが、フッ素イオ
ンを含有する溶液中でアノード分極処理が為されると、
アルミニウム合金材料がF-を含有していない雰囲気下に
置かれていてもより充分なる耐孔食性を発揮でき、その
効果は極めて著しいものであることが見出だされたこと
に基づくものであり、この技術は実施に際しても極めて
安価であり、装置も単純なもので良いといった特長を有
している。 尚、フッ素イオンを含有する溶液中でのアノード分極
処理は、Ecorr<E<Epit(但し、Ecorrは腐食電位、Ep
itは孔食電位)の条件で行なわれることが好ましく、
又、処理に用いる溶液中のフッ素イオンの濃度は10ppm
以上、より望ましくは約100〜1000ppmが好ましい。
【実施例1〜3】 供試材には代表的な熱交換器材料であるJIS A 3003
(板厚1.0mm)を用いた。その化学組成は、Siが0.21重
量%、Feが0.44重量%、Cuが0.12重量%、Mnが1.01重量
%、Mgが0.02重量%、Crが0.00重量%、Znが0.06重量
%、Tiが0.01重量%、残りがAlである。 そして、この供試材は、ろう付を想定した熱処理(大
気雰囲気下、600℃で5min)を施した後、約30〜80℃の
5〜20%NaOH溶液中で約5〜60秒処理し、そして水洗後
必要に応じて室温〜40℃の10〜60%HNO3溶液中で10〜60
秒の前処理を行ない、充分に水洗してから次の試験に供
した。 処理液のベースは裾野市水道水である。そして、これ
にフッ化カリウムを100ppm(実施例1)、500ppm(実施
例2)、1000ppm(実施例3)添加してF-イオン濃度の
異なる処理液を調製した。 そして、この処理液中において、浴温40℃、Al3003の
電位が−500mVvs sce、時間1分の条件下で上記の供試
材をアノード分極処理した。 この後、供試材を引き上げ、水洗し、乾燥した。 そして、これを上記処理液と同じ水道水(但し、Cu2+
を1ppm添加するも、KFは添加せず)に40℃の条件下で72
時間浸漬して、孔食の程度を調べた。
(板厚1.0mm)を用いた。その化学組成は、Siが0.21重
量%、Feが0.44重量%、Cuが0.12重量%、Mnが1.01重量
%、Mgが0.02重量%、Crが0.00重量%、Znが0.06重量
%、Tiが0.01重量%、残りがAlである。 そして、この供試材は、ろう付を想定した熱処理(大
気雰囲気下、600℃で5min)を施した後、約30〜80℃の
5〜20%NaOH溶液中で約5〜60秒処理し、そして水洗後
必要に応じて室温〜40℃の10〜60%HNO3溶液中で10〜60
秒の前処理を行ない、充分に水洗してから次の試験に供
した。 処理液のベースは裾野市水道水である。そして、これ
にフッ化カリウムを100ppm(実施例1)、500ppm(実施
例2)、1000ppm(実施例3)添加してF-イオン濃度の
異なる処理液を調製した。 そして、この処理液中において、浴温40℃、Al3003の
電位が−500mVvs sce、時間1分の条件下で上記の供試
材をアノード分極処理した。 この後、供試材を引き上げ、水洗し、乾燥した。 そして、これを上記処理液と同じ水道水(但し、Cu2+
を1ppm添加するも、KFは添加せず)に40℃の条件下で72
時間浸漬して、孔食の程度を調べた。
【実施例4】 実施例1において、アノード分極処理の条件を−700m
Vvs sce、10分に変えて同様に行った。
Vvs sce、10分に変えて同様に行った。
【比較例1】 JIS A 3003(板厚1.0mm、化学組成は、Siが0.21重量
%、Feが0.44重量%、Cuが0.12重量%、Mnが1.01重量
%、Mgが0.02重量%、Crが0.00重量%、Znが0.06重量
%、Tiが0.01重量%、残りがAl)で如何なる処理も施し
ていない供試材を、実施例1と同様な水道水(但し、Cu
2+を1ppm添加するも、KFは添加せず)に40℃の条件下で
72時間浸漬して、孔食の程度を調べた。
%、Feが0.44重量%、Cuが0.12重量%、Mnが1.01重量
%、Mgが0.02重量%、Crが0.00重量%、Znが0.06重量
%、Tiが0.01重量%、残りがAl)で如何なる処理も施し
ていない供試材を、実施例1と同様な水道水(但し、Cu
2+を1ppm添加するも、KFは添加せず)に40℃の条件下で
72時間浸漬して、孔食の程度を調べた。
【比較例2】 比較例1と同じ供試材を、裾野市水道水からなる処理
液(但し、フッ化カリウムを添加せず)中において実施
例1と同様な条件でアノード分極処理した。 この後、供試材を引き上げ、水洗し、乾燥した。 そして、これを実施例1と同様な水道水(但し、Cu2+
を1ppm添加するも、KFは添加せず)に40℃の条件下で72
時間浸漬して、孔食の程度を調べた。
液(但し、フッ化カリウムを添加せず)中において実施
例1と同様な条件でアノード分極処理した。 この後、供試材を引き上げ、水洗し、乾燥した。 そして、これを実施例1と同様な水道水(但し、Cu2+
を1ppm添加するも、KFは添加せず)に40℃の条件下で72
時間浸漬して、孔食の程度を調べた。
【比較例3】 比較例1と同じ供試材を、裾野市水道水にフッ化カリ
ウムを100ppm添加してなる処理液中に24時間浸漬した
後、実施例1と同様な水道水(但し、Cu2+を1ppm添加す
るも、KFは添加せず)に40℃の条件下で72時間浸漬し
て、孔食の程度を調べた。
ウムを100ppm添加してなる処理液中に24時間浸漬した
後、実施例1と同様な水道水(但し、Cu2+を1ppm添加す
るも、KFは添加せず)に40℃の条件下で72時間浸漬し
て、孔食の程度を調べた。
【比較例4】 比較例1の供試材にJIS A 7072合金を板厚の10%クラ
ッドしたものを用意し、これを実施例1と同様な水道水
(但し、Cu2+を1ppm添加するも、KFは添加せず)に40℃
の条件下で72時間浸漬して、孔食の程度を調べた。
ッドしたものを用意し、これを実施例1と同様な水道水
(但し、Cu2+を1ppm添加するも、KFは添加せず)に40℃
の条件下で72時間浸漬して、孔食の程度を調べた。
上記各例の耐孔食性は、下記の表に示す通りである。 これからわかるように、本発明によるアルミニウム合
金の耐孔食性は優れている。 しかも、処理に要する時間は極めて短く、その処理作
業性にも優れている。
金の耐孔食性は優れている。 しかも、処理に要する時間は極めて短く、その処理作
業性にも優れている。
第1図(a),(b)は、KFを含む溶液で処理されたア
ルミニウム合金の皮膜中にフッ素が存在していることを
示すESCA図である。
ルミニウム合金の皮膜中にフッ素が存在していることを
示すESCA図である。
Claims (3)
- 【請求項1】アルミニウム又はアルミニウム合金をフッ
素イオンを含有する溶液中においてアノード分極処理す
ることを特徴とする耐孔食性に富むアルミニウム又はア
ルミニウム合金材料の製造方法。 - 【請求項2】フッ素イオン濃度が10ppm以上の溶液中に
おいてアノード分極処理することを特徴とする特許請求
の範囲第1項記載の耐孔食性に富むアルミニウム又はア
ルミニウム合金材料の製造方法。 - 【請求項3】腐食電位より高く、孔食電位より低い電位
でアノード分極処理することを特徴とする特許請求の範
囲第1項記載の耐孔食性に富むアルミニウム又はアルミ
ニウム合金材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63317608A JP2796818B2 (ja) | 1988-12-17 | 1988-12-17 | 耐孔食性に富むアルミニウム又はアルミニウム合金材料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63317608A JP2796818B2 (ja) | 1988-12-17 | 1988-12-17 | 耐孔食性に富むアルミニウム又はアルミニウム合金材料の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02163390A JPH02163390A (ja) | 1990-06-22 |
JP2796818B2 true JP2796818B2 (ja) | 1998-09-10 |
Family
ID=18090096
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63317608A Expired - Lifetime JP2796818B2 (ja) | 1988-12-17 | 1988-12-17 | 耐孔食性に富むアルミニウム又はアルミニウム合金材料の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2796818B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5205922A (en) * | 1990-11-20 | 1993-04-27 | The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Navy | Formation of pitting resistant anodized films on aluminum |
JP4218000B2 (ja) * | 2001-09-12 | 2009-02-04 | 株式会社ケミカル山本 | 含弗素乃至含弗素・酸素系被膜層を形成させたステンレス鋼とその製造方法 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0680192B2 (ja) * | 1987-03-26 | 1994-10-12 | 三菱アルミニウム株式会社 | アルミニウム又はアルミニウム合金材の孔食防止法 |
-
1988
- 1988-12-17 JP JP63317608A patent/JP2796818B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02163390A (ja) | 1990-06-22 |
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