JP2796727B2 - 複室容器 - Google Patents

複室容器

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JP2796727B2 JP1077391A JP7739189A JP2796727B2 JP 2796727 B2 JP2796727 B2 JP 2796727B2 JP 1077391 A JP1077391 A JP 1077391A JP 7739189 A JP7739189 A JP 7739189A JP 2796727 B2 JP2796727 B2 JP 2796727B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は主として医療用に使用される輸液用の容器又
は経管栄養剤用の容器、特に輸液及び/又は栄養剤を保
存するに当つてその品質変化を防ぐため、各成分又は製
剤によつて2種以上に分割して保存し、用時に容易に混
合しうるようにした複室容器に関する。
〔従来の技術〕 従来栄養輸液やその他の液状の栄養剤は、糖、脂肪、
アミノ酸、電解質及びビタミンからなる群から選択した
成分の少なくとも2種を配合して製剤化されている。し
かしながら、上記成分の選択によつては、例えばぶどう
糖とアミノ酸を配合して一剤にするといわゆるメイラー
ド反応を生じ着色する欠点を有する。又脂肪を乳化した
液を電解質及び/又はアミノ酸等と配合して一剤にする
と、乳化した油が凝集して分離する欠点を有する。
このため、一剤もしくは一液として製造もしくは保存
し得ない成分又は製剤は、別々の容器に入れて保存し、
供給され、使用時にこれらの成分もしくは製剤を混合し
て使用している。
このような別々の容器のものを使用時に混合して一液
製造とするには、一つの容器に移送して混合する必要が
あるので混合前は各成分もしくは各製剤を収容する複数
の容器、混合用の容器例えば瓶もしくはバツグ等多数の
容器や器具を必要とするばかりでなく、移送及び混合操
作を無菌的に実施するための極度に慎重な取り扱が要求
される。
この欠点を解決するための手段として、プラスチツク
製の袋状容器を2室に仕切り、一部連通部を残して上記
仕切部を融着して液密にし、上記連通部をクランプ等で
圧迫し、各室内の成分もしくは製剤が混合しないように
する(例えば特開昭51−132692号)か、或いは、連通部
にボール又は一端閉鎖チユーブを挿入し、両室を不連続
状態に保つようにする(特開昭57−52455号)ことが提
案され、使用時に上記連通部を開放して両室内の成分又
は製剤を混合できるようにすることが提案されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
これらの従来の複室容器は各室を分離し、又連通させ
るためには、液密仕切部形成のための融着操作以外に連
通部を残し、この部分の不使用時の連通防止のために
は、前述した如き特殊なクランプ等の用具もしくは部品
を設ける必要がある。
又、複室容器を形成するための材料としては、日本薬
局方では輸液用プラスチツク容器用としてポリ塩化ビニ
ル、ポリプロピレン及びポリエチレンが認められている
が、これらの材料から複室容器を製造して室間の連通防
止のため前述したクランプ等の手段を設けて滅菌処理を
行つたとき、上述した材料は耐熱性が悪いためクランプ
等の連通防止手段を設けた部分が融着してしまい、使用
時即ち各室に含まれている成分もしくは製剤を混合せん
とするとき、連通部が開かず混合不能となつて、使用不
可能になることがある欠点を有していた。
従つて本発明の目的は液密仕切部によつて複数室に分
割された複室容器において、日本薬局方で認められてい
る安価なプラスチツク材料を使用し、充分な滅菌を行つ
ても各室間の連通部の融着を生ぜしめず、使用時には容
易に連通でき各室内の成分又は製剤を混合できるように
した輸液又は栄養剤の複室容器を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は液密仕切部によつて複数室に分割されたプラ
スチツク製複室容器において、上記プラスチツクが放射
線架橋可能なプラスチツクであり、上記仕切部の少なく
とも一部が放射線照射された後、該放射線照射部が加熱
接着されているか又は、クランプで謁着されている複室
容器である。
本発明による複室容器を製造するに当つて使用しうる
プラスチツク材料としては、放射線照射することによつ
て架橋することができる材料であり、しかも非照射部分
は加熱圧着によつて融着されることができる材料であれ
ば任意の材料を使用できる、例えばポリエチレン、ポリ
塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化
ビニリデン、ポリエチレンテレフタレートがあり、これ
らのシート又はフイルムを使用できる。
これらの材料を用いて本発明の複室容器を製造するに
当つては、前記材料からなるシート又はフイルムを重
ね、周囲部分は公知の方法で加熱圧着することによつて
融着させる。又本発明によれば前記容器の所望室数に応
じて複数に分割するため、直線状又は曲線状に融着させ
て液密仕切部を設けるのであるが、将来この複室容器中
の各成分又は製剤を混合使用するとき、各室間に連通を
生ぜしめんとする部分、即ち連通部に相当する部分に
は、使用したプラスチツク材料に適した放射線を予め照
射させて、その材料に架橋反応を生ぜしめておく、そし
て上述した如く融着により液密仕切部を構成すると、放
射線非照射部は融着するが、照射部は融着しない。従つ
てこの部分はクランプ等公知の手段で圧迫して連通防止
する。なお上記放射線非照射部を融着させたとき、放射
線照射部は融着はしないが、外力によつて剥離可能な程
度の接着を生ずることがあり、この場合にはクランプ等
で保持する必要はない。
上記放射線非照射部を融着させ、照射部を融着でなく
接着させておくためには例えばポリエチレン、エチレン
−酢酸ビニル共重合体及びポリエチレンテレフタレート
の場合には熱融着により行い、ポリ塩化ビニル及びポリ
塩化ビニリデンの場合には高周波融着により行う。
使用しうる放射線には例えば電子線又はγ線があり、
通常その強度はポリエチレンに対して1〜100MRad、ポ
リ塩化ビニル及びポリ塩化ビニリデンに対しては0.1〜5
0MRad、エチレン−酢酸ビニル共重合体に対しては1〜3
0MRad、ポリエチレンテレフタレートに対しては1〜30M
Radで充分である。
〔作 用〕
本発明の複室容器は、液密仕切部形成に際し、その少
なくとも一部を予め放射線で照射してあるため、この部
分は融着しておらず、剥離可能な程度の接着とすること
ができ、或いは接着しない場合にはクランプ等で保持す
ることによつて各室間の連通を防止できる。また放射線
照射によりその部分は架橋されているため、各室に成分
又は製剤を封入した後滅菌処理、即ち高温処理をして
も、その部分の融着を生ずることがない。このため各室
の成分又は製剤を混合しようとするときには、一つの室
を手で押圧するだけで又はクランプを除くだけで放射線
照射部の接着が剥離して両室を連通させ、混合すること
ができる。
〔実施例〕
以下に実施例を挙げ図面を参照して本発明を説明す
る。第1図及び第2図は各実施例の平面図である。
実施例 1 第1図に示すように縦30cm、横18cm、厚さ200μmの
低密度ポリエチレンシート1の2枚を重ね、その周囲部
2を幅1cmで通常の加熱融着装置を用いて約120℃で液導
入口3及び3′を除いて熱融着させて封止した。次の図
示する如くこの容器の中央部に縦幅3cm、横幅18cmで電
子線照射(吸収線量20MRad)を行つてポリエチレンを架
橋反応させ、電子線照射部4を形成させた。次にこの電
子線照射部4の中央に図示する如く幅1cmで180℃の温度
で加熱接着して仕切部5を設けて、A室とB室に分けた
輸液用複室容器を作つた。
この容器のA室に糖加電解室液を導入口3より入れ、
B室にアミノ酸液を導入口3′より入れ、導入口3及び
3′を封止した。次いでこの輸液を入れた容器を115℃
で30分加熱し、滅菌処理をし、冷却した。両室の液は混
合されずに保存できた。
次にA室及びB室の両液を混合せんとするとき、A室
又はB室の何れかを手で押圧すると、上記電子線照射加
熱接着仕切部5が剥離し、A室とB室は連通して両室内
の液は容易に混合することができた。
実施例 2 第2図に示すように縦30cm、横18cm、厚さ200μmの
軟質ポリ塩化ビニルシート1の2枚を重ね、その周囲部
2を幅1cmで高周波加熱装置を用いて約125℃で液導入口
3及び3′を除いて融着させて封止した。次の図示する
如くこの容器の中央右側で周囲部2に接して縦幅2cm、
横幅4cmで電子線照射(吸収線量10MRad)を行つて架橋
反応させて電子線照射部4を形成させた。次のこの電子
線照射部4及びその延長部6を幅約1cmで高周波加熱
(約135℃)し、上記延長部6を融着させて仕切りかつ
照射部4内の加熱仕切部5を接着させてA室とB室に分
けて輸液用複室容器を作つた。
この容器のA室に糖加電解質液を導入口3より入れ、
B室にアミノ酸液を導入口3′より入れ、導入口3及び
3′を封止した。次にこの輸液を入れた容器を121℃で3
0分間加熱滅菌処理をし、冷却した。両室の液は混合さ
れずに保存できた。
次にA室及びB室の両液を混合せんとするとき、A室
又はB室の何れかを手で押圧すると電子線照射部4内の
接着仕切部5が剥離し、A室とB室は連通して両室内の
液は容易に混合することができた。
実施例 3 実施例2において、電子線照射部4を縦幅及び横幅共
に2cmとし、その延長部6のみを高周波加熱して融着さ
せて仕切部を作り、上記電子線照射部4は高周波加熱を
行わなかつた。その代りにこの電子線照射部4をクラン
プにて押圧してA室とB室の連通を防止させて仕切り複
室容器を作つた。
A室及びB室に実施例2と同様にしてそれぞれ糖加電
解質液及びアミノ酸液を入れて、実施例2と同様に加熱
滅菌処理をした。
両室の液は混合されずに保存できた。次にA室とB室
の両液を混合せんとするとき、上記電子線照射部4を押
圧封止したクランプを取り外すと電子線照射部4は開
き、両液は容易に混合された。
〔発明の効果〕
本発明の複室容器は、液密仕切部の少なくとも一部を
予め放射線で照射したため、この部分は、加熱滅菌等の
高温処理をしても単に接着するか、クランプで押圧する
ことによつて液密に保持でき、使用時には容易に剥離も
しくは開くことができて両室を連通することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は本発明の複室容器の実施例の平面図
である。 1……シート、2……周囲部、3,3′……液導入口、4
……電子線照射部、5……仕切部、6……延長仕切部。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液密仕切部によって複数室に分割されたプ
    ラスチツク製複室容器において、上記プラスチツクが放
    射線架橋可能なプラスチツクであり、上記仕切部の少な
    くとも一部が放射線照射された後、該放射線照射部が加
    熱接着されているか又はクランプで圧着されている複室
    容器。
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