JP2796552B2 - X線リソグラフィー用マスク - Google Patents

X線リソグラフィー用マスク

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JP2796552B2 JP31335788A JP31335788A JP2796552B2 JP 2796552 B2 JP2796552 B2 JP 2796552B2 JP 31335788 A JP31335788 A JP 31335788A JP 31335788 A JP31335788 A JP 31335788A JP 2796552 B2 JP2796552 B2 JP 2796552B2
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  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は位置合わせ精度の良い、X線リソグラフィー
用マスクに関するものである。
「従来の技術およびその課題」 従来のX線リソグラフィー用のマスクは、第9図のよ
うに、X線吸収係数の大きな材料を用いたマスクパター
ン1と、X線吸収係数の小さな材料を用いたメンブレン
膜2、およびこれらを支える基板3とから成り立ってい
た。
たとえば、MITのH.I.Smithらは、基板3としてシリコ
ン基板、メンブレン膜2としてシリコン基板上面の、高
濃度ボロン添加シリコン領域を選択的にエッチングし残
した膜(シリコン−ボロン−メンブレン膜)、マスクパ
ターン1としてX線吸収係数の大きなシリコンとは異種
の材料、金を用いたマスクを報告している(U.S.PAT.37
43842,1973;3742229,1973;3742230,1973)(論文:D.L.S
pears and H.I.Smith,“High−resolution pattern rep
lication using soft X−rays,"Electron.Lett.,Vol.8,
pp.102−104,Feb.1972)。
このほか、メンブレン膜2として、マイラ−フィルム
や、アルミナ、シリコン窒化膜を用いた報告例が、また
マスクパターン1としてタンタルあるいはクロムと金の
2層構成などを用いた報告例がある(例えば半導体研究
14編者:財団法人半導体研究振興会 発行所:株式会社
工業調査会1978年pp.159を参照のこと)。
このような従来のマスク構成によれば、マスクパター
1の材料、メンブレン膜2の材料、および基板3の材料
にはお互いの間に、 膜の形成温度が室温となる場合には、線膨張係数とヤ
ング率の差に起因した応力 膜の堆積時に、結晶構造の変化や、高エネルギー原子
の飛び込みなどにより、膜自体が内包してしまう真性応
力 などの応力が働く。とくにスパッタ蒸着や電子ビーム蒸
着のように、基板の片面に膜を堆積するような場合に
は、基板の反りという形で、これらの応力を折込みなが
ら膜成長が起こるために、,の分離が困難な、複雑
な応力が発生することになる。この大きな応力のため
に、膜同士が引っ張り合ってマスクパターンの大きな位
置ずれが発生する。中でも、メンブレン膜は極めて薄
く、しかも基板のなかに開いた窓に張られているだけな
ので、わずかの応力によって歪みが発生してしまう。特
にマスクパターン1との応力がある場合には、マスクパ
ターンの形状や、大きさなどによって歪みの入り方が変
わり、これが、“局部的なパターン位置ずれ”の原因に
なってしまう。
マスクパターン1とメンブレン膜2の間の応力の例と
しては、たとえば、出口らのタンタルによるマスクパタ
ーンとシリコン窒化膜によるマスクの報告では、タンタ
ルの応力が1×1010dyn/cm2のときに、0.17μmのパタ
ーン位置ずれが発生したことが報告されている(文献:
K.Deguchiet,al.,“Overlay Accuracy Evaluation in S
tep−and−Repeat X−ray Lithography"Jap.Journal Ap
pl.Phys.Vol.27,No.7,Jury,1988,pp.1275−1280)。こ
の応力による、パターン位置ずれの特徴は、メンブレン
膜2が薄いために、マスクパターン1の形状や、分布、
密度などの影響を受けて、きわめて“局部的なパターン
位置ずれ”が起こることである。
メンブレン膜2と基板3の間の応力の例としては、た
とえば、H.I.Smithらのシリコン−ボロン−メンブレン
膜においても、ボロンの共有結合半径がシリコンのそれ
よりも小さいために、マスク基板とシリコン−ボロン−
メンブレン膜の間に大きな応力が発生する。その結果、
2インチウエハで60から70μmという、極めて大きなそ
りが発生することが報告されている(上記“半導体研究
14"の183ページを参照のこと)。これをパターン位置ず
れ量になおすと、メンブレン膜の大きさによっては1μ
m程度の大きな値になる。また、メンブレン窓の形状が
円形でなく、矩形であれば、その角に近い部分では、複
雑な“局部的なパターン位置ずれ”が起こる場合もあ
る。
対策として、膜の堆積条件を変えて、応力の少ない膜
を形成しようとする努力がおこなわれているが、この様
な方法では、その材料の本来的な性質であるX線吸収係
数なども変化してしまうことになる。また現状では、室
温で計測して、基板のそりの少ない膜を形成することが
行われているが、これは、たまたま室温下で基板のそり
と膜応力がバランスを保っているだけで、マスクパター
ン1を形成後に基板3の裏面をエッチングして、メンブ
レン膜2を残すといった、いわゆるマスク工程が終了し
た後に、再び顕在化してくる。その結果、マスクパター
ン1、メンブレン膜2および基板3が互いに引っ張り合
う事になり、マスク全体に大きな歪みが生じる。このよ
うな歪みは、そのままマスクパターン位置のずれとなっ
て現れる。このような、パターン位置のずれの様子は各
マスクごとに、ランダムに変化するのが通例で、これを
制御するのは大変難しい。
膜の性質をいじらずに応力の影響を避ける手法もある
程度報告されている。たとえば、メンブレン膜2とマス
ク基板3に働く応力対策としては、マスク基板3を厚い
板にしっかり固定したり、マスク基板の表面と裏面を、
同じ膜構成にするなどの手法で、ある程度回避すること
ができる(文献:K.Suzuki et.al.,“High flatness mas
k for step and repeat X−ray lithography"J.Vac.Sc
i.Technol.B4(1)Jan/Feb pp.221−225(1986)。
このように、マスクパターンの位置合わせ精度を向上
させるために、さまざまな工夫がされている。しかしな
がら、マスクパターン1とメンブレン膜2の間に働く応
力の影響は、メンブレン膜2が薄いために、このような
手法によって回避することはできない。しかも、この応
力が原因でおこる“局部的なパターン位置ずれ”はパタ
ーンの密度や線幅、形状などによって影響されるので、
系統的な補正はきわめて難しく、微細なパターニング
と、正確な位置合わせを要求されるX線リソグラフィー
技術の大きな問題となっていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、マスク
パターンの位置ずれの小さい、X線リソグラフィー用マ
スクを提供することを目的としている。
「課題を解決するための手段」 上記課題を解決するための手段として、本発明のX線
リソグラフィー用マスクは、メンブレン膜とX線マスク
パターン材料として、ひとつの材料を用いたものであ
る。
「作用」 本発明のX線リソグラフィー用マスクは、上記構成と
したことにより、従来の異種材料多層膜構成のマスクで
は本質的に避けることが出来なかった、各材料間の応力
に起因した“局部的なマスクパターンの位置ずれ”を最
小限におさえることが出来る。
「実施例」 第1図は本発明の実施例を示す図であって、図中符号
1はマスクパターン、2はメンブレン膜、3は基板であ
る。本発明の特徴は、マスクパターン1とメンブレン膜
2を総て同一の材料によって構成することにある。
このような構造になっているために、本発明のX線リ
ソグラフィー用マスク(以下、マスクという)において
はマスクパターン1とメンブレン膜2の応力に起因し
た、マスクパターンの位置ずれを無くせることは明らか
である。
このようなマスクの構造を実現するマスクプロセスの
概要を第2図の(a)〜(d)に示す。まずマスク基板
3の上面にメンブレン膜2、マスクパターン1となる材
料膜4を堆積する。同時に基板3の裏面にも基板をエッ
チングするときのマスクとなる膜5を堆積する。CVD法
などの気相成長法を用いれば、膜4と5は同時に同一の
膜で、厚さも同じものを堆積でき、内部応力(主に、膜
の堆積時に、結晶構造の変化や高エネルギー原子の飛び
込みなどにより膜自体が内包してしまう真性応力)も極
めて小さく制御することが出来る。本発明においては、
このように膜5の内部応力を出来るだけ小さく制御する
ことが最も大切なポイントとなる。さらに、この材料膜
4の上面に通常のリソグラフィー工程とエッチング工程
によって、マスクパターン1を凸形に形成する。そのの
ち、基板の外枠部のみを残して、膜5を開口し、これを
マスクとして、裏面のメンブレン窓領域の下の基板3を
選択的にエッチングして完成する。膜5は(d)図のよ
うに除去してもよいが、表面の膜4との応力バランスを
とるために、残してもよい。また積極的に応力バランス
をとるために、膜4と膜5の膜厚を個々に調整して形成
してもよい。
第1の実施例のプロセス例として、高度に発達したシ
リコンLISプロセスを用いて具体化したプロセスを以下
に説明する。まず基板となるシリコン基板3の表面に、
シリコン窒化膜4,5をCVD法によって堆積する。このシリ
コン窒化膜にマスクパターン1を形成する。続いて、基
板の裏面のメンブレン窓となる部分の窒化膜5をエッチ
ングし、露出したシリコン基板を水酸化カリウム水溶液
やエチレン・ジアミン・ピロカテコールによってエッチ
ングする。エッチングはシリコン窒化膜4の下面でスト
ップするので、残ったシリコン窒化膜はメンブレン膜2
となる。最後に、裏面に残ったシリコン窒化膜5を除去
して第1図の実施例が完成する。膜4,5として、例えば
酸素を適量含ませたシリコン窒化膜を用いれば、室温で
の基板と膜4,5の間の応力を小さく出来る。このほか、
基板3と膜4,5としてはアルミナとアルミニウムなどの
上記プロセスを満たす様々な材料の組合わせが考えられ
る。
第3図は本発明の第2の実施例であって、マスク基板
3の表面にメンブレン膜2、裏面にメンブレン膜と同じ
材料の膜5があることを特徴とするマスクである。
第2図のプロセス(a)において膜4,5は同時に形成
でき、かつ(c)において、裏面の窒化膜5はプロセス
の過程で自然に残り、かつ膜5は常に表面の膜4とその
応力をバランスさせるから、残しておいたほうがマスク
のそりの量を減らすことができることは明らかである。
通常この膜5は表面の膜4と同時に形成するので同じ膜
厚となるが、もっと積極的に堆積後のエッチングなどに
よって膜厚をかえたり、追加堆積を行うなどとして、メ
ンブレン膜2の張力の微小な調整をすることも可能であ
る。X線リソグラフィー用のマスクにおいては、実際の
使用に当たって、反射防止膜、応力調整後、などを多層
にコーティングするが、これらの膜も含めて膜の堆積に
当たっては、マスクの両面に行うことによってそりを防
止し、ひいては、パターン位置精度の向上に役立てるこ
とが出来る。
第4図は本発明の第3の実施例であって、メンブレン
膜材料と結合して応力を変化させうる材料を、メンブレ
ン膜およびX線用マスクパターン材料に微量に添加した
領域6を設けたことを特徴とするマスクを示したもので
ある。このメンブレン膜と結合して応力を変化させうる
材料としては、メンブレン膜の材料との結合性を有しか
つ共有結合半径の異なる材料が使用されるが、この添加
材料の共有結合半径がメンブレン膜材料の共有結合半径
に対して小さい場合には、メンブレン膜の収縮が起こ
り、一方共有結合半径の大きい添加材料ではメンブレン
膜の延びが起こる。たとえばシリコンメンブレン膜にボ
ロンをイオン注入などによって添加すると、ボロンはシ
リコンに比べて共有結合半径が小さいために、メンブレ
ン膜が収縮する。また逆に、アンチモンなどは共有結合
半径が大きいために、メンブレン膜が延びる。このよう
な現象を利用して、メンブレン膜の張力を所望の強さに
制御することが出来る。
第5図は本発明の第4の実施例であって、基板材料と
結合して、基板3の裏面に応力を変化させうる材料を添
加した領域7を設けたことを特徴とするマスクを示した
ものである。これも第4図のマスクと同様、基板裏面に
発生する応力を利用してメンブレン膜の張力を所望の強
さに制御するものである。このような手法は、第2図の
マスクにおいては、裏面に堆積されたメンブレン膜にも
同様な手法が適用できることは明らかである。
第6図は本発明の第5の実施例であって、図中符号1
はマスクパターン、2はメンブレン膜、3は基板であ
る。本実施例の特徴は、基板3、マスクパターン1およ
び、メンブレン膜2を総て同一の材料によって構成する
ことにある。このような構成とすることによって、マス
クパターン1とメンブレン膜2の間の応力のみならず、
基板3とメンブレン膜2の間の応力を無くすことがで
き、ひいては、パターン位置精度を向上させることが出
来る。
このようなマスクの構造を実現するには、まずマスク
材料の両面を平坦に研磨して基板3を作製する。このの
ち、上面に通常のリソグラフィー工程とエッチング工程
によって、マスクパターン2を形成する。そののち、基
板の外枠部のみを残して、裏面のメンブレン領域の下の
みを選択的にエッチングして、メンブレン膜2を残して
完成する。
第7図は本発明の第6の実施例であって、図中符号1
はマスクパターン、2はメンブレン膜、3は基板で全て
同じ第1の材料によって形成されており、8は基板3と
は異なった、第2の材料からなり、ここでは中間膜8と
称する。第2の材料が具備すべき条件は以下の製作法に
おいて説明する。この実施例においても、マスクパター
ン1、メンブレン膜2、および基板3のすべては、ひと
つの材料によって構成されており、中間膜8の形成法に
よっては、第1の実施例と同様、膜の応力に起因したマ
スクパターンの位置ずれを、ほとんど無くすことが出来
る。
このようなマスクの構造を実現するプロセスを第8図
に示す。まずマスク材料の両面を平坦に研磨して基板3
を作製する。こののち、表裏面に同時に第2の膜を形成
し、続いて、第1の材料を形成する。次に、上面に通常
のリソグラフィー工程とエッチング工程によって、マス
クパターン1を形成する。さらに、基板の外枠部のみを
残して、裏面のメンブレン領域の下のみを選択的にエッ
チングし、続いて、露出した中間膜8をエッチングし
て、メンブレン膜2を残して完成する。
第6の実施例のプロセス例として、高度に発達したシ
リコンLSIプロセスを用いて具体化したプロセスを以下
に説明する。まず基板となるシリコン基板3の表面を熱
酸化して、中間膜となるシリコン酸化膜8を作製する。
次に、多結晶状態のシリコンをCVD法によって表裏面に
堆積する。この多結晶シリコン膜にマスクパターン1を
形成する。続いて、基板の裏面の多結晶シリコンと酸化
膜のメンブレン窓となる部分を開口し、さらに基板3を
水酸化カリウム水溶液やエチレン・ジアミン・ピロカテ
コールによってエッチングすれば、シリコン酸化膜8の
下面でエッチングをストップさせることが出来る。その
のち、シリコン酸化膜8を希弗酸などによってエッチン
グする。このとき、多結晶シリコンからなるメンブレン
膜2はエッチングされない。
以上は第6の実施例の一例を示したものであって、中
間膜として、選択的エッチング液の知られている様々な
材料が選べることは明らかである。たとえば、第1材料
としてシリコン酸化物、第2の材料として多結晶シリコ
ンを用いても、同様のプロセスを組めることは明らかで
ある。この他、シリコンLSIプロセスに限定しても、第
1、第2の材料として、アモルファスシリコン、シリコ
ン窒化膜、シリコンと酸素と窒素の混合膜(SiON膜)、
アルミニウムとアルミナの組み合わせなど様々な材料を
用いることができる。これらの選択的エッチング液とし
ては燐酸などがある。
また、これら中間膜を形成するに当たっては、堆積法
ばかりでなく、例えば、シリコン基板の表裏面への酸素
や窒素のイオン注入と、その後の熱処理によって形成す
る手法が考えられる。この場合の特徴は、基板の表面に
シリコン単結晶情報を残した状態で、中間層を形成でき
るので、この工程に続いて行なわれる、シリコン膜堆積
において、より基板3の物性に近いシリコンの堆積が可
能になるということである。また中間膜8は複数の膜か
ら成り立っていても良い。
第6の実施例は、第1の実施例と同様、マスクパター
ン1とメンブレン膜2の堆積温度と、常温間の熱膨張の
差に起因する膜の応力は無く、この材料間の応力によっ
てマスクパターン1に歪みが発生することはない。ま
た、中間膜8も表裏面同時に膜形成が行なわれるため
に、中間膜の応力に起因した基板のそりは発生しない。
したがって、基板3とマスクパターン1/メンブレン膜2
との間には、基板3の反りに起因した応力は発生しな
い。マスク出来上がりの状態においては、基板3の外枠
の表裏面に中間膜8が残るが表裏で応力をバランスさせ
ている上に、この部分の基板3が充分厚くできるので、
たとえば応力が存在したとしても、機械的な変形にいた
るようなことはない。さらに、基板3の厚さが充分であ
れば、基本的には中間膜8は基板裏面にある必要はない
ことも明らかである。
第6図の実施例は第1の実施例に比較してプロセスは
多くなる。しかし基板3の裏面をエッチングして、メン
ブレン膜2を残す工程で、中間膜8によってエッチング
をストップさせ易い為に、容易に薄くて均一なメンブレ
ン膜2を形成出来るという特徴がある。
第5、第6の実施例においても、第2、第3、第4の
実施例と同様の手法によって、メンブレン膜2の張力を
調整することが可能なのは言うまでもない。
これらの実施例の設計指針の共通した部分を以下にの
べる。本発明では、マスクパターンの厚さtpを、メンブ
レン膜の厚さtmよりも充分厚くすることによってマスク
コントラスト(X線透過線量比)Rを実現する。
これらの膜厚tp,tmをどのような値に設定すればよい
かについて以下に説明する。なお以下の説明では、マス
クパターンの凸部の高さをtpとして定義する。すなわち
マスクパターンの部分の膜厚は、下のメンブレン膜厚を
加えて(tp+tm)である。一般にX線が吸収係数ξ(μ
m-1)、厚さtの材料を透過する場合に、入射光強度をI
0、透過光強度をIとすると I=I0exp(−ξt) であらわされる。したがって、マスクコントラストRは R=Im/Ip=exp〔−ξ・tm〕/exp(−ξ(tm+tp))=exp(ξ・tp) となる。ここでIpはマスクパターン1とその下のメンブ
レン膜2を透過したX線の強度、Imはメンブレン膜2を
透過したX線の強度である。
これらの式から、本発明のマスクでは以下の特徴があ
ることがわかる。すなわち、本実施例では、マスク材料
と使用するX線の波長が決まれば、吸収係数ξが決まる
ので、あるマスクコントラストをねらう場合、マスク製
作工程で制御しなければならないのは、マスクパターン
1の段差高さtpだけであるということがわかる。従っ
て、メンブレン膜形成時における加工誤差がマスクパタ
ーン1の段差高さtpに比べて無視できる範囲であれば、
メンブレン膜の厚さtmは、充分厚くしてもマスクコント
ラストには影響しない。
もちろん、メンブレン膜2の厚さtmはリソグラフィー
におけるX線露光時間Tに関係する。レジストの潜像を
実現しうる最小の露光光量を、Qmin、マスクに入射する
X線の強度をI0とすれば、レジストへの最小露光時間Tm
inは Tmin=(Qmin/I0)exp(ξ・tm) となる。メンブレン膜の厚さtmはこのTminがLSIの製造
プロセスのなかで現実的な短さであれば良い。
これに比べて、従来のマスクでは、マスクパターン1
とメンブレン膜2、各々の膜を堆積する際に材料の組成
制御が難しく、一定の吸収係数を保証しにくい上に、膜
の厚さの制御も必要となる。すなわち、膜1,2の吸収係
数と膜厚という4つのパラメーターに左右される。従っ
て本実施例は、従来マスクに比べてマスクコントラスト
を制御し易いという特徴がある。
実際にどの程度のtpを実現しなければならないかを考
えるために、上の式を変形して、 tp=1n(R)/ξ の式を得る。Rとして仮に10を代入した場合には、 tp=2.3/ξ となる。たとえばマスク材料としてシリコン基板を用
い、銅の特性X線(波長13.3Å)を用いた場合、ξはお
よそ0.5μm-1なので、tpは4.6μmとしたときにマスク
コントラスト10を実現できる。また炭素の特性X線(波
長44.8Å)を用いた場合、ξは10μm-1となるので、tp
=0.23μmのときにマスクコントラスト10を実現でき
る。マスク材料としては、その硬度やX線の吸収係数、
加工のしやすさなどから、シリコンやシリコン窒化膜、
アルミニウムなどを自由に選択することができる。
またX線として、シンクロトロン放射光を利用すれ
ば、X線の強度および波長も、かなり高範囲に選択する
ことが出来る。本発明のマスクのようにマスクパターン
の高さtpが比較的大きいマスクでは、点光源X線源を用
いると、マスクパターンの影の部分が大きくなり、ぼけ
の原因となる。しかし、シンクロトロン放射光のように
平行性の強いX線であればこの様な心配はない。
「発明の効果」 以上説明したように、本発明のマスクはマスクパター
ン、メンブレン膜をひとつの材料によって構成している
ために、膜の応力に起因したマスクパターンの位置ずれ
を本質的に無くせるという効果がある。
またマスクコントラストが、マスク材料のX線吸収係
数とパターンの段差高さだけに依存するので、所望のコ
ントラストを実現し易いという効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1の実施例を示すマスクの断面図で
ある。 第2図は第1の実施例のマスクのプロセスフローであ
る。 第3図は本発明の第2の実施例を示すマスクの断面図で
ある。 第4図は本発明の第3の実施例を示すマスクの断面図で
ある。 第5図は本発明の第4の実施例を示すマスクの断面図で
ある。 第6図は本発明の第5の実施例を示すマスクの断面図で
ある。 第7図は第6の実施例のマスクのプロセスフローであ
る。 第8図は本発明の第6の実施例を示すマスクの断面図で
ある。 第9図は従来のX線マスクの例を示す断面図である。 1……マスクパターン、 2……メンブレン膜、 3……基板、 4……マスクパターンとメンブレン膜となる膜、 5……4と同材料の裏面積、 6……異なった材料が添加されたメンブレン膜の領域、 7……異なった材料が添加された基板裏面領域、 8……中間層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−263636(JP,A) 特開 昭63−202022(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 21/027 G03F 1/16

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透孔を持たないメンブレン膜上にX線マス
    クパターンが積重されてなるX線リソグラフィー用マス
    クであって、メンブレン膜とX線マスクパターンが同じ
    材料で形成されたことを特徴とするX線リソグラフィー
    用マスク。
  2. 【請求項2】窓となる貫通孔が穿設された基板上に透孔
    を持たないメンブレン膜とその上にX線マスクパターン
    が積重されてなるX線リソグラフィー用マスクであっ
    て、メンブレン膜とX線マスクパターンが同じ材料で形
    成され、且つ基板の裏面にメンブレン膜と同じ材料から
    なる膜が設けられたことを特徴とするX線リソグラフィ
    ー用マスク。
  3. 【請求項3】窓となる貫通孔が穿設された基板上に透孔
    を持たないメンブレン膜とその上にX線マスクパターン
    が積重されてなるX線リソグラフィー用マスクであっ
    て、メンブレン膜とX線マスクパターンが同じ材料で形
    成され、且つメンブレン膜とX線マスクパターンのうち
    少なくともメンブレン膜の一部に、該メンブレン膜の材
    料と結合性を有しかつ共有結合半径の異なる材料を添加
    した領域を形成したことを特徴とするX線リソグラフィ
    ー用マスク。
  4. 【請求項4】窓となる貫通孔が穿設された基板上に透孔
    を持たないメンブレン膜とその上にX線マスクパターン
    が積重されてなるX線リソグラフィー用マスクであっ
    て、メンブレン膜とX線マスクパターンが同じ材料で形
    成され、且つ基板の裏面に該部の応力を変化させる材料
    を添加した領域があることを特徴とするX線リソグラフ
    ィー用マスク。
  5. 【請求項5】窓となる貫通孔が穿設された基板上に透孔
    を持たないメンブレン膜とその上にX線マスクパターン
    が積重されてなるX線リソグラフィー用マスクであっ
    て、メンブレン膜とX線マスクパターンが、基板と同じ
    材料で形成されたことを特徴とするX線リソグラフィー
    用マスク。
  6. 【請求項6】窓となる貫通孔が穿設された基板上に透孔
    を持たないメンブレン膜とその上にX線マスクパターン
    が積重されてなるX線リソグラフィー用マスクであっ
    て、メンブレン膜以外の基板の上に、この材料と同じエ
    ッチング手段でエッチングを行った場合そのエッチング
    速度が遅い第2の材料膜があり、さらにその上にメンブ
    レン膜があることを特徴とするX線リソグラフィー用マ
    スク。
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