JP2792143B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP2792143B2 JP26249189A JP26249189A JP2792143B2 JP 2792143 B2 JP2792143 B2 JP 2792143B2 JP 26249189 A JP26249189 A JP 26249189A JP 26249189 A JP26249189 A JP 26249189A JP 2792143 B2 JP2792143 B2 JP 2792143B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は電子写真感光体に関し、さらに詳しくは耐刷
性、耐溶剤性に優れた有機系電子写真感光体に関する。
[従来の技術] 複写機や光プリンタなどの電子写真プロセスに用いら
れる光導電体としては、古くからセレン、硫化カドミウ
ム、酸化亜鉛などが知られているが、これらの無機光導
電体に対し、軽量で可撓性に富むこと、低毒性であるこ
と、透明性の良いものが得られることなどの利点を有す
る有機光導電体を用いた有機系電子写真感光体が近年よ
く使用されるようになってきている。
[発明が解決しようとする課題] しかし、従来の有機系電子写真感光体においては、無
機光導電体を用いた電子写真感光体と比べて、表面硬度
が劣るため耐久性が悪いこと、および耐溶剤性が悪いた
め高解像度が得られる液体現像プロセスに使用しにくい
ことなどの問題点があった。
このような問題に対する対策として、例えば特開昭58
年198047号公報や特開昭59年220743号公報に記述されて
いるように、表面保護層を設ける方法がくつか提案され
ている。しかし、表面保護層を設けることにより、残留
電位の上昇やそれに伴う印字品質の低下などの問題がし
ばしば現われ、またその防止のために導電性物質などを
添加すると、画像ボケや感光層への電荷注入の問題が生
じるため、満足のいくものは得られていない。
従って、本発明の目的は、新規な表面保護層を使用す
ることにより、耐久性、耐溶剤性にすぐれ、さらに電子
写真特性、画像特性に問題のない有機系電子写真感光体
を提供することである。
[課題を解決するための手段] 本発明の感光体は、導電層、有機光導電体を用いた感
光層および表面保護層をこの順に備えた電子写真感光体
において、該表面保護層を、表面官能基としてポリオキ
シアルキレン基と水酸基を有するアクリル系架橋ポリマ
ー粒子とアルキルエーテル化メラミン−ホルムアルデヒ
ド樹脂とを反応させ硬化して得た層で形成してなること
を特徴とする電子写真感光体である。
従来、表面官能基として水酸基を有するアクリル系ポ
リマー粒子をアルキルエーテル化メラミン−ホルムアル
デヒド樹脂で硬化しすることにより、堅牢な塗膜が得ら
れることが知られており、自動車塗装などの分野で実用
化されている(色剤協会誌、第50巻、22頁参照)。さら
に最近の研究結果として、表面官能基として水酸基を有
するアクリル系ポリマー粒子を架橋したものを用いる
と、これをアルキルエーテル化メラミン−ホルムアルデ
ヒド樹脂で硬化した場合、堅牢性、耐溶剤性がより優れ
た塗膜が得られることが明らかになっている(色剤協会
誌、第53巻、7頁参照)。しかし、このような塗膜を保
護層として検討してみると、堅牢性に優れるものの、抵
抗率が高いため感光耐の残留電位が高くなるなど、電子
写真特性を損なうという問題があることが明らかになっ
た。
その対策として、抵抗率を低下させるために、低分子
の帯電防止剤などを添加すると、膜強度の低下や添加剤
のブリードアウトやトナーのフィルミングなどの問題が
生じる。
本発明者らは、この問題を解決するためにポリマー粒
子自体に適度の導電性を持たせる方法の検討を行った結
果、アクリル系架橋ポリマー粒子に表面官能基として水
酸基とともにポリオキシアルキレン基を導入したものを
アルキルエーテル化メラミン−ホルムアルデヒド樹脂で
硬化して得た塗膜が、適度の導電性を有し、保護層とし
て用いても感光体の電子写真特性を低下させないことを
見出し本発明に到達した。
本発明で言う、ポリアルキレンオキシド基とは、以下
に示す一般式で表わされる二価の基である。
−(−O−R−)− ここで、Rは炭素数が1から8のアルキレン基を表わ
し、nは3から300の数を表わす。Rの例としてはメチ
レン、エチレン、エチリデン、プロピレン、テトラメチ
レンなどが挙げられる。なお、エチレンオキシドとプロ
ピレンオキシドの共重合体や、1,3−ジオキソランの重
合体のように2種類以上のRが混在するものも含むもの
とする。
本発明に使用する、表面官能基としてポリオキシアル
キレン基と水酸基を有するアクリル系架橋ポリマー粒子
は、ポリオキシアルキレン基と水酸基を有するアクリル
モノマーと必要に応じ他のビニルモノマーおよび架橋用
モノマーの混合物を乳化重合することにより水分散液と
して得られる。
ポリオキシアルキレン基と水酸基を有するアクリルモ
ノマーとしては、ポリオキシメチレンアクリル酸モノエ
ステル、ポリオキシメチレンメタクリル酸モノエステ
ル、ポリオキシエチレンメタクリル酸モノエステル、ポ
リオキシプロピレンアクリル酸モノエステル、ポリオキ
シプロピレンメタクリル酸モノエステル、ポリオキシテ
トラメチレンアクリル酸モノエステル、ポリオキシテト
ラメチレンメタクリル酸モノエステル、ポリエチレング
リコールとアクリル酸グリシジルの付加物、ポリプロピ
レングリコールとアクリル酸グリシジルの付加物、ポリ
エチレングリコールとヒドロキシメチルアクリルアミド
の付加物、特開昭63−137914号公報中の参考例2,4,5に
示されるモノマーなどが挙げられる。これらのモノマー
は複数種混合して用いることができる。
これと共重合させるビニルモノマーとしては、アクリ
ル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸
ブチル、アクリル酸s−ブチル、メタクリル酸s−ブチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−
エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル
酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシ
エチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸
ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ジメチルアミノエ
チル、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル、アクリ
ル酸シアノエチル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリ
ルアミド、ヒドロキシメチルアクリルアミド、ヒドロキ
シエチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミ
ド、ヒドロキシフェニルアクリルアミド、アクリロニト
リルなどのアクリル系モノマーやスチレン、マレイン
酸、酢酸ビニルなどのアクリル系以外のビニルモノマー
が挙げられる。これらのモノマーも複数種混合して用い
ることができる。
さらに粒子を内部架橋するために分子内に複数の不飽
和結合を有するモノマーが架橋用モノマーとして用いら
れる。架橋用モノマーとしては、エチレングリコールジ
アクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、
ネオペンチレングリコールジメタクリレート、ネオペン
チレングリコールジアクリルレート、1,3−ブチレング
リコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ
アクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレ
ート、アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、フタル酸
ジアリル、テレフタル酸ジアリルなどを使用することが
できる。
乳化重合は、上記のモノマーの混合物と重合開始剤、
さらに必要に応じて乳化剤、連鎖移動剤、pH調整剤など
を水中に滴下し、60〜95℃の温度で撹拌しながら反応さ
せることにより行うことができる。
重合開始剤は、水溶性のものを用いることが好まし
く、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、アゾビスイ
ソブチルアミジン塩酸塩、アゾビスシアノ吉草酸などが
好ましく用いられる。
乳化剤は、重合に使用するモノマー自体に十分な乳化
作用がある場合などは必ずしも使用する必要はないが、
使用する場合は、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルベ
ンゼン硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポ
リオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのノニ
オン性界面活性剤、ポリビニルアルコール、ポリメタク
リル酸、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性高分
子が好ましく使用される。
連鎖移動剤は、必ずしも使用する必要はないが、使用
する場合は、ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプ
タンなどのメルカプタン類が好ましく使用される。
pH調整剤は、必ずしも使用する必要はないが、使用す
る場合は、炭酸水素ナトリウム、アンモニア水、エタノ
ールアミンなどの水溶性弱塩基が好ましく使用される。
本発明の電子写真感光体の保護層は、上記のようにし
て得られるアクリル系架橋ポリマー粒子の水分散液に、
アルキルエーテル化メラミンホルムアルデヒド樹脂ある
いはその溶液を添加し、溶媒を加えて濃度を調整した塗
料を、感光層上に塗布し、熱硬化させることにより得ら
れる。
塗料の希釈に用いる溶媒としては、水、アルコール系
溶媒、またはこれらの混合溶媒が好ましく使用される。
アクリル系架橋ポリマー粒子とアルキルエーテル化メ
ラミンホルムアルデヒド樹脂の混合比は、不揮発分の重
量比で1/3〜3〜1が好ましい。
表面保護層の硬化条件は、温度が90〜140℃、時間が1
0〜120分の範囲であることが好ましい。
表面保護層は、膜厚が厚いほど耐久性が増すが、膜厚
が厚過ぎると、残留電位が繰り返しにより上昇したり、
画像がボケたりする問題が生じる。表面保護層の好まし
い膜厚は0.3〜4μmである。
表面保護層の塗料には、pH調整剤、架橋触媒、界面活
性剤、潤滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、有機
ないし無機の粒子、金属塩、アルキルエーテル化メラミ
ン−ホルムアルデヒド樹脂と反応可能な樹脂または低分
子化合物などを添加することができる。これらの添加剤
の添加量は、不揮発物中の重量分率が15%を超えない範
囲で添加することが好ましい。
本発明の感光層は、有機光導電体を使用するものであ
る。有機光導電体を用いた感光層には、単一の有機光導
電体からなるものと、電荷発生物質と電荷移動物質を組
み合わせた機能分離型のものがある。
単一の有機光導電体からなる感光層としては、ポリビ
ニルカルバゾールとトリニトロフルオレノンの電荷移動
錯体、増感剤を添加したポリビニルカルバゾール、フタ
ロシアニンなどの有機顔料を樹脂中に分散させたものな
どが使用される。この場合の感光層の好ましい膜厚は5
〜30μmであり、さらに好ましくは10〜25μmである。
機能分離型の感光層は、単一層中に電荷発生物質と電
荷移動物質を含有する単層型のものでもよく、それぞれ
が電荷発生物質と電荷移動物質のうち少なくとも一方を
含有する組成の異なる層を複数層積層して形成され全体
として電荷発生物質と電荷移動物質を含有するようにせ
しめた積層型のものでもよい。従って、機能分離型の感
光層の構成としては例えば以下に挙げるようなものが可
能である。
(1)導電層/電荷発生物質を含有する層/電荷移動物
質を含有する層 (2)導電層/電荷移動物質を含有する層/電荷発生物
質を含有する層 (3)導電層/電荷発生物質と電荷移動物質を含有する
層 通常用いられる電荷移動物質は正孔移動型であるの
で、カールソン方式の電子写真プロセスに使用する場
合、構成(1)の感光層を有する感光体は負帯電で、構
成(2)の感光層を有する感光体は正帯電で、構成
(3)の感光層を有する感光体は正帯電、負帯電ともに
使用される。
電荷移動物質として電子移動型のものを使用した場合
は、構成と帯電方式の関係は上記の逆になる。
上述の各構成の感光層は接着性向上や電荷注入の制御
のため層間に適当な中間層を設けたり、各層中の成分濃
度を厚さ方向に変化させたりすることができる。
本発明の感光体の感光層構成は上述の基本構成以外に
も各種の変形が可能であるが、最も一般的なものは構成
(1)の感光層である。以下構成(1)の感光層を有す
る感光体について詳述する。
構成(1)の電荷発生物質を含む層、すなわち電荷発
生層に用いられる電荷発生物質としては、あらゆる公知
のものが使用できる。例えば以下のようなものが挙げら
れるが、これらに限定されない。
(a)アゾ顔料 (b)ペリレン系顔料 (c)フタロシアニン誘導体 (d)スクアリリウム色素 (e)ピリリウムおよびチオピリリウム誘導体 (f)芳香族多環キノン化合物 (g)ピロロピロール誘導体 これらの電荷発生物質は、分光特性の調整や特性の安
定化の目的で、複数のものを組み合わせて使用すること
ができる。
電荷発生層は、導電層上に、電荷発生物質を溶媒中に
分散させた塗料、あるいは電荷発生物質と適当な結着性
樹脂とを溶媒中に分散させた塗料を塗布すること、ある
いは電荷発生物質を蒸着することにより形成される。電
荷発生層の塗布量ないし付着量は多すぎると帯電性の低
下、繰返し安定性の低下をきたし、少なすぎると感度の
低下をきたす。電荷発生層の好ましい塗布量ないし付着
量は0.01〜1g/cm2である。
電荷発生層が電荷発生物質と結着性樹脂とで構成され
る場合、結着性樹脂としては公知のものが用いられる。
好ましく用いられる結着性樹脂としては次のようなもの
が挙げられる。
ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイミ
ド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアセター
ル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、
ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、
ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、アル
キド樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ
樹脂、尿素樹脂などが挙げられるが、これらに限定され
ない。これらの結着性樹脂は、単独でも2種以上の混合
系であってもよく、共重合体であってもよい。また適当
な架橋剤を加えて架橋してもよい。
結着性樹脂を用いる場合、電荷発生物質と結着性樹脂
との重量比は、膜強度、接着性および感度の点から1/0.
2〜1/2とするのがよい。
構成(1)における電荷移動物質を含む層、すなわち
電荷移動層には、電荷移動物質としてあらゆる公知のも
のが使用できる。電荷移動物質には正孔移動型のものと
電子移動型のものが知られているが、いずれを用いるこ
とも可能である。正孔移動型電荷移動物質の例として
は、 (a)ヒドラゾン化合物 (b)エナミン化合物 (c)オキサジアゾール誘導体 (d)ピラゾリン誘導体 (e)オキサゾール誘導体 (f)カルバゾール誘導体 (g)芳香族アミン誘導体 (h)スチルベン誘導体 (i)アリールブタジエン誘導体 (j)アリールヘキサトリエン誘導体 (k)有機ポリシラン誘導体 などが挙げられ、電子移動型電荷移動物質の例として
は、 (l)芳香族ニトロ化合物 (m)ジフェノキノン誘導体 などが挙げられるが、本発明に使用される電荷移動物質
はこれらに限定されない。
電荷移動層は、上記電荷移動物質と適当な結着性樹脂
とを、適当な溶媒中に溶解または分散させて得られる塗
料を、電荷発生層上に塗布することにより形成される。
好ましく使用される結着性樹脂としては、前記電荷発生
層の項において例示したのと同様の樹脂が挙げられる。
電荷移動層中の電荷移動物質の結着性樹脂に対する好ま
しい重量比は、感度、応答速度および膜強度の点から1/
0.2〜1/2とするのがよい。電荷移動層の膜厚は、薄すぎ
ると感光体の帯電能の低下をきたし、厚すぎると応答速
度の低下、残留電位の増大をきたす。電荷移動層の好ま
しい膜厚は、5〜30μmであり、さらに好ましくは10〜
25μmである。
またこの電荷移動層には、耐久性、繰り返し安定性な
どを向上させるために、酸化防止剤、紫外線吸収剤など
を添加することができる。
次に構成(1)以外の感光層構成について述べる。
構成(2)における電荷移動物質を含有する層および
電荷発生物質を含有する層は、積層順序が異なることを
除けば、構成(1)における対応する層と同様のものが
用いられる。
構成(2)の感光層を用いた感光体は、正帯電プロセ
スに使用される。正帯電プロセスはコロナ帯電の安定性
がよい、オゾンの発生が少ないなどの利点があるが、こ
れまでのところ、正帯電プロセス用の有機系電子写真感
光体は負帯電プロセス用の有機系電子写真感光体より性
能の劣るものしか得られていない。構成(2)の感光層
をもつ感光体は正帯電プロセスで用いても優れた特性を
示すが、表面保護層がない場合は表面に膜厚の薄い電荷
発生層が露出するため、耐久性に著しく欠けるためその
ままでは実用化は不可能である。しかし、本発明の表面
保護層を設けることにより特性を損なうことなく実用上
十分な耐久性を持たせることができる。
構成(3)における電荷移動物質と電荷発生物質を含
有する層は、電荷移動物質と電荷発生物質と結着性樹脂
とを溶媒中に分散させた塗料を導電層上に塗布すること
により形成される。該層の膜厚は薄すぎると感光体の帯
電能の低下をきたし、厚すぎると応答速度の低下をきた
す。該層の好ましい膜厚は5〜30μmである。ここで用
いられる電荷移動物質、電荷発生物質、結着性樹脂は構
成(1)で用いられるものと同様のものが用いられる。
該層中の電荷発生物質の電荷移動物質に対する重量比は
小さすぎると感度の低下をきたし、大きすぎると帯電性
の低下、繰返しに対する安定性の低下をきたす。該層中
の電荷発生物質の電荷移動物質に対する好ましい重量比
は1/2〜1/1000である。また、該層中の電荷移動物質の
結着性樹脂に対する重量比は、小さすぎると感度、応答
速度の低下をきたし、大きすぎると膜強度の低下をきた
す。該層中の電荷移動物質の結着性樹脂に対する好まし
い重量比は1/0.2〜1/2である。
導電層としてはあらゆる公知のものが用いられる。例
えば金属材料を所定の形状に加工したものが用いられ
る。この場合金属材料の例としては、アルミニウム、ス
テンレススチール、銅、ニッケルなどが挙げられる。ま
た、適当な支持体の上に導電性物質の薄膜を形成したも
のも用いられる。この場合支持体の例としては、ガラ
ス、樹脂、金属、紙、布帛などが挙げられ、導電性物質
の例としては、アルミニウム、パラジウム、ロジウム、
金、白金などの金属、炭素、あるいは、酸化スズ、酸化
インジウムスズ、高分子電解質、導電性高分子などの導
電性化合物が挙げられ、形成方法の例としては、蒸着、
スパッタ、コーテイング、ラミネート、メッキなどの手
段が挙げられる。導電層の形状は使用目的に応じて、平
板、ドラム、フィルム、エンドレスベルトなどの中から
自由に選択することができる。
以上述べた感光層と導電層の間には、接着性の向上
や、電荷注入の制御のために適当な中間層を設けること
ができる。
[実施例] 以下本発明を実施例にしたがって説明するが、本発明
はこれらに限定されない。
比較例1 チタニルフタロシアニン1.75部とポリビニルブチラー
ル樹脂“エスレック"BL−1(積水化学)1.75部をシク
ロヘキサノン96.5部に分散した塗液を調製し、メタリン
グバーを用いてアルミ箔上に固形分塗布量が0.5g/m2
なるよう塗布して80℃で20分間乾燥して電荷発生層を形
成した。
これに次式の電荷移動物質50部とポリアリレート樹脂
U−100(ユニチカ)を1,2−ジクロロエタンに溶解した
塗料をメタリングバーを用いて塗布し、80℃で20分間乾
燥して膜厚20μmの電荷移動層を形成して構成1の感光
層をもつ感光体サンプルを作成した。
この感光体サンプルの電子写真特性測定を次のような
条件で行った。静電複写紙試験装置EPA−8100(川口電
機)を用い、モードSTAT−1、コロナ電圧−5kVで帯電
し、1秒の暗減衰の後、800nmの単色光を露光強度1μW
/cm2で5秒照射し、電位減衰曲線から、半減露光量と残
留電位を求め、以下の結果を得た。
半減露光量 0.30μJ/cm2 残留電位 0 V 比較例2 表面官能基として水酸基を有するがポリオキシアルキ
レン基をもたないアクリル系架橋ポリマー粒子の20%水
分散液“マイクロジェル"E−727(日本ペイント)100部
とメチルエーテル化メラミン−ホルムアルデヒド樹脂77
%水溶液“スミマール"M−30W(住友化学)20部とメタ
ノール100部を混合し、表面保護層塗料を調製した。こ
の塗料を比較例1と同じ条件で作成した感光層上にメタ
リングバーにて塗布し、100℃で1時間乾燥して膜厚1
μmの表面保護層を形成した感光体サンプルを作成し
た。
この感光体サンプルを比較例1と同一の条件で電子写
真特性測定を行い、以下の結果を得た。
半減露光量 0.40μJ/cm2 残留電位 −70V この例では表面保護層を設けることにより、感度が低
下し、残留電位が大きくなり、電子写真特性が損なわれ
ている。
実施例1 ポリオキシエチレンメタクリル酸エステル(ポリオキ
シエチレン基の重合度が約6のもの)20部、メタクリル
酸メチル20部、アクリル酸ブチル20部、スチレン24部、
エチレングリコールメタクリル酸ジエステル16部の混合
液を調製した。これをA液とする。
アゾビスシアノ吉草酸1部を炭酸水素ナトリウム水溶
液で中和し、ラウリル硫酸ナトリウム0.6部を加え、イ
オン交換水で希釈して全量を20部とした溶液を調製し
た。これをB液とする。
イオン交換水380部を80℃に昇温し、窒素気流下で撹
拌しながらA液とB液を同時に2時間かけて滴下し、表
面官能基としてポリオキシエチレン基と水酸基を有する
アクリル系架橋ポリマー粒子の20%水分散液を得た。
上記のようにして得た水分散液100部とメチルエーテ
ル化メラミン−ホルムアルデヒド樹脂77%水溶液“スミ
マール"M−30W(住友化学)20部とメタノール100部を混
合し、表面保護層塗料を調製した。この塗料を比較例1
と同じ条件で作成した感光層上にメタリングバーにて塗
布し、100℃で1時間乾燥して膜厚1μmの表面保護層
を形成した感光体サンプルを作成した。
この感光体サンプルを比較例1と同一の条件で電子写
真特性測定を行い、以下の結果を得た。
半減露光量 0.31μJ/cm2 残留電位 −1V 実施例2 表面官能基としてポリオキシプロピレン基と水酸基を
有するアクリル系架橋ポリマー粒子の20%水分散液“マ
イクロジェル"E−703(日本ペイント)100部とメチルエ
ーテル化メラミン−ホルムアルデヒド樹脂77%水溶液
“スミマール"M−30W(住友化学)20部とメタノール100
部を混合し、表面保護層塗料を調製した。この塗料を比
較例1と同じ条件で作成した感光層上にメタリングバー
にて塗布し、100℃で1時間乾燥して膜厚1μmの表面
保護層を形成した感光体サンプルを作成した。
この感光体サンプルを比較例1と同一の条件で電子写
真特性測定を行い、以下の結果を得た。
半減露光量 0.30μJ/cm2 残留電位 −2V 実施例1および実施例2の結果から、本発明の表面保
護層は感光体の電子写真特性をほとんど損なわないこと
がわかる。
比較例3 比較例1で作成した感光体サンプルを、液体現像プロ
セスに用いられる溶媒であるアイソパーGに24時間浸漬
したところ、電荷移動物質の溶出がおこり、アイソパー
Gは黄色に着色し、感光体表面には無数のクラックが生
じていた。したがって表面保護層のない感光体は液体現
像プロセスには使用不可能であることがわかる。
実施例3 実施例1で作成した感光体サンプルを、アイソパーG
に24時間浸漬したが、電荷移動物質の溶出によるアイソ
パーGの着色はみられず、感光体表面にも変化はみられ
なかった。
実施例4 実施例2で作成した感光体サンプルを、アイソパーG
に24時間浸漬したが、電荷移動物質の溶出によるアイソ
パーGの着色はみられず、感光体表面にも変化はみられ
なかった。
実施例3および実施例4の結果から、本発明の保護層
を設けることにより、有機系感光体を液体現像プロセス
に適用することが可能になることがわかる。
比較例4 比較例1で作成した感光体サンプルの摩耗試験をテー
バー摩耗試験器モデル5130(テレダイン・テーバー社)
を用いて行った。摩耗輪はCS−10Fを用い、加重は500g
とした。1μmの摩耗に要する回転数は100回であっ
た。
実施例5 実施例1で作成した感光体サンプルの摩耗試験を比較
例4と同じ条件で行った。1μmの摩耗に要する回転数
は160回であった。
この結果から本発明の表面保護層を設けることにより
感光体の耐摩耗性が向上することがわかる。
実施例6 実施例2で作成した感光体サンプルの摩耗試験を比較
例4と同じ条件で行った。1μmの摩耗に要する回転数
は180回であった。
実施例5および実施例6の結果から、本発明の表面保
護層を設けることにより感光体の耐摩耗性が向上するこ
とがわかる。
実施例7 実施例2と同様の感光層、表面保護層をアルミニウム
ドラム上に浸漬法で形成した感光体を作成し、市販LED
プリンタPC−PR601(日本電気)に装着し、3万枚の印
字試験を行なった。印字試験前後の白地部と黒地部の印
字濃度の変化を画像濃度計マクベスTR927で測定した結
果を以下に示す。
印字試験前 印字試験後 白地部 0.09 0.08 黒地部 1.26 1.23 印字試験後のドラムの表面をルーペで観察したが、著
しい傷などは認められなかった。
この結果から本発明の感光体が実用上十分な耐久性お
よび安定性を有することがわかる。
比較例5 アルミ箔上に実施例1と同様の電荷移動層をメタリン
グバーで塗布して形成した。次いで、その上にチタニル
フタロシアニン1.75部、ポリビニルブチラール樹脂“エ
スレック"BL−1(積水化学)1.75部をブタノール96.5
部に分散し、硬化剤“コロネート"2513(日本ポリウレ
タン)0.19部を添加した塗料をメタリングバーで塗布し
て電荷発生層を形成し、構成2の感光層をもつ感光体サ
ンプルを作成した。
この感光体サンプルの電子写真特性測定を次のような
条件で行った。静電複写紙試験装置EPA−8100(川口電
機)を用い、モードSTAT−1、コロナ電圧+5kVで帯電
し、1秒の暗減衰の後、800nmの単色光を露光強度1μW
/cm2で5秒照射し、電位減衰曲線から、半減露光量と残
留電位を求め、以下の結果を得た。
半減露光量 0.32μJ/cm2 残留電位 2V 実施例8 比較例5と同様の条件で作成した感光層上に、実施例
2と同様の保護塗料をメタリングバーで塗布し表面保護
層を形成した感光体サンプルを作成した。
この感光体サンプルについて比較例5と同一の条件で
電子写真測定を行ない以下の結果を得た。
半減露光量 0.32μJ/cm2 残留電位 5V 比較例6 比較例5で形成した感光体サンプルの摩耗試験を比較
例4と同じ条件で行ったところ、30回転以内で電荷発生
層が摩耗して消失してしまった。
実施例9 実施例8で作成した感光体サンプルの摩耗試験を比較
例4と同じ条件で行った。1μmの摩耗に要する回転数
は180回であった。この結果から表面保護層を設けるこ
とによりはじめて構成2の感光層を有する感光体に耐摩
耗性をもたせることが可能になることがわかる。
実施例10 実施例8と同様の感光層、表面保護層をアルミニウム
ドラム上に浸漬法で形成した感光体を作成し、市販レー
ザープンリンタPC−PR406LP(日本電気)を改造して正
帯電反転現像プロセスで印字するようにした装置に装着
し、3万枚の印字試験を行なった。印字試験前後の白地
部と黒地部の印字濃度の変化を画像濃度計マクベスTR92
7で測定した結果を以下に示す。
印字試験前 印字試験後 白地部 0.08 0.08 黒地部 1.22 1.19 印字試験後のドラムの表面をルーペで観察したが、著
しい傷などは認められなかった。
この結果から本発明の保護層を設けることにより、本
来耐久性の劣る構成2の感光層を用いた場合でも実用上
十分な耐久性および安定性を有するようになることがわ
かる。
[発明の効果] 本発明における新規な表面保護層を使用することによ
り、耐久性、耐溶剤性にすぐれ、さらに電子写真特性、
画像特性に問題のない有機系電子写真感光体を得ること
ができ、これにより感光体の長寿命化、高解像度が得ら
れる液体現像プロセスへの適用、コロナ帯電が安定でオ
ゾン発生の少ない正帯電プロセスへの適用が可能になっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03G 5/00 - 5/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電層、有機光導電体を用いた感光層およ
    び表面保護層をこの順に備えた電子写真感光体におい
    て、該表面保護層を、表面官能基としてポリオキシアル
    キレン基と水酸基を有するアクリル系架橋ポリマー粒子
    とアルキルエーテル化メラミン−ホルムアルデヒド樹脂
    とを反応させ硬化して得た層で形成してなることを特徴
    とする電子写真感光体。
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