JP2787949B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

自動変速機の制御装置

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JP2787949B2 JP31054488A JP31054488A JP2787949B2 JP 2787949 B2 JP2787949 B2 JP 2787949B2 JP 31054488 A JP31054488 A JP 31054488A JP 31054488 A JP31054488 A JP 31054488A JP 2787949 B2 JP2787949 B2 JP 2787949B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本願発明は自動変速機の制御装置に関するものであ
る。
(従来技術) トルクコンバータを備えた自動変速機においては、該
トルクコンバータのタービンランナーとポンプインペラ
との間におけるスベリに起因する燃費悪化を改善する目
的から、該タービンランナーとポンプインペラとを直結
可能とするロックアップクラッチを設け、該ロックアッ
プクラッチの作動を制御することにより、異なる三つの
トルク伝達形状を選択できるようにしている。
即ち、高車速域においては該ロックアップクラッチを
完全締結してタービンランナーとポンプインペラとを直
結してトルクを機械的に伝達し、(以下、このトルク伝
達状態を「ロックアップ状態」という)、またこのロッ
クアップ領域より低車速側で且つ低負荷域においては該
ロックアップクラッチを半締結状態のして所定のスベリ
量をもちながらタービンランナーとポンプインペラとを
締結してトルクを機械的のみならず流体を介しても伝達
できるようにし、(以下、このトルク伝達状態をスリッ
プ状態」という)、さらにこれらロックアップ領域及び
スリップ領域以外の領域では流体を介してのみトルクを
伝達する(以下、このトルク伝達状態を「コンバータ状
態」という)ようにしている。
また、「ロックアップ状態」と「スリップ状態」と
「コンバータ状態」とそれぞれ変速ショックとの関係
は、トルク伝達形態の相違に対応して、「ロックアップ
状態」での変速時における変速ショックが最も大きく、
「コンバータ状態」での変速における変速ショックが最
も小さく、「スリップ状態」での変速時における変速シ
ョックはこれら両者の中間に位置する。
一方、燃費改善の目的から、通常エンジンにおいては
その減速時にはエンジンに対する燃料供給を一時的に中
止し、エンジン回転数が所定回転数まで低下した時点で
燃料供給を再開できるように燃料制御を行なうのが一般
的である。ところがこの場合、トルクコンバータ付き自
動変速機を備えたエンジンにあっては、トルクコンバー
タのスベリにより減速時にエンジン回転数が急速に落ち
込んで燃料カット領域が狭くなり、燃料カットによる効
果が十分に得られないことになる。
このことから、トルクコンバータ付自動変速機を備え
たエンジンにあっては、減速時にはシフトダウンを高車
速側で行ってエンジン回転数を高めるとともに、ロック
アップクラッチを「ロックアップ状態」あるいは「スリ
ップ状態」としてエンジン回転数の落ち込みを制御して
燃料カットの領域の拡大を図ることが行なわれている
(例えば、特公昭59ー7865号広報には、減速時(ブレー
キ操作時)にシフトダウンを行ない且つトルクコンバー
タをロックアップ状態のすることが開示されている)。
尚この減速時にトルクコンバータを「ロックアップ状
態」あるいは「スリップ状態」とするのは、上述の理由
の他に減速時におけるエンジンブレーキの応答性を良好
に維持するという目的もある。
(発明が解決しようとする課題) ところが、このように、減速時にシフトダウン車速を
高車速側に設定するとともに、トルクコンバータを「ロ
ックアップ状態。あるいは「スリップ状態」とするもの
においては、燃料カット領域の拡大による燃費性能の向
上とエンジンブレーキの応答性の向上のが図れるもの
の、次のような問題があった。
即ち、一般に減速時には、起因の異なる二つのシフト
ダウンが前後して行われる。その一つは、運転者の意識
的な減速操作(例えばアクセルペダルの踏み込みの解除
等)に起因するシフトダウン(以下、この場合のシフト
ダウンを「アクセルオフ時のシフトダウン」という)で
ある。他の一つは、運転者の意識的な操作によらず、車
速の低下に判って実行されるシフトダウン(以下、この
場合のシフトダウンを「車速低下に伴うシフトダウン」
という)である。そして、減速時には、先ず最初に「ア
クセルオフ時のシヘトダウン」が行われ、しかる後「車
速低下に判うシフトダウン」が実行されるものである。
一方、この二つのシフトダウンのうち、「アクセルオ
フ時のシフトダウン」は、運転者自信が操作を意識的に
行っているため、そのシフトダウンの実行によって変速
ショックが生じたとしても運転者はさほど違和感を感じ
ない。そころが、「車速低下に伴うシフトダウン」、そ
のシフトダウンの実行を運転者が予期していないもので
あるため、シフトダウンの実行により変速ショックが発
生した場合には運転者が違和感を感じることになる。
従って、このようにその起因の異なる減速時における
二つのシフトダウンが、従来のように、共に「ロックア
ップ状態」あるいは「スリップ状態」の下で行われる
と、特に、「車速低下に伴うシフトダウン」においては
比較的大きな変速ショックが発生することから運転者に
与える違和感が大きくなるドライバービリティが損なわ
れるという問題が生じる。
一方、かかる問題を回避すべく、例えば、上記二つの
シフトダウンを共に「コンバータ状態」と下で行うとす
ると、変速ショックにより運転者に与える違和感は減少
するものの、エンジンブレーキの応答性が悪くなるとい
う問題が生じる。
そこで本願発明は、減速時におけるエンジンブレーキ
の応答性を維持しながら運転者の実感する変速ショック
を可及的に抑制できるようにした自動変速機の制御装置
を提供することを目的としてなされたものである。
(課題を解決するための手段) 本願発明ではかかる問題を解決するための手段として
次のような構成を採用している。
請求項1に記載の発明にかかる自動変速機の制御装置
では、車速のエンジン負荷とをパラメータとして予じめ
定めた変速パターンに従って変速制御される変速機構と
の感に設けられトルクコンバータと該トルクコンバータ
のエンジン側部材の変速機構との間に設けられ、該両部
材間の締結状態を調整可能なロックアップクラッチと、
上記変速機構を調整する変速手段と、上記ロックアップ
クラッチの締結力を調整する締結力調整手段と少なくと
も車速とエンジン負荷とを含む車両の運転状態を検出す
る運転状態検出手段と、該運転状態検出手段の検出結果
と上記変速パターンとに基づいて上記変速手段を制御す
るとともに該運転状態検出手段の検出結果に基づいて上
記締結力調整手段を制御する制御手段とを備え、上記制
御手段が、エンジン負荷の減少に伴う変速時の上記ロッ
クアップクラッチの締結力が車速の低下に伴う変速時の
上記ロックアップクラッチの締結力よりも大きくなるよ
うに上記締結力調整手段を制御することを特徴としてい
る。
請求項2に記の発明にかかる自動変速機の制御装置で
は、請求項1に記載の発明にかかる自動変速機の制御装
置において、上記運転状態検出手段が、ドライバーによ
るブレーキ操作の有無を検出するブレーキスイッチを備
えており、上記制御手段っは、ブレーキ操作が行われて
いる状態で且つ該ブレーキ操作が行われてから所定時間
内に生じた変速次時における上記ロックアップクラッチ
の締結力が、ブレーキ操作が行われている状態で且つ該
ブレーキ操作が行われてから上記所定時間が経過した後
の変速時における上記ロックアップクラッチの締結力よ
りも大きくなるように上記締結力調整手段を制御するこ
とを特徴としている。
請求項3に記載の発明にかかる自動変速機の制御装置で
は請求項2に記載の発明にかかる自動変速機の制御装置
において、上記ブレーキスイッチにより、上記ブレーキ
操作が行われていることが検出された時、上記変速パタ
ーンのシフトダウン車速を高車速側に変更する変速パタ
ーン変更手段をさらに備えていることを特徴としてい
る。
請求項4に記載の自動変速機の制御装置では、車速と
エンジン負荷とをパラメータとして予じめ定めた変速パ
ターンに従って変速制御される変速機構とエンジンと上
記変速機構との間に設けられたトルクコンバータと、該
トルクコンバータのエンジン側部材と変速機構側部材と
の間に設けられ、該両部材間を直結するロックアップク
ラッチ状態と、該両部材を相対回転可能な状態で締結す
るスリップ状態と、該両部材を締結しないコンバータ状
態とを選択的に達成可能なロックアップクラッチと、上
記変速機構を調整する変速手段と、上記ロックアップク
ラッチの締結力を調整する締結力調整手段と、少なくと
も車速とエンッジン負荷とを含む車両の運転状態を検出
する運転状態検出手段と該運転状態検出手段の検出結果
と上記変速パターンとに基づいて上記変速手段を制御す
るとともに該運転状態検出手段の検出結果に基づいて上
記締結力調整手段を制御する制御手段とを備え、上記制
御手段が、エンジン負荷の減少に伴う変速時に上記ロッ
クアップクラッチを上記スリップ状態とする一方、車速
の低下に伴う変速時には上記ロックアップクラッチを上
記コンバータ状態とするように上記締結力とするように
上記締結力調整手段を制御することを特徴としている。
(発明の作用及び効果) 本願発明ではかかる構成とするで次のような作用及び
効果が得られる。
請求項1に記載の発明にかかる自動変速機の制御装置
によれば、減速時において、エンジン負荷の減少に伴う
変速と車速の低下に伴う変速とが行われる場合、エンジ
ン負荷の減少に伴う変速時におけるロックアップクラッ
チと締結力が、車速の低下に伴う変速時の上記ロックア
ップクラッチの締結力よりも大きくなるように制御され
る。
従って、エンジン負荷の減少に伴う変速時には、ロッ
クアップクラッチの締結力が大きいことに起因して比較
的大きな変速ショックが生じるが、この変速ショックの
発生は運転者が予期していることであるため該運転者は
さほど違和感を感じない。その一方で、ロックアップク
ラッチの締結力が大きいことにより、エンジンブレーキ
の応答性が高められることになる。
これに対して、車速の低下に伴う変速時には、ロック
アップクラッチの締結力が小さいことから、エンジンブ
レーキの応答性は劣るものの、変速に伴う変速ショック
が小さいので、この変速ショックが運転者が予期しない
ものであっても運転者にほとんど違和感を与えることが
ない。
即ち、この発明にかかる自動変速機の制御装置によれ
ば、減速時におけるエンジンブレーキの応答性の確保と
変速ショックに対する運転者の違和感の軽減を両立でき
るものである。
請求項2に記載の発明にかかる自動変速機の制御装置
によれば、ブレーキ操作が行われている状態で且つ該ブ
レーキ操作が行われてから所定時間以内に生じた変速時
におけるロックアップクラッチの締結力が、ブレーキ操
作が行われている状態で且つ該ブレーキ操作が行われて
から上記所定時間が経過した後の変速時における上記ロ
ックアップクラッチの締結力よりも大きくなるように制
御されるので、ブレーキ操作が行われている状態で且つ
該ブレーキ操作が行われてから所定時間以内に生じた変
速時間以内に生じた変速時(即ち減速要求度が比較的高
い状態での変速時)には、ロックアップクラッチの締結
力が大きい状態の下で変速が行われることで、エンジン
ブレーキの応答性の高い減速が実現される一方ブレーキ
操作が行われている状態で且す該ブレーキ操作が行われ
てから上記所定時間が経過した後の変速時(即ち、減速
要求度よりも変速ショックの緩和が要求される変速時)
には、ロックアップクラッチの締結力が小さい状態の下
で変速が行われることで、変速ショックの少ない減速が
実現され、これにより上記に記載の効果がさらに高め
られることになる。
請求項3に記載の発明にかかる自動変速機の制御装置
によれば、ブレーキ操作が行われている時には、ブレー
キ操作が行われていない時よりも変速パターンのシフト
ダウン車速が高車速側に変更されるので、ブレーキ操作
が行われている時には、シフトダウン車速が高車速側に
変更されることでエンジンの回転数の落ち込みが抑制さ
れ、燃料カット領域の拡大が図られ、結果的に燃費性能
の良好な減速が実現されるものである。
請求項4に記載の自動変速機の制御装置によれば減速
時において、エンジン負荷の減少に伴う変速の車速と低
下に伴う変速とが行われる場合、エンジン負荷の減少に
伴う変速時にはロックアップクラッチのスリップ状態の
下で変速が行われ、車速の低下に伴う変速時にはロック
アップクラッチのコンバータ状態の下で変速が行われ
る。
従って、エンジン負荷の減少の伴う変速時には、ロッ
クアップクラッチがスリップ状態であるため比較的大き
な変速ショックが生じるが、この変速ショックの発生は
運転者が予期していることであるため該運転者はさほど
違和感を感じない。その一方で、ロックアップクラッチ
がスリップ状態であることにより、エンジンブレーキの
応答性が高められることになる。
これに対して、車速の低下に伴う変速時には、ロック
アップクラッチがコンバータ状態であることから、エン
ジンブレーキの応答性は劣るものの、変速に伴う変速シ
ョックが小さいので、この変速ショックが運転者が予期
しないものであっても運転者にほとんど違和感を与える
ことがない。
即ち、この発明にかかる自動変速機の制御装置によれ
ば、減速時におけるエンジンブレーキの応答性の確保と
変速ショックに対する運転者の違和感の軽減とを両立で
きるものである。
(実施例) 以下、第1図ないし第8図を参照して本願発明の好適
な実施例を説明する。
第1図には本願発明の実施例に係る車両用自動変速機
1の要部が示されており、同図において、符号2はトル
クコンバータ、3は変速歯車機構であって、このトルク
コンバータ2と変速歯車機構3とで自動変速機1が構成
されている。
上記トルクコンバータ2は、エンジン出力軸4にケー
ス5を介して連結されたポンプインペラ6と、該ポンプ
インペラ6に対向して設けられるとともに出力軸9に連
結されたタービンランナー7とこれらの間に配設されて
トルク増幅作用を行なうステータ8と上記ケース5とタ
ービンランナー7との間に配設された後述するロックア
ップクラッチ10とを有しており、上記エンジン出力軸4
から入力されるトルクを流体を介して間接的にあるいは
流体を介さずに直接的に出力軸9から後述する変速歯車
機構3に伝達するようになっている。
上記ロックアップクラッチ10は、略円板体構成されて
おり、上記出力軸9に結合されたハブ11に対して軸方向
にスライド可能に連結されている。そして、このロック
アップクラッチ10は、上記ケース5との間に第1油室12
を上記タービンランナー7との間に第2油室13をそれぞ
れ形成している。
また、このトルクコンバータ2の第1油室12と第2油
室13のうち、該第1油室12は第1油路15を介してロック
アップコントロールバルブ14に接続されている。また、
第2油室13は、第2油路16を介してロックアップコント
ロールバルブ14に接続されるとともに、第3油路17を介
してオイルクーラ18に接続されている。さらに、このロ
ックアップコントロールバルブ14のパイロット油路20に
は、デューティソレノイドバルブで構成されるロックア
ップ制御用ソレノイド19が設けてあり、上記トルクコン
バータ2はこのロックアップ制御用ソレノイド19のデュ
ーティを制御することによりコンバータ状態とロックア
ップ状態とスリップ状態とを選択的に形成するようにな
っている。
即ち、このロックアップ制御用ソレノイド19は、コント
ロールユニット21からの制御信号を受けてパイロット油
路20のドレーン量を調整することにより、ライン圧供給
油路22を介して供給されるライン圧を選択的に上記トル
クコンバータ2の第1油室12と第2油室13とに供給す
る。そして、第1油路15がライン圧供給油路22に連通し
第2油路16が遮断された状態においては、該第1油室12
内の油圧力を受けてロックアップクラッチ10がケース5
から離間する方向に移動し、これにより「コンバータ」
状態が形成される。
また、これとは逆に、第2油路16がライン圧供給油路
22に連通し、第1油路15がドレーンされた状態において
は、上記ロックアップクラッチ10は第2油室13内の油圧
力を受けてケース5側に該ケース5と締結され、これに
より「ロックアップ状態」が形成される。
さらに、第1油路15と第2油路16とが所定比率でライ
ン圧供給油路22に連通した状態では、ロックアップクラ
ッチ10は、第1油室12と第2油室13の内圧の差によって
ケース5に対してスベリ状態で締結され、これにより
「スリップ状態」が形成される。
尚このケース5とロックアップクラッチ10のスベリ
量、即ち、ポンプインペラ6とタービンランナー7との
スベリ量は、上記ロックアップ制御ソレノイド19のデュ
ーティの制御によって任意に設定可能であり、「ロック
アップ状態」ではデューティを最大値「d=dmax」に
し、「コンバータ状態」ではデューティを最小値「d=
min」にし、また「スリップ状態」ではこれを中間の
所定値に設定する。
上記変速歯車機構3は、従来公知の構造を有するもの
であり、その構造の図示は省略するが、一般には、油室
作動式の複数の摩擦要素ろ備えこれら各摩擦要素の選択
的に組合せて差動させることにより複数の変速段が得ら
れるようになっているそして、これら各摩擦要素による
変速制御は、通常車速のエンジン負荷(例えば、スロッ
トル開度)とをパラメータとして予じめ設定した変速パ
ターン(第4図、第5図参照)に基づいて行なわれる。
続いて、この自動変速機1の変速制御及びロックアッ
プ制御の実際を第2図のないし第8図を参照して説明す
る。
上記コントロールユニット21のメモリー(図示省略)
内には、予じめシフトアップ及びシフトダウン時の変速
パターン(第4図、第5図には、一例としてシフトダウ
ンの変速パターンのみを示している)及びロックアップ
制御パターンが記憶されており、上記自動変速機1はこ
れら各パターンに従って変速制御及びロックアップ制御
がなされる。
先ず変速パターン及びロックアップ制御パターンであ
るが、この実施例では、運転者の減速要求度に的確に対
応し得るように以下の二つのパターンをもっている。
その一つは、第4図に示すパターンである。このパタ
ーンは、アクセルオフ後に運転者がブレーキをかけなか
った時(即ち、比較的減速要求度の低い減速操作時)の
変速パターン及びロックアップ制御パターンである。そ
して、変速パターンとしては、2→1、3→2、4→3
の三の変速ラインの設定している。また、ロックアップ
制御パターンとしては「コンバータ領域a」と「ロック
アップ領域b」と定常時運転における「スリップ領域
c1」減速と運転時における三つの「スリップ領域c2
c4」とを0設定している。そして、このパターンにおい
ては、スロットル開度全閉領域でのシフトダウン車速を
低スロットル開度領域での車速のまま維持するようにし
ている。
他の一つは、第5図に示すパターンである。このパタ
ーンは、アクセルオフ後に運転者がブレーキをかけた場
合(即ち、比較的減速要求度の高い減速操作時)の変速
パターン及びロックアップ制御パターンである。そし
て、このパターンは、減速時により一層高いエンジンブ
レーキを得るという目的から、スロットル開度全閉領域
におけるシフトダウン車速を、低スロットル開度領域の
それよりも高車速側に移行させている。また、この変速
ラインの高車速側への移行に伴って減速時の「スリップ
領域c2〜c4」も同じく高車速側に移行している。その他
の部分については、第4図の場合と同様である。尚、こ
の二つの変速パターンはそれぞれ別々に専用のものがあ
るのではなく、具体的には第3図のフローチャートに示
すように、ブレーキのON−OFFによりスロットル全閉領
域における4→3シフトライン及び3→2シフトライン
を共に高車速側と低車速側とに変更設定することにより
得られる。
次に、この自動変速機1の実際の制御を、第2図及び
第3図の制御フローチャートに従って詳述する。
先ず、第2図のフローチャートにおいて、制御開始
後、先ずステップP1において、エンジン回転数、タービ
ン回転数等の各制御要素の読込みを行なうとともにステ
ップP2においては変速機構の現在のギヤ位置を判定す
る。
次に、ステップP3において、エンジン回転数「Ne」と
上記タービン回転数「Nt」との差「Ne−Nt」に基いてロ
ックアップクラッチ10の実スリップ量「S」と予じめ設
定された目標スリップ量「S0」との偏差「ΔS」を演算
にて求める。
次に、ステップP5において、現在変速中であるのか否
かを判定する。この判定においては、上記ギヤ位置の判
定に基いて変速開始点を調べるとともに、変速によるエ
ンジン回転数もしくはタービン回転数の変化を予測値の
比較することによって変速終了時点を調べ、この変速開
始時点から変速終了時点までの間を変速中の判定する。
ステップP5での判定の結果、非変速時であると判定さ
れた場合には、非変速時におけるロックアップ制御を行
なう。即ち、先ず、ステップP6において、現在の運転状
態はスリップ領域である場合には、上記スリップ量偏差
「ΔS」を小さくして実スリップ量「S」を目標スリッ
プ量「S0」に近付けるようにロックアップクラッチ10の
締結力をフィードバック制御する。即ち、先ず、ステッ
プP7において予め定められた制御パラメータ「A」,
「B」を読み出し、さらにステップP8においては、上記
制御パラメータ「A」,「B」と今回のスリップ量偏差
「ΔS」および前回のスリップ量偏差「ΔS′」に基づ
いて、デューティ修正用の演算値「U」を、下記の(式
1)により算出する。(ステップP7及びステップP8)。
U=A・ΔS+B・ΔS′……(式1) そして、上記演算値「U」に応じて、ロックアップ制
御用ソレノイドに出力する制御信号のデューティ修正量
「Δd」を求め(ステップP9)この修正量「Δd」を前
回のデューティ「d′」に加えることによって今回のデ
ューティ「d」を求める(ステップP10)。しかる後今
回のスリップ量偏差「ΔS」を前回のスリップ量偏差
「ΔS′」と置きかえる(ステップP11)とともに、上
記デューティ「d」の制御信号としてロックアップ制御
用ソレノイド10に出力する(ステップP12)。
一方、ステップP6での判定において、スリップ領域で
ないとされたときは、その後のスリップ制御の準備のた
めに、ステップP13において今回のスリップ量偏差「Δ
S′」と置きかえるとともに、ステップP14で「ロック
アップ領域」か否かの判定を行なう。そして、判定の結
果、「ロックアップ領域」であれば、デューティ「d」
を最大値「dmax」とし(ステップP15)、ロックアップ
クラッチ10を完全に締結して「ロックアップ状態」を形
成する。これに対して、上記判定の結果、「コンバータ
領域」であれば、デューティ「d」を最小値「dmin」と
し、(ステップP16)、ロックアップクラッチ10を解放
して「コンバータ状態」を形成する。
一方、ステップP5における変速判定の結果、現在は変
速中であると判定された場合には、変速時におけるロッ
クアップ制御に移るが、その場合、別の変速パターン選
定ルーチン(第3図)により変速パターンが予じめ選定
される。
即ち、第3図のフローチャートにおいて、先ずフラグ
0を立てた後(ステップQ1)、アイドルスイッチがON状
態にあるかどうか、即ち、運転者がアクセルペダルを戻
した「アクセルオフ時」かどうかを判定する(ステップ
Q2)。ここで、「アクセルオフ時」でないと判定された
場合には、通常の変速パターン(第4図に示す変速パタ
ーン)を選定し(ステップQ7)、フラグF=0を立てる
(ステップQ8)。
これに対して、ステップQ2において、アクセルオフ時
(アイドルチイッチON時)であると判定された場合に
は、さらにステップQ3において、フラグ判定を行なった
後、ブレーキスイッチがON状態であるか否かを判定する
(ステップQ4)。ここで、ブレーキスイッチのOFF判定
がされた時には、変速ラインを変更する必要はないた
め、通常の変速パターンを選定する(ステップQ7)。
これに対して、ブレーキスイッチのON判定がされた時
(即ち、ブレーキがかけられている状態の時には、燃料
カット領域の拡大を図る意味から、スロットル全閉領域
における4→3シフトダウンライン及び3→2シフトダ
ウンラインを共に高車速側に変更(即ち、第5図に示す
変速パターンを選定)するとともに、フラグF=1を立
てる(ステップQ5,ステップQ6)。
尚、ステップQ3において「F=1」と判定された場
合、(即ち、前回のフローにおいてシフトダウンライン
が高車速側に変更されている場合)には、ブレーキスイ
ッチの判定を行なわないこととしているが、これはブレ
ーキスイッチのON−OFFのみによる変速パターンの変更
の繰り返しを防ぐためである。
再び、第2図のフローチャートに戻って、ステップP5
において変速中と判定された場合には、先ずステップP
17においてアイドルスイッチのON−OFF(即ち、「アク
セルオフ時」か否かを判定する)。判定の結果、アイド
ルスイッチOFF時である場合(即ち、非アクセルオフ状
態での変速時であって、例えば第4図の点「d」からの
車速低下によるシフトダウン時である場合)には、デュ
ーティをスリップ制御時の設定値「d」に設定し、安定
したスリップ状態の下で変速を行なわせる。
尚、この場合は、定常運転状態での車速低下に伴なう
シフトダウンであるから運転者はある程度シフトダウン
が行なわれることを予期しており、従って「スリップ状
態」での変速により、「コンバータ状態」で変速する場
合よりも大きな変速ショックが生じるが、運転者はこれ
に対してさほどの違和感は感じない。
一方、ステップP17での判定の結果、アイドルスイッ
チがON状態である場合(即ち、減速運転時である場合)
には、さらにステップP18において、ブレーキスイッチ
のON−OFFを判定する。この判定の結果、ブレーキスイ
ッチONである場合には、変速パターンとして第5図に示
すようにスロットル全閉域における4→3シフトダウン
ラインが共に高車速側に移行した変速パターンが選定さ
れる。この変速パターンにおいては、例えば、第5図の
点「l1」あるいは点「m1」の位置から減速されると、同
図に斜線するように、点「l2」,「m2」と車速で4速か
ら3速への変速(速ち、アクセルオフ時の変速)が行な
われた後、車速の低下とともに点「l3」,「m3」の点で
さらに3速から2速への変速(車速低下時の変速)が行
なわれる。この場合、アクセルオフ時の変速について
は、運転者のアクセルペダルの解放という自発的動作に
基いて行なわれるため多少変速ショックがあったとして
も運転者はさほど違和感を感じないであろう。しかし車
速低下時の変速については運転者は何ら自発的行為をし
ていないため変速ショックに違和感を感じ易いであろ
う。
このことから、この実施例のものにおいては、アクセル
オフ時のシフトダウン変速はエンジンブレーキの応答性
等を重視してこれをそのまま「スリップ状態」のまま行
なわせる一方、車速低下時のシフトダウン変速は変速シ
ョックを和らげ運転者の違和感を軽減するという観点か
らこれを変速ショックの少ない「コンバータ状態」で行
なわせるようにしている。
具体的には、先ず、「アクセルオフ時」の変速、即
ち、ブレーキON後から所定時間内に変速が行なわれる時
(ステップP19)には、デューティを設定値「d」に固
定したスリップ制御とし、変速を「スリップ状態」の下
で行なわせるようにしている。この「アクセルオフ時」
の変速におけるデューティ特性は、上掲第5図の点
「l1」からの減速時には第7図に示すような特性とな
り、また点「m1」からの減速時には第6図に示しような
特性となる。
一方、車速低下時の変速、即ち、ブレーキON後から所
定時間が経過した後における変速(ステップP19)は、
デューティ「d」を最小値「dmin」に設定した。「コン
バータ状態」で行なわれる(ステップP21)。尚、この
車側低下時の変速前後におけるデューティ特性は第8図
に示す通りである。
さらに、アイドルスイッチはONだが、ブレーキスイッ
チがOFFである場合(ステップP17,P18)には、変速パタ
ーンとしては第4図に示す通常の変速パターンが選定さ
れている。そして、この場合の減速状態は、例えば同図
において点「n1」で示す位置からアクセルペダルが解放
されたような場合である(ブレーキは非操作状態にあ
る)。従ってこの場合には、同図の点「n2」で示す変速
において4速から3速への変速(車速低下時の変速)が
行なわれる。この場合にも運転者はブレーキを踏んでい
ないため、シフトダウン変速を明確に意識しておらず、
変速ショックに違和感を感じ易い。このため、この場合
にもデューティ「d」を最小値「dmin」に設定し、「コ
ンバータ状態」で変速を行なわせる。尚、この場合のデ
ューティ特性は第8図の通りである。
このように、この実施例の自動変速機においては、減
速時のシフトダウン変速を運転者の感覚と減速要求度と
に対応したロックアップ制御でもって変速するようにし
ているため、変速ショックによって運転者が違和感を感
じることが少なく、しかもアクセルオフ時の変速と同時
の応答性の良いエンジンブレーキ特性が得られるもので
ある。
尚、上記実施例では減速操作としてブレーキスイッチ
がオンされた状態を検出するようにしたが、アクセルが
オフされたことのみを検出することを減速操作とみなし
変速パターンを変更するようにしてもよい。
さらに、車速低下時の変速は完全にコンバータ状態に
することなく減速操作時のスリップ状態よりも締結当を
の小さい状態であればその締結力を自由に選定できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本願発明の実施例に係る制御装置を備えた自動
変速機のトルクコンバータ部分の縦断面図、第2図及び
第3図は第2図に示した制御装置の制御フローチャー
ト、第4図及び第5図は変速パターン図、第6図ないし
第8図はデューティ特性である。 1……自動変速機 2……トルクコンバータ 3……変速歯車機構 4……エンジン出力軸 5……ケース 6……ポンプインペラ 7……タービンランナー 8……ステータ 9……出力軸 10……ロックアップクラッチ 11……ハブ 12,13……油室 14……ロックアップコントロールバルブ 15〜17……油路 19……ロックアップ制御用ソレノイド
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−43050(JP,A) 特開 昭61−116170(JP,A) 特開 昭60−143265(JP,A) 特開 昭61−99763(JP,A) 特開 昭59−200861(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16H 61/14

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車速とエンジン負荷とをパラメータとして
    予じめ定めた変速パターンに従って変速制御される変速
    機構と、 エンジンと上記変速機構との間に設けられたトルクコン
    バータと、該トルクコンバータのエンジン側部材の変速
    機構側部材との間に設けられ、該両部材間の締結状態を
    調整可能なロックアップクラッチと、 上記変速機構を調整する変速手段と、 上記ロックアップクラッチの締結力を調整する締結力調
    整手段と、 少なくとも車速とエンジン負荷とを含む車両の運転状態
    を検出する運転検出手段と、 該運転状態検出手段の検出結果と上記変速パターンとに
    基づいて上記変速手段を制御するとともに該運転状態検
    出手段の検出結果の基づいて上記締結力調整手段を制御
    する生後手段とを備え、 上記制御手段が、エンジン負荷の減少に伴い変速時の上
    記ロックアップクラッチの締結力が、車速の低下に判う
    変速の上記ロックアップクラッチの締結力よりも大きく
    なるように上記締結力調整手段を制御することを特徴と
    する自動変速機の制御装置。
  2. 【請求項2】上記運転状態検出手段が、ドライバーによ
    るブレーキ操作の有無を検出するブレーキスイッチを備
    えており、 上記制御手段は、ブレーキ操作が行なわれている状態で
    且つ該ブレーキ操作が行われてから所定時間内に生じた
    変速時における上記ロックアップクラッチの締結力が、
    ブレーキ操作が行われている状態で且つ該ブレーキ操作
    が行われてから上記所定時間が経過した後の変速時にお
    ける上記ロックアップクラッチの締結力よりも大きくな
    るように上記締結力調整手段を制御することを特徴とす
    る請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
  3. 【請求項3】上記ブレーキスイッチにより、上記ブレー
    キ操作が行われていることが検出された時、上記変速パ
    ターンのシフトダウン車速を高車速側に変更する変速パ
    ターン変更手段をさらに供ていることを特徴とする請求
    項2に記載の自動変速機の制御装置。
  4. 【請求項4】車側とエンジン負荷とをパラメータとして
    予じめ定めた変速パターンに従って変速制御される変速
    機構と、 エンジンと上記変速機構との間に設けられたトルクコン
    バータと、該トルクコンバータのエンジン側部材の変速
    機構側部材との間に設けられ、該両部材間を直結するロ
    ックアップ状態と、該両部材を相対回転可能な状態で締
    結するスリップ状態と、該両部材間を締結しないコンバ
    ータ状態とを選択的に達成可能なロックアップクラッチ
    と、 上記変速機構を調整する変速手段と、 上記ロックアップクラッチの締結力を調整する締結力
    調整手段と、 少なくとも車側とエンジン負荷とを含む車両の運転状態
    を検出す運転状態検出手段と、 該運転状態検出手段の検出結果の上記変速パターンとに
    基づいて上記変速手段を制御するとともに該運転状態検
    出手段の検出結果に基づいて上記締結力調整手段を制御
    する制御手段とを備え、 上記生後手段が、エンジン負荷の減少に判う変速時に上
    記ロックアップクラッチを上記スリップ状態とする一
    方、車速の低下に判う変速時には上記ロックアップクラ
    ッチを上記コンバータ状態のするように上記締結力調整
    手段を制御することを特徴とする自動変速機の制御装
    置。
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