JP2787641B2 - 差動減算器回路およびa/d変換器 - Google Patents

差動減算器回路およびa/d変換器

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JP2787641B2
JP2787641B2 JP4342091A JP34209192A JP2787641B2 JP 2787641 B2 JP2787641 B2 JP 2787641B2 JP 4342091 A JP4342091 A JP 4342091A JP 34209192 A JP34209192 A JP 34209192A JP 2787641 B2 JP2787641 B2 JP 2787641B2
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    • HELECTRICITY
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、一般に差動減算器回
路およびA/D変換器に関し、特に、差動減算器回路お
よびA/D変換器の動作における精度の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、アナログ信号をデジタル信号
に変換する変換器(以下「A/D変換器」という)は、
アナログ信号にデジタル信号処理を施すために広く用い
られている。たとえば、映像信号処理の分野では、高速
のデジタル信号処理が高精度で必要となるので、A/D
変換器においても高速かつ高精度の変換が要求される。
【0003】従来より、さまざまな変換方式に従うA/
D変換器が知られる。その中で、2ステップ並列型A/
D変換器は、高品位テレビ,業務用ビデオテープレコー
ダ(VTR)およびデジタルビデオカメラなどのような
画像における高品位を必要とされる信号処理に適してい
ることが一般に知られている。2ステップ並列型A/D
変換器の例が、(a)“A10−b 75−MSPS
SubrangingA/D Converter w
ith Integrated Sample and
Hold”と題された論文(IEEE JOURNA
L OF SOLID−STATE CIRCUIT
S,VOL25,No.6,1990年12月);
(b)“A 10−bit 20−MHz Two−S
tep Parallel A/D Converte
r with Internal S/H”と題された
論文(IEEE JOURNAL OF SOLID−
STATE CIRCUITS,VOL24,No.
1,1989年2月)において開示されている。
【0004】図5は、従来の2ステップ並列型A/D変
換器のブロック図である。図5に示したA/D変換器と
類似の回路が、上記の文献においても開示されている。
図5を参照して、A/D変換器100は、サンプルホー
ルド回路(S/H)2と、上位ビット用A/D変換器
(ADC)6と、上位ビットについてのD/A変換器
(DAC)7と、差動減算器(SUB)3と、下位ビッ
ト用A/D変換器(ADC)8と、上位ビットおよび下
位ビット用エンコーダ10a,10bと、出力ラッチ回
路9とを含む。
【0005】サンプルホールド回路2は、デジタル信号
に変換されるべき差動入力信号ΔVanを受け、サンプ
ルホールドされた差動信号ΔVshを出力する。差動信
号ΔVshは、ホールドされた2つの電圧V1およびV
2により規定される。これらの電圧V1,V2は、差動
減算器3およびA/D変換器6に与えられる。外部から
与えられる差動基準電圧ΔVrefは、粗基準電圧発生
回路5aおよびD/A変換器7に与えられる。A/D変
換器6は、差動電圧信号ΔVshを粗基準電圧Vcrと
比較することにより、差動電圧信号ΔVshを相補デジ
タル信号(サーモメータコード)S1−S8,B1−B
8に変換する。相補デジタル信号S1−S8,B1−B
8は、D/A変換器7およびエンコーダ10aに与えら
れる。
【0006】D/A変換器7は、与えられた相補デジタ
ル信号S1−S8,B1−B8に応答して、対応する差
動電流信号Is1,Is2を出力する。差動電流信号I
s1,Is2は、変換された上位ビット信号に対応して
いる。
【0007】差動減算器3において、差動電圧信号ΔV
shに対応する差動電流信号(図示せず)から差動電流
信号Is1,Is2が減算される。減算結果を示す差動
減算信号Vo1,Vo2がA/D変換器8に与えられ
る。
【0008】精基準電圧発生回路5bは、複数の精基準
電圧VfrをA/D変換器8に与える。A/D変換器8
は、差動減算信号Vo1,Vo2を与えられた精基準電
圧と比較する。比較結果を示す下位ビット信号(サーモ
メータコード)が下位ビット用エンコーダ10bに与え
られる。
【0009】エンコーダ10a,10bは、上位ビット
の与えられたサーモメータコードおよび下位ビットの与
えられたサーモメータコードをたとえばストレートバイ
ナリーコードに変換し、変換されたデータ信号を出力ラ
ッチ回路9に与える。出力ラッチ回路9は、与えられた
データ信号を出力データ信号D1ないしDmとして出力
する。
【0010】図6は、図5に示した粗基準電圧発生回路
5aおよび上位ビット用A/D変換器6の回路図であ
る。図6を参照して、粗基準電圧発生回路5aは、直列
に接続された抵抗501ないし509より構成されたラ
ダー抵抗回路を含む。外部から与えられる差動基準電圧
ΔVrefはラダー抵抗回路の両端に与えられる。粗基
準電圧発生回路5aは、隣接する2つの抵抗の共通接続
ノードを介して、粗基準電圧Vcr1ないしVcr8を
出力する。
【0011】A/D変換器6は、各々が差動電圧信号Δ
Vshを受けるように接続された比較器61ないし68
を含む。各比較器61ないし68は、対応する1つの粗
基準電圧Vcr1ないしVcr8を受け、差動電圧信号
ΔVshを対応する1つの粗基準電圧Vcr1ないしV
cr8と比較する。A/D変換器6は、比較結果を示す
相補デジタル信号(サーモメータコード)S1ないしS
8,B1ないしB8を出力する。各信号S1ないしS8
は、対応する1つの信号B1ないしB8について相補の
関係を有している。相補デジタル信号S1ないしS8,
B1ないしB8は、図5に示したD/A変換器7および
上位ビット用エンコーダ10aに与えられる。
【0012】図7は、図5に示した精基準電圧発生回路
5bの回路図である。図7を参照して、精基準電圧発生
回路5bは、差動増幅器510と、電流源回路520
と、入力抵抗511と、ラダー抵抗回路517とを含
む。定電流源回路520は、npnトランジスタ512
および513と、エミッタ抵抗514および515と、
定電流源516とを含む。定電流源回路520の作用に
より、入力抵抗511を介して電流Ifが流れる。入力
抵抗511の両端の電圧差が、端子+,−を介して差動
増幅器510に与えられる。
【0013】差動増幅器510の差動出力電圧はラダー
抵抗回路517の両端に与えられ、ラダー抵抗回路51
7から精基準電圧Vfr1ないしVfr8が出力され
る。精基準電圧Vfr1ないしVfr8は、図6に示し
た粗基準電圧Vcr1ないしVcr8のうちの1つの電
圧範囲をより細かく分割する。精基準電圧Vfr1ない
しVfr8はA/D変換器8に与えられる。
【0014】図8は、図5に示した従来の差動減算器3
およびD/A変換器7の回路図である。図8を参照し
て、D/A変換器7は、減算電流発生回路71ないし7
nを含む。各減算電流発生回路71ないし7nは、相補
デジタル信号の対応する1つの対B1およびS1ないし
BnおよびSnに応答して、電流線CL1およびCL2
の一方から電流を引込む。したがって、D/A変換器7
は、上位ビットの変換結果を示す信号である相補デジタ
ル信号S1ないしSnおよびB1ないしBnに応答し
て、対応する減算電流Is1およびIs2を差動減算器
3から引込むことになる。
【0015】差動減算器3は、npnトランジスタQ1
およびQ2と、エミッタ抵抗RE1およびRE2と、コレク
タ抵抗Rc1およびRc2と、電流源CS0とを含む。
トランジスタQ1は、ベース電極がサンプルホールド回
路2からの出力電圧V1を受けるように接続される。ト
ランジスタQ2は、ベース電極が出力電圧V2を受ける
ように接続される。
【0016】図9は、図5に示した差動減算器3の働き
を説明するための信号波形図である。仮に、図9に示す
ような三角波形を有する差動入力電圧ΔVanが図5に
示したA/D変換器100に与えられるものと仮定す
る。すなわち、サンプルホールド回路2は、図9に示し
た差動電圧V1およびV2を差動減算器3に与える。電
圧V1に対応する電流Iv1が図9において示されてい
る。
【0017】図5に示したD/A変換器7は、上位ビッ
トの変換結果に対応する差動電流信号Is1およびIs
2を出力する。差動電流信号Is1が図9において示さ
れる。電流信号Iv1およびIs1はいずれも図5に示
した差動減算器3に与えられ、電流信号Iv1およびI
s1の間で減算処理が行なわれる。減算結果を示す差動
電圧信号、すなわち差動減算信号Vo1およびVo2が
図9において示される。
【0018】差動電圧信号Vo1およびVo2は、下位
ビット用A/D変換器8に与えられ、A/D変換器8に
おいて精基準電圧Vfrを用いた変換処理が実行され
る。下位ビット用A/D変換器8における変換処理は、
上位ビット用A/D変換器6における処理と類似してい
るので説明が省略される。
【0019】再び図9を参照して、差動減算器3におけ
る減算処理が、回路動作に鑑み説明される。以下の説明
では、IE1,IE2はトランジスタQ1,Q2のエミッタ
電流であり、Ic1,Ic2がコレクタ電流であり、V
BE1 ,VBE2 がベース−エミッタ間電圧である。VX
抵抗RE を有するエミッタ抵抗RE1,RE2の共通接続ノ
ードにおける電圧を示す。また、定電流源CS0を介し
て、定電流2・I0が流れるものと仮定し、抵抗Rc
1,Rc2が抵抗値Rcを有するものと仮定する。
【0020】まず、電圧信号V1およびV2が等しい場
合(V1=V2)、IE1=IE2=Ic1=Ic2=I0
の関係が成立つため、Vo1=Vcc−Rc・Ic1お
よびVo2=Vcc−Rc・Ic2の関係より、同じ電
圧レベルを有する出力電圧Vo1およびVo2が出力さ
れる。
【0021】電圧V1が電圧V2よりも大きい場合(V
1>V2)、次の関係が成立つ。 IE1=(V1−VBE1 −Vx )/RE =Ic1…(1) IE2=(V2−VBE2 −Vx )/RE =Ic2…(2) Vo1=Vcc−Rc・Icl…(3) Vo2=Vcc−Rc・Ic2…(4) この場合、コレクタ電流Ic1およびIc2がIc1>
Ic2の関係を有するので、出力電圧Vo1およびVo
2においてVo1<Vo2の関係が成立つ。
【0022】上記の基本的な差動動作に加えて、差動減
算器3において減算電流Is1およびIs2についての
減算動作が行なわれる。すなわち、V1>V2の場合に
おいて、Is1<Is2の関係を有する減算電流Is
1,Is2が差動減算器3からD/A変換器7へ引込ま
れる。これにより、差動減算器3の出力電圧Vo1およ
びVo2の範囲が、下位ビット用A/D変換器8におい
て扱われ得る範囲内に変化される。
【0023】これとは逆に、V1<V2の場合は、上記
とは逆の動作ではあるが類似の動作が行なわれる。この
場合では、Is1>Is2の減算電流が差動減算器3か
らD/A変換器7に引込まれ、この場合においても出力
電圧Vo1およびVo2の範囲が下位ビット用A/D変
換器8の範囲に変化される。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、減算電
流Is1およびIs2による減算により、コレクタ電流
Ic1およびIc2間の差(=|Ic1−Ic2|)は
微小な値になる。一方、各エミッタ電流IE1およびIE2
は、対応する与えられたベース電圧V1およびV2に応
答して増加および減少されるので、場合によりエミッタ
電流IE1およびI E2の間で大きな差が生じる。すなわ
ち、電圧信号V1およびV2によって規定される大きな
差動電圧が与えられた場合において、エミッタ電流IE1
およびIE2のうち一方が大きくかつ他方が小さくなる。
エミッタ電流IE1およびIE2におけるアンバラスは、次
のような問題を引起こす。
【0025】一般に、ベース−エミッタ間電圧VBEは、
次式により表わされる。 VBE=VT ・ln(α・IE /Isat)…(5) IE1=I0+IR …(6) IE2=I0−IR …(7) IR ={(V1−VBE1 )−(V2−VBE2 )}/RE …(8) ここで、VT は熱電圧であり、αは電流増幅率であり、
Isatは飽和電流である。
【0026】式(5)より、トランジスタのベース−エ
ミッタ間電圧VBEは、エミッタ電流IE の関数となるこ
とが分かる。したがって、たとえば図8に示した差動減
算器3において、たとえばエミッタ電流IE1がエミッタ
電流IE2よりもかなり大きいとき、ベース−エミッタ間
電圧VBE1 およびVBE2 の差が無視できなくなる。
【0027】すなわち、前述の式(1)および(2)か
らわかるように、コレクタ電流Ic1およびIc2が電
圧VBE1 およびVBE2 の関数であるため、電圧VBE1
よびVBE2 の差は、コレクタ電流Ic1およびIc2に
影響を与える。すなわち、コレクタ電流Ic1およびI
c2が、入力電圧V1およびV2だけでなく、電圧V
BE1 およびVBE2 によっても変化されるので、差動減算
器3における正確な減算処理が行なわれ得ない。言い換
えると、減算における精度が劣化される。このことは、
下位ビットのA/D変換における精度を低下させる。
【0028】これに加えて、次のような問題(第2の問
題)も指摘される。説明を簡単化するため、以下の説明
では、図8に示した減算電流Is1およびIs2がいず
れも0であるものと仮定する。図10は、この場合にお
ける差動入力電圧ΔVanおよび差動出力電圧Vo1,
Vo2の変化を示す波形図である。たとえば、時刻t1
において、差動入力電圧ΔVan(=V1−V2)が最
大となる。このとき、出力電圧Vo2はほぼ電源電圧レ
ベルVccになり、一方、出力電圧Vo1はVcc−2
・Rc・I0になる。
【0029】図11は、図10に示した出力電圧Vo1
およびVo2の拡大波形図である。図11において示さ
れるように、たとえば出力電圧Vo2は振幅2・Rc・
I0を有している。前述のように、下位ビットについて
のA/D変換は、上位ビットのA/D変換結果を示す減
算電流による減算が行なわれた後行なわれる。したがっ
て、図11において、時刻t11において入力電圧がサ
ンプルされた後、時刻t13において減算結果を示す出
力電圧Vo2が出力されるまでに遅延Δt′が生じる。
この遅延時間Δt′の存在により、差動減算器3におけ
る正確な減算処理が妨げられる。特に、高い動作速度を
要求されるA/D変換器においてこの問題は重要とな
る。
【0030】この発明は、上記のような課題を解決する
ためになされたもので、より高い精度で動作できる差動
減算器回路およびA/D変換器を提供することを目的と
する。
【0031】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る差
動減算器回路は、第1および第2の入力信号により規定
される第1の差動信号から第3および第4の入力信号に
より規定される第2の差動信号を減算する。この差動減
算器回路は、ベース電極が第1の入力信号を受けるよう
に接続され、かつエミッタ電極が第3の入力信号を受け
るように接続された第1のバイポーラトランジスタと、
ベース電極が第2の入力信号を受けるように接続され、
かつエミッタ電極が第4の入力信号を受けるように接続
された第2のバイポーラトランジスタと、第1の電源電
位と第1のバイポーラトランジスタのエミッタ電極との
間に接続された第1の定電流源と、第1の電源電位と第
2のバイポーラトランジスタのエミッタ電極との間に接
続された第2の定電流源と、第2の電源電位と第1のバ
イポーラトランジスタのコレクタ電極との間に接続され
た第1の抵抗器手段と、第2の電源電位と第2のバイポ
ーラトランジスタのコレクタ電極との間に接続された第
2の抵抗器手段と、第1のバイポーラトランジスタと第
2のバイポーラトランジスタのエミッタ電極間に接続さ
れた第3の抵抗器手段とを備える。減算結果を示す減算
差動信号は、第1および第2のバイポーラトランジスタ
のコレクタ電極を介して出力される。
【0032】請求項2の発明に係るA/D変換器は、第
1および第2の入力信号によって規定された入力差動信
号を上位ビット信号および下位ビット信号を含むデジタ
ル信号に変換する。このA/D変換器は、A/D変換の
ための複数の粗基準電圧および複数の精基準電圧を発生
する手段と、入力差動信号を複数の粗基準電圧と比較
し、上位ビット信号を出力する第1のA/D変換手段
と、上位ビット信号を対応する中間差動信号に変換する
D/A変換手段と、入力差動信号から中間差動信号を減
算し、減算差動信号を出力する差動減算器手段と、減算
差動信号を複数の精基準電圧と比較し、下位ビット信号
を出力する第2のA/D変換手段とを備える。中間差動
信号は、第1および第2の中間信号によって規定され
る。差動減算器手段は、ベース電極が第1の入力信号を
受けるように接続され、かつエミッタ電極が第1の中間
信号を受けるように接続された第1のバイポーラトラン
ジスタと、ベース電極が第2の入力信号を受けるように
接続され、かつエミッタ電極が第2の中間信号を受ける
ように接続された第2のバイポーラトランジスタと、第
1の電源電位と第1のバイポーラトランジスタのエミッ
タ電極との間に接続された第1の定電流源と、第1の電
源電位と第2のバイポーラトランジスタのエミッタ電極
との間に接続された第2の定電流源と、第2の電源電位
と第1のバイポーラトランジスタのコレクタ電極との間
に接続された第1の抵抗器手段と、第2の電源電位と第
2のバイポーラトランジスタのコレクタ電極との間に接
続された第2の抵抗器手段と、第1のバイポーラトラン
ジスタと第2のバイポーラトランジスタのエミッタ電極
間に接続された第3の抵抗器手段とを含む。減算差動信
号は、第1および第2のバイポーラトランジスタのコレ
クタ電極を介して第2のA/D変換手段に与えられる。
【0033】
【作用】この発明における差動減算器回路では、第2の
差動信号を規定する第3および第4の入力信号が、第1
および第2のバイポーラトランジスタのエミッタ電極を
介してそれぞれ引抜かれる。したがって、第1および第
2のバイポーラトランジスタのエミッタ電流の差が、従
来の差動減算器回路と比較して減少されるので、第1お
よび第2のバイポーラトランジスタのベース−エミッタ
電極間電圧がほぼ等しい値となる。その結果、減算処理
がより高い精度で行なわれ得る。
【0034】
【実施例】図1は、この発明の第1実施例を示す差動減
算器回路3aおよびD/A変換器7aの回路図である。
図1に示した差動減算器回路3aおよびD/A変換器7
aは、図5に示した差動減算器3およびD/A変換器7
として、2ステップ並列型A/D変換器100において
適用され得る。図1に示した差動減算器3aは、npn
トランジスタQ1およびQ2と、エミッタ抵抗RE と、
コレクタ抵抗Rc1およびRc2と、定電流源31およ
び32とを含む。
【0035】トランジスタQ1は、ベース電極が図5に
示したサンプルホールド回路2から電圧V1を受けるよ
うに接続される。トランジスタQ2は、ベース電極が電
圧V2を受けるように接続される。エミッタ抵抗RE
トランジスタQ1およびQ2のエミッタ電極間に接続さ
れる。各コレクタ抵抗Rc1およびRc2は、電源電位
と対応するトランジスタQ1およびQ2のコレクタ電極
との間に接続される。各定電流源31および32は、接
地電位と対応するトランジスタQ1およびQ2のエミッ
タ電極との間に接続される。定電流源31とトランジス
タQ1のエミッタ電極の共通接続ノードN1が、電流線
CL1を介してD/A変換器7aに接続される。同様
に、定電流源32とトランジスタQ2のエミッタ電極の
共通接続ノードが、電流線CL2を介してD/A変換器
7aに接続される。
【0036】D/A変換器7aは、各々が一体接続され
たエミッタ電極を有する2つのnpnトランジスタとN
MOSトランジスタとを備えた減算電流発生回路71な
いし7nを含む。たとえば、減算電流発生回路71は、
npnトランジスタQ31aおよびQ31bと、定電流
源を構成するNMOSトランジスタQ21とを含む。各
減算電流発生回路71ないし7n内のNMOSトランジ
スタQ21ないしQ2nは、ゲート電極が予め定められ
たバイアス電圧VN を受けるように接続されているの
で、対応する定電流源が構成される。
【0037】D/A変換器7aは、上位ビットの変換結
果を示す相補デジタル信号S1ないしSnおよびB1な
いしBnに基づいて、減算電流Is1およびIs2を差
動減算器3aから引抜く。これにより差動減算器3aの
出力電圧Vo1およびVo2の変化範囲が、図5に示し
た下位ビット用A/D変換器8によって扱われる範囲内
にシフトされる。
【0038】図1に示した差動減算器3aを図8に示し
た従来の差動減算器3と比較すると、差動減算器3a
は、ノードN1およびN2を介して減算電流Is1およ
びIs2を引抜かれる点において特徴を有している。こ
れに加えて、エミッタ抵抗REが、トランジスタQ1お
よびQ2のエミッタ電極間に接続されていることも第2
の特徴として指摘される。これらの特徴は、次のような
利点をもたらす。
【0039】まず、V1=V2の場合では、IE1=IE2
=Ic1=Ic2=I0の関係が成立つので、出力電圧
Vo1およびVo2は、Vo1=Vo2の関係を有す
る。
【0040】V1>V2の場合では、エミッタ抵抗RE
を介して流れる電流がIR であると仮定すると、次式の
関係が成立つ。
【0041】 IE1=I0+IR …(9) IE2=I0−IR …(10) IR ={(V1−VBE1 )−(V2−VBE2 )}/RE …(11) 図1に示した差動減算器3aにおいても、エミッタ電流
E1およびIE2は、ベース電圧V1およびV2に比例し
て増加される。したがって、たとえばベース電圧V1が
ベース電圧V2よりもかなり大きいとき、電流IE1が電
流IE2よりもはるかに大きくなろうとする。しかしなが
ら、実際には、D/A変換器7aの作用により、ノード
N1を介してより大きな減算電流Is1が引抜かれ、一
方、ノードN2を介してより小さい減算電流Is2が引
抜かれるので、実際のエミッタ電流IE1およびIE2間の
差は小さくなる。
【0042】その結果、トランジスタのベース−エミッ
タ電極間電圧VBEは前述の式(5)の関係で変化するの
であるが、トランジスタQ1およびQ2のエミッタ電流
IE1およびIE2の間に差がほとんどないので、VBE1
BE2 の関係が成立つ。したがって、図8に示した従来
の差動減算器3と比較して、差動減算器3aにおいて減
算処理がより高い精度で行なわれ得る。
【0043】図1に示した回路構成を有するD/A変換
器7aを用いることにより、次のような利点もまた得ら
れる。図1からわかるように、たとえば減算電流発生回
路71におけるトランジスタQ31aのコレクタ電極は
トランジスタQ1のエミッタ電極に接続されている。各
トランジスタQ1およびQ31aが好ましい動作領域で
動作するためには、対応するベース電極に約0.7Vを
越えるベース−エミッタ間電圧VBEをバイアス電圧とし
て与える必要がある。このような状況において、図1に
示したD/A変換器7aでは、定電流源を構成するトラ
ンジスタQ21ないしQ2nとしてNMOSトランジス
タを用いることにより上記の条件が容易に満たされてい
る。すなわち、各NMOSトランジスタQ21ないしQ
2nによって失われる電圧差は、一般にバイポーラトラ
ンジスタよりも少ないので、トランジスタQ1およびQ
31aに要求されるベース−エミッタ間電圧の条件が緩
和される。
【0044】図2は、この発明の第2実施例を示す差動
減算器回路3bの回路図である。図2を参照して、図1
に示した差動減算器3aと比較すると、差動減算器3b
は、出力電圧Vo1およびVo2の振幅を予め定められ
た範囲内に制限するためのクランプ回路33をさらに含
む。クランプ回路33は、双方向にかつ並列に接続され
た2つのダイオードを備えている。各ダイオードは、順
方向電圧VD (=VBE 1 =VBE2 )を有している。他の
回路構成は、図1に示した回路と類似しているので説明
が省略される。クランプ回路33を設けたことにより、
次のような追加の利点が得られる。
【0045】図12は、図2に示した差動減算器3bの
出力電圧Vo1およびVo2の拡大波形図である。図1
2からわかるように、出力電圧Vo1およびVo2は、
電圧VD の範囲内で変化する。すなわち、図11に示し
た波形図と比較すると分かるように、各出力電圧Vo1
およびVo2は、振幅VD を有している。
【0046】その結果、図11と同じ状況を考えた場合
において、出力電圧Vo2が時刻t11の後、時刻t1
2において減算結果を示すレベルに達するまでに要する
時間長さΔtが減少され得る。すなわち、出力電圧Vo
2の振幅が制限されているので、出力電圧Vo2が減算
結果を示すレベルに短時間で達することができる。この
ように、図2に示した差動減算器3bにおいて減算処理
に要する時間が短縮され得るので、高速処理において高
い減算精度が得られ、その結果下位ビットについても高
いA/D変換精度が得られる。
【0047】図3は、この発明の第3実施例を示すD/
A変換器7bの回路図である。図1および図2に示した
D/A変換器7aに代えて、図3に示したD/A変換器
7bを用いることができる。図3を参照して、D/A変
換器7bは、NMOSトランジスタQ21ないしQ2n
に代えて、npnトランジスタQ11ないしQ1nおよ
び抵抗41ないし4nを含む。トランジスタQ11ない
しQ1nの各ベース電極は、予め定められたバイアス電
圧VB を受けるように接続される。npnトランジスタ
と抵抗の各対により、定電流源が構成される。
【0048】図1および図2に示した差動減算器3aお
よび3bでは、npnトランジスタQ1およびQ2が用
いられていたが、これらに代えてpnpトランジスタを
用いることもできる。図4は、この発明の第4実施例を
示す差動減算器回路3cおよびD/A変換器7aの回路
図である。図4を参照して、差動減算器回路3cは、p
npトランジスタQ1′およびQ2′を用いている。こ
の実施例においても、減算電流Is1およびIs2は、
トランジスタQ1′およびQ2′のエミッタ電極、すな
わち図4に示したノードN1′およびN2′から引抜か
れる。図4に示した差動減算器回路3cの基本的な動作
および作用は、図1に示した差動減算器3aと同様であ
る。したがって、図4に示した差動減算器3cを用いる
ことにより、減算処理において高い精度が得られ、下位
ビットについて高い精度でA/D変換が行なわれ得る。
【0049】このように、図1,図2および図4に示し
た差動減算器3a,3bおよび3cにおいて、減算電流
Is1およびIs2がバイポーラトランジスタのエミッ
タ電極を介して引抜かれるので、バイポーラ電流IE1
よびIE2の間の差が従来の回路と比較してはるかに減少
される。エミッタ電流IE1およびIE2がほぼ等しいの
で、式(5)からわかるように、2つのベース−エミッ
タ間電圧VBE1 およびV BE2 もほぼ等しくなる。その結
果、式(6)ないし(8)からわかるように、エミッタ
電流IE1およびIE2がベース電圧V1およびV2のみに
比例してそれぞれ変化するようになるので、正確な減算
処理が行なわれ得る。
【0050】これに加えて、図2に示した差動減算器3
bにおいてクランプ回路33を設けることにより、出力
電圧Vo1およびVo2の振幅が予め定められた範囲内
に制限されるので、図13に示すように、出力電圧Vo
2が減算結果を示すレベルに達するまでに要する時間が
短縮され得る。したがって、高速動作の下で下位ビット
についてのA/D変換が正確に行なわれ得る。
【0051】さらには、図1,2および4に示した差動
増幅器3a,3bおよび3cは、図8に示したエミッタ
抵抗RE1,RE2に代えて、2つのバイポーラトランジス
タのエミッタ電極間に接続されたエミッタ抵抗RE (ま
たはRE´)を備えているので、図8に示した差動減算
器3と比較して、動作可能なダイナミックレンジの減少
が防がれ得る。すなわち、図8に示した差動減算器3に
おけるように、エミッタ抵抗RE1,RE2によりバイアス
電圧が失われないので、バイアス電圧の供与のための電
圧条件が緩和され得る。
【0052】図1ないし図4に示した差動減算器および
D/A変換器を、図5に示した2ステップ並列型A/D
変換器における差動減算器3およびD/A変換器7に適
用することにより、高いA/D変換精度がもたらされ
る。
【0053】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、第2の差動信号を規定する第3および第4の入力信
号が第1および第2のバイポーラトランジスタのエミッ
タ電極を介して与えられるので、減算処理をより高い精
度で行ない得る差動減算器回路が得られた。
【0054】また、請求項2の発明によれば、上記の利
点を有する差動減算器手段を設けたので、より高い変換
精度を有するA/D変換器が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例を示す差動増幅器および
D/A変換器の回路図である。
【図2】この発明の第2実施例を示す差動減算器および
D/A変換器の回路図である。
【図3】この発明の第3実施例を示すD/A変換器の回
路図である。
【図4】この発明の第4実施例を示す差動減算器および
D/A変換器の回路図である。
【図5】従来の2ステップ並列型A/D変換器のブロッ
ク図である。
【図6】図5に示した粗基準電圧発生回路および上位ビ
ット用A/D変換器の回路図である。
【図7】図5に示した精基準電圧発生回路の回路図であ
る。
【図8】図5に示した従来の差動減算器およびD/A変
換器の回路図である。
【図9】図5に示した差動減算器の働きを説明するため
の信号波形図である。
【図10】減算電流Is1およびIs2が0であるとき
の差動入力電圧ΔVanと出力電圧Vo1およびVo2
の変化を示す波形図である。
【図11】図10に示した出力電圧Vo1およびVo2
の拡大波形図である。
【図12】図2に示した差動減算器の出力電圧Vo1お
よびVo2の拡大波形図である。
【図13】図2に示した差動減算器の出力電圧における
遅延を説明するための拡大波形図である。
【符号の説明】
2 サンプルホールド回路 3 差動減算器 5a 粗基準電圧発生回路 5b 精基準電圧発生回路 6 上位ビット用A/D変換器 7 D/A変換器 8 下位ビット用A/D変換器 9 出力ラッチ回路 100 2ステップ並列型A/D変換器
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭48−52152(JP,A) 特開 昭61−29974(JP,A) 特開 平1−237889(JP,A) 特開 平4−170210(JP,A) 特開 昭64−57824(JP,A) 実開 昭60−155278(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H03M 1/14 G06G 7/14 H03F 3/45

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1および第2の入力信号により規定さ
    れる第1の差動信号から第3および第4の入力信号によ
    り規定される第2の差動信号を減算する差動減算器回路
    であって、 ベース電極が前記第1の入力信号を受けるように接続さ
    れ、かつエミッタ電極が前記第3の入力信号を受けるよ
    うに接続された第1のバイポーラトランジスタと、 ベース電極が前記第2の入力信号を受けるように接続さ
    れ、かつエミッタ電極が前記第4の入力信号を受けるよ
    うに接続された第2のバイポーラトランジスタと、 第1の電源電位と前記第1のバイポーラトランジスタの
    エミッタ電極との間に接続された第1の定電流源と、 第1の電源電位と前記第2のバイポーラトランジスタの
    エミッタ電極との間に接続された第2の定電流源と、 第2の電源電位と前記第1のバイポーラトランジスタの
    コレクタ電極との間に接続された第1の抵抗器手段と、 第2の電源電位と前記第2のバイポーラトランジスタの
    コレクタ電極との間に接続された第2の抵抗器手段と、 前記第1のバイポーラトランジスタと前記第2のバイポ
    ーラトランジスタのエミッタ電極間に接続された第3の
    抵抗器手段とを備え、 減算結果を示す減算差動信号は、前記第1および第2の
    バイポーラトランジスタのコレクタ電極を介して出力さ
    れる、差動減算器回路。
  2. 【請求項2】 第1および第2の入力信号によって規定
    された入力差動信号を上位ビット信号および下位ビット
    信号を含むデジタル信号に変換するA/D変換器であっ
    て、 A/D変換のための複数の粗基準電圧および複数の精基
    準電圧を発生する手段と、 前記入力差動信号を前記複数の粗基準電圧と比較し、前
    記上位ビット信号を出力する第1のA/D変換手段と、 前記上位ビット信号を第1および第2の中間信号によっ
    て規定された対応する中間差動信号に変換するD/A変
    換手段と、 前記入力差動信号から前記中間差動信号を減算し、減算
    差動信号を出力する差動減算器手段と、 前記減算差動信号を前記複数の精基準電圧と比較し、前
    記下位ビット信号を出力する第2のA/D変換手段とを
    備え、 前記差動減算器手段は、 ベース電極が前記第1の入力信号を受けるように接続さ
    れ、かつエミッタ電極が前記第1の中間信号を受けるよ
    うに接続された第1のバイポーラトランジスタと、 ベース電極が前記第2の入力信号を受けるように接続さ
    れ、かつエミッタ電極が前記第2の中間信号を受けるよ
    うに接続された第2のバイポーラトランジスタと、 第1の電源電位と前記第1のバイポーラトランジスタの
    エミッタ電極との間に接続された第1の定電流源と、 第1の電源電位と前記第2のバイポーラトランジスタの
    エミッタ電極との間に接続された第2の定電流源と、 第2の電源電位と前記第1のバイポーラトランジスタの
    コレクタ電極との間に接続された第1の抵抗器手段と、 第2の電源電位と前記第2のバイポーラトランジスタの
    コレクタ電極との間に接続された第2の抵抗器手段と、 前記第1のバイポーラトランジスタと前記第2のバイポ
    ーラトランジスタのエミッタ電極間に接続された第3の
    抵抗器手段とを含み、 前記減算差動信号は、前記第1および第2のバイポーラ
    トランジスタのコレクタ電極を介して前記第2のA/D
    変換手段に与えられる、A/D変換器。
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