JP2786625B2 - 単純ヘルペスウイルスタンパク質をコードするdna配列 - Google Patents

単純ヘルペスウイルスタンパク質をコードするdna配列

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Description

【発明の詳細な説明】 1.発明の分野 本発明は、単純ヘルペスウイルス(HSV)糖タンパク
質に関係したタンパク質類の生産方法に関し、また、新
規なDNA配列、プラスミドおよび該タンパク質を産生す
る微生物(真核生物及び原核生物の両方)を作製し、使
用するための方法並びに組成物に関する。 本発明は、ウイルスDNA、プラスミドDNAまたはバクテ
リオファージDNAのようなDNAベクター中に、糖タンパク
質D(gD)またはその一部をコードするDNA配列を挿入
する組換えDNA技術を利用するものであり、それにより
該ベクターがバクテリア宿主あるいは他の単細胞系中で
gD遺伝子を複製しかつその発現を誘導する能力をもつよ
うにするものである。得られた組換えDNA分子を宿主細
胞中に導入すると、宿主細胞によるgDまたはその一部あ
るいは変異型分子の生産が可能となる。生産されたタン
パク質は、次に単離・精製され、そしてHSVタイプ1(H
SV-1)およびタイプ2(HSV-2)の両方の感染に対する
ワクチンの免疫原として用いるために修飾される。 2.発明の背景技術 2.1.組換えDNA技術および遺伝子発現 組換えDNA技術は、特定のDNA配列をDNAベクター中に
挿入して、宿主細胞中で複製することができる組換えDN
A分子を作製するものである。一般的に、挿入されるDNA
配列は受容DNAベクターに対して外来性である。すなわ
ち、挿入DNA配列およびDNAベクターは、自然界で遺伝情
報の交換のない生物に由来するものであるか、あるいは
挿入DNA配列は、全体的にまたは部分的に合成されたも
のである。近年、組換えDNA分子の構築を可能とするい
くつかの一般的方法が開発された。例えば、米国特許第
4,237,224号(Cohen & Boyer)は、制限酵素およびラ
イゲーション(連結)として知られる方法を用いて、こ
のような組換えプラスミド類を作製することを記述して
いる。その後、これらの組換えプラスミドは形質転換に
よって単細胞生物中に導入され、複製される。米国特許
第4,237,224号に記載された技術の一般的な利用可能性
のため、この特許は本明細書中へ参考として組み入れら
れる。 組換えDNA分子を単細胞生物へ導入する他の方法は、C
ollinsおよびHohnによって米国特許第4,304,863号に記
載されており、これも参考としてここに組み入れる。こ
の方法は、バクテリオファージベクターを用いるパッケ
ージング/形質導入系を利用するものである。 構築に用いる方法の如何にかかわらず、組換えDNA分
子は宿主細胞と適合すべきであり、すなわち、宿主細胞
内で自律複製能をもつべきである。組換えDNA分子はま
た、組換えDNA分子により形質転換された宿主細胞の選
択を可能にするマーカー機能をもつべきである。更に、
適切な複製、転写および翻訳シグナルの全てがプラスミ
ド上に正確に配置される場合には、外来遺伝子は形質転
換細胞およびその子孫において適切に発現されるだろ
う。 真核生物の細胞に感染するすべてのウイルスに特徴的
であるように、単純ヘルペスウイルスは真核宿主細胞系
を必要とし、その中でそのゲノムを複製するためにウイ
ルス遺伝子が発現し、その子孫が生じる。真核細胞中で
のDNA複製のためのシグナルおよび調節要素、遺伝子の
発現およびウイルスの組立ては、原核細胞のものとは異
なる。これは、真核細胞中にのみ天然で発現される遺伝
子を、原核宿主細胞中で発現させようとする場合に非常
に重要となる。 これらの異なる遺伝子シグナルおよびプロセシング過
程は、多くのレベルの遺伝子発現(例えば、DNA転写お
よびメッセンジャーRNA翻訳)を制御する。DNAの転写
は、RNAポリメラーゼの結合を指示し、それによって転
写を促進するDNA配列のプロモーターの存在に依存して
いる。真核生物のプロモーターのDNA配列は原核生物プ
ロモーターのものとは異なる。更に、真核生物のプロモ
ーターおよびそれに伴う遺伝子シグナルは、原核生物系
の中では認識されないものであるか、あるいは機能でき
ないものである。 同様に、原核生物中のメッセンジャーRNA(mRNA)の
翻訳は、真核生物とは異なる適切な原核生物シグナルの
存在に依存している。原核生物中のmRNAの効率的な翻訳
には、mRNA上のシャイン・ダルガルノ(Shine Dalgarn
o;SD)配列と称するリボソーム結合部位を必要とする。
この配列はmRNAの短いヌクレオチド配列であり、タンパ
ク質のアミノ末端メチオニンをコードする開始コドン
(AUG)の前に位置している。SD配列は165 rRNA(リボ
ソームRNA)の3′末端に対して相補的であり、多分rRN
Aとの二重らせんを形成し、リボソームの正しい位置づ
けを可能にすることによって、mRNAのリボソームへの結
合を促進している。遺伝子発現を最大とすることに関す
る考察のために、Roberts and Lauer,Methods in Enzym
ology 68:473(1979)を参照されたい。 適切なシグナルが挿入されて、適切に位置づけられた
後でさえも、多くの因子が原核生物での真核生物遺伝子
の発現を複雑にしている。これらの因子の本性および作
用機構のはっきりとした理解が目下のところ欠けてい
る。こうした因子の1つは大腸菌(Escherichia coli)
および他のバクテリア中の活性なタンパク質加水分解系
の存在である。このタンパク質分解系は、真核生物タン
パク質のごとき「異常な」すなわち外来のタンパク質を
選択的に破壊するようである。従って、バクテリア中で
発現された真核生物タンパク質を加水分解から保護する
手段を開発することによって多岐にわたる利用が可能と
なろう。1つの戦略は、真核生物配列を原核生物遺伝子
とin phase(すなわち、正しい読み枠)で連結すること
によって、融合タンパク質産物(原核生物のアミノ酸配
列と、外来すなわち真核生物のアミノ酸配列とのハイブ
リッドであるタンパク質)が得られるハイブリッド遺伝
子を構築することである。 ハイブリッド遺伝子の構築は、多くの真核生物タンパ
ク質(例えば、ソマトスタチン、ラットのプロインシュ
リン、成長ホルモンおよび卵アルブミン様タンパク質)
をコードする遺伝子の分子クローニングにおいて用いら
れた方法であった。更に、卵アルブミンおよびβ−グロ
ビンの場合には、原核生物プロモーターがかかる融合遺
伝子配列に連結された(Guarenteら,Cell 20:543(198
0))。Guarenteらの系は、SD配列を含むlacプロモータ
ーを、融合遺伝子のATGの前に異なる距離で挿入するこ
とを含むものである。幾つかの真核生物遺伝子の分子ク
ローニングおよび発現が達成されたが、これはgD遺伝子
についてはこれまで行なわれていない。また、原核生物
宿主細胞中での外来すなわち真核生物遺伝子の発現は日
常的になし得るような技術状態にはない。 2.2.ワクチン類 ウイルス感染の防御および治療には次の3つの基本的
な方法がある。すなわち、(1)能動免疫応答を引き出
すワクチン、(2)ウイルス複製を抑制する化学療法
剤、および(3)インターフェロンの合成を導き出す薬
剤である。3つの方法全てを、感染を防ぐために用いる
ことができるが、感染の初期に適用するときにより効果
的である。ワクチン注射、すなわち能動免疫感作は、感
染が始った後では通常効果がない。 ワクチンは、一般に、免疫学的性質を破壊することな
く、ウイルスを無毒化することによって調製される。伝
統的には、これは不活化ワクチン用にウイルスの感染性
を不活化すること(すなわち、ホルムアルデヒドのごと
き種々の化学薬剤による処理によってウイルスを「殺
す」こと)、あるいは生ワクチン(弱毒化ワクチン)用
に無毒性ありは弱毒化された(修飾された)ウイルスを
選択することによって達成される。弱毒化は、ウイルス
を普通でない状態(異なる動物宿主および細胞培養物)
に適応せしめることによって、または、大きなウイルス
接種材料を数多く継代させ、毒力を失ったために徴候を
全く現さないか、ほんの少しの徴候しか現さない変異体
を選択することによって得られる。獣医学の分野でまだ
用いられる少数のワクチンは、ウイルス増殖がほとんど
重大とならない部位に注射される完全に毒力のある感染
性ウイルスよりなるものである。この方法はヒトに使用
するには余りに危険であると考えられる。 生ワクチンに用いる弱毒性ウイルスは、一般的に優れ
た免疫原である。なぜならば、弱毒性ウイルスは宿主中
で増殖して、長く続く免疫性を引き出すからである。弱
毒化ワクチンは、全てのウイルス抗原(ウイルス粒子の
表面抗原と内部抗原の両方)に対する体液性の抗体を誘
導する。しかしながら、生ワクチンの使用には多くの問
題が提起されており、例えばウイルスの不十分な弱毒
化、ウイルスの遺伝的不安定性、ワクチンウイルスの増
殖に用いた細胞培養物中の外部ウイルスによる汚染、そ
して最後に、ワクチンの不安定性(例えば熱不安定性)
などがある。 不活化ワクチン(増殖しない「死滅した」あるいは不
活化ウイルスを用いる)の使用は、生ワクチンの使用に
伴う難点を避けるものだが、死滅したウイルスは、免疫
化された動物の体内で増殖せず、通常、表面成分に対す
る抗体のみをもたらす。しかし、不活化ワクチンについ
ての主な難点は、関連抗原の必要量を供給するのに十分
なウイルスを生産することにある。不活化ワクチンの使
用に伴う他の難点は、達成された免疫性が短いためしば
しば追加の免疫が必要となること、抗原部位が不活化の
化学的処理によって変えられるため免疫原性が弱くなっ
たり、あるいはウイルス感染を中和するのにあまり効果
的でない抗体を誘導すること、そして当該ワクチンがし
ばしば満足のゆくレベルのIgAを誘導しないことであ
る。 サブユニットワクチンは、外被のない正二十面体ウイ
ルスのカプシドタンパク質または外被のあるウイルスの
ペプロマー(糖タンパク質のスパイク)のごとき、必要
かつ適切な免疫原性物質のみを含むものである。サブユ
ニットワクチンは、高度の精製されたウイルス画分から
関係のあるサブユニットを単離するか、あるいは関係の
あるポリペプチドを合成することによって作ることがで
きる。サブユニットワクチンの主な長所は、ウイルス由
来の遺伝物質の排除ならびに宿主またはドナー由来の干
渉性物質の排除にある。しかしながら、現在のところ、
これらの方法を用いてのサブユニットワクチンの製造
は、広く使われる商業用途には高価すぎる。組換えDNA
技術はサブユニットワクチンの製造に多くのものを提供
し、ウイルスの関係のある免疫原性部分またはそのタン
パク質をコードするウイルス遺伝子の分子クローニング
および宿主細胞での発現が、サブユニットワクチンで使
用するのに十分な量の免疫原をもたらすことができる。 ワクチンは、しばしば、種々のアジュバンドを含む乳
濁液として投与される。アジュバントは、免疫原のみを
投与した場合よりも少ない量の抗原を用いて、少ない投
与量で、持続する高レベルの免疫性を獲得するのを助け
るものである。アジュバントの作用機構は複雑で、完全
には理解されていない。しかしながら、それは細網内皮
系の食作用、他の活性の刺激、抗原の遅延された放出お
よび分解を含むかもしれない。アジュバントの例には、
フロインドのアジュバント(完全または不完全)、アジ
ュバント65(落下生油、マンニドモノオレエートおよび
アルミニウムモノステアレートを含む)、および水酸化
アルミニウム、リン酸アルミニウムまたはミョウバンの
ごとき鉱物ゲルがある。フロインドのアジュバントはヒ
トや食用動物のためのワクチンにはもはや用いられてい
ない。なぜならば、それは非代謝性鉱油を含み、しかも
発癌物質の可能性があるからである。しかし、鉱物ゲル
は商業的動物用ワクチンに広く用いられている。 2.3.ヘルペスウイルス類 ヘルペスウイルス類(ヘルペトビリダエ:Herpertovir
idae)は大型のDNAウイルスであり、宿主の一生の間存
続しうる潜在的感染を確立することで有名である。表に
現れない一次感染の後、ウイルスは、照射または免疫抑
制のごとき、いくつかの疑われる刺激のどれかによって
再活性化されるまで静止したままで残存する。 活動状態、つまり感染の急性形態は、増殖感染または
溶菌感染によって特徴づけられる。即ち、ウイルスが複
製して、宿主細胞の機構を乗っ取り、感染性の成熟ウイ
ルス粒子を作り、そして細胞死を引き起こす。しかしな
がら、潜伏状態では、ウイルスは宿主の神経筋に潜んで
いる。潜伏中に感染性ウイルスが生産される証拠はほと
んどない。 大抵の一次感染は幼児期に起こり、表面に現れない。
感染は粘膜のウイルス接種から、あるいはウイルスが表
皮の破れから皮膚の中に入ることにより生じる。従っ
て、感染性ウイルスは密接な接触によって伝播され得
る。いったん獲得されると、HSVは生涯身体中に保持さ
れ、そして患者は、無徴候であるか、あるいは例えば口
唇疱疹(通常「熱性疱疹」または「コールドソアス(co
ld sores)」と呼ばれる唇上の障害)、歯肉口内炎(口
および歯肉が小胞でおおわれ、それが破れて潰瘍とな
る)、咽頭炎、扁桃炎、角結膜炎(角膜炎または眼の角
膜の炎症で、樹状潰瘍へと進行し、最終的には角膜の瘢
痕化をもたらし、盲目となる)および陰部疱疹を含む粘
膜皮膚病のごとき多くの臨床的徴候をもたらす再発性の
攻撃を受けやすい。稀には、HSV感染は脳炎、疱疹性湿
疹、外傷性疱疹、肝炎および新生児疱疹を引き起こすこ
とがある。 活動的発生の間に、感性性ウイルスは病変部位から、
または周囲の体液、例えば口唇疱疹の場合には唾液か
ら、単離することができる。これらの病変は、特定の個
体の身体の同じ部分に発生する傾向があり、月経、日光
または冷風への過剰暴露、下垂体または副腎ホルモン、
アレルギー反応、あるいは古典的には熱のごとき多くの
刺激によって引き起こされる。こうした発生の間、患者
はウイルスを放出しており、接触を介して他人へ感染性
ウイルスを伝播することができる。 感染の潜伏期の間、研究者らは、病変がその後生じる
部位以外の部位にこのウイルスが保持されることを実証
した。この静止期間、ウイルスは知覚神経節のニューロ
ン中に局在化され(顔の病変の場合には、通常三叉神経
節が関係する)、通常の患部から単離することはできな
い。 ほとんどの子供は一次感染から急速に回復するが、時
に、肝炎によって特徴づけられる播種性新生児疱疹感染
が冒された新生児を打ちのめすこととなる。最も重症の
感染は、感染している付添人から、より一般的には感染
母親から、誕生時に赤ん坊が産道で陰部疱疹に出会うと
きに獲得される。女性および子供の外陰部膣炎ならびに
ペニスの感染はHSV-2によって生じると以前考えられて
いたが、最近の結果は、HSV-1またはHSV-2が原因となり
得ることを示しており、更に、女性の疱疹性の性病感染
は子宮頚管の癌と関係している。 ヘルペス感染は今日の社会において頻発している。現
在、HSV感染に対しての治療法はなく、最近の治療はDNA
合成を抑制する化合物を使用するものである。もちろ
ん、これらの化合物はウイルスのDNA合成ばかりでなく
分裂している細胞のDNA合成をも抑制するという点で非
選択的である。更に、これらの化合物は活動期の感染の
間だけ有効であり、これまで、潜伏期の効果については
実証されていない。 ヘルペスウイルスは真核生物のウイルスであり、大き
さ80×106〜150×106ダルトンの範囲の線状の二本鎖DNA
ゲノムを含んでいる。各ウイルス粒子は正二十面体のヌ
クレオカプシドと、成熟期および出芽期に宿主細胞の脂
質二重層から分離されることにより形成される膜エンベ
ロープを有する。ウイルスエンベロープは、一部は膜中
に存在するが、膜エンベロープから外側に突き出ている
多くのウイルス特異的タンパク質を含む脂質二重層であ
る。一次感染の間に、膜エンベロープはウイルス粒子が
細胞中に効率的に侵入するために必要である。脂質二重
層の外側にあるウイルスタンパク質と特異的に結合する
抗体は、ウイルス感染を中和する能力がある。ウイルス
の細胞への侵入にとって最も重要なウイルスタンパク質
は糖タンパク質(糖分子が結合しているタンパク質分
子)である。単純ヘルペスウイルスタイプ‐1(HSV-
1)およびタイプ‐2(HSV-2)は、互いに抗原的に区別
される少なくとも4つの異なる糖タンパク質を作る。HS
V-1およびHSV-2からのこれらのタンパク質のあるものは
共通のエピトープ(即ち、抗原部位または抗体結合部
位)を有する。このようなタンパク質の一例は49,000〜
58,000ダルトンの糖タンパク質であり、gDと称される。
HSV-1 gDに対する多価抗血清はHSV-1とHSV-2の両方の感
染を中和する能力がある(Norrild.1979,Current Topic
s in Microbiol.and Immunol.19:67)。 3.発明の概要 単細胞宿主生物中でのHSV糖タンパク質遺伝子のクロ
ーニングおよび発現のための方法ならびに組成物が提供
される。また、これらの新規な単細胞生物を培養してHS
V遺伝子産生を生産する方法およびその遺伝子産物を精
製する方法が記述される。ここに記述された組変えDNA
技術によって生産されたgD関連タンパク質は、HSV-1お
よびHSV-2感染を防御するためのワクチンの免疫原とし
て用いるために製剤化され得る。 HSV-1のgD遺伝子(HSV-1パットン株から単離されたも
の)は、タイプ間組換え分析とmRNAマッピングによっ
て、ウイルスゲノムにおいて同定された。いったん当該
遺伝子がDNAの特定セグメント上に局在化されたら、そ
のヌクレオチド配列が決定され、そしてgDタンパク質の
アミノ酸配列が推定された。 HSV-2のgD遺伝子(HSV-2 G株から単離されたもの)
は、HSV-1ゲノム中のgDの位置決定から類推して、ま
た、ハイブリダイゼーション分析によってウイルスゲノ
ムにおいて同定された。 その後、単離されたgD遺伝子または遺伝子フラグメン
ト(タイプ1またはタイプ2)をプラスミドベクター中
に挿入して、生物学的に機能する複製単位として働く組
換えプラスミドを作製した。これらの組換えプラスミド
は、適合性の宿主細胞の形質転換の際にgD遺伝子の複製
および発現を容易にするように構築された。更に、これ
らのプラスミドはgD遺伝子を活発に発現する形質転換微
生物の一段階同定を提供する。最後に、発現された遺伝
子産物を単離する方法およびワクチンの処方に用いる方
法が記述される。 4.図面の説明 本発明は、以下の本発明の詳細な説明、本発明の特定
の実施態様の例および添付の図面を参照することによっ
てより十分に理解されよう。 第1a図は、HSV-1ゲノムを示し、HSV-1のgD遺伝子(以
下gD-1遺伝子と記す)のある短いユニーク領域(Us)の
位置を示す。 第1b図は、ラムダgtWES::EcoRI-HのHSV-1EcoRI-Hフラ
グメント挿入物の制限地図を示す。議論に関係のある制
限部位のみを示してある。制限酵素認識配列を次の略号
で示す:BamHI(Ba4〜Ba8);BglII(Bg2);BstEII(B
s);EcoRI(RI);HindIII(H3);KpnI(Kp);PvuII(P
v);SacI(Sc);SalI(Sa);およびXhoI(Xh)。 第1c図は、pBR322へのラムダgtWES:EcoRI-HのBamHI-8
からBamHI-7までのフラグメントの挿入を含むpRWF6の構
築を示す。 第1d図はpSC30-4のHSV-1 SacI DNAフラグメント挿入
物の制限地図を示す。棒線(拡大された領域)はgD-1mR
NAコード配列の局在および位置を示す。 第2図は、gD-1遺伝子配列の配列決定戦略と制限地図
を示す。コード領域は棒線(拡大された領域)によって
示され、非コード領域は単線(細線)によって示され
る。フラグメントの単離、標識付けおよび二次消化に用
いる制限エンドヌクレアーゼ切断部位を示してある。水
平の矢印は配列が決定されたDNAの領域を示し、制限地
図の上のものは非コード鎖配列が決定されたことを示
し、制限地図の下のものは鋳型鎖配列が決定されたこと
を示す。 第3図は、gD-1遺伝子のヌクレオチド配列およびgD-1
タンパク質の推定されたアミノ酸配列を示す。関係のあ
る制限部位が示され、そしてgD-1のアミノコード末端に
おける番号を付けた垂直の矢印は、次の組換えプラスミ
ド中のpJS413へのgD-1アミノコード末端の連結部位を示
す:pEH51,pEH60,pEH62,pEH66,pEH71,pEH73およびpEH73
(これらはgD-1配列の残部からその天然のTAGまでを含
む);およびpEH4-2,pEH82,pEH3-25およびpEH90-N系列
(これらはCro/gD-1/β‐ガラクトシダーゼ融合タンパ
ク質をコードする)。gD-1のガルボキシコード末端にお
ける番号を付けた垂直の矢印は、(1)次の組換えプラ
スミド:pEH4-2、pEH82、pEH3-25中のpJS413のβ‐ガラ
クトシダーゼ遺伝子(z遺伝子);または(2)プラス
ミドのpEH90-N系列中のpHK414のz遺伝子のgD-1カルボ
キシコード末端の連結部位を示す。 第4図(一定の比率で描かれていない)は、gD-1遺伝
子の一部および大腸菌の発現ベクターpJS413から誘導さ
れた組換えプラスミドpEH25の構築を示す。組換えプラ
スミドのpEH25は、発現ベクターに由来する「リーダ
ー」配列(cro)に連結されたgD-1コード配列の約87%
によってコードされたHSV-1gD関連タンパク質の生産を
もたらす。 第5図は、pEH25中のCro/gD-1接合部のDNA配列および
推定アミノ酸配列を示す。 第6図は、HSV感染Hela細胞の溶解液中に存在する競
合抗原を添加することによるpEH25gD産物の免疫沈降の
阻害を示す。 第7図(一定の比率で描かれていない)は、PEH25か
ら誘導されたgD-1発現プラスミドpEH4-2の構築を示し、
このプラスミドでは、gD-1コード配列の3′末端の205
ヌクレオチド(69アミノ酸)が欠失されて、大腸菌のβ
‐ガラクトシダーゼタンパク質をコードする約3,000ヌ
クレオチドで置換される。この組換えプラスミドは、gD
-1特定タンパク質の各末端に大腸菌関連ポリペプチド
(即ち、Cro及びβ‐ガラクトシダーゼ)が融合された
「サンドイッチ」タンパク質(即ち、融合タンパク質)
の生産をもたらす。 第8図(一定の比率で描かれていない)は、多くのgD
-1発現プラスミドpEH50+x(それぞれgD遺伝子のアミ
ノコード末端の可変部分を含む)を作製する方法を示
す。 第9図(一定の比率で描かれていない)は、β‐ガラ
クトシダーゼに融合されたgD-1タンパク質がpEH82で形
質転換された宿主細胞によって発現されるように、pEH4
-2中のgD-1遺伝子のアミノコード末端を再構築する方法
を示す。 第10図(一定の比率で描かれていない)は、pEH3-25
とpEH414から誘導されたgD-1発現プラスミドpEH90-10am
の構築を示す。組換えプラスミドpEH90-10amは、アンバ
ーサプレッサーtRNAを含む大腸菌形質転換体でのβ‐ガ
ラクトシダーゼに融合されたまたは融合されていないgD
-1の両方の生産を可能とする。 第11a図は、HSV-2ゲノムを表し、またHSV-2のgD遺伝
子(以後、gD-2遺伝子と記す)がある短いユニーク領域
(Us)内のBglIIフラグメントの位置を示す。Lフラグ
メントを規定するBglII制限部位はBgと示してある。 第11b図、pHVlのBglII Lフラグメント挿入物の制限地
図を示す。関係のある制限エンドヌクレアーゼ認識部位
のみを示す。制限酵素認識部位を次の略号で示す:BamHI
(Ba);BglII(Bg):ClaI(C);HindIII(H3);PvuII
(Pv);SalI(Sa);SacI(Sc);SphI(Sp);およびXho
I(Xh)。棒線(拡大された領域)はgD-2 mRNAコード配
列の局在および位置を示す。 第11c図は、pHV2のHSV-2 XhoI DNAフラグメント挿入
物の制限地図を示す。 第12図は、gD-2遺伝子のヌクレオチド配列およびgD-2
タンパク質の推定アミノ酸配列を示す。関係のある制限
部位を示してあり、またgD-2遺伝子のアミノコード末端
における番号を付けた垂直の矢印は、組換えプラスミド
pHV5(gD-2の全カルボキシコード末端を含む)およびpH
V6中のpJS413へのgD-2アミノコード末端の連結部位を示
す。BamHI部位は、pHV6中のpHK414の遺伝子へのgD-2カ
ルボキシコード末端の連結部位である。 第13図は、gD-2の推定アミノ酸配列の比較を示す。ア
ミノ酸残基は一文字表記で表してある。gD-1およびgD-2
において相同なアミノ酸残基は、gD-2配列中のダッシュ
で示される。gD-2配列はgD-1配列よりも1アミノ酸残基
だけ短い。gD-2中の「欠失している」アミノ酸には星印
(*)が付けてある。 第14図(一定の比率で描かれていない)は、gD-2遺伝
子の一部およびpJS413から誘導された組換えプラスミド
pHV5の構築を示す。組換えプラスミドpHV5は、発現ベク
ターに由来する「リーダー」配列(cro)に連結されたg
D-2コード配列の約90%によってコードされたHSV-2gD関
連タンパク質の生産をもたらす。 第15図は、pHV5から誘導されたgD-2発現プラスミドpH
V6の構築を示し、このプラスミドでは、gD-2コード配列
の3′末端の259ヌクレオチド(86アミノ酸)が欠失さ
れて、大腸菌のβ‐ガラクトシダーゼタンパク質をコー
ドする発現プラスミドpHK414由来の約3,000追加ヌクレ
オチドで置換される。この組換えプラスミドpHV6は、gD
-2特定タンパク質の各末端に大腸菌関連ポリペプチド
(即ち、Croおよびβ‐ガラクトシダーゼ)が融合され
た「サンドイッチ」タンパク質(即ち、融合タンパク
質)の生産をもたらす。 5.発明の説明 本発明は、組換えDNA技術を使用して、ワクチン製剤
において免疫原として用いることのできるHSVタンパク
質に関連したポリペプチドを生産することに関する。よ
り詳細には、gD関連タンパク質の生産を記述する。HSV-
IgDに対する多価抗血清はHSV-1とHSV-2の両方を中和す
る能力を有するので、純粋なgDタンパク質またはその抗
原的に重要な部分は、HSV-1およびHSV-2の両方の一次感
染からレシピエントを効率よく防御しうるサブユニット
ワクチンにおいて使用できるかもしれない。 ここに記載したごとく構築された組換えプラスミド
は、宿主細胞内で分解に抵抗して安定なgD関連ポリペプ
チドであるタンパク質の宿主細胞生産をもたらす。こう
したプラスミドはgDの免疫学的抗原決定基を含むgD関連
タンパク質または融合タンパク質を大量に生産すること
を可能にする。しかしながら、ここに記述したDNA組成
物はgD関連タンパク質の生産に限定されず、HSVタンパ
ク質に関連するポリペプチドの生産に用いることができ
る。多種の免疫原およびワクチン製剤を製造できること
が容易に理解されよう。 本発明の方法は、説明の目的で次の段階に分けること
ができる。即ち、(1)HSV糖タンパク質遺伝子または
遺伝子フラグメントの同定および単離、(2)単細胞生
物の形質転換に用いる組換えDNA分子を作製するため
の、クローニング発現ベクターへの当該遺伝子または遺
伝子フラグメンノの挿入、(3)当該遺伝子を複製して
発現することができる形質転換単細胞生物の同定および
増殖、(4)当該遺伝子産物の同定および精製、そして
(5)中和抗体の生産を引き出すその能力を評価するこ
とによる遺伝子産物の免疫能の測定。明確にする目的
で、全方法をgD遺伝子に関して論じる。しかしながら、
同じ技術を同様に使用して、HSV糖タンパク質に関連す
るポリペプチドを同様に生産することができる。 5.1.HSV糖タンパク質遺伝子の同定および単離 HSV糖タンパク質(gD)は、HSVタイプ1またはタイプ
2の株から得ることができる。gD遺伝子(またはその部
分)の単離は、まず、HSVのDNAを単離すること、HSVのD
NAフラグメントを作製すること、そして糖タンパク質遺
伝子配列を含むフラグメントを同定することを含む。同
定の前に、HSV DNAフラグメントを、通常、クローニン
グベクターに連結し、そのベクターを宿主細胞の形質転
換に用いる。これにより多重コピー数のHSV DNAフラグ
メントの生成が可能となり、分析および同定の操作に十
分な供給が可能となる。 HSVのDNAは、(1)ウイルスに感染した真核生物細胞
から精製されたウイルスよりDNAを直接単離することに
よって、あるいは(2)gD遺伝子を含むウイルスゲノム
の一部を含むバクテリオファージまたはプラスミドか
ら、得ることができる。 HSVのDNAフラグメントを作るためには、当該DNAを特
定の位置で制限酵素により切断するか、マンガンの存在
下でDNAアーゼを用いてDNAを断片化するか、またはDNA
を例えば音波処理によって物理的に破砕する。その後、
線状DNAフラグメントは、アガロースまたはポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動、カラムクロマトグラフィーを含
むがこれらに限らない標準的技術によって、大きさによ
り分離することができる。 任意の制限酵素または制限酵素の組合せを用いて、gD
配列を含むHSV DNAフラグメントを作製することができ
るが、ただし、当該酵素はgD遺伝子産物の免疫能を破壊
しないものである。例えば、タンパク質の抗原部位は約
7〜14のアミノ酸から成り得る。従って、gDの大きさの
タンパク質は多くの異なる抗原部位をもつことができ、
重複配列、2次構造、そしてアセチル化、グリコシル
化、リン酸化などのプロセシング過程を考慮すると、お
そらく数千の抗原部位があると思われる。従って、多く
の部分gD遺伝子配列が抗原部位をコードできよう。その
結果、多数の制限酵素の組合せを用いてDNAフラグメン
トを作製することができ、当該DNAフラグメントは、適
切なベクター中に挿入されると、異なる抗原決定基を有
するgD特異的アミノ酸配列を単細胞生物において産生さ
せることができよう。 HSV DNAフラグメントを含むこれらの組換えDNA分子に
よる宿主細胞の形質転換は多コピー数のウイルスDNAの
生成を可能にし、その後、ウイルスDNAはgD遺伝子配列
を含むフラグメントを同定するために分析され得る。ク
ローニングベクターへのHSV DNA制限フラグメントの挿
入は、クローニングベクターが相補的な接着末端を有す
る場合に、容易に達成される。しかし、HSV DNAの断片
化に用いた相補的制限部位がクローニングベクター中に
存在しないときは、HSV DNAまたはクローニングベクタ
ーの両末端を修飾することができる。このような修飾に
は、一本鎖のDNA末端を消化して平滑末端とすること、
または平滑末端連結が可能なように一本鎖末端を修復す
ることが含まれる。また、DNA末端にヌクレオチド配列
(リンカー)を連結することによって所望の末端を作る
こともでき、連結されるリンカーは制限酵素認識配列を
コードする化学的に合成された特定のオリゴヌクレオチ
ドを含み得る。他の方法に従って、開裂されたベクター
とHSV DNAフラグメントをホモポリマーテイリングによ
って修飾してもよい(Morrow,1979,Methods in Enzymol
ogy 68:3を参照のこと)。 gD遺伝子を含む特定DNAフラグメントの同定は多くの
方法によってなされ得る。第一に、ウイルスDNAフラグ
メントの配列を決定し(Maxam & Gilbert,1980,Method
s in Enzymology 65:499)、次に推定されたアミノ酸配
列をgDタンパク質のアミノ酸配列と比較することにより
gD遺伝子配列を含むフラグメントを同定することが可能
である。第二に、gD遺伝子を含むフラグメントをmRNA選
択によって同定し得る。HSV DNAフラグメントはハイブ
リダイゼーションにより相補的mRNAを単離するために用
いられる。単離されたmRNAのin vitro翻訳産物の免疫沈
降分析によりmRNAを同定し、それゆえ、gD遺伝子配列を
含む相補的HSV DNAフラグメントを同定する。最後に、g
D特異的nRNAは、HSV感染細胞から単離されたポリソーム
を、gDに対する固定化モノクローナル抗体に吸着せしめ
ることによって選択できる。放射性標識されたgDmRNAま
たはcDNAは、(吸着されたポリソームから)選択された
mRNAを鋳型として用いて合成することができる。その
後、放射性標識されたmRNAまたはcDNAをプローブとして
用いて、gD配列を含むHSV DNAフラグメントを同定する
ことができる(Southern,1975,J,Mol.Biol.98:503;Alwi
neら,1979,Methods in Enzymology 68:220)。 gD遺伝子の別の単離法には、限定するものではない
が、遺伝子配列そのものを化学的に合成すること(ただ
し、当該配列が知られているという条件で)、またはgD
遺伝子をコードするmRNAに対するcDNA(相補DNA)を作
製することが含まれる。これを達成するためには、gDに
特異的なmRNAをウイルス感染細胞から単離する。次に、
標準的技術によって単離されたmRNAをcDNAコピーに変換
し、そしてクローニングベクターに直接挿入する。 単離した遺伝子、cDNAまたは合成DNA配列を含む組換
えDNA分子により宿主細胞を形質転換することは、多コ
ピー数の遺伝子の生成を可能にする。従って、形質転換
体を増殖させ、組換えDNA分子をその形質転換体から単
離し、単離された組換えDNAから挿入遺伝子を回収する
ことによって当該遺伝子をマイクログラムの量で得るこ
とができる。また、マイクログラム量のgD遺伝子は、gD
遺伝子供給源から、例えば、感染動物細胞中の単離ヘル
ペスウイルス、または組換えプラスミド中にウイルス遺
伝子を含むバクテリアもしくはファージから得ることも
できる。ウイルスあるいはプラスミドDNAは当該遺伝子
の位置確認に用いられる方法と同じ方法で単離され、断
片化され、そして大きさにより分画化される。 5.2.HSV糖タンパク質遺伝子のクローニング発現ベクタ
ーへの挿入 いったん単離されたら、gD遺伝子または遺伝子フラグ
メントを適切な発現ベクター中へ、即ち、挿入された遺
伝子の転写および翻訳に必要な要素を含むベクター中へ
挿入する(Roberts & Lauer,1979,Methods in Enzymol
ogy,68:473)。gD遺伝子(または当該遺伝子の一部)を
効率よく発現させるためには、プロモーターが発現ベク
ター中に存在しなければならない。RNAポリメラーゼは
普通はプロモーターに結合して、遺伝子または連結され
た遺伝子と調節要素の一群(オペロンと言う)の転写を
開始する。プロモーターはその「強度」、即ち、転写を
促進する能力がさまざまである。分子クローニングのた
めには、高レベルの転写、ひいては、高レベルの遺伝子
発現を得るように強力なプロモーターを用いることが望
ましい。使用した宿主細胞系に応じて、多くの適当なプ
ロモーターのうちの一つを用いることができる。例え
ば、大腸菌宿主細胞系にクローニングする場合は、大腸
菌、そのバクテリオファージまたはプラスミドから単離
されたプロモーターを用いることができる(例:1acプロ
モーター)。更に、組換えDNAまたは他の合成DNA技術に
よって作られた大腸菌プロモーターを用いて、挿入され
た遺伝子の転写を促進させてもよい。より詳細には、コ
リファージラムダのPRおよびPLプロモーターは隣接DNA
セグメントの高レベル転写を支配する。更に、大腸菌由
来のrecAプロモーターは隣接フラグメントの高レベルの
遺伝子転写をもたらす。 原核細胞および真核細胞内での効率的な遺伝子転写お
よび翻訳には、特定の開始シグナルも必要となる。これ
らの転写および翻訳開始シグナルは、遺伝子特異的メッ
センジャーRNAおよび合成されたタンパク質の量で測定
したところ、「強度」がさまざまである。プロモーター
を含むDNA発現ベクターは、さらに、種々の「強力」な
転写および/または翻訳開始シグナルの任意の組合せを
含んでいてもよい。こうして、宿主細胞リボソームによ
り利用され得るSD-ATGの組合せが用いられる。このよう
な組合せには、コリファージラムのcro遺伝子またはN
遺伝子由来の、または大腸菌トリプトファンE、D、
C、BまたはA遺伝子由来のSD-ATGの組合せがあるが、
これらに限らない。更に、組換えDNAまたは他の合成技
術によって作られたSD-ATGの組合せも用いることができ
る。 プロモーターと他の調節要素をベクター内の特定の部
位に連結させるには、DNAフラグメントをベクターに挿
入するために上述した方法を用いることができる。 かくして、gD遺伝子(またはその一部)は、発現ベク
ターのプロモーターおよび調節要素に対して特定の位置
で連結され、それによりgD遺伝子配列はベクターATG配
列に関して正しい翻訳リーディングフレーム(即ち、in
phase)で存在するようになる。これとは別に、gDのAT
Gや合成ATGを用いてもよい。得られた組換えDNA分子
は、その後、(ベクター/宿主細胞系に応じて)形質転
換、形質導入またはトランスフェクションにより適切な
宿主細胞内に導入される。形質転換体はベクター中に通
常存在する適当な遺伝子マーカーの発現に基づいて選択
され、例えばpBR322中のアンピシリン耐性またはテトラ
サイクリン耐性、あるいは真核生物宿主株におけるチミ
ジンキナーゼ活性などがある。このようなマーカータン
パク質の発現は、組換えDNA分子が無傷で、複製してい
ることの指標となる。発現ベクター(通常マーカー機能
を含むもの)としては次のベクターまたはその誘導体が
上げられる:SV40およびアデノウイルスベクター、酵母
ベクター、バクテリオファージベクター(例えば、ラム
ダgD-WES-ラムダB、Charon 28、Charon 4A、ラムダgt-
1-ラムダBc、ラムダgt-1-ラムダB、M13mp7、M13mp8、M
13mp9)またはプラスミドDNAベクター(例えば、pBR32
2、pAC105、pVA51、pACY177、pKH47、pACYC184、pUB11
0、pMB9、pBR325、ColEl、pSC101、pBR313、pML21、RSF
2124、pCR1またはRP4)。本発明の実施例に用いた発現
ベクターは米国特許出願449,187号(1982年12月13日出
願)に詳述されており、その教示内容を参考としてここ
に組み入れる。 更に、宿主細胞株は、特に誘導するとき以外は、プロ
モーターの作用を抑制するものが選択させる。この方法
において、95%以上のベクタープロモーターの有効性が
非誘導細胞において抑制され得る。あるオペロンでは、
挿入DNAの効率的な転写および翻訳のために、特定の誘
導物質を添加することが必要であり、例えば、lacオペ
ロンはラクトースまたはIPTG(即ち、イソプロピルチオ
‐β‐D-ガラクトシド)の添加によって誘導される。種
々の他のオペロン、例えばtrp、proなどは異なる制御下
にある。trpオペロンはトリプトファンが増殖培地中に
存在しない場合に誘導され、そしてラムのPLプロモータ
ーは、温度感受性のラムダリプレッサータンパク質
(例:CI857)を含む宿主細胞における温度の上昇により
誘導される。こうして、遺伝子工学的に操作されたgDタ
ンパク質の発現が制御され得る。このことは、クローン
化された遺伝子のタンパク質産物が宿主細胞に致死的で
ある場合に重要となる。このような場合には、外来遺伝
子が複製されるものの、形質転換体の増殖中には発現さ
れない。細胞が増殖培地中で適当な密度に達した後に、
プロモーターはタンパク質の生産のために誘導され得
る。 上記のように構築されたプラスミド(即ち、天然gD翻
訳終止シグナルで終止し、そしてベクター、gD遺伝子ま
たは合成配列によって提供されるATGで開始する。gD-関
連タンパク質の発現を誘導するプラスミド)で形質転換
された細胞により産生されるgD-関連タンパク質は、以
後、非融合gDタンパク質または非融合gD-関連タンパク
質と称する。 5.3.融合タンパク質の生産 特定の形質転換体による遺伝子発現のレベルを最大に
するために、目的の遺伝子を、宿主細胞タンパク質の如
き他のタンパク質をコードする遺伝子に連結することが
望ましい。宿主細胞タンパク質がもともと検出可能な機
能を含む場合には、更なる利点が得られる。連結された
遺伝子の発現により、融合タンパク質産物(以後、gD融
合タンパク質という)が得られ、これはその大きな分子
量および検出可能な機能に基づいて同定できる。例え
ば、gD/β‐ガラクトシダーゼ融合タンパク質の生産
は、大腸菌宿主内でのgDのクローニングおよび発現に対
しいくつかの利点を提供する。第一に、Millerの方法
(Experiments in Molecular Genetics,Cold Spring Ha
rbor Press,New York,N.Y.1972,pp.47-55および352-35
5)に従ってβ‐ガラクトシダーゼ活性に特異的な比色
定量アッセイを用いて、ベクターによって誘導されたタ
ンパク質生産(それゆえ、発現)のレベルを概算するこ
とが可能となる。第二に、融合タンパク質の生産が該タ
ンパク質産物の同定および単離を単純化する。大腸菌形
質転換体により産生された非融合gDタンパク質はgD/β
‐ガラクトシダーゼ融合タンパク質よりも小さく、この
ためSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析さ
れたいくつかの他の宿主タンパク質と共泳動する。しか
しながら、産生された融合タンパク質は、その独特な大
きな分子量のために、SDS-ポリアクリルアミド電気泳動
(SDS-PAGE)によって容易に検出および同定できる。 本発明は、β‐ガラクトシダーゼ融合タンパク質の生
産に限るものではない。真核生物または原核生物由来の
任意の遺伝子をgD遺伝子(またはHSVタンパク質遺伝
子)と同一のリーディングフレーム(in phase)で連結
させて、β‐ガラクトシダーゼ融合タンパク質産物と同
様の利点を得ることができる。その例として、ガラクト
キナーゼ;trpD、Eまたはリーダー;ピリ(線毛)遺伝
子;それに真核生物の遺伝子、例えば、チミジンキナー
ゼ、β‐グロビン、SV-40T-抗原あるいはラウス肉腫ウ
イルス形質転換遺伝子を挙げることができるが、これら
に限らない。 融合タンパク質をコードする遺伝子を構築するために
は、2つの遺伝子を、翻訳リーディングフレームが維持
されかつ終止シグナルによって妨害されないように、そ
れらのコード配列内で接合する必要がある。また、先に
説明したように、宿主細胞がプロモーターの作用を抑制
する株である場合には、融合タンパク質は誘導に応答し
たときのみ生産される。 5.4.遺伝子産物の同定 ひとたび正しいDNA構築物を含む形質転換体が同定さ
れると、組換えDNAgD遺伝子産物の免疫反応性および抗
原性の分析が必要となる。宿主細胞が天然に存在するHS
V-gDと同じパターンでgD遺伝子産物をグリコシル化する
能力がない場合は、gD遺伝子産物は天然のgD糖タンパク
質と異なるだろう。それゆえ、免疫学的分析がgD遺伝子
産物にとって特に重要となる。なんとなれば、最終目標
がこのように生産されたgD関連タンパク質をワクチン製
剤中で用いることにあるからである。免疫反応性の分析
は、HSV感染細胞のgDタンパク質に対する抗血清を用い
て行うのが最も簡単であるが、抗原性はgD遺伝子産物に
よる免疫感作に応答して生じる試験動物の抗血清力価お
よびHSV感染を中和する該抗血清の能力を測定すること
により評価することができる。 免疫反応性を分析するにあたっては、全ウイルスまた
は特にgDに対して誘導された多価抗体調製物を含め、さ
まざまな抗血清を利用することができる。gDタンパク質
分子上のたった1つの抗原部位を認識するモノクローナ
ル抗体を用いることにより、より高い特異性が得られ
る。gDに対するモノクローナル抗体は多々存在し、その
一部はHSV-1およびHSV-2のgD遺伝子産物を特異的に免疫
沈降させるばかりか、どちらのウイルスの感染性も中和
するものである。 したがって、本発明で述べたタンパク質の同定は2つ
の要件に基づく。第一に、gD-関連タンパク質はプロモ
ーターの誘導に応答してのみ産生されるべきである。第
二に、gD-関連タンパク質は、HSVに対する種々のポリク
ローナル抗体あるいはgDに対するモノクローナル抗体と
免疫反応性であるべきであり、該タンパク質が全遺伝子
配列から、遺伝子配列の一部から、または融合タンパク
質の生産をもたらすように連結された2以上の遺伝子配
列から生じたものであろうと、免疫反応性であるべきで
ある。この反応性は、標準的な免疫学的技術により、例
えば免疫沈降、免疫拡散、放射性免疫競合、免疫電気泳
動、またはポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離
され、次にニトロセルロース上に移行されたタンパク質
の免疫学的検出により検出され得る。 5.5.遺伝子産物の精製 gD遺伝子(または任意のHSV糖タンパク質遺伝子)を
含む細胞は大容量で増殖させ、そしてプロモーターの誘
導後に産生されたタンパク質はかかる細胞から、また、
タンパク質が分泌されるのであれば、その培養培地から
単離される。タンパク質は、イオン交換、アフィニティ
ーまたはサイジング樹脂を含む標準的クロマトグラフィ
ーにより、遠心分離により、あるいはタンパク質精製の
ための他の任意の標準的技術によって単離・精製するこ
とができる。 ある種の融合タンパク質は、細胞で過剰に生産される
ときや溶液中で生産されるとき、凝集物を形成するの
で、凝集物形成タンパク質の単離方法が本発明で生産さ
れた融合タンパク質の単離に特に有用である。これらの
融合タンパク質は次にワクチン製剤において用いること
ができる。融合タンパク質の精製(以後、凝集物の精製
と称する)は、細胞の破砕による細胞培養物の溶解産物
のようなタンパク質混合物からの凝集物形成タンパク質
の抽出、分離および/または精製を含むものである。更
に、凝集物は、強い水素受容体と強い水素供与体の両方
である溶媒(または核溶媒がこれらの性質の一方を有す
る混合溶媒)を添加するこによって可溶化し、その後凝
集形成タンパク質を適切なバッファーで希釈して沈降さ
せることができる。適当なタンパク質溶媒には、尿素
(約4〜8M)、ホルムアミド(少なくとも約80%、容量
/容量基準)およびグアニジン塩酸(約4〜8M)がある
が、これらに限らない。凝集物形成タンパク質を可溶化
しうる溶媒、例えば、SDS(ドデシル硫酸ナトリウ
ム)、70%蟻酸はこの手順において用いるには不適切で
ある。なぜならば、可溶化された凝集物形成タンパク質
のその後の沈降が不十分であると分かったからである。
グラニジン塩酸および他の同様な試薬は変性剤である
が、実験によると、この変性は不可逆的ではなく、変性
剤の除去(例えば、透析による)または希釈の際に復元
再生が起こって、免疫学的および/または生物学的に活
性なタンパク質の再形成を可能にすることが判明した。 融合タンパク質単離技術の1つの実施態様は次の如く
概略される(以後、非変性凝集物精製法という)。細胞
ペレットを、ドライアイス/メタノールを用いてすばや
く凍結し、計量し、そして3〜4gの細胞を少なくとも25
mlのバッファー溶液〔例えば、50mMトリス‐HCl(トリ
スヒドロキシメチルアミノメタン塩酸塩)、pH8.0、2mM
EDTA(エチレンジアミン四酢酸)および200mM NaCl〕
中に再懸濁する。即ち、細胞はバッファー溶液中に約10
0〜200g細胞/Lの概算濃度で懸濁される。約160g/L以下
の濃度が好適である。この懸濁体に、リゾチームを約13
0μg/mlの最終濃度で添加し、得られた混合物を4℃で2
0分間、時々振とうしながら、静置する。膜を可溶化す
るために用いる非イオン性界面活性剤である、Nonidet
P40(NP−40、Shellの登録商標、ポリオキシエチレン
(9)p-tert-オクチルフェノール)を約0.1%の最終濃
度で添加し、その後溶液を混合する。次に、懸濁体をPo
lytron粉砕機(Brinkman Instruments,Westbury,N.Y.)
または同等の装置を用いて約1分間粉砕する。 懸濁体を8,000×gで30分間遠心分離し、そしてペレ
ットを洗浄バッファー〔例えば、2mMトリス‐HCl(pH7.
2)、1mM EDTA、150mM NaClおよび2%トリトン‐X100
(ポリオキシエチレン(9-10)p-tert-オクチルフェノ
ール、非イオン性界面活性剤)〕中に再懸濁し、そし
て、Polytron粉砕機によって粉砕する。遠視分離、洗浄
および粉砕の工程は、ペレットをさらに洗浄して、出来
るだけ多くの細胞破片を除くために繰り返すことができ
る。 また、凝集物ペレットは変性剤の添加によって以下の
如くさらに処理することができる(以後、変性凝集物精
製法という)。懸濁物を遠心分離し、上澄みを完全に除
き、そしてペレットを約1/5容量の6Mグアニジン塩酸
(蒸留水中)に再懸濁する。例えば、25mlのバッファー
で洗浄した3gの細胞を、この段階で5mlの6Mグアニジン
塩酸溶液中に再懸濁すべきである。この段階でペレット
を再懸濁することは困難であり、音波処理あるいはホモ
ジナイゼーションが均質な溶液を得るために必要であろ
う。溶液を22℃で20分間放置し、次に8000×gで30分間
遠心分離して破片を除き、この時点で融合タンパク質凝
集物を含む上澄みを得る。 融合タンパク質は、約4倍容量の水性バッファーの添
加によってグアニジン塩酸上澄みから沈殿せしめる。ほ
ぼあらゆる水性バッファーをこの段階で使うことができ
るが、少量の非イオン性界面活性剤〔例:0.5%NP-40ま
たはトリトンX-100〕を添加することが役立つだろう。
この懸濁体を4℃で30分間放置し、次に8,000×gで10
分間遠心分離する。上澄みを捨て、ペレット(融合タン
パク質沈殿物を含む)を適当な容量の適切なバッファ
ー、例えばリン酸緩衝溶液(PBS)中に再懸濁する。短
期間の音波処理またはホモジナイゼーションが均質な懸
濁体もしくはスラリーを得るのに役立つだろう(なんと
なれば、凝集物形成タンパク質は水に不溶性であるから
である)。 5.6.非融合gDタンパク質の生産 ワクチン製剤では融合タンパク質を用いることが望ま
しいだろう。しかしながら、前に説明したように、非融
合gDタンパク質を産生する形質転換体は、gD融合タンパ
ク質を産生する形質転換体よりも少ない量で該タンパク
質を産生し、このことは、非融合タンパク質の遺伝子配
列が誘導性のプロモーターの制御下にあるときでさえも
そうである。更に、バクテリア形質転換体によって作ら
れた非融合gDタンパク質はgD融合タンパク質と比べて安
定性の面で劣るかもしれない。 本発明の別の実施態様において、宿主細胞形質転換体
は、非凝集して容易に精製しうる融合および非融合の両
方のgD関連タンパク質を大量に産生するように操作する
ことができる。この実施態様によると、gD融合タンパク
質をコードする組換えプラスミドは、gD遺伝子配列と宿
主細胞タンパク質遺伝子配列(例えば、β‐ガラクトシ
ダーゼz遺伝子配列)との接合点で、ナンセンスコドン
配列、即ちアンバー(amber)(TAG)、オーカー(ochr
e)(TAA)またはオパール(opal)(TGA)のごときチ
ェーンターミネーターが2つの遺伝子配列の間に位置す
るように変更される。このチェーンターミネーターはgD
配列と宿主細胞遺伝子配列の両方の翻訳リーディングフ
レームとin phaseで配置されねばならない。このような
変更は、2つの遺伝子配列の間に位置する制限部位にお
いてプラスミドを開裂し、次に、アンバー、オーカーま
たはオパールのごときチェーンターミネーターをコード
するDNAリンカー配列をプラスミドの開裂部位に連結し
て、チェーンターミネーターが両方の遺伝子配列の翻訳
リーディングフレームとin phaseで配置されるようにす
ることによって達成される。 これらのアンバー、オーカーまたはオパール修飾プラ
スミドを、適切なtRNAサプレッサーを含む宿主細胞中に
導入すると、非融合gD関連タンパク質並びにgD融合タン
パク質の両方の合成が得られる。アンバー、オーカーま
たはオパール修飾プラスミドが非サプレッサー細胞系の
形質転換に用いられる場合は、主として非融合gD-関連
タンパク質が産生されるだろう。 アンバー、オーカーまたはオパール修飾プラスミドを
サプレッサー細胞のバックグラウンドに導入するために
少なくとも2つの方法がある。つまり、(1)形質転換
体(即ち、アンバー、オーカーまたはオパール修飾プラ
スミドにより形質転換された宿主細胞)に、適切なサプ
レッサーtRNA遺伝子をもつ溶原性形質導入ファージ(例
えば、φ80pSU3はアンバー変異のsupFサプレッサーを保
有する)を感染させることができる。または、(2)ア
ンバー、オーカーまたはオパール修飾プラスミドを用い
て、それぞれアンバー、オーカーまたはオパールのサプ
レッサーtRNAを含む細胞系を形質転換することができ
る。このような菌株の例には、LE392(アンバー変異のs
upEおよびsupFサプレッサーを含む)、YMC(supFを含
む)およびC600(supE)があるが、これらに限らない。
大腸菌中の種々のアンバーサプレッサーtRNA遺伝子とし
ては、supB、supC、supD、supE、supF、supG、supL、su
pM、supN、supO、supP、supU、supVがあるが、これらに
限らない。大腸菌中の種々のオーカーサプレッサーtRNA
遺伝子には、supB、supC、supG、supL、supM、supN、su
pO、supVがあるが、これらに限らない。大腸菌中の種々
のオパールサプレッサーtRNA遺伝子にはsupKがあるが、
これに限らない(BackmannおよびLow,1980,Microbiolog
ical Reviews44(1):1-56)。 アンバー、オーカーまたはオパール修飾プラスミドに
よって形質転換された、適切なサプレッサーtRNA遺伝子
を含む宿主細胞は、融合タンパク質と非融合タンパク質
の両方としてgD関連タンパク質を産生することができる
(産生された融合gDと非融合タンパク質の比率は宿主細
胞中の抑制の程度に依存する)。両タンパク質はHSVに
対する抗血清と免疫反応する。第5.5節で述べた非変性
凝集物精製法(この場合の方法は非変性共凝集物精製法
である)を用いるとき、非融合gDとgD融合タンパク質の
両方が共精製される。可溶化後、非融合gDは、大きさま
たは電荷に基づいて、gD融合タンパク質から分離でき
る。結果的に、宿主細胞形質転換体により産生された、
大量の非融合gD-関連タンパク質が容易に精製でき、ワ
クチンとして使用するために製剤化される。 5.7.ワクチンの製造 本発明の目的は、組換えDNA技術によって、HSV-1およ
び/またはHSV-2感染を防御するためのワクチンの免疫
原として使用しうる、gD-関連タンパク質のようなHSV糖
タンパク質‐関連ポリペプチドを生産することである。
生産されたgD-関連タンパク質が特異的なHSV-1および/
またはHSV-2中和抗体と免疫反応するのであれば、そのg
D-関連タンパク質は生体内の関連ウイルスを中和し得る
免疫応答を引き出すことが期待されるだろう。遺伝子工
学的に操作された免疫原から作られたワクチンは、弱毒
化ウイルスから作られた通常のワクチンよりも安全なは
ずである。なぜならば、レシピエントの感染の危険が全
くなくなるからである。また、遺伝子工学的に操作され
たgD産物は受身免疫治療に有用な抗体を作るのに用いる
ことができる。 gD/β‐ガラクトシダーゼ融合タンパク質産物自体は
ワクチン製剤において有用でありうるが、最初にβ‐ガ
ラクトシダーゼ部分を除く必要があろう。また、gD遺伝
子のアミノコード末端の再構成が該タンパク質の免疫原
性にとって重要であるかもしれない。というのは、アミ
ノ末端が更なる重要な抗原部位を含みうるためである。
gD遺伝子のアミノコード末端は、gDのアミノ末端をコー
ドするDNA配列を、組換えDNA分子のgDコード領域内の適
当な部位に連結することによって再構成することができ
る。組換えDNA分子は全ての必要な発現制御要素を保持
するので、全長の(またはほぼ全長の)gD-関連タンパ
ク質は、再構成された遺伝子を含むDNA分子で形質転換
された細胞によって産生される。 最後に、遺伝子工学的に操作されたgD-関連タンパク
質は、標準的なタンパク質単離技術を用いて、または、
ここに述べた凝集物精製法によって宿主細胞から単離・
精製され得る。その後、最終精製産物は適当な濃度に希
釈され、適当なワクチンアジュバントを用いて製剤化さ
れ、そして使用に供するために包装される。適当なアジ
ュバントとして、表面活性物質、例えば、ヘキサデシル
アミン、オクタデシルアミン、リゾレシチン、臭化ジメ
チルジオクタデシルアンモニウム、N,N-ジオクタデシル
‐N′‐N-ビス(2-ヒドロキシエチル‐プロパンジアミ
ン)、メトキシヘキサデシルグリセロールおよびプルロ
ニックポリオール類;ポリアニオン類、例えば、ピラ
ン、硫酸デキストラン、ポリIC、ポリアクリル酸、カル
ボポール;ペプチド類、例えば、ムラミルジペプチド、
ジメチルグリシン、タフトシン;オイルエマルジョン;
およびミョウバンが挙げられるが、これらに限らない。
最後に、タンパク質産物はワクチン製剤用のリポソーム
中に保持させても、また、多糖類や他のポリマーとの複
合体を形成させてもよい。 ここに述べた遺伝子工学的に操作されたDNA分子は、
ワクチン製造に大きな融通性を提供する。例えば、gD遺
伝子配列の任意の部分またはgD遺伝子(またはその一
部)の多重コピーをタンデムで含む組換えDNA分子を含
む形質転換体により産生されたgD-関連タンパク質を用
いてワクチンを製剤化することができる。gD遺伝子配列
(またはその一部)を、他の免疫原をコードする遺伝子
に連結させて、その融合タンパク質産物を多価ワクチン
の製造に使用してもよい。更に、gD遺伝子配列(または
その一部)を、任意の組合せで、他のHSV糖タンパク質
配列(またはその一部)に連結させることもできよう。
最後に、ワクチンの免疫原性を増強するために、gD配列
を再構成してもよい。例えば、タンパク質産物が免疫系
に特定のエピトープを提示する(例えば、通常、露出さ
れないgDの抗原部位が免疫系に提示される)ように遺伝
子配列を変更する。あるいは、タンパク質の免疫抑制部
分をコードするgD遺伝子配列の領域を欠失することがで
きる。 6.実施例:HSV-1gD 本発明の方法によれば、HSV-1ゲノムのUs部分のDNAフ
ラグメント(第1a図参照)をベクターpBR322中に挿入し
て、それぞれHSV-1ゲノムの異なるフラグメントを含む
組換えプラスミドを作製することによって、gD-1遺伝子
を局在化し、同定した。gD-1遺伝子を含むプラスミドは
次の3つの技術(必ずしも示した順序どおりではない)
によって同定した。すなわち、(1)DNA配列決定、
(2)gD-1特異的mRNAハイブリダイゼーション実験、お
よび(3)組換えプラスミドにハイブリダイズするmRNA
のin vitro翻訳。 ひとたびgD-1遺伝子を含むプラスミドが同定された
ら、DNA配列決定により、また、組換えプラスミド内のg
D-1遺伝子末端の位置確認を行うことにより、該遺伝子
の特性付けを行った。コード配列の最初の156個のヌク
レオチドを欠くgD-1遺伝子を含むDNAフラグメントを、
同定されたプラスミドから単離した。このDNAフラグメ
ントを、DNAベクターpJS413に連結して、大腸菌での該
遺伝子のクローニングおよび発現のために用いられたpE
H25を作製した。誘導された形質転換体から単離された
遺伝子産物は、gD-1に対するモノクローナル抗体および
HSV-1に対する多価抗体による免疫沈降によって、gD-1
に特有のタンパク質として同定された。 最後に、gD-1遺伝子フラグメントを、特定部位で制限
エンドヌクレアーゼ切断によりpEH25から単離し、それ
によりgD-1コード配列の終止配列(TAG)を欠失させ
た。gD-1遺伝子の一部およびプラスミドプロモーターお
よび制御要素(例えば、SD-ATG)を含むこのDNAフラグ
メントを、β‐ガラクトシダーゼコード配列を含むベク
ターに連結させた。得られたプラスミドpEH4−2は、cr
oSD-ATGをもつプラスミドのlacプロモーターとβ‐ガラ
クトシダーゼ遺伝子との間に挟まれたgD-1コード配列を
含んでおり、誘導された大腸菌形質転換体において融合
タンパク質を発現させた。次に、この融合タンパク質を
宿主細胞溶解産物から単離し、そして免疫原として用い
るために製剤化した。また、gD-1遺伝子のアミノコード
末端を再構成し、得られたgD-1タンパク質を、動物への
注入および予備臨床試験のために製剤化した。構築の各
工程の詳細については以下の分節で述べる。 ここで生産されたgD-1関連タンパク質および融合タン
パク質はグリコシル化されておず、従って天然にあるHS
V-1gD糖タンパク質とは異なるものである。しかしなが
ら、gD-1関連タンパク質はHSV-1およびHSV-2のgDに対す
る抗体との免疫反応性を有する。 6.1.プラスミド作製に用いられる一般的手順 次の分節は、DNA単離、酵素反応および連結反応に用
いる一般的手順および材料を記述するものである。 6.1.1.プラスミドDNA単離 宿主細胞バクテリア大腸菌(Escherichia coli)を形
質転換し(Gautier & Bonewald,1980,Molec.Gen.Gene
t.178:375)、そしてM-9ブロス中で増殖させた大腸菌形
質転換体の培養物から大量(マイクログラム)のプラス
ミドDNAを単離した(Miller,Experiments in Molecular
Genetics,Cold Spring Harbor Press,New York,N.Y.,1
972,p.431)。プラスミドは、Guerryらの方法(1973,J.
Bacteriol.116:1063)の変法を用いて、後期対数増殖期
の細胞から単離した。 6.1.2.制限酵素消化のための条件 本発明で用いた制限酵素は、特に他に表示しない限
り、マサチューセッツ州ベバリーのNew England Biolad
s,Inc.から得られたものである。酵素単位は、50μlの
全反応混合物中で1.0μgのラムダDNAを15分間に37℃で
消化するのに要する量として定義される。 全ての制限酵素による完全消化は次のような条件下で
行った。各1μgのDNAを酵素0.5単位と共に37℃で60分
間、20μlのバッファー中でインキュベートした。部分
消化は完全消化に用いた条件を次のように変更すること
によって行った。各1μgのDNAを0.1単位の酵素と共に
37℃で15分間インキュベートした。0.1%ドデシル硫酸
ナトリウム(SDS)の添加によって反応を停止させた。
こうして、DNA1分子あたり平均1回の切断が起こるよう
に反応条件を調整した。 6.1.3.制限酵素バッファー SacI、SacIIまたはSmaI消化に用いたバッファーは6.6
mMトリス‐HCl(pH7.4)、6.6mM MgCl2および6.6mM β
‐ME(β‐メルカプトエタノール)より成るものであっ
た。 BglII、BstEII、EcoRI、HindIII、NruI、PstIまたはP
vuII消化に用いたバッファーは60mM NaCl、6.6mMトリス
‐HCl(pH7.4)、6.6mM MgCl2および6.6mM β‐メルカ
プトエタノール(β‐ME)より成るものであった。 BamHI、SalIまたはXbaI消化に用いたバッファーは150
mMトリス‐HCl(pH7.4)、6.6mM MgCl2および6.6mM β
‐MEより成るものであった。 2以上の制限エンドヌクレアーゼ反応がDNAに対して
なされる場合には、低塩バッファー中での反応を高塩バ
ッファー中での反応の前に行うことに注意すべきであ
る。2つの酵素が同じバッファーを必要とするのであれ
ば、反応を同時に行ってもよい。 6.1.4.DNAの修飾 Bal 31ヌクレアーゼは高度に特異的な一本鎖エンドデ
オキシリボヌクレアーゼ活性および前進型エキソヌクレ
アーゼ活性を含む多機能性酵素であり、二本鎖DNA(dsD
NA)の3′‐および5′‐末端の両方を同時に分解す
る。ヌクレアーゼBal 31(New England Biolabs,Inc.,B
everly,Ma.)の1単位は、変性ウシ胸腺DNA(650μg/m
l)から1.0μgの酸可溶性ヌクレオチドを1分間、30℃
で放出させるのに要する量として定義される。Bal 31消
化に用いた反応バッファーは20mMトリスHCl(pH8.0)、
600mM NaCl、12mMgCl2、12mM CaCl2、1.0mM EDTAおよび
DNAより成るものであった。インキュベーションは30℃
で行った。Bal 31消化は、30μgのDNAを0.5単位のBal
31とともに1、2、4、6、8および10分間インキュベ
ートすることによって行った。EDTAを添加して50mMとす
るか、またはBal 31の熱不活性化(例えば、65℃で10
分)によって反応を停止させた。 S1ヌクレアーゼはRNAまたは変性DNA(即ち、一本鎖DN
A)をモノヌクレオチドに分解するが、二本鎖DNAやDNA/
RNAハイブリッドは(適当な条件下で)分解しない。S1
ヌクレアーゼ(Boehringer Mannheim,Indianapolis,In
d.)の1単位は、1μgの変性ウシ胸腺DNAを37℃、30
分間で酸可溶化するのに要する酵素の量として定義され
る。S1ヌクレアーゼのために用いた反応バッファーは、
30mM酢酸ナトリウム(pH4.6)、250mM NaCl、1mM ZnSO4
および5%グリセロールより成るものであった。S1消化
は、2000単位の酵素を0.1μgのDNAおよび20μgのRNA
と共に45℃で30分間インキュベートすることにより行っ
た。 エキソヌクレアーゼVII(Exo VII)は一本鎖のDNA(s
sDNA)を分解する。Exo VIIの作用機構は前進型エキソ
ヌクレアーゼのものであるらしい。Exo VII(Bethesda
Research Laboratories,Rockville,Md.)の1単位は、
基質として線状の変性〔3H〕−SV40 DNAを用いて37℃、
30分で1nmolのヌクレオチドモノマーをもたらす酵素の
量として定義される。Exo VIIのために用いた反応バッ
ファーは、10mMトリスHCl(pH7.9)、100mM NaCl、10mM
β‐MEおよび8mM EDTAより成るものであった。Exo VII
消化は、250μlの反応容量中で0.1μgのDNAあたり4
単位のExo VIIを用いて45℃で1時間行った。 6.1.5.DNAポリメラーゼ反応 DNAポリメラーゼはDNA鎖の段階的伸長を触媒する。鎖
の成長は5′から3′の方向であり(即ち、ヌクレオチ
ドの付加が3′末端で生じ)、そしてポリマーの配列が
鋳型の配列によって決まる。なぜならば、入ってくるヌ
クレオチドはその鋳型に対して相補的でなければなら
ず、即ち、鋳型鎖との正しい塩基対を形成しなければな
らないからである。既知のDNAポリメラーゼは鎖合成を
開始することができない。従って、DNA合成には、鋳型
鎖にアニーリングされる遊離3′‐ヒドロキシ末端をも
つプライマーが必要となる。鎖伸長は、入ってくるヌク
レオチドの5′‐リン酸へのプライマーの3′‐ヒドロ
キシ末端の求核的攻撃により進行する。新しい鎖は塩基
対合され、鋳型鎖に対してアンチパラレルである。DNA
ポリメラーゼ反応の結果として、一本鎖の鋳型鎖は「修
復」されるか、または二本鎖のDNA分子に変換される。 DNAポリメラーゼの第二の重要な特徴は「プルーフ‐
リーディング(proof-reading)」機能である。DNAポリ
メラーゼIに関連した3′‐5′のエキソヌクレアーゼ
活性は塩基対合していない末端に働き、そして一本鎖お
よび二本鎖の両DNAを3′から5′の方向で分解してモ
ノヌクレオチドを生成する。従って、間違って付加され
たヌクレオチドは重合が継続して行われる前に除去さ
れ、酵素の忠実度が更に高まる。また、DNAポリメラー
ゼIは二本鎖DNAに特異的な5′‐3′エキソヌクレア
ーゼ活性も有しており(5′‐モノヌクレオチドとオリ
ゴヌクレオチドを生じる)、これはDNAのミスマッチ領
域を切除することができる。 Klenowの方法(Klenowら,1971,Eur.J.Biochem.22:37
1)によるDNAポリメラーゼIの加水分解処理は2つのフ
ラグメント、つまり大きいものと小さいものを与える。
大きなフラグメント、即ちKlenowフラグメント(76,000
ダルトン)はポリメラーゼ活性と3′‐5′エキソヌク
レアーゼ活性を保持し、一方、小さいフラグメントは
5′‐3′エキソヌクレアーゼ活性を保持する。DNAポ
リメラーゼIまたはDNAポリメラーゼI-大フラグメント
のI単位(New England Biolabs,Inc.,Beverly,Ma.)
は、10nmoleのデオキシリボヌクレオチドを酸不溶性形
態に37℃、30分で変換する量として定義される。両酵素
のアッセイ条件は同じであるが、DNAポリメラーゼIに
対する反応混合物は6.6mM MgCl2、1.0mM β‐ME、2mM d
ATコポリマー、33μM dATP、33μM 3H‐dTTPおよび酵素
から成るバッファー中に67mM KPO4(pH7.5)を含み、一
方、Klenowフラグメントの反応混合物は40mM KPO4(pH
7.5)を含んでいた。 本出願において、一本鎖DNAまたは制限酵素切断より
生じる付着末端を修復するためにDNAポリメラーゼ大(K
lenow)フラグメントを用いる場合は、次の手順を用い
た。制限酵素反応を68℃で10分間加熱することによって
停止させた。同一反応混合物に、各デオキシヌクレオシ
ド三リン酸を50μMの最終濃度で加え、反応混合物中の
DNA1マイクログラムあたり10〜100単位のDNAポリメラー
ゼKlenowフラグメントを添加した。換言すると、一本鎖
末端の完全修復を確実にするために、過剰のDNAポリメ
ラーゼKlenowフラグメントが用いられた。 6.1.6.DNAフラグメントのゲル精製 制限酵素またはヌクレアーゼ処理の後に、種々の大き
さのDNAフラグメントを、アガロースまたはポリアクリ
ルアミドスラブゲルを用いて低電圧(アガロースゲルに
おいては約2ボルト/cm、ポリアクリルアミドゲルにお
いては10ボルト/cm)でゲル電気泳動を行って分離し、
エチジウムブロミドで染色し、そして、紫外線のもとで
可視化した(Southern,1979,Methods in Enzymology 6
8:152)。 ゲルから特定のDNAフラグメントを回収するために、
適当なバンドをゲルから切り出し、透析チューブへDNA
を電気溶出した。次に、DNAをDEAE−セルロース上で単
離するか、またはエタノール沈殿させ、そして適当なバ
ッファー中に再懸濁した(Smith,1980,Methods in Enzy
mology 65:371)。 6.1.7.DNAの連結 全ての連結反応はT4 DNAリガーゼを用いて行った(Ne
w England Biolabs,Inc.,Beverly,Ma.)。T4 DNAリガー
ゼの1単位は、20μlのリガーゼバッファーおよび0.12
μM(300μg/ml)の5′−DNA末端濃度においてバクテ
リオファージラムダDNAのHindIIIフラグメントの50%連
結を16℃、30分でもたらすのに要する量として定義され
る。 DNA連結は、60mMトリス‐HCl(pH7.8)、10mM MgC
l2、20mMジチオトレイトール(DTT)、1.0mM ATPおよび
15〜50μg/mlの範囲のDNA濃度から成るリガーゼバッフ
ァー中で行った。連結反応は、10μlの反応容量あたり
約300単位のT4 DNAリガーゼを用いて室温で4〜24時間
インキュベートした。 6.2.gD-1遺伝子の位置確認および単離 HSV-1×HSV-2組換え体により特定されたタンパク質を
分析すると、それはgD-1遺伝子がDNAのUs領域内の0.9〜
0.945のゲノムマップ単位の間に存在することを示した
(Ruyechanら,1979,J.Virol.29:667)。第1aおよび1b図
参照。Us領域を制限酵素によって断片化し、これらのフ
ラグメントをクローニングベクターに挿入して、種々の
組換えプラスミドを作製した。各プラスミドはUs領域の
特定部分を含んでいた。次に、Us領域内にgD-1遺伝子を
位置付けるためにこれらの組換えプラスミドを分析し
た。HSV-1中のgD-1のマップ位置は、最近、Leeら(198
2,J.Virol.43:41)によって報告された。 6.2.1.HSV-1のUs領域の特定部分を含む組換えDNAプラス
ミド ベクターpBR322およびHSV-1(パットン株)のUs領域
の種々のフラグメントを用いて、数種の組換えプラスミ
ドを作製した。これらのプラスミドのうちの1つ、pRWF
6は全gD-1遺伝子を含むことが判明した。pRWF6について
以下で説明する。 組換えプラスミドpRWF6のHSV-1挿入部(第1c図)はラ
ムダgtWES:EcoRI-HクローンのUs領域から得られた(Ume
ne & Enguist,1981,Gene 13:251)。ラムダgtWES:EcoR
I-HクローンをEcoRIで完全に消化した。ラムダgtWES:Ec
oRI-HクローンのEcoRI-Hフラグメント、約15〜16kb(キ
ロ塩基)はHSV-1の全Us領域を含んでいる。 プラスミドpBR322およびHSV-1のEcoRI-Hフラグメント
(上で単離したもの)を、各々BamHIで完全に消化し
た。得られたpBR322の4.4kbフラグメントとHSV-1の6.4k
bフラグメントをアニーリングし、そして1:1の比率で連
結してpRWF6を得た。 6.2.2.gD-1に特有のmRNAコード配列の位置確認 pRWF6内のgD-1に特有のコード配列を位置付けし、そ
して選択するために、ウイルスDNA挿入部を再びpBR322
にサブクローニングした。サブクローンpSC30-4の変性
ウイルスDNA制限フラグメント(第1d図および下記の説
明)をニトロセルロース上に固定し、そしてHSV-1感染
細胞の細胞質RNA抽出物からmRNAを(相補的塩基対ハイ
ブリダイゼーションにより)単離するために用いた。2
つのmRNA種(3.0kbおよび1.7kb)がpSC30-4とハイブリ
ダイズした。これらのmRNAのin vitro翻訳により、3.0k
bまたは1.7kbのmRNAがgD-1タンパク質をコードすること
が分かった。この手順の詳細を以下で説明し、また、第
1図に示す。 プラスミドpRWF6を大腸菌形質転換体より単離し、制
限酵素ScaIによって消化した。これにより3つのフラグ
メントが得られた。即ち、全pBR322ベクターとHSV-1 DN
A配列の一部を含む6.2kbのフラグメント、2.9kbのHSV-1
DNAフラグメント、および1.7kbのHSV-1 DNAフラグメン
トである。 2.9kbのHSV-1 DNAフラグメント(第1d図参照)をサブ
クローニングするために、pBR322をPvuII(pBR322を線
状化する)によって切断し、そしてSacIリンカー(New
England Biolabs,Inc.,Beverly,Ma.)の存在下にT4 DNA
リガーゼを用いて連結させた。従って、pBR322のユニー
クPvuII部位がユニークSacI部位に変換された〔SacI(P
vuII(-))と称する〕。SacI酵素で修飾pBR322ベクター
を切断した後、このベクターを2.9kbのHSV-1 SacI DNA
フラグメントと連結させてpSC30-4を得た。この組換え
プラスミドを用いて大腸菌を形質転換させた。形質転換
体をスクリーニングし、微量溶解物技術(mini-lysate
technique;Clewell & Helinski,1970,Biochem.9:442
8)を用いる制限マッピングにより選択した。 サブクローンpSC300-4を、mRNAハイブリダイゼーショ
ン選択のために次の如く用いた(Ricciardoら,1979,Pro
c.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.76:4927)。プラスミドpSC30-
4を大腸菌形質転換体より単離し、200μgのpSC30-4DNA
をSacIで消化してHSV-1 DNA挿入部を切り出した。切断
プラスミドをクロロホルム/フェノール(1:1)で抽出
し、そしてエタノール沈澱させた。沈澱物を2mlの0.3M
NaOH中に再懸濁し、室温で10分間インキュベートしてDN
Aを変性した。次に、この懸濁物を4.4mlの蒸留水、0.2m
lの3M HCl、0.2mlの1Mトリス−HCl(pH7.5)および3ml
の20×SSC(SSCは0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウ
ムである)の添加により中和した。指示紙によって測っ
たpHは6〜8の間であった。変性して、中和したDNA
は、蒸留水、次に6×SSCで前もって浸漬しておいた25m
mニトロセルロースフィルター(Schleicher and Schuel
l,Keene,N.H.)を通して真空濾過した。真空濾過後、ニ
トロセルロースフィルターを6×SSCで洗浄し、乾燥
し、そして80℃で2時間焼成した。2分の1のニトロセ
ルロースフィルターをハイブリダイゼーション法で使用
した。これについて以下で簡単に述べる。 ウイルスDNAを含むニトロセルロースを小片に切っ
て、全細胞質RNAとともにインキュベートした。そのRNA
は次のように調製されたHSV感染Vero細胞の溶解産物か
ら単離したものであった。Vero細胞に10プラーク形成単
位(pfu)/細胞を感染させ、そしてDNAの複製を阻止す
るために50μg/mlのシタラビン(β‐シトシンアラビノ
シド)を加えたダルベッコ培地中37℃で7時間インキュ
ベートした。細胞を0.15M NaCl、1.5mM MgCl2および0.0
1Mトリス‐HCl(pH7.9)中の0.65% NP-40で溶解した。
3000×g、2分間の遠心分離により核を沈降せしめ、上
澄みを1mM EDTA(pH7.9)および0.5% SDSの最終濃度に
調整した。この溶液をクロロホルム/フェノール(1:
1)で2回抽出し、更にクロロホルムで1回抽出した。
細胞質RNAをエタノール沈殿させ(Vero細胞の1つの集
密的ローラーボトルは約1.5mgのRNAをもたらした)、そ
して部分的に乾燥した。RNA沈殿物(約0.4〜0.8mgのRN
A)を400μlのハイブリダイゼーションバッファー(50
%ホルムアミド、0.4M NaCl、40mM PIPES、pH6.4、1mM
EDTAおよび1%SDS)中に溶解し、そして細断ニトロセ
ルロースフィルターに添加した。ハイブリダイゼーショ
ンは振とう水浴にて55℃で3時間行った。 次に、フィルター片を60℃の0.5%SDSを含むSSCで10
回洗浄し、続いて60℃のSSC中の1mlの2mM EDTAで2回洗
浄した。最後に、フィルター片を2mM EDTA、pH8.0を用
いて60℃で5分間洗浄した。溶液を除去し、フィルター
片をコットンスワブにより十分に乾燥させた。 ハイブリダイズしたmRNAはホルムアミドおよび熱を用
いて次の如くニトロセルロース片から溶出した。120μ
lの95%ホルムアミド/10mM PIPES(pH6.5)をフィルタ
ーに添加し、5分間65℃でインキュベートした。溶出液
を微量遠心管に移し、氷上に保持した。2回目の120μ
lの溶出バッファーをニトロセルロース片に添加し、再
び65℃で5分間インキュベートした。この溶出液を第2
の微量遠心管に移し、氷上に保持した。滅菌蒸留水の72
0μlアリコートをフィルターに添加し、次に撹拌し
た。溶出液を含む各微量遠心管に約360μlを移した。
微量遠心管中の溶出RNAに、20μlの5M NaCl、5μgの
適当なキャリアー(例えば、ウサギ肝tRNA)および1ml
の無水エタノールを添加した。この混合物を−70℃で1
時間インキュベートするか、または遠心管をドライアイ
ス/EtOHのスラリーに20分間浸すことにより、RNAを沈殿
させた。沈殿したRNAは微量遠心機でペレット化し(12,
000×gで10分)、そして1つの管の沈降物を1mlのバッ
ファー(0.5M NaCl、10mM トリス−HCl(pH7.9)およ
び0.5%SDS)中に再懸濁してRNAを溶解した。アリコー
トを合わせかつ全ての沈殿RNAを溶解するために、溶解
したRNAを同型の管に加えた。ポリアデニル化RNA〔ポリ
(A)RNA〕を、オリゴ(dT)セルロース(Bethesda Re
search Laboratories,Inc.,Rockville,Md.)を用いるク
ロマトグラフィーにより溶解RNAから単離した。ポリ
(A)RNAは、溶出バッファーとして10mMトリスHCl(pH
7.9)および0.1%SDSを用いてオリゴ(dT)セルロース
から溶出し、次にポリ(A)RNAを上述したようにエタ
ノール沈殿させた。 pSC30-4 DNAとハイブリダイズしたmRNAを2種類、つ
まり3.0kbおよび1.7kbのmRNAを単離した。これら2種類
を、ウサギ網状赤血球細胞フリーの系(35S‐メチオニ
ンを含む)を用いてin vitroで翻訳せしめた(Pelham
& Jackson,1976,Eur.J.Biochem.67:247)。 in vitro翻訳抽出物は、gD-1に対して誘導されたモノ
クローナル抗体4S(米国立衛生研究所のM.Zweigにより
寄贈)により免疫沈降され、そして前に記載したように
SDS-PAGEのために調製した。細胞フリーの翻訳系の免疫
沈降タンパク質産物を電気泳動分析にかけたところ、こ
れらの選択されたmRNAは50,000ダルトンのgD-1特異的タ
ンパク質を特定化することが実証された。gD-1タンパク
質の大きさに従うと、最小のmRNAコード配列はおよそ1.
6kbとなろう。それゆえ、mRNAリーダー配列およびポリ
(A)尾部を考慮すると、大きい方の(3.0kb)mRNAがg
D-1ポリペプチドをコードしていると予想された。 6.2.3.gD-1mRNAの特性決定 pSC30-4に含まれる3.0kbのmRNA配列の位置をマッピン
グすること、さらにmRNAを特性付けることは、S1マッピ
ング、即ち、一本鎖特異的ヌクレアーゼS1とエキソヌク
レアーゼVIIを用いて相補的mRNA配列とハイブリダイズ
するDNAプローブの領域をマッピングすることにより(B
erk & Sharp,1978,Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.75:127
4)、そして、gD-1遺伝子コード領域のDNAの配列決定を
行うことにより(Maxam & Gilbert,1980,Methods in E
nzymology,65:499)実施した。 S1マッピング技法により、3.0kbおよび1.7kbのmRNA種
の両方がスプライシングされていない(即ち、介在配列
またはイントロンを含んでいない)こと、そしてそれら
は異なる5′末端と共通の3′末端を持つことが判明し
た。3.0kbのmRNAの5′末端のコード領域を含む1068ヌ
クレオチドのDNA配列が決定され、そして、5′末端に
最も近い開始コドン(ATG)を位置付けることによって
翻訳のリーディングフレームを推定した。 S1マッピング技法の原理は、RNAと放射性標識した一
本鎖DNA(ssDNA)プローブ(例えば、pSC30-4から得ら
れたもの)の間で二本鎖を形成させることである。RNA
がスプライスされた成熟mRNAであるならば、イントロン
がssDNAループを形成するだろう。酵素ヌクレアーゼS1
は、RNAとの二本鎖形成により保護されない放射性標識D
NAの全てのssDNA領域を消化する。一方、エキソヌクレ
アーゼVIIは末端のみのssDNAを消化し、従ってssDNAル
ープを消化しないだろう。(RNAとのハイブリダイゼー
ションによって)これらのヌクレアーゼに感受性でない
DNAの大きさを比較することにより、スプライスされたm
RNAの転写物の検出が可能である。 本発明において、3.0kbのmRNAの5′末端を位置付け
るために用いた放射性標識DNAは、BamHIで切断する前に
そのBstEII5′末端において(ポリヌクレオチドキナー
ゼ酵素を用いて、Maxam & Gilbertの方法により)32P
で標識したpRWF6の3.8kbのBamHI−8/BstEIIフラグメン
トであった。3.0kbのmRNAの3′末端を位置付けるため
に用いた放射性標識DNAは、SaIIで切断する前にそのHin
dIII3′末端において(DNAポリメラーゼのKlenowフラグ
メントを用いて、Maxam & Gilbertの方法により)32P
で標識したpSC30-4の4.7kbのHindIII/SaIIフラグメント
であった。細胞質mRNAは、上記の如くシタラビンの存在
下で7時間増殖させたHSV-1感染Vero細胞から単離し
た。用いたSIマッピング技法はBerk & Sharpの方法の
変法(Watsonら,1981,J.Virol.37:431)であった。gD-1
mRNAの5′末端はpSC30-4のHindIII部位の近傍にマッ
ピングされ、一方、3′末端は約2.8kb下流にマッピン
グされた(第1d図)。 最後に、pSC30-4のHSV-1 DNAをMaxamとGilbertの方法
を用いて配列決定した。第2図はHSV-1gD遺伝子コード
領域のための配列決定戦略を示す。コード鎖と非コード
鎖の両方の配列を決定した。第3図は、HSV-1gD遺伝子
の得られたDNA配列を示す。このDNA配列は、241位のATG
から伸びている394のコドンのオープンリーディングフ
レームを含むことが明らかであった。この部位はgD-1遺
伝子のイニシエーターであると推定され、この推定gD-1
遺伝子を発現ベクターpJS413にクローニングすることに
よって、そのとおりであることが分かった(第6.3節参
照)。 6.3.gD-1遺伝子のクローニングと発現 gD-1コード配列はlacプロモーターの制御下に置かれ
た。このために、開始配列ATGおよびアミノコード末端
(該遺伝子の5′末端)の最初の156ヌクレオチドを欠
いた推定gD-1遺伝子の一部(以後、gD-1遺伝子と記す)
を、DNAクローニング発現ベクターpJS413に連結してpEH
25を作製した(第4図参照)。部分gD-1遺伝子は、タン
パク質コード配列がベクターの開始ATGに対して正しい
オープンリーディングフレームとなるように挿入した。
その結果、転写されたmRNAの翻訳がベクターの開始配列
(ATG)で開始され、gD-1遺伝子(それ自体の開始ATGお
よびgD-1コード配列の最初の156ヌクレオチドを欠く)
を通って、gD-1の天然の終止シグナルまで行く。 gD-1遺伝子を含むpEH25プラスミドは大腸菌宿主株の
形質転換に用いられたが、その際、lacオペロンからのD
NAの転写はプロモーターが特別に誘導されない限り抑制
されている。一次形質転換体を薬剤耐性(ベクターがア
ンピシリン耐性遺伝子を担う)についてアッセイし、耐
性クローンをさらに分析した。得られた組換えプラスミ
ドpEH25の構造は、制限分析およびDNA配列決定によって
確かめた。pEH25形質転換体の誘導によって、46,000ダ
ルトンのポリペプチドが産生され、これはHSVに対する
抗血清またはgDに対するモノクローナル抗体のいずれに
よっても免疫沈降された。これらの手順を以下の分節で
詳しく述べることにする。 6.3.1.発現ベクターpJS413 発現ベクターpJS413(第4図)は、amp′(β‐ラク
タマーゼ)遺伝子、lacプロモーター(Plac)、lacおよ
びcroリボソーム結合部位(SDlacZおよびSDcroは全ての
図面でそれぞれSDZおよびSDCROとして表わされる)、cr
oの69ヌクレオチドをもつ連鎖開始ATGおよび修飾β‐ガ
ラクトシダーゼ遺伝子(lac i-z遺伝子、以後、z-遺伝
子と記す)を含むpBR322誘導体である。pJS413のcro開
始ATGとz-遺伝子の間(即ち、pJS413のBgIII、SmaIまた
はBamHIクローニング部位内)に正しいリーディングフ
レームで遺伝子を挿入すると、形質転換細胞による融合
タンパク質の発現が可能となる。しかしながら、この実
施例では、z-遺伝子を欠失し、そして部分gD-1遺伝子を
pJS413のcro開始ATGおよびcroヌクレオチドとin phase
で連結させた。 gD-1遺伝子を挿入するためのpJS413を作製するため
(第4図参照)、pJS413をSmaI(平滑末端を生じる)お
よびSacI(SacI3′付着末端を生じる)で消化した。プ
ロモーター、SD配列、開始ATGおよび部分cro配列を含む
4.7kbのフラグメントを、ゲル電気泳動によって単離し
た。z-遺伝子の5′末端を含む1.8kbのフラグメントが
欠失された。 6.3.2.gD-1遺伝子のpJS413への挿入 pSC30-4内のgD-1遺伝子をマッピングした後(第6.2.3
節)、gD-1遺伝子のカルボキシ‐コード末端の最後の10
26bp(塩基対)を含む2.2kbのDNAフラグメントを、PvuI
I(平滑末端を生じる)およびSacI(SacI3′付着末端を
生じる)で消化することによってpSC30-4から選択的に
単離した(第4図)。 2.2kbのPvuII/ScaIpSC30-4フラグメントおよび4.7kb
のSmaI/SacIpJS413フラグメントを1:1の比率でT4 DNAリ
ガーゼを用いて連結させた(第4図)。得られた組換え
プラスミドを用いて大腸菌NF1829株を形質転換した。大
腸菌NF1829株は、lacリプレッサー過剰生産のためのlac
IQ変異を伴うF′‐lacエピソームを保有するK-12 MC10
00誘導体である。F′‐lacエピソーム上に存在するβ
‐ガラクトシダーゼをコードするlacz-遺伝子は、Tn5
(トランスポゾン)挿入によって不活性化されている。
従って、NF1829株では、pJS413プラスミドに挿入された
遺伝子の発現を得るためにlacプロモーターを誘導しな
ければならない。 6.3.3.gD-1遺伝子を発現する形質転換体の同定 アンピシリン耐性大腸菌形質転換体から単離されたプ
ラスミドは、制限酵素マッピングにより、さらにpJS413
ベクターとgD-1遺伝子挿入物の間の接合部のDNA配列決
定によって分析された。プラスミドpEH25(第4図)
は、Cro-gD-1接合部に沿って正しいヌクレオチド配列を
有し(第5図に示す)、そしてgD-1関連ポリペプチドを
発現させるその能力を調べた。lacプロモーターはNF182
9では(lacリプレッサーの過剰生産のために)転写的に
不活性であるから、gD-1タンパク質は1mM IPTGまたは1
〜10mMラクトースのいずれかでプロモーターを誘導した
後にだけ検出できた。 pEH25により形質転換されたクローンを、gD-1関連タ
ンパク質のIPTG特異的誘導について試験したところ、cr
oタンパク質の23アミノ酸(pJS413内にコードされる)
およびgD-1タンパク質の342アミノ酸(即ち、gD-1の最
初の52アミノ酸が消失している)からなる46,000ダクト
ンのタンパク質の生産が確認された。このタンパク質
は、HSV-1に対する全ウサギ抗血清(DAKO Chemicals,In
c.,Hicksville,N.Y.)およびHSV-1のgDに対して特異的
なモノクローナル抗体(1S、4S、55Sおよび57S)(Show
alterら,1981,Infection and Immunity,34:684)により
免疫沈降された。 モノクローナル抗体1S、4S、55Sおよび57SはgD-1分子
上の多くの異なる部位を認識する(Eisenbergら,1982,
J.Virol.41:478)。注目すべきことは、モノクローナル
抗体4Sが、HSV-1およびHSV-2の感染性を中和する能力が
あり、そして両方のウイルスによって産生されたgDタン
パク質を免疫沈降せしめる能力があることである。pEH2
5によって産生されたタンパク質は4S抗体によって免疫
沈降され、このことはpEH25のgD-1関連タンパク質がHSV
-1とHSV-2の両gDタンパク質によって共有される抗原決
定基を発現していることを実証した。さらに、pEH25のg
D-1関連タンパク質は、HSV-1のみを中和する1Sモノクロ
ーナル抗体によっても免疫沈降された。また、pEH25gD-
1関連タンパク質は、HSV-1とHSV-2のいずれの感染性も
中和しない55Sおよび57Sモノクローナル抗体によって免
疫沈降された。各免疫沈降物をSPS-PAGEによって分析し
た。全手順の詳細を以下で説明する。 すべてのpEH25形質転換体は、Lブロス中37℃での一
夜培養物のアリコートを取り出し、M-9ブロスで20倍に
希釈し、そして37℃で90分間振とうすることにより増殖
させた(Miller,Experiments in Molecular Genetics,C
old Spring Harbor Rress,New York,N.Y.,1972)。gD-1
タンパク質の発現についてのこれら培養物のアッセイで
は、1mMのIPTGおよび25μCi/mlの35S‐メチオニンを培
養物に添加した(対照は35S‐メチオニンで標識した
が、誘導を行わなかった)。37℃で60分後、培養物を遠
心分離によってペレット化した。細胞を溶解して細胞内
容物を放出させるために、細胞の各ペレットを等量の溶
解バッファーIP-3(20mMトリス‐HCl(pH8.1)、100mM
NaCl、1mM EDTA、1%NP-40、1%デオキシコール酸お
よび0.1%SPS)中に再懸濁し、直ちに液体窒素中で凍結
し、音波処理した。細胞溶解産物を5,000×g、4℃で
5分間遠心分離し、上澄みをアリコートに分けた。対照
血清(非免疫あるいは免疫前血清)または試験抗血清
(HSV-1に対する多価抗血清またはgDに対するモノクロ
ーナル抗血清)を各アリコートに添加し、その後4℃で
60分間インキュベートした。(抗血清の添加量は、既知
量の抗原を用いて抗血清の連続希釈物を試験することに
より抗血清力価を較正することによって決定される。) 免疫複合体は、洗浄したパンソルビン(Pansorbin)
(Staphylococcus aureusプロテインA、Calbiochem-Be
hring Corp.,LaJolla,Cal.)を添加し、遠心分離(特に
ことわらない限り、この手順での全ての遠心分離は5,00
0×gで4℃、5分間行った)することにより回収し
た。ペレット化免疫沈降物をIP-2(IP-3と同じだが、非
特異的吸着を排除するために20mg/mlのウシ血清アルブ
ミンBSAを加えてある)に再懸濁して洗い、IP-3で2回
洗い、そしてIP-1〔20mMトリスHCl(pH8.1)、100mM Na
Cl、1mM EDTAおよび1%NP-40〕中に再懸濁した。この
懸濁体を新しいチューブに移し、それを遠心分離にか
け、ペレットをSDS-ポリアクリルアミドゲル・サンプル
バッファー(Laemmli,1970,Nature 227:680)中に再懸
濁した。95℃で3分間加熱した後、サンプルを微量遠心
機により12,000×gで2分間遠心分離し、不溶性成分を
除いた。上澄みを取り出し、そしてSDSポリアクリルア
ミドゲル(10%)上にのせた。電気泳動後、タンパク質
をクーマシーブルー染料で染色し、サルチル酸ナトリウ
ムで処理し、フルオログラフィーのために乾燥した(Ch
amberlain,1979,Anal.Biochem.98:132)。SDSポリアク
リルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)の結果は、誘導後
にpEH25から産生された46,000ダルトンのgD-1関連タン
パク質が、HSV-1に対する全ウサギ抗血清およびモノク
ローナル抗体IS、4S、55Sおよび57Sにより免疫沈降され
たことを明らかに示していた。 最後に、pEH25で形質転換された大腸菌NF1829から発
現された誘導gD-1関連タンパク質の免疫沈降に及ぼすHS
V-1感染Hela細胞の溶解産物の効果を調べるために、競
合実験を行った(第6図参照)。対照(非感染)および
HSV-1感染Hela細胞(感染はVero細胞について前に記載
したとおりに行った)の溶解産物から連続希釈物を調製
した。モノクローナル55S腹水(gD-1特異的モノクロー
ナル抗体)の100倍希釈物の5μlアリコートを、Hela
細胞溶解産物の連続希釈物の各アリコートに加えた。4
℃で30分間インキュベーション後、誘導したpEH25形質
転換体の溶解産物からの35S‐メチオニン標識タンパク
質を等量、Hela細胞溶解産物に添加し、そして更に60分
間4℃でインキュベートした。免疫複合体を免疫沈降に
よって回収し、前述のごとくSDS-PAGEおよびフルオログ
ラフィーによって分析した。特異的に免疫沈降されたタ
ンパク質バンドをゲルから切り出し、そして放射活性を
シンチレーション計数によって測定した。第6図はこれ
らの実験の結果を示す。各サンプルの放射活性は、pEH2
5の免疫沈降された標識タンパク質産物を表すものであ
り、対照に対する%としてプロットした。円は連続希釈
された対照(非感染)Hela細胞溶解産物を表す。四角は
連続希釈されたHSV-1感染Hela細胞溶解産物を示す。こ
れは、明らかに、HSV-1タンパク質が55Sモノクローナル
抗体との免疫複合体の形成についてpEH25からの放射性
標識タンパク質と競合することを示している。 6.4.Cro/gD-1/β‐ガラクトシダーゼ融合タンパク質の
生産をもたらすpEH4-2の作製 gD-1遺伝子をpEH25から単離し、その終止シグナルを
欠失させた。このために、gD-1遺伝子配列を含むDNAフ
ラグメントを、gD-1終止配列TAGを越えた制限部位で切
断した。次に、DNAヌクレアーゼのBal 31による末端の
前進型消化によってTAGを除いた。その後、このgD-1遺
伝子フラグメントは、融合タンパク質:Cro/gD-1/β‐ガ
ラクトシダーゼをコードするようにpJS413に挿入した。
この手順を以下に記載し、第7図に示す。 プラスミドpEH25をNrulで完全に消化し、Bal 31ヌク
レアーゼで前進的に消化した。次に、得られた種々の長
さのDNAを制限酵素PstIで切断して広範囲のフラグメン
トを生成し、その多くはgD-1終止コドンを欠いていた
が、大部分のgD-1遺伝子配列を保有していた。適当なDN
Aフラグメント(1.5〜1.9kb)をゲル電気泳動によって
分離し、前に記載したように溶出した。ベクターpJS413
をPstIおよびSmaIで完全に消化し、適当な5.5kbのDNAフ
ラグメント単離した(第7図)。pEH25フラグメントお
よびpJS413フラグメントを1:1の比率で連結しし、大腸
菌NF1829の形質転換に用いた。アンピシリン耐性コロニ
ーは、指示寒天平板にてβ‐ガラクトシダーゼ活性をア
ッセイすることにより融合タンパク質の生産について調
べた(Miller,Experiments in Molecular Genetics,Col
d Spring Harbor Press,New York,N.Y.,1972)。陽性コ
ロニーは、IPTGで誘導された形質転換体の全溶解産物の
SDS-PAGE分析によってCro/gD-1/β‐ガラクトシダーゼ
融合タンパク質の存在について試験した。Cro/gD-1/β
‐ガラクトシダーゼ融合タンパク質を発現するこれらの
クローンから160,000ダルトンの融合タンパク質の高レ
ベル生産体を単離した。このクローンに含まれるプラス
ミドをpEH4-2と命名した(第7図)。pEH4-2で形質転換
された大腸菌クローンにより産生された融合タンパク質
は、IPTGにより誘導可能であり、しかもHSV-1およびHSV
-2の両方と交差免疫反応性であることが分かった。pEH4
-2プラスミドを単離して、制限マッピングとDNA配列決
定により分析した。pEH4-2はpJS413のBamHI部位を含ま
ない(第8図参照)。 pEH3-25と命名したプラスミドで形質転換された他の
大腸菌単離物は、pEH4-2形質転換体よりも少ない量のCr
o/gD-1/β‐ガラクトシダーゼ融合タンパク質を産生し
た。pEH3-25形質転換体については本文中で後述する
(第6.5節参照)。 6.4.1.pEH4-2融合タンパク質は抗HSV-1血清と免疫反応
する pEH4-2で形質転換された大腸菌から産生された融合タ
ンパク質は、HSV-1に対するウサギ抗血清と特異的に相
互作用した(データは示してない)。pEH4-2およびpEH2
5のIPTG-誘導タンパク質をSDS-PAGEによって分離し、ニ
トロセルロースに移行させた(即ち、タンパク質「ブロ
ット」を行った)。誘導しなかったpEH4-2およびpEH25
形質転換体の溶解産物を対照として同じ手順で処理し
た。次に、ニトロセルロースをHSV-1に対するウサギ抗
血清で処理し、続いてプローブとしてのウサギ免疫グロ
ブリンに対する125I標識ヤギ抗血清で処理した(Towbin
ら,1979,Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.76:4350)。 タンパク質ブロットのオートラジオグラムは、160,00
0ダルトンのpEH4-2由来の融合タンパク質がHSV-1に対す
るウサギ抗血清と免疫反応すること、そして46,000ダル
トンのpEH25由来のgD-1関連タンパク質がHSV-1に対する
ウサギ抗血清と免疫反応することを実証した。 6.4.2.pEH4-2融合タンパク質に対する抗血清はHSV-1お
よびHSV-2タンパク質を免疫沈降させる pEH4-2融合タンパク質に対する抗血清は、HSV-1gDお
よびHSV-2gDと免疫反応することが分かり、かくして、p
EH4-2融合タンパク質はgD特異的抗原決定基を含むこと
が実証された。これは、pEH4-2融合タンパク質に対する
抗血清により免疫沈降されたHSV-1タンパク質およびHSV
-2タンパク質のSDS-PAGE分析により示された。以下の考
察を参照されたい。 pEH4-2融合タンパク質に対するウサギ抗血清は次のよ
うに作製した。pEH4-2で形質転換された大腸菌クローン
を中間対数期まで増殖させ、1mMのIPTGを用いて誘導し
た。誘導の4時間後に、バクテリアを遠心分離により沈
殿させ、SDS-PAGEサンプルバッファーで溶菌し、そして
分離用SDS-ポリアクリルアミドゲル上に置いた。電気泳
動後、外側レーンをクーマシーブルー染料で染色してタ
ンパク質を可視化した。次に、160,000ダルトンの融合
タンパク質バンドをゲルから切り出した。ゲル切片を液
体窒素に浸し、粉砕し、そしてPBS中に再懸濁した。等
量のフロインド完全アジュバントを加えた。よく混合し
た後に、この溶液を2匹のニュージーランドウサギ(01
8および019)に皮下注射した。各ウサギに25〜50μgの
タンパク質を注射した。28日後、不完全フロインドアジ
ュバント中に懸濁した融合タンパク質同量でウサギに追
加免疫を施した。10日ごとに2回以上の追加免疫を実施
した。最初の注射より55日後、耳から採血して血清を回
収し、免疫沈降分析に供した。 免疫沈降は次のように行った。集密的培養細胞にHSV
を10pfu/細胞(10プラーク形成単位/細胞)で感染さ
せ、感染後35S‐メチオニンで16時間標識した。〔GBK
(ジョージアウシ腎)細胞にHSV-1を感染させ、一方、H
eLa細胞にはHSV-2を感染させた。Vero細胞にはHSV-1ま
たはHSV-2のいずれかを感染させた。〕35S‐メチオニン
で標識したHSV-感染細胞の溶解産物を、10μlの免疫前
ウサギ血清、pEH4-2融合タンパク質に対するウサギ抗血
清(例:018または019抗血清)、または1μlのモノク
ローナル抗体4Sとともにインキュベートした。免疫複合
体を第6.3.3節に述べたようにパンソルビンを用いて回
収し、免疫沈降した放射性標識タンパク質をSDS-PAGEに
よって分離し、そしてフルオログラフィーにかけた。SD
S-PAGEの結果は、(1)HSV-1に感染させたGBK細胞また
はVero細胞から産生された52,000ダルトンのgDタンパク
質は、pEH4-2形質転換体から産生された融合タンパク質
に対する抗血清と、さらに4Sモノクローナル抗体と免疫
反応性であること、(2)HSV-2に感染させたHeLa細胞
またはVero細胞から産生された50,000ダルトンのgDタン
パク質は、pEH4-2融合タンパク質に対する抗血清および
4Sモノクローナル抗体と免疫反応性であることを示し
た。HSV-1由来のgDと比べたときのHSV-2由来のgDの見か
け低分子量は、発表された観察と合致する(Ruyechan
ら,1979,J.Virol.29:677)。フルオログラフィーの結果
は、HSV-1またはHSV-2感染細胞により産生されたgDタン
パク質がpEH4-2形質転換体から産生された融合タンパク
質に対する抗血清と免疫反応性であることを示してい
た。 6.4.3.pEH4-2に対する抗血清はin vitroでHSV-1およびH
SV-2感染を中和する pEH4-2融合タンパク質に対するウサギ抗血清は、ウイ
ルスの感染力を中和するその能力についても分析され
た。ウイルスの中和は、組織培養物中の感染細胞のプラ
ーク数の減少によって検定した(Showalterら,1981,Inf
ection and Immunity 34:684)。このために、50〜100p
fuのHSV-1またはHSV-2を、免疫前血清(対照)、免疫抗
血清(018または019)またはモノクローナル抗体4Sの希
釈物とともに活性血清補体(C′)の存在下または不在
下でプレインキュベートした。Vero細胞にHSV-1またはH
SV-2の調製物を感染させた。3〜4日後、HSVプラーク
を数えて、プラーク数の減少に及ぼす抗血清の効果を調
べた。表1に示す結果は、各ウサギから得られた抗血清
がin vitroでHSV-1およびHSV-2を中和する能力があるこ
とを示している。中和は活性補体の不在下でも証明され
たが、補体は中和活性を著しく増大させた。中和はHSV-
2よりもHSV-1に対してより一層効果的であった。 表示した結果は、HSV-1およびHSV-2に対するサブユニ
ットワクチンとしてのpEH4−2融合タンパク質の利用可
能性を示している。 6.4.4.pEH4-2中のgD-1遺伝子の再構築 プラスミドpJS413およびpRWF6を用いて、gD-1遺伝子
を再構築した(第8図)。 かくして、pRWF6をHindIIIおよびBal 31で消化して、
ランダムな大きさの平滑末端フラグメントを生成した。
これらのフラグメントをSacIで消化した後、2.2〜2.4kb
の平滑末端化/SacIフラグメントを単離した。これらの
フラグメントは、さまざまな長さのgD-遺伝子のアミノ
コード末端を含んでいた(第8図参照)。 gD-1フラグメントをpJS413にサブクローニングした。
このために、pJS413をSmaI(平滑末端をもたらす)およ
びSacI(SacI3′付着末端をもたらす)で消化した。4.7
kbのSmaI/SacI pJS413フラグメントを平滑末端化/SacI
pRWF6フラグメント(2.2〜2.4kb)と1:1の比率で連結
し、大腸菌NF1829株を形質転換するために用いた。これ
は、アミノコード末端でランダムに「欠失された」gD-1
遺伝子を含むプラスミドにより形質転換されたクローン
の集団をもたらした(第8図)。pEH50+x(ここでx
は1〜24を意味する)と命名された、全部で24のプラス
ミド(それぞれ約7kb)は制限酵素認識部位のマッピン
グにより分析した。gD-1遺伝子内にPvuII部位を含むも
の(24の形質転換体のうち19)をさらに分析して、gD-1
のアミノコード末端の最長部分を含むクローンを同定し
た。 完全なgD-1遺伝子配列において、gD開始ATGと内部Pvu
II部位の間の距離は156塩基対である。従って、19のpEH
50+xプラスミドのそれぞれをBglIIおよびPvuIIで消化
した。得られたフラグメントをゲル電気泳動で分離し
て、BglII/PvuIIフラグメントの大きさを調べた。160塩
基対より小さいBglII/PvuIIフラグメントをもつ15のpEH
50+xプラスミドを同定した。即ち、第8図に示すBal3
1消化の終点は、gD-1開始ATGとPvuII部位の間のどこか
にあった。これら15の配列を解析して、pJS413プラスミ
ドへの連結部位を正確に決めた。7つのプラスミド、pE
H51、pEH60、pEH62、pEH66、pEH71、pEH73およびpEH74
は、pJS413のcroATGの翻訳リーディングフレームとin p
haseで連結されたgD-1配列を含んでいた(第3図参照、
そこには、これらの連結部位を対応するpEHの数字と垂
直な矢印で示してある)。事実、pEH51はgD-1アミノ末
端の最初の6個のアミノ酸を除いた全部をコードする。 pEH51、pEH60、pEH62およびpEH71の形質転換体は、IP
TG誘導を行ってまたは行わないで、35S‐メチオニンで
標識し、細胞溶解産物をモノクローナル抗体55Sで処理
した。免疫沈降物を前記のようにSDS-PAGEで分析した。
pEH51、pEH60、pEH62またはpEH71を含む形質転換体は、
それぞれ、モノクローナル55Sにより沈降される46,000
ダルトンの誘導可能なタンパク質を産生した(データは
示してない)。 最後に、融合タンパク質をコードする組換えプラスミ
ドは、pEH4-2中に存在するgD-1遺伝子配列のアミノコー
ド末端を再構築するために、pEH51のアミノコード末端
を用いて作製した(第9図参照)。プラスミドpEH4-2を
PstIおよびSacIIで消化し、部分gD-1/β‐ガラクトシダ
ーゼ遺伝子を含む6.2kbのフラグメントを単離した。プ
ラスミドpEH51をPstIで完全に消化し、SacIIで部分的に
消化した。pEH51の1.25kbのPstI/SacIIフラグメントをp
EH4-2の6.2kbのPstI/SacIIフラグメントと1:1の比率で
連結させてpEH82を作製した。形質転換体は前記のごと
くβ‐ガラクトシダーゼ活性についてスクリーニングし
て同定した。pEH51プラスミドを担う大腸菌形質転換体
を大腸菌WW51株と命名し、pEH82プラスミドを含有する
形質転換体を大腸菌WW82株と命名する。 我々は、HSV gD-1融合タンパク質を大腸菌において大
量に生産できることを明らかにした。融合タンパク質
は、おそらく、融合タンパク質の構成自体のために、ま
たは密で不溶性の封入体中への融合タンパク質の隔離の
ために、非常に安定している。我々は、融合タンパク質
を大腸菌から抽出して、動物の免疫感作に用いることが
できることを示した。得られた抗血清はin vitroでHSV-
1およびHSV-2の両方のプラーク形成を中和することがで
きる。 6.5.Cro/gD-1およびCro/gD-1/β‐ガラクトシダーゼ融
合タンパク質を産生するpEH90-10amLE392の作製 適当な宿主細胞において融合および非融合の両方のgD
-1関連タンパク質を産生させることができる組換えプラ
スミドpEH90-10amを構築した(第10図参照)。 pEH90-10amプラスミドは、Cro/gD-1/β‐ガラクトシ
ダーゼ融合タンパク質をコードするpEH3-25(第6.4節参
照)から誘導された、一連の組換えプラスミドpEH-90-N
に由来するものであった(第3図および第10図参照)。
pEH-90-N系列は、cro、gD-1およびz-遺伝子の翻訳リー
ティングフレームが合致する(in phaseである)という
点でpEH4-2(第6.4節)に類似するが、pEH-90-N系列はg
D-1遺伝子とz-遺伝子の接合部に追加のユニークな制限
エンドヌクレアーゼ認識配列を含んでいる。 pEH-90-N系列の1つの形質転換体から単離された、pE
H-90-10と命名された組換えプラスミドは、さらに次の
ように修飾された。(1)pEH-90-10を、gD-1遺伝子配
列とz-遺伝子配列の接合部で切断し、(2)次に、pEH-
90-10を、アンバー連鎖終止配列TAGを含むDNAリンカー
配列の存在下で連結させた。得られた組換えプラスミド
pEH-90-10amは、gD-1遺伝子とz-遺伝子の両方の翻訳リ
ーディングフレームに合致するアンバー連鎖終止配列TA
Gを含んでいる。 pEH90-10amを大腸菌NF1829の形質転換に用いた場合、
アンピシリン耐性形質転換体は検出可能な融合タンパク
質をまったく合成しなかった。ところが、pEH-90-10am
形質転換体にアンバーサプレッサーtRNA遺伝子を含む溶
原性の形質導入ファージφ80 SuIIIを感染させたときに
は、誘導された形質転換体はCro/gD-1/β‐ガラクトシ
ダーゼ融合タンパク質を産生した。この溶原をpEH90-10
am SuIIIと命名する。 また、pEH90-10amプラスミドを用いて、2つのアンバ
ーサプレッサー変異(SupEおよびSupF)をもつ大腸菌LE
392を形質転換させた。pEH90-10amLE392形質転換体は誘
導および非誘導の両条件下でCro/gD-1/β‐ガラクトシ
ダーゼ融合タンパク質を産生した(LE392細胞は、lacリ
プレッサーの過剰生産をもたらすNF1829のlacIQ変異を
もたない)。pEH90-10amLE392形質転換体により産生さ
れたタンパク質のSDS-PAGE分析により、融合タンパク質
(約160,000ダルトン)および非融合gD-1関連タンパク
質(約38,000ダルトン)の両方が産生されたことが確認
された。両方のタンパク質はウサギ抗HSV-1血清と免疫
反応する。pEH90-10amLE392形質転換体はほぼ等モル量
で両方のタンパク質を産生するらしく、2つのタンパク
質は第5.5節に記載した非変性共凝集物精製法で単離し
たとき共精製される。この手順で詳細については以下の
分節で述べる。 6.5.1.pEH90-N系列の作製 第6.4節で前に説明したように、pEH3-25形質転換体は
Cro/gD-1/β‐ガラクトシダーゼ融合タンパク質を産生
するが、その生産量はpEH4-2形質転換体より少ない。pE
H3-25組換えプラスミドは、gD-1の膜貫通配列をもつ以
外は、pEH4-2に類似している(第3図参照)。膜貫通配
列が宿主細胞形質転換体による融合タンパク質の効率の
悪い発現に関与しているかもしれない。 発現ベクターpEH414(第10図)はpJS413誘導体であ
る。事実、pHK414はpJS413の全要素を含むが、cro-z接
合部を横切るそのユニークなクローニング部位をもつ点
で相違する。pHK414のクローニング部位は、BgIII、Hin
dIII、SmaI、BamHIである。z-遺伝子はcroATGとリーデ
ィングフレームが合致しておらず、従って、無傷のプラ
スミドはβ‐ガラクトシダーゼの生産を支配していな
い。しかし、適切な長さ(3n+2)のDNAフラグメント
が該プラスミドのこれらのクローニング部位のいずれか
に挿入されると、z-遺伝子のリーディングフレームがcr
oATGに対して再調節され、そして、挿入されたDNA配列
がcroATGまたはz-遺伝子とin phaseにある終止シグナル
(例:TGA、TAAまたはTAG)を含まないという条件で、β
‐ガラクトシダーゼ融合タンパク質が宿主細胞形質転換
体により産生されるだろう。 pEH90-N系列は次のように構築した(第10図参照)。
まず、pEH3-25をBamHIで消化し、次に、カルボキシ‐コ
ード末端のgD-1膜貫通配列を除くために、切断したプラ
スミドをBal 31で処理した。Bal 31消化の後に、pEH3-2
5をPstIで切断して、PstI付着末端、amp′遺伝子のアミ
ノコード末端、lacプロモーターおよび翻訳調節要素、
膜貫通配列の全部または一部が欠失されているgD-1遺伝
子、および平滑末端(BamHI(1)により特徴づけられる1.
7〜1.9kbのDNAフラグメントの集団をアガロースゲル電
気泳動によって単離した。 発現プラスミドpEK414は、まず、BglIIで切断し、Bgl
II付着末端をDNAポリメラーゼのKlenowフラグメントを
用いて修飾した。次に、線状の平滑末端化pHK414をPstI
で消化して、平滑末端(BglII(-))、z遺伝子、amp′
遺伝子のカルボキシコード末端、およびPstI付着末端に
より特徴づけられる5.5kbのDNAフラグメントをアガロー
スゲル電気泳動によって単離した。 pEH3-25の1.7〜1.9kbのPstI/BamHI(-)DNAフラグメン
トとpEH414の5.5kbのBglII(-)/PstIDNAフラグメントを
1:1のモル比で、T4 DNAリガーゼを用いて連結させた。p
EH90-Nと命名した、得られたプラスミドの集団は指示寒
天平板で増殖させた大腸菌NF1829を形質転換するために
用いた。 融合タンパク質を産生した24の形質転換体のうちの10
から誘導された次の組換えプラスミドを、gD-1/z-遺伝
子接合部(第3図参照)を通るDNA配列決定により分析
した。すなわち、pEH90-2、pEH90-3、pEH90-4、pEH90-
5、pEH90-6、pEH90-7、pEH90-9、pEH90-10、pEH90-11お
よびpEH90-12であった。pEH90-12以外は全て、膜貫通配
列の全部または一部の欠失を含む。pEH90-4およびpEH90
-5はほぼ半分の膜貫通配列を含む。pEH90-12を除いて、
これらのプラスミドは、pEH4-2によりもたらされた高レ
ベルでのCro/gD-1/β‐ガラクトシダーゼ融合タンパク
質の生産へと導いた。この手順の次の工程のためにプラ
スミドpEH90-10が選択された(pEH90-10形質転換体によ
り産生されたgD-1融合タンパク質は、pEH4-2形質転換体
により産生されたものと同じである。但し、pEH4-2形質
転換体により産生されたgD-1の最後の4つのアミノ酸
が、pEH90-10形質転換体により産生された融合タンパク
質からは失われている)。 6.5.2.pEH90-10amの作製 pEH90-10プラスミドのgD-1配列とz-遺伝子の間にアン
バー連鎖終止配列を導入するために、次の手順を用いた
(第10図参照)。pEH90-10をHindIIIで切断し、次にBam
HIで切断して、gD-1遺伝子とz-遺伝子の間の接合部に存
在するそのユニークな制限エンドヌクレアーゼ部位で該
プラスミドを切断した(下記参照)。 7.3kbのHindIII/BamHI切断プラスミドをアガロースゲ
ル電気泳動により単離し、(T4 DNAリガーゼを用いて)
HindIII/BglII付着末端および内部XbaI部位およびアン
バー配列(TAG)によって特徴づけられる次のDNAリンカ
ーと連結させた。 DNAリンカー各相補鎖は、Chowら,1981,Nucleic Acids R
es9(12):2807-2817に報告される固相法によって合成
した。 リンカーを切断プラスミドに連結した後、得られた組
換えプラスミドをXbaIによって切断し、線状の7.3kbのD
NAフラグメントをアガロースゲル電気泳動によって単離
し、T4 DNAリガーゼで連結して再環状化した(これは、
実際、プラスミド上の単一のXbaI部位の存在によって示
される、gD-1/z接合部でHindIIIとBamHI部位の間に連結
されたリンカー配列を含むpEH90-10プラスミドを選択し
た)。連結の結果として、DNAリンカーのアンバー配列
は、gD-1およびz-遺伝子と翻訳リーディングフレームが
合致していた(下記参照)。 得られたプラスミドはpEH90-10amと命名された。 6.5.3.pEH90-10am形質転換体 pEH90-10amを大腸菌NF1829の形質転換に用いた。IPTG
で誘導したとき、アンピシリン耐性形質転換体は融合タ
ンパク質を検出可能なレベルで合成しなかった(MacCon
key指示寒天平板上に赤色コロニーがない)。次に、形
質転換体にアンバーサプレッサーtRNA遺伝子を保有する
溶原性の形質導入ファージφ80 SuIIIを感染させた。IP
TGで誘導された溶原化形質転換体は、MacConkey指示寒
天平板上に赤色コロニーを形成し、これは融合タンパク
質の生産を示す。これらの溶原体をpEH90-10am SuIIIと
名づけた。 さらに、pEH90-10amプラスミドは、2つのアンバーサ
プレッサー(supEおよびsupF)を有するがNF1829のlacI
Q変異をもたないためlacリプレッサーを過剰に合成しな
い大腸菌LE392を形質転換するために用いた。これらの
形質転換体は、pEH90-10amLE392と命名されたものであ
るが、IPTGで誘導しようとしまいと融合タンパク質を産
生した。 6.5.4.pEH90-10amLE392形質転換体により産生されたタ
ンパク質の分析 融合タンパク質(約160,000ダルトン)および38,000
ダルトンのタンパク質が、ほぼ等モル量でpEH90-10amLE
392形質転換体から産生された。各タンパク質はHSV-1に
対するウサギ抗血清と免疫反応することが分かった。こ
のために、細胞タンパク質をミニ凝集物法(以下で説
明)によって単離し、SDS-PAGEで分離し、ニトロセルロ
ースに移行させ、次にHSV-1に対するウサギ抗血清で処
理し、さらにプローブとしてのウサギ免疫グロブリンに
対する125I‐標識ヤギ抗血清で処理した(Towbinら,197
9,Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.76:4350)。 スクリーニング分析用の宿主細胞凝集物を単離するに
あたって、次のミニ凝集物法を採用した。 (1)100μg/mlのアンピシリンを含む新鮮なLuriaブロ
ス5mlを入れた重複する培養チューブに、一夜培養物か
ら得られた200μlの細胞を接種し、37℃で90分間増殖
させた。各重複物の一方は1mMのIPTG(最終濃度)の添
加により誘導した。次に、接種物を撹拌しながら37℃で
さらに5時間増殖させた。 (2)培養物の3mlアリコート中に含まれる細胞を、微
量遠心分離機(12,000×g)で2分間遠心してペレット
化した。(注意:微量遠心管の全容量は1.5mlである。
従って、最初に1.5mlアリコートをペレット化し、上澄
みを抜き取った。同一の微量遠心管に別の1.5mアリコー
トを加え、同一の遠心管でペレット化した。) (3)細胞ペレットを50μlの25%スクロース含有50mM
トリス‐HCl、pH8に懸濁し、ドライアイス/エタノール
浴中に遠心管を入れることによってこの懸濁体を凍結し
た。 (4)凍結懸濁体を解凍し、0.25Mトリス‐HCl、pH8中
の10mg/mlのリゾチーム50μlを添加し、そして懸濁体
を氷上で10〜15分間インキュベートした。 (5)10〜15分間のインキュベーション後、400μlのT
ETバッファー(100mMトリス‐HCl pH8、50mM EDTA、2
%トリトンX-100;トリトンX-100は非イオン性界面活性
剤ポリオキシエチレン(9,10)p-tert-オクチルフェノ
ールである)を添加し、懸濁体を穏やかに混合し、氷上
で5分間インキュベートした。次に、500μlの2×RIP
A(2×RIPAは20mMトリス‐HCl、pH7.4、300mM NaCl、
2%デオキシコール酸ナトリウム、2%NP-40、0.2%SP
Sである)を添加し、懸濁体を穏やかに混合し、氷上で
5分間インキュベートした。 (6)次に、懸濁体中の細胞を、マイクロプローブを用
いて10秒間音波処理し、懸濁体をSorvall SS34ローター
で20,000rpm(47,800×g)、30分間遠心して清澄化し
た。 (7)上澄みをデカントし、共凝集物タンパク質を含む
ペレットを50μlの蒸留水に再懸濁し、これに50μlの
2×サンプルバッファー(2×サンプルバッファーは10
%SDS、40mMトリス‐HCl、pH6.8、2%β‐MEおよびブ
ロモフェノールブルーの0.02容飽和溶液よりなる)を添
加し、そしてよく混合した。混合物を5分間煮沸し、25
μlアリコートを電気泳動のために10%SDS-ポリアクリ
ルアミドゲルにアプライした。 タンパク質をSDS-PAGEで分離した後に、それらをニト
ロセルロースに移行させた(即ち、タンパク質「ブロッ
ト」を行った)。次に、ニトロセルロースを、HSV-1に
対するウサギ抗血清で処理し、次にプローブとしてのウ
サギ免疫グロブリンに対する125I‐標準ヤギ抗血清で処
理した(Towbin,1979前掲)。タンパク質ブロットのオ
ートラジオグラムは、2つのバンドが抗HSV-1抗体と免
疫反応したことをはっきりと示した。即ち、160,000ダ
ルトンの融合タンパク質(Cro/gD-1/β‐ガラクトシダ
ーゼ)、および38,000ダルトンのgD-1関連タンパク質
(Cro/gD-1)または非融合gDタンパク質(β‐ガラクト
シダーゼに融合してない)である。従って、タンパク質
を単離するために共凝集物単離法を用いるとき、非融合
タンパク質が融合タンパク質とともに共精製される。そ
して、非融合gD(Cro/gD-1)とgD融合タンパク質(Cro/
gD-1/β‐ガラクトシダーゼ)は共に抗HSV血清と免疫反
応する。 7.実施例:HSV-2gD HSV-1のゲノムマップを、HSV-2のものと比較した。HS
V-2ゲノム内のgDコード配列の位置は、HSV-1ゲノム内の
gDの位置および大きさから類推して決定された。HSV-2
のUs領域のBgIII LフラグメントをpBR322に挿入して、
組換えプラスミドpHV1を作製した。pHV1中に含まれるgD
-2コード配列は、ハイブリダイゼーションプローブとし
てpSC30-4から得られたgD-1DNAの一部を用いてハイブリ
ダイゼーションを行うことにより、その位置を決定し
た。gD-2コード配列を含むpHV1の部分を、次に、pBR322
にサブクローニングして、組換えプラスミドpHV2を作製
した。pHV2内のgD-2遺伝子のDNA配列を決定し、そし
て、gD-2の配列をgD-1のものと比較した。gD-2のDNA配
列はgD-1のDNA配列よりも1コドン短いが、これら2配
列の間にはかなりの相同性がある。 gD-2遺伝子をlacプロモーターの制御下に置くため
に、タンパク質コード配列の最初の120ヌクレオチドを
欠くgD-2遺伝子配列の一部を、pHV2から単離した。この
DNAフラグメントを、lacプロモーターおよび翻訳調節要
素をコードする小さなDNAフラグメントに連結させた。
得られた組換えプラスミドpHV5は、宿主細胞形質転換体
からgD-2関連タンパク質を生産させた。 最後に、特定部位での制限エンドヌクレアーゼ切断に
よってgD-2遺伝子フラグメントをpHV5から単離し、それ
によって、gD-2のコード配列の終止配列(TAG)を欠失
させた。このDNAフラグメントはgD-2遺伝子の一部と、
発現プラスミドのプロモーターおよび調節要素を含んで
おり、β‐ガラクトシダーゼコード配列を含むベクター
pHK414に連結させた。得られた組換えプラスミドpHV6
は、croSD-ATGをもつプラスミドlacプロモーターとβ‐
ガラクトシダーゼ遺伝子の間に挟まれたgD-2コード配列
を含んでおり、誘導された大腸菌形質転換体において融
合タンパク質を発現させた。pHV6融合タンパク質を宿主
細胞の溶解産物から単離して、免疫原として使用するた
めに製剤化した。各構築工程についての詳細は以下の分
節で説明する。 7.1.プラスミド作製に用いた一般的手順 特にことわらない限り、DNA単離、酵素反応および連
結反応について第6節およびその分節で説明した一般的
方法が、gD-2のクローニングにおいて利用された。 7.1.1.制限酵素バッファー SmaI消化に用いたバッファーは6.6mMトリス‐HCl(pH
7.4)、6.6mM MgCl2および6.6mM β‐MEよりなる。 BalII、ClaI、EcoRIまたはPstI消化に用いたバッファ
ーは60mM NaCl、6.6mMトリス‐HCl(pH7.4)、6.6mMMgC
l2および6.6mM β‐MEよりなる。 BamHI、SaIIまたはXhoI消化に用いたバッファーは150
mM NaCl、6.6mMトリス‐HCl(pH7.4)、6.6mM MgCl2
よび6.6mM β‐MEよりなる。 2以上の制限エンドヌクレアーゼ反応がDNAに対して
行われるときは、低塩バッファー中での反応を高塩バッ
ファー中での反応の前に行うことに注意すべきである。
2つの酵素が同じバッファーを必要とする場合は、その
反応を同時に行ってもよい。 7.2.gD-2遺伝子の位置確認および単離 前に述べたように、HSV-1とHSV-2のゲノムマップを比
較して、HSV-2ゲノム内のgDのおよその位置および大き
さを決定した。gD-2遺伝子は、8.5kbのBglII Lフラグメ
ント内に含まれるUs領域内の0.9〜0.945ゲノムマップ単
位の間にマッピングされた。BglII LフラグメントをHSV
-2DNAから切り出し、更なる分析のためにpBR322中に挿
入した。 7.2.1.gD-2遺伝子を含むpHV1の構築 HSV-2(G株)ゲノムDNAをBglIIで消化し、gD-2遺伝
子を含む約8.5kbのDNAフラグメントをアガロースゲル電
気泳動によって単離した。プラスミドpBR322をBamHIで
完全に消化し、得られた4.4kbのpBR322 DNAとHSV-2の8.
5kbのBglII L DNA フラグメントをアニーリングし(Bam
HI付着末端およびBglII付着末端が相補的である)、1:1
の比率で連結させてpHV1を得た(第11b図)。 7.2.2.gD-2特異的mRNAコード配列の位置確認 gD-2 mRNAコード配列は、ハイブリダイゼーションプ
ローブとしてpSC-30-4から得られたgD-1 DNAの一部を用
いるハイブリダイゼーション(Southern,1975,J.Mol.Bi
ol.98:503)によりpHV1内で局在化された(サザントラ
ンスファーに用いたプロトコールについては、Maniatis
ら,1982,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold
Spring Harbor Laboratory,pp.382-389を参照のこ
と)。 かくして、pHV1をXhoIで切断し、得られたDNAフラグ
メントをアガロースゲル電気泳動によって分離した。次
に、ゲル中のDNAフラグメントをアルカリ中で変性し、
中和し、ニトロセルロースフィルターに移行させた。そ
の後、フィルターに付着したDNAフラグメントを32P標識
gD-1プローブにハイブリダイズさせた。 32P標識gD-1プローブは次のように作製した。pSC30-4
(第1d図および第4図)をPvuIIで切断し、gD-1の最初
の52のコドン(156ヌクレオチド)を含む500bpのDNAフ
ラグメントをポリアクリルアミドゲル電気泳動によって
単離した。gD-1 DNAをニックトランスレーションで放射
性標識した(BRL Kit,Bethesda Research Laboratorie
s,Inc.,Gaithersburg,MD)。ニックトランスレーション
は二本鎖DNAを高い放射能比活性へin vitro標識するた
めの好適な方法である。この方法は大腸菌DNAポリメラ
ーゼIの数種の活性のうちの2つを利用するものであ
る。即ち、5′−3′エキソヌクレアーゼ活性と5′−
3′ポリメラーゼ活性である。ニックトランスレーショ
ンにおいて、この酵素は二本鎖DNAの一方の鎖のニック
に結合する。次いで、前進するポリメラーゼより先で、
5′−3′エキソヌクレアーゼ活性がニックの入った鎖
のヌクレオチドを加水分解する。かくして、ニックが鎖
に沿って移動される(翻訳される)。加水分解の速度は
重合の速度と等しいので、正味の合成はない。しかし、
この交換反応の進行中に、反応混合物中に存在する放射
性デオキシヌクレオシド三リン酸がDNAに取り込まれる
(Kellyら,1970,J.Biol.Chem.245:39)。その後、32P標
識gD-1二本鎖DNAを、一本鎖プローブとして使用するた
めに変性した(Maniatisら,Molecular Cloning,A Labor
atory Manual,Cold Spring Harbor Laboratories,pp.10
9〜112参照)。 オートラジオグラフィーにより、pHV1の約2.3kbのXho
I/XhoI DNAフラグメントは放射性gD-1プローブに対して
相補的であることが実証され、それゆえに、gD-2コード
配列を含んでいた。 次に、gD-2コード配列をさらに特徴付けるために、pH
V1のXhoI/XhoI DNAフラグメントをpBR322にサブクロー
ニングした。そのために、pHV1をXhoIで消化し、gD-2コ
ード配列を含む2.3kbのDNAフラグメントを、SalI(SalI
により生成された付着末端はXhoIにより生成された付着
末端に相補的である)で予め切断しておいた線状pBR322
にアニーリングし、1:1の比で連結させてpHV2を作製し
た(第11c図)。 7.2.3.gD-2 mRNAコード配列の特徴づけ pHV2のHSV-DNAはMaxamとGilbertの方法(1980,Method
s in Enzymology,65:499)を用いて配列決定を行った。
第12図は、HSV-2 gD遺伝子の得られたDNA配列を示す。
このDNA配列は393のコドン(gD-1のDNAコード配列より
も1コドン少ない)のオープンリーディングフレームを
含み、267位のATGから伸びていた。この部位はgD-2遺伝
子のイニシエーターであると推定されるところから、こ
の推定gD-2遺伝子配列を発現ベクターpJS413およびpHK4
13(下記参照)にクローニングすることによって、そう
であることを確かめた。 gD-2タンパク質の予想されたアミノ酸配列を、gD-1タ
ンパク質の予想されたアミノ酸配列と比較した(第13
図)。2つの配列は約82%相同であり、非相同領域が次
の3つの領域に存在するようである。つまり、リーダー
配列、膜貫通領域、そして推定上のアンカー領域であ
る。gD-2タンパク質はgD-1タンパク質よりも1アミノ酸
残基だけ短い。 7.3.gD-2遺伝子のクローニングおよび発現 gD-2遺伝子をlacプロモーターの制御下に置くため
に、アミノコード末端(遺伝子の5′末端)の最初の12
0ヌクレオチドを欠いた推定遺伝子配列の部分をpHV2か
ら単離した。pHV2 DNAフラグメントを、lacプロモータ
ー、翻訳調節要素、croATGおよびcroの69ヌクレオチド
を含む小さなpJS413 DNAフラグメント(約200bp)に連
結させた。得られた組換えプラスミドpHV5(第14図)
は、gD-2配列の最初の40コドンを除いた全部を含んでい
る。事実、pHV5は実際に成熟gD-2タンパク質の15のアミ
ノ酸を除いた全部をコードしている。通常、gD-2の最初
の25のアミノ酸残基(シグナル配列)は、天然gD-2タン
パク質がプロセシングされる際に切断される。pHV5の構
築を以下で説明する。 7.3.1.pHV5の構築 組換えプラスミドpHV2をClaIで消化し(第14図参
照)、生じた付着末端をDNAポリメラーゼのKlenowフラ
グメントで修復した。次に、平滑末端化した線状のpHV2
をEcoRIで切断した。amp′遺伝子およびgD-2コード配列
の120のヌクレオチドを除いた全部を含む5.4kbのClaI
(-)/EcoRI DNAフラグメントを、アガロースゲル電気泳
動によって単離した。 発現ベクターpJS413(第6.3.1節に記載)をSmaIとEco
RIで切断した。lacプロモーター、SDZ、SDcro、croATG
およびcroの69ヌクレオチドをコードする200bp(0.2k
b)のフラグメントをポリアクリルアミドゲル電気泳動
によって単離した。 5.4kbのClaI(-)/EcoRI pHV2 DNAフラグメントと0.2kb
のEcoRI/SmaI pJS413 DNAフラグメントを1:1のモル比
で、T4 DNAリガーゼを用いて連結させた。得られた組換
えプラスミドpHV5は大腸菌NF1829株の形質転換に用い
た。 7.3.2.gD-2遺伝子を発現する形質転換体の同定 アンピシリン耐性の大腸菌形質転換体から単離された
プラスミドは、制限エンドヌクレアーゼマッピングによ
り分析し、さらにgD-2関連ポリペプチドを発現させるそ
の能力について調べた。NF1829においては(lacリプレ
ッサーの過剰生産のために)lacプロモーターは転写的
に不活性であるから、gD-2関連タンパク質は1mM IPTGま
たは1〜10mMラクトースのいずれかでプロモーターを誘
導した後にのみ検出できるだろう。 pHV5と称する組換えプラスミドによって形質転換され
たクローンは、誘導性のgD-2関連タンパク質を産生する
ことが見いだされた。誘導性タンパク質はHSV-2に対す
るウサギ抗血清により免疫沈降させることが分かった。 7.4.Cro/gD-2/β‐ガラクトシダーゼ融合タンパク質を
産生させるpHV6の作製 融合タンパク質を作るために、翻訳リーディングフレ
ームが終止シグナルによって途切れないようにgD-2配列
をバクテリア宿主遺伝子配列に連結させた。そのため
に、gD-2終止シグナル(TAG)が欠失されるようにpHV5
のgD-2コード配列を切断した。lacプロモーター、翻訳
調節要素およびCro/gD-2配列を含むpHV5 DNAフラグメン
トを、z-遺伝子を含むpHK414 DNAフラグメントに連結さ
せた。得られた組換えプラスミドpHV6(第15図)はCro/
gD-2/β‐ガラクトシダーゼ融合タンパク質をコードし
ている。 7.4.1.pHV6の構築 プラスミドpHV5をPstIおよびBamHIで消化した(第15
図参照)。amp′遺伝子のアミノコード末端の一部、lac
プロモーター、SDZ、SDcro、croATGおよびcro/gD-2をコ
ードする1.75kbのPstI/BamHI pHV5 DNAフラグメントを
アガロースゲル電気泳動によって単離した。 発現ベクターpHK414をPstIとBamHIで消化した。z遺
伝子およびamp′遺伝子のカルボキシコード末端の一部
をコードする5.54kbのBamHI/PstI pHK414 DNAフラグメ
ントをアガロースゲル電気泳動によって単離した。 1.75kbのPstI/BamHI pHV5 DNAフラグメントと5.54kb
のBamHI/PstI pHK414 DNAフラグメントをアニーリング
し、1:1のモル比で連結させ、そして、大腸菌NF1829の
形質転換に用いた。指示寒天平板上でβ‐ガラクトシダ
ーゼ活性を検定することによって、アンピシリン耐性コ
ロニーの融合タンパク質産生能を調べた。陽性コロニー
は、IPTGにより誘導された形質転換体の全溶解産物のSD
S-PAGE分析により、Cro/gD-2/β‐ガラクトシダーゼ融
合タンパク質の存在を試験した。160,000ダルトンの融
合タンパク質の高レベル生産体を単離し、この形質転換
体から得られたプラスミドをpHV6と命名した。 pHV6によって形質転換された大腸菌クローンから産生
された融合タンパク質は、IPTGにより誘導可能であり、
また、HSV-1およびHSV-2の両方と交差免疫反応性である
ことが分かった。産生された融合タンパク質はgD-2タン
パク質の265個のアミノ酸残基を含んでいる。 7.4.2.pHV6融合タンパク質に対する抗血清の免疫沈降分
析 pHV6融合タンパク質は第6.4.2節で述べた変性プロト
コールを用いて精製し、3匹のウサギ(R159、R160、R1
61)に抗血清を作らせるべく次のごとく用いた。pHV6で
形質転換された大腸菌クローンを中間対数期まで増殖さ
せ、そして1mM IPTGによって誘導した。誘導の4時間
後、バクテリアを遠心分離によってペレット化し、SDS-
PAGEサンプルバッファーを用いて溶菌し、そして分離用
SDS-ポリアクリルアミドゲルの上に置いた。電気泳動
後、外側レーンをクーマシーブルー染料で染色してタン
パク質を可視化した。次に、160,000ダルトンの融合タ
ンパク質バンドをゲルから切り出した。ゲル切片を液体
窒素の中に浸し、粉砕した後でPBS中に懸濁した。次い
で、等容量のフロインド完全アジュバントを加えた。十
分に混合した後、この溶液を3匹のニュージーランドウ
サギ(R159、R160、R161)に皮下注射した。各ウサギに
100〜200μgのタンパク質を注射した。28日後、不完全
フロインドアジュバント中に懸濁した同量の融合タンパ
ク質を用いてウサギに追加免疫を施した。動物は10日ご
とに合計5回の追加免疫を受け取った。最初の注射の48
日後(即ち、2回の追加免疫後)に採取した血清を免疫
沈降分析に用いた。 免疫沈降は次のように行った。集密的に増殖させた細
胞にHSVを10pfu/細胞で感染させた(Vero細胞にHSV-1を
感染させ、一方Hela細胞にはHSV-2を感染させた)。感
染後35S‐メチオニンで16時間細胞を標識した。35S‐メ
チオニン‐標識HSV-1感染Vero細胞またはHSV-2感染Hela
細胞の溶解産物を、免疫前ウサギ血清またはpHV6融合タ
ンパク質に対するウサギ抗血清(即ち、R159、R160また
はR161抗血清)10μlとともにインキュベートした。第
6.3.3節に述べたようにパンソルビンを用いて免疫複合
体を回収し、得られた放射性標識した免疫沈降タンパク
質をSDS-PAGEで分離し、フルオログラフィーにかけた。
SDS-DAGEの結果によれば、HSV-2感染Hela細胞によって
産生された50,000ダルトンのgDタンパク質は、形質転換
体から産生された融合タンパク質に対する血清と免疫反
応した。R159およびR161抗血清はgD-2に対して特異的で
あり、一方R160抗血清はgD-1(HSV-1感染Vero細胞によ
り産生された52,000ダルトンのgDタンパク質)およびgD
-2の両方を免疫沈降させる。従って、R160は「タイプ‐
共通」である。pEH4-2によってコードされるgD-1融合タ
ンパク質に対して誘導された018(第6.4.2節)もタイプ
‐共通であることに注目すべきである。 7.4.3.単純ヘルペスウイルスのin vitro中和 pHV6融合タンパク質に対する上記のウサギ抗血清を、
in vitroでHSV感染を中和するその能力を調べるために
使用した。そのために、プラークアッセイを用いるウイ
ルス中和実験を前記のように行った。集密細胞の各皿
(35mm)に、対照(免疫前血清)または被験抗血清希釈
物(次の抗血清を試験した:018、R159、R160、R161)と
プレインキュベートしておいた50pfuのHSVを感染させた
(Vero細胞にHSV-1を感染させ、一方Hela細胞にはHSV-2
を感染させた)。3日後、細胞を固定し、染色して、プ
ラークを数えた。表2はこのような2つの実験の結果を
示す。中和は、プラーク数を50%減少させるのに要する
血清希釈率として表される。表2からは、pHV6融合タン
パク質に対する抗血清(R159、R160、R161)がin vitro
でHSV-2感染を中和でき、一方pEH4-2融合タンパク質に
対する抗血清(018)はin vitroでHSV-1感染を中和でき
ることが明らかである。018とR160は(第7.4.2節の免疫
沈降データに基づいて)タイプ‐共通であるが、018
(抗gD-1融合タンパク質)はin vitroでHSV-1の中和に
より効果的であり、そしてR160(抗gD-2融合タンパク
質)はin vitroでHSV-2感染の中和により効果的であ
る。 7.4.4.pEH6融合タンパク質に対する抗血清の免疫蛍光分
析 免疫蛍光検定を次のように行った。集密的細胞にヘル
ペスウイルスを0.1pfu/細胞で37℃、20時間感染させた
(Vero細胞にHSV-1を感染させ、一方Hela細胞にはHSV-2
を感染させた)。細胞をPBSで洗い、次にアセトン:メ
タノール(1:1)を用いて室温で90秒間固定させた。固
定液を除去し、細胞を自然乾燥させた。次に、PBSで1:2
0に希釈した各ウサギ抗血清(018、R159、R160およびR1
61)の20μlアリコートを、印を付けた位置に別個の液
滴としてプレート上の細胞に加えた。37℃、30分のイン
キュベーション後、細胞をPBSで洗い、自然乾燥させ
た。次に、フルオロセイン‐結合ブタ抗ウサギ血清の20
μlアリコートを印を付けた位置に加えた。37℃、30分
のインキュベーション後に細胞を洗い、自然乾燥し、グ
リセロールで固定し、紫外顕微鏡を用いて紫外線のもと
で観察した。蛍光の存在は、ウサギ抗血清がHSV感染細
胞と免疫反応性であることを示す。結果を表3に示して
ある。8.実施例:ワクチン接種 8.1.ワクチン製剤中のgD-1融合タンパク質を用いたin v
ivo HSV-2感染からの防御 1群10匹のBalb Cマウスの3群に、次の調製物を腹腔
内(IP)に注射した。グループ1(非ワクチン接種の対
照)は生理食塩水を受け取り、グループ2は完全フロイ
ンドアジュバント中の天然HSV-1gDタンパク質3μgを
受け取り、そしてグループ3は生理食塩水中のpEH4-2融
合タンパク質(第5.5節に記載した変性凝集物精製法に
よって単離したもの)30μgを受け取った。全てのグル
ープは4回のIP注射を受け取り、各注射を2週間の間隔
で投与し、そして追加免疫は1μgのgD(グループ2)
または10μgの融合タンパク質を含んでいた。 4回目の注射後、眼窩後方でマウスから採血し、第6.
4.3節および第7.4.2節で前に記載したプラークアッセイ
を用いて、in vitro(補体の不在下)でヘルペスウイル
ス中和について血清を試験した。 4回目の接種を行ってから1週間目に、10LD50のHSV-
2株186を用いてマウスをチャレンジした。HSV-2を0.5ml
中に懸濁し、腹腔内注射した。チャレンジされたマウス
の生存が防御を示す。結果を表4に示す。 8.2.ワクチン製剤中のgD-2融合タンパク質を用いたin v
ivo HSV-2感染からの防御 1群10匹のマウスの4群に、次の調製物をワクチン接
種した。グループ1(対照)はpNB9−1ウシ成長ホルモ
ン/β−ガラクトシダーゼ融合タンパク質を受け取り、
グループ2はpEH4−2 Cro/gD-1/β−ガラクトシダーゼ
融合タンパク質(第6.4節)を受け取り、グループ3はp
EH82再構築Cro/gD-1/β‐ガラクトシダーゼ融合タンパ
ク質(第6.5節参照)を受け取り、そしてグループ4はp
HV6 Cro/gD-2/β‐ガラクトシダーゼ融合タンパク質
(第7.4節参照)を受け取った。 融合タンパク質は、誘導された形質転換体をリゾチー
ム/界面活性剤で破壊し、続いて凝集物をペレット化す
る(第5.5節に記載されるように非変性凝集物精製法)
ことによって、種々の大腸菌形質転換体から単離した。 免疫感作のスケジュールは次のとおりであった。Balb
Cマウス(6〜7週齢)に0.2mlの生理食塩水中の非変
性融合タンパク質150〜200μgを腹腔内接種した。マウ
スに75〜100μg融合タンパク質を2週間おきに3回以
上腹腔内に再接種(追加免疫)した(全部で4回の接
種)。4回目の注射後、眼窩後方でマウスから採血し、
第6.4.3節および第7.4.2節で前に記載したプラークアッ
セイを用いて、in vitro(補体の不在下)でヘルペスウ
イルス中和について血清を試験した。 4回目の接種を行ってから1週間目に、17LD50のHSV-
2株186を用いてマウスをチャレンジした。HSV-2を0.5ml
中に懸濁し、腹腔内注射した。チャレンジされたマウス
の生存が防御を示す。結果を表5に示す。 8.8.ワクチン製剤の比較 pEH4-2およびpEH90-10amLE392形質転換体から産生さ
れた融合タンパク質調製物と、後述する異なるアジュバ
ントとの混合物でマウスを免疫処置した。得られた抗血
清は、培養下のHSV-1感染細胞に由来するタンパク質を
免疫沈降させるその能力によって評価した。 第8.2節に記載した非変性技法によって、pEH4-2およ
びpEH90-10amLE392形質転換体から融合タンパク質を単
離した。凝集物を音波処理により再懸濁し(スラリーを
形成し)、次のように熱アルカリ中で処理して可溶化し
た。0.5MNaOHを50mMの最終濃度で凝集物のペレットに添
加した。凝集物は65℃で15分間加熱することによって可
溶化した。次に、溶液を冷却し、トリス‐HCl(pH7.5)
を添加した(最終濃度:100mMトリス‐HCl)。 融合タンパク質調製物(スラリーまたは熱アルカリ調
製物)を、接種前に次のアジュバントを混合した。
(1)L121(Hunterら,1981,J.of Immunol.127(3):1
244-1250;BASF Wyandotte Corporation,Wyandotte,Mic
h.)プルロニックポリオール(動物当り2.5mgを投与し
た)、または(2)水酸化アルミニウムゲル(Reheis C
hemical Company,Berkeley Heights,N.J.)0.2%の最終
濃度。 これらの調製物を用いて、次のスケジュールに従って
マウス(CD-1株)を免疫処置した。各マウスに100μg
の融合タンパク質の一次注射を施し、22日後50μgの融
合タンパク質を再注射した。融合タンパク質を全容量0.
2ml中に懸濁し、腿に筋肉内注射した。最後の注射の7
日後にマウスの眼窩後方から採取した。 採取した血清は次のような免疫沈降によって分析し
た。35S‐メチオニン標識HSV-1感染Vero細胞の溶解産物
を、5μlのマウス血清(抗pEH4-2または抗pEH90-10am
LE392)、免疫前血清(陰性対照)またはモノクローナ
ル4S(陽性対照)とともに4℃で2時間インキュベート
し、5μlのウサギ抗マウス血清(Dako、4℃で30分)
とインキュベートした。免疫複合体を第6.3.3節に記載
したようにパンソルビンを用いて回収し、免疫沈降した
放射性標識タンパク質をSDS-PAGEによって分離し、フル
オログラフィーにかけた。フルオログラフィーの結果か
ら、L121アジュバントを加えたアルカリ可溶化融合タン
パク質(pEH4-2とpEH90-10amLE392の両方)で免疫処置
した全てのマウスは強い免疫反応を有することが明らか
になった。水酸化アルミニウムと一緒に投与したアルカ
リ可溶化pEH4-2融合タンパク質では、より弱い免疫反応
が観察された。この試験法で判定したところでは、他の
マウスは免疫反応を示さないようであった。 9.微生物の寄託 ヌクレオチドに与えられた全ての塩基対のサイズは概
算値であり、説明のために用いられることを理解すべき
である。更に、以上に示された本発明の多くの修飾およ
び変更が、その精神および範囲を逸脱することなく、な
され得ることが明らかである。記載された特定の実施態
様は単なる例示であって、本発明は特許請求の範囲によ
ってのみ規定されるものである。 表示したプラスミドを担う次の大腸菌株はアメリカン
・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type
Culture Collection:ATCC)(Rockville,Md.)に寄託さ
れ、以下の受託番号を指定された。 表示したプラスミドを担う次の大腸菌株はアグリカル
チュラル・リサーチ・カルチャー・コレクション(Agri
cultural Research Culture Collection:NRRL)(Peori
a,III.)に寄託され、次の受託番号を指定された。 本発明は寄託微生物によってその範囲を限定されな
い。なんとなれば、寄託された実施態様は本発明のいく
つかの態様を例示するものであるからである。実際、こ
こに記載したものに加えて、本発明の各種変更が上記の
説明と添付図面から当業者には明らかとなろう。このよ
うな変更も特許請求の範囲に含まれるものである。 図面の簡単な説明 第1図は、(a)HSV-1ゲノムを示し、(b)ラムダg
t-WES::EcoRI-HのHSV-1 EcoRI-Hフラグメント挿入物の
制限地図を示し、(c)pRWF6の構築を示し、そして
(d)pSC30−4のHSV-1 SacI DNAフラグメント挿入物
の制限地図を示す。 第2図は、gD-1遺伝子配列の配列決定戦略と制限地図
を示す。 第3図は、gD-1遺伝子のヌクレオチド配列およびgD-1
タンパク質の推定アミノ酸配列を示す。 第4図は、gD-1遺伝子の一部および大腸菌の発現ベク
ターpJS413から誘導された組換えプラスミドpEH25の構
築を示す。 第5図は、pEH25中のCro/gD-1接合部のDNA配列および
推定アミノ酸配列を示す。 第6図は、HSV感染Hela細胞の溶解産物中に存在する
競合抗原を添加することによるpEH25gD産物の免疫沈降
の阻害を示す。 第7図は、pEH25から誘導されたgD-1発現プラスミドp
EH4-2の構築を示す。 第8図は、多くのgD-1発現プラスミドpEH50+xを作
製する方法を示す。 第9図は、pEH4-2中のgD-1遺伝子のアミノコード末端
を再構築する方法を示す。 第10図は、pEH3-25とpHK414から誘導されたgD-1発現
プラスミドpEH90-10amの構築を示す。 第11図は、(a)HSV-2ゲノムを示し、(b)pHV1のB
glII Lフラグメント挿入物の制限地図を示し、そして
(c)pHV2のHSV-2Xhol DNAフラグメント挿入物の制限
地図を示す。 第12図は、gD-2遺伝子のヌクレオチド配列およびgD-2
タンパク質の推定アミノ酸配列を示す。 第13図は、gD-1とgD-2の推定アミノ酸配列の比較を示
す。 第14図は、gD-2遺伝子の一部およびpJS413から誘導さ
れた組換えプラスミドpHV5の構築を示す。 第15図は、pHV5から誘導されたgD-2発現プラスミドpH
V6の構築を示す。
フロントページの続き 微生物の受託番号 ATCC 39159 微生物の受託番号 ATCC 39160 (72)発明者 リン・ウイリアム・エンキスト アメリカ合衆国55331ミネソタ州エクセ ルシア・ザンブラ・ドライブ5691 (56)参考文献 特開 昭55−104887(JP,A) Scicnce,Vol.203,(9 th February1979) P. 541〜544 Journal of Virolo gy,(1979) P.608〜620

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.次のDNA配列: からなる単純ヘルペスウイルスタイプ1(HSV−1)のg
    D糖タンパク質のアミノ酸配列を有するポリペプチドを
    コードするDNA配列; 該gD糖タンパク質の少なくとも1つの免疫学的抗原決定
    基を有するポリペプチドをコードするHSV−1DNA配列の
    部分配列; 次のDNA配列: からなる単純ヘルペスウイルスタイプ2(HSV−2)のg
    D糖タンパク質のアミノ酸配列を有するポリペプチドを
    コードするDNA配列;および 該gD糖タンパク質の少なくとも1つの免疫学的抗原決定
    基を有するポリペプチドをコードするHSV−2DNA配列の
    部分配列; より成る群から選ばれる単純ヘルペスウイルスのgD糖タ
    ンパク質ポリペプチドをコードする発現可能なDNA配列
    または該gD糖タンパク質の少なくとも1つの免疫学的抗
    原決定基を有するポリペプチドをコードするHSV−1ま
    たはHSV−2DNA配列の発現可能な部分配列。 2.次のDNA配列: からなるHSV−1のgD糖タンパク質のアミノ酸配列を有
    するポリペプチドをコードするDNA配列; 該gD糖タンパク質の少なくとも1つの免疫学的抗原決定
    基を有するポリペプチドをコードするHSV−1DNA配列の
    部分配列; 次のDNA配列: からなるHSV−2のgD糖タンパク質のアミノ酸配列を有
    するポリペプチドをコードするDNA配列;および 該gD糖タンパク質の少なくとも1つの免疫学的抗原決定
    基を有するポリペプチドをコードするHSV−2DNA配列の
    部分配列; より成る群から選ばれる単純ヘルペスウイルスのgD糖タ
    ンパク質ポリペプチドをコードするDNA配列または該gD
    糖タンパク質の少なくとも1つの免疫学的抗原決定基を
    有するポリペプチドをコードするHSV−1またはHSV−2D
    NA配列の部分配列を含み、該DNA配列または該部分配列
    の発現を支配して該ポリペプチドを生成する能力を有す
    る組換えベクター。 3.前記のDNA配列または部分配列が転写プロモーター
    および翻訳シグナルの制御下にある、請求項2に記載の
    組換えベクター。 4.プラスミドpBR322レプリコンの不可欠な部分をさら
    に含む、請求項2または3に記載の組換えベクター。 5.前記のDNA配列または部分配列がタンパク質をコー
    ドする第2のDNA配列に同じ読み枠で連結されており、
    そして組換えベクターが連結DNA配列の発現を支配して
    融合タンパク質を生成する能力を有する、請求項2〜4
    のいずれか1つに記載の組換えベクター。 6.連鎖終止シグナルが前記のDNA配列または部分配列
    と第2のDNA配列の間に正しい翻訳読み枠で配置されて
    いる、請求項5に記載の組換えベクター。 7.ATCC受託番号39,159を有する大腸菌により担持され
    た組換えベクターpEH51、ATCC受託番号39,160を有する
    大腸菌により担持された組換えベクターpEH82、NRRL受
    託番号B−15471を有する大腸菌により担持された組換
    えベクターpEH4−2、NRRL受託番号B−15449を有する
    大腸菌により担持された組換えベクターpHV5、NRRL受託
    番号B−15450を有する大腸菌により担持された組換え
    ベクターpHV6、およびNRRL受託番号B−15451を有する
    大腸菌により担持された組換えベクターpEH90−10amよ
    り成る群から選ばれる、請求項2に記載の組換えベクタ
    ー。 8.次のDNA配列: からなるHSV−1のgD糖タンパク質のアミノ酸配列を有
    するポリペプチドをコードするDNA配列; 該gD糖タンパク質の少なくとも1つの免疫学的抗原決定
    基を有するポリペプチドをコードするHSV−1DNA配列の
    部分配列; 次のDNA配列: からなるHSV−2gのD糖タンパク質のアミノ酸配列を有
    するポリペプチドをコードするDNA配列;および 該gD糖タンパク質の少なくとも1つの免疫学的抗原決定
    基を有するポリペプチドをコードするHSV−2DNA配列の
    部分配列; より成る群から選ばれる単純ヘルペスウイルスのgD糖タ
    ンパク質ポリペプチドをコードするDNA配列または該gD
    糖タンパク質の少なくとも1つの免疫学的抗原決定基を
    有するポリペプチドをコードするHSV−1またはHSV−2D
    NA配列の部分配列を含み、該DNA配列または該部分配列
    を発現させて該ポリペプチドを産生する能力を有する単
    細胞生物。 9.前記のDNA配列または部分配列を含む組換えベクタ
    ーを含有し、該DNA配列または部分配列を発現させて前
    記のポリペプチドを産生する能力を有するか、またはタ
    ンパク質をコードする第2のDNA配列に同じ読み枠で連
    結された該DNA配列または部分配列を含む組換えベクタ
    ーを含有し、該連結DNA配列を発現させて融合タンパク
    質を産生する能力を有する、請求項8に記載の単細胞生
    物。 10.前記の生物が真核または原核細胞である、請求項
    8または9に記載の単細胞生物。 11.原核細胞が大腸菌である、請求項10に記載の単細
    胞生物。 12.ATCC受託番号39,159を有する大腸菌、ATCC受託番
    号39,160を有する大腸菌、NRRL受託番号B−15449を有
    する大腸菌、NRRL受託番号B−15450を有する大腸菌、N
    RRL受託番号B−15451を有する大腸菌、およびNRRL受託
    番号B−15471を有する大腸菌より成る群から選ばれ
    る、請求項11に記載の単細胞生物。 13.次のDNA配列: からなるHSV−1のgD糖タンパク質のアミノ酸配列を有
    するポリペプチドをコードするDNA配列; 該gD糖タンパク質の少なくとも1つの免疫学的抗原決定
    基を有するポリペプチドをコードするHSV−1DNA配列の
    部分配列; 次のDNA配列: からなるHSV−2のgD糖タンパク質のアミノ酸配列を有
    するポリペプチドをコードするDNA配列;および 該gD糖タンパク質の少なくとも1つの免疫学的抗原決定
    基を有するポリペプチドをコードするHSV−2DNA配列の
    部分配列; より成る群から選ばれる単純ヘルペスウイルスのgD糖タ
    ンパク質ポリペプチドをコードするDNA配列または該gD
    糖タンパク質の少なくとも1つの免疫学的抗原決定基を
    有するポリペプチドをコードするHSV−1またはHSV−2D
    NA配列の部分配列を含みかつ単細胞生物内で複製可能な
    組換えベクターを単細胞生物に導入することからなる、
    該DNA配列または該部分配列を含有し、該ポリペプチド
    を産生する能力を有する単細胞生物の作製方法。 14.単純ヘルペスウイルスgD糖タンパク質の少なくと
    も1つの免疫学的抗原決定基を有するポリペプチドをコ
    ードする発現可能なDNA配列を同定および/または単離
    する方法であって、 (a)ハイブリダイゼーションプローブとして、 次のDNA配列: からなるHSV−1のgD糖タンパク質のアミノ酸配列を有
    するポリペプチドをコードするDNA配列;または 該gD糖タンパク質の少なくとも1つの免疫学的抗原決定
    基を有するポリペプチドをコードするHSV−1DNA配列の
    部分配列;または 次のDNA配列: からなるHSV−2のgD糖タンパク質のアミノ酸配列を有
    するポリペプチドをコードするDNA配列;または 該gD糖タンパク質の少なくとも1つの免疫学的抗原決定
    基を有するポリペプチドをコードするHSV−2DNA配列の
    部分配列;または HSV−1またはHSV−2のgD糖タンパク質のアミノ酸配列
    を有するポリペプチドをコードするDNA配列の断片;ま
    たは 該gD糖タンパク質の少なくとも1つの免疫学的抗原決定
    基を有するポリペプチドをコードするHSV−1またはHSV
    −2DNA配列の部分配列の断片;または 上記のDNA配列、部分配列または断片から誘導されるmRN
    AまたはcDNA; を用いて被験DNA配列に対してハイブリダイゼーション
    を行い、 (b)上記プローブとハイブリダイズするDNA配列を同
    定および/または単離し、 (c)上記プローブとハイブリダイズするDNA配列を発
    現させ、そして (d)発現されたDNA配列によりコードされるポリペプ
    チドにおける単純ヘルペスウイルスgD糖タンパク質の少
    なくとも1つの免疫学的抗原決定基の存在を調べる、 ことを含んでなる方法。
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