JPH08294392A - 単純ヘルペスウイルスタンパク質をコードするdna配列 - Google Patents

単純ヘルペスウイルスタンパク質をコードするdna配列

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JPH08294392A
JPH08294392A JP7300382A JP30038295A JPH08294392A JP H08294392 A JPH08294392 A JP H08294392A JP 7300382 A JP7300382 A JP 7300382A JP 30038295 A JP30038295 A JP 30038295A JP H08294392 A JPH08294392 A JP H08294392A
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hsv
dna
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protein
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JP7300382A
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Roger J Watson
ロジャー・ジョン・ワトソン
John W Weis
ジョン・ヘインズ・ワイス
Lynn W Enquist
リン・ウィリアム・エンキスト
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American Cyanamid Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単純ヘルペスウイルス(HSV)のgD糖タ
ンパク質またはその一部をコードする新規なDNA配列
を提供する。 【解決手段】 HSV−1またはHSV−2のgD糖タ
ンパク質遺伝子の位置確認および配列決定を行う。該遺
伝子を単離し、得られた遺伝子またはそのフラグメント
をプラスミドベクターに挿入して、生物学的に機能する
複製単位として働く組換えプラスミドを作製する。 【効果】 該組換えプラスミドで形質転換された単細胞
生物は、HSVに対するワクチンの免疫原として有用な
gD遺伝子産物を発現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
1.発明の分野 本発明は、単純ヘルペスウイルス(HSV)糖タンパク
質に関係した新規なDNA配列に関する。本発明は、ウ
イルスDNA、プラスミドDNAまたはバクテリオファ
ージDNAのようなDNAベクター中に、糖タンパク質
D(gD)またはその一部をコードするDNA配列を挿
入する組換えDNA技術を利用するものであり、それに
より該ベクターが、バクテリア宿主あるいは他の単細胞
系中でgD遺伝子を複製しかつその発現を誘導する能力
をもつようにするものである。得られた組換えDNA分
子を宿主細胞中に導入すると、宿主細胞によるgDまた
はその一部あるいは変異型分子の生産が可能となる。生
産されたタンパク質は、次に単離・精製され、そしてH
SVタイプ1(HSV−1)およびタイプ2(HSV−
2)の両方の感染に対するワクチンの免疫原として用い
るために修飾される。
【0002】
【従来の技術】
2.発明の背景技術 2.1.組換えDNA技術および遺伝子発現 組換えDNA技術は、特定のDNA配列をDNAベクタ
ー中に挿入して、宿主細胞中で複製することができる組
換えDNA分子を作製するものである。一般的に、挿入
されるDNA配列は受容DNAベクターに対して外来性
である。すなわち、挿入DNA配列およびDNAベクタ
ーは、自然界で遺伝情報の交換のない生物に由来するも
のであるか、あるいは挿入DNA配列は、全体的にまた
は部分的に合成されたものである。近年、組換えDNA
分子の構築を可能とするいくつかの一般的方法が開発さ
れた。例えば、米国特許第4,237,224号(Co
hen&Boyer)は、制限酵素およびライゲーショ
ン(連結)として知られる方法を用いて、このような組
換えプラスミド類を作製することを記述している。その
後、これらの組換えプラスミドは形質転換によって単細
胞生物中に導入され、複製される。米国特許第4,23
7,224号に記載された技術の一般的な利用可能性の
ため、この特許は本明細書中へ参考として組み入れられ
る。
【0003】組換えDNA分子を単細胞生物へ導入する
他の方法は、CollinsおよびHohnによって米
国特許第4,304,863号に記載されており、これ
も参考としてここに組み入れる。この方法は、バクテリ
オファージベクターを用いるパッケージング/形質導入
系を利用するものである。構築に用いる方法の如何にか
かわらず、組換えDNA分子は宿主細胞と適合すべきで
あり、すなわち、宿主細胞内で自律複製能をもつべきで
ある。組換えDNA分子はまた、組換えDNA分子によ
り形質転換された宿主細胞の選択を可能にするマーカー
機能をもつべきである。更に、適切な複製、転写および
翻訳シグナルの全てがプラスミド上に正確に配置される
場合には、外来遺伝子は形質転換細胞およびその子孫に
おいて適切に発現されるだろう。
【0004】真核生物の細胞に感染するすべてのウイル
スに特徴的であるように、単純ヘルペスウイルスは真核
宿主細胞系を必要とし、その中でそのゲノムを複製する
ためにウイルス遺伝子が発現し、その子孫が生じる。真
核細胞中でのDNA複製のためのシグナルおよび調節要
素、遺伝子の発現およびウイルスの組立ては、原核細胞
のものとは異なる。これは、真核細胞中にのみ天然で発
現される遺伝子を、原核宿主細胞中で発現させようとす
る場合に非常に重要となる。
【0005】これらの異なる遺伝子シグナルおよびプロ
セシング過程は、多くのレベルの遺伝子発現(例えば、
DNA転写およびメッセンジャーRNA翻訳)を制御す
る。DNAの転写は、RNAポリメラーゼの結合を指示
し、それによって転写を促進するDNA配列のプロモー
ターの存在に依存している。真核生物のプロモーターの
DNA配列は原核生物プロモーターのものとは異なる。
更に、真核生物のプロモーターおよびそれに伴う遺伝子
シグナルは、原核生物系の中では認識されないものであ
るか、あるいは機能できないものである。
【0006】同様に、原核生物中のメッセンジャーRN
A(mRNA)の翻訳は、真核生物とは異なる適切な原
核生物シグナルの存在に依存している。原核生物中のm
RNAの効率的な翻訳には、mRNA上のシャイン・ダ
ルガルノ(Shine Dalgarno;SD)配列
と称するリボソーム結合部位を必要とする。この配列は
mRNAの短いヌクレオチド配列であり、タンパク質の
アミノ末端メチオニンをコードする開始コドン(AU
G)の前に位置している。SD配列は16S rRNA
(リボソームRNA)の3’末端に対して相補的であ
り、多分rRNAとの二重らせんを形成し、リボソーム
の正しい位置づけを可能にすることによって、mRNA
のリボソームへの結合を促進している。遺伝子発現を最
大とすることに関する考察のために、Roberts
and Lauer,Methodsin Enzym
ology 68:473(1979)を参照された
い。
【0007】適切なシグナルが挿入されて、適切に位置
づけられた後でさえも、多くの因子が原核生物での真核
生物遺伝子の発現を複雑にしている。これらの因子の本
性および作用機構のはっきりとした理解が目下のところ
欠けている。こうした因子の1つは大腸菌(Esche
richia coli)および他のバクテリア中の活
性なタンパク質加水分解系の存在である。このタンパク
質分解系は、真核生物タンパク質のごとき「異常な」す
なわち外来のタンパク質を選択的に破壊するようであ
る。従って、バクテリア中で発現された真核生物タンパ
ク質を加水分解から保護する手段を開発することによっ
て多岐にわたる利用が可能となろう。1つの戦略は、真
核生物配列を原核生物遺伝子とin phase(すな
わち、正しい読み枠)で連結することによって、融合タ
ンパク質産物(原核生物のアミノ酸配列と、外来すなわ
ち真核生物のアミノ酸配列とのハイブリッドであるタン
パク質)が得られるハイブリッド遺伝子を構築すること
である。
【0008】ハイブリッド遺伝子の構築は、多くの真核
生物タンパク質(例えば、ソマトスタチン、ラットのプ
ロインシュリン、成長ホルモンおよび卵アルブミン様タ
ンパク質)をコードする遺伝子の分子クローニングにお
いて用いられた方法であった。更に、卵アルブミンおよ
びβ−グロビンの場合には、原核生物プロモーターがか
かる融合遺伝子配列に連結された(Guarente
ら,Cell 20:543(1980))。Guar
enteらの系は、SD配列を含むlacプロモーター
を、融合遺伝子のATGの前に異なる距離で挿入するこ
とを含むものである。幾つかの真核生物遺伝子の分子ク
ローニングおよび発現が達成されたが、これはgD遺伝
子についてはこれまで行なわれていない。また、原核生
物宿主細胞中での外来すなわち真核生物遺伝子の発現は
日常的になし得るような技術状態にはない。
【0009】2.2.ワクチン類 ウイルス感染の防御および治療には次の3つの基本的な
方法がある。すなわち、(1)能動免疫応答を引き出す
ワクチン、(2)ウイルス複製を抑制する化学療法剤、
および(3)インターフェロンの合成を導き出す薬剤で
ある。3つの方法全てを、感染を防ぐために用いること
ができるが、感染の初期に適用するときにより効果的で
ある。ワクチン注射、すなわち能動免疫感作は、感染が
始った後では通常効果がない。
【0010】ワクチンは、一般に、免疫学的性質を破壊
することなく、ウイルスを無毒化することによって調製
される。伝統的には、これは不活化ワクチン用にウイル
スの感染性を不活化すること(すなわち、ホルムアルデ
ヒドのごとき種々の化学薬剤による処理によってウイル
スを「殺す」こと)、あるいは生ワクチン(弱毒化ワク
チン)用に無毒性あるいは弱毒化された(修飾された)
ウイルスを選択することによって達成される。弱毒化
は、ウイルスを普通でない状態(異なる動物宿主および
細胞培養物)に適応せしめることによって、または、大
きなウイルス接種材料を数多く継代させ、毒力を失った
ために徴候を全く現さないか、ほんの少しの徴候しか現
さない変異体を選択することによって得られる。獣医学
の分野でまだ用いられる少数のワクチンは、ウイルス増
殖がほとんど重大とならない部位に注射される完全に毒
力のある感染性ウイルスよりなるものである。この方法
はヒトに使用するには余りに危険であると考えられる。
【0011】生ワクチンに用いる弱毒化ウイルスは、一
般的に優れた免疫原である。なぜならば、弱毒化ウイル
スは宿主中で増殖して、長く続く免疫性を引き出すから
である。弱毒化ワクチンは、全てのウイルス抗原(ウイ
ルス粒子の表面抗原と内部抗原の両方)に対する体液性
の抗体を誘導する。しかしながら、生ワクチンの使用に
は多くの問題が提起されており、例えばウイルスの不十
分な弱毒化、ウイルスの遺伝的不安定性、ワクチンウイ
ルスの増殖に用いた細胞培養物中の外部ウイルスによる
汚染、そして最後に、ワクチンの不安定性(例えば熱不
安定性)などがある。
【0012】不活化ワクチン(増殖しない「死滅した」
あるいは不活化ウイルスを用いる)の使用は、生ワクチ
ンの使用に伴う難点を避けるものだが、死滅したウイル
スは、免疫化された動物の体内で増殖せず、通常、表面
成分に対する抗体のみをもたらす。しかし、不活化ワク
チンについての主な難点は、関連抗原の必要量を供給す
るのに十分なウイルスを生産することにある。不活化ワ
クチンの使用に伴う他の難点は、達成された免疫性が短
いためしばしば追加の免疫が必要となること、抗原部位
が不活化の化学的処理によって変えられるため免疫原性
が弱くなったり、あるいはウイルス感染を中和するのに
あまり効果的でない抗体を誘導すること、そして当該ワ
クチンがしばしば満足のゆくレベルのIgAを誘導しな
いことである。
【0013】サブユニットワクチンは、外被のない正二
十面体ウイルスのカプシドタンパク質または外被のある
ウイルスのペプロマー(糖タンパク質のスパイク)のご
とき、必要かつ適切な免疫原性物質のみを含むものであ
る。サブユニットワクチンは、高度に精製されたウイル
ス画分から関係のあるサブユニットを単離するか、ある
いは関係のあるポリペプチドを合成することによって作
ることができる。サブユニットワクチンの主な長所は、
ウイルス由来の遺伝物質の排除ならびに宿主またはドナ
ー由来の干渉性物質の排除にある。しかしながら、現在
のところ、これらの方法を用いてのサブユニットワクチ
ンの製造は、広く使われる商業用途には高価すぎる。組
換えDNA技術はサブユニットワクチンの製造に多くの
ものを提供し、ウイルスの関係のある免疫原性部分また
はそのタンパク質をコードするウイルス遺伝子の分子ク
ローニングおよび宿主細胞での発現が、サブユニットワ
クチンで使用するのに十分な量の免疫原をもたらすこと
ができる。
【0014】ワクチンは、しばしば、種々のアジュバン
トを含む乳濁液として投与される。アジュバントは、免
疫原のみを投与した場合よりも少ない量の抗原を用い
て、少ない投与量で、持続する高レベルの免疫性を獲得
するのを助けるものである。アジュバントの作用機構は
複雑で、完全には理解されていない。しかしながら、そ
れは細網内皮系の食作用、他の活性の刺激、抗原の遅延
された放出および分解を含むかもしれない。アジュバン
トの例には、フロインドのアジュバント(完全または不
完全)、アジュバント65(落下生油、マンニドモノオ
レエートおよびアルミニウムモノステアレートを含
む)、および水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム
またはミョウバンのごとき鉱物ゲルがある。フロインド
のアジュバントはヒトや食用動物のためのワクチンには
もはや用いられていない。なぜならば、それは非代謝性
鉱油を含み、しかも発癌物質の可能性があるからであ
る。しかし、鉱物ゲルは商業的動物用ワクチンに広く用
いられている。
【0015】2.3.ヘルペスウイルス類 ヘルペスウイルス類(ヘルペトビリダエ:Herper
toviridae)は大型のDNAウイルスであり、
宿主の一生の間存続しうる潜在的感染を確立することで
有名である。表に現れない一次感染の後、ウイルスは、
照射または免疫抑制のごとき、いくつかの疑われる刺激
のどれかによって再活性化されるまで静止したままで残
存する。
【0016】活動状態、つまり感染の急性形態は、増殖
感染または溶菌感染によって特徴づけられる。即ち、ウ
イルスが複製して、宿主細胞の機構を乗っ取り、感染性
の成熟ウイルス粒子を作り、そして細胞死を引き起こ
す。しかしながら、潜伏状態では、ウイルスは宿主の神
経節に潜んでいる。潜状中に感染性ウイルスが生産され
る証拠はほとんどない。
【0017】大抵の一次感染は幼児期に起こり、表面に
現れない。感染は粘膜のウイルス接種から、あるいはウ
イルスが表皮の破れから皮膚の中に入ることにより生じ
る。従って、感染性ウイルスは密接な接触によって伝播
され得る。いったん獲得されると、HSVは生涯身体中
に保持され、そして患者は、無徴候であるか、あるいは
例えば口唇疱疹(通常「熱性疱疹」または「コールドソ
アス(cold sores)」と呼ばれる唇上の障
害)、歯肉口内炎(口および歯肉が小胞でおおわれ、そ
れが破れて潰瘍となる)、咽頭炎、扁桃炎、角結膜炎
(角膜炎または眼の角膜の炎症で、樹状潰瘍へと進行
し、最終的には角膜の瘢痕化をもたらし、盲目となる)
および陰部疱疹を含む粘膜皮膚病のごとき多くの臨床的
徴候をもたらす再発性の攻撃を受けやすい。稀には、H
SV感染は脳炎、疱疹性湿疹、外傷性疱疹、肝炎および
新生児疱疹を引き起こすことがある。
【0018】活動的発生の間に、感染性ウイルスは病変
部位から、または周囲の体液、例えば口唇疱疹の場合に
は唾液から、単離することができる。これらの病変は、
特定の個体の身体の同じ部分に発生する傾向があり、月
経、日光または冷風への過剰暴露、下垂体または副腎ホ
ルモン、アレルギー反応、あるいは古典的には熱のごと
き多くの刺激によって引き起こされる。こうした発生の
間、患者はウイルスを放出しており、接触を介して他人
へ感染性ウイルスを伝播することができる。
【0019】感染の潜状期の間、研究者らは、病変がそ
の後生じる部位以外の部位にこのウイルスが保持される
ことを実証した。この静止期の間、ウイルスは知覚神経
節のニューロン中に局在化され(顔の病変の場合には、
通常三叉神経節が関係する)、通常の患部から単離する
ことはできない。ほとんどの子供は一次感染から急速に
回復するが、時に、肝炎によって特徴づけられる播種性
新生児疱疹感染が冒された新生児を打ちのめすこととな
る。最も重症の感染は、感染している付添人から、より
一般的には感染母親から、誕生時に赤ん坊が産道で陰部
疱疹に出会うときに獲得される。女性および子供の外陰
部膣炎ならびにペニスの感染はHSV−2によって生じ
ると以前考えられていたが、最近の結果は、HSV−1
またはHSV−2が原因となり得ることを示しており、
更に、女性の疱疹性の性病感染は子宮頚管の癌と関係し
ている。
【0020】ヘルペス感染は今日の社会において頻発し
ている。現在、HSV感染に対しての治療法はなく、最
近の治療はDNA合成を抑制する化合物を使用するもの
である。もちろん、これらの化合物はウイルスのDNA
合成ばかりでなく分裂している細胞のDNA合成をも抑
制するという点で非選択的である。更に、これらの化合
物は活動期の感染の間だけ有効であり、これまで、潜伏
期の効果については実証されていない。
【0021】ヘルペスウイルスは真核生物のウイルスで
あり、大きさ80×10〜150×10ダルトンの
範囲の線状の二本鎖DNAゲノムを含んでいる。各ウイ
ルス粒子は正二十面体のヌクレオカプシドと、成熟期お
よび出芽期に宿主細胞の脂質二重層から分離されること
により形成される膜エンベロープを有する。ウイルスエ
ンベロープは、一部は膜中に存在するが、膜エンベロー
プから外側に突き出ている多くのウイルス特異的タンパ
ク質を含む脂質二重層である。一次感染の間に、膜エン
ベロープはウイルス粒子が細胞中に効率的に侵入するた
めに必要である。脂質二重層の外側にあるウイルスタン
パク質と特異的に結合する抗体は、ウイルス感染を中和
する能力がある。ウイルスの細胞への侵入にとって最も
重要なウイルスタンパク質は糖タンパク質(糖分子が結
合しているタンパク質分子)である。単純ヘルペスウイ
ルスタイプ−1(HSV−1)およびタイプ−2(HS
V−2)は、互いに抗原的に区別される少なくとも4つ
の異なる糖タンパク質を作る。HSV−1およびHSV
−2からのこれらのタンパク質のあるものは共通のエピ
トープ(即ち、抗原部位または抗体結合部位)を有す
る。このようなタンパク質の一例は49,000〜5
8,000ダルトンの糖タンパク質であり、gDと称さ
れる。HSV−1 gDに対する多価抗血清はHSV−
1とHSV−2の両方の感染を中和する能力がある
(Norrild,1979,Current Top
ics in MiCrobiol.and Immu
nol.19:67)。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
3.発明の概要 単細胞宿主生物中でのHSV糖タンパク質遺伝子のクロ
ーニングおよび発現のための方法ならびに組成物が提供
される。また、これらの新規な単細胞生物を培養してH
SV遺伝子産物を生産する方法およびその遺伝子産物を
精製する方法が記述される。ここに記述された組変えD
NA技術によって生産されたgD関連タンパク質は、H
SV−1およびHSV−2感染を防御するためのワクチ
ンの免疫原として用いるために製剤化され得る。
【0023】HSV−1のgD遺伝子(HSV−1パッ
トン株から単離されたもの)は、タイプ間組換え分析と
mRNAマッピングによって、ウイルスゲノムにおいて
同定された。いったん当該遺伝子がDNAの特定セグメ
ント上に局在化されたら、そのヌクレオチド配列が決定
され、そしてgDタンパク質のアミノ酸配列が推定され
た。
【0024】HSV−2のgD遺伝子(HSV−2 G
株から単離されたもの)は、HSV−1ゲノム中のgD
の位置決定から類推して、また、ハイブリダイゼーショ
ン分析によってウイルスゲノムにおいて同定された。そ
の後、単離されたgD遺伝子または遺伝子フラグメント
(タイプ1またはタイプ2)をプラスミドベクター中に
挿入して、生物学的に機能する複製単位として働く組換
えプラスミドを作製した。これらの組換えプラスミド
は、適合性の宿主細胞の形質転換の際にgD遺伝子の複
製および発現を容易にするように構築された。更に、こ
れらのプラスミドはgD遺伝子を活発に発現する形質転
換微生物の一段階同定を提供する。最後に、発現された
遺伝子産物を単離する方法およびワクチンの処方に用い
る方法が記述される。
【0025】
【課題を解決するための手段】
4.図面の説明 本発明は、以下の本発明の詳細な説明、本発明の特定の
実施態様の例および添付の図面を参照することによって
より十分に理解されよう。図1aは、HSV−1ゲノム
を示し、HSV−1のgD遺伝子(以下gD−1遺伝子
と記す)のある短いユニーク領域(Us)の位置を示
す。
【0026】図1bは、ラムダgtWES::ECoR
I−HのHSV−1ECoRI−Hフラグメント挿入物
の制限地図を示す。議論に関係のある制限部位のみを示
してある。制限酵素認識配列を次の略号で示す:Bam
HI(Ba4〜Ba8);BglII(Bg2);Bs
tEII(Bs);EcoRI(RI);HindII
I(H3);KpnI(Kp);PvuII(Pv);
SacI(Sc);SalI(Sa);およびXhoI
(Xh)。
【0027】図1cは、pBR322へのラムダgtW
ES:ECoRI−HのBamHI−8からBamHI
−7までのフラグメントの挿入を含むpRWF6の構築
を示す。図1dは、pSC30−4のHSV−1 Sa
cI DNAフラグメント挿入物の制限地図を示す。棒
線(拡大された領域)はgD−1mRNAコード配列の
局在および位置を示す。
【0028】図2は、gD−1遺伝子配列の配列決定戦
略と制限地図を示す。コード領域は棒線(拡大された領
域)によって示され、非コード領域は単線(細線)によ
って示される。フラグメントの単離、標識付けおよび二
次消化に用いる制限エンドヌクレアーゼ切断部位を示し
てある。水平の矢印は配列が決定されたDNAの領域を
示し、制限地図の上のものは非コード鎖配列が決定され
たことを示し、制限地図の下のものは鋳型鎖配列が決定
されたことを示す。
【0029】図3は、gD−1遺伝子のヌクレオチド配
列およびgD−1タンパク質の推定されたアミノ酸配列
を示す。関係のある制限部位が示され、そしてgD−1
のアミノコード末端における番号を付けた垂直の矢印
は、次の組換えプラスミド中のpJS413へのgD−
1アミノコード末端の連結部位を示す:pEH51,p
EH60,pEH62,pEH66,pEH71,pE
H73およびpEH73(これらはgD−1配列の残部
からその天然のTAGまでを含む);およびpEH4−
2,pEH82,pEH3−25およびpEH90−N
系列(これらはCro/gD−1/β−ガラクトシダー
ゼ融合タンパク質をコードする)。gD−1のカルボキ
シコード末端における番号を付けた垂直の矢印は、
(1)次の組換えプラスミド:pEH4−2、pEH8
2、pEH3−25中のpJS413のβ−ガラクトシ
ダーゼ遺伝子(z遺伝子);または(2)プラスミドの
pEH90−N系列中のpHK414のz遺伝子へのg
D−1カルボキシコード末端の連結部位を示す。
【0030】図4(一定の比率で描かれていない)は、
gD−1遺伝子の一部および大腸菌の発現ベクターpJ
S413から誘導された組換えプラスミドpEH25の
構築を示す。組換えプラスミドpEH25は、発現ベク
ターに由来する「リーダー」配列(cro)に連結され
たgD−1コード配列の約87%によってコードされた
HSV−1gD関連タンパク質の生産をもたらす。
【0031】図5は、pEH25中のCro/gD−1
接合部のDNA配列および推定アミノ酸配列を示す。図
6は、HSV感染Hela細胞の溶解液中に存在する競
合抗原を添加することによるpEH25gD産物の免疫
沈降の阻害を示す。図7(一定の比率で描かれていな
い)は、pEH25から誘導されたgD−1発現プラス
ミドpEH4−2の構築を示し、このプラスミドでは、
gD−1コード配列の3’末端の205ヌクレオチド
(69アミノ酸)が欠失されて、大腸菌のβ−ガラクト
シダーゼタンパク質をコードする約3,000ヌクレオ
チドで置換される。この組換えプラスミドは、gD−1
特定タンパク質の各末端に大腸菌関連ポリペプチド(即
ち、Cro及びβ−ガラクトシダーゼ)が融合された
「サンドイッチ」タンパク質(即ち、融合タンパク質)
の生産をもたらす。
【0032】図8(一定の比率で描かれていない)は、
多くのgD−1発現プラスミドpEH50+x(それぞ
れがgD遺伝子のアミノコード末端の可変部分を含む)
を作製する方法を示す。図9(一定の比率で描かれてい
ない)は、β−ガラクトシダーゼに融合されたgD−1
タンパク質がpEH82で形質転換された宿主細胞によ
って発現されるように、pEH4−2中のgD−1遺伝
子のアミノコード末端を再構築する方法を示す。
【0033】図10(一定の比率で描かれていない)
は、pEH3−25とpHK414から誘導されたgD
−1発現プラスミドpEH90−10amの構築を示
す。組換えプラスミドpEH90−10amは、アンバ
ーサプレッサーtRNAを含む大腸菌形質転換体でのβ
−ガラクトシダーゼに融合されたまたは融合されていな
いgD−1の両方の生産を可能とする。
【0034】図11aは、HSV−2ゲノムを表し、ま
たHSV−2のgD遺伝子(以後、gD−2遺伝子と記
す)がある短いユニーク領域(Us)内のBglIIフ
ラグメントの位置を示す。Lフラグメントを規定するB
glII制限部位はBgと示してある。図11bは、p
HV1のBglII Lフラグメント挿入物の制限地図
を示す。関係のある制限エンドヌクレアーゼ認識部位の
みを示す。制限酵素認識部位を次の略号で示す:Bam
HI(Ba);BglII(Bg);ClaI(C);
HindIII(H3);PvuII(Pv);Sal
I(Sa);SacI(Sc);SphI(Sp);お
よびXhoI(Xh)。棒線(拡大された領域)はgD
−2 mRNAコード配列の局在および位置を示す。
【0035】図11cは、pHV2のHSV−2 Xh
oI DNAフラグメント挿入物の制限地図を示す。図
12は、gD−2遺伝子のヌクレオチド配列およびgD
−2タンパク質の推定アミノ酸配列を示す。関係のある
制限部位を示してあり、またgD−2遺伝子のアミノコ
ード末端における番号を付けた垂直の矢印は、組換えプ
ラスミドpHV5(gD−2の全カルボキシコード末端
を含む)およびpHV6中のpJS413へのgD−2
アミノコード末端の連結部位を示す。BamHI部位
は、pHV6中のpHK414のz遺伝子へのgD−2
カルボキシコード末端の連結部位である。
【0036】図13は、gD−1とgD−2の推定アミ
ノ酸配列の比較を示す。アミノ酸残基は一文字表記で表
してある。gD−1およびgD−2において相同なアミ
ノ酸残基は、gD−2配列中のダッシュで示される。g
D−2配列はgD−1配列よりも1アミノ酸残基だけ短
い。gD−2中の「欠失している」アミノ酸には星印
(*)が付けてある。
【0037】図14(一定の比率で描かれていない)
は、gD−2遺伝子の一部およびpJS413から誘導
された組換えプラスミドpHV5の構築を示す。組換え
プラスドpHV5は、発現ベクターに由来する「リーダ
ー」配列(cro)に連結されたgD−2コード配列の
約90%によってコードされたHSV−2gD関連タン
パク質の生産をもたらす。
【0038】図15は、pHV5から誘導されたgD−
2発現プラスミドpHV6の構築を示し、このプラスミ
ドでは、gD−2コード配列の3’末端の259ヌクレ
オチド(86アミノ酸)が欠失されて、大腸菌のβ−ガ
ラクトシダーゼタンパク質をコードする発現プラスミド
pHK414由来の約3,000追加ヌクレオチドで置
換される。この組換えプラスミドpHV6は、gD−2
特定タンパク質の各末端に大腸菌関連ポリペプチド(即
ち、Croおよびβ−ガラクトシダーゼ)が融合された
「サンドイッチ]タンパク質(即ち、融合タンパク質)
の生産をもたらす。
【0039】5.発明の説明 本発明は、組換えDNA技術を使用して、ワクチン製剤
において免疫原として用いることのできるHSVタンパ
ク質に関連したポリペプチドを生産することに関する。
より詳細には、gD関連タンパク質の生産を記述する。
HSV−1gDに対する多価抗血清はHSV−1とHS
V−2の両方を中和する能力を有するので、純粋なgD
タンパク質またはその抗原的に重要な部分は、HSV−
1およびHSV−2の両方の一次感染からレシピエント
を効率よく防御しうるサブユニットワクチンにおいて使
用できるかもしれない。
【0040】ここに記載したごとく構築された組換えプ
ラスミドは、宿主細胞内での分解に抵抗して安定なgD
関連ポリペプチドであるタンパク質の宿主細胞生産をも
たらす。こうしたプラスミドはgDの免疫学的抗原決定
基を含むgD関連タンパク質または融合タンパク質を大
量に生産することを可能にする。しかしながら、ここに
記述したDNA組成物はgD関連タンパク質の生産に限
定されず、HSVタンパク質に関連するポリペプチドの
生産に用いることができる。多種の免疫原およびワクチ
ン製剤を製造できることが容易に理解されよう。
【0041】本発明の方法は、説明の目的で次の階段に
分けることができる。即ち、(1)HSV糖タンパク質
遺伝子または遺伝子フラグメントの同定および単離、
(2)単細胞生物の形質転換に用いる組換えDNA分子
を作製するための、クローニング発現ベクターへの当該
遺伝子または遺伝子フラグメントの挿入、(3)当該遺
伝子を複製して発現することができる形質転換単細胞生
物の同定および増殖、(4)当該遺伝子産物の同定およ
び精製、そして(5)中和抗体の生産を引き出すその能
力を評価することによる遺伝子産物の免疫能の測定。明
確にする目的で、全方法をgD遺伝子に関して論じる。
しかしながら、同じ技術を同様に使用して、HSV糖タ
ンパク質に関連するポリペプチドを同様に生産すること
ができる。
【0042】5.1.HSV糖タンパク質遺伝子の同定
および単離 HSV糖タンパク質(gD)は、HSVタイプ1または
タイプ2の株から得ることができる。gD遺伝子(また
はその部分)の単離は、まず、HSVのDNAを単離す
ること、HSVのDNAフラグメントを作製すること、
そして糖タンパク質遺伝子配列を含むフラグメントを同
定することを含む。同定の前に、HSVDNAフラグメ
ントを、通常、クローニングベクターに連結し、そのベ
クターを宿主細胞の形質転換に用いる。これにより多重
コピー数のHSV DNAフラグメントの生成が可能と
なり、分析および同定の操作に十分な供給が可能とな
る。
【0043】HSVのDNAは、(1)ウイルスに感染
した真核生物細胞から精製されたウイルスよりDNAを
直接単離することによって、あるいは(2)gD遺伝子
を含むウイルスゲノムの一部を含むバクテリオファージ
またはプラスミドから、得ることができる。HSVのD
NAフラグメントを作るためには、当該DNAを特定の
位置で制限酵素により切断するか、マンガンの存在下で
DNアーゼを用いてDNAを断片化するか、またはDN
Aを例えば音波処理によって物理的に破砕する。その
後、線状DNAフラグメントは、アガロースまたはポリ
アクリルアミドゲル電気泳動、カラムクロマトグラフィ
ーを含むがこれらに限らない標準的技術によって、大き
さにより分離することができる。
【0044】任意の制限酵素または制限酵素の組合せを
用いて、gD配列を含むHSV DNAフラグメントを
作製することができるが、ただし、当該酵素はgD遺伝
子産物の免疫能を破壊しないものである。例えば、タン
パク質の抗原部位は約7〜14のアミノ酸から成り得
る。従って、gDの大きさのタンパク質は多くの異なる
抗原部位をもつことができ、重複配列、2次構造、そし
てアセチル化、グリコシル化、リン酸化などのプロセシ
ング過程を考慮すると、おそらく数千の抗原部位がある
と思われる。従って、多くの部分gD遺伝子配列が抗原
部位をコードできよう。その結果、多数の制限酵素の組
合せを用いてDNAフラグメントを作製することがで
き、当該DNAフラグメントは、適切なベクター中に挿
入されると、異なる抗原決定基を有するgD特異的アミ
ノ酸配列を単細胞生物において産生させることができよ
う。
【0045】HSV DNAフラグメントを含むこれら
の組換えDNA分子による宿主細胞の形質転換は多コピ
ー数のウイルスDNAの生成を可能にし、その後、ウイ
ルスDNAはgD遺伝子配列を含むフラグメントを同定
するために分析され得る。クローニングベクターへのH
SV DNA制限フラグメントの挿入は、クローニング
ベクターが相補的な接着末端を有する場合に、容易に達
成される。しかし、HSV DNAの断片化に用いた相
補的制限部位がクローニングベクター中に存在しないと
きは、HSV DNAまたはクローニングベクターの両
末端を修飾することができる。このような修飾には、一
本鎖のDNA末端を消化して平滑末端とすること、また
は平滑末端連結が可能なように一本鎖末端を修復するこ
とが含まれる。また、DNA末端にヌクレオチド配列
(リンカー)を連結することによって所望の末端を作る
こともでき、連結されるリンカーは制限酵素認識配列を
コードする化学的に合成された特定のオリゴヌクレオチ
ドを含み得る。他の方法に従って、開裂されたベクター
とHSV DNAフラグメントをホモポリマーテイリン
グによって修飾してもよい(Morrow,1979,
Methods inEnzymology 68:3
を参照のこと)。
【0046】gD遺伝子を含む特定DNAフラグメント
の同定は多くの方法によってなされ得る。第一に、ウイ
ルスDNAフラグメントの配列を決定し(Maxam
&Gilbert,1980,Methods in
Enzymology 65:499)、次に推定され
たアミノ酸配列をgDタンパク質のアミノ酸配列と比較
することによりgD遺伝子配列を含むフラグメントを同
定することが可能である。第二に、gD遺伝子を含むフ
ラグメントをmRNA選択によって同定し得る。HSV
DNAフラグメントはハイブリダイゼーションにより
相補的mRNAを単離するために用いられる。単離され
たmRNAのin vitro翻訳産物の免疫沈降分析
によりmRNAを同定し、それゆえ、gD遺伝子配列を
含む相補的HSV DNAフラグメントを同定する。最
後に、gD特異的mRNAは、HSV感染細胞から単離
されたポリソームを、gDに対する固定化モノクローナ
ル抗体に吸着せしめることによって選択できる。放射性
標識されたgDmRNAまたはcDNAは、(吸着され
たポリソームから)選択されたmRNAを鋳型として用
いて合成することができる。その後、放射性標識された
mRNAまたはcDNAをプローブとして用いて、gD
配列を含むHSV DNAフラグメントを同定すること
ができる(Southern,1975,j.Mol.
Biol.98:503;Alwineら,1979,
Methods in Enzymology68:2
20)。
【0047】gD遺伝子の別の単離法には、限定するも
のではないが、遺伝子配列そのものを化学的に合成する
こと(ただし、当該配列が知られているという条件
で)、またはgD遺伝子をコードするmRNAに対する
cDNA(相補DNA)を作製することが含まれる。こ
れを達成するためには、gDに特異的なmRNAをウイ
ルス感染細胞から単離する。次に、標準的技術によって
単離されたmRNAをcDNAコピーに変換し、そして
クローニングベクターに直接挿入する。
【0048】単離した遺伝子、cDNAまたは合成DN
A配列を含む組換えDNA分子により宿主細胞を形質転
換することは、多コピー数の遺伝子の生成を可能にす
る。従って、形質転換体を増殖させ、組換えDNA分子
をその形質転換体から単離し、単離された組換えDNA
から挿入遺伝子を回収することによって当該遺伝子をマ
イクログラムの量で得ることができる。また、マイクロ
グラム量のgD遺伝子は、gD遺伝子供給源から、例え
ば、感染動物細胞中の単純ヘルペスウイルス、または組
換えプラスミド中にウイルス遺伝子を含むバクテリアも
しくはファージから得ることもできる。ウイルスあるい
はプラスミドDNAは当該遺伝子の位置確認に用いられ
る方法と同じ方法で単離され、断片化され、そして大き
さにより分画化される。
【0049】5.2.HSV糖タンパク質遺伝子のクロ
ーニング発現ベクターへの挿入 いったん単離されたら、gD遺伝子または遺伝子フラグ
メントを適切な発現ベクター中へ、即ち、挿入された遺
伝子の転写および翻訳に必要な要素を含むベクター中へ
挿入する(Roberts & Lauer,197
9,Methods in Enzymology,6
8:473)。gD遺伝子(または当該遺伝子の一部)
を効率よく発現させるためには、プロモーターが発現ベ
クター中に存在しなければならない。RNAポリメラー
ゼは普通はプロモーターに結合して、遺伝子または連結
された遺伝子と調節要素の一群(オペロンと言う)の転
写を開始する。プロモーターはその「強度」、即ち、転
写を促進する能力がさまざまである。分子クローニング
のためには、高レベルの転写、ひいては、高レベルの遺
伝子発現を得るように強力なプロモーターを用いること
が望ましい。使用した宿主細胞系に応じて、多くの適当
なプロモーターのうちの一つを用いることができる。例
えば、大腸菌宿主細胞系にクローニングする場合は、大
陽菌、そのバクテリオファージまたはプラスミドから単
離されたプロモーターを用いることができる(例:la
cプロモーター)。更に、組換えDNAまたは他の合成
DNA技術によって作られた大腸菌プロモーターを用い
て、挿入された遺伝子の転写を促進させてもよい。より
詳細には、コリファージラムダのPおよびPプロモ
ーターは隣接DNAセグメントの高レベル転写を支配す
る。更に、大腸菌由来のrecAプロモーターは隣接フ
ラグメントの高レベルの遺伝子転写をもたらす。
【0050】原核細胞および真核細胞内での効率的な遺
伝子転写および翻訳には、特定の開始シグナルも必要と
なる。これらの転写および翻訳開始シグナルは、遺伝子
特異的メッセンジャーRNAおよび合成されたタンパク
質の量で測定したところ、「強度」がさまざまである。
プロモーターを含むDNA発現ベクターは、さらに、種
々の「強力」な転写および/または翻訳開始シグナルの
任意の組合せを含んでいてもよい。こうして、宿主細胞
リボソームにより利用され得るSD−ATGの組合せが
用いられる。このような組合せには、コリファージラム
ダのcro遺伝子またはN遺伝子由来の、または大腸菌
トリプトファンE、D、C、BまたはA遺伝子由来のS
D−ATGの組合せがあるが、これらに限らない。更
に、組換えDNAまたは他の合成技術によって作られた
SD−ATGの組合せも用いることができる。
【0051】プロモーターと他の調節要素をベクター内
の特定の部位に連結させるには、DNAフラグメントを
ベクターに挿入するために上述した方法を用いることが
できる。かくして、gD遺伝子(またはその一部)は、
発現ベクターのプロモーターおよび調節要素に対して特
定の位置で連結され、それによりgD遺伝子配列はベク
ターATG配列に関して正しい翻訳リーディングフレー
ム(即ち、in phase)で存在するようになる。
これとは別に、gDのATGや合成ATGを用いてもよ
い。得られた組換えDNA分子は、その後、(ベクター
/宿主細胞系に応じて)形質転換、形質導入またはトラ
ンスフェクションにより適切な宿主細胞内に導入され
る。形質転換体はベクター中に通常存在する適当な遺伝
子マーカーの発現に基づいて選択され、例えばpBR3
22中のアンピシリン耐性またはテトラサイクリン耐
性、あるいは真核生物宿主系におけるチミジンキナーゼ
活性などがある。このようなマーカータンパク質の発現
は、組換えDNA分子が無傷で、複製していることの指
標となる。発現ベクター(通常マーカー機能を含むも
の)としては次のベクターまたはその誘導体が挙げられ
る:SV40およびアデノウイルスベクター、酵母ベク
ター、バクテリオファージベクター(例えば、ラムダg
t−WES−ラムダB、Charon 28、Char
on 4A、ラムダgt−1−ラムダBc、ラムダgt
−1−ラムダB、M13mp7、M13mp8、M13
mp9)またはプラスミドDNAベクター(例えば、p
BR322、pAC105、pVA51、pACY17
7、pKH47、pACYC184、pUB110、p
MB9、pBR325、ColE1、pSC101、p
BR313、pML21、RSF2124、pCR1ま
たはRP4)。本発明の実施例に用いた発現ベクターは
米国特許出願第449,187号(1982年12月1
3日出願)に詳述されており、その教示内容を参考とし
てここに組み入れる。
【0052】更に、宿主細胞株は、特に誘導するとき以
外は、プロモーターの作用を抑制するものが選択され
る。この方法において、95%以上のベクタープロモー
ターの有効性が非誘導細胞において抑制され得る。ある
オペロンでは、挿入DNAの効率的な転写および翻訳の
ために、特定の誘導物質を添加することが必要であり、
例えば、lacオペロンはラクトースまたはIPTG
(即ち、イソプロピルチオ−β−D−ガラクトシド)の
添加によって誘導される。種々の他のオペロン、例えば
trp、proなどは異なる制御下にある。trpオペ
ロンはトリプトファンが増殖培地中に存在しない場合に
誘導され、そしてラムダのPプロモーターは、温度感
受性のラムダリプレッサータンパク質(例:CI85
7)を含む宿主細胞における温度の上昇により誘導され
る。こうして、遺伝子工学的に操作されたgDタンパク
質の発現が制御され得る。このことは、クローン化され
た遺伝子のタンパク質産物が宿主細胞に致死的である場
合に重要となる。このような場合には、外来遺伝子が複
製されるものの、形質転換体の増殖中には発現されな
い。細胞が増殖培地中で適当な密度に達した後に、プロ
モーターはタンパク質の生産のために誘導され得る。
【0053】上記のように構築されたプラスミド(即
ち、天然gD翻訳終止シグナルで終止し、そしてベクタ
ー、gD遺伝子または合成配列によって提供されるAT
Gで開始する、gD−関連タンパク質の発現を誘導する
プラスミド)で形質転換された細胞により産生されるg
D−関連タンパク質は、以後、非融合gDタンパク質ま
たは非融合gD−関連タンパク質と称する。
【0054】5.3.融合タンパク質の生産 特定の形質転換体による遺伝子発現のレベルを最大にす
るために、目的の遺伝子を、宿主細胞タンパク質の如き
他のタンパク質をコードする遺伝子に連結することが望
ましい。宿主細胞タンパク質がもともと検出可能な機能
を含む場合には、更なる利点が得られる。連結された遺
伝子の発現により、融合タンパク質産物(以後、gD融
合タンパク質という)が得られ、これはその大きな分子
量および検出可能な機能に基づいて同定できる。例え
ば、gD/β−ガラクトシダーゼ融合タンパク質の生産
は、大腸菌宿主内でのgDのクローニングおよび発現に
対しいくつかの利点を提供する。第一に、Miller
の方法(Experiments in Molecu
lar Genetics,Cold SpringH
arbor Press,New York,N.Y.
1972,pp.47−55および352−355)に
従ってβ−ガラクトシダーゼ活性に特異的な比色定量ア
ッセイを用いて、ベクターによって誘導されたタンパク
質生産(それゆえ、発現)のレベルを概算することが可
能となる。第二に、融合タンパク質の生産が該タンパク
質産物の同定および単離を単純化する。大腸菌形質転換
体により産生された非融合gDタンパク質はgD/β−
ガラクトシダーゼ融合タンパク質よりも小さく、このた
めSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析
されたいくつかの他の宿主タンパク質と共泳動する。し
かしながら、産生された融合タンパク質は、その独特な
大きな分子量のために、SDS−ポリアクリルアミド電
気泳動(SDS PAGE)によって容易に検出および
同定できる。
【0055】本発明は、β−ガラクトシダーゼ融合タン
パク質の生産に限るものではない。真核生物または原核
生物由来の任意の遺伝子をgD遺伝子(またはHSVタ
ンパク質遺伝子)と同一のリーディングフレーム(in
Phase)で連結させて、β−ガラクトシダーゼ融
合タンパク質産物と同様の利点を得ることができる。そ
の例として、ガラクトキナーゼ;trpD、Eまたはリ
ーダー;ピリ(線毛)遺伝子;それに真核生物の遺伝
子、例えば、チミジンキナーゼ、β−グロビン、SV−
40T−抗原あるいはラウス肉腫ウイルス形質転換遺伝
子を挙げることができるが、これらに限らない。
【0056】融合タンパク質をコードする遺伝子を構築
するためには、2つの遺伝子を、翻訳リーディングフレ
ームが維持されかつ終止シグナルによって妨害されない
ように、それらのコード配列内で接合する必要がある。
また、先に説明したように、宿主細胞がプロモーターの
作用を抑制する株である場合には、融合タンパク質は誘
導に応答したときのみ生産される。
【0057】5.4.遺伝子産物の同定 ひとたび正しいDNA構築物を含む形質転換体が同定さ
れると、組換えDNAgD遺伝子産物の免疫反応性およ
び抗原性の分析が必要となる。宿主細胞が天然に存在す
るHSV−gDと同じパターンでgD遺伝子産物をグリ
コシル化する能力がない場合は、gD遺伝子産物は天然
のgD糖タンパク質と異なるだろう。それゆえ、免疫学
的分析がgD遺伝子産物にとって特に重要となる。なん
となれば、最終目標がこのように生産されたgD関連タ
ンパク質をワクチン製剤中で用いることにあるからであ
る。免疫反応性の分析は、HSV感染細胞のgD糖タン
パク質に対する抗血清を用いて行うのが最も簡単である
が、抗原性はgD遺伝子産物による免疫感作に応答して
生じる試験動物の抗血清力価およびHSV感染を中和す
る該抗血清の能力を測定することにより評価することが
できる。
【0058】免疫反応性を分析するにあたっては、全ウ
イルスまたは特にgDに対して誘導された多価抗体調製
物を含め、さまざまな抗血清を利用することができる。
gDタンパク質分子上のたった1つの抗原部位を認識す
るモノクローナル抗体を用いることにより、より高い特
異性が得られる。gDに対するモノクローナル抗体は多
々存在し、その一部はHSV−1およびHSV−2のg
D遺伝子産物を特異的に免疫沈降させるばかりか、どち
らのウイルスの感染性も中和するものである。
【0059】したがって、本発明で述べたタンパク質の
同定は2つの要件に基づく。第一に、gD−関連タンパ
ク質はプロモーターの誘導に応答してのみ産生されるべ
きである。第二に、gD−関連タンパク質は、HSVに
対する種々のポリクローナル抗体あるいはgDに対する
モノクローナル抗体と免疫反応性であるべきであり、該
タンパク質が全遺伝子配列から、遺伝子配列の一部か
ら、または融合タンパク質の生産をもたらすように連結
された2以上の遺伝子配列から生じたものであろうと、
免疫反応性であるべきである。この反応性は、標準的な
免疫学的技術により、例えば免疫沈降、免疫拡散、放射
性免疫競合、免疫電気泳動、またはポリアクリルアミド
ゲル電気泳動により分離され、次にニトロセルロース上
に移行されたタンパク質の免疫学的検出により検出され
得る。
【0060】5.5.遺伝子産物の精製 gD遺伝子(または任意のHSV糖タンパク質遺伝子)
を含む細胞は大容量で増殖させ、そしてプロモーターの
誘導後に産生されたタンパク質はかかる細胞から、ま
た、タンパク質が分泌されるのであれば、その培養培地
から単離される。タンパク質は、イオン交換、アフィニ
ティーまたはサイジング樹脂を含む標準的クロマトグラ
フィーにより、遠心分離により、あるいはタンパク質精
製のための他の任意の標準的技術によって単離・精製す
ることができる。
【0061】ある種の融合タンパク質は、細胞で過剰に
生産されるときや溶液中で生産されるとき、凝集物を形
成するので、凝集物形成タンパク質の単離方法が本発明
で生産された融合タンパク質の単離に特に有用である。
これらの融合タンパク質は次にワクチン製剤において用
いることができる。融合タンパク質の精製(以後、凝集
物の精製と称する)は、細胞の破砕による細胞培養物の
溶解産物のようなタンパク質混合物からの凝集物形成タ
ンパク質の抽出、分離および/または精製を含むもので
ある。更に、凝集物は、強い水素受容体と強い水素供与
体の両方である溶媒(または各溶媒がこれらの性質の一
方を有する混合溶媒)を添加することによって可溶化
し、その後凝集物形成タンパク質を適切なバッファーで
希釈して沈降させることができる。適当なタンパク質溶
媒には、尿素(約4〜8M)、ホルムアミド(少なくと
も約80%、容量/容量基準)およびグアニジン塩酸
(約4〜8M)があるが、これらに限らない。凝集物形
成タンパク質を可溶化しうる溶媒、例えば、SDS(ド
デシル硫酸ナトリウム)、70%蟻酸はこの手順におい
て用いるには不適切である。なぜならば、可溶化された
凝集物形成タンパク質のその後の沈降が不十分であると
分かったからである。グアニジン塩酸および他の同様な
試薬は変性剤であるが、実験によると、この変性は不可
逆的ではなく、変性剤の除去(例えば、透析による)ま
たは希釈の際に復元再生が起こって、免疫学的および/
または生物学的に活性なタンパク質の再形成を可能にす
ることが判明した。
【0062】融合タンパク質単離技術の1つの実施態様
は次の如く概略される(以後、非変性凝集物精製法とい
う)。細胞ペレットを、ドライアイス/メタノールを用
いてすばやく凍結し、計量し、そして3〜4gの細胞を
少なくとも25mlのバッファー溶液〔例えば、50m
Mトリス−HCl(トリスヒドロキシメチルアミノメタ
ン塩酸塩)、pH8.0、2mM EDTA(エチレン
ジアミン四酢酸)および200mM NaCl〕中に再
懸濁する。即ち、細胞はバッファー溶液中に約100〜
200g細胞/Lの概算濃度で懸濁される。約160g
/L以下の濃度が好適である。この懸濁体に、リゾチー
ムを約130μg/mlの最終濃度で添加し、得られた
混合物を4℃で20分間、時々振とうしながら、静置す
る。膜を可溶化するために用いる非イオン性界面活性剤
である、Nonidet P40(NP−40、She
llの登録商標、ポリオキシエチレン(9)p−ter
t−オクチルフェノール)を約0.1%の最終濃度で添
加し、その後溶液を混合する。次に、懸濁体をPoly
tron粉砕機(Brinkman Instrume
nts,Westbury,N.Y.)または同等の装
置を用いて約1分間粉砕する。
【0063】懸濁体を8,000×gで30分間遠心分
離し、そしてペレットを洗浄バッファー〔例えば、2m
Mトリス−HCl(pH7.2)、1mM EDTA、
150mM NaClおよび2%トリトン−X100
(ポリオキシエチレン(9−10)p−tert−オク
チルフェノール、非イオン性界面活性剤)〕中に再懸濁
し、そして、Polytron粉砕機によって粉砕す
る。遠心分離、洗浄および粉砕の工程は、ペレットをさ
らに洗浄して、出来るだけ多くの細胞破片を除くために
繰り返すことができる。
【0064】また、凝集物ペレットは変性剤の添加によ
って以下の如くさらに処理することができる(以後、変
性凝集物精製法という)。懸濁物を遠心分離し、上澄み
を完全に除き、そしてペレットを約1/5容量の6Mグ
アニジン塩酸(蒸留水中)に再懸濁する。例えば、25
mlのバッファーで洗浄した3gの細胞を、この段階で
5mlの6Mグアニジン塩酸溶液中に再懸濁すべきであ
る。この段階でペレットを再懸濁することは困難であ
り、音波処理あるいはホモジナイゼーションが均質な溶
液を得るために必要であろう。溶液を22℃で20分間
放置し、次に8000×gで30分間遠心分離して破片
を除き、この時点で融合タンパク質凝集物を含む上澄み
を得る。
【0065】融合タンパク質は、約4倍容量の水性バッ
ファーの添加によってグアニジン塩酸上澄みから沈殿せ
しめる。ほぼあらゆる水性バッファーをこの段階で使う
ことができるが、少量の非イオン性界面活性剤〔例:
0.5% NP−40またはトリトンX−100〕を添
加することが役立つだろう。この懸濁体を4℃で30分
間放置し、次に8,000×gで10分間遠心分離す
る。上澄みを捨て、ペレット(融合タンパク質沈殿物を
含む)を適当な容量の適切なバッファー、例えばリン酸
緩衝溶液(PBS)中に再懸濁する。短期間の音波処理
またはホモジナイゼーションが均質な懸濁体もしくはス
ラリーを得るのに役立つだろう(なんとなれば、凝集物
形成タンパク質は水に不溶性であるからである)。
【0066】5.6.非融合gDタンパク質の生産 ワクチン製剤では融合タンパク質を用いることが望まし
いだろう。しかしながら、前に説明したように、非融合
gDタンパク質を産生する形質転換体は、gD融合タン
パク質を産生する形質転換体よりも少ない量で該タンパ
ク質を産生し、このことは、非融合タンパク質の遺伝子
配列が誘導性のプロモーターの制御下にあるときでさえ
もそうである。更に、バクテリア形質転換体によって作
られた非融合gDタンパク質はgD融合タンパク質と比
べて安定性の面で劣るかもしれない。
【0067】本発明の別の実施態様において、宿主細胞
形質転換体は、共凝集して容易に精製しうる融合および
非融合の両方のgD関連タンパク質を大量に産生するよ
うに操作することができる。この実施態様によると、g
D融合タンパク質をコードする組換えプラスミドは、g
D遺伝子配列と宿主細胞タンパク質遺伝子配列(例え
ば、β−ガラクトシダーゼz遺伝子配列)との接合点
で、ナンセンスコドン配列、即ちアンバー(ambe
r)(TAG)、オーカー(ochre)(TAA)ま
たはオパール(opal)(TGA)のごときチェーン
ターミネーターが2つの遺伝子配列の間に位置するよう
に変更される。このチェーンターミネーターはgD配列
と宿主細胞遺伝子配列の両方の翻訳リーディングフレー
ムとin phaseで配置されねばならない。このよ
うな変更は、2つの遺伝子配列の間に位置する制限部位
においてプラスミドを開裂し、次に、アンバー、オーカ
ーまたはオパールのごときチェーンターミネーターをコ
ードするDNAリンカー配列をプラスミドの開裂部位に
連結して、チェーンターミネーターが両方の遺伝子配列
の翻訳リーディングフレームとin phaseで配置
されるようにすることによって達成される。
【0068】これらのアンバー、オーカーまたはオパー
ル修飾プラスミドを、適切なtRNAサプレッサーを含
む宿主細胞中に導入すると、非融合gD関連タンパク質
並びにgD融合タンパク質の両方の合成が得られる。ア
ンバー、オーカーまたはオパール修飾プラスミドが非サ
プレッサー細胞系の形質転換に用いられる場合は、主と
して非融合gD−関連タンパク質が産生されるだろう。
【0069】アンバー、オーカーまたはオパール修飾プ
ラスミドをサプレッサー細胞のバックグラウンドに導入
するために少なくとも2つの方法がある。つまり、
(1)形質転換体(即ち、アンバー、オーカーまたはオ
パール修飾プラスミドにより形質転換された宿主細胞)
に、適切なサプレッサーtRNA遺伝子をもつ溶原性形
質導入ファージ(例えば、φ80pSU3はアンバー変
異のsupFサプレッサーを保有する)を感染させるこ
とができる。または、(2)アンバー、オーカーまたは
オパール修飾プラスミドを用いて、それぞれアンバー、
オーカーまたはオパールのサプレッサーtRNAを含む
細胞系を形質転換することができる。このような菌株の
例には、LE392(アンバー変異のsupEおよびs
upFサプレッサーを含む)、YMC(supFを含
む)およびC600(supE)があるが、これらに限
らない。大腸菌中の種々のアンバーサプレッサーtRN
A遺伝子としては、supB、supC、supD、s
upE、supF、supG、supL、supM、s
upN、supO、supP、supU、supVがあ
るが、これらに限らない。大腸菌中の種々のオーカーサ
プレッサーtRNA遺伝子には、supB、supC、
supG、supL、supM、supN、supO、
supVがあるが、これらに限らない。大腸菌中の種々
のオパールサプレッサーtRNA遺伝子にはsupKが
あるが、これに限らない(BackmannおよびLo
w,1980,Microbiological Re
views44(1):1−56)。
【0070】アンバー、オーカーまたはオパール修飾プ
ラスミドによって形質転換された、適切なサプレッサー
tRNA遺伝子を含む宿主細胞は、融合タンパク質と非
融合タンパク質の両方としてgD関連タンパク質を産生
することができる(産生された融合gDと非融合gDタ
ンパク質の比率は宿主細胞中の抑制の程度に依存す
る)。両タンパク質はHSVに対する抗血清と免疫反応
する。第5.5節で述べた非変性凝集物精製法(この場
合の方法は非変性凝集物精製法である)を用いると
き、非融合gDとgD融合タンパク質の両方が共精製さ
れる。可溶化後、非融合gDは、大きさまたは電荷に基
づいて、gD融合タンパク質から分離できる。結果的
に、宿主細胞形質転換体により産生された、大量の非融
合gD−関連タンパク質が容易に精製でき、ワクチンと
して使用するために製剤化される。
【0071】5.7.ワクチンの製造 本発明の目的は、組換えDNA技術によって、HSV−
1および/またはHSV−2感染を防御するためのワク
チンの免疫原として使用しうる、gD−関連タンパク質
のようなHSV糖タンパク質−関連ポリペプチドを生産
することである。生産されたgD−関連タンパク質が特
異的なHSV−1および/またはHSV−2中和抗体と
免疫反応するのであれば、そのgD−関連タンパク質は
生体内の関連ウイルスを中和し得る免疫応答を引き出す
ことが期待されるだろう。遺伝子工学的に操作された免
疫原から作られたワクチンは、弱毒化ウイルスから作ら
れた通常のワクチンよりも安全なはずである。なぜなら
ば、レシピエントの感染の危険が全くなくなるからであ
る。また、遺伝子工学的に操作されたgD産物は受身免
疫治療に有用な抗体を作るのに用いることができる。
【0072】gD/β−ガラクトシダーゼ融合タンパク
質産物自体はワクチン製剤において有用でありうるが、
最初にβ−ガラクトシダーゼ部分を除く必要があろう。
また、gD遺伝子のアミノコード末端の再構成が該タン
パク質の免疫原性にとって重要であるかもしれない。と
いうのは、アミノ末端が更なる重要な抗原部位を含みう
るためである。gD遺伝子のアミノコード末端は、gD
のアミノ末端をコードするDNA配列を、組換えDNA
分子のgDコード領域内の適当な部位に連結することに
よって再構成することができる。組換えDNA分子は全
ての必要な発現制御要素を保持するので、全長の(また
はほぼ全長の)gD−関連タンパク質は、再構成された
遺伝子を含むDNA分子で形質転換された細胞によって
産生される。
【0073】最後に、遺伝子工学的に操作されたgD−
関連タンパク質は、標準的なタンパク質単離技術を用い
て、または、ここに述べた凝集物精製法によって宿主細
胞から単離・精製され得る。その後、最終精製産物は適
当な濃度に希釈され、適当なワクチンアジュバントを用
いて製剤化され、そして使用に供するために包装され
る。適当なアジュバントとして、表面活性物質、例え
ば、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、リゾレ
シチン、臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、
N,N−ジオクタデシル−N’−N−ビス(2−ヒドロ
キシエチル−プロパンジアミン)、メトキシヘキサデシ
ルグリセロールおよびプルロニックポリオール類;ポリ
アニオン類、例えば、ピラン、硫酸デキストラン、ポリ
IC、ポリアクリル酸、カルボポール;ペプチド類、例
えば、ムラミルジペプチド、ジメチルグリシン、タフト
シン;オイルエマルジョン;およびミョウバンが挙げら
れるが、これらに限らない。最後に、タンパク質産物は
ワクチン製剤用のリポソーム中に保持させても、また、
多糖類や他のポリマーとの複合体を形成させてもよい。
【0074】ここに述べた遺伝子工学的に操作されたD
NA分子は、ワクチン製造に大きな融通性を提供する。
例えば、gD遺伝子配列の任意の部分またはgD遺伝子
(またはその一部)の多重コピーをタンデムで含む組換
えDNA分子を含む形質転換体により産生されたgD−
関連タンパク質を用いてワクチンを製剤化することがで
きる。gD遺伝子配列(またはその一部)を、他の免疫
原をコードする遺伝子に連結させて、その融合タンパク
質産物を多価ワクチンの製造に使用してもよい。更に、
gD遺伝子配列(またはその一部)を、任意の組合せ
で、他のHSV糖タンパク質配列(またはその一部)に
連結させることもできよう。最後に、ワクチンの免疫原
性を増強するために、gD配列を再構成してもよい。例
えば、タンパク質産物が免疫系に特定のエピトープを提
示する(例えば、通常、露出されないgDの抗原部位が
免疫系に提示される)ように遺伝子配列を変更する。あ
るいは、タンパク質の免疫抑制部分をコードするgD遺
伝子配列の領域を欠失することができる。
【0075】
【発明の実施の形態】
6.実施例:HSV−1gD 本発明の方法によれば、HSV−1ゲノムのUs部分の
DNAフラグメント(図1a参照)をベクターpBR3
22中に挿入して、それぞれHSV−1ゲノムの異なる
フラグメントを含む組換えプラスミドを作製することに
よって、gD−1遺伝子を局在化し、同定した。gD−
1遺伝子を含むプラスミドは次の3つの技術(必ずしも
示した順序どおりではない)によって同定した。すなわ
ち、(1)DNA配列決定、(2)gD−1特異的mR
NAハイブリダイゼーション実験、および(3)組換え
プラスミドにハイブリダイズするmRNAのin vi
tro翻訳。
【0076】ひとたびgD−1遺伝子を含むプラスミド
が同定されたら、DNA配列決定により、また、組換え
プラスミド内のgD−1遺伝子末端の位置確認を行うこ
とにより、該遺伝子の特性付けを行った。コード配列の
最初の156個のヌクレオチドを欠くgD−1遺伝子を
含むDNAフラグメントを、同定されたプラスミドから
単離した。このDNAフラグメントを、DNAベクター
pJS413に連結して、大腸菌での該遺伝子のクロー
ニングおよび発現のために用いられたpEH25を作製
した。誘導された形質転換体から単離された遺伝子産物
は、gD−1に対するモノクローナル抗体およびHSV
−1に対する多価抗体による免疫沈降によって、gD−
1に特有のタンパク質として同定された。
【0077】最後に、gD−1遺伝子フラグメントを、
特定部位で制限エンドヌクレアーゼ切断によりpEH2
5から単離し、それによりgD−1コード配列の終止配
列(TAG)を欠失させた。gD−1遺伝子の一部およ
びプラスミドプロモーターおよび制御要素(例えば、S
D−ATG)を含むこのDNAフラグメントを、β−ガ
ラクトシダーゼコード配列を含むベクターに連結させ
た。得られたプラスミドpEH4−2は、croSD−
ATGをもつプラスミドのlacプロモーターとβ−ガ
ラクトシダーゼ遺伝子との間に挟まれたgD−1コード
配列を含んでおり、誘導された大腸菌形質転換体におい
て融合タンパク質を発現させた。次に、この融合タンパ
ク質を宿主細胞溶解産物から単離し、そして免疫原とし
て用いるために製剤化した。また、gD−1遺伝子のア
ミノコード末端を再構成し、得られたgD−1タンパク
質を、動物への注入および予備臨床試験のために製剤化
した。構築の各工程の詳細については以下の分節で述べ
る。
【0078】ここで生産されたgD−1関連タンパク質
および融合タンパク質はグリコシル化されておず、従っ
て天然にあるHSV−1gD糖タンパク質とは異なるも
のである。しかしながら、gD−1関連タンパク質はH
SV−1およびHSV−2のgDに対する抗体との免疫
反応性を有する。 6.1.プラスミド作製に用いられる一般的手順 次の分節は、DNA単離、酵素反応および連結反応に用
いる一般的手順および材料を記述するものである。
【0079】6.1.1.プラスミドDNA単離 宿主細胞バクテリア大腸菌(Escherichia
coli)を形質転換し(Gautier & Bon
ewald,1980,Molec.Gen.Gene
t.178:375)、そしてM−9ブロス中で増殖さ
せた大腸菌形質転換体の培養物から大量(マイクログラ
ム)のプラスミドDNAを単離した(Miller,E
xperiments in Molecular G
enetics,Cold Spring Harbo
r Press,New York,N.Y.,197
2,p.431)。プラスミドは、Guerryらの方
法(1973,J.Bacteriol.116:10
63)の変法を用いて、後期対数増殖期の細胞から単離
した。
【0080】6.1.2.制限酵素消化のための条件 本発明で用いた制限酵素は、特に他に表示しない限り、
マサチューセッツ州ベバリーのNew England
Biolads,Inc.から得られたものである。
酵素単位は、50μlの全反応混合物中で1.0μgの
ラムダDNAを15分間に37℃で消化するのに要する
量として定義される。
【0081】全ての制限酵素による完全消化は次のよう
な条件下で行った。各1μgのDNAを酵素0.5単位
と共に37℃で60分間、20μlのバッファー中でイ
ンキュベートした。部分消化は完全消化に用いた条件を
次のように変更することによって行った。各1μgのD
NAを0.1単位の酵素と共に37℃で15分間インキ
ュベートした。0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SD
S)の添加によって反応を停止させた。こうして、DN
A1分子あたり平均1回の切断が起こるように反応条件
を調整した。
【0082】6.1.3.制限酵素バッファー SacI、SacIIまたはSmaI消化に用いたバッ
ファーは6.6mMトリス−HCl(pH7.4)、
6.6mM MgClおよび6.6mM β−ME
(β−メルカプトエタノール)より成るものであった。
BglII、BstEII、EcoRI、HindII
I、NruI、PstIまたはPvuII消化に用いた
バッファーは60mM NaCl、6.6mMトリス−
HCl(pH7.4)、6.6mM MgClおよび
6.6mMβ−メルカプトエタノール(β−ME)より
成るものであった。
【0083】BamHI、SalIまたはXbaI消化
に用いたバッファーは150mMトリス−HCl(pH
7.4)、6.6mM MgClおよび6.6mM
β−MEより成るものであった。2以上の制限エンドヌ
クレアーゼ反応がDNAに対してなされる場合には、低
塩バッファー中での反応を高塩バッファー中での反応の
前に行うことに注意すべきである。2つの酵素が同じバ
ッファーを必要とするのであれば、反応を同時に行って
もよい。
【0084】6.1.4.DNAの修飾 Bal 31ヌクレアーゼは高度に特異的な一本鎖エン
ドデオキシリボヌクレアーゼ活性および前進型エキソヌ
クレアーゼ活性を含む多機能性酵素であり、二本鎖DN
A(dsDNA)の3’−および5’−末端の両方を同
時に分解する。ヌクレアーゼBal 31 (New
England Biolabs,Inc.,Beve
rly,Ma.)の1単位は、変性ウシ胸腺DNA(6
50μg/ml)から1.0μgの酸可溶性ヌクレオチ
ドを1分間、30℃で放出させるのに要する量として定
義される。Bal 31消化に用いた反応バッファーは
20mM トリスHCl(pH8.0)、600mM
NaCl、12m MgCl、12mM CaC
、1.0mM EDTAおよびDNAより成るもの
であった。インキュベーションは30℃で行った。Ba
l 31消化は、30μgのDNAを0.5単位のBa
l 31とともに1、2、4、6、8および10分間イ
ンキュベートすることによって行った。EDTAを添加
して50mMとするか、またはBal 31の熱不活性
化(例えば、65℃で10分)によって反応を停止させ
た。
【0085】S1ヌクレアーゼはRNAまたは変性DN
A(即ち、一本鎖DNA)をモノヌクレオチドに分解す
るが、二本鎖DNAやDNA/RNAハイブリッドは
(適当な条件下で)分解しない。S1ヌクレアーゼ(B
oehringer Mannheim,Indian
apolis,Ind.)の1単位は、1μgの変性ウ
シ胸腺DNAを37℃、30分間で酸可溶化するのに要
する酵素の量として定義される。S1ヌクレアーゼのた
めに用いた反応バッファーは、30mM酢酸ナトリウム
(pH4.6)、250mMNaCl、1mM ZnS
および5%グリセロールより成るものであった。S
1消化は、2000単位の酵素を0.1μgのDNAお
よび20μgのRNAと共に45℃で30分間インキュ
ベートすることにより行った。
【0086】エキソヌクレアーゼVII(Exo VI
I)は一本鎖のDNA(ssDNA)を分解する。Ex
o VIIの作用機構は前進型エキソヌクレアーゼのも
のであるらしい。Exo VII(Bethesda
Research Laboratories,Roc
kville,Md.)の1単位は、基質として線状の
変性〔H〕−SV40 DNAを用いて37℃、30
分で1nmolのヌクレオチドモノマーをもたらす酵素
の量として定義される。Exo VIIのために用いた
反応バッファーは、10mM トリスHCl(pH7.
9)、100mM NaCl、10mM β−MEおよ
び8mM EDTAより成るものであった。Exo V
II消化は、250μlの反応容量中で0.1μgのD
NAあたり4単位のExo VIIを用いて45℃で1
時間行った。
【0087】6.1.5.DNAポリメラーゼ反応 DNAポリメラーゼはDNA鎖の段階的伸長を触媒す
る。鎖の成長は5’から3’の方向であり(即ち、ヌク
レオチドの付加が3’末端で生じ)、そしてポリマーの
配列が鋳型の配列によって決まる。なせならば、入って
くるヌクレオチドはその鋳型に対して相補的でなければ
ならず、即ち、鋳型鎖との正しい塩基対を形成しなけれ
ばならないからである。既知のDNAポリメラーゼは鎖
合成を開始することができない。従って、DNA合成に
は、鋳型鎖にアニーリングされる遊離3’−ヒドロキシ
末端をもつプライマーが必要となる。鎖伸長は、入って
くるヌクレオチドの5’−リン酸へのプライマーの3’
−ヒドロキシ末端の求核的攻撃により進行する。新しい
鎖は塩基対合され、鋳型鎖に対してアンチパラレルであ
る。DNAポリメラーゼ反応の結果として、一本鎖の鋳
型鎖は「修復」されるか、または二本鎖のDNA分子に
変換される。
【0088】DNAポリメラーゼの第二の重要な特徴は
「プルーフ−リーディング(proof−readin
g)」機能である。DNAポリメラーゼIに関連した
3’−5’のエキソヌクレアーゼ活性は塩基対合してい
ない末端に働き、そして一本鎖および二本鎖の両DNA
を3’から5’の方向で分解してモノヌクレオチドを生
成する。従って、間違って付加されたヌクレオチドは重
合が継続して行われる前に除去され、酵素の忠実度が更
に高まる。また、DNAポリメラーゼIは二本鎖DNA
に特異的な5’−3’エキソヌクレアーゼ活性も有して
おり(5’−モノヌクレオチドとオリゴヌクレオチドを
生じる)、これはDNAのミスマッチ領域を切除するこ
とができる。
【0089】Klenowの方法(Klenowら,1
971,Eur.J.Biochem.22:371)
によるDNAポリメラーゼIの加水分解処理は2つのフ
ラグメント、つまり大きいものと小さいものを与える。
大きなフラグメント、即ちKlenowフラグメント
(76,000ダルトン)はポリメラーゼ活性と3’−
5’エキソヌクレアーゼ活性を保持し、一方、小さいフ
ラグメントは5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を保持
する。DNAポリメラーゼIまたはDNAポリメラーゼ
I−大フラグメントの1単位(New England
Biolabs,Inc.,Beverly,M
a.)は、10nmoleのデオキシリボヌクレオチド
を酸不溶性形態に37℃、30分で変換する量として定
義される。両酵素のアッセイ条件は同じであるが、DN
AポリメラーゼIに対する反応混合物は6.6mM M
gCl、1.0mM β−ME、2mM dATコポ
リマー、33μM dATP、33μM H−dTT
Pおよび酵素から成るバッファー中に67mM KPO
(pH7.5)を含み、一方、Klenowフラグメ
ントの反応混合物は40mM KPO(pH7.5)
を含んでいた。
【0090】本出願において、一本鎖DNAまたは制限
酵素切断より生じる付着末端を修復するためにDNAポ
リメラーゼ大(Klenow)フラグメントを用いる場
合は、次の手順を用いた。制限酵素反応を68℃で10
分間加熱することによって停止させた。同一反応混合物
に、各デオキシヌクレオシド三リン酸を50μMの最終
濃度で加え、反応混合物中のDNA1マイクログラムあ
たり10〜100単位のDNAポリメラーゼKleno
wフラグメントを添加した。換言すると、一本鎖末端の
完全修復を確実にするために、過剰のDNAポリメラー
ゼKlenowフラグメントが用いられた。
【0091】6.1.6.DNAフラグメントのゲル精
制限酵素またはヌクレアーゼ処理の後に、種々の大きさ
のDNAフラグメントを、アガロースまたはポリアクリ
ルアミドスラブゲルを用いて低電圧(アガロースゲルに
おいては約2ボルト/cm、ポリアクリルアミドゲルに
おいては10ボルト/cm)でゲル電気泳動を行って分
離し、エチジウムブロミドで染色し、そして、紫外線の
もとで可視化した(Southern,1979,Me
thods in Enzymology 68:15
2)。
【0092】ゲルから特定のDNAフラグメントを回収
するために、適当なバンドをゲルから切り出し、透析チ
ューブへDNAを電気溶出した。次に、DNAをDEA
E−セルロース上で単離するか、またはエタノール沈澱
させ、そして適当なバッファー中に再懸濁した(Smi
th,1980,Methods in Enzymo
logy 65:371)。 6.1.7.DNAの連結 全ての連結反応はT4 DNAリガーゼを用いて行った
(New England Biolabs,In
c.,Beverly,Ma.)。T4 DNAリガー
ゼの1単位は、20μlのリガーゼバッファーおよび
0.12μM(300μg/ml)の5’−DNA末端
濃度においてバクテリオファージラムダDNAのHin
dIIIフラグメントの50%連結を16℃、30分で
もたらすのに要する量として定義される。
【0093】DNA連結は、60mMトリス−HCl
(pH7.8)、10mM MgCl、20mMジチ
オトレイトール(DTT)、1.0mM ATPおよび
15〜50μg/mlの範囲のDNA濃度から成るリガ
ーゼバッファー中で行った。連結反応は、10μlの反
応容量あたり約300単位のT4 DNAリガーゼを用
いて室温で4〜24時間インキュベートした。
【0094】6.2.gD−1遺伝子の位置確認および
単離 HSV−1×HSV−2組換え体により特定されたタン
パク質を分析すると、それはgD−1遺伝子がDNAの
Us領域内の0.9〜0.945のゲノムマップ単位の
間に存在することを示した(Ruyechanら,19
79,J.Virol.29:667)。図1aおよび
図1b参照。Us領域を制限酵素によって断片化し、こ
れらのフラグメントをクローニングベクターに挿入し
て、種々の組換えプラスミドを作製した。各プラスミド
はUs領域の特定部分を含んでいた。次に、Us領域内
にgD−1遺伝子を位置付けるためにこれらの組換えプ
ラスミドを分析した。HSV−1中のgD−1のマップ
位置は、最近、Leeら(1982,J.Virol.
43:41)によって報告された。
【0095】6.2.1.HSV−1のUs領域の特定
部分を含む組換えDNAプラスミド ベクターpBR322およびHSV−1(パットン株)
のUs領域の種々のフラグメントを用いて、数種の組換
えプラスミドを作製した。これらのプラスミドのうちの
1つ、pRWF6は全gD−1遺伝子を含むことが判明
した。pRWF6について以下で説明する。
【0096】組換えプラスミドpRWF6のHSV−1
挿入部(図1c)はラムダgtWES:EcoRI−H
クローンのUs領域から得られた(Umene & E
nguist,1981,Gene 13:251)。
ラムダgtWES:EcoRI−HクローンをEcmR
Iで完全に消化した。ラムダgtWES:EcoRI−
HクローンのEcoRI−Hフラグメント、約15〜1
6kb(キロ塩基)はHSV−1の全Us領域を含んで
いる。
【0097】プラスミドpBR322およびHSV−1
のEcoRI−Hフラグメント(上で単離したもの)
を、各々BamHIで完全に消化した。得られたpBR
322の4.4kbフラグメントとHSV−1の6.4
kbフラグメントをアニーリングし、そして1:1の比
率で連結してpRWF6を得た。 6.2.2.gD−1に特有のmRNAコード配列の位
置確認 pRWF6内のgD−1に特有のコード配列を位置付け
し、そして選択するために、ウイルスDNA挿入部を再
びpBR322にサブクローニングした。サブクローン
pSC30−4の変性ウイルスDNA制限フラグメント
(図1dおよび下記の説明)をニトロセルロース上に固
定し、そしてHSV−1感染細胞の細胞質RNA抽出物
からmRNAを(相補的塩基対ハイブリダイゼーション
により)単離するために用いた。2つのmRNA種
(3.0kbおよび1.7kb)がpSC30−4とハ
イブリダイズした。これらのmRNAのin vitr
o翻訳により、3.0kbまたは1.7kbのmRNA
がgD−1タンパク質をコードすることが分かった。こ
の手順の詳細を以下で説明し、また、図1に示す。
【0098】プラスミドpRWF6を大腸菌形質転換体
より単離し、制限酵素SacIによって消化した。これ
により3つのフラグメントが得られた。即ち、全pBR
322ベクターとHSV−1 DNA配列の一部を含む
6.2kbのフラグメント、2.9kbのHSV−1
DNAフラグメント、および1.7kbのHSV−1D
NAフラグメントである。
【0099】2.9kbのHSV−1 DNAフラグメ
ント(図1d参照)をサブクローニングするために、p
BR322をPvuII(pBR322を線状化する)
によって切断し、そしてSacIリンカー(New E
ngland Biolabs,Inc.,Bever
ly,Ma.)の存在下にT4 DNAリガーゼを用い
て連結させた。従って、pBR322のユニークPvu
II部位がユニークSacI部位に変換された〔Sac
I(Pvu II(−))と称す〕。SacI酵素で修
飾pBR322ベクターを切断した後、このベクターを
2.9kbのHSV−1 SacI DNAフラグメン
トと連結させてpSC30−4を得た。この組換えプラ
スミドを用いて大腸菌を形質転換させた。形質転換体を
スクリーニングし、微量溶解物技術(mini−lys
ate technique;Clewell & H
elinski,1970,Biochem.9:44
28)を用いる制限マッピングにより選択した。
【0100】サブクローンpSC30−4を、mRNA
ハイブリダイゼーション選択のために次の如く用いた
(Ricciardoら,1979,Proc.Nat
l.Acad.Sci.,U.S.A.76:492
7)。プラスミドpSC30−4を大腸菌形質転換体よ
り単離し、200μgのpSC30−4DNAをSac
Iで消化してHSV−1 DNA挿入部を切り出した。
切断プラスミドをクロロホルム/フェノール(1:1)
で抽出し、そしてエタノール沈澱させた。沈澱物を2m
lの0.3M NaOH中に再懸濁し、室温で10分間
インキュベートしてDNAを変性した。次に、この懸濁
物を4.4mlの蒸留水、0.2mlの3MHCl、
0.2mlの1Mトリス−HCl(pH7.5)および
3mlの20×SSC(SSCは0.15M NaC
l、0.015Mクエン酸ナトリウムである)の添加に
より中和した。指示紙によって測ったpHは6〜8の間
であった。変性して、中和したDNAは、蒸留水、次に
6×SSCで前もって浸漬しておいた25mmニトロセ
ルロースフィルター(Schleicher and
Schuell,Keene,N.H.)を通して真空
濾過した。真空濾過後、ニトロセルロースフィルターを
6×SSCで洗浄し、乾燥し、そして80℃で2時間焼
成した。2分の1のニトロセルロースフィルターをハイ
ブリダイゼーション法で使用した。これについて以下で
簡単に述べる。
【0101】ウイルスDNAを含むニトロセルロースを
小片に切って、全細胞質RNAとともにインキュベート
した。そのRNAは次のように調製されたHSV感染V
ero細胞の溶解産物から単離したものであった。Ve
ro細胞に10プラーク形成単位(pfu)/細胞を感
染させ、そしてDNAの複製を阻止するために50μg
/mlのシタラビン(β−シトシンアラビノシド)を加
えたダルベッコ培地中37℃で7時間インキュベートし
た。細胞を0.15M NaCl、1.5mMMgCl
および0.01Mトリス−HCl(pH7.9)中の
0.65%NP−40で溶解した。3000×g、2分
間の遠心分離により核を沈降せしめ、上澄みを1mM
EDTA(pH7.9)および0.5% SDSの最終
濃度に調整した。この溶液をクロロホルム/フェノール
(1:1)で2回抽出し、更にクロロホルムで1回抽出
した。細胞質RNAをエタノール沈殿させ(Vero細
胞の1つの集密的ローラーボトルは約1.5mgのRN
Aをもたらした)、そして部分的に乾燥した。RNA沈
殿物(約0.4〜0.8mgのRNA)を400μlの
ハイブリダイゼーションバッファー(50%ホルムアミ
ド、0.4MNaCl、40mM PIPES、pH
6.4、1mM EDTAおよび1%SDS)中に溶解
し、そして細断ニトロセルロースフィルターに添加し
た。ハイブリダイゼーションは振とう水浴にて55℃で
3時間行った。
【0102】次に、フィルター片を60℃の0.5%S
DSを含むSSCで10回洗浄し、続いて60℃のSS
C中の1mlの2mM EDTAで2回洗浄した。最後
に、フィルター片を2mM EDTA、pH8.0を用
いて60℃で5分間洗浄した。溶液を除去し、フィルタ
ー片をコットンスワブにより十分に乾燥させた。ハイブ
リダイズしたmRNAはホルムアミドおよび熱を用いて
次の如くニトロセルロース片から溶出した。120μl
の95%ホルムアミド/10mM PIPES(pH
6.5)をフィルターに添加し、5分間65℃でインキ
ュベートした。溶出液を微量遠心管に移し、氷上に保持
した。2回目の120μlの溶出バッファーをニトロセ
ルロース片に添加し、再び65℃で5分間インキュベー
トした。この溶出液を第2の微量遠心管に移し、氷上に
保持した。滅菌蒸留水の720μlアリコートをフィル
ターに添加し、次に撹拌した。溶出液を含む各微量遠心
管に約360μlを移した。微量遠心管中の溶出RNA
に、20μlの5MNaCl、5μgの適当なキャリア
ー(例えば、ウサギ肝tRNA)および1mlの無水エ
タノールを添加した。この混合物を−70℃で1時間イ
ンキュベートするか、または遠心管をドライアイス/E
tOHのスラリーに20分間浸すことにより、RNAを
沈殿させた。沈殿したRNAは微量遠心機でペレット化
し(12,000×gで10分)、そして1つの管の沈
降物を1mlのバッファー(0.5M NaCl、10
mM トリス−HCl(pH7.9)および0.5%S
DS)中に再懸濁してRNAを溶解した。アリコートを
合わせかつ全ての沈殿RNAを溶解するために、溶解し
たRNAを同型の管に加えた。ポリアデニル化RNA
〔ポリ(A)RNA〕を、オリゴ(dT)セルロース
(BethesdaResearch Laborat
ories,Inc.,Rockville,Md.)
を用いるクロマトグラフィーにより溶解RNAから単離
した。ポリ(A)RNAは、溶出バッファーとして10
mMトリスHCl(pH7.9)および0.1%SDS
を用いてオリゴ(dT)セルロースから溶出し、次にポ
リ(A)RNAを上述したようにエタノール沈殿させ
た。
【0103】pSC30−4 DNAとハイブリダイズ
したmRNAを2種類、つまり3.0kbおよび1.7
kbのmRNAを単離した。これら2種類を、ウサギ網
状赤血球細胞フリーの系(35S−メチオニンを含む)
を用いてin vitroで翻訳せしめた(Pelha
m & Jackson,1976,Eur.J.Bi
ochem.67:247)。in vitro翻訳抽
出物は、gD−1に対して誘導されたモノクローナル抗
体4S(米国立衛生研究所のM.Zweigにより寄
贈)により免疫沈降され、そして前に記載したようにS
DS−PAGEのために調製した。細胞フリーの翻訳系
の免疫沈降タンパク質産物を電気泳動分析にかけたとこ
ろ、これらの選択されたmRNAは50,000ダルト
ンのgD−1特異的タンパク質を特定化することが実証
された。gD−1タンパク質の大きさに従うと、最小の
mRNAコード配列はおよそ1.6kbとなろう。それ
ゆえ、mRNAリーダー配列およびポリ(A)尾部を考
慮すると、大きい方の(3.0kb)mRNAがgD−
1ポリペプチドをコードしていると予想された。
【0104】6.2.3.gD−1 mRNAの特性決
pSC30−4に含まれる3.0kbのmRNA配列の
位置をマッピングすること、さらにmRNAを特性付け
ることは、S1マッピング、即ち、一本鎖特異的ヌクレ
アーゼS1とエキソヌクレアーゼVII を用いて相補
的mRNA配列とハイブリダイズするDNAプローブの
領域をマッピングすることにより(Berk&Shar
p,1978,Proc.Natl.Acad.Sc
i.,U.S.A.75:1274)、そして、gD−
1遺伝子コード領域のDNAの配列決定を行うことによ
り(Maxam & Gilbert,1980,Me
thods in Enzymology,65:49
9)実施した。
【0105】S1マッピング技法により、3.0kbお
よび1.7kbのmRNA種の両方がスプライシングさ
れていない(即ち、介在配列またはイントロンを含んで
いない)こと、そしてそれらは異なる5’末端と共通の
3’末端を持つことが判明した。3.0kbのmRNA
の5’末端のコード領域を含む1068ヌクレオチドの
DNA配列が決定され、そして、5’末端に最も近い開
始コドン(ATG)を位置付けることによって翻訳のリ
ーディングフレームを推定した。
【0106】S1マッピング技法の原理は、RNAと放
射性標識した一本鎖DNA(ssDNA)プローブ(例
えば、pSC30−4から得られたもの)の間で二本鎖
を形成させることである。RNAがスプライスされた成
熟mRNAであるならば、イントロンがssDNAルー
プを形成するだろう。酵素ヌクレアーゼS1は、RNA
との二本鎖形成により保護されない放射性標識DNAの
全てのssDNA領域を消化する。一方、エキソヌクレ
アーゼVIIは末端のみのssDNAを消化し、従って
ssDNAループを消化しないだろう。(RNAとのハ
イブリダイゼーションによって)これらのヌクレアーゼ
に感受性でないDNAの大きさを比較することにより、
スプライスされたmRNAの転写物の検出が可能であ
る。
【0107】本発明において、3.0kbのmRNAの
5’末端を位置付けるために用いた放射性標識DNA
は、BamHIで切断する前にそのBstEII5’末
端において(ポリヌクレオチドキナーゼ酵素を用いて、
Maxam & Gilbertの方法により)32
で標識したpRWF6の3.8kbのBamHI−8/
BstEIIフラグメントであった。3.0kbのmR
NAの3’末端を位置付けるために用いた放射性標識D
NAは、SalIで切断する前にそのHindIII
3’末端において(DNAポリメラーゼのKlenow
フラグメントを用いて、Maxam & Gilber
tの方法により)32Pで標識したpSC30−4の
4.7kbのHindIII/SalIフラグメントで
あった。細胞質mRNAは、上記の如くシタラビンの存
在下で7時間増殖させたHSV−1感染Vero細胞か
ら単離した。用いたS1マッピング技法はBerk &
Sharpの方法の変法(Watsonら,198
1,J.Virol.37:431)であった。gD−
1 mRNAの5’末端はpSC30−4のHindI
II部位の近傍にマッピングされ、一方、3’末端は約
2.8kb下流にマッピングされた(図1d)。
【0108】最後に、pSC30−4のHSV−1 D
NAをMaxamとGilbertの方法を用いて配列
決定した。図2はHSV−1gD遺伝子コード領域のた
めの配列決定戦略を示す。コード鎖と非コード鎖の両方
の配列を決定した。図3は、HSV−1gD遺伝子の得
られたDNA配列を示す。このDNA配列は、241位
のATGから伸びている394のコドンのオープンリー
ディングフレームを含むことが明らかであった。この部
位はgD−1遺伝子のイニシエーターであると推定さ
れ、この推定gD−1遺伝子を発現ベクターpJS41
3にクローニングすることよって、そのとおりであるこ
とが分かった(第6.3節参照)。
【0109】6.3.gD−1遺伝子のクローニングと
発現 gD−1コード配列はlacプロモーターの制御下に置
かれた。このために、開始配列ATGおよびアミノコー
ド末端(該遺伝子の5’末端)の最初の156ヌクレオ
チドを欠いた推定gD−1遺伝子の一部(以後、gD−
1遺伝子と記す)を、DNAクローニング発現ベクター
pJS413に連結してpEH25を作製した(図4参
照)。部分gD−1遺伝子は、タンパク質コード配列が
ベクターの開始ATGに対して正しいオープンリーディ
ングフレームとなるように挿入した。その結果、転写さ
れたmRNAの翻訳がベクターの開始配列(ATG)で
開始され、gD−1遺伝子(それ自体の開始ATGおよ
びgD−1コード配列の最初の156ヌクレオチドを欠
く)を通って、gD−1の天然の終止シグナルまで行
く。
【0110】gD−1遺伝子を含むpEH25プラスミ
ドは大腸菌宿主株の形質転換に用いられたが、その際、
lacオペロンからのDNAの転写はプロモーターが特
別に誘導されない限り抑制されている。一次形質転換体
を薬剤耐性(ベクターがアンピシリン耐性遺伝子を担
う)についてアッセイし、耐性クローンをさらに分析し
た。得られた組換えプラスミドpEH25の構造は、制
限分析およびDNA配列決定によって確かめた。pEH
25形質転換体の誘導によって、46,000ダルトン
のポリペプチドが産生され、これはHSVに対する抗血
清またはgDに対するモノクローナル抗体のいずれによ
っても免疫沈降された。これらの手順を以下の分節で詳
しく述べることにする。
【0111】6.3.1.発現ベクターpJS413 発現ベクターpJS413(図4)は、amp(β−
ラクタマーゼ)遺伝子、lacプロモーター(Pla
c)、lacおよびcroリボソーム結合部位(SD
LacZおよびSDcroは全ての図面でそれぞれSD
およびSDCROとして表わされる)、croの69
ヌクレオチドをもつ連鎖開始ATGおよび修飾β−ガラ
クトシダーゼ遺伝子(lac i−z遺伝子、以後、z
−遺伝子と記す)を含むpBR322誘導体である。p
JS413のcro開始ATGとz−遺伝子の間(即
ち、pJS413のBglII、SmaIまたはBam
HIクローニング部位内)に正しいリーディングフレー
ムで遺伝子を挿入すると、形質転換細胞による融合タン
パク質の発現が可能となる。しかしながら、この実施例
では、z−遺伝子を欠失し、そして部分gD−1遺伝子
をpJS413のcro開始ATGおよびcroヌクレ
オチドとin phaseで連結させた。
【0112】gD−1遺伝子を挿入するためのpJS4
13を作製するため(図4参照)、pJS413をSm
aI(平滑末端を生じる)およびSacI(SacI
3’付着末端を生じる)で消化した。プロモーター、S
D配列、開始ATGおよび部分cro配列を含む4.7
kbのフラグメントを、ゲル電気泳動によって単離し
た。z−遺伝子の5’末端を含む1.8kbのフラグメ
ントが欠失された。
【0113】6.3.2.gD−1遺伝子のpJS41
3への挿入 pSC30−4内のgD−1遺伝子をマッピングした後
(第6.2.3節)、gD−1遺伝子のカルボキシ−コ
ード末端の最後の1026bp(塩基対)を含む2.2
kbのDNAフラグメントを、PvuII(平滑末端を
生じる)およびSacI(SacI3’付着末端を生じ
る)で消化することによってpSC30−4から選択的
に単離した(図4)。
【0114】2.2kbのPvuII/SacIpSC
30−4フラグメントおよび4.7kbのSmaI/S
acIpJS413フラグメントを1:1の比率でT4
DNAリガーゼを用いて連結させた(図4)。得られ
た組換えプラスミドを用いて大腸菌NF1829株を形
質転換した。大腸菌NF1829株は、lacリプレッ
サー過剰生産のためのlacI変異を伴うF’−la
cエピソームを保有するK−12 MC1000誘導体
である。F’−lacエピソーム上に存在するβ−ガラ
クトシダーゼをコードするlacz−遺伝子は、Tn5
(トランスポゾン)挿入によって不活性化されている。
従って、NF1829株では、pJS413プラスミド
に挿入された遺伝子の発現を得るためにlacプロモー
ターを誘導しなければならない。
【0115】6.3.3.gD−1遺伝子を発現する形
質転換体の同定 アンピシリン耐性大腸菌形質転換体から単離されたプラ
スミドは、制限酵素マッピングにより、さらにpJS4
13ベクターとgD−1遺伝子挿入物の間の接合部のD
NA配列決定によって分析された。プラスミドpEH2
5(図4)は、Cro−gD−1接合部に沿って正しい
ヌクレオチド配列を有し(図5に示す)、そしてgD−
1関連ポリペプチドを発現させるその能力を調べた。l
acプロモーターはNF1829では(lacリプレッ
サーの過剰生産のために)転写的に不活性であるから、
gD−1タンパク質は1mM IPTGまたは1〜10
mMラクトースのいずれかでプロモーターを誘導した後
にだけ検出できた。
【0116】pEH25により形質転換されたクローン
を、gD−1関連タンパク質のIPTG特異的誘導につ
いて試験したところ、croタンパク質の23アミノ酸
(pJS413内にコードされる)およびgD−1タン
パク質の342アミノ酸(即ち、gD−1の最初の52
アミノ酸が消失している)からなる46,000ダルト
ンのタンパク質の生産が確認された。このタンパク質
は、HSV−1に対する全ウサギ抗血清(DAKO C
hemicals,Inc.,Hicksville,
N.Y.)およびHSV−1のgDに対して特異的なモ
ノクローナル抗体(1S、4S、55Sおよび57S)
(Showalterら,1981,Infectio
n and Immunity,34:684)により
免疫沈降された。
【0117】モノクローナル抗体1S、4S、55Sお
よび57SはgD−1分子上の多くの異なる部位を認識
する(Eisenbergら,1982,J.Viro
l.41:478)。注目すべきことは、モノクローナ
ル抗体4Sが、HSV−1およびHSV−2の感染性を
中和する能力があり、そして両方のウイルスによって産
生されたgDタンパク質を免疫沈降せしめる能力がある
ことである。pEH25によって産生されたタンパク質
は4S抗体によって免疫沈降され、このことはpEH2
5のgD−1関連タンパク質がHSV−1とHSV−2
の両gDタンパク質によって共有される抗原決定基を発
現していることを実証した。さらに、pEH25のgD
−1関連タンパク質は、HSV−1のみを中和する1S
モノクローナル抗体によっても免疫沈降された。また、
pEH25gD−1関連タンパク質は、HSV−1とH
SV−2のいずれの感染性も中和しない55Sおよび5
7Sモノクローナル抗体によって免疫沈降された。各免
疫沈降物をSPS−PAGEによって分析した。全手順
の詳細を以下で説明する。
【0118】すべてのpEH25形質転換体は、Lブロ
ス中37℃での一夜培養物のアリコートを取り出し、M
−9ブロスで20倍に希釈し、そして37℃で90分間
振とうすることにより増殖させた(Miller,Ex
periments inMolecular Gen
etics,Cold Spring Harbor
Rress,New York,N.Y.,197
2)。gD−1タンパク質の発現についてのこれら培養
物のアッセイでは、1mMのIPTGおよび25μCi
/mlの35S−メチオニンを培養物に添加した(対照
35S−メチオニンで標識したが、誘導を行わなかっ
た)。37℃で60分後、培養物を遠心分離によってペ
レット化した。細胞を溶解して細胞内容物を放出させる
ために、細胞の各ペレットを等量の溶解バッファーIP
−3(20mMトリス−HCl(pH8.1)、100
mM NaCl、1mM EDTA、1%NP−40、
1%デオキシコール酸および0.1%SPS)中に再懸
濁し、直ちに液体窒素中で凍結し、音波処理した。細胞
溶解産物を5,000×g、4℃で5分間遠心分離し、
上澄みをアリコートに分けた。対照血清(非免疫あるい
は免疫前血清)または試験抗血清(HSV−1に対する
多価抗血清またはgDに対するモノクローナル抗血清)
を各アリコートに添加し、その後4℃で60分間インキ
ュベートした。(抗血清の添加量は、既知量の抗原を用
いて抗血清の連続希釈物を試験することにより抗血清力
価を較正することによって決定される。) 免疫複合体は、洗浄したパンソルビン(Pansorb
in)(Staphylococcus aureus
プロテインA、Calbiochem−Behring
Corp.,LaJolla,Cal.)を添加し、
遠心分離(特にことわらない限り、この手順での全ての
遠心分離は5,000×gで4℃、5分間行った)する
ことにより回収した。ペレット化免疫沈降物をIP−2
(IP−3と同じだが、非特異的吸着を排除するために
20mg/mlのウシ血清アルブミンBSAを加えてあ
る)に再懸濁して洗い、IP−3で2回洗い、そしてI
P−1〔20mM トリスHCl(pH8.1)、10
0mM NaCl、1mMEDTAおよび1%NP−4
0〕中に再懸濁した。この懸濁体を新しいチューブに移
し、それを遠心分離にかけ、ペレットをSDS−ポリア
クリルアミドゲル・サンプルバッファー(Laemml
i,1970,Nature 227:680)中に再
懸濁した。95℃で3分間加熱した後、サンプルを微量
遠心機により12,000×gで2分間遠心分離し、不
溶性成分を除いた。上澄みを取り出し、そしてSDSポ
リアクリルアミドゲル(10%)上にのせた。電気泳動
後、タンパク質をクーマシーブルー染料で染色し、サル
チル酸ナトリウムで処理し、フルオログラフィーのため
に乾燥した(Chamberlain,1979,An
al.Biochem.98:132)。SDSポリア
クリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)の結果
は、誘導後にpEH25から産生された46,000ダ
ルトンのgD−1関連タンパク質が、HSV−1に対す
る全ウサギ抗血清およびモノクローナル抗体1S、4
S、55Sおよび57Sにより免疫沈降されたことを明
らかに示していた。
【0119】最後に、pEH25で形質転換された大腸
菌NF1829から発現された誘導gD−1関連タンパ
ク質の免疫沈降に及ぼすHSV−1感染Hela細胞の
溶解産物の効果を調べるために、競合実験を行った(図
6参照)。対照(非感染)およびHSV−1感染Hel
a細胞(感染はVero細胞について前に記載したとお
りに行った)の溶解産物から連続希釈物を調製した。モ
ノクローナル55S腹水(gD−1特異的モノクローナ
ル抗体)の100倍希釈物の5μlアリコートを、He
la細胞溶解産物の連続希釈物の各アリコートに加え
た。4℃で30分間インキュベーション後、誘導したp
EH25形質転換体の溶解産物からの35S−メチオニ
ン標識タンパク質を等量、Hela細胞溶解産物に添加
し、そして更に60分間4℃でインキュベートした。免
疫複合体を免疫沈降によって回収し、前述のごとくSD
S−PAGEおよびフルオログラフィーによって分析し
た。特異的に免疫沈降されたタンパク質バンドをゲルか
ら切り出し、そして放射活性をシンチレーション計数に
よって測定した。図6はこれらの実験の結果を示す。各
サンプルの放射活性は、pEH25の免疫沈降された標
識タンパク質産物を表すものであり、対照に対する%と
してプロットした。円は連続希釈された対照(非感染)
Hela細胞溶解産物を表す。四角は連続希釈されたH
SV−1感染Hela細胞溶解産物を示す。これは、明
らかに、HSV−1タンパク質が55Sモノクローナル
抗体との免疫複合体の形成についてpEH25からの放
射性標識タンパク質と競合することを示している。
【0120】6.4.Cro/gD−1/β−ガラクト
シダーゼ融合タンパク質の生産をもたらすpEH4−2
の作製 gD−1遺伝子をpEH25から単離し、その終止シグ
ナルを欠失させた。このために、gD−1遺伝子配列を
含むDNAフラグメントを、gD−1終止配列TAGを
越えた制限部位で切断した。次に、DNAヌクレアーゼ
のBal 31による末端の前進型消化によってTAG
を除いた。その後、このgD−1遺伝子フラグメント
は、融合タンパク質:Cro/gD−1/β−ガラクト
シダーゼをコードするようにpJS413に挿入した。
この手順を以下に記載し、図7に示す。
【0121】プラスミドpEH25をNruIで完全に
消化し、Bal 31ヌクレアーゼで前進的に消化し
た。次に、得られた種々の長さのDNAを制限酵素Ps
tIで切断して広範囲のフラグメントを生成し、その多
くはgD−1終止コドンを欠いていたが、大部分のgD
−1遺伝子配列を保有していた。適当なDNAフラグメ
ント(1.5〜1.9kb)をゲル電気泳動によって分
離し、前に記載したように溶出した。ベクターpJS4
13をPstIおよびSmaIで完全に消化し、適当な
5.5kbのDNAフラグメントを単離した(図7)。
pEH25フラグメントおよびpJS413フラグメン
トを1:1の比率で連結しし、大腸菌NF1829の形
質転換に用いた。アンピシリン耐性コロニーは、指示寒
天平板にてβ−ガラクトシダーゼ活性をアッセイするこ
とにより融合タンパク質の生産について調べた(Mil
ler,Experiments in Molecu
lar Genetics,Cold Spring
Harbor Press,New York,N.
Y.,1972)。陽性コロニーは、IPTGで誘導さ
れた形質転換体の全溶解産物のSDS−PAGE分析に
よってCro/gD−1/β−ガラクトシダーゼ融合タ
ンパク質の存在について試験した。Cro/gD−1/
β−ガラクトシダーゼ融合タンパク質を発現するこれら
のクローンから160,000ダルトンの融合タンパク
質の高レベル生産体を単離した。このクローンに含まれ
るプラスミドをpEH4−2と命名した(図7)。pE
H4−2で形質転換された大腸菌クローンにより産生さ
れた融合タンパク質は、IPTGにより誘導可能であ
り、しかもHSV−1およびHSV−2の両方と交差免
疫反応性であることが分かった。pEH4−2プラスミ
ドを単離して、制限マッピングとDNA配列決定により
分析した。pEH4−2はpJS413のBamHI部
位を含まない(図8参照)。
【0122】pEH3−25と命名したプラスミドで形
質転換された他の大腸菌単離物は、pEH4−2形質転
換体よりも少ない量のCro/gD−1/β−ガラクト
シダーゼ融合タンパク質を産生した。pEH3−25形
質転換体については本文中で後述する(第6.5節参
照)。 6.4.1.pEH4−2融合タンパク質は抗HSV−
1血清と免疫反応する pEH4−2で形質転換された大腸菌から産生された融
合タンパク質は、HSV−1に対するウサギ抗血清と特
異的に相互作用した(データは示してない)。pEH4
−2およびpEH25のIPTG−誘導タンパク質をS
DS−PAGEによって分離し、ニトロセルロースに移
行させた(即ち、タンパク質「ブロット」を行った)。
誘導しなかったpEH4−2およびpEH25形質転換
体の溶解産物を対照として同じ手順で処理した。次に、
ニトロセルロースをHSV−1に対するウサギ抗血清で
処理し、続いてプローブとしてのウサギ免疫グロブリン
に対する125I標識ヤギ抗血清で処理した(Towb
inら,1979,Proc.Natl.Acad.S
ci.,U.S.A.76:4350)。
【0123】タンパク質ブロットのオートラジオグラム
は、160,000ダルトンのpEH4−2由来の融合
タンパク質がHSV−1に対するウサギ抗血清と免疫反
応すること、そして46,000ダルトンのpEH25
由来のgD−1関連タンパク質がHSV−1に対するウ
サギ抗血清と免疫反応することを実証した。 6.4.2.pEH4−2融合タンパク質に対する抗血
清はHSV−1およびHSV−2タンパク質を免疫沈降
させる pEH4−2融合タンパク質に対する抗血清は、HSV
−1gDおよびHSV−2gDと免疫反応することが分
かり、かくして、pEH4−2融合タンパク質はgD特
異的抗原決定基を含むことが実証された。これは、pE
H4−2融合タンパク質に対する抗血清により免疫沈降
されたHSV−1タンパク質およびHSV−2タンパク
質のSDS−PAGE分析により示された。以下の考察
を参照されたい。
【0124】pEH4−2融合タンパク質に対するウサ
ギ抗血清は次のように作製した。pEH4−2で形質転
換された大腸菌クローンを中間対数期まで増殖させ、1
mMのIPTGを用いて誘導した。誘導の4時間後に、
バクテリアを遠心分離により沈澱させ、SDS−PAG
Eサンプルバッファーで溶菌し、そして分離用SDS−
ポリアクリルアミドゲル上に置いた。電気泳動後、外側
レーンをクーマシーブルー染料で染色してタンパク質を
可視化した。次に、160,000ダルトンの融合タン
パク質バンドをゲルから切り出した。ゲル切片を液体窒
素に浸し、粉砕し、そしてPBS中に再懸濁した。等量
のフロインド完全アジュバントを加えた。よく混合した
後に、この溶液を2匹のニュージーランドウサギ(01
8および019)に皮下注射した。各ウサギに25〜5
0μgのタンパク質を注射した。28日後、不完全フロ
インドアジュバント中に懸濁した融合タンパク質同量で
ウサギに追加免疫を施した。10日ごとに2回以上の追
加免疫を実施した。最初の注射より55日後、耳から採
血して血清を回収し、免疫沈降分析に供した。
【0125】免疫沈降は次のように行った。集密的培養
細胞にHSVを10pfu/細胞(10プラーク形成単
位/細胞)で感染させ、感染後35S−メチオニンで1
6時間標識した。〔GBK(ジョージアウシ腎)細胞に
HSV−1を感染させ、一方、HeLa細胞にはHSV
−2を感染させた。Vero細胞にはHSV−1または
HSV−2のいずれかを感染させた。〕35S−メチオ
ニンで標識したHSV−感染細胞の溶解産物を、10μ
lの免疫前ウサギ血清、pEH4−2融合タンパク質に
対するウサギ抗血清(例:018または019抗血
清)、または1μlのモノクローナル抗体4Sとともに
インキュベートした。免疫複合体を第6.3.3節に述
べたようにパンソルビンを用いて回収し、免疫沈降した
放射性標識タンパク質をSDS−PAGEによって分離
し、そしてフルオログラフィーにかけた。SDS−PA
GEの結果は、(1)HSV−1に感染させたGBK細
胞またはVero細胞から産生された52,000ダル
トンのgDタンパク質は、pEH4−2形質転換体から
産生された融合タンパク質に対する抗血清と、さらに4
Sモノクローナル抗体と免疫反応性であること、(2)
HSV−2に感染させたHeLa細胞またはVero細
胞から産生された50,000ダルトンのgDタンパク
質は、pEH4−2融合タンパク質に対する抗血清およ
び4Sモノクローナル抗体と免疫反応性であることを示
した。HSV−1由来のgDと比べたときのHSV−2
由来のgDの見かけ低分子量は、発表された観察と合致
する(Ruyechanら,1979,J.Viro
l.29:677)。フルオログラフィーの結果は、H
SV−1またはHSV−2感染細胞により産生されたg
Dタンパク質がpEH4−2形質転換体から産生された
融合タンパク質に対する抗血清と免疫反応性であること
を示していた。
【0126】6.4.3.pEH4−2に対する抗血清
はin vitroでHSV−1およびHSV−2感染
を中和する pEH4−2融合タンパク質に対するウサギ抗血清は、
ウイルスの感染力を中和するその能力についても分析さ
れた。ウイルスの中和は、組織培養物中の感染細胞のプ
ラーク数の減少によって検定した(Showalter
ら,1981,Infection and Immu
nity34:684)。このために、50〜100p
fuのHSV−1またはHSV−2を、免疫前血清(対
照)、免疫抗血清(018または019)またはモノク
ローナル抗体4Sの希釈物とともに活性血清補体
(C’)の存在下または不在下でプレインキュベートし
た。Vero細胞にHSV−1またはHSV−2の調製
物を感染させた。3〜4日後、HSVプラークを数え
て、プラーク数の減少に及ぼす抗血清の効果を調べた。
表1に示す結果は、各ウサギから得られた抗血清がin
vitroでHSV−1およびHSV−2を中和する
能力があることを示している。中和は活性補体の不在下
でも証明されたが、補体は中和活性を著しく増大させ
た。中和はHSV−2よりもHSV−1に対してより一
層効果的であった。
【0127】
【表1】 ウサギ由来の血清018および019を、5%熱不活
性化補体(56℃で30分、−C’)または活性モルモ
ット補体(+C’)の存在下にVero細胞単層上でウ
イルス中和について試験した。数字は、プラーク数を5
0%減少させた血清希釈率の逆数としての抗体価を示
す。これらの試験では、Vero細胞の代わりにGB
K細胞を用いた。表示した結果は、HSV−1およびH
SV−2に対するサブユニットワクチンとしてのpEH
4−2融合タンパク質の利用可能性を示している。
【0128】6.4.4.pEH4−2中のgD−1遺
伝子の再構築 プラスミドpJS413およびpRWF6を用いて、g
D−1遺伝子を再構築した(図8)。かくして、pRW
F6をHindIIIおよびBal31で消化して、ラ
ンダムな大きさの平滑末端フラグメントを生成した。こ
れらのフラグメントをSacIで消化した後、2.2〜
2.4kbの平滑末端化/SacIフラグメントを単離
した。これらのフラグメントは、さまざまな長さのgD
−1遺伝子のアミノコード末端を含んでいた(図8参
照)。
【0129】gD−1フラグメントをpJS413にサ
ブクローニングした。このために、pJS413をSm
aI(平滑末端をもたらす)およびSacI(SacI
3’付着末端をもたらす)で消化した。4.7kbのS
maI/SacI pJS413フラグメントを平滑末
端化/SacI pRWF6フラグメント(2.2〜
2.4kb)と1:1の比率で連結し、大腸菌NF18
29株を形質転換するために用いた。これは、アミノコ
ード末端でランダムに「欠失された」gD−1遺伝子を
含むプラスミドにより形質転換されたクローンの集団を
もたらした(図8)。pEH50+x(ここでxは1〜
24を意味する)と命名された、全部で24のプラスミ
ド(それぞれ約7kb)は制限酵素認識部位のマッピン
グにより分析した。gD−1遺伝子内にPvuII部位
を含むもの(24の形質転換体のうち19)をさらに分
析して、gD−1のアミノコード末端の最長部分を含む
クローンを同定した。
【0130】完全なgD−1遺伝子配列において、gD
開始ATGと内部PvuII部位の間の距離は156塩
基対である。従って、19のpEH50+xプラスミド
のそれぞれをBglIIおよびPvuIIで消化した。
得られたフラグメントをゲル電気泳動で分離して、Bg
lII/PvuIIフラグメントの大きさを調べた。1
60塩基対より小さいBglII/PvuIIフラグメ
ントをもつ15のpEH50+xプラスミドを同定し
た。即ち、図8に示すBal31消化の終点は、gD−
1開始ATGとPvuII部位の間のどこかにあった。
これら15の配列を解析して、pJS413プラスミド
への連結部位を正確に決めた。7つのプラスミド、pE
H51、pEH60、pEH62、pEH66、pEH
71、pEH73およびpEH74は、pJS413の
croATGの翻訳リーディングフレームとin ph
aseで連結されたgD−1配列を含んでいた(図3参
照、そこには、これらの連結部位を対応するpEHの数
字と垂直な矢印で示してある)。事実、pEH51はg
D−1アミノ末端の最初の6個のアミノ酸を除いた全部
をコードする。
【0131】pEH51、pEH60、pEH62およ
びpEH71の形質転換体は、IPTG誘導を行ってま
たは行わないで、35S−メチオニンで標識し、細胞溶
解産物をモノクローナル抗体55Sで処理した。免疫沈
降物を前記のようにSDS−PAGEで分析した。pE
H51、pEH60、pEH62またはpEH71を含
む形質転換体は、それぞれ、モノクローナル55Sによ
り沈降される46,000ダルトンの誘導可能なタンパ
ク質を産生した(データは示してない)。
【0132】最後に、融合タンパク質をコードする組換
えプラスミドは、pEH4−2中に存在するgD−1遺
伝子配列のアミノコード末端を再構築するために、pE
H51のアミノコード末端を用いて作製した(図9参
照)。プラスミドpEH4−2をPstIおよびSac
IIで消化し、部分gD−1/β−ガラクトシダーゼ遺
伝子を含む6.2kbのフラグメントを単離した。プラ
スミドpEH51をPstIで完全に消化し、SacI
Iで部分的に消化した。pEH51の1.25kbのP
stI/SacIIフラグメントをpEH4−2の6.
2kbのPstI/SacIIフラグメントと1:1の
比率で連結させてpEH82を作製した。形質転換体は
前記のごとくβ−ガラクトシダーゼ活性についてスクリ
ーニングして同定した。pEH51プラスミドを担う大
腸菌形質転換体を大腸菌WW51株と命名し、pEH8
2プラスミドを含有する形質転換体を大腸菌WW82株
と命名する。
【0133】我々は、HSV gD−1融合タンパク質
を大腸菌において大量に生産できることを明らかにし
た。融合タンパク質は、おそらく、融合タンパク質の構
成自体のために、または密で不溶性の封入体中への融合
タンパク質の隔離のために、非常に安定している。我々
は、融合タンパク質を大腸菌から抽出して、動物の免疫
感作に用いることができることを示した。得られた抗血
清はin vitroでHSV−1およびHSV−2の
両方のプラーク形成を中和することができる。
【0134】6.5.Cro/gD−1およびCro/
gD−1/β−ガラクトシダーゼ融合タンパク質を産生
するpEH90−10amLE392の作製 適当な宿主細胞において融合および非融合の両方のgD
−1関連タンパク質を産生させることができる組換えプ
ラスミドpEH90−10amを構築した(図10参
照)。
【0135】pEH90−10amプラスミドは、Cr
o/gD−1/β−ガラクトシダーゼ融合タンパク質を
コードするpEH3−25(第6.4節参照)から誘導
された、一連の組換えプラスミドpEH−90−Nに由
来するものであった(図3および図10参照)。pEH
−90−N系列は、cro、gD−1およびz−遺伝子
の翻訳リーディングフレームが合致する(in pha
seである)という点でpEH4−2(第6.4節)に
類似するが、pEH−90−N系列はgD−1遺伝子と
z−遺伝子の接合部に追加のユニークな制限エンドヌク
レアーゼ認識配列を含んでいる。
【0136】pEH−90−N系列の1つの形質転換体
から単離された、pEH−90−10と命名された組換
えプラスミドは、さらに次のように修飾された。(1)
pEH−90−10を、gD−1遺伝子配列とz−遺伝
子配列の接合部で切断し、(2)次に、pEH−90−
10を、アンバー連鎖終止配列TAGを含むDNAリン
カー配列の存在下で連結させた。得られた組換えプラス
ミドpEH−90−10amは、gD−1遺伝子とz−
遺伝子の両方の翻訳リーディングフレームに合致するア
ンバー連鎖終止配列TAGを含んでいる。
【0137】pEH90−10amを大腸菌NF182
9の形質転換に用いた場合、アンピシリン耐性形質転換
体は検出可能な融合タンパク質をまったく合成しなかっ
た。ところが、pEH−90−10am形質転換体にア
ンバーサプレッサーtRNA遺伝子を含む溶原性の形質
導入ファージφ80 SuIIIを感染させたときに
は、誘導された形質転換体はCro/gD−1/β−ガ
ラクトシダーゼ融合タンパク質を産生した。この溶原を
pEH90−10am SuIIIと命名する。
【0138】また、pEH90−10amプラスミドを
用いて、2つのアンバーサプレッサー変異(SupEお
よびSupF)をもつ大腸菌LE392を形質転換させ
た。pEH90−10amLE392形質転換体は誘導
および非誘導の両条件下でCro/gD−1/β−ガラ
クトシダーゼ融合タンパク質を産生した(LE392細
胞は、lacリプレッサーの過剰生産をもたらすNF1
829のlacI変異をもたない)。pEH90−1
0amLE392形質転換体により産生されたタンパク
質のSDS−PAGE分析により、融合タンパク質(約
160,000ダルトン)および非融合gD−1関連タ
ンパク質(約38,000ダルトン)の両方が産生され
たことが確認された。両方のタンパク質はウサギ抗HS
V−1血清と免疫反応する。pEH90−10amLE
392形質転換体はほぼ等モル量で両方のタンパク質を
産生するらしく、2つのタンパク質は第5.5節に記載
した非変性共凝集物精製法で単離したとき共精製され
る。この手順の詳細については以下の分節で述べる。
【0139】6.5.1.pEH90−N系列の作製 第6.4節で前に説明したように、pEH3−25形質
転換体はCro/gD−1/β−ガラクトシダーゼ融合
タンパク質を産生するが、その生産量はpEH4−2形
質転換体より少ない。pEH3−25組換えプラスミド
は、gD−1の膜貫通配列をもつ以外は、pEH4−2
に類似している(図3参照)。膜貫通配列が宿主細胞形
質転換体による融合タンパク質の効率の悪い発現に関与
しているのかもしれない。
【0140】発現ベクターpHK414(図10)はp
JS413誘導体である。事実、pHK414はpJS
413の全要素を含むが、cro−z接合部を横切るそ
のユニークなクローニング部位をもつ点で相違する。p
HK414のクローニング部位は、BglII、Hin
dIII、SmaI、BamHIである。z−遺伝子は
croATGとリーディングフレームが合致しておら
ず、従って、無傷のプラスミドはβ−ガラクトシダーゼ
の生産を支配していない。しかし、適切な長さ(3n+
2)のDNAフラグメントが該プラスミドのこれらクロ
ーニング部位のいずれかに挿入されると、z−遺伝子の
リーディングフレームがcroATGに対して再調節さ
れ、そして、挿入されたDNA配列がcroATGまた
はz−遺伝子とin phaseにある終止シグナル
(例:TGA、TAAまたはTAG)を含まないという
条件で、β−ガラクトシダーゼ融合タンパク質が宿主細
胞形質転換体により産生されるだろう。
【0141】pEH90−N系列は次のように構築した
(図10参照)。まず、pEH3−25をBamHIで
消化し、次に、カルボキシ−コード末端のgD−1膜貫
通配列を除くために、切断したプラスミドをBal31
で処理した。Bal31消化の後に、pEH3−25を
PstIで切断して、PstI付着末端、amp遺伝
子のアミノコード末端、lacプロモーターおよび翻訳
調節要素、膜貫通配列の全部または一部が欠失されてい
るgD−1遺伝子、および平滑末端(BamH
(−))により特徴づけられる1.7〜1.9kbの
DNAフラグメントの集団をアガロースゲル電気泳動に
よって単離した。
【0142】発現プラスミドpEK414は、まず、B
glIIで切断し、BglII付着末端をDNAポリメ
ラーゼのKlenowフラグメントを用いて修復した。
次に、線状の平滑末端化pHK414をPstIで消化
して、平滑末端(BglII(−1))、z遺伝子、a
mp遺伝子のカルボキシコード末端、およびPstI
付着末端により特徴づけられる5.5kbのDNAフラ
グメントをアガロースゲル電気泳動によって単離した。
【0143】pEH3−25の1.7〜1.9kbのP
stI/BamHI(−1)DNAフラグメントとpH
K414の5.5kbのBglII(−1)/PstI
DNAフラグメントを1:1のモル比で、T4 DNA
リガーゼを用いて連結させた。pEH90−Nと命名し
た、得られたプラスミドの集団は指示寒天平板で増殖さ
せた大腸菌NF1829を形質転換するために用いた。
【0144】融合タンパク質を産生した24の形質転換
体のうちの10から誘導された次の組換えプラスミド
を、gD−1/z−遺伝子接合部(図3参照)を通るD
NA配列決定により分析した。すなわち、pEH90−
2、pEH90−3、pEH90−4、pEH90−
5、pEH90−6、pEH90−7、pEH90−
9、pEH90−10、pEH90−11およびpEH
90−12であった。pEH90−12以外は全て、膜
貫通配列の全部または一部の欠失を含む。pEH90−
4およびpEH90−5はほぼ半分の膜貫通配列を含
む。pEH90−12を除いて、これらのプラスミド
は、pEH4−2によりもたらされた高レベルでのCr
o/gD−1/β−ガラクトシダーゼ融合タンパク質の
生産へと導いた。この手順の次の工程のためにプラスミ
ドpEH90−10が選択された(pEH90−10形
質転換体により産生されたgD−1融合タンパク質は、
pEH4−2形質転換体により産生されたものと同じで
ある。但し、pEH4−2形質転換体により産生された
gD−1の最後の4つのアミノ酸が、pEH90−10
形質転換体により産生された融合タンパク質からは失わ
れている)。
【0145】6.5.2.pEH90−10amの作製 pEH90−10プラスミドのgD−1配列とz−遺伝
子の間にアンバー連鎖終止配列を導入するために、次の
手順を用いた(図10参照)。pEH90−10をHi
ndIIIで切断し、次にBamHIで切断して、gD
−1遺伝子とz−遺伝子の間の接合部に存在するそのユ
ニークな制限エンドヌクレアーゼ部位で該プラスミドを
切断した(下記参照)。
【0146】
【化3】
【0147】7.3kbのHindIII/BamHI
切断プラスミドをアガロース ゲル電気泳動により単離
し、(T4 DNAリガーゼを用いて)HindIII
/BglII付着末端および内部XbaI部位およびア
ンバー配列(TAG)によって特徴づけられる次のDN
Aリンカーと連結させた。
【0148】
【化4】
【0149】DNAリンカーの各相補鎖は、Chow
ら,1981,Nucleic Acids Res
9(12):2807−2817に報告される固相法に
よって合成した。リンカーを切断プラスミドに連結した
後、得られた組換えプラスミドをXbaIによって切断
し、線状の7.3kbのDNAフラグメントをアガロー
スゲル電気泳動によって単離し、T4 DNAリガーゼ
で連結して再環状化した(これは、実際、プラスミド上
の単一のXbaI部位の存在によって示される、gD−
1/z接合部でHindIIIとBamHII部位の間
に連結されたリンカー配列を含むpEH90−10プラ
スミドを選択した)。連結の結果として、DNAリンカ
ーのアンバー配列は、gD−1およびz−遺伝子と翻訳
リーディングフレームが合致していた(下記参照)。
【0150】
【化5】
【0151】得られたプラスミドはpEH90−10a
mと命名された。 6.5.3.pEH90−10am形質転換体 pEH90−10amを大腸菌NF1829の形質転換
に用いた。IPTGで誘導したとき、アンピシリン耐性
形質転換体は融合タンパク質を検出可能なレベルで合成
しなかった(MacConkey指示寒天平板上に赤色
コロニーがない)。次に、形質転換体にアンバーサプレ
ッサーtRNA遺伝子を保有する溶原性の形質導入ファ
ージφ80 SuIIIを感染させた。IPTGで誘導
された溶原化形質転換体は、MacConkey指示寒
天平板上に赤色コロニーを形成し、これは融合タンパク
質の生産を示す。これらの溶原体をpEH90−10a
mSuIIIと名づけた。
【0152】さらに、pEH90−10amプラスミド
は、2つのアンバーサプレッサー(supEおよびsu
pF)を有するがNF1829のlacI変異をもた
ないためlacリプレッサーを過剰に合成しない大腸菌
LE392を形質転換するために用いた。これらの形質
転換体は、pEH90−10amLE392と命名され
たものであるが、IPTGで誘導しようとしまいと融合
タンパク質を産生した。
【0153】6.5.4.pEH90−10amLE3
92形質転換体により産生されたタンパク質の分析 融合タンパク質(約160,000ダルトン)および3
8,000ダルトンのタンパク質が、ほぼ等モル量でp
EH90−10amLE392形質転換体から産生され
た。各タンパク質はHSV−1に対するウサギ抗血清と
免疫反応することが分かった。このために、細胞タンパ
ク質をミニ凝集物法(以下で説明)によって単離し、S
DS−PAGEで分離し、ニトロセルロースに移行さ
せ、次にHSV−1に対するウサギ抗血清で処理し、さ
らにプローブとしてのウサギ免疫グロブリンに対する
125I−標識ヤギ抗血清で処理した(Towbin
ら,1979,Proc.Natl.Acad.Sc
i.,U.S.A.76:4350)。
【0154】スクリーニング分析用の宿主細胞凝集物を
単離するにあたって、次のミニ凝集物法を採用した。 (1)100μg/mlのアンピシリンを含む新鮮なL
uriaブロス5mlを入れた重複する培養チューブ
に、一夜培養物から得られた200μlの細胞を接種
し、37℃で90分間増殖させた。各重複物の一方は1
mMのIPTG(最終濃度)の添加により誘導した。次
に、接種物を撹拌しながら37℃でさらに5時間増殖さ
せた。
【0155】(2)培養物の3mlアリコート中に含ま
れる細胞を、微量遠心分離機(12,000×g)で2
分間遠心してペレット化した。(注意:微量遠心管の全
容量は1.5mlである。従って、最初に1.5mlア
リコートをペレット化し、上澄みを抜き取った。同一の
微量遠心管に別の1.5mlアリコートを加え、同一の
遠心管でペレット化した。) (3)細胞ペレットを50μlの25%スクロース含有
50mMトリス−HCl、pH8に懸濁し、ドライアイ
ス/エタノール浴中に遠心管を入れることによってこの
懸濁体を凍結した。
【0156】(4)凍結懸濁体を解凍し、0.25Mト
リス−HCl、pH8中の10mg/mlのリゾチーム
50μlを添加し、そして懸濁体を氷上で10〜15分
間インキュベートした。 (5)10〜15分間のインキュベーション後、400
μlのTETバッファー(100mMトリス−HCl
pH8、50mM EDTA、2%トリトンX−10
0;トリトンX−100は非イオン性界面活性剤ポリオ
キシエチレン(9,10)p−tert−オクチルフェ
ノールである)を添加し、懸濁体を穏やかに混合し、氷
上で5分間インキュベートした。次に、500μlの2
×RIPA(2×RIPAは20mMトリス−HCl、
pH7.4、300mM NaCl、2%デオキシコー
ル酸ナトリウム、2%NP−40、0.2%SPSであ
る)を添加し、懸濁体を穏やかに混合し、氷上で5分間
インキュベートした。
【0157】(6)次に、懸濁体中の細胞を、マイクロ
プローブを用いて10秒間音波処理し、懸濁体をSor
vall SS34ローターで20,000rpm(4
7,800×g)、30分間遠心して清澄化した。 (7)上澄みをデカントし、共凝集物タンパク質を含む
ペレットを50μlの蒸留水に再懸濁し、これに50μ
lの2×サンプルバッファー(2×サンプルバッファー
は10%SDS、40mMトリス−HCl、pH6.
8、2%β−MEおよびブロモフェノールブルーの0.
02容飽和溶液よりなる)を添加し、そしてよく混合し
た。混合物を5分間煮沸し、25μlアリコートを電気
泳動のために10%SDS−ポリアクリルアミドゲルに
アプライした。
【0158】タンパク質をSDS−PAGEで分離した
後に、それらをニトロセルロースに移行させた(即ち、
タンパク質「ブロット」を行った)。次に、ニトロセル
ロースを、HSV−1に対するウサギ抗血清で処理し、
次にプローブとしてのウサギ免疫グロブリンに対する
125I−標識ヤギ抗血清で処理した(Towbin,
1979 前掲)。タンパク質ブロットのオートラジオ
グラムは、2つのバンドが抗HSV−1抗体と免疫反応
したことをはっきりと示した。即ち、160,000ダ
ルトンの融合タンパク質(Cro/gD−1/β−ガラ
クトシダーゼ)、および38,000ダルトンのgD−
1関連タンパク質(Cro/gD−1)または非融合g
Dタンパク質(β−ガラクトシダーゼに融合してない)
である。従って、タンパク質を単離するために共凝集物
単離法を用いるとき、非融合タンパク質が融合タンパク
質とともに共精製される。そして、非融合gD(Cro
/gD−1)とgD融合タンパク質(Cro/gD−1
/β−ガラクトシダーゼ)は共に抗HSV血清と免疫反
応する。 7.実施例:HSV−2gD HSV−1のゲノムマップを、HSV−2のものと比較
した。HSV−2ゲノム内のgDコード配列の位置は、
HSV−1ゲノム内のgDの位置および大きさから類推
して決定された。HSV−2のUs領域のBglII
LフラグメントをpBR322に挿入して、組換えプラ
スミドpHV1を作製した。pHV1中に含まれるgD
−2コード配列は、ハイブリダイゼーションプローブと
してpSC30−4から得られたgD−1DNAの一部
を用いてハイブリダイゼーションを行うことにより、そ
の位置を決定した。gD−2コード配列を含むpHV1
の部分を、次に、pBR322にサブクローニングし
て、組換えプラスミドpHV2を作製した。pHV2内
のgD−2遺伝子のDNA配列を決定し、そして、gD
−2の配列をgD−1のものと比較した。gD−2のD
NA配列はgD−1のDNA配列よりも1コドン短い
が、これら2配列の間にはかなりの相同性がある。
【0159】gD−2遺伝子をlacプロモーターの制
御下に置くために、タンパク質コード配列の最初の12
0ヌクレオチドを欠くgD−2遺伝子配列の一部を、p
HV2から単離した。このDNAフラグメントを、la
cプロモーターおよび翻訳調節要素をコードする小さな
DNAフラグメントに連結させた。得られた組換えプラ
スミドpHV5は、宿主細胞形質転換体からgD−2関
連タンパク質を生産させた。
【0160】最後に、特定部位での制限エンドヌクレア
ーゼ切断によってgD−2遺伝子フラグメントをpHV
5から単離し、それによって、gD−2コード配列の終
止配列(TAG)を欠失させた。このDNAフラグメン
トはgD−2遺伝子の一部と、発現プラスミドのプロモ
ーターおよび調節要素を含んでおり、β−ガラクトシダ
ーゼコード配列を含むベクターpHK414に連結させ
た。得られた組換えプラスミドpHV6は、croSD
−ATGをもつプラスミドlacプロモーターとβ−ガ
ラクトシダーゼ遺伝子の間に挟まれたgD−2コード配
列を含んでおり、誘導された大腸菌形質転換体において
融合タンパク質を発現させた。pHV6融合タンパク質
を宿主細胞の溶解産物から単離して、免疫原として使用
するために製剤化した。各構築工程についての詳細は以
下の分節で説明する。
【0161】7.1.プラスミド作製に用いた一般的手
特にことわらない限り、DNA単離、酵素反応および連
結反応について第6節およびその分節で説明した一般的
方法が、gD−2のクローニングにおいて利用された。 7.1.1.制限酵素バッファー SmaI消化に用いたバッファーは6.6mMトリス−
HCl(pH7.4)、6.6mM MgClおよび
6.6mM β−MEよりなる。
【0162】BglII、ClaI、EcoRIまたは
PstI消化に用いたバッファーは60mM NaC
l、6.6mMトリス−HCl(pH7.4)、6.6
mMMgClおよび6.6mM β−MEよりなる。
BamHI、SalIまたはXhoI消化に用いたバッ
ファーは150mMNaCl、6.6mMトリス−HC
l(pH7.4)、6.6mM MgClおよび6.
6mM β−MEよりなる。
【0163】2以上の制限エンドヌクレアーゼ反応がD
NAに対して行われるときは、低塩バッファー中での反
応を高塩バッファー中での反応の前に行うことに注意す
べきである。2つの酵素が同じバッファーを必要とする
場合は、その反応を同時に行ってもよい。 7.2.gD−2遺伝子の位置確認および単離 前に述べたように、HSV−1とHSV−2のゲノムマ
ップを比較して、HSV−2ゲノム内のgDのおよその
位置および大きさを決定した。gD−2遺伝子は、8.
5kbのBglII Lフラグメント内に含まれるUs
領域内の0.9〜0.945ゲノムマップ単位の間にマ
ッピングされた。BglII LフラグメントをHSV
−2DNAから切り出し、更なる分析のためにpBR3
22中に挿入した。
【0164】7.2.1.gD−2遺伝子を含むpHV
1の構築 HSV−2(G株)ゲノムDNAをBglIIで消化
し、gD−2遺伝子を含む約8.5kbのDNAフラグ
メントをアガロースゲル電気泳動によって単離した。プ
ラスミドpBR322をBamHIで完全に消化し、得
られた4.4kbのpBR322 DNAとHSV−2
の8.5kbのBglII L DNAフラグメントを
アニーリングし(BamHI付着末端およびBglII
付着末端が相補的である)、1:1の比率で連結させて
pHV1を得た(図11b)。
【0165】7.2.2.gD−2特異的mRNAコー
ド配列の位置確認 gD−2 mRNAコード配列は、ハイブリダイゼーシ
ョンプローブとしてpSC−30−4から得られたgD
−1 DNAの一部を用いるハイブリダイゼーション
(Southern,1975,J.Mol.Bio
l.98:503)によりpHV1内で局在化された
(サザントランスファーに用いたプロトコールについて
は、Maniatisら,1982,Molecula
r Cloning,A Laboratory Ma
nual,Cold Spring Harbor L
aboratory,pp.382−389を参照のこ
と)。
【0166】かくして、pHV1をXhoIで切断し、
得られたDNAフラグメントをアガロースゲル電気泳動
によって分離した。次に、ゲル中のDNAフラグメント
をアルカリ中で変性し、中和し、ニトロセルロースフィ
ルターに移行させた。その後、フィルターに付着したD
NAフラグメントを32P標識gD−1プローブにハイ
ブリダイズさせた。
【0167】32P標識gD−1プローブは次のように
作製した。pSC30−4(図1dおよび図4)をPv
uIIで切断し、gD−1の最初の52のコドン(15
6ヌクレオチド)を含む500bpのDNAフラグメン
トをポリアクリルアミドゲル電気泳動によって単離し
た。gD−1 DNAをニックトランスレーションで放
射性標識した(BRL Kit,Bethesda R
esearch Laboratories,In
c.,Gaithersburg,MD)。ニックトラ
ンスレーションは二本鎖DNAを高い放射能比活性へi
n vitro標識するための好適な方法である。この
方法は大腸菌DNAポリメラーゼIの数種の活性のうち
の2つを利用するものである。即ち、5’−3’エキソ
ヌクレアーゼ活性と5’−3’ポリメラーゼ活性であ
る。ニックトランスレーションにおいて、この酵素は二
本鎖DNAの一方の鎖のニックに結合する。次いで、前
進するポリメラーゼより先で、5’−3’エキソヌクレ
アーゼ活性がニックの入った鎖のヌクレオチドを加水分
解する。かくして、ニックが鎖に沿って移動される(翻
訳される)。加水分解の速度は重合の速度と等しいの
で、正味の合成はない。しかし、この交換反応の進行中
に、反応混合物中に存在する放射性デオキシヌクレオシ
ド三リン酸がDNAに取り込まれる(Kellyら,1
970,J.Biol.Chem.245:39)。そ
の後、32P標識gD−1二本鎖DNAを、一本鎖プロ
ーブとして使用するために変性した(Maniatis
ら,Molecular Cloning,A Lab
oratory Manual,ColdSpring
Harbor Laboratories,pp.1
09〜112参照)。
【0168】オートラジオグラフィーにより、pHV1
の約2.3kbのXhoI/XhoI DNAフラグメ
ントは放射性gD−1プローブに対して相補的であるこ
とが実証され、それゆえに、gD−2コード配列を含ん
でいた。次に、gD−2コード配列をさらに特徴付ける
ために、pHV1のXhoI/XhoI DNAフラグ
メントをpBR322にサブクローニングした。そのた
めに、pHV1をXholで消化し、gD−2コード配
列を含む2.3kbのDNAフラグメントを、SalI
(SalIにより生成された付着末端はXhoIにより
生成された付着末端に相補的である)で予め切断してお
いた線状pBR322にアニーリングし、1:1の比で
連結させてpHV2を作製した(図11c)。
【0169】7.2.3.gD−2 mRNAコード配
列の特徴づけ pHV2のHSV−DNAはMaxamとGilber
tの方法(1980,Methods in Enzy
mology,65:499)を用いて配列決定を行っ
た。図12は、HSV−2 gD遺伝子の得られたDN
A配列を示す。このDNA配列は393のコドン(gD
−1のDNAコード配列よりも1コドン少ない)のオー
プンリーディングフレームを含み、267位のATGか
ら伸びていた。この部位はgD−2遺伝子のイニシエー
ターであると推定されるところから、この推定gD−2
遺伝子配列を発現ベクターpJS413およびpHK4
13(下記参照)にクローニングすることによって、そ
うであることを確かめた。
【0170】gD−2タンパク質の予想されたアミノ酸
配列を、gD−1タンパク質の予想されたアミノ酸配列
と比較した(図13)。2つの配列は約82%相同であ
り、非相同領域が次の3つの領域に存在するようであ
る。つまり、リーダー配列、膜貫通領域、そして推定上
のアンカー領域である。gD−2タンパク質はgD−1
タンパク質よりも1アミノ酸残基だけ短い。
【0171】7.3.gD−2遺伝子のクローニングお
よび発現 gD−2遺伝子をlacプロモーターの制御下に置くた
めに、アミノコード末端(遺伝子の5’末端)の最初の
120ヌクレオチドを欠いた推定遺伝子配列の部分をp
HV2から単離した。pHV2 DNAフラグメント
を、lacプロモーター、翻訳調節要素、croATG
およびcroの69ヌクレオチドを含む小さなpJS4
13 DNAフラグメント(約200bp)に連結させ
た。得られた組換えプラスミドpHV5(図14)は、
gD−2配列の最初の40コドンを除いた全部を含んで
いる。事実、pHV5は実際に成熟gD−2タンパク質
の15のアミノ酸を除いた全部をコードしている。通
常、gD−2の最初の25のアミノ酸残基(シグナル配
列)は、天然gD−2タンパク質がプロセシングされる
際に切断される。pHV5の構築を以下で説明する。
【0172】7.3.1.pHV5の構築 組換えプラスミドpHV2をClaIで消化し(図14
参照)、生じた付着末端をDNAポリメラーゼのKle
nowフラグメントで修復した。次に、平滑末端化した
線状pHV2をEcoRIで切断した。amp遺伝子
およびgD−2コード配列の120のヌクレオチドを除
いた全部を含む5.4kbのClaI(−)/EcoR
I DNAフラグメントを、アガロースゲル電気泳動に
よって単離した。
【0173】発現ベクターpJS413(第6.3.1
節に記載)をSmaIとEcoRIで切断した。lac
プロモーター、SD、SDcro、croATGおよ
びcroの69ヌクレオチドをコードする200bp
(0.2kb)のフラグメントをポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動によって単離した。5.4kbのClaI
(−)/EcoRI pHV2 DNAフラグメントと
0.2kbのEcoRI/SmaI pJS413 D
NAフラグメントを1:1のモル比で、T4DNAリガ
ーゼを用いて連結させた。得られた組換えプラスミドp
HV5は大腸菌NF1829株の形質転換に用いた。
【0174】7.3.2.gD−2遺伝子を発現する形
質転換体の同定 アンピシリン耐性の大腸菌形質転換体から単離されたプ
ラスミドは、制限エンドヌクレアーゼマッピングにより
分析し、さらにgD−2関連ポリペプチドを発現させる
その能力について調べた。NF1829においては(l
acリプレッサーの過剰生産のために)lacプロモー
ターは転写的に不活性であるから、gD−2関連タンパ
ク質は1mM IPTGまたは1〜10mMラクトース
のいずれかでプロモーターを誘導した後にのみ検出でき
るだろう。
【0175】pHV5と称する組換えプラスミドによっ
て形質転換されたクローンは、誘導性のgD−2関連タ
ンパク質を産生することが見いだされた。誘導性タンパ
ク質はHSV−2に対するウサギ抗血清により免疫沈降
されることが分かった。 7.4.Cro/gD−2/β−ガラクトシダーゼ融合
タンパク質を産生させるpHV6の作製 融合タンパク質を作るために、翻訳リーディングフレー
ムが終止シグナルによって途切れないようにgD−2配
列をバクテリア宿主遺伝子配列に連結させた。そのため
に、gD−2終止シグナル(TAG)が欠失されるよう
にpHV5のgD−2コード配列を切断した。lacプ
ロモーター、翻訳調節要素およびCro/gD−2配列
を含むpHV5 DNAフラグメントを、z−遺伝子を
含むpHK414 DNAフラグメントに連結させた。
得られた組換えプラスミドpHV6(図15)はCro
/gD−2/β−ガラクトシダーゼ融合タンパク質をコ
ードしている。
【0176】7.4.1.pHV6の構築 プラスミドpHV5をPstIおよびBamHIで消化
した(図15参照)。amp遺伝子のアミノコード末
端の一部、lacプロモーター、SDSDcro、c
roATGおよびcro/gD−2をコードする1.7
5kbのPstI/BamHI pHV5 DNAフラ
グメントをアガロースゲル電気泳動によって単離した。
【0177】発現ベクターpHK414をPstIとB
amHIで消化した。z遺伝子およびamp遺伝子の
カルボキシコード末端の一部をコードする5.54kb
のBamHI/PstI pHK414 DNAフラグ
メントをアガロースゲル電気泳動によって単離した。
1.75kbのPstI/BamHI pHV5 DN
Aフラグメントと5.54kbのBamHI/PstI
pHK414 DNAフラグメントをアニーリング
し、1:1のモル比で連結させ、そして、大腸菌NF1
829の形質転換に用いた。指示寒天平板上でβ−ガラ
クトシダーゼ活性を検定することによって、アンピシリ
ン耐性コロニーの融合タンパク質産生能を調べた。陽性
コロニーは、IPTGにより誘導された形質転換体の全
溶解産物のSDS−PAGE分析により、Cro/gD
−2/β−ガラクトシダーゼ融合タンパク質の存在を試
験した。160,000ダルトンの融合タンパク質の高
レベル生産体を単離し、この形質転換体から得られたプ
ラスミドをpHV6と命名した。
【0178】pHV6によって形質転換された大腸菌ク
ローンから産生された融合タンパク質は、IPTGによ
り誘導可能であり、また、HSV−1およびHSV−2
の両方と交差免疫反応性であることが分かった。産生さ
れた融合タンパク質はgD−2タンパク質の265個の
アミノ酸残基を含んでいる。 7.4.2.pHV6融合タンパク質に対する抗血清の
免疫沈降分析 pHV6融合タンパク質は第6.4.2節で述べた変性
プロトコールを用いて精製し、3匹のウサギ(R15
9、R160、R161)に抗血清を作らせるべく次の
ごとく用いた。pHV6で形質転換された大腸菌クロー
ンを中間対数期まで増殖させ、そして1mM IPTG
によって誘導した。誘導の4時間後、バクテリアを遠心
分離によってペレット化し、SDS−PAGEサンプル
バッファーを用いて溶菌し、そして分離用SDS−ポリ
アクリルアミドゲルの上に置いた。電気泳動後、外側レ
ーンをクーマシーブルー染料で染色してタンパク質を可
視化した。次に、160,000ダルトンの融合タンパ
ク質バンドをゲルから切り出した。ゲル切片を液体窒素
の中に浸し、粉砕した後でPBS中に懸濁した。次い
で、等容量のフロインド完全アジュバントを加えた。十
分に混合した後、この溶液を3匹のニュージーランドウ
サギ(R159、R160、R161)に皮下注射し
た。各ウサギに100〜200μgのタンパク質を注射
した。28日後、不完全フロインドアジュバント中に懸
濁した同量の融合タンパク質を用いてウサギに追加免疫
を施した。動物は10日ごとに合計5回の追加免疫を受
け取った。最初の注射の48日後(即ち、2回の追加免
疫後)に採取した血清を免疫沈降分析に用いた。
【0179】免疫沈降は次のように行った。集密的に増
殖させた細胞にHSVを10pfu/細胞で感染させた
(Vero細胞にHSV−1を感染させ、一方Hela
細胞にはHSV−2を感染させた)。感染後35S−メ
チオニンで16時間細胞を標識した。35S−メチオニ
ン−標識HSV−1感染Vero細胞またはHSV−2
感染Hela細胞の溶解産物を、免疫前ウサギ血清また
はpHV6融合タンパク質に対するウサギ抗血清(即
ち、R159、R160またはR161抗血清)10μ
lとともにインキュベートした。第6.3.3節に述べ
たようにパンソルビンを用いて免疫複合体を回収し、得
られた放射性標識した免疫沈降タンパク質をSDS−P
AGEで分離し、フルオログラフィーにかけた。SDS
−PAGEの結果によれば、HSV−2感染Hela細
胞によって産生された50,000ダルトンのgDタン
パク質は、形質転換体から産生された融合タンパク質に
対する抗血清と免疫反応した。R159およびR161
抗血清はgD−2に対して特異的であり、一方R160
抗血清はgD−1(HSV−1感染Vero細胞により
産生された52,000ダルトンのgDタンパク質)お
よびgD−2の両方を免疫沈降させる。従って、R16
0は「タイプ−共通」である。pEH4−2によってコ
ードされるgD−1融合タンパク質に対して誘導された
018(第6.4.2節)もタイプ−共通であることに
注目すべきである。
【0180】7.4.3.単純ヘルペスウイルスのin
vitro中和 pHV6融合タンパク質に対する上記のウサギ抗血清
を、in vitroでHSV感染を中和するその能力
を調べるために使用した。そのために、プラークアッセ
イを用いるウイルス中和実験を前記のように行った。集
密細胞の各皿(35mm)に、対照(免疫前血清)また
は被験抗血清希釈物(次の抗血清を試験した:018、
R159、R160、R161)とプレインキュベート
しておいた50pfuのHSVを感染させた(Vero
細胞にHSV−1を感染させ、一方Hela細胞にはH
SV−2を感染させた)。3日後、細胞を固定し、染色
して、プラークを数えた。表2はこのような2つの実験
の結果を示す。中和は、プラーク数を50%減少させる
のに要する血清希釈率として表される。表2からは、p
HV6融合タンパク質に対する抗血清(R159、R1
60、R161)がin vitroでHSV−2感染
を中和でき、一方pEH4−2融合タンパク質に対する
抗血清(018)はin vitroでHSV−1感染
を中和できることが明らかである。018とR160は
(第7.4.2節の免疫沈降データに基づいて)タイプ
−共通であるが、018(抗gD−1融合タンパク質)
はinvitroでHSV−1の中和により効果的であ
り、そしてR160(抗gD−2融合タンパク質)はi
n vitroでHSV−2感染の中和により効果的で
ある。
【0181】
【表2】
【0182】数字はプラーク数を50%低減させた血
清希釈率の逆数としての抗体価を表す。アッセイは血清
補体の存在下で行った。 7.4.4.pHV6融合タンパク質に対する抗血清の
免疫蛍光分析 免疫蛍光検定を次のように行った。集密的細胞にヘルペ
スウイルスを0.1pfu/細胞で37℃、20時間感
染させた(Vero細胞にHSV−1を感染させ、一方
Hela細胞にはHSV−2を感染させた)。細胞をP
BSで洗い、次にアセトン:メタノール(1:1)を用
いて室温で90秒間固定させた。固定液を除去し、細胞
を自然乾燥させた。次に、PBSで1:20に希釈した
各ウサギ抗血清(018、R159、R160およびR
161)の20μlアリコートを、印を付けた位置に別
個の液滴としてプレート上の細胞に加えた。37℃、3
0分のインキュベーション後、細胞をPBSで洗い、自
然乾燥させた。次に、フルオロセイン−結合ブタ抗ウサ
ギ血清の20μlアリコートを印を付けた位置に加え
た。37℃、30分のインキュベーション後に細胞を洗
い、自然乾燥し、グリセロールで固定し、紫外顕微鏡を
用いて紫外線のもとで観察した。蛍光の存在は、ウサギ
抗血清がHSV感染細胞と免疫反応性であることを示
す。結果を表3に示してある。
【0183】
【表3】
【0184】抗血清は1:20の希釈率で加えた。 +++は最も強い細胞染色 ++は中程度の細胞染色 +は陽性であるが弱い染色 8.実施例:ワクチン接種 8.1.ワクチン製剤中のgD−1融合タンパク質を用
いたin vivo HSV−2感染からの防御 1群10匹のBalb C マウスの3群に、次の調製
物を腹腔内(IP)に注射した。グループ1(非ワクチ
ン接種の対照)は生理食塩水を受け取り、グループ2は
完全フロインドアジュバント中の天然HSV−1gDタ
ンパク質3μgを受け取り、そしてグループ3は生理食
塩水中のpEH4−2融合タンパク質(第5.5節に記
載した変性凝集物精製法によって単離したもの)30μ
gを受け取った。全てのグループは4回のIP注射を受
け取り、各注射を2週間の間隔で投与し、そして追加免
疫は1μgのgD(グループ2)または10μgの融合
タンパク質を含んでいた。
【0185】4回目の注射後、眼窩後方でマウスから採
血し、第6.4.3節および第7.4.2節で前に記載
したプラークアッセイを用いて、in vitro(補
体の不在下)でヘルペスウイルス中和について血清を試
験した。4回目の接種を行ってから1週間目に、10L
50のHSV−2株186を用いてマウスをチャレン
ジした。HSV−2を0.5ml中に懸濁し、腹腔内注
射した。チャレンジされたマウスの生存が防御を示す。
結果を表4に示す。
【0186】
【表4】
【0187】8.2.ワクチン製剤中のgD−2融合タ
ンパク質を用いたin vivo HSV−2感染から
の防御 1群10匹のマウスの4群に、次の調製物をワクチン接
種した。グループ1(対照)はpNB9−1ウシ成長ホ
ルモン/β−ガラクトシダーゼ融合タンパク質を受け取
り、グループ2はpEH4−2 Cro/gD−1/β
−ガラクトシダーゼ融合タンパク質(第6.4節)を受
け取り、グループ3はpEH82再構築Cro/gD−
1/β−ガラクトシダーゼ融合タンパク質(第6.5節
参照)を受け取り、そしてグループ4はpHV6Cro
/gD−2/β−ガラクトシダーゼ融合タンパク質(第
7.4節参照)を受け取った。
【0188】融合タンパク質は、誘導された形質転換体
をリゾチーム/界面活性剤で破壊し、続いて凝集物をペ
レット化する(第5.5節に記載されるように非変性凝
集物精製法)ことによって、種々の大腸菌形質転換体か
ら単離した。免疫感作のスケジュールは次のとおりであ
った。Balb Cマウス(6〜7週齢)に0.2ml
の生理食塩水中の非変性融合タンパク質150〜200
μgを腹腔内接種した。マウスに75〜100μg融合
タンパク質を2週間おきに3回以上腹腔内に再接種(追
加免疫)した(全部で4回の接種)。4回目の注射後、
眼窩後方でマウスから採血し、第6.4.3節および第
7.4.2節で前に記載したプラークアッセイを用い
て、in vitro(補体の不在下)でヘルペスウイ
ルス中和について血清を試験した。
【0189】4回目の接種を行ってから1週間目に、1
7LD50のHSV−2株186を用いてマウスをチャ
レンジした。HSV−2を0.5ml中に懸濁し、腹腔
内注射した。チャレンジされたマウスの生存が防御を示
す。結果を表5に示す。
【0190】
【表5】
【0191】生理食塩水に懸濁させた融合タンパク質
をIP接種した。補体の不在下でHSV−1またはH
SV−2中和について血清 を試験した。数字はプラー
ク数を50%減じた血清希釈率の逆 数として表される
抗体価を表す。 8.8.ワクチン製剤の比較 pEH4−2およびpEH90−10amLE392形
質転換体から産生された融合タンパク質調製物と、後述
する異なるアジュバントとの混合物でマウスを免疫処置
した。得られた抗血清は、培養下のHSV−1感染細胞
に由来するタンパク質を免疫沈降させるその能力によっ
て評価した。
【0192】第8.2節に記載した非変性技法によっ
て、pEH4−2およびpEH90−10amLE39
2形質転換体から融合タンパク質を単離した。凝集物を
音波処理により再懸濁し(スラリーを形成し)、次のよ
うに熱アルカリ中で処理して可溶化した。0.5MNa
OHを50mMの最終濃度で凝集物のペレットに添加し
た。凝集物は65℃で15分間加熱することによって可
溶化した。次に、溶液を冷却し、トリス−HCl(pH
7.5)を添加した(最終濃度:100mM トリス−
HCl)。
【0193】融合タンパク質調製物(スラリーまたは熱
アルカリ調製物)を、接種前に次のアジュバントと混合
した。(1)L121(Hunterら,1981,
J.of Immunol.127(3):1244−
1250;BASF Wyandotte Corpo
ration,Wyandotte,Mich.)プル
ロニックポリオール(動物当り2.5mgを投与し
た)、または(2)水酸化アルミニウムゲル(Rehe
is Chemical Company,Berke
ley Heights,N.J.)0.2%の最終濃
度。
【0194】これらの調製物を用いて、次のスケジュー
ルに従ってマウス(CD−1株)を免疫処置した。各マ
ウスに100μgの融合タンパク質の一次注射を施し、
22日後50μgの融合タンパク質を再注射した。融合
タンパク質を全容量0.2ml中に懸濁し、腿に筋肉内
注射した。最後の注射の7日後にマウスの眼窩後方から
採血した。
【0195】採取した血清は次のような免疫沈降によっ
て分析した。35S−メチオニン標識HSV−1感染V
ero細胞の溶解産物を、5μlのマウス血清(抗pE
H4−2または抗pEH90−10amLE392)、
免疫前血清(陰性対照)またはモノクローナル4S(陽
性対照)とともに4℃で2時間インキュベートし、5μ
lのウサギ抗マウス血清(Dako、4℃で30分)と
インキュベートした。免疫複合体を第6.3.3節に記
載したようにパンソルビンを用いて回収し、免疫沈降し
た放射性標識タンパク質をSDS−PAGEによって分
離し、フルオログラフィーにかけた。フルオログラフィ
ーの結果から、L121アジュバントを加えたアルカリ
可溶化融合タンパク質(pEH4−2とpEH90−1
0amLE392の両方)で免疫処置した全てのマウス
は強い免疫反応を有することが明らかになった。水酸化
アルミニウムと一緒に投与したアルカリ可溶化pEH4
−2融合タンパク質では、より弱い免疫反応が観察され
た。この試験法で判定したところでは、他のマウスは免
疫反応を示さないようであった。 9.微生物の寄託 ヌクレオチドに与えられた全ての塩基対のサイズは概算
値であり、説明のために用いられることを理解すべきで
ある。更に、以上に示された本発明の多くの修飾および
変更が、その精神および範囲を逸脱することなく、なさ
れ得ることが明らかである。記載された特定の実施態様
は単なる例示であって、本発明は特許請求の範囲によっ
てのみ規定されるものである。
【0196】表示したプラスミドを担う次の大腸菌株は
アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(Am
erican Type Culture Colle
ction:ATCC)(Rockville,M
d.)に寄託され、以下の受託番号を指定された。 表示したプラスミドを担う次の大腸菌株はアグリカルチ
ュラル・リサーチ・カルチャー・コレクション(Agr
icultural Research Cultur
e Collection:NRRL)(Peori
a,Ill.)に寄託され、次の受託番号を指定され
た。 本発明は寄託微生物によってその範囲を限定されない。
なんとなれば、寄託された実施態様は本発明のいくつか
の態様を例示するものであるからである。実際、ここに
記載したものに加えて、本発明の各種変更が上記の説明
と添付図面から当業者には明らかとなろう。このような
変更も特許請求の範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)HSV−1ゲノムを示し、(b)ラムダ
gtWES::EcoRI−HのHSV−1EcoRI
−Hフラグメント挿入物の制限地図を示し、(c)pR
WF6の構築を示し、そして(d)pSC30−4のH
SV−1 SacI DNAフラグメント挿入物の制限
地図を示した図である。
【図2】gD−1遺伝子配列の配列決定戦略と制限地図
を示した図である。
【図3】gD−1遺伝子のヌクレオチド配列およびgD
−1タンパク質の推定アミノ酸配列を示した図である。
【図4】gD−1遺伝子の一部と大腸菌の発現ベクター
pJS413から誘導された組換えプラスミドpEH2
5の構築を示した図である。
【図5】pEH25中のCro/gD−1接合部のDN
A配列および推定アミノ酸配列を示した図である。
【図6】HSV感染Hela細胞の溶解産物中に存在す
る競合抗原を添加することによるpEH25gD産物の
免疫沈降の阻害を示した図である。
【図7】pEH25から誘導されたgD−1発現プラス
ミドpEH4−2の構築を示した図である。
【図8】多くのgD−1発現プラスミドpEH50+x
を作製する方法を示した図である。
【図9】pEH4−2中のgD−1遺伝子のアミノコー
ド末端を再構築する方法を示した図である。
【図10】pEH3−25とpHK414から誘導され
たgD−1発現プラスミドpEH90−10amの構築
を示した図である。
【図11】(a)HSV−2ゲノムを示し、(b)pH
V1のBglII Lフラグメント挿入物の制限地図を
示し、そして(c)pHV2のHSV−2 XhoI
DNAフラグメント挿入物の制限地図を示した図であ
る。
【図12】gD−2遺伝子のヌクレオチド配列およびg
D−2タンパク質の推定アミノ酸配列を示した図であ
る。
【図13】gD−1とgD−2の推定アミノ酸配列の比
較を示した図である。
【図14】gD−2遺伝子の一部とpJS413から誘
導された組換えプラスミドpHV5の構築を示した図で
ある。
【図15】pHV5から誘導されたgD−2発現プラス
ミドpHV6の構築を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A61K 39/245 ADY A61K 39/245 ADY (C12P 21/02 C12R 1:19) (72)発明者 ジョン・ヘインズ・ワイス アメリカ合衆国 01246 マサチューセッ ツ州ブリックリン・ポンド・アベニュー 33アパート・ビー 606 (72)発明者 リン・ウィリアム・エンキスト アメリカ合衆国 55331 ミネソタ州エク セルシア・サンブラ・ドライブ 5691

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次のDNA配列: 【化1】 からなる単純ヘルペスウイルスタイプ1(HSV−1)
    のgD糖タンパク質のアミノ酸配列を有するポリペプチ
    ドをコードするDNA;該gD糖タンパク質の少なくと
    も1つの免疫学的抗原決定基を有するポリペプチドをコ
    ードするHSV−1DNAの配列の部分配列;次のDN
    A配列: 【化2】 からなる単純ヘルペスウイルスタイプ2(HSV−2)
    のgD糖タンパク質のアミノ酸配列を有するポリペプチ
    ドをコードするDNA配列;および該gD糖タンパク質
    の少なくとも1つの免疫学的抗原決定基を有するポリペ
    プチドをコードするHSV−2DNAの配列の部分配
    列;より成る群から選ばれるDNA配列またはその破片
    とハイブリドイズし、かつ単純ヘルペスウイルスgD糖
    タンパク質の少なくとも1つの免疫学的抗原決定基を有
    するポリペプチドをコードする発現可能なDNA配列。
  2. 【請求項2】 gD−2をコードするDNA配列および
    その部分配列より成る群から選ばれる、請求項1に記載
    の発現可能なDNA配列。
JP7300382A 1982-07-20 1995-10-11 単純ヘルペスウイルスタンパク質をコードするdna配列 Pending JPH08294392A (ja)

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